組織と情報技術--プロセス・イノベーションからビジネス・プロセス・イノベーションへ
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(2) 第56巻. 1.は. 情 報 技 術(IT),特. 第1号. じ. め. に. に ネ ッ ト ワ ー ク 化 さ れ た コ ン ピ ュ ー タ シ ス テ ム は,1990年. イ ン タ ー ネ ッ トの 商 用 化,95年. 以 降 の わ が 国 に お け る爆 発 的 普 及 を 通 じ て,21世. ビ ジ ネ ス の コ モ デ ィ テ ィ を 越 え て,社 シ ス テ ム の 普 及 は,計. 代初頭 の 紀 の 今 日,. 会 基 盤 と な って い る。 こ う した分 散 系 コ ン ピュ ー タ. 算 機 能 を 超 え た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン手 段 と して,人. 々 の 連 携 ・協 働. の 形 態 に大 き な変 化 を もた ら した。 電 子 ネ ッ ト ワ ー ク 上 の 効 果 的 協 働 に 関 し て は,既 CooperativeWork)等. にCSCW(ComputerSupported. の グ ル ー プ ウ エ ア 研 究 か ら イ ン タ ー ネ ッ トを 介 し た ホ ワ イ トカ ラ ー. の 生 産 性研 究 等 と して 研 究 が 進 め ら れ て き た(ll。我 々 は 既 に95年 に は ホ ワ イ トカ ラ ー の ワ ー ク ス タ イ ル の 変 容 に 注 目 し,情 ラ ネ ッ トの 利 用 効 果,知. 報 技 術 に よ る ホ ワ イ トカ ラ ー 生 産 性 研 究 等 と して,イ. 識 創 造 の 為 のIT利. 活 用,ITを. ン ト. 活 用 した チ ー ム或 い は組 織 マ ネ. ジ メ ン ト研 究 へ と 展 開 して 来 て い る(2)。 一方. ,わ. が 国 産 業 ・企 業 の 競 争 力 の 源 泉 と して,業. ンの 優 秀 さ が 検 討 さ れ て 久 し い 。 特 に1980年 生 産1生 向 上 は,そ. の 後,米. (TQC)に. 代 の わ が 国 製 造 業 の 生 産 フ゜ロ セ ス 改 善 に よ る. 国 に 逆 輸 入 さ れ,ビ. な ど へ と 展 開 し た 。 こ こ で 注 目 す べ き は,日. 務 ・生 産 等 の プ ロ セ ス イ ノ ベ ー シ ョ. ジ ネ ス ・プ ロ セ ス ・マ ネ ジ メ ン ト(BPM). 本 の トー タ ル ・ク オ リ テ ィ ー ・コ ン トロ ー ル. 代 表 さ れ る ボ ト ム ア ッ プ 型 生 産 性 改 善 運 動 が,米. 国 に導 入 され る にあ た って は. 顧 客 価 値 創 造 を 基 点 と し た 全 経 営 プ ロ セ ス 改 革 と して 経 営 の ト ッ プ ダ ウ ン に よ り展 開 し た 点 に あ る。 近 年 のIT利. 活 用 に 関 す る 議 論 は,日. 産 性 向 上 を 評 価 しつ つ も,業. 本 の製 造 業 の 個 別 業 務 プ ロ セ ス の 改 善 に よ る生. 務 プ ロ セ ス の 根 本 的 組 み 換 え に ま で 及 ぶ 全 く新 し い プ ロ セ ス. 創 造 を 視 野 に 入 れ て い る 。 政 府 ・経 済 産 業 省 で は こ う し た 一 部 門,一 なIT利. 活 用 に よ る経 営 を. こ と で は な く,ITに. 「IT経. 企 業 を超 え た全 社 的. 営 」 と定 義 し,「 こ れ ま で の 業 務 をITに. 置 き換 え る. よ って これ まで の 業 務 や生 産 工 程 の 流 れ を 抜 本 的 に変 え る こ と」 と. 定 義 して い る(3)。. (1)「 コ ラボ レー シ ョン と コ ミュニ ケ ー シ ョ ン」 松 下 温 ・岡 田謙 一 共 立 出版1995.7「 電子 ネ ッ トワー キ ン グの 社 会 心 理 」 川 上 善 郎 ・池 田謙 一・ 他 誠 信 書 房1993他 (2)「 情 報 技 術 に よ る組 織 知 能 の 向上 」 今 井 ・山 田 ・新 井 ・荒 川 日本 オ ペ レー シ ョ ンズ ・リサ ー チ 学 会 誌1997.7「 組 織 に お け る情 報 イ ンフ ラ と人 材 マ ネ ジ メ ン トの 相 互 作 用 に 関 す る 実 証 研 究 」 渡 辺 光 一 ・荒 川 一 彦 経 営 情 報 学 会 誌2000.12等 (3)「 情 報 化 白書2007」 情 報 処 理 開 発 協 会2007.12 218(218).
(3) 組 織 と情 報 技 術(荒 川) こ う し た 視 点 は 既 に1990年. 代 初 頭 米 国 のBPR,IT化. の 進 展 に お い て 見 られ た 。 イ ン. タ ー ネ ッ トの 急 速 ・爆 発 的 な 普 及 期 を 経 た21世 紀 の 現 在,所 ネ ッ ト専 業 企 業)の ITに. 謂 ド ッ トコ ム 企 業(イ. 電 子 商 取 引 等 に 代 表 さ れ る ビ ジ ネ ス モ デ ル 革 新 ま で を も想 定 す れ ば,. よ る プ ロ セ ス イ ノ ベ ー シ ョ ン は,企. 業 の バ リ ュ ー チ ェ ー ン全 体,あ. るい は ビ ジネ ス. モ デ ル 自 体 の 改 革 ・変 更 と して と らえ る こ と が で き よ う 。 こ う し た 視 点 は,ド 業 の 成 功 モ デ ル の み な らず,90年 のIT利. 活 用 お よ びIT部. に はIT部. ンタ ー. 門 の 再 編,外. ッ トコ ム 企. 代 か ら2000年 代 の わ が 国 長 期 不 況 下 に お け る,主. 要企業. 門 の 役 割 変 化 の 中 か ら も読 み 取 る こ と が で き る 。2000年 部 ベ ン ダ ー の 活 用 体 制 の 編 成 に 伴 い,ITは. 効 率 化 を 基 礎 的 機 能 と しつ つ も,そ. 前後. 既 存 業 務 の プ ロセ ス. れ を 超 え た 事 業 革 新 の 挺 子 と して の 機 能 へ と 重 点 が 移. 行 して い る 。 本 稿 は,IT普. 及 期,特. に イ ン タ ー ネ ッ ト時 代 の 「プ ロ セ ス イ ノ ベ ー シ ョ ン」 を,企. 業. の バ リ ュ ー チ ェ ー ン全 体 の 全 く新 し い 組 み 換 え ・新 結 合 に よ る 「ビ ジ ネ ス ・プ ロ セ ス ・イ ノ ベ ー シ ョ ン」 と 広 義 に 定 義 し,そ. の 基 本 的 論 点 を 考 察 す る(4)。. 2.ITと. 2.1ビ. イ ノ ベ ー シ ョン. ジ ネ ス ・プ ロ セ ス ・イ ノ ベ ー シ ョ ン. イ ノ ベ ー シ ョ ン と は,経 義 に従 え ば,イ シ ョ ン),②. 済 発 展 を 喚 起 す る 諸 資 源 の 新 結 合 で あ る 。 シ ュ ンペ ー タ ー の 定. ノ ベ ー シ ョ ンの 基 本 的 要 素 は,①. 新 し い 生 産 工 程 の 導 入(プ. (マ ー ケ ッ ト ・イ ノ ベ ー シ ョ ン),④. 新 しい 製 品 の 導 入(プ. ロ セ ス ・イ ノ ベ ー シ ョ ン),③. 新 し い 原 材 料 の 導 入,⑤. ロ ダ ク ト ・イ ノ ベ ー 新 しい市 場 の 開 拓. 新 し い 産 業 組 織 の 実 現,の5. 点 か ら な る(5)。 イ ン タ ー ネ ッ トの 爆 発 的 普 及 の も た ら し た 産 業 ・企 業 へ の 最 も大 き な 衝 撃 の ひ と つ は, 一 業 務 プ ロ セ ス の漸 進 的 改 善 もさ る こ と なが ら. ,企. 業 の バ リ ュ ー チ ェ ー ン全 体,さ. らに は. 組 織 間 関 係 に ま で 及 ぶ バ リ ュ ー チ ェ ー ンの 根 本 的 組 み 換 え に よ る ビ ジ ネ ス モ デ ル 革 新 に あ っ た 。 こ れ ま で 日本 の も の づ く り に お い て は,プ. ロ セ ス 改 善 は 強 い が,プ. ロ セ ス改 革 と全 く. 新 し い 製 品 の 創 出 と い っ た プ ロ ダ ク トイ ノ ベ ー シ ョ ン は 弱 い と さ れ て き た 。 イ ン タ ー ネ ッ. (4)本 稿 は㈱ 情 報 処 理 開発 協 会 ・委 員 会 「IT経 営 の総 合 評 価 に 関 す る調 査 研 究 報 告 書 」 へ の 寄 稿 を 加 筆 ・発 展 させ た もの で あ る。 (5)「 経 済 発展 の理 論 」J.A.シ ュム ペ ー タ ー,塩 野 谷 ・東 畑 訳 岩 波 文 庫1977.1イ ノベ ー シ ョ ンの 定 義 に関 す る議 論 と して 「イ ノベ ー シ ョンの 構 造 」 徐 方 啓 商 経 学 叢2009.3 219(219).
(4) 第56巻 ト時 代 のITに ン,プ. 第1号. よ る イ ノ ベ ー シ ョ ン が も た ら す 効 果 は,こ. ロ ダ ク トイ ノ ベ ー シ ョ ン,マ. う した プ ロセ ス イ ノ ベ ー シ ョ. ー ケ ッ トイ ノ ベ ー シ ョ ン,さ. る バ リ ュ ー チ ェ ー ン の イ ノ ベ ー シ ョ ン を 経 て,シ. ら に は 経 営 の 視 点 か らす. ュ ンペ ー タ ー の イ ノ ベ ー シ ョ ン概 念 の5. つ の 要 素 す べ て へ の 訴 求 で あ る 。 こ う し た イ ノ ベ ー シ ョ ン の 起 点 と な る も の は,顧 の 活 用,そ. 客情報. の バ リ ュ ー チ ェ ー ンへ の 組 み 込 み で あ っ た 。. 顧 客 情 報 の 活 用,あ. る い は 顧 客 起 点 の バ リ ュ ー チ ェ ー ン形 成 は,ド. ッ トコ ム 初 期 よ り注. 目 さ れ て い る ア マ ゾ ン の サ イ トに お け る 購 買 行 動 デ ー タ ベ ー ス に 基 づ く リ コ メ ン デ ー シ ョ ン機 能,デ. ル ・コ ン ピ ュ ー タ の 製 販 一 体 の 取 引 ハ ブ ・モ デ ル,ス. 機 能 の 水 平 共 有 と い っ た ア ラ イ ア ン ス ・モ デ ル に 始 ま り,近 グ,SNSの. 活 用 な ど 枚 挙 に 暇 が な い 。 ま た,既. 普 及 拡 大 は,ネ. タ ー ア ラ イ ア ンス の各 種. 年 のWeb2.0に. おけ るプロ. 存 の ビ ジネ ス にお け る オ ン ライ ン証 券 の. ッ ト ト レー ダ ー に 代 表 さ れ る 一 般 消 費 者 の 証 券 市 場 へ の 参 加 を 促 し,ま. ネ ッ ト通 販 や 宅 配 ・コ ン ビニ エ ン ス ス トア と 連 動 し た ビ ジ ネ ス モ デ ル の 展 開 は,プ の み な らず,マ. た,. ロセス. ー ケ ッ トイ ノ ベ ー シ ョ ン に よ る 新 市 場 を 創 出 す る に い た っ て い る 。. こ う し た 顧 客 ・消 費 者 ニ ー ズ を,消. 費 行 動 の トラ ッ キ ン グ,情. 報 蓄 積 に よ り分 析 し,自. 社 の 開 発 部 門 は も と よ り必 要 な 関 連 部 門 さ ら に は 取 引 会 社 間 で 共 有 して,プ ベ ー シ ョ ン に つ な げ る プ ロ セ ス モ デ ル は,一. ロ ダ ク トイ ノ. 般 消 費 者 ま で ネ ッ トワ ー ク 化 さ れ たITの. 社 会 イ ン フ ラ な し に は 実 現 で き な い 。 ネ ッ ト普 及 初 期 に 萌 芽 の 見 られ た 様 々 な 情 報 活 用 モ デ ル が,ネ. ッ ト利 用 率 が 個 人75%以. 上,企. 業99%(6)に. 達 し た21世 紀 の 現 在,大. ネ ス チ ャ ン ス と して 広 が っ て い る と い え る 。 こ う し た 環 境 下 で は,グ チ ェ ー ン ま で も視 野 に 入 れ た,企 を 活 用 す る こ と が,経. 2.2情. ロ ーバ ル な サ プ ラ イ. 業 か ら消 費 者 に ま で 広 が る オ ー プ ン ・コ ラ ボ レ ー シ ョ ン. 営 戦 略 と して 不 可 欠 の 要 素 と な っ て い る 。. 報 化 ・コ ン ピ ュ ー タ 化 の 進 展 とIT経. 営. 経 営 情 報 論 に お け る伝 統 的 議 論 の 多 くが,こ 門 の 視 点 に 傾 き,企. きな ビジ. れ ま でITそ. れ 自 体,或. 業 の 持 続 的 成 長 の た め の 手 段 と し て のITと. い はIT構. い う,経. 築部. 営或 いは経営. 戦 略 の 視 点 に 軸 足 を 置 く こ と が 少 な か っ た よ う に 思 わ れ る 。 そ こ で は 暗 黙 の う ち にITあ り き の 議 論 が 展 開 し,IT構. 築 段 階 に お け る"シ. か と い う こ と が 主 眼 と さ れ た 。MIS,SISの わ れ る 。 従 っ て,計. (6)2009年1月. ス テ ム 化 計 画"を. 如 何 に十 全 に実 現 す る. 構 築 議 論 に共 通 す る暗 黙 の 傾 向 で あ る と思. 画 実 現 の 不 十 分 さ は,組. 織 の,或. い は,組. 現 在 。 「平 成21年 通 信 動 向 利 用 調 査 」 総 務 省2009.4 220(220). 織 成 員 の 能 力 ・ス キ ル 等 の.
(5) 組織 と情報技術(荒 川) 不 適 切 性 に帰 され る こ と に な る(7)。 こ う した視 点 が,多. くの関 係 者 か ら払 拭 され た のが イ ンタ ー ネ ッ トの登 場 に伴 う,ビ ジ. ネ ス モ デル 革 新 の議 論 及 び実 践 の展 開 で あ っ た。 企 業 の 情 報 化 投 資 は 日米 と もに80年 代 後 半 か ら着 実 な拡 大 を示 して き た。 しか し,80年 代 の 後 半 に は,多 額 の情 報 化 投 資 に もか か わ らず,そ. の生 産 性 効 果 が 明 確 に測 定 で き な い. と い う問題,所 謂 「情 報 化 の パ ラ ドク ス」 が 指摘 され,情 報 化(コ 自体 に懐 疑 的 な議 論 が 展 開 され た。 こ う した 議論 は,コ. ン ピュ ー タ処 理 の導 入). ン ピュー タ関連 投 資(情 報 化 投 資). に よ る 労 働 装 備 率 の 上 昇 に よ り全 要 素 生 産 性(TRF)の. マ ク ロで の上 昇 が 見 られ る に も. か か わ らず,情 報 化 投 資 と労働 生 産 性 の直 接 の 関連 性 が明 確 で はな い,と い う もの で あ る。 その 後,ブ され,ま. リニ ョル フ ソ ンを 中心 と した研 究 に よ り情 報 化 投 資 と生 産 性 向上 の相 関 が 検 証. た,90年 代 に入 り,コ ン ピュ ー タ の ネ ッ トワ ー ク接 続 率 の上 昇 に伴 って,そ れ ま. で の 生 産 性 要 素 を超 え る生 産 性 の 向上 要 因,非 設 備 要 因 へ の関 心 が 移 行 す る こ とで,パ ドクス議 論 自体 は収 束 に向 か った。一・ 方,こ. ラ. う した 非設 備 要 因 に基 づ く生 産性 向上 は,ネ ッ. トワ ー ク化 され た コ ン ピュ ー タ シ ス テ ム と そ の活 用 に よ る,多 様 な要 素 の ア ドホ ック な結 合 効 果,つ. ま り 「ネ ッ トワ ー ク効 果 」 ま た は 「範 囲 の経 済 」 へ の変 化 と して 検 討 され て い. る。95年 以 降 の イ ンタ ー ネ ッ トの爆 発 的 普 及 は,旧 来 の計 算 機 と して の コ ン ピュ ー タ を コ ミュニ ケ ー シ ョン手 段 へ と転 換 し,組 織 ・人 間行 動 の 様式 を決 定 的 に変 革 した。 ネ ッ トワ ー ク化 さ れ た コ ン ピ ュー タ を 中 心 とす る情 報 技 術(IT)の. 利 活 用 は,企. 業 の 組 織 構 成 ・事. 業 構 造 自体 を決 定 しか ね な い要 因 と して,経 営 戦 略 ・組 織 戦 略 の視 点 か らの活 用 が ます ま す 求 め られ て い る。. 2.3イ. ンタ ー ネ ッ ト普 及 と産業 ・組織 の モ ジ ュー ル 化. イ ンタ ー ネ ッ トの普 及 は,企 業 の情 報 シ ス テ ム を,そ れ まで の ホ ス トコ ン ピュ ー タ を頂 点 と した階 層 型 の大 型 シ ス テ ムか ら自律 分 散 型 ネ ッ トワ ー ク ・シ ス テ ムへ と転 換 し,そ れ と 同期 して 組 織 構 造 の フ ラ ッ ト化,現 場 へ の権 限 委 譲,変 化 に柔 軟 な組 織 構 造 と して の 自 律 分 散 的 チ ー ムへ の期 待,等. の組 織 構 造 上 の変 化 を もた ら した。 同時 に,大 量 の情 報 の流. 通 と検 索 処 理 の必 要 か ら,旧 来 の権 威 体 系 に変 化 を もた らす と と もに,情 報 の発 信 ・受 容 主 体 間 の 関 係 調 整 ・流 通 経 路 の調 整 と い っ た コ ー デ ィ ネ ー ト機 能 の重 要 性 を増 して い る。. (7)遠 山 暁 「経営革新 のためのIT経 報処理開発協会2008.3). 営力」(「IT経 営の総合評価 に関す る調査研 究報 告書」情. 221(221).
(6) 第56巻 情 報 の 流 通 の あ り方 は,本. 来,コ. 第1号. ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン回 路 で あ る と こ ろ の 組 織 と そ の 中 に い. る 個 々 人 の あ り方 に 大 き な 変 化 を 迫 っ て い る 。 特 に ホ ワ イ トカ ラ ー の ユ ー ザ ー 部 門 に お け る 自 律 分 散 のIT活. 用 は,旧. セ ス の 理 解 に 基 づ く,情. 来 の 勘 定 系 あ る い は 生 産 系 シ ス テ ム と は 異 な り,業. 務 プロ. 報 系 の よ り戦 略 的 な 活 用 を 視 野 に 入 れ た シ ス テ ム 設 計 ・構 築 を 必. 要 と して い る 。 IT化. は,イ. ン フ ラ と し て の 情 報 技 術(IT)/通. な 機 能 適 用 を 超 え て,我. 々 の 経 済 ・社 会,組. ゆ る 分 野 で 深 く ・根 本 的 な 変 化 を,急. 織. が,そ. 材 ・ス キ ル 等,あ. ら. 用 に 対 して,ネ. ッ トワー クの 普 及 を 背 景. の性 格 故 に組 織 や 産 業 構 造 の 急 激 な変 動 と再 編 成 を 迫 っ て い る点 が. 極 め て 重 要 で あ る 。ITの 産 業 機 能 の,①. ワ ー ク ス タ イ ル,人. 速 に も た ら し た 。 こ う し た 根 本 的 変 化 に お い て は,. 前 世 紀 の 個 別 プ ロ セ ス 改 善 を 中 心 と し たIT活 と し たIT化. 信 機 器 の 普 及 ・発 達 や 個 別 業 務 処 理 的. も た らす 変 化 は,3つ. ア ンバ ン ドル 化(解. 体),②. の 段 階 を も っ て 進 行 す る 。 つ ま り,組. モ ジ ュ ー ル 化(部. 品 と して の 標 準 化 と 汎 用 化),. そ して,ア. ンバ ン ドル 化 さ れ た 部 分 組 織 ・機 能 の コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン(淘. を通 じた. ③ リバ ン ドル 化(再. 機 能 の"モ. ジ ュ ー ル 化 プ ロ セ ス"が,ま. 編 成),と. 織 ・. 汰 ・選 択 ・整 理). い っ た プ ロ セ ス で あ る 。 こ う し た 産 業 ・企 業 の ず コ ン ピュー タ産 業 にお い て進 展 した こ とは クラ ー. ク 他 が 指 摘 し た と こ ろ で あ る{8)。そ の 後,わ. が 国 で は 産 業 ・組 織 の モ ジ ュ ー ル 化 論 と して. 経 済 産 業 研 究 所 を 中 心 に 論 じ られ た と こ ろ で も あ る(9)。 コ ン ピ ュ ー タ 市 場 に お け る オ ー プ ン ・ア ー キ テ ク チ ャ,製 品 の モ ジ ュ ー ル 化 は,特. に イ ン タ ー ネ ッ トの 普 及,IT化. の 進 展 を へ た21世 紀 に い た っ て,. あ ら ゆ る 産 業 に お い て 企 業 の バ リ ュ ー チ ェ ー ン の 解 体,ア 間 連 携 と して,企. 造 機 能 の ア ンバ ン ドル 化,部. ウ トソ ー シ ン グ(外. 注),企. 業. 業 や 企 業 系 列 に 組 織 ・構 造 変 動 を も た ら し た 。 製 造 業 に お け る 所 謂 フ ァ. ブ レ ス メ ー カ ー で,生. 産 を 外 注 し,自. 社 は ブ ラ ン ドや 生 産 コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン を 担 う ビ ジ. ネ ス ・プ ロ セ ス ・デ ザ イ ンへ と 特 化 す る 事 例 や,当 理 に の み 特 化 し,製. 初 よ り ビ ジ ネ ス ・プ ロ セ ス の 形 成 ・管. 造 ・販 売 ・広 報 他 の 機 能 を 完 全 外 注 し た モ バ イ ル 機 器 メ ー カ ー の 例 な. ど も あ る。. 2.4バ. リ ュー チ ェー ンの 解 体 と情報 仲 介 者 の 役 割. ネ ッ ト ワ ー ク 化 さ れ マ ル チ メ デ ィ ア 化 し たITの. 普 及 は,各. (8)「DesignRule:ThePowerofModularity」K.B.ClarkMITPress(「 モ ジ ュー ル 化 パ ワー 」 安 藤 晴 彦 訳 東 洋 経 済 新 報 社2004) (9)「 情 報 技 術 と組 織 の アー キ テ クチ ャ」 池 田信 夫NTT出 222(222). 種 情 報 機 器 を 使 って の. デ ザ イ ン ・ル ー ルー 版2005他.
(7) 組織 と情報技術(荒 川) 「顧 客 関 係 管 理(マ. ル チ チ ャネ ルCRM)」,卸. 売 業 者 の 中抜 き ・再 編 あ る い は 消 費 者 へ の. 直 販 と い った 「取 引 プ ロ セ ス の再 編 」,イ ン タ ー ネ ッ トを 活 用 した 集 中 ・共 同購 買 ・販 売 と い った 「取 引 プ ロセ スの 集約 」,複 数 企 業 の共 同購 入 ・販 売 とい った 「取 引企 業 の集 約 ・ 選 抜 」,と い った企 業 の 内 外 に お い て バ リュー チ ェ ー ンの モ ジ ュー ル 化,オ ワ ー ク化,ビ. ー プ ンネ ッ ト. ジ ネ ス ・プ ロ セ ス の再 編 を大 規 模 に引 き起 こ した。 こ う した各 段 階 に お け る. 各 種 機 能 の モ ジ ュ ール 化 を活 用 し,そ の再 編 ・統 合 に成 功 した企 業 群 の新 規 ビジ ネ ス モ デ ル が,ITに. よ る ビ ジネ ス ・プ ロセ ス ・イ ノ ベ ー シ ョ ン と して注 目さ れ て き た。. 同時 に,90年 代 お よ び2000年 の ドッ トコ ムバ ブル崩 壊,初 期 オ ン ライ ン専 業 企 業,所 謂, "ド. ッ トコ ム企 業"の. ブ ー ム終 了 後 に 明 らか にな っ た こ とは,市 場 に完 全 情 報 を もた らす. との 幻 想 と は裏 腹 に,大 量 の無 意 味 又 は悪 意 の誤 謬 情 報 の氾 濫 は,信 頼 しう る情 報 ・取 引 主 体 の 発 見 ・確 認 を支 援 し,不 確 定 な取 引 条 件 の 中で そ の リス クヘ ッジ を代 行 す る新 しい 仲 介 業 者 の 必 要 を もた ら した,と. い う こ とで あ る。 つ ま りIT化. の進 展 に よ る大 量 の 情. 報 流 通 が,か え って,金 融 業 に お け る信 用 確 保 や 決 済 機 能 の代 行 と い っ た新 しい産 業 機 能 を もた ら した 。 これ は,組 織 内 に お いて も情 報 の 適 切 な整 理 ・活用 を行 うた め のナ レ ッ ジ ・ ポ ー タル サ イ トの活 用 が 探 求 され て い る所 以 で もあ る。 ま た,大 量 情 報 の流 通 可 能 性 は, 各 種 の 情 報 セ キ ュ リテ ィ強 化 へ の要 請 を増 して い る。 イ ンタ ー ネ ッ トは,取 引 先 発 見 の た あ の機 会 費 用 を劇 的 に低 減 させ たが,そ. の一 方 で 実. 際 の 取 引 に到 るた め の取 引費 用 は む しろ増 化 させ た と も言 え よ う。 近 年 に お け るGoogle, Amazonと. い った 情 報 専 業 企 業 に お け る各 分 野 で の寡 占化 傾 向 は,こ. う した ネ ッ ト情 報. 空 間 に お け る大 量 の情 報 流 通 の 中で,信 頼 性 と有 効 性 と い う付 加 価 値 あ る情 報 を瞬 時 に発 見 す る こ と の重 要 性 を物 語 って い る。 同時 に,金 融 決 済 情 報 と一 般 知 識 の検 索 ・提 供 に お け る情 報 の精 度 が 異 な る よ う に,ネ. ッ ト上 の情 報 仲 介 ビジ ネ スが 普 及 す る につ れ,そ. の提. 供 情 報 の 信 頼 性,有 効 性 の程 度 も階 層 分 化 して きて い る こ と は現 実 社 会 と 同様 で あ る。. 3.組. 3.1組. 織 と情 報 へ の 考 察. 織 と情報 の 基 本 構 造. 組 織 は人 間主 体 の 相 互 行 為 の連 結 で あ る。 バ ー ナ ー ドは,組 織 の成 立 要 因 と して,「 コ ミュニ ケ ー シ ョン」 「貢 献 意 欲」 「共 通 目的」 の3つ を あ げ て い るが,そ の 中 で,特 に コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを重 視 し 「組 織 の構 造,広 が り,範 囲 は,ほ とん どが 伝 達 技 術 に よ って 決 定 され る」 と指 摘 して い る。 ま た,「 組 織 の 環 境 変 化 へ の適 応 に 際 して は,組 織 に 内 在 的 な 223(223).
(8) 第56巻 諸 過 程 の 再 調 整 が 必 要 で あ る」 と し て,組. 第1号. 織 に お け る 調 整 機 能 の 重 要 性 を 指 摘 して い る(lo)。. 伝 統 的 な 身 分 的 関 係 か ら解 き 放 た れ た 近 代 の 官 僚 制 組 織 は,そ 体 間 の 全 人 格 的 関 係 か ら離 れ,職. れ 以 前 の集 団 に お け る主. 位 の 属 性 と して の 権 限 の 体 系 と して 非 人 格 化 ・形 式 化 さ. れ た 。 そ こ で の 命 令 一 服 従 の 関 係 は,個. 々 の 成 員 の 属 性 で は な く,組. た め に 職 位 に 与 え られ た 権 限 に 基 づ く。 組 織 は,権. 織 の共 通 目的 遂 行 の. 限 に 基 づ く命 令 一 服 従 の 体 系 と して,. も っ と も 低 位 に お け る 具 体 的 行 動 ・職 務 所 掌 か ら,も. っ と も上 位 に お け る 抽 象 的 ・全 体 論. 的 な 指 揮 行 動 ・職 務 に い た る ま で ピ ラ ミ ッ ド型 階 層 秩 序 と して 形 成 さ れ た 。 こ う し た,ピ ラ ミ ッ ド型 組 織 は,同. 時 に,環. 境 適 応 の た あ の 組 織 の 情 報 処 理 活 動 と して,最. 下層 におけ. る も っ と も具 体 的 情 報 を 階 層 ご と に 抽 象 化 ・濾 過 し,最. 上 位 に お け る 最 も抽 象 的 な 情 報 へ. と 昇 華 し,ま. り下 層 に い た る ご と に 具 体 的 行 動. た 逆 に,最. 上 位 に お け る 抽 象 的 命 令 を,よ. へ と 実 現 す る具 体 化 プ ロ セ ス と し て,情 経 済 学 者 のK.J.ア. ロ ー は,組. 報 の 昇 華 一 具 体 化 の 機 能 体 系 と見 る こ と が で き る。. 織 の 生 成 理 由 を,市. 場 に お け る 情 報 の 不 完 全 性 か ら,. 不 確 実 性 の 低 減 の た め に 組 織 が 生 成 さ れ る と論 じ た がll),同 様 の 考 え 方 を 経 済 学 ・経 営 学 で は ウ イ リ ア ム ソ ン他 ⑰ が の 発 生 に は,ま. ず,取. 「取 引 コ ス ト理 論 」 と して 展 開 し て い る 。 市 場 に お け る 取 引. 引 相 手 の 発 見 と い う 機 会 コ ス トの 発 生 が 予 想 さ れ る 。 しか し,潜. 的 な 取 引 相 手 を 発 見 し た 後 も,実 集 し,契. 約 交 渉 を し,契. か か る 。 市 場 経 済 は,価 量 流 通 に よ っ て,機 さ せ な い か,む た め に,契. 際 に 取 引 を 行 う に あ た っ て は,取. 約 を 締 結 し,そ. 引 相 手 の信 用 情 報 を収. の 履 行 を 監 視 ・強 制 す る と い っ た 多 大 の コ ス トが. 格 メ カ ニ ズ ム に よ っ て,さ. ら に 言 え ば イ ン タ ー ネ ッ トは 情 報 の 大. 会 コ ス トを 劇 的 に 低 減 さ せ た が,そ. し ろ,増. の 一 方 で,取. 加 さ せ て い る と も い え る 。 そ こ で,こ. 引 コ ス ト自 体 は 低 減. う し た 取 引 コ ス トの 低 減 の. 約 関 係 の 体 系 と して の 組 織 が 生 成 さ れ る と 考 え られ る 。 一 方,ハ. イ モ ン に よ っ て 概 念 化 さ れ た 人 間 の もつ も あ る(13)。 つ ま り,人. ー バ ー ド ・サ. 「限 定 的 合 理 性 」 に 組 織 の 生 成 理 由 を 求 め る 視 点. 間 の 情 報 処 理 能 力 に は 限 界 が あ るた め複 雑 な環 境 変 化 に複 数 主 体 の. 協 働 で 対 応 し よ う と す る 。 ま た,個 主 義 の 習 性 が あ り,そ. 在. 々 の人 間 に は取 引 に 当 た って 有 利 に運 ぼ う とす る機 会. れ が 取 引 コ ス トの 増 加 を も た らす 。 そ こ で,こ. う した人 間 的 要 素 の. 抑 制 の た あ に 組 織 に よ る 情 報 の 集 中 と 権 限 に よ る 調 整 が 行 わ れ る 。 強 制 的 権 限 が 最 も効 率. qo)「 経 営 者 の 役 割 」C.1.バ ー ナ ー ド,山 本 安 次 郎(訳)ダ イ ヤ モ ン ド社1968 ⑳ 「組 織 の 限 界 」K.J.ア ロー,村 上 泰 亮 訳 岩 波 書 店 q2)0.E.Williamson「MarketsandHierarchies,AnalysisandAntitrustImplications:A StudyintheEconomicsofInternalOrganization」FreePress,1975(「 市 場 と企 業 組 織 」 浅 沼 萬 里 ・岩 崎 晃 訳 日本 評 論 社,1980年) q3)HerbertA.Simon,"AdministrativeBehavior"FreePress.(「 経 営 行 動:経 営 組 織 に お け る意 思 決 定 プ ロセ スの 研 究 」H.A.サ イ モ ン,松 田 ・高 柳 ・二村 訳 ダ イ ヤ モ ン ド社) 224(224).
(9) 組織 と情報技術(荒 川) 的 に機 能 す る の は,上 位 層 が 重 要 な情 報 を保 有 す る場 合 で あ り,そ の最 た る もの と して の 軍 隊 組 織 が あ げ られ よ う。 軍 隊 組 織 に代 表 され る ピラ ミ ッ ド型 階 層 組 織 は,共 通 目的 の達 成 に は最 も効 率 的=取 引 コ ス トの少 な い組 織 形 態 で あ る と いえ る。 産 業 組 織 に お いて は, 特 に 同一 規 格 品 の大 量 生 産 を長 期 に行 う場 合 に は効 率 性 の高 い組 織 形 態 と いえ,現 代 で も 大 規 模 製 造 業 に お いて 見 られ る組 織 形 態 で あ る。. 3.221世. 紀 の 組織,情 報,情 報 技 術(IT). しか し,組 織 を と りま く環 境 が 急 激 に変 化 す る よ う な状 況 下 で は,情 報 の柔 軟 で 迅 速 な 収 集 と瞬 時 の判 断,行 動 が 必 要 と な る。 ま た,組 織 が 肥 大 化 す る に伴 って,情 報 を保 有 す る こ とで 自 己 の組 織 内で の権 限 拡 大 を はか り,組 織 内 の情 報 流 通 が 阻 害 す る と い っ た,い わ ゆ る官 僚 制 の弊 害 が 指 摘 され る よ う に な っ た。 企 業 は,20世 紀 を通 じて,多 角 化 に対 応 す るた あ の分 権 的 な事 業 部 制 や,大 量 ・複 雑 な情 報 を処 理 す るた め の マ トリク ス組 織 な ど, 様 々 な組 織 形 態 を 発 達 させ たが,特. に情 報 技 術(IT),イ. ン ター ネ ッ トの発 達 は,そ の 情. 報 流 通 に劇 的 変 化 を もた ら し,組 織 と ワ ー ク ス タ イル に大 き な変 化 を もた ら した。 80年 代 の米 国 に お け る長 期 の不 況 は,特 に製 造 業 を 中心 に肥 大 化 した 中間 管 理 層 の大 量 解 雇 を も た ら し,同 時 に,90年 代 前 半 に お け る コ ン ピュ ー タ シ ス テ ム のオ ー プ ン化 ・ネ ッ トワ ー ク化,特. に イ ンタ ー ネ ッ トに代 表 され る コ ン ピュ ー タ ・ネ ッ トワ ー ク の普 及 は,情. 報 流 通 コ ス トの低 減,大 量 の流 通 可 能 性,迅 速 性,非. 同期 性,多 報 性,双 方 向性,蓄 積 可. 能 性,マ ル チ メ デ ィ ア性 と い っ た特 徴 に よ り,人 々 の ワ ー ク ス タ イル の変 更 す ら可 能 に し た。21世 紀 の現 在,わ が 国 に お いて は,携 帯 電 話 の普 及 を含 む メ デ ィ ア環 境 の劇 的 変 化 に よ り,特 定 の場 所 と時 間 に縛 られ な い働 き方 を可 能 に して い る。 イ ンタ ー ネ ッ ト及 び それ を活 用 した電 子 商 取 引 の初 期 に は,そ の特 徴 で あ る 「ア ドホ ク ラ シ ー=不 特 定 多 数 の主 体 間 の ア ドホ ック な(=適. 時 ・随 時 の)連 携 」 が 注 目 され,そ れ. が 旧来 の組 織 の壁 や 権 威 体 系 を崩 し,新 た な ビ ジネ ス チ ャ ンスを 生 む との期 待 が 高 ま った。 しか し,す で に仲 介 業 者 の議 論 で 述 べ た よ う に,イ. ンタ ー ネ ッ トは機 会 費 用 を低 減 させ る. もの の,取 引 コ ス トを増 大 させ る と い う現 実 に も目 を 向 け る必 要 が あ ろ う。. 4.経. 4.11T構. 営 戦 略 とIT利. 活用. 築 の動 向. イ ン ター ネ ッ ト以 前 の 大 型 汎用 シス テ ム は,専 門 の シス テ ム部 門 に導 入 ・運 用 が 任 され, 225(225).
(10) 第56巻. 第1号. 経 営 ト ッ プ が そ の 内 容 を 把 握 で き な い と い う 状 況 が90年 代 の 後 半 に す ら見 られ た 。 も ち ろ ん,こ. う し た 傾 向 や 事 例 は21世 紀 の 現 在 に あ っ て も,企. 質 に 応 じて 散 見 さ れ る 。 しか し,コ 透 し,コ. 業 の情 報 化 適 応 度 や 対 象 業 務 の性. ン ピ ュ ー タ ・ネ ッ トワ ー ク が 社 会 の イ ン フ ラ と して 浸. ン ピ ュ ー タ な し の 事 業 活 動 が 多 く の 場 合 想 定 で き な い 以 上,21世. て 経 営 戦 略 と 連 動 し たITの. 効 果 的 活 用 は 必 須 で あ り,経. こ う し た 状 況 を 反 映 して,ITに つ い て は 経 営 層,事. 門 統 括 者:以. た,事. 営 ・事 業 に か か わ る 案 件 に. 業 責 任 者 が 関 与 ・決 定 す る 傾 向 が 徐 々 に 高 ま りつ つ あ る 。 図1に. 下,CIOと. 略 記)の. 設 置 に 伴 い,IT関. が 主 体 と な っ て 行 っ て い る。 同 時 に,IT活 が,ま. 営 戦 略 そ の もの で す ら あ る ω。. 関 す る 意 思 決 定 主 体 も,経. れ る よ う に チ ー フ ・イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン ・オ フ ィ サ ー(役 IT部. 用,IT投. 見 ら. 員 ク ラ ス あ る い は それ に準 ず る 連 の 意 思 決 定 は 主 と してCIO. 資 に 関 し て は 経 営 責 任 者(CEO). 業 や 業 務 に か か わ る ア プ リ ケ ー シ ョ ン に 関 して は 現 場 の 各 事 業 担 当 者 が 決 定. す る 傾 向 が 高 ま っ て い る 。ITガ 利 害 関 係 者 で あ る,経. 営 層,ITユ. バ ナ ン ス,ITの. 効 果 的 導 入 ・構 築 ・運 用 に あ た っ て は,. ー ザ ー 部 門,IT担. 当 部 門 の3部. 門,特. の 間 で の 協 調 と意 思 の 疎 通 が 重 要 で あ る 。 経 営 ト ッ プ に よ るIT導 推 進 の 原 動 力 と な る こ と は も ち ろ ん,IT導 とIT担. 紀 の経 営 に と っ. 当 部 門 の 間 で の 協 働,頻. 入 へ の 理 解 と決 済 が. 入 プ ロ ジ ェ ク ト当 初 か ら のITユ. ーザー部門. 繁 な す り合 わ せ が 重 要 で あ る 。 特 にIT部. 門再 編 で ス. リ ム 化 し た 本 社 情 報 シ ス テ ム 企 画 部 門 の 担 当 者 の 主 要 な タ ス ク は,ユ ダ ー の 間 に 立 っ て,両. にその責任者. 者 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 仲 介 ・架 橋 し,円. 構 築 を 促 進 す る こ と に あ る 。 こ う し た 活 動 の 成 否 は,社. ーザ ー と社 内外 ベ ン. 滑 ・効 果 的 な シ ス テ ム. 内 事 情 を 良 く知 り,コ. ミュニ ケ ー. シ ョ ン能 力 に 優 れ た 担 当 者 の 努 力 に よ る と こ ろ が 大 き い こ と も多 く の 事 例 が 指 摘 す る と こ ろで あ る。. ω. ほ とん ど の わ が 国企 業 の 経 営 企 画 部 門 は,経 営戦 略 とIT戦 略 は一・ 体 的 に 策 定 され る べ きだ と考 え て い るが,現 状 で 関連 づ け る必 要 が な い と考 え る企 業 も23%あ る。 「経 営 戦 略 に お け るIT の 位 置 づ け に関 す る実 態 調 査 」 野 村 総 合 研 究 所2009.1 226(226).
(11) 組 織 と情 報 技 術(荒 川). 経営者、身. 自. 印. 各事業のIT担当 7.2%7.4%10.7%22.5% 不明確 5.7%1.8%4.9%5.3% 出所)「 ユ ーザ ー企 業 のIT活. 用 実 態 調 査 」 野 村 総 合 研 究 所2008. 図11Tに. 同 時 に,IT導. 関 す る意 思 決定 者 は誰 か. 入 効 果 の 実 現 の た め に,経. 営 戦 略 を 実 現 す る組 織 全 体 或 い は ビ ジネ ス ・. プ ロ セ ス ・イ ノ ベ ー シ ョ ン の 視 点 が 重 要 で あ る 。 ブ リニ ョル フ ソ ン は 生 産 性 に 関 す る 議 論 に お い て(効. 果 的)「 情 報 化 投 資 の9割. セ ッ トに 対 して 行 わ れ て お り,コ. に過 ぎ な. 利 活 用 を 通 じ て 高 い 生 産 性 を 実 現 す る 「デ ジ タ ル. 定 常 業 務 の 自 動 化,②. 水 平 ・垂 直 方 向 へ の オ ー プ ン な 情 報 流 通,⑤ 活 動 の 重 視,が. 務 プ ロ セ ス と 関 連 す る イ ン タ ン ジ ブ ル ・ア. ン ピ ュ ー タ ・ハ ー ドウ エ ア に 対 す る 投 資 は1割. い 」 と も 指 摘 し て い る(15)。 ま た,ITの 組 織 」 の 要 件 と して,①. は,業. 高 ス キ ル 労 働 力,③. 意 思 決 定 の 分 散 化,④. 業 績 に 基 づ く イ ン セ ン テ ィ ブ,⑥. あ げ られ て い る 。 こ う し た 要 素 は,我. 教 育 ・採 用. 々 の テ レワ ー ク の効 果 的 マ ネ ジ メ ン. ト手 法 に 関 す る 研 究 に お い て 指 摘 し た,フ. ラ ッ ト型 分 散 組 織 に お け る マ ネ ジ メ ン ト手 法 と. して の. 自 己 管 理,に. 4.2わ. ① 権 限 委 譲,②. が 国 企 業 のIT投. 成 果 主 義 評 価,③. も対 応 す る も の で あ る(16)。. 資傾向. 産 業 構 造 審 議 会 ・情 報 経 済 分 科 会 の 報 告(17)に よ れ ば,日 効 果 ・目的 は,日. 米 企 業 と も業 務 プ ロ セ ス 改 善,生. 米 企 業 のIT投. 資 に期 待 す る. 産性 向上 とい った業務 プ ロセ スイ ノベ ー. シ ョ ン に 注 力 して い る こ と は 共 通 で あ る 。 しか し,米. 国 企 業 が,日. 満 足 向 上 や 新 規 顧 客 獲 得 と い っ た マ ー ケ ッ トイ ノ ベ ー シ ョ ン,さ. 本 企 業 に 比 べ て,顧. ら に は,競. 争 優 位 の 獲 得,. q5)「 イ ン タ ン ジ ブル ・アセ ッ ト」E.ブ リニ ョル フ ソ ン,CSK監 訳,ダ イ ヤ モ ン ド社2004 q6)「 ゴー ル ドカ ラー と未 来 組 織 原 理 」 印 南 一 路 ・荒 川 一 彦CCCI研 究報 告書1997 (17)「ITに よ る生 産 性 向 上 の 加 速 化 に向 けて 」 産 業 構 造 審 議 会 ・情 報 経 済 分 科 会2007.6 227(227). 客.
(12) 第56巻 売 り上 げ 増 加,新. 第1号. 規 ビ ジ ネ ス ・製 品 の 開 発 と い っ た ビ ジ ネ ス ・イ ノ ベ ー シ ョ ン,プ. トイ ノ ベ ー シ ョ ン に 期 待 して い る 点 が 特 徴 的 で あ る 。 つ ま り,米 業 活 動 全 体 の 視 点 か らIT投. 資 を 行 っ て い る 。 こ れ に 対 し て,日. 国 企 業 は,経. ロダク. 営 全 体 ・事. 本企 業 はプロセス改善. と い っ た 旧来 の部 門 最 適 あ る い は特 定 プ ロ セ ス に収 束 した業 務 改 革 が 中心 と な って い る。 ガ ー トナ ー 社 の 同 様 の 調 査 で も,日. 本 は グ ロー バ ル な 傾 向 に比 べ 情 報 ア プ リケ ー シ ョ ン. (企 業 効 率 の 向 上 を 目 指 して 自 社 を 管 理 ・統 制 す る た め の 情 報 を 提 供 す る ア プ リケ ー シ ョ ン)へ. の 投 資 比 率 が 低 く,基. 幹 系 ア プ リ ケ ー シ ョ ン(ビ. ジ ネ ス ・オ ペ レ ー シ ョ ン の 合 理 化. を 目 的 と して 反 復 的 な 業 務 処 理 を 自 動 化 す る こ と で コ ス ト削 減 に 貢 献 す る ア プ リ ケ ー シ ョ ン)が. 高 い(18)。 ま た,日. 対 し,米. 本 企 業 のIT投. 資 が コ ス ト削 減 等 の 効 率 化 を 主 眼 に して い る の に. 国 企 業 は 新 商 品 ・サ ー ビ ス ・事 業 開 拓,競. 争 力 強 化 を 目 指 して い る と の 指 摘 も あ. る(191。 野 村 総 合 研 究 所 が2003年 変 化 を 見 る と,2003年. よ り行 っ て い る 「ユ ー ザ ー 企 業 のIT活. か ら2004年. に か け て はIT部. 門 へ の 期 待 が,個. り経 営 戦 略 に 近 い も の へ と 移 行 し た こ と が わ か る 。 一 方,2005年 IT投. 資 傾 向 は,再. 別業務改革 か らよ. か ら2007年. にかけて の. び業 務 プ ロセ ス改 善 へ と 回帰 して い る。 業 務 プ ロセ ス標 準 化 支 援 や 業. 務 効 率 化 支 援 はITに 2004年. 用実 態調査」 の経年. お け る 基 礎 的 課 題 で あ り,一. に 重 視 さ れ て い た,情. 報 活 用 支 援,新. を 見 せ て い る よ う に み え る 。ITユ. 貫 し て 重 視 さ れ て い る 。2003年. か ら. 事 業 ・サ ー ビ ス 創 出 と い っ た 課 題 は 落 ち 着 き. ー ザ ー 部 門 の 業 務 改 革 へ の 直 接 貢 献,ビ. ジ ネ ス ・イ ン. テ リ ジ ェ ン ス ・ シ ス テ ム 導 入 な ど に み られ る 経 営 管 理 機 能 の 強 化 と い っ た 戦 略 課 題 は, 2004年. ま で の 時 期 に 期 待 さ れ,実. 際 に 整 備 さ れ,ま. い こ と も あ っ て 一 服 した も の の,2008年. た,同. 分 野 の効 果 が 明 確 に評 価 しに く. の 金 融 危 機 を 経 て,IT投. 資 が 全 般 に 低 下 す る 中,. 経 営 管 理 機 能 へ の 投 資 が 拡 大 して い る 。. 4.31T部. 門 の役 割 変 化. 2000年 前 後 よ り,わ. が 国 企 業 に お い て も,情. 報 シ ス テ ム 部 門 の 役 割 変 化 が 見 られ る 。 単. に 情 報 シ ス テ ム の 作 り手 と して の 一 技 術 ・社 内 支 援 部 門 か ら,「 プ ロ セ スIT改 「業 務 改 革 シ ス テ ム 部 」 と い っ た 名 称 に 象 徴 さ れ る,業. 務 プ ロ セ ス 改 革 の 企 画 部 門 と し て,. よ り経 営 戦 略 に 近 い 視 点 で の 役 割 が 期 待 さ れ る よ う に な っ た 。2000年. 前 後 以 降,多. q8)「IT予 算 の 投 資 先 を グ ロー バ ル と 日本 で 比 較 した 調 査 」 ガ ー トナ ー 社2009.3 q9)「 日米 韓 企 業 のIT経 営 に 関 す る比 較 分 析 」 元 橋 一・ 之RIETIDiscussionPaperO7-J-029 228(228). 革 部 門 」,. くの大.
(13) 組 織 と情 報 技 術(荒 川) 企 業 に お い て 情 報 シ ス テ ム 部 門 の 再 構 築 が 進 展 し,少. 数 の 人 員 を 本 社 に 残 し,シ. 築 ・運 用 人 員 を 情 報 子 会 社 化 す る 傾 向 が 見 ら れ た 。 大 企 業 に お け るIT部 "受 注 ・製 造 部 門"か. ら"企. 画 ・調 整 部 門"へ. 本 社 人 員 の 機 能 は よ り企 画 立 案,事 AV老. 舗 企 業A社. を 子 会 社 化 さ せ,グ. の 例 で は,本. と 変 化 し ,製. ス テ ム構. 門 の 役 割 は,. 造 人 員 はIT子. 会 社 化 し,. 業 管 理 へ と移 行 した。 社IT企. ロ ー バ ル なIT企. 画 部 に は 数 名 を 残 し,数. 十 名の システム要員. 画 ・運 用 を 本 社 数 名 で 行 う 体 制 を 構 築 し て い る 。. さ ら に 情 報 子 会 社 の サ ー ビ ス を 社 内 ユ ー ザ ー 部 門 に 評 価 さ せ,外. 部 ベ ンダ ー と競 わせ る こ. と で 情 報 子 会 社 の サ ー ビ ス レベ ル を 維 持 ・向 上 さ せ る と い っ た 管 理 ・統 制 も お こ な わ れ て き た 。 そ の 際,本. 社 に 残 さ れ た 少 数 人 員 の 機 能=ITガ. 制,②. 財 務 ・予 算 統 制,③. 人 員 計 画 管 理,④. ITプ. ロ ジ ェ ク トの 効 果 的 実 施 に あ た っ て,本. ザ ー 部 門 現 場 へ 入 り 込 み,業. 務 とITの. ユ ー ザ ー 部 門 業 務 とIT部 社CIOは,プ. 門 の 架 橋 で あ る。. ロ ジ ェ ク ト当 初 か ら の ユ ー. す り あ わ せ る こ と が 重 要 で あ る 。 同 時 に,予. 管 理 に 基 づ く結 果 評 価 を 実 施 す る こ と が,機 本 社 情 報 シ ス テ ム 部 門 は,外. バ ナ ン ス の 主 要 分 野 は,①IT統. 算. 能 レベ ル 維 持 に と っ て 重 要 で あ る 。. 部 ベ ン ダ ー の 選 定 ・管 理 も含 む,戦. 略 ・経 営 企 画 立 案 お よ. び実 行 管 理 機 能 が 重 視 さ れ る よ う に な っ た 。 情 報 シ ス テ ム を 統 括 す る情 報 統 括 責 任 者 (CIO)へ. の期 待 が 高 ま っ た の もこ の時 期 か らで あ る。. 4.4CIO/情 2000年 以 降,旧. 報 シ ス テム 部 門 長 へ の 期 待 来 の 情 報 シ ス テ ム 部 門 長 は,例. え ば製 造 業 に お け る製 造 部 門 の生 産 設 備. の 一 部 と して の 制 御 シ ス テ ム 製 作 の 社 内 下 請 け 的 な 役 割 か ら,経 現 場 業 務 改 革 へ とITの. 営 ボ ー ドの 経 営 戦 略 を,. 全 体 最 適 を通 じて 実 現 す るつ な ぎ あ る い は戦 略 実 行 者 と して の. 役 割 が 期 待 さ れ る よ う に な っ た 。 特 に ホ ワ イ トカ ラ ー 部 門 で は,ITは. 業務推進 のイ ンフ. ラ と し て 導 入 に 当 た っ て 業 務 プ ロ セ ス 改 革 と経 営 へ の 貢 献 が 期 待 さ れ る よ う に な った 。 チ ー フ イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン オ フ ィ サ ー(CIO)は. 米 国 発 祥 で あ る が,国. こ う し た 流 れ に 呼 応 す る も の で あ る 。CIOMagazine社 時 点 で,CIOを. 設 置 し て い る 企 業 は 全 体 で44%(専. 年 の 調 査 開 始 以 来,4割. ⑳. 内 で のCIOブ. ー ムは. の 経 年 調 査 ⑳ に よ れ ば,2008年 任12.9%,兼. 任31.0%)で. あ り,2001. 前 後 で 徐 々 に 増 加 して き て い る 。. 「CIOMagazineIT投 資 動 向 調 査2008」2008.2.14。2007年9月 ∼11月 実 施 。 国 内 企 業 の 情 報 シ ステ ム 部 門 お よび 経 営 企 画 部 門 の 部 長 以 上 対 象 。 有 効 回 答459社(回 答 率9.2%)。 229(229).
(14) 第56巻. 第1号 専任がいる %. 出所)「CIOMagazineIT投 図2企. CIOの. ミ ッ シ ョ ン は,①. と 貢 献,②IT部. 経 営 とITの. 略 系,つ. シ ス テ ム の 開 発 ・構 築 と,業. ITに. 架 橋,つ. 門 の 統 括 ・管 理 に よ るIT提. ム の 統 括 者 と して,戦. 改 善 ・運 用,と. 資 動 向 調 査2009」. 業 に お け るCIOの. い う2つ. ま り,顧. 務 系,つ. ま り経 営 目 標 へ のITの. 供 力 の 確 保,で. 全体 最適実現. あ る 。CIOは. 情報 システ. 客 に訴 求 す る独 自性 を打 ち 出す た あ の競 争 優 位 の. ま り通 常 の 業 務 お よ びITの. 安 全 で安 定 した構 築 ・. の ミ ッ シ ョ ン を 同 時 に抱 え て い る 。 特 に 基 幹 的 な 役 割 期 待 と し て,. か か わ る 全 社 最 適 の 実 現 お よ びIT投. ガ ー トナ ー 社 の2009年. 選任 状 況. のCIO調. 資 ・コ ス ト管 理 が 高 い 傾 向 に あ る。 同 時 に,. 査 ⑳ に よ れ ば,わ. が 国CIOの. ビ ジ ネ ス 面 で の 優 先 度 は,. 「既 存 顧 客 と の 関 係 強 化 」 と 「コ ス ト削 減 」 で あ り,「 ビ ジ ネ ス ・プ ロ セ ス 改 善 」 が 上 位 課 題 に 位 置 づ け ら れ て い る 諸 外 国 のCIOと. 明 確 に 異 な る 。 一 方,全. 体 と してCIOの. 面 で の 優 先 度 の 上 位 に 「ビ ジ ネ ス イ ン テ リ ジ ェ ン ス 」 が 登 場 す る な ど,顧 通 じ た 経 営 へ の 貢 献 が 求 め られ て い る こ と をCIO自. ⑳. 「EXP-CIOサ. ー ベ イ 」 ガ ー トナー 社2008.3.18 230(230). 技術. 客 ・事 業 開 拓 を. 身 は 良 く理 解 し て い る。.
(15) 組 織 と情 報 技 術(荒 川) (複数回答)(n=515) lTとビジネスニーズの連携の実現49.9% lTに係わる全社最適の実現652% lTに関する経営へのアドバイス35.7% lT投資・ コストの適切な管理58.3% 既存システムの安定運営369% 社内IT部門の運営26.8% 外部ITベ ンダーとの協業関係の構築13.2% lTリスクの適切な管理454% lTを活用 した新規ビジネスの推進12.4% ClOの ような専門の責任者は特に必要としない2.1% 無回答27% 出所)NRI「. ユ ー ザ企 業 のIT運. 営 実 態 調 査 」(2008年). 図3CIOに. こ う し た 傾 向 を 反 映 し,CIOの り も,経. 出 身 経 歴 は,図4に. 営 に 近 い 本 社 経 営 企 画,財. CIOあ. 求 め られ る役 割. 務 ・経 理,あ. る い は 情 報 シ ス テ ム 部 門 長 は,経. 見 ら れ る よ う に,IT部. 門 出身 者 よ. る い は事 業 部 門 長 が 多 くな って い る。. 営 ・事 業 全 体 に か か わ るITの. の た め に 多 様 な 利 害 関 係 者 と の 調 整 が 求 め ら れ て お り,ITガ. 全体最 適実現. バ ナ ンス の効 果 的 実 現 に 向. け て 各 種 の 説 明 責 任 が 求 め られ て い る 。 そ う し た 多 岐 に 渡 る 利 害 関 係 者 ・調 整 内 容 と して は,①. 経 営 層 へ のIT戦. 分 散 し たIT専. 略 お よ びIT運. 営 説 明 。 ②IT部. 門 の 組 織 再 編 に よ り社 内 外 に. 門 部 署 ・情 報 子 会 社 ・ベ ン ダ ー や ア ウ トソ ー サ ー の 統 括 管 理 。 ③ITユ. ー. ザ ー 部 門 の 業 務 改 革 へ の 共 同 責 任 や 利 用 満 足 度 へ の 責 任 。 ④ 財 務 ・法 務 ・監 査 部 門 へ の 投 資 ・コ ス ト最 適 化,コ. ン プ ラ イ ア ン ス 遵 守,内. 人 事 ・研 修 部 門 と のIT人 は. 部 統 制 対 応 へ の責 任 な ど の説 明 と合 意 。 ⑤. 材 育 成 ・配 置 に 関 す る 計 画 と 実 行 に 関 す る 共 同 責 任 。 さ ら に. ⑥ 分 社 化 ・グ ロ ー バ ル 化 す る グ ル ー プ 各 社 と の 調 整 か ら納 入 業 者 ・販 売 先 ・業 界 団 体. な ど,多. 種 多 様 な 調 整 ・協 働 が 求 め られ て い る 。. CIOあ. る い は 情 報 シ ス テ ム 部 門 長 の 業 務 範 囲 は,既. 長 と し て の 範 囲 を 超 え,全 「IT経. 社 のITガ. ス テ ム)製. 造部 門の担 当. イ パ ビ リ テ ィ全 体,つ. ま りは全 社. 営 力 」 に か か わ る マ ネ ジ メ ン ト ・調 整 機 能 と して 重 要 性 を 増 して い る 。. 但 し,日. 米 のCIOの. 傾 向 に あ り,一. 方,日. 出 身 経 歴 を 比 較 す る と,米. 「日米 韓 企 業 のIT経. 国 で は外 部 の 専 門 家 を 専 任 で 招 致 す る. 本 で は 社 内 管 理 部 門 か ら登 用 し,し. も 指 摘 す る よ う に(22},米国 で は,明. ⑳. バ ナ ン ス,ITケ. に 一(シ. 確 な ス ペ ッ ク の 下,外. か も兼 任 す る 傾 向 に あ る 。 元 橋 部 か ら専 任 で 登 用 す る こ と に よ っ. 営 に 関 す る比 較 分 析 」 元 橋 一 之RIETIDiscussionPaperO7-J-029 231(231).
(16) 第56巻 て 最 先 端 のITを. 第1号. 迅 速 ・合 理 的 に 導 入 し経 営 に 生 か そ う と い う傾 向 に あ る 。 一 方,日. で は 外 注 に 際 して 事 前 に ス ペ ッ ク を 明 確 に せ ず に 発 注 す る な ど,シ る 高 度 で ・継 続 的 な 調 整 機 能 を 求 め られ る 。 そ の 際,長 合 意 形 成 に 長 け た 内 部 人 材 を 登 用 す る こ と で,暗 現 し,ユ. ー ザ ー 部 門,構. 築 部 門,経. 本. ス テ ム構 築 過 程 に お け. 期 雇 用 に 基 づ く暗 黙 の 情 報 回 路 や. 黙 の合 意 の下 に ス ム ー ズ な意 思 疎 通 を実. 営 者 の3者. の 一 体 と な っ てIT導. 入 を 行 って い くこ. と を 想 定 して い る と も考 え られ る 。 経 営 革 新 或 い は ビ ジ ネ ス ・プ ロ セ ス ・イ ノ ベ ー シ ョ ン に は 適 さ な い も の の,プ. ロ セ ス ・イ ノ ベ ー シ ョ ン に 関 して は,す. り合 わ せ 型 の 調 整 機 能 が. 有 効 に 発 揮 さ れ る こ と は 事 例 か ら も推 測 で き る 。. (複数回答)(n=515) システム部門出身230% 本社経営企画部門出身23.0% 本社財務 ・経理部門出身17.0% その他本社スタッフ部門出身98% 現場ライン部門出身13.9% 研究 ・開発部門出身3.7% 外部より招聰5.4% その他3.3% 無回答0.9% 出所)NRI「. ユ ー ザ ー 企 業 のIT運. 営 実 態 調 査 」(2008年). 図4CIOの. 5.ま. 出身 経 歴. と. め. 20世 紀 の 最 後 の10年 か ら21世 紀 初 頭 の 今 日 に い た る ネ ッ ト ワ ー ク さ れ たIT,特 タ ー ネ ッ トの もつ 影 響 は,個. 別 業 務 プ ロ セ ス の カ イ ゼ ン を 超 え た,産. にイ ン. 業 ・企 業 の 再 編,創. 生 を も た らす も の で あ る 。 情 報 技 術(IT)の 使 い 方 に 従 う。ITと ら の 議 論 は,IT効. 利 活 用 は 組 織(文. 化)に. 従 い,同. 組 織 の 関 係 に 関 す る議 論 に は,伝. 時 に,組. 織(文. 化)は. 統 的 経 営 情 報 論 やIT構. 情報技 術 の 築部門か. 果 の 発 現 に 関 して 組 織 と 人 間 の 能 力 を 問 い が ち な こ と は 既 述 の と お り. で あ る 。 そ う し た 中 で 各 種 調 査 か ら 明 ら か な 点 は,わ. が 国CIOの. 多 くは,近. 年,ITの. 経 営 戦 略 実 現 機 能 の 重 要 性 と 経 営 か ら の 要 請 を よ く理 解 して い る と い う 点 で あ る 。 そ の 一・ 232(232).
(17) 組 織 と情 報 技 術(荒 川) 方 で わ が 国 企 業 のIT利. 活 用 の 実 態 は,特. に 米 国 企 業 に 比 べ,現. 状 の プ ロセ ス改 善 に傾. き が ち で あ る 。 両 者 を 折 衷 す る 相 互 作 用 論 的 ア プ ロ ー チ が 合 理 的 解 釈 で あ り,そ. れ に基 づ. く総 合 的 戦 略 策 定 が 必 要 で あ る と 思 わ れ る 。 コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン の 体 系 で あ る 組 織 はIT に よ っ て 規 定 さ れ る と 同 時 に,実 あ る 。ITの. 際 に 利 用 さ れ るITは,組. 戦 略 的 導 入 ・活 用 に あ た っ て は,組. 織 固 有 の 文 化=個. 価 値 観 に ま で 配 慮 し た 導 入 設 計 が 必 要 で あ り,ま 以 で も あ る 。 経 営 戦 略 とIT戦 式 知(形. 式 情 報)に. あ る 非 公 式 組 織=プ. 織 に よ って 選 択 さ れ る面 が. た,組. 々 の成 員 の認 識 構 造 や. 織 改 革 が 多 く の 場 合 求 め られ る 所. 略 の 連 携 を も っ た 総 合 的 策 定 が 求 め ら れ る。 そ の 際,形. 関 わ る 公 式 組 織 や 制 度 の み な らず,暗. 黙 知(意. 味 情 報)の. 伝達回路で. ラ ク テ ィ ス ・コ ミ ュ ニ テ ィ の 機 能 に も注 意 を 払 う 必 要 が あ ろ う 。. イ ン タ ー ネ ッ トに 代 表 さ れ る 今 日 の ネ ッ トワ ー ク化 さ れ た 情 報 技 術(IT)は,そ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン手 段 と して の 革 新 性 故 に,組 機 能 す る と い う 点 で,不 あ る 。 但 し,そ. 織 上 の 変 化 を も た らす た め の 手 段 と して も. 可 欠 の 経 営 資 源 で あ り,そ. の 活 用 に あ た っ て は,人. の コ. の設 計 は今 日の経 営 に と って 死 活 的 で. 間 系 の 組 織 構 造 を 十 分 に 理 解 し た 上 で,組. 織改革. と 人 間 系 の 改 革 手 段 と の 併 用 に よ る 活 用 が 望 ま れ る 。 経 営 戦 略 を も視 野 に 入 れ た 組 織 と 情 報 技 術(IT)の. 架 橋 を 果 た し,組. が 必 要 と さ れ て い る 。CIO及. 織 実 践 に お け る 調 整 機 能 を 果 た す べ き 人 材 とそ の 機 能. び 特 に 少 数 化 し た 本 社IT部. 門 の 実 態 把 握 の深 化 とあ るべ. き機 能 の 明 確 化 が 今 後 の課 題 で あ る。. 参. 考. 文. 献. 情 報 処 理 開 発 協 会 「情 報 化 白書2007」2007 J.A.シ. ュ ムペ ー ター 「経 済 発 展 の 理 論 」 塩 野 谷 ・東 畑 訳. 岩 波 文 庫1977. R.J.LaubacherT.W.Malone,andtheMITScenarioWorkingGroup,"TwoScenariosfor 21stCenturyOrganizations:ShiftingNetworksofSmallFirmsorAll-Encompassing `Vi rtualcountries'?"WorkingPaper1997 T.W.Malone)lnventingTheOrganizationsOfThe21stCentury)MITPress2003 K.B.Clark「DesignRule:ThePowerofModularity」MITPress2003(「 モ ジ ュー ル 化 パ ワー 」K.B.ク. ラー ク. 安藤訳. デ ザ イ ン ・ル ー ルー. 東 洋経 済新 報 社2004). 奥 野 正 寛 ・池 田信 夫 他 「情 報 化 と経 済 シ ステ ムの 転 換 」 東 洋 経 済 新 報 社2001 遠山. 暁 「経 営 革 新 の た め のIT経. 営 力 」(「IT経 営 の総 合 評 価 に関 す る調 査 研 究 報 告 書 」)情 報 処. 理 開 発 協 会2008 E.ブ. リニ ョル フ ソ ン 「イ ンタ ン ジ ブル ・ア セ ッ ト」CSK監. 訳,ダ. 印 南 一 路,荒 川 一 彦 「ゴー ル ドカ ラー と未 来 組 織 原 理 」CCCI研 C.1.バ. ー ナ ー ド 「経 営 者 の役 割 」 山本 安 次 郎 訳. ダ イ ヤ モ ン ド社1968. HerbertA.Simon"AdministrativeBehavior"FreePress1965(「 松 田 ・高 柳 ・二 村 訳. イ ヤ モ ン ド社2004. 究報 告 書1997 経 営 行 動 」H.A.サ. ダ イ ヤ モ ン ド社1989). O.E.WilliamsonMarketsandHierarchies,AnalysisandAntitrustImplications:AStudyin. 233(233). イモ ン.
(18) 第56巻. 第1号. theEconomicsofInternalOrganization」FreePress,1975(「 リア ム ソ ン. 浅 沼 萬 里 ・岩 崎 晃 訳. 市 場 と企 業 組 織 」0.E.ウ. 日 本 評 論 社,1980). 「ITに. よ る 生 産 性 向 上 の 加 速 化 に 向 け て 」 産 業 構 造 審 議 会 ・情 報 経 済 分 科 会2007. 「IT予. 算 の 投 資 先 を グ ロ ー バ ル と 日 本 で 比 較 し た 調 査 」 ガ ー トナ ー 社2009. 「日 米 韓 企 業 のIT経. 営 に 関 す る 比 較 分 析 」 元 橋 一 之RIETIDiscussionPaperO7-J-02他. 234(234). イ.
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