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「パリ協定」と日本の課題 (巻頭エッセイ)

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Academic year: 2021

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「パリ協定」と日本の課題 (巻頭エッセイ)

著者

田中 明彦

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

246

ページ

1-1

発行年

2016-03

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00002986

(2)

1

  アジ研ワールド・トレンド No.246(2016. 4)

エ ッ セ イ

アジ研ワールド・トレンド 2016 4

田 中 明 彦

「パリ協定」と日本の課題

たなか あきひこ/東京大学東洋文化研究所教授 前国際協力機構(JICA)理事長。マサチューセッツ工科大学で政治学 Ph.D. 取得。 専門は国際政治学。   第二一回国連気候変動枠組み条約締約国会議 ( C O P 21) で 採 択 さ れ た、 二 〇 二 〇 年 以 降 の 温暖化対策を定めた「パリ協定」は、画期的な 合 意 で あ っ た。 努 力 目 標 だ と は い え、 「 全 員 参 加」の合意ができたことは過小評価すべきでな い。温暖化ガスの最大の排出国である中国や、 アメリカさらには今後排出量が増大する新興国 が加わっていることは、京都議定書との決定的 な違いである。もちろん、拘束力が弱いという 批判はありうるが、そもそも現在の世界システ ムで、主要な主権国家に拘束力のある約束をさ せることは実質的には不可能に近い。目標が実 現できなかったからといって、有効で意味ある 制裁ができるわけもない。いずれにしても、国 際社会の世論によって、目標を達成するような 圧力を各国がお互いにかけていくという方法し かないのである。   もちろん、課題は山積している。日本として も自らの目標達成のために必要な施策を迅速に とっていかなければならない。しかも、他の先 進国と同様に、日本はODAなどを通じたかた ちで、開発途上国がそれぞれの目標を達成でき るよう支援する義務もある。緩和策にしても適 応策にしても、日本には有用有効な技術や制度 が存在する。これらの技術や制度を普及するた め、ODAで積極的に資金協力をするとともに、 企業、大学、地方自治体、NGOなどの連携を 進めていかなければならない。もちろん、既存 の技術や制度だけでは不十分だ。革新的技術と ともに創造的な新たな制度作りも求められてい る。   COP 21のパリ協定とならび、昨年国際社会 が合意した重要目標は「持続可能な開発のため の二〇三〇アジェンダ」である。この「二〇三 〇アジェンダ」の一七の持続可能な開発のため の目標(SDGs)と一六九のターゲットのな かには、気候変動に関する目標も含まれている が、それ以外のさまざまな目標が列挙されてい る。気候変動に関する目標も含め、これらの目 標は相互に密接に関連し合っている。どれかひ とつだけ独立に実現すればよいというものでも なければ、それだけ目指せば、実現できるとい うものでもない。各国が、それぞれのSDGs を達成するためにはきわめて包括的な総合プラ ンが必要なのである。日本は、みずからの総合 プランを策定するとともに、各国の総合プラン 策定のための知的な支援も充実させるべきであ る。   今年、日本はG7サミットならびに日中韓サ ミットの議長国である。いうまでもなく、世界 全体の温暖化ガス排出量の削減にとって、中国 の努力が決定的である。日中関係、日韓関係の 政治的困難さのため開催が遅れていた日中韓サ ミットが再開され、日本が議長国となった機会 をとらえ、日中韓の気候変動対策の協力にも弾 みをつけなければならない。そして、このよう な日中韓の協力もベースにして、G7サミット でさらに広範な国際的取り組みを行うためのリ ーダーシップをとるべきであろう。

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1 Library, Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (3-2-2 Wakaba Mihama-ku Chiba-shi, Chiba 261-8545). 情報管理 56(1), 043-048,

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