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キャンプスタッフ体験で高められる看護学生の自己肯定感 - 健康管理の視点から、その要因を探る -

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(1)

キャンプスタッフ体験で高められる看護学生の自己肯定感

一健康管理の視点から,その要因を探 る一

中山 久子

1)

菊田 文夫

2)

吉越

聖子

3)

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Keywor

ds〕

nursing student,work-studyprogram,camp,self-afBLmi on,healthm- gement

旨〕

こころやか らだの健康問題 を抱 えている看護学生たちが共通 して持つ 「自信がない

「自己肯定感に乏 し い」 とい う感覚 を変 えてい くためには, 自己を見つめ,仲間 とともに自己肯定感 を高めることがで きる何 らかの体験が必要であると考 えられる。そこで,本稿では,本学学生の 自己肯定感向上 に寄与 していると 思われる 「聖路加 キャンプ」の実践記録か ら, 自己肯定感 を高めることがで きる体験の抽出を試みた。そ の結果, 自己肯定感 を高めるためには,キャンプスタッフとして参加する学生 自身が,先輩や後輩,ある いは参加者 との関わ りの中で

,

「自分は大切 な存在である」 こと

,

「自分は価値ある人間である」 ことを実 感する体験が不可欠であることがわかった。 したがって, 日常的に学生同士が,お互いを大切な存在 とし て認め合 う場 を構築することが 自己肯定感の向上 にとって不可欠であると考える。

キーワーズ〕

看護学生,体験学習,キャンプ,自己肯定感,健康管理

1)聖路加看護大学 健康管理室 保健師 sLLuke■sCo皿egeofNufSmg,SchoolNurse 2)聖路加看護大学 健康教育学 准教授 st.Lukelsco皿egeofNursmg,HealthEducadon

(2)

中山他 :キャンプスタッフ体験で高められる看護学生の自己肯定感一健康管理の視点から,その要因を探る- 43

Ⅰ.はじめに

看護学生 には看護専門職 を目指す者 として,健康 に関 する知識 とそれを育み見 まもる技術 を身につけること, さらに人間を対象 とする援助者 として人間を総合的に見 る眼 と人間性 を重視 した判断力が要求 される。 これ らの 能力は,看護専 門科 目や臨地実習で主体的に学ぶこと, 加 えて在学中に体験する様々な出来事 を通 して自己理解 を深め,自己を成長 させてい くことによって,獲得 され るもの と考えられる。 著者 (中山)は本学健康管理室で専任保健師 として, 看護学生の心身の健康保持増進 を目指 した活動 を進めて いる。 その一環 として,入学時 に希望者 に行 っている TAOK テス ト,すなわち人格 を 「自我状態」 と 「対人 態度」 という2つの面か ら総合的にとらえることがで き る検査の結果 をみると,近年の傾向 として半数近い新入 生が 「自己肯定感」に乏 しいことが明 らか となっている。 これは, 日常的に行われる学生たちへの応急処置や健康 相談 とい う関わ りを通 して 日々感 じている学生たちの自 己肯定感の乏 しきを支持する結果である。そこで,ここ ろやか らだの健康問題 を抱 えている看護学生たちが共通 して持つ 「自信がない

「自己肯定感 に乏 しい」 とい う 感覚 を変 えてい く体験,すなわち,それを通 して 自己を 見つめ,仲間 とともに価値ある出来事 ととらえなおす こ とによって自己肯定感 を高める体験 とはいったい どのよ うなものなのか,について探 ってい きたい。 本稿の第 Ⅱ章で,学生の自己肯定感向上 に寄与 してい ると考えられる 「聖路加キャンプ」の取 り組みについて, 主宰者 (菊田)か ら概要 を紹介する。第 Ⅲ章では,過去 にキャンプスタッフとして参加 した卒業生 (吉越)によ る「聖路加 キャンプ」の振 り返 りによる気づ き, を紹介 する。 それ らをもとに

,

「聖路加 キャンプ」が学生たちにど のような影響 をもた らしていると考えられるのか,さら にプログラムの中で何が育 まれ,結果 として看護学生の 自己肯定感向上 に寄与 した要素 とは何であるのかについ て,健康管理の視点か ら考察 したい。

Ⅰ.

学部学生 とつ くりあげている聖路加キャンプ

について

1.聖路加キャンプの概要 聖路加看護大学健康教育学研究室が主催する 「親子キャ ンプ」 は,2004年 11月 に開催 した 「牛飼い体験 と秋 を 感 じる親子キャンプ

i

n清里」以来,山梨県北杜市清里, 山梨県北都留郡小菅村,および静岡県伊東市宇佐美をフィー ル ドに,現在 までに23回を重 ねている。 また,その間 の2005年,2006年,お よび2007年の8月には,10泊11 日の 「いのちと自然 と自分を感 じる長期子 どもキャンプ」 を山梨県北杜市清里で開催 した。これ らのキャンプでは, 「いのち

「こころとか らだの健康

「人間としての成長」 の素晴 らしさや大切 さを効果的に伝 えるための方策 とし て,毎回,キャンプで伝 えたい大切 なことを具体的に決 めた上で,自然豊かな環境 を十二分 に活用 した魅力的な 体験活動 (以下,アクティビティと表記する) を含むプ ログラムづ くりと,世代 間交流 を含む生活体験の場 をつ くりあげる試みを継続 して行ってきた。 参加者 については,原則 として,東京都 中央区内の小 学校 に在籍する児童ならびにその家族 を対象 としてお り, 対象 となる児童が在籍する小学校 に募集要項の配布 を依 頼 して,個別 に参加 申込 を受け付 けている。 これまでに 実践 した親子キャンプへの参加者 は,延べ120家族,高 校生以下の子 どもが延べ194名,その保護者が延べ183 名, また,長期子 どもキャンプでは36名の児童 を迎え ている。 なお,これ らのキャンプの運営 については,主宰者で ある著者 (菊田) と宿泊施設に所属する自然体験活動指 導者 に加 えて,キャンプスタッフとしての参加 を希望す る本学学部生 に援助 をお願い している。 これまでに実践 したキャンプにキャンプスタッフとして参加 した学部学 生 は,親子キャンプ29名,延べ78名,長期子 どもキャ ンプ15名,延べ19名である。

2.

聖路加キャンプで伝 えたい大切 なこと 聖路加 キャンプのプログラムづ くりにあたっては,自 分では予測がで きない有 限な 「いのち」,生 きかたを伝 える 「健康教育」,そ して,生涯学び続 ける人間 として の 「成長」 をキーワー ドとして,季節やフィール ドの特 徴 を考慮 しなが ら,具体的に伝 えたい大切 なことをキャ ンプスタッフ全月で決定 し,それに沿った魅力的なアク ティビティを計画 している。これまで実践 した聖路加キャ ンプに共通する,伝 えたい大切なことは次の5点である。 ① 自分 を支えて くれるあ らゆる 「いのち」 と自分 自身の 「いのち」への感動 と感謝の気持 ちを育む横会 を提供 すること。 ②乳幼児か ら高齢者 まで一人ひとりを,そ して一人ひと りの生 きかたや価値観 を尊重する雰囲気,例 えば 「い ろいろな人がいていい,いろいろな人がいるか ら楽 し い」 とい う雰囲気 を醸成 してい くこと。 (参人間の成長 には見 まもりが必要である0時 に勉学以外 で大人 との関わ りが希薄にな りがちな現代の子 どもた ちの,こころとか らだのバランスのよい成長 を支援す るためには,彼 らの自主性 を尊重 し,さまざまな生活 体験や冒険体験の場 を丁寧に見 まもることが必要であ る。さらに,保護者やキャンプス タッフ自身 も, とも に成長 してい く場 として大切 に考えること。

(3)

④ ポジティブフィー ドバ ックによる自己肯定感の向上が 期待で きる場,意思決定力 を育む場 として,このキャ ンプを位置づけ,失敗か ら学ぶ体験学習 と自らの意思 で行 う冒険や挑戦の意義 を貴重な機会 と捉 えること。 ⑤ キャンプに集 うすべての人々 と感動 を共有する機会 を 設けること。そのために,参加者 には,キャンプ期 間 中の電子機器 (携帯電話, コンピュータ,iPod,ゲー ム横器など)の使用を特別の事情がない限り,遠慮願っ ている。

3.

キャンプスタッフとしての学部学生の役割 キャンプスタッフの学部学生 には,自らの意志でキャ ンプス タッフを希望 したことに敬意 を表するとともに, 自分 らしく自由に,情熱を持 ってキャンプに取 り組むこ とがで きるよう,教員の立場か ら最大限の支援 を約束 し ている。聖路加キャンプの実践 を重ねてきた成果 として, 先輩のリーダーシップのもと,キャンプの開催時期から, 伝 えたい大切なこと,プログラムづ くり, リスクマネジ メン トまで, 自主的にキャンプス タッフミーティングを 持 ちなが ら,キャンプスタッフの総意 として決定する, いわば,皆でキャンプをつ くりあげる雰囲気 とシステム が確立されている。さらに,キャンプの実践に際 しても, 事前準備 を含めて,ほぼすべてのアクティビティを学部 学生が 自らの希望で担当する体制が整 っている。聖路加 キャンプの実践 を重ねてきた過程で明確 になった,キャ ンプスタッフとしての学部学生が担 っている重要な役割 は,次の10点である。 G)伝えたい大切なことを楽 しく正確 に伝 えるス トーリー づ くり 開催時期 (季節)や フィール ドの特徴 を活か して計 画 される複数のアクティビティの内容 と,その順序 に ス トー リー性 を持たせる工夫 を,創造性豊かにつ くり あげる。また,アクティビティを通 して 「いのち」や 「健康」 に関する情報や知識 を伝 える必要のある場合 には,科学的な根拠 に基づいて内容の吟味を行 う。 (参キャンプ期 間中は参加者同士の交流 を促すための 「触 媒」 に徹する。参加者 に関わ りす ぎず,一人ひとり, あるいは家族の成長 を距離 を置いて見 まもる姿勢 も大 切である。 (参あらゆる場面 において,参加者 にキャンプスタッフの 意向を押 し付 けない,自由な雰囲気 を醸 しなが ら,参 加者が安心 してアクティビティを楽 しむことがで きる ように見まもる。 さらに,必要 と思われる場合 には, 参加者 自身の気持 ちや要望 に応 じた援助 を自主的に行

う。

④ キャンプに集 うすべての人々が,居心地が よい と感 じ る,常 にオープンな雰囲気づ くりを心がける。特 に, 聖路加キャンプを初めて訪れた参加者 には,疎外感や 居場所 について不安 を抱 くことがないように気 を向け る。 (9参加者 とともにアクティビティや生活体験 を楽 しみな が ら,活動の 目指す方向を自らの行動で参加者 に伝 え る。 (むキャンプをスケジュール どお りに実践することに固執 せず,参加者の体調や天候 に応 じて臨機応変に対応す る。 ⑦ キャンプスタッフ同士が,お互いを大切 に想 う気持ち を忘れずに,気づいたことは遠慮 な く話 し合える雰囲 気 を醸成 してい く。 さらに,キャンプ期間中は,仲間 のキャンプスタッフの動 きに気 を向けなが ら,いま, 自分がなすべ きことは何かを考え,自主的に実践する。 (砂キャンプの客観的資料 として,アクティビティ,生活 体験の場面でみ られる親子のかかわ りや世代 間交流の 様子,大人や子 どもの表情,参加者 とキャンプスタッ フとの交流の様子などを写真 によって記録する。 これ らは,キャンプ最終 日に上映 されるスライ ドシ ョーの 素材 として活かされるとともに,キャンプスタッフミー ティングの際に,アクティビティの効果 を検証する根 拠 とな りうるものである。 (9キャンプスタッフとしての振 り返 りを参加者 に伝 える ために,キャンプ期間中に撮影 した写真 をまとめたス ライ ドシ ョーを作成 し,最終 日に上映する。 ⑲事前のスタッフ トレーニ ングやスタッフミーティング の場で, リスクマネジメン トに関する情報 と安全管理 の方策について議論 し,その結果を共有する。さらに, キャンプ期 間中,毎夜行 われるスタッフミーティング で,当 日の安全管理 に関する振 り返 りを行い,翌 日以 降の実践 に活か してい く。 以上,述べてきた聖路加 キャンプにキャンプス タッフ として参加する学部学生の集団には,経験豊かな先輩が 後輩を,キャンプスタッフとして自分 らしく活躍できる ように温か く見 まもり支援する一方,後輩 は自らのロー ルモデルとして先輩に憧れ,先輩か ら学ぶ機会 をとても 大切 にしている様子が うかがえる。加 えて,彼 らは仲間 とともに自分 自身 も成長で きる貴重な機会 として聖路加 キャンプを位置づけ,失敗か ら学ぶ体験学習 と自らの意 志で行 う冒険や挑戦に大 きく価値 を置いていると見受け られる。 また,アクティビティを計画通 りに実践することがで きなかった場合や,失敗, ミスが発生 した場合 について ち,当事者 となった仲間をいたわるとともに,失敗や ミ スを否定的に捉 えす ぎることな く,キャンプスタッフ皆 で成長の糧 に活か していこう, というた くましさを彼 ら に感 じることがで きる。 さらに,キャンプを実践する過程で自ら気づいた,あ るいは仲 間に気づかされた自分 自身が得意 とする能力 を

(4)

中山他 :キャンプスタッフ体験で高められる看護学生の自己肯定感一健康管理の視点から,その要因を探る- 45 互いに尊重 し,それぞれの能力 を最大限に発揮するため にはどのようなチームづ くりをすればよいのか,につい て,キャンプス タッフ管で話 し合い,キャンプの実践 に 活かす ことがで きるような体制が整いつつあることも特 筆すべ きことである。

Ⅱ.

キ ャンプ ス タ ッフ体 験 を通 しての気 づ き 「聖路加 キャンプ」 には,参加家族だけではな く看護 学生 にとって も,身に付 けたい重要な要素が多 く含 まれ ている点や,そこで得た体験学習の成果が看護専門職者 としての実務遂行 を支える能力の獲得 に少なか らず結び ついている実感がある。学生時代 に 「聖路加 キャンプ」 のキャンプスタッフとして参加 し,看護師の経験 を経て, 再び子 を持つ母 としてキャンプに参加 した著者(吉越)が, 卒業生 として現在実感 している

4

点について以下に述べ る。 1.看護学生 として身に付 けておきたい要素がある 以前

,

「聖路加 キャンプ」 に参加する児童の保護者 を 対象 として事前 に行 った 「家族へのアンケー ト」 には,

1学期 は不登校

「決 まったお友だちとしか遊ばない

「お友だち とな じんで一緒 に行動 しているか」 など,千 どもたちのコミュニケーシ ョンスキルに関連する不安 を 述べた回答が多かった。そ して,長期子 どもキャンプ初 日のスタッフミーティングでは

,

「他人のことに興味 を 示 さない

「バスの隣に座 っている子の名前 も聞かない」 「友 だちの名前 を覚 えない」 といった子 どもたちにどう 対応 していけばよいか,キャンプスタッフか ら不安の声 があがっていた。 しか し,最終 日に子 どもたちが書いた 「ふ りかえ りシー ト」では

,

「いろんな友だちと仲良 くな れた

「だんだん協力で きてい くのがわかった」 とい う 回答が得 られている。 これはキャンプスタッフが,子 ど もと丁寧に関わってきた結果 として獲得 した評価であ り, 当初の不安は大 きな自信- と変わった。コミュニケーショ ンスキルに乏 しい子 どもたちに対する関わ りを通 して, 子 どもたちにどのような支援が必要 とされるのか,につ いて考 え,実践 を試みる姿勢は,看護学生 にとって,ぜ ひ身に付 けておきたい要素のひとつである。

2.

誰にでも主役になれる瞬間がある キャンプにはゆった りとした時間,生活 を共 にする仲 間,豊かな遊ぶ空間がある。学校だけでは分か らなかっ たそれぞれの子 どもが見せる多様 な面 に, どの子 どもも お互いに目が留 まるようになる。すると, どの子 どもに とっても主役 になる瞬間が必ず訪れる。例 えば,補壊器 を必要 とするA君の名前す ら覚 えなかった,いわゆる "ガキ大将"のB君の口か ら,昆虫に詳 しい博士のよう なA君の一面 に触 れた とき

,

「す ごい」 とい う青葉が 自 然 と出て くる。一方,"ガキ大将日の B君の夢 は料理人 であ り,郷土料理作 りで見せた目の輝 きや包丁の腕前を, みんなが 「すごい」 と賞賛 したとき,彼 は自らの力 を確 信 し,お互いの素晴 らしい ところに気づ き認めあうこと の大切 さに目覚めたと思 う。 このようなス トー リーが, キャンプの随所 に起 きている,子 どもの自己肯定感が高 まる瞬間だと思 う。これ と同様のス トーリーがキャンプ スタッフの中で も展開されていた。

3.

ポジティブフィー ドバ ックがお互いを詠め合 うこと につながる 臨地実習で も繰 り返 されているが,キャンプで も準備 の段階か らスタッフ同士で行動 を認め合い,お互いに評 価 を交換する経験が繰 り返 されている。ただ し,臨地実 習の対象が基本的には患者であ り,例 えば24時間連続 して関わる実践 は,看護師 として勤務するようになって か らでなければ経験で きない。 しか し,キャンプでは子 どもたちや家族 と共に生活 しなが ら,さまざまな関わ り を持つことがで きる。キャンプを実践する中で,問題や チ ャンスは突然起 こり,それ らを瞬時にどう凍 えるかは キャンプスタッフそれぞれの個性 に左右 されるところが 大 きい。1日を振 り返ったとき,たとえ 「で きない 自分」 ばか りが頭に残っていたとしても,仲間のキャンプスタッ フから,自分では気づ くことができなかった肯定的なフィー ドバ ックを受けることによって,自分が選択 した行動へ の価値 と自信 を認める横会 となる。 これ と酷似 した状況 を著者 (吉越)は看護師1年 目に経験 した。学生時代 の 知識や看護技術では対応できない日々。理想と現実のギャッ プに悩む新人は多 く,現時点での 「で きない自分」 にと らわれて しまいがちだ。その中で,キャンプに参加 した 経験 を持つ著者 (吉越)が

,

「で きない 自分」 にとらわ れすぎることなく,看護師1年 目を乗 り切れたのは,キャ ンプで得た体験が生かされていたか ら, と思 う。

4.

キャンプに集 うすべての人々が大切 な存在 著者 (吉越)が学生 としてキャンプスタッフを務めた 動機 は主に 「参加者や仲 間とキャンプを作 ってい くこと -の楽 しさ」であった。 しか し,卒業後

,

「聖路加 キャ ンプ」 を訪れて

,

「新たな気づ きが仕事 に役立つ」 とい う,研修 にも似 た新 たな学びを求めている部分や

,

「後 輩の新鮮 な感覚や問いかけに応 えなが ら自分の行動 を振 り返 り,自分の経験 を伝 えられる場がある」 という,意 欲的な後輩 と出会 える刺激 と,経験豊かな先輩 として認 め られる喜びを感 じていることに気づいた。 さらに,千 を持つ母 として参加 したキャンプでは,わが子 を客観的 に見る機会,家族以外の大人に褒め られた り,叱 られる 機会.異なる年齢の子 どもを持つ家族同士の交流 によっ

(5)

て自分やわが子の数年後がイメージで きる機会で もあっ た。「子育てを孤立化 させない」役割 までもが,このキャ ンプに包含 されている。 自らの年齢や立場の変化 に応 じ て参加動機が変化 しなが らも,その時々で 「聖路加 キャ ンプ」 に求めるものや 「聖路加 キャンプに」貢献で きる 役割が必ずあることは

,

「聖路加 キャンプ」 に集 う,す べての人びとが大切 に想われ,認められる雰BIl気づ くり によるものだと思 う。

Ⅳ.

手薄学生の 自己肯定感 を高めるキャンプ

スタッフ体験 とは

こころやからだの健康問題を抱えて,健康管理室にやっ て来る看護学生たちが共通 して持つ 「自己肯定感に乏 し い」 とい う感覚 を変えてい くために

,

「聖路加 キャンプ

の体験記録か ら,学生の自己肯定感向上 に寄与 している と思われる体験要素の抽出を試みた。その結果,前述の キャンプで伝 えたい

5

つの大切 なこと,すなわち,(∋参 加者全員が大切 な存在である,(参さまざまな価値観が存 在 していい,③見 まもりあうことによってお互いの自主 性 を尊重で きる,④体験 したことは必ず何 らかの意味が あ り,価値がある,(9感動 を共有することで他者の出来 事ではな く, 自分の出来事 としてもとらえられる,これ らがまさに自己肯定感 を高める要素 と考えられた。 これ らの要素 をキャンプスタッフとして参加する学生 自身が, 先発や後難,あるいは教員,または参加者 との関わ りの 中で,他者か ら暴認 されるとい う体験 を通 して実感 し, これらの体験 を仲間と共有 し, どのような意味があった のかを語 り感 じあう中で,これらを価値あるもの として とらえ直 しているのではないか と考えられる。キャンプ の体験の中で主役 になる瞬間, リーダーになる瞬間を経 て,ポジティブなフィー ドバ ックを受けた ときや,失敗 した と感 じた り,自分 としては納得で きるような実践が で きなかったとして も,それを仲間とともに価値あるこ とと認めたときに自信 を取 り戻す こと,自己肯定感 を高 めることが可能になるのではないか と考えられる。また, 「聖路加 キャンプ」 に集 う,すべての人び とが大切 に想 われ,認め られていることをお互いが実感で きるからこ そ,キャンプに参加 した人,それぞれが 「自分 は大切な 存在である」 こと

,

「自分 は価値ある人間である」 こと を実感 し,その結果 として学生の自己肯定感が高め られ るのではないか と考 える。

V.

健康管理の立場から 学生生活の中で,学生 は様々な体験 をしなが ら,相手 を認め,自己を肯定することを学んでい く。それは,社 会人 として,看護専門職業人 として,また人生において も貴重 な体験 とな りうるだろう。今回は

,

「聖路加 キャ ンプ」 とい うひ とつの試み を,健康管理の視点か ら, 「自己肯定感」 に寄与で きる体験 として紹介 した。 この ような体験 を,学生生活の様々な機会に提供できる環境 が整えられると,学生たちは伸 びやかに,また相手 との かかわ りの中で成長する看護学生 としての資質を育てて い くことがで きるのではないか と考える。 看護学生の健康管理 を担 う著者 (中山) としては, 日 常的に学生同士,先_gEが後発の相談 を受ける場,さらに は本学卒業生 による学生生活相談の場 を設けて,先輩は 後難の頼れる存在 とな り,また後輩はモデル となる先輩 に憧れ,その先輩か ら大切 な存在 として認め られる関係 の構築 を目指すことが,学生 自身の自己肯定感の向上 に 不可欠であると考えられるO 本箱 の作成 にあたっては,本学の健康管理室 開設の労 をとられた聖隷 クリス トファー大学飯田澄美子教授のご 指導 をいただきました。厚 く御礼 申 し上げます。

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