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会計上の価値概念に関する再検討--剥奪価値と公正価値

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(1)商経学叢. 第55巻 第2号2008年12月. 会計上 の価 値概 念 に関 する再検討 剥奪価値 と公正価値. 山 要約. 口. 剥 奪 価 値 概 念 は,1970・80年. 忠. 昭. 代 にお い て 注 目 され た 資 産 評 価 に 関 す る考 え 方 で あ る。. 公 正 価 値 概 念 は,近 年,財 務 会 計 基 準 審 議 会,国 際 会 計 基 準 委 員 会 に よ る会 計 基 準 に 用 い ら れ た もの で あ る。 剥 奪 価 値 概 念 と公 正 価 値 概 念 との 両 者 には,明 ど も,二 つ の 概 念 は,と. らか な 相 違 が 存 在 す るけ れ. もに 会 計 上 の カ レ ン ト ・バ リュー を 捉 え るア プ ロ ーチ と して,共 通. の 特 質 を 有 す る もの で あ る。 フ ァ ン ・ジル と ウ ィ ッテ ィ ン トンは,2006年. に 「剥 奪 価 値 と公. 正 価 値:再 解 釈 と調 和 」 と題 す る論 文 を 表 して い る。 本 稿 で は,剥 奪 価 値 概 念 と公 正 価 値 概 念 に関 す る彼 らの 所 説 につ い て,そ の 検 討 が 行 わ れ て い る。 そ して,彼. ら に よ って 主 張 され. た 剥 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 につ い て,問 題 点 が 明 らか に され て い る。. Abstract. The concept of deprival value for valuing. veloped in the 1970s and 1980s. adopted. as a term. Fair. used in accounting. assets is a remarkable. value is a more recent standards. a paper under the title of a Reconciliation". in 2006.. idea dewhich has. of the FASB and the IASB.. prival value and fair value have the common characteristics rent value in accounting, although there is the apparent concepts of deprival value and fair value.. concept. of the approach to curdifference between the. Van Zijl and Whittington. have published. "Deprival Value and Fair Value: A Reinterpretation In this paper, I have illuminated. concepts of deprival value and fair value.. It will be clarified. De-. their. and. ideas about the. the problem of a rein-. terpretation. of deprival value which is described. キ ー ワー ド. カ レ ン ト ・バ リュー,剥 奪 価 値 説,所 有 主 に と って の 価 値,実 質 的 所 有 価 値, 潜在的利用価値. 原 稿 受 理 日2008年9月21日. by them..

(2) 第55巻. 1は. 第2号. じ. わ が 国 の 企 業 会 計 原 則 に お い て,取. め. に. 得 原 価 主 義 会 計(歴. 史 的 原 価 主 義 会 計)の. フ レー ム. ワ ー ク が 基 本 的 に べ 一 ス と さ れ て い る こ と は あ ら た め て 指 摘 す る ま で も な い 。 近 年,金 商 品 に 関 す る 会 計 処 理 を は じ め,固. 定 資 産 の 減 損 処 理 に 関 す る 会 計 基 準 等 に よ り,取. 価 主 義 会 計 の 枠 組 み の な か に 時 価 概 念 が 導 入 さ れ て い る 。 し た が っ て,現 に つ い て み れ ば,そ. の 会 計 モ デ ル は. 融 得 原. 在 の 会 計 モ デ ル. 「原 価 と 時 価 の 混 在 ス タ イ ル と し て の 会 計(1)」 と し て. 捉 え られ る こ と が で き る 。 米 国 の 会 計 基 準 で は,金. 融 商 品 の 会 計 処 理 に 関 し て,公. に 資 産 ま た は 負 債 が 計 上 さ れ る 。 ま た,固 も,公. 正 価 値 が 適 用 さ れ,貸. 定 資 産 の 減 損 処 理 に関 す る会 計 基 準 につ い て. 正 価 値 が 適 用 さ れ て い る(2)。 か か る 会 計 基 準 に み ら れ る 公 正 価 値 は,資. ト ・バ. リュ ー に 焦 点 を お. く 価 値 概 念 と い え る 。 い ま ひ と つ,現. リ ュ ー に 光 を あ て た 価 値 概 念 と し て,剥. 借 対 照 表. 産 の カ レ ン. 有 資 産 の カ レ ン ト ・バ. 奪 価 値 を あ げ る こ とが 可 能 で あ る。 会 計 上 の カ レ. ン ト ・バ リ ュ ー に 基 づ く 測 定 に つ い て,フ. ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説(3)は,剥. 奪 価 値 概 念 と 公 正 価 値 概 念 を 取 り あ げ,こ. れ を 考 察 す る 。 す な わ ち,剥. 価 値 概 念 に 関 す る 新 た な 解 釈 を 通 し て,両. 者 の 概 念 の 調 和 を 図 ろ う とす る試 み が な され て. い る 。 な お,彼 そ こ で,本. ら の 所 説 で は,有 稿 で は,フ. 奪 価 値 概 念 と公 正. 形 固 定 資 産 の 評 価 に 限 定 して 考 察 が 行 わ れ て い る④。. ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 を 検 討 し,会. 計 上 の 価 値 概. 念 の 諸 問 題 を 考 察 す る こ と が 狙 い と さ れ る 。 こ こ で 会 計 上 の 価 値 概 念 と は,剥 正 価 値 の 二 つ の 概 念 を さ す 。 本 稿 の 考 察 は,次 は,カ. の 三 つ の 内 容 か ら 構 成 さ れ て い る。 第 一. レ ン ト ・バ リ ュ ー に 関 す る 二 つ の 概 念 と 価 値 概 念 で あ る 。 そ こ で は,カ. (1)興 津裕康 133頁 。. 「取 得 原 価 と 時 価 」 岸. 興 津 裕 康 「現 代 会 計 の 論 点 (平 成18年11月),10-11頁. 悦三編. 奪 価 値 と公. 『近 代 会 計 の 思 潮 」 同 文 舘,平. 成14年,所. レ ン ト ・バ. 収,132-. 原 価 と 時 価 の 混 在 す る 会 計 を 考 え る 」 『企 業 会 計 』 第58巻. 第11号. 。. (2)FASB,AccountingfortheImpairmentofLong-LivedAssetsandforLong-LivedAssetstoBeDisposedOf,StatementofFinancialAccountingStandardsNo.121,1995,par.7. こ こ で は,財 務 会 計 基 準 書 第121号 「長 期 性 資 産 の 減 損 及 び 処 分 予 定 の 長 期 性 資 産 の 会 計 処 理 」 に つ き,下. 記 の 文 献 を 参 照 した 。. FASB,OriginalPronouncements,AccountingStandardsasofJune1,1998,JohnWiley& Sons,1998. FASB,AccountingfortheImpairmentorDisposalofLong-LivedAssets,StatementofFinancialAccountingStandardsNo.144,2001,par.7. (3)TonyvanZijlandG.Whittington,DeprivalValueandFairValue:AReinterpretation andaReconciliation,AccountingandBusinessResearch,Vo1.36.No.2.,pp.121-130. (4)Ibid.,p.123.. 2(378).

(3) 会 計 上 の 価 値 概 念 に関 す る再 検 討(山. 口). リ ュ ー に 基 づ く測 定 概 念 と して 剥 奪 価 値 概 念 と 公 正 価 値 概 念 を あ げ,こ 念 に お け る 共 通 性 が 検 討 さ れ て い る 。 第 二 は,剥 り あ げ,こ. 奪 価 値 説 と剥 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説 を 取. れ を 吟 味 して い る 。 こ こ に 剥 奪 価 値 説 と は,剥. 方 で あ る 。 ま た,剥. 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説 は,フ. 奪 価 値 に 基 づ く資 産 評 価 の 考 え. ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン に よ っ て. 再 解 釈 さ れ た 新 た な 剥 奪 価 値 の 内 容 を 意 味 す る も の で あ る 。 第 三 は,公 価 値 概 念 の 検 討 で あ る 。 こ の 検 討 に お い て,公 再 解 釈 さ れ た 剥 奪 価 値 概 念 と の 関 連 性,フ. れ ら二 つ の 価 値 概. 正 価 値 概 念 の 定 義,公. 正 価 値 概 念 と剥 奪. 正価値概念の拡張 と. ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 の 特 徴 と. その 問 題 点 が 扱 わ れ て い る。. IIカ. 1カ. レ ン ト ・バ リ ュ ー に 関 す る 二 つ の 概 念 と 価 値 概 念. レ ン ト ・バ リ ュ ー に 関 す る 二 つ の 概 念. フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ンの 所 説 は,現 イ ル で あ る こ と を 指 摘 し,こ. 在 の 会 計 モ デル が 原 価 と時 価 の 混 在 ス タ. れ を 取 り あ げ る 。 す な わ ち,彼. らの 所 説 は,会. 計 上 の カ レン. ト ・バ リ ュ ー に 基 づ く測 定 と 歴 史 的 原 価 に よ る 測 定 と の 混 合 が 現 在 の 財 務 報 告 基 準 に み ら れ る と し,歴. 史 的 原 価 を 測 定 べ 一 ス と す る か,あ. の 基 礎 と し て 行 う か ど う か に 関 し て,そ. る い は カ レ ン ト ・バ リ ュ ー の 適 用 を 測 定. の 議 論 は 簡 単 な も の で は な い と 指 摘 す る(5)。わ け. て も カ レ ン ト ・バ リ ュ ー の 定 義 と そ の 測 定 に つ い て は,大. い に議 論 の 余 地 が あ る と され. る(6)。 そ こ で,フ. ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ンの 所 説(7>に した が っ て,カ. レ ン ト ・バ リ ュ ー. に 基 づ く測 定 を 一 瞥 して お こ う 。 カ レ ン ト ・バ リ ュ ー に 基 づ く測 定 は,1960年 1980年 代 前 半 に か け て,イ. ン フ レー シ ョ ン 会 計 の 領 域 で 論 議 さ れ た 。 そ の 当 時 の 会 計 基 準. に お い て 採 択 さ れ た カ レ ン ト ・バ リ ュ ー の 形 態 は,剥 コ ス トで あ る 。 こ こ に,剥. み に,英 1980年3月. 奪 価 値 概 念 を 基 礎 にお くカ レン ト ・. 奪 価 値 に 基 づ く資 産 評 価 の 考 え 方,す. さ れ る こ と に な る 。 剥 奪 価 値 説 は,1980年 れ た が,80年. 代 の 半 ば に は,そ. の 支 持 を 失 い,カ. 計 実 務 基 準 書 第16号. な わ ち剥 奪 価 値 説 が 注 目. 代 の 初 頭 まで 会 計 基 準 設 定 主 体 に よ って 支 持 さ レ ン ト ・コ ス ト革 命(8)は 崩 壊 した 。 ち な. 国 の カ レ ン ト ・コ ス ト革 命 に 関 して 付 言 す れ ば,つ に,会. 代後半か ら. ぎ の よ う に な る 。 す な わ ち,. 「カ レ ン ト ・ コ ス ト会 計(9)』が 英 国 の 会 計 基 準 委 員. (5)Ibid.,p.121. (6)Ibid.,p.121. (7)Ibid.,pp.122-123. (8)Ibid.,p122. (9)ASC,CurrentCostAccounting,StatementofStandardAccountingPracticeNo.16(SSAP/ 3(379).

(4) 第55巻 会 に よ っ て 公 表 さ れ,時 基 準 書 第16号. 第2号. 価 主 義 会 計 の 制 度 化 が 試 み られ た が,1988年4月. に は,会. 計実務. は 会 計 実 務 基 準 書 か ら削 除 さ れ た 経 緯 を あ げ る こ と が で き る(1① 。 か くて,彼. らの 所 説 に お い て,カ. レ ン ト ・バ リ ュ ー の 一 つ の 形 態 と して,剥. 奪価値概念が考察の対象. と され る こ とな る。 さ て,フ. ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 は,い. ま ひ と つ,カ. レ ン ト ・バ リ ュ ー の. 形 態 と して,公 正 価 値 概 念 を 取 り あ げ る。 す な わ ち,「 現 在 的 な 価 値 に よ る 評 価 が 特 に 目 的 適 合 性 を も つ と 考 え られ,ま. た 信 頼 で き る ほ ど に 測 定 可 能 で あ る と き,最. 近,再. び現 在 的. な 価 値 に 基 づ く評 価 を 描 写 し た 財 務 諸 表 へ の 要 求 が 高 ま っ て き た 。 こ の よ う な 展 開 の な か で 提 唱 さ れ た カ レ ン ト ・バ リ ュ ー の 形 態 は,一 と し,歴. 般 的 に 公 正 価 値 と し て 述 べ ら れ て い る(ID」. 史 的 原 価 に 基 づ く測 定 に よ っ て 目 的 適 合 性 の 高 い 情 報 を 得 る こ と が で き な い と 考. え られ る 項 目 に つ い て は,公. 正 価 値 に 基 づ く測 定 が 適 用 さ れ る こ と に な っ た と す る 。 つ ま. り,ボ ラ テ ィ リ テ ィ ・流 動 性 の 高 い 市 場 が 存 在 し,そ ブ)を. 測 定 す る と き,歴. こ で 取 引 さ れ る金 融 商 品(デ. 史 的 原 価 に よ る 測 定 に 代 え て,カ. リバ テ ィ. レ ン ト ・バ リ ュ ー と して の 公 正. 価 値 に 基 づ く測 定 が 行 わ れ る の で あ る ⑫。 フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 に よ る と,公 の 測 定 は,会. 正 価 値 に 基 づ く カ レ ン ト・バ リ ュ ー. 計 上 の 概 念 フ レー ム ワ ー ク に 関 す る 正 式 な 修 正 の 結 果 と い う よ り も,む. しろ. そ の 時 々 の 必 要 性 に 応 じて そ れ ぞ れ の 会 計 基 準 に 導 入 さ れ て き た と 指 摘 す る 。 そ して,そ の 結 果,混. 乱 が 生 じ,な. に ゆ え 剥 奪 価 値 と 公 正 価 値 が 問 題 と さ れ る か に 関 して は,い. る 検 討 も さ れ る こ と な く,剥. 奪 価 値 と 公 正 価 値 の 両 者 が,し. かな. ば し ば 競 合 的 な 代 替 案 と して. \16),ASC,London,1980.林 裕 二 「英 国 にお け る現 在 原 価 会 計 いて 」 「高 千 穂 論 叢 」 昭 和56年 。 こ こで は,上 記 の 文 献 を 会 計 実 務 基 準 書 第16号 と記 され て い る。. 基 準 会 計 実 務 書 第16号 につ. (0)G.Whittington,DeprivalValueandPriceChangeAccountingintheU.K.,Abacus, Vo1.34.No.1.,March1998,p.28. 田 中 弘 『イ ギ リス の 会 計 基 準 」 中 央 経 済 社,平 成3年,199-210頁 。 会 計 実 務 基 準 書 第16号 の 撤 回 につ いて は,次 の説 明 が あ る。 す な わ ち,「 な お,基 準 書 第16号 で あ るが,ASCは 第16号 の 準 拠 率 が 著 し く低 下 し10%台 にな って し ま った こ と,第16号 撤 廃 の 声 が 強 くな って き た こ と を 受 けて,1985年6月6日 か ら強 制 適 用 しな い こ とを 決 め,さ らにCCAB 構 成 団 体 に対 し基 準 書 第16号 を 正 式 に撤 回 す る こ とを 勧 告 した 。 … …1988年 にな って よ うや く, ASCが 今 後 もイ ン フ レ会 計 基 準 づ く りに努 力 す る こ と を条 件 に,ACCAも 基 準 書 第16号 の 正 式 撤 回 に同 意 し,同 年4月,基 準 書 第16号 は会 計 基 準 と して の 役 割 を 終 え た 。1980年3月 に 設 定 さ れ て か ら強 制 適 用 され た の は わ ず か5年2か 月,正 式 撤 回 され る まで に はわ ず か8年1か 月 とい う短 命 で あ っ た」(同 上 書,210頁)と され る。 な お,会 計 実 務 基 準 書 第16号 に 関 す る ガ イ ダ ン ス ・ノー トは,1986年9月 に 撤 回 され て い る。 (11)VanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,p.122. (12)Ibid.,p.122. フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッテ ィ ン トンの 所 説 で は,公 正 価 値 に基 づ く測 定 と して,FASB,IASC の 公 表 した金 融 商 品 に 関 す る会 計 基 準 が あ げ られ て い る。 な お,FASBに よ る公 正 価 値 に よ る測 定 に 関 して は,次 の 文 献 を 参 照 した 。 浦 崎 直 浩 「公 正 価 値 会 計 』 森 山書 店,平 成14年,20-23頁 4(380). 。.

(5) 会 計 上 の 価 値 概 念 に 関 す る 再 検 討(山. 口). 考 え ら れ て い る と 指 摘 さ れ る(13)。こ の 指 摘 に み ら れ る よ う な 情 況 の な か で,彼 は,カ. レ ン ト ・バ リ ュ ー を 捉 え る た め の 二 つ の ア プ ロ ー チ,つ. らの 所 説 で. ま り剥 奪 価 値 を 用 い た ア プ. ロ ー チ と公 正 価 値 に よ る ア プ ロー チの 検 討 が 行 わ れ る こ と とな る。. 2カ. レ ン ト ・バ リ ュ ー を あ ら わ す 価 値 概 念. 会 計 上 の 価 値 概 念 に 関 す る 論 究 と し て,ペ の. 「会 計 上 の 原 価 と 価 値(明. イ トン の 所 説 を 取 り あ げ る こ と が で き る 。 彼. と 題 す る 論 文 は,1946年. に 公 に さ れ た も の で あ る が,原. 時 価 の 混 在 す る 会 計 上 の フ レ ー ム ワ ー ク を 考 え る 上 で,傾 で,彼. 価 と. 聴 に 値 す る も の が あ る。 そ こ. の 説 く価 値 概 念 に つ い て み る こ と に し よ う 。. ペ イ ト ン は,市 の 所 説 に よ れ ば,「. 場 経 済 に お け る 企 業 取 引 の 基 礎 を 市 場 価 値 に 求 め て い る 。 す な わ ち,彼 公 正 な 市 場 価 値(現. 場 合 の 取 引 に お い て,適. 在 の 経 済 に と っ て 意 義 が あ る も の)は,あ. 切 な 測 定 の 基 準 と な る 。 し た が っ て,関. い わ ゆ る 独 立 し た 当 事 者 間 の 取 引 と 同 様 に,「. 係 す る 当 事 者 間 の 取 引 は,. 第 三 者 と の 公 正 な(arm's-length)』. を 基 礎 に 完 了 さ れ る べ き で あ る ⑮」 と さ れ る 。 市 場 の 存 在 を 前 提 と す る 場 合,市 は,関. 与 す る取 引 当事 者 間 の 社 会 的. み れ ば,そ ま り,売. の 関 係 は,文. 商 取 引 場 の 関 係. ・経 済 的 な 関 係 を 意 味 す る 。 市 場 取 引 の 関 係 に つ い て. 字 通 り ア ー ム ズ レ ン グ ス(arm's-length)の. 主 と 買 主 と い う 独 立 し た 当 事 者 間 は,腕. る の で あ る 。 な ぜ な ら,他. らゆ る. 距 離 が お か れ る。 つ. の 長 さの 距 離 を 保 つ こ とが 望 ま しい とす. の 取 引 機 会 と の 自 由 な 比 較 は,距. 離 を お いた 関 係 を つ くる こ と. に よ っ て 可 能 に な る と 考 え られ る か らで あ る 。 他 の 取 引 機 会 と の 自 由 な 比 較 が 保 障 さ れ る 市 場 経 済 で あ れ ば こ そ,「. 第 三 者 と の 公 正 な 」 商 取 引 が 成 り 立 つ こ と に な る ⑯。. ペ イ ト ン の 所 説 に よ る 価 値 概 念 に つ い て は,公. 正 価 値 概 念 を 重 要 な キ イ ・ワ ー ド と し て. (3)VanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,p.122. (14)W.A.Paton,CostandValueinAccounting,TheJournalofAccountancy,March1946. 上 記 の 論 文 は,下 記 の 文 献 に収 録 され て い る。 H.F.Taggart,PatononAccountingSelectedwritingsofW.A.Paton,TheUniversityof Michigan,1964,pp.481-490. ペ イ トン に よ る上 記 の 論 文. 「会 計 上 の 原 価 と 価 値 」 に つ い て は,次. の 文 献 に要 約 が あ る。. J.D.EdwardsandR.F.Salmonson,ContributionsofFourAccountingPioneers,MSUBusinessStudies,1961,pp.210-211. ペ イ ト ン に よ る 会 計 上 の 価 値 概 念 に つ い て は,下 山 口 忠 昭 「会 計 上 の 価 値 概 念 に 関 す る 考 察 53巻 第3号(平 成19年3月)。. 記 の 拙 稿 を 参 照 され た い 。. ペ イ トンの所 説 を 中 心 と して. 」 『商 経 学 叢 』 第. (15)W.A.Paton,op.cit.,p.192. ⑯. 英 米 の 市 場 に 関 す る 考 え 方 に つ い て,次 の 文 献 に興 味 深 い 指 摘 が あ る。 R.Dore,StockMarketCapitalism:WelfareCapitalismJapanandGermanyversustheAngloSaxons,OxfordUniversityPress,2000,pp.35-36.藤 衝 突 』 東 洋 経 済 新 報 社,平. 成18年,48頁. 井眞人訳 。. 5(381). 『日 本 型 資 本 主 義 と市 場 主 義 の.

(6) 第55巻 あ げ る こ と が で き る 。 そ れ で は,市. 第2号. 場 価 値 と公 正 価 値 の 関 連 を どの よ う に理 解 す れ ば よ い. の で あ ろ う か 。 彼 の 考 え 方 に お い て は,公. 正 な 市 場 価 値 を 中心 に理 論 を 組 み 立 て て い る こ. と が 指 摘 で き る 。 い ま 資 産 取 得 日 の 実 際 支 出 額 に つ い て み る と,そ. の 実 際 支 出額 は公 正 価. 値 を 具 体 的 に あ らわ す 一 つ の も の に す ぎ な い と す る 。 な ぜ な ら,実. 際 支 出額 た る名 目原 価. が 合 理 的 に 公 正 価 値 を あ らわ さ な い と き に は,公. 正 価 値 を 示 す べ く適 切 な 修 正 が 認 め ら れ. る べ き で あ る と さ れ る か らで あ る 。 彼 は,原. 価 は 経 済 的 測 定 で あ り,価. る が,原. レ ン ト ・バ リ ュ ー に 修 正 す べ し と主 張 す るq7)。. 価 が 価 値 を 表 現 し な い と き に は,カ. こ の 主 張 に は,公 正 な 市 場 価 値,す. 値 を あ らわ す とす. な わ ち 公 正 価 値 が 基 底 と さ れ て い る の で あ る 。 か く て,. 市 場 価 値 と公 正 価 値 は緊 密 に リン クす る関 係 を 彼 の 所 説 の な か に見 いだ す こ とが で き る。 さ て,金. 融 商 品 の 測 定 に 関 す る 時 価 評 価 に つ い て,米. 国 基 準 で は公 正 価 値 が 用 い られ て. い る 。 金 融 商 品 に 関 す る 時 価 評 価 の 背 景 に つ い て み る と き,会. 計 上 にお け る関 心 の 焦 点 が. プ ロ ダ ク ト型 市 場 経 済 を 前 提 と し た 理 論 か ら フ ァ イ ナ ン ス 型 市 場 経 済 を 前 提 と す る 理 論 に 移 動 し た と み る 見 解 が あ る ⑱。 言 い 換 え る と,生 産 ・流 通 を 中 心 と す る 実 物 経 済 か ら 金 融 経 済 へ の 重 点 移 動 と して 捉 え られ,金. 融 商 品 に関 す る時 価 評 価 は フ ァ イ ナ ン ス型 市 場 経 済 を. 背 景 と して 提 起 さ れ た と す る 。 市 場 特 性 あ る い は 経 済 基 盤 と い う 視 点 か ら ペ イ トン の い う 公 正 価 値 概 念 を み る と,彼. に よ る 公 正 価 値 概 念 は,プ. れ た も の で あ る 。 そ の 背 景 の も と で,彼 し た が っ て,彼. ロ ダ ク ト型 市 場 経 済 を 背 景 に 論 ぜ ら. は,物 価 水 準 上 昇 期 に 時 価 論 を 主 張 し た の で あ る 。. に よ る 公 正 価 値 概 念 を,フ. ァ イ ナ ン ス型 市 場 経 済 を 背 景 とす る金 融 商 品 の. 時 価 評 価 と 全 く 同 一 の も の と み な して 論 ず る こ と は で き な い 。 剥 奪 価 値 説 に つ い て も,プ ロ ダ ク ト型 市 場 経 済 を 前 提 と し た 考 え 方 と して 整 理 さ れ る こ と が で き る 。 公 正 価 値 概 念 と 剥 奪 価 値 概 念 に つ い て み れ ば,こ. の 二 つ の 概 念 に は,と. も に カ レン ト ・. バ リ ュ ー に 基 づ く測 定 と い う 点 で 共 通 性 が あ る と 捉 え られ る こ と が で き る 。 カ レ ン ト ・バ リ ュ ー に 基 づ く測 定 で は,原. 価 に 代 え て,市. 価 値 概 念 は 市 場 価 値 を べ 一 ス と す る の で,会. 場 価 値 が 基 礎 と され る。 公 正 価 値 概 念 と剥 奪 計 上 の 測 定 に お い て,現. 在 的 な 価 値 に よ る評. 価 が 可 能 にな る とみ るの で あ る。 フ ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 で は,剥. 奪 価 値 概 念 と公 正 価 値 概 念 が カ レ ン. ト ・バ リ ュ ー に 基 づ く測 定 で あ る こ と に 着 眼 点 を 置 き,剥. 奪 価 値 概 念 と公 正 価 値 概 念 の 調. 和 を 図 ろ う と す る 試 み が 行 わ れ て い る 。 彼 ら に よ る 試 み は,一. 方 に お い て,剥. 奪価値 によ. る ア プ ロー チ が 公 正 価 値 の 適 用 か ら生 ず る 問題 の 解 決 の た め に利 用 で き る とす る立 場 か ⑰W.A.Paton,MeasuringProfitsunderInflationConditions:ASeriousProblemfor Accountants,TheJournalofAccountancy,January1950,pp.16-27. (18)武 田隆 二 「会 計 学 認 識 の 基 点 」 「企 業 会 計 」 第53巻 第1号(平 6(382). 成13年1月),4-6頁. 。.

(7) 会 計 上 の 価 値 概 念 に 関 す る 再 検 討(山. ら,従. 来 か ら の 剥 奪 価 値 概 念 に 関 す る 解 釈(剥. 口). 奪 価 値 説)を. 修 正 し,新. た な 解 釈 を 主 張 す. る 。 他 方 に お い て,公. 正 価 値 概 念 の 内 容 に 関 す る 詳 細 な 検 討 が 行 わ れ る。 こ の 試 み に よ. り,彼. 告 実 体(企. ら の 所 説 は,報. 業)の. カ レ ン トな 経 済 的 状 況 の 表 現 が 可 能 と な る こ と を. 提 示 し よ う と す る も の で あ る ⑲。. 皿. 1剥. 剥 奪 価 値 説. と 剥 奪 価 値 概 念. の 再 解 釈 説. 奪 価 値 説 の 内 容. 英 国 会 計 基 準 と い う 表 舞 台 に 剥 奪 価 値 説 が 登 場 し た の は,1980年 よ っ て 公 表 さ れ た 会 計 実 務 基 準 書 第16号 書 第16号. で は,剥. 計 基 準 委 員 会 に. 『カ レ ン ト ・ コ ス ト会 計 』 で あ る 。 会 計 実 務 基 準. 奪 価 値 で は な く,「 企 業 に と っ て の 価 値(valuetothebusiness)⑳. い う 用 語 が 使 用 さ れ た 。 「企 業 に と っ て の 価 値 」 は,1975年 に お い て 主 張 さ れ て い る が,剥 異 な れ,同. に,会. 奪 価 値 と. 」 と. の サ ンデ ィラ ンズ ・リポー. 「企 業 に と っ て の 価 値 」 は,そ. ト⑳. の 用 語 の 名 称 こそ. 一 の 内容 を 意 味 す る資 産 評 価 の 考 え 方 で あ る。. 剥 奪 価 値 の 考 え 方 の べ 一 ス に つ い て み る と,そ 「所 有 主 に と っ て の 価 値(valuetotheowner)⑫ ズ は,1960年. 代 の 半 ば に,ボ. 代 の ボ ン ブ ラ イ トの. 」 に 求 め る こ と が 可 能 で あ る。 ソ ロ モ ン. ン ブ ラ イ トの. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 を 姐 上 に 載 せ て,会. 計 上 の 資 産 評 価 に 関 し て 論 じ た ㈱。 そ し て,ソ の 解 釈 は,1960年. の べ 一 ス を1930年. ロモ ンズ に よ る. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」. 代 の 後 半 に パ ー カ ー ・ハ ー コ ー トの 所 説 ⑳ の な か で. 値(valuetothefirm)」. と し て 取 り あ げ ら れ,そ. て の 価 値 」 め ぐ る 解 釈 を 起 点 と し て,資. の 後,ボ. 「企 業 に と っ て の 価. ン ブ ラ イ トの. 「所 有 主 に と っ. 産 価 値 評 価 と利 益 測 定 に関 す る一 連 の 論 争 ㈱ が 行. (19)VanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,p123. (20)ASC,op.cit.,par.42. (21)InflationAccountingCommittee,InflationAccounting:ReportoftheInflationAccounting Committee(SandilandsReport),HerMajesty'sStationeryOffice,1975,Reprinted1978, pp.57-60. ⑳J.C.Bonbright,TheValuationofProperty(Vol.1),TheMichieCompany,Virginia, 1937,Reprinted1965,p.71. ボ ン ブ ラ イ トの. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 は,次. の よ う に 定 義 さ れ て い る 。 す な わ ち,あ. る財. 産 の 所 有 主 に と っ て の 価 値 は,所 有 主 が そ の 財 産 を 剥 奪 さ れ た と 仮 定 さ れ た 場 合 に,所 有 主 が 被 る と 予 測 さ れ る 直 接 的 お よ び 間 接 的 な す べ て の 損 失 と い う 不 利 な 価 値 に よ る 金 額 と 同 一 で あ る, と され る。 (23)D.Solomons,EconomicandAccountingConceptsofCostandValue,inM.Backer, (ed.),ModernAccountingTheory,Prentice-Hall,EnglewoodCliffs,N.J.,1966,pp.122-125. ⑳R.H.ParkerandG.C.Harcourt,ReadingsintheConceptandル7easurementoflncome,CambridgeUniversityPress,1969,pp.17-19. ㈲. 例 を 挙 げ る と,バ. ク ス タ ー と グ レ イ ・ ウ ェ ル ズ の 論 争 が あ る 。 こ れ に つ い て は,次. 照 され た い 。 山 口忠 昭. 『物 価 変 動 会 計 論 」 同 文 舘,平. 成6年,265-284頁. 7(383). 。. の文献を参.

(8) 第55巻. わ れ た の で あ る 。 バ ク ス タ ー は,カ る た め の 考 え 方 と し て,ボ. 第2号. レ ン ト ・バ リ ュ ー を 会 計 上 の 資 産 価 値 測 定 に 取 り 入 れ. ン ブ ラ イ トの. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 に 着 目 し た ㈱。 「所 有 主. に と っ て の 価 値 」 を 剥 奪 価 値 と 命 名 し た の が,バ 奪 価 値 説 は,物. 価 変 動 会 計 の 領 域 の な か で,バ. ク ス タ ー に ほ か な ら な い ⑳。 か く て,剥 ク ス タ ー,ソ. ロ モ ン ズ,イ. デ ィ等 に よ って. 強 く 主 張 さ れ る こ と と な る ⑱。 さ て,フ. ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 に お い て,剥. さ れ て い る の で あ ろ う か 。 ま ず,こ. 奪 価 値 説 は どの よ う に理 解. の 問 い につ いて 取 りあ げて み よ う。. フ ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 に よ る と,剥. 奪 価 値 に よ る 測 定 は,修. 取 替 原 価 評 価 で あ る と す る 指 摘 が 行 わ れ て い る(29)。こ の 指 摘 の 内 容 は,剥 資 産 評 価 に お い て,通 に 限 り,例. 常,取. 替 原 価 を 適 用 す る が,回. 正 され た. 奪 価 値 に基 づ く. 収 可 能 価 額 が 取 替 原 価 を 下 回 る と き. 外 的 に回 収 可 能 価 額 が 適 用 され る こ とを 意 味 す る。 現 有 資 産 の 価 値 の 上 限 につ. い て み る と,そ. の 上 限 は 取 替 原 価 で 測 定 さ れ る こ と に な る 。 な ぜ な ら,資. 合 に 生 じ る 損 失 は,資. 産 を 取 替 調 達 す る た め の コ ス ト(取. か ら で あ る 。 こ の 理 由 は,資. 産 を 取 替 調 達 す れ ば,資. 替 原 価)を. 上 回 る もの で はな い. 産 の 剥 奪 か ら失 わ れ る も の は す べ て. 回 復 で き る と み る こ と に あ る 。 現 有 資 産 の 価 値 の 下 限 に つ い て は,回 測 定 が 行 わ れ る こ と と な る 。 な お,回. 産 を 喪 失 した 場. 収 可 能 価 額 と は,資. 収 可 能 価 額 に よ って. 産 そ れ 自 体 の も つ 便 益 を,資. か ら 生 ず る キ ャ ッ シ ュ ・ イ ン フ ロ ー で 測 定 し た も の で あ る 。 回 収 可 能 価 額 は,正 能 価 値 と 使 用 価 値 の 両 者 か ら 構 成 さ れ,両 る 。 か く て,回. 者 の う ち,い. 産. 味 実 現 可. ず れ か 一 方 の 高 い数 値 で 測 定 され. 収 可 能 価 額 が 例 外 的 に 適 用 さ れ る こ と か ら,剥. 奪 価 値 説 の 特 徴 と し て,修. 6)W.T.Baxter,AccountingValues:SalePriceversusReplacementCost,JournalofAccountingResearch,Vol.5,No.2,Autumn1967,p.212. 上 記 の バ ク ス タ ー に よ る1967年. の 論 文 は,下. 記 の 文 献 に収 録 され て い る。. R.H.ParkerG.C.HarcourtandG.Whittington(eds.),ReadingsintheConceptand Measurementoflncome,PhilipAllan,1986,pp.242-249. ⑳W.T.Baxter,DepreciatingAssets:theForward-lookingApproachtoValue,The Accountant'sMagazine,April1971,p.160. W.T.Baxter,Depreciation,Sweet&Maxwell,London,1971,p.30,pp,32-36. W.T.Baxter,AccountingValuesandInflation,McGraw-Hill,London,NewYork,1975,p. 126. W.T.Baxter,InflationAccounting,PhilipAllan,Oxford,1984,pp.200-201. バ ク ス タ ー に よ る1971年 の 論 文 は,1970年12月 のAbacus に 同 じ タ イ トル で 掲 載 さ れ て い る 。 な お,こ. の 論 文 は,下. ,Vo1.6,No.2(December1970) 記 の バ クス ター の 論 文 集 に 収 録 され て. い る。 W.T.Baxter,CollectedPapersonAccounting,ArnoPress,NewYork,1978. (28)G.Whittington,TheLSETriumvirateandItsContributiontoPriceChangeAccounting,inJ.R.Edwards,(ed.),Twentieth-CenturyAccountingThinkers,Routledge,London, 1994,pp.252-273. イ デ ィ の 見 解 に つ い て は,下. 記 の 文 献 が あ げ られ る。. HaroldC.Edey,DeprivalValueandFinancialAccounting,inDebits,Credits,Finance andProfits,(eds.),H.C.EdeyandB.S.Yamey,Sweet&Maxwell,1974,p.75. (29)VanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,p.123.. 8(384).

(9) 会 計 上 の 価 値 概 念 に関 す る再 検 討(山. 口). 正 さ れ た 取 替 原 価 評 価 が 挙 げ られ る こ と と な る の で あ る 。 フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ンの 所 説 で は,剥 る と み る 。 そ れ は,報 告 実 体(企 業)は,利 の 範 囲 内 で,現 え る と,企. 奪 価 値 説 に は,次. の前提がおかれて い. 用 可 能 な 経 済 的 機 会(economicopportunities). 有 資 産 の 価 値 を 最 大 化 す る よ う に 利 用 で き る と い う前 提 で あ る⑳。 言 い 換. 業 に よ る 経 済 的 機 会 の 選 択 に お い て,経. が 前 提 と さ れ て い る と す る(31)。 彼 ら の 所 説 は,こ. 済 的 合 理 性(economicrationality). の前 提 か ら剥 奪 価 値 説 の 内容 が捉 え られ. る こ と にな るの で あ る。 フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 に し た が え ば,剥 経 て 資 産 評 価 が 行 わ れ て い る と さ れ る 働。 第 一 の 段 階 は,企 的 機 会 の 選 択 で あ る 。 つ い で 第 二 の 段 階 で は,第 会 の な か か ら,企. 奪 価 値 説 で は,二. つの段階を. 業 に と って適 合 性 の あ る経 済. 一 の 段 階 で 選 択 され た 適 合 的 な 経 済 的 機. 業 に と って 最 善 の 経 済 的 機 会 を 選 び取 る こ とが 行 わ れ る。. 第 一 段 階 の 適 合 性 を も つ 経 済 的 機 会 の 選 択 は,現. 有 資 産 に 関 連 して,三. の コ ー ス が 考 え られ る と い う 事 実 に 基 づ か さ れ て い る 。 す な わ ち,現. つの可能な行動. 有 資 産 の 再 購 入 ・現. 有 資 産 の 売 却 ・現 有 資 産 の 継 続 的 利 用 と い う 三 つ の 可 能 な 行 動 の コ ー ス が あ り,こ 応 して 現 有 資 産 の 取 替 原 価(RC),正. 味 実 現 可 能 価 値(NRV)お. れ に対. よ び 使 用 価 値(UV)と. い う三 つ の 財 務 的 測 定 概 念 が 適 用 され る こ と にな る。 現 有 資 産 の 再 調 達 と い う コー ス に基 づ く場 合 に は 取 替 原 価 を,現. 有 資 産 の 売 却 な る コ ー ス で あ れ ば 正 味 実 現 可 能 価 値 を,そ. て 現 有 資 産 の 継 続 的 な 利 用 と い う コ ー ス に 基 づ く場 合 に は 使 用 価 値 を,そ こ と が で き る 。 第 二 の 段 階 で,こ. れ ら三 つ の コ ー ス の う ち,企. し. れぞれ適用す る. 業 に と って 最 も有 利 な 経 済. 的 機 会 の 選 択 が 行 わ れ,そ. の 選 択 に したが って 剥 奪 価 値 が 導 か れ る こ と とな る。 第 二 の 段. 階 に お け る 剥 奪 価 値 は,現. 有 資 産 の カ レ ン ト ・バ リ ュ ー あ らわ す も の で あ る 。. 剥 奪 価 値(DV)は,取. 替 原 価 と 回 収 可 能 価 額(RA)を. 値 と して 示 さ れ る 。 そ れ ゆ え,剥. 奪 価 値 は,次. 比 較 し,い. の よ う に表 現 で き る。. DV=min(RC,RA)・ 回 収 可 能 価 額 は,次. ず れ か 一 方 の 低 い数. ・ ・ …(1) の よ う に表 され る。. RA=max(NRV,UV)・ 上 記 の(1)と(2)の 式 か ら,剥. ・ ・ …(2) 奪 価 値 は次 の よ う に示 す こ とが で き る。. DV=min(RC,max(NRV,UV))・. ・ ・ …(3). (30)Ibid.,p124. ㊤DIbid.,p.124. な お,経 済 的 機 会 は,実 体 そ れ 自体 の もつ 固 有 の 制 約 に よ って 決 定 され る もの で あ る。 (32)Ibid.,p.124. 9(385).

(10) 第55巻 図 表1-1で. は,取 替 原 価(RC),正. 第2号. 味 実 現 可 能 価 値(NRV)お. よ び使 用 価 値(UV)と. い う三 つ の 財 務 的 測 定 概 念 に よ って 現 有 資 産 を 評 価 す る と き,三 つ の 財 務 的 測 定 概 念 に基 づ く資 産 評 価 額 の 大 小 関 係 に は,6つ. の ケー スが あ る。 この6つ の ケ ー スか ら剥 奪 価 値 が. 得 られ る こ と にな る。 図 表1-1は,三. つ の 財 務 的測 定 概 念 に基 づ く資 産 評 価 額 の大 小 関. 係,剥 奪 価 値(企 業 に と って の 価 値)を 示 して い る㈱。. 図表1-1. ケース. 鰭 撒. 薫. く資産. 縷 黙 。ての価値). (1)NRV>UV>RC→RC (2)NRV>RC>UV→RC (3)UV>RC>NRV→RC (4)UV>NRV>RC→RC (5)RC>UV>NRV→UV (6)RC>NRV>UV→NRV. 図 表1-1に. お い て,(1),(2),(3),(4)の4つ. 択 さ れ る こ と を 表 して い る 。 こ れ ら4つ. の ケ ー ス は,剥. の ケ ー ス に み られ る 取 替 原 価 の 適 用 に つ い て は,. 現 有 資 産 が 利 用 も し く は 処 分 に よ っ て 喪 失 さ れ た と す れ ば,資 あ ろ う と い う 意 思 決 定 が 仮 定 さ れ て い る 。 な ぜ な ら,回 り,資. 産 の 取 替 調 達 を 行 っ て も,企. ケ ー ス で は,資. 産 の 取 替 調 達 が 行 わ れ るで. 収 可 能 価 額 が 取 替 原 価 を 上 回 る限. 業 に と っ て 採 算 が 充 分 に と れ る か ら で あ る 。(5)と(6)の. 産 の 取 替 調 達 を 行 う に 値 しな い 状 況 が 示 さ れ て い る 。(5)の ケ ー ス は,現. 資 産 の 継 続 的 利 用 あ る い は 売 却 の う ち,現 で,剥. 奪 価 値 と して 取 替 原 価 が 選. 有. 有 資 産 の 継 続 的 利 用 の方 が 収 益 性 を 有 す るの. 奪 価 値 と し て 使 用 価 値 が 選 択 さ れ る。(6)の ケ ー ス に お い て は,(5)の ケ ー ス と は 逆 に,. 資 産 の 売 却 の 方 が 収 益 性 を 有 す る の で,剥. 奪 価 値 と して 正 味 実 現 可 能 価 値 が 適 用 さ れ る こ. と とな る。. 2剥. 奪 価 値 説 の 検 討 とそ の 再 解 釈. さ て,フ. ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 で は,図. つ の ケ ー ス と こ れ ら ケ ー ス の 剥 奪 価 値 測 定 を 検 討 し,剥. 表1-1の(1),(2),(3),(4)の4. 奪 価 値 概 念 に関 す る再 解 釈 説 が 主. (33)Ibid.,p125. ちな み に,サ ンデ ィ ラ ンズ ・レポ ー トにお い て,三 つ の 財 務 的 測 定 概 念 に基 づ く資 産 評 価 額 の 大 小 関 係 な らび に剥 奪 価 値(企 業 に と って の 価 値)が 取 りあ げ られ,説 明 され て い る。 InflationAccountingCommittee,op.cit.,pp.59-60. 10(386).

(11) 会 計 上 の 価 値 概 念 に関 す る再 検 討(山. 口). 張 され て い る。 ま ず(3)の ケ ー ス に つ い て 取 り あ げ よ う 。 有 形 固 定 資 産 に 投 資 が 行 わ れ る の は,そ. の投資. を 回 収 し,余. り あ る 余 剰 を 得 る こ と が で き る と 期 待 さ れ る か らで あ る 。(3)の ケ ー ス に つ い. て み る と,そ. の ケ ー ス は,有. 形 固 定 資 産 に投 資 を した と きの 典 型 的 な 場 合 を 表 す もの で あ. る こ と が わ か る 。 こ の ケ ー ス で は,現. 有 資 産 を 売 却 す る こ と な く,資. 産の継続的利用が企. 業 に と っ て 合 理 的 選 択 で あ る と す る 見 方 が と られ る 。 な ぜ な ら,RA=UV>RCは 継 続 的 利 用 を,RC>NRVは て,フ. 資産の. 資 産 の 売 却 が 不 利 な こ と を 示 して い る か ら で あ る 。 した が っ. ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 に お い て も,剥. 奪 価 値 説 と 同 様 に,取. 替原価. の ケ ー ス に お い て,正. 味実現. が 適 用 され る。 次 に(1),(2),(4)の3つ. の ケ ー ス を み て み よ う 。 こ れ ら3つ. 可 能 価 値 は 取 替 原 価 を 上 回 る 状 況(NRV>RC)に 値 説 は,(1)と(2)の. ケ ー ス が 資 産 の 売 却 を,(4)の. 行 動 コ ー ス の 選 択 と み て,剥 て,フ. あ る こ とが前 提 と され て い る。 剥 奪 価 ケ ー スが 現 有 資 産 の 利 用 を 企 業 の 合 理 的 な. 奪 価 値 と して 取 替 原 価 を 選 択 す る 。 か か る 剥 奪 価 値 説 に 対 し. ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 で は,こ. あ る こ と に 注 視 す る 。 そ して,剥. れ ら3つ. 奪 価 値 説 に お い て は,現. の ケ ー ス がNRV>RCで. 在 の 事 業 活 動 の な か で,よ. り収. 益 性 の あ る よ う に 現 有 資 産 を 利 用 す る こ と が で き る か 否 か が 問 題 と さ れ て い な い こ と に, 彼 ら の 関 心 が 向 け ら れ て い る ⑳。 彼 ら の 関 心 を 具 体 的 に 述 べ る と,取 で は,企. 業 に と っ て 利 用 可 能 な 経 済 的 機 会 を 選 択 し,現. が 不 可 能 で あ る と 彼 ら は み る 。 か くて,彼. 替 原 価 に 基 づ く測 定. 有資産の価値の最大化を行 うこと. らの 所 説 で は,こ. れ ら3つ. の ケ ー ス に正 味 実 現. 可 能 価 値 を適 用 す る こ とが 主 張 され る こ と とな る。 図 表1-2は,(a)三. つ の 財 務 的 測 定 概 念 に 基 づ く資 産 評 価 額 の 大 小 関 係,(b)フ. ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン に よ っ て 再 解 釈 さ れ た 剥 奪 価 値(剥 従 来 の 解 釈 に 基 づ く剥 奪 価 値(剥 釈 に 基 づ く剥 奪 価 値(剥. 奪 価 値 説)を. 奪 価 値 説)は,図. フ ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 は,図 み ら れ るNRV>RCの る と して,次. 状 況 に お い て,現. の よ う に 説 く。 す な わ ち,剥. 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説),(c). 示 し て い る㈲。 な お,こ. 表1-1で. ァ ン・. こ で(c)従. 来の解. 示 され た もの を さ して い る。 表1-2の(1),(2),(4)の3つ. のケース に. 有 資産 に関 連 す る測 定 が 正 味 実 現 可 能 価 値 で あ 奪 価 値 と して の 取 替 原 価 の 適 用 は,企. 業 によっ. て 利 用 さ れ た 用 役 に 関 す る 現 在 的 な 評 価 を あ ら わ す も の で あ る 。 し か し な が ら,NRV> RCの. よ う な 状 況 下 に お い て は,よ. り高 い 正 味 実 現 可 能 価 値 に よ っ て 獲 得 さ れ,再. ⑱ のVanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,p.125. (3∂Ibid.,p.125. 11(387). 開発 あ.

(12) 第55巻. 第2号. 図 表1-2. ケース(a)鱗. 器欝. 磁 資(b)再 角 翠釈された剥奪価値(・ 鵬. 価値. (1)INRV>UV>RCINRVIRC (2)INRV>RC>UVINRVIRC (3)UV>RC>NRVRCRC (4)IUV>NRV>RCINRVIRC (5)IRC>UV>NRVIUVIUV (6)RC>NRV>UVNRVNRV. る い は 配 置 転 換 と い う 経 済 的 機 会 を 実 行 に 移 す こ と に よ っ て 得 られ る こ と の で き る 潜 在 的 な 便 益 が,現 い て,正. 有 資 産 の 取 替 原 価 に 基 づ く評 価 に よ っ て 無 視 さ れ て い る と す る㊤ ③ 。 こ こ にお. 味 実 現 可 能 価 値 の 適 用 に重 心 が おか れ る理 由を 見 いだ す こ とが で き る。. 現 有 資 産 に 関 す る 意 思 決 定 の 観 点 か ら取 替 原 価 に 基 づ く資 産 評 価 を 捉 え る と,そ 評 価 に は,同. 等 資 産 の 継 続 的 取 替 調 達 と い う 意 思 決 定 が,あ. る こ と が で き る ⑳。 こ れ に 対 して,正. らか じ め 予 定 さ れ て い る と み. 味 実 現 可 能 価 値 に よ っ て 資 産 を 評 価 す る場 合 に は,. 現 有 資 産 と は 異 な る 資 産 へ の 投 資 が 有 利 で あ れ ば,そ 見 方 が と ら れ る。 こ の 見 方 で は,同. れ を 実 行 した方 が 賢 明 で あ る とす る. 等 資 産 の 取 替 調 達 な る 意 思 決 定 と そ れ に 基 づ く行 動. コ ー ス が 廃 棄 さ れ る こ と に な る 。 さ ら に こ の 見 方 に た て ば,NRV>RCな の で,正. の資産. 味 実 現 可 能 価 値 と 取 替 原 価 と の 差 額(NRV-RC)が,再. る状 況 下 に あ る 開 発 あ る い は配 置 転 換. と い う 経 済 的 機 会 の 価 値 を あ ら わ す と さ れ る㈱。 フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 に あ っ て は,正. 味 実 現 可 能 価 値 に 基 づ く資 産 評 価 の 測 定 が,現. を あ らわ す と み る の で あ る 。 か か る 見 解 に は,正. 実 に利 用 可 能 な 市 場 の 機 会. 味 実 現 可 能 価 値 に よ る測 定 は情 報 利 用 者. に と って 将 来 の 意 思 決 定 に資 す る有 用 な 情 報 を 提 供 す る とす る考 え 方 が 基 底 に あ る。 か く て,(1),(2),(4)の3つ. の ケ ー ス に お い て は,剥. 奪 価 値 説 で 適 用 さ れ る 取 替 原 価 で は な く,. 正 味 実 現 可 能 価 値 が 適 用 され る こ と とな る。. (36)Ibid.,p126. ⑳ ちな み に,剥 奪 価 値 説 は,同 等 資 産 の 継 続 的 取 替 調 達 とい う意 思 決 定 を 予 定 す る もの で あ る と す る 指 摘 につ いて は,次 の よ うな 文 献 が あ げ られ る。 田 中 茂 次 「物 価 変 動 会 計 の 基 礎 理 論 」 同 文 舘,平 成 元 年,66-67頁 。 剥 奪 価 値 説 の 特 徴 につ い て,「 した が って,『 企 業 に と って の 価 値 』 の 概 念 に も とつ く理 論 は, 取 得 原 価,取 替 原 価,正 味 実 現 可 能 価 値,現 在 価 値 な どの う ち どの 価 値 が 評 価 基 準 と して 最 も合 理 的 か とい う問 題 に は全 く答 え て い な い 。 あ くま で も,同 種 資 産 の 取 替 え を 想 定 した 取 替 原 価 理 論 の 枠 内 で の 議 論 と い う性 格 を 出 る もの で は な い 点 に注 意 して お か な けれ ば な らな い 」(同 上 書, 67頁)と 指 摘 され,同 種 資 産 の 取 替 調 達 の 意 思 決 定 が 先 取 り され た 理 論 と して 剥 奪 価 値 説 を 捉 え て お られ る。 (38)VanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,p.126. 12(388).

(13) 会 計 上 の 価 値 概 念 に関 す る再 検 討(山 剥 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説 と 公 正 価 値 と の 間 に,フ は,関. 連 性 を 見 い だ し,そ. 口). ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説. れ を 指 摘 す る 。 そ の 指 摘 に よ る と,図. 表1-2の. 再 解 釈 され た. 剥 奪 価 値 が,公. 正 価 値 概 念 に 近 似 し た も の で あ る と す る 。 そ の 理 由 と して,再. 剥 奪 価 値 は,公. 正 価 値 概 念 の よ う に,市. 場 に お い て,自. 解 釈 され た. 発 的 な 当 事 者 間 の 交 換 に 基 づ く価. 格 の 観 点 か らの 資 産 評 価 を あ らわ す こ と が あ げ られ て い る(39)。. IV公. 1公. 正 価 値 概 念 と 剥 奪 価 値 概 念 の 検 討. 正価値概念. フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 は,会 取 り あ げ,こ. れ を 検 討 して い る 。. ま ず,1982年. のIAS第16号. 『有 形 固 定 資 産 の 処 理 』 で は,公. 有 す る 自 発 的 な 買 主 と 売 主 と の 間 で,独 tion)に. 計 基 準 に み られ る 公 正 価 値 概 念 の 定 義 を. よ り,資. たIAS第16号. 産 が 交 換 さ れ る金 額 糊. 正価 値を. 「取 引 の 知 識 を. 立 第 三 者 間 取 引 条 件(anarm'slengthtransacと 定 義 さ れ て い る 。 さ ら に,2000年. に改 訂 され. 「有 形 固 定 資 産 』 を み る と,「 土 地 お よ び 建 物 の 公 正 価 値 は,通. 常,専. 門家. と して の 資 格 を も つ 鑑 定 人 の 行 う 評 価 に よ る 市 場 価 値 に 基 づ く証 拠 に よ っ て 決 定 さ れ る 。 有 形 固 定 資 産 項 目 の 公 正 価 値 は,通. 常,査. 定 に よ っ て 決 定 さ れ た 市 場 価 値 で あ る ω」 と し,. 公 正 価 値 が 市 場 価 値 に 基 づ く も の で あ る と さ れ て い る 。 か くて,国 価 値 の 定 義 に つ い て み る と,そ と い え る 。 す な わ ち,(イ)取 条 件(公. 正 な 取 引),(ハ)交. 価 は,FASBに. 際 会 計 基 準 に よ る公 正. の 定 義 の 構 成 の な か で 中 心 を な す 内 容 は,次 引 の 知 識 を 有 す る 自発 的 な 当 事 者,(ロ)独. 換 に 基 づ く金 額,こ. の 三 つ の もの. 立第三者間取引. れ らで あ る 。 こ の 三 つ の 内 容 を 有 す る 時. よ る 金 融 商 品 の 測 定 に 関 す る 公 正 価 値 概 念 を 捉 え る 上 で,重. 要な意味を も. つ もの で あ る。. (39)Ibid.,p.126. (40)IASC,AccountingforProperty,PlantandEquipment,IAS16,1982,par.6. 1982年 のIAS第16号 「有 形 固定 資 産 の処 理 」 につ い て は,下 記 の文 献 を参 照 した。 ICAEW,InternationalAccountingStandards,London,1989,p.225. IAS第16号 「有 形 固定 資 産 」 で は,公 正 価 値 を 「取 引 の知 識 を有 す る 自発 的 な 当事 者 間 で,独 立 第 三 者 間取 引 条 件(anarm'slengthtransaction)に よ り,資 産 が 交 換 さ れ る金 額 」 と定 義 され る。 IASB,Property,PlantandEquipment(Revised1993,1998and2000),IAS16,2000,par.6. 上 記 のIAS第16号 「有 形 固定 資 産 」 につ い て は,下 記 の文 献 を参 照 した。 IASB,InternationalFinancialReportingStandards(IFRSs⑪)2007,IASB,2007.企 業会計基 準 委 員 会,財 団法 人 財 務 会 計 基 準 機 構 監 修 「国 際 財 務 報 告 基 準(IFRSs⑪)2007」 シス ・ジ ャパ ン,平 成20年 。 (41)Ibid.,par.32.同 上 訳 書,990頁. 。 13(389). レ ク シス ネ ク.

(14) 第55巻 FASBに が,強. よ る 会 計 基 準 に つ い て 取 り あ げ る と,FAS第115号. 制 あ る い は 清 算 に よ る 売 却 を 除 き,自. 金額馴. と す る。 つ い で,FAS第133号. る い は 清 算 に よ る 売 却 を 除 き,自 る い は 売 却(決 第39号. 済)さ. 正価値が. 「資 産(負. 債)が,強. 発 的 な 当 事 者 間 で 現 在 的 な 取 引 に お い て 購 入(発. 識 お よ び 測 定 」 は,公. 正価値を. 制 あ 生)あ. 「取 引 の 知 識 を 有 す る 自 発 的 な 当 事. 産 が 交 換 さ れ,ま. た は負 債 が決 済 さ れ る金 額 劉. ァ ン ・ジル と ウ ィ ッテ ィ ン トンの 所 説 に お い て 指 摘 さ れ て い る よ う. 正 価 値 に 関 す る 本 質 的 な 考 え 方 は,公. price)を. 正 価 値 を 「金 融 商 品. 発 的 な 当事 者 間 の 現 在 的 な 取 引 で 交 換 され る. お い て は,公. 立 第 三 者 間 取 引 条 件 に よ り,資. と す る。 か くて,フ. は,公. れ る金 額 ≪Jと 定 義 さ れ て い る 。 国 際 会 計 基 準 に 目 を 向 け る と,IAS. 「金 融 商 品:認. 者 間 で,独. に,公. 第2号. 正 な 市 場 価 格(anarm'slengthmarket. 基 礎 と す る こ と に あ る ㈲。 彼 らの 所 説 で は,活. 場 か ら得 られ る 市 場 価 格 に よ っ て,公. 発 で,熟. 正 価 値 が 求 め られ る 場 合,そ. 知 さ れ,か. つ競争的な市. の 公 正 価 値 は,資. 産の. 所 有 主 に よ る 主 観 的 な 意 向 ・信 念 か ら免 れ た 客 観 的 測 定 を 提 供 す る も の と 解 さ れ て い る の で あ る ㈹。 公 正 価 値 概 念 に は,資. 産 の 交 換 に お い て,唯. て い る 。 こ の 前 提 に 基 づ い て,資. 産 の 交 換 に 適 用 さ れ る 価 格 を 求 め る 場 合,そ. 場 と の 関 連 性 の 強 弱 の 程 度 に 応 じて,公 正 価 値 測 定 の 階 層 と して,大 に,(イ)活. の 価 格 と市. 正 価 値 測 定 の 階 層 ⑳ が 利 用 され る こ と にな る。 公. ま か に 三 つ の も の を あ げ る こ と が で き る 。 ま ず 第 一 の レベ ル. 発 な 市 場 が 存 在 し,そ. 価 格 は 上 場 さ れ て い る 証 券,商 の レ ベ ル と して,(ロ)類. 一 の 価 格 が 存 在 して い る こ と が 前 提 と さ れ. こ で 取 引 さ れ る 市 場 価 格 が あ げ ら れ る。 つ ま り,市. 品 の 取 引 価 格 で あ り,観. 察 可 能 な もの で あ る。 つ いで 第 二. 似 資 産 の 価 格 が あ げ ら れ る 。 こ れ は,取. 格 が 利 用 可 能 で な い も の に つ い て,そ で あ る 。 第 三 の レ ベ ル に,(ハ)将 る 。 現 在 価 値 の 計 算 に 際 して は,キ. 場. 引 され る資 産 の市 場 価. れ と 同 じよ うな 他 の 資 産 の 市 場 価 格 を 参 照 す る もの. 来 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロー の 現 在 価 値 を あ げ る こ とが で き ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー の 予 測 と 割 引 率 が 一 つ の 重 要 な 鍵 と. (42)FASB,AccountingforCertainInvestmentsinDebtandEquitySecurities,StatementofFinancialAccountingStandardsNo.115,1993,par.137. こ こで は,上 記 の 文 献 をFAS第115号 と記 す こ と とす る。 (43)FASB,AccountingforDerivativeInstrumentsandHedgingActivities,StatementofFinancial AccountingStandardsNo.133,1998,par.540. こ こで は,上 記 の 文 献 をFAS第133号 と記 す こ と とす る。 幽IASC,FinancialInstruments:RecognitionandMeasurement,InternationalAccountingStandard39(revised2000),2000,par.8. こ こで は,上 記 の 文 献 がIAS第39号 と記 さ れ て い る。 ㈲VanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,p.123. (46)Ibid.,p.126. (41)Ibid.,p.127. 14(390).

(15) 会 計 上 の 価 値 概 念 に 関 す る 再 検 討(山. な る 。 キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー と 割 引 率 を 求 め る 場 合,想. 口). 定 上 の 市 場(notionalmarket)㈹. を. べ 一 ス と す る こ と が 前 提 と さ れ る 。 市 場 と の 関 連 性 の 強 さ か ら 公 正 価 値 の 測 定 を み る と, 公 正 価 値 測 定 の 階 層 に 関 す る(イ)・(ロ)・(ハ)の も の は,(イ)の る が,フ. 三 つ の う ち,市. 場 との 関 連 性 の 最 も強 い. 市 場 価 格 で あ る。 公 正 価 値 の 測 定 に関 す る問 題 点 が 指 摘 され る可 能 性 は あ. ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 で は,完. が 客 観 的 な 測 定 を あ ら わ す と さ れ る 。 そ し て,さ. 備 さ れ た 市 場 の も と で,公. ら に 彼 ら の 所 説 は,公. 正 価 値. 正 価 値 が 市 場 参 加. 者 に と っ て 高 度 か つ 最 善 の 利 用 を 反 映 す る で あ ろ う と み る(49)。彼 ら に よ る 公 正 価 値 概 念 の 解 釈 を 捉 え る と き,公. 正 価 値 が 高 度 か つ 最 善 の 利 用 を あ ら わ す と す る 見 方 は,重. 要 な 位 置. を 占 め る もの とな る。 FASBに 取 引,す (引 受)あ. よ る 概 念 報 告 書 第7号. で は,公. 正 価 値 概 念 が,「. 自発 的 な 当事 者 間 の現 在 的 な. な わ ち 強 制 あ る い は 清 算 に よ る 売 却 以 外 の 取 引 に よ っ て,資 る い は 売 却(決. 済)で. るGl)。 か く て,公. 購 入. 念 報 告 書 第7号. の 定 義 は,IASBに. よ る公 正 価 値 の 定. 要 な 情 報 の 非 対 称 性 が 存 在 しな い こ と を 前 提 と す る も の で あ. 正 価 値 は,完. 備 され た市 場 に お け る 自発 的 当 事 者 間 の交 換 価 値 の概 念 に. 基 づ か さ れ て い る こ と と な る ⑫。 と こ ろ で,彼 対 価 で 測 定 さ れ る の で,取. 債)を. き る 金 額6① 」 と 定 義 さ れ て い る 。 フ ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッ. テ ィ ン ト ン の 所 説 に し た が え ば,概 義 と 類 似 す る も の で あ り,重. 産(負. ら の 所 説 に よ れ ば,公. 正 価 値 が,交. 換 され た. 引 コ ス トが 考 慮 に 入 れ ら れ て い な い と み る ㈹。 こ こ に 取 引 コ ス. ト の 問 題 が 提 起 さ れ る と 彼 ら は 指 摘 す る6の。 い ま ひ と つ,公. (48)Ibid.,p.127. フ ァ ン ・ ジ ル と ウ ィ ッテ ィ ン ト ン の 所 説 は,フ. 正 価 値 の 測 定 に あ た り,市. ォ ス タ ー 等 の 見 解 を 取 り あ げ,想. 場. 定上の市場の. 作 用 に 関 す る 仮 定 を 述 べ て い る 。 そ の 仮 定 は,次 の とお りで あ る。 ・資 産 の 購 入 者 は ,現 在 の 状 況 の な か で 資 産 を 利 用 す る 。 ・資 産 の 購 入 者 は ,高 度 か つ 最 善 の 利 用 に 資 産 を 用 い る で あ ろ う。(こ. の 仮 定 は,不 動産の よう な 固 定 資 産 に と っ て,特 に 重 要 で あ る 。) ・資 産 の 購 入 者 は ,利 用 上 に お け る 資 産 の 状 況 お よ び 不 確 実 性 に つ い て,合 理 的 な 情 報 を 得 る こ と が で き る 。(著 し い 情 報 の 非 対 称 性 は 存 在 し な い 。) ・資 産 の 購 入 者 は ,当 該 個 別 資 産 に 関 心 を 有 す る も の で あ る 。 ・資 産 の 買 主 と売 主 は ,彼 ら に と っ て 最 も有 利 な 市 場 で 取 引 を 行 う で あ ろ う。 J.M.FosterandW.S.Upton,MeasuringFairValue,FinancialAccountingStandards. Board,UnderstandingtheIssues,Vol.3,Series1,June2001,p.2. (49)VanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,p126. (50)FASB,StatementofFinancialAccountingConceptsNo.7UsingCashFlowInformationandPresentValueinAccountingMeasurements,FASB,2000,p。1.平 松 一 夫,広 会 計 の 諸 概 念 」(増 補 版)中 央 経 済 社,平 成14年,420頁 。 こ こ で は,上 記 の 文 献 が 概 念 報 告 書 第7号 と記 され て い る。 上 記 の 概 念 報 告 書 第7号. は,下. 記 の 文 献 に 収 録 され て い る。. StatementsofFinancialAccountingConcepts,JohnWiley&Sons,2000. (51)VanZijl,T.andG.Whittington,op.cit.,pp.126-127. (52JIbid.,p.127. (53)Ibid.,p127. (54)Ibid.,p.127.. 15(391). 瀬 義州 訳. 『FASB財. 務.

(16) 第55巻. 第2号. の 選 択 の 問 題 が あ る と 指 摘 さ れ る ㈲。. 2公. 正 価 値 概 念 の 拡 張 と剥 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説. フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ンの 所 説 に お い て は,取 題 を 取 り あ げ,公. 正 価 値 概 念 の 拡 張 が 提 案 され て い る。. 取 引 コ ス トの 問 題 は,特. に 有 形 固 定 資 産 に か か わ る 取 得 ・処 分 等 に お い て 重 要 な も の と. な る 。 フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 で は,公 価 が 主 要 な 論 点 と さ れ る の で,取 ば,公. 引 コ ス トの 問 題 と 市 場 選 択 の 問. 正 価 値 に 基 づ く有 形 固 定 資 産 の 評. 引 コ ス トの 問 題 が 重 くみ られ る こ と に な る 。 彼 ら に よ れ. 正 価 値 の 定 義 が 交 換 価 値 よ り も む し ろ 価 格 に 基 づ く も の で あ れ ば,あ. る取 引 コ ス ト. の 価 格 へ の 算 入 あ る い は 控 除 が あ り得 る こ と で あ る と さ れ る 。 そ れ ゆ え に,公 帳(取. 得)価. が 出 帳(処. 値 に 基 づ か さ れ る と き に は,す 分)価. べ て の 取 得 コ ス トの 加 算 を,ま. 値 に 基 づ か さ れ る と き に は,す. 正価値が入. た,公. 正価値. べ て の 処 分 コ ス トの 控 除 を 行 う こ と は,. 一 貫 し た 経 済 的 測 定 で あ る と す る 見 方 が 成 り立 つ こ と に な る. 。 こ の 見 方 に 立 っ て,取. 引 コ. ス トは 取 得 価 値 お よ び 処 分 価 値 を 評 価 す る た め に 考 慮 さ れ る と い う 仮 定 が お か れ る の で あ る ㈲。 か くて,彼. らの 所 説 は,こ. 市 場 選 択 の 問 題 に つ い て は,取 う ち,ど. の 仮 定 を も って 公 正 価 値 概 念 の 拡 張 とみ るの で あ る。 得(入. 帳)の. た め の 市 場 と 処 分(出. 帳)の. ち らを 選 択 す る か と い う こ と が 問 わ れ て い る 。 端 的 に い え ば,現. 購 入 市 場 と 売 却 市 場 の う ち,ど. で あ れ ば,最. 有 資 産 に関 わ る. ち ら を 選 択 す る か と い う 問 題 で あ る。 フ ァ ン ・ジ ル と. ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 に よ れ ば,利 市 場 で あ れ ば,最. た めの 市 場 の. 潤 極 大 化 を 志 向 す る 実 体 は,取. も 低 い 取 得 コ ス トの 総 計 を あ らわ す 市 場 を,処. 分(出. 得(入 帳)の. 帳)の. た めの. た めの 市 場. も 高 い 正 味 の 処 分 収 入 を あ らわ す 市 場 を 選 択 す る と い う 前 提 に よ っ て 市 場 の. 選 択 を 決 定 す る の で あ る か ら,市 価 値 の 測 定 に は,購. 場 間 の 選 択 は 容 易 で あ る と さ れ て い る㈱。 か くて,公. 正. 入 市 場 ・売 却 市 場 の 双 方 か ら市 場 価 格 が 得 ら れ る こ と と な る 。. 公 正 価 値 測 定 の 階 層 は,信. 頼 性 あ る適 切 な 情 報 を 求 め る と き に問 題 と され る。 信 頼 で き. る 市 場 価 格 が 資 産 の 取 得 と 処 分 の 両 方 に お い て 利 用 可 能 で あ り,か 市 場 価 格 が 異 な る と き,ど. つ 取 得 と処 分 に関 す る. ち らの 価 格 を 使 用 す べ き か に 関 す る 指 針 が 必 要 と な る 。 こ こ に. 指 針 と な る も の が,「 高 度 か つ 最 善 の 利 用 」 と い う 用 語 で あ る融。 「高 度 か つ 最 善 の 利 用 」 に 関 して は,現. 有 資 産 の 市 場 か ら得 られ る 売 却 価 格 で も っ て,獲. ㈲Ibd.,p.127。 (56)Ibid.,p.128. (57)Ibd.,p.128。 (58)Ibid.,p.128. 16(392). 得可能な高度かつ最善の.

(17) 会 計 上 の 価 値 概 念 に関 す る再 検 討(山. 口). 利 用 が 反 映 さ れ る と す る 見 方 が あ る 。 売 却 価 格 の 適 用 に つ い て は,そ 価 値 に 関 す る 解 釈 と して は 妥 当 す る け れ ど も,有. れが金融商品の公正. 形 固 定 資 産 の 評 価 に関 す るす べ て の 場 合. に は適 切 で な い もの とな る。 剥 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説 で は,図 >RCの. 状 況 に お い て,現. 表1-2の(1),(2),(4)の3つ. 有 資 産 に 関 連 す る もの は 正 味 実 現 可 能 価 値 で あ る と す る 主 張 が. 行 わ れ る 。 ま た,(6)RC>NRV>UVの る 。 言 い 換 え れ ば,現. ケ ー ス に つ い て も,正. 味実 現 可 能 価 値 が 適 用 され. 有 資 産 の 最 も 高 度 か つ 最 善 の 利 用 を あ ら わ す 測 定 が,正. 価 値 で あ る と さ れ る(59)。 そ れ ゆ え に,(1),(2),(4)お 用 さ れ る こ と か ら,こ. の ケ ー ス に み ら れ るNRV. の4つ. の ケ ー ス は,測. よ び(6)の ケ ー ス に 正 味 実 現 可 能 価 値 が 適. 定 属 性 の 視 点 か ら金 融 商 品 の 公 正 価 値 に 関 す. る 正 味 売 却 価 格 の 適 用 の 考 え 方 に 一 致 す る と み られ る の で あ る 。 こ こ に,彼 み る と,剥. 味実現可能. らの 立 場 か ら. 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説 と 公 正 価 値 は 調 和 の 方 向 に あ る と い う 見 解 が 成 り立 つ の. で あ る。 しか しな が ら,有. 形 固 定 資 産 の 評 価 に つ い て は,正. 適 切 と す る ケ ー ス が あ る 。 そ れ は,図 NRVの2つ. 味 実 現 可 能 価 値 に よ る資 産 評 価 を 不. 表1-2の(3)UV>RC>NRVと(5)RC>UV>. の ケ ー ス を さ す 。 フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン ト ン の 所 説 は,(3)の 場 合 に 取 替. 原 価 を,(5)の ケ ー ス に 使 用 価 値 を 選 択,適 な か で,正. 表1-2の6つ. 味 実 現 可 能 価 値 が 最 小 値 を 示 す ケ ー ス で あ る 。 ま た,(3)と(5)の. にNRV<RC,UVの. の ケ ー スの ケ ー ス は,と. も. 状 況 下 に あ る。 し た が っ て,現 有 資 産 の 最 も高 度 か つ 最 善 の 利 用 は,. 利 潤 極 大 化 の 仮 定 に よ っ て 推 論 さ れ,そ. 3フ. 用 す る 。(3)と(5)は,図. の 結 果,正. 味売 却 価 値 が適 用 され な い こ と とな る。. ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 の 特 徴 と そ の 問 題 点. フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン の 所 説 の 検 討 に 先 立 っ て,ボ と っ て の 価 値 」 に 関 して,二. ン ブ ラ イ トの. 「所 有 主 に. つ の 異 な る 解 釈 か らみ る こ と と す る 。 な ぜ な ら,彼. 剥 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説 を 吟 味 す る 場 合,ボ. ン ブ ラ イ トの. らによる. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 に 関. す る 二 つ の 解 釈 は 重 要 な 視 角 を 形 成 す る も の と な る か らで あ る 。 さ て,ボ. ン ブ ラ イ トの 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 に は,二. る(s① 。 そ の 一 つ は,実. 質 的 所 有 価 値(spを も っ て. つ の 異 な る解 釈 が あ げ られ. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 と す る 解 釈 で あ. (59)Ibid.,p.129. (60)ボ ン ブ ラ イ トに よ る 「所 有 主 に と って の 価 値 」 の 二 つ の 異 な る解 釈 につ い て は,下 記 の 拙 稿 が ベ ー ス と され て い る。 山 口忠 昭 「物 価 変 動 下 にお け る剥 奪 価 値 説 の 検 討 」 「會 計 」 第150巻 第2号 8月 ・9月)。 6D中. 野. 勲 「会 計 測 定 論. 不信解消会計の構築 17(393). ・第3号(平. 」 同 文 舘,昭 和62年,83-84頁. 。/. 成8年.

(18) 第55巻. 第2号. る 。 実 質 的 所 有 価 値 と す る 解 釈 に よ る と,現 よ っ て,資 り,あ. 実 に 当 該 資 産 を 所 有 し て い る と い う事 実 に. 産 を剥 奪 され た場 合 に生 ず る と予 測 され る取 替 支 出が 回 避 され る とみ る。 つ ま. る 財 の 所 有 に よ っ て 避 け ら れ て い る 損 失 価 値 が,そ. す る こ と に よ る 有 利 さ)を 支 出 の 測 定 に,取. の 財 の 積 極 的 価 値(資. 産 を 所 有. あ らわ す と み る の で あ る 。 資 産 の 所 有 に よ っ て 回 避 さ れ た 取 替. 替 原 価 が 適 用 さ れ る(67J。取 替 原 価 の 適 用 は,資. 産 を所 有 す る こ と に よ る. 有 利 さ が,取. 替 原 価 に よ って 表 現 され て い る こ とを 意 味 す るの で あ る。 剥 奪 価 値 説 の 説 明. に あ た り,バ. ク ス タ ー の 所 説 で は,資. を 比 較 す る と き,ど え 方 は,限. 産 を 有 す る 場 合 と,資. 産 を 有 して い な い 場 合 の 予 算. の よ うな 相 違 が 生 ず るか と い う考 え 方 が ベ ー ス と され て い る。 この 考. 界 ア プ ロ ー チ あ る い は 限 界 思 考(marginalthinking)と. 彼 の 剥 奪 価 値 説 を 理 解 す る う え で,き. 呼 ば れ る も の で あ り,. わ め て 重 要 な 位 置 を 占 め る も の で あ る ㈹。 「所 有 主 に. と っ て の 価 値 」 を 実 質 的 所 有 価 値 と し て 解 釈 す る 見 解 は,バ ズ,イ. ク ス タ ー を は じ め,ソ. ロモ ン. デ ィ等 に よ って 支 持 され て い る もの で あ る。. ち な み に,ラ. イ ト は,機. 会 原 価 の 逆 の 概 念 と し て,機. 会 価 値(opportunityvalue)な. る 概 念 を 説 く 御。 機 会 価 値 に つ い て は,「 企 業 に よ っ て 所 有 さ れ て い る 資 産 の 企 業 に と っ て の 機 会 価 値 は,企. 業 が い ま だ 当 該 資 産 を 所 有 し て い な か っ た と す れ ば,企. ら な い は ず の コ ス ト,損 替 案 の う ち,最. 失 あ る い は 犠 牲 で あ る 。 そ れ は,資. 産 所 有 を 通 して 回 避 さ れ た 代. も コ ス ト の か か ら な い も の に よ っ て 測 定 さ れ る ㈹」 と す る 。 し た が っ て,. ラ イ トの 説 く 機 会 価 値 は,現. 実 に 当 該 資 産 が 所 有 さ れ て い る と い う 事 実 に よ っ て,回. れ う る 最 小 の 犠 牲 と し て 把 握 で き る ㈹。 バ ク ス タ ー の 見 解 で は,機 \. 業 が 被 らね ばな. 実 質 的 所 有 価 値 の 内 容 に 関 し て は,「 一 言 に し て い え ば,彼 な 意 味 で の 現 状 復 帰 を 考 え て お り,か る た め の 必 要 支 出 額 を も っ て,剥. か る 実 体 資 本 維 持(な. 等 は,仮. 会 価 値 概 念 が. 避 さ. 「所 有 主. 定 的 剥 奪 に さい して 物 財 的. い し 実 物 資 本 維 持)を. 奪 損 失 と考 え るわ けで あ る。 そ こで これ を. 達 成 ・回 復 す. 『実 質 的 剥 奪 価 値 』. な い し 「実 質 的 所 有 価 値 」 と 名 づ け る こ と が で き よ う 。 所 有 価 値 と 呼 ぶ 理 由 は,も. ち ろ ん,こ. の. 価 額 は,現 実 に は 当 該 財 が 失 わ れ て い な い こ と に よ り,剥 奪 さ れ た 場 合 に 比 し て,享 受 しえ て い る,実 体 資 本 維 持 の 観 点 か ら み た 貨 幣 節 約 額 を 表 現 し て い る か ら で あ る 」(同 上 書,83-84頁)と され る。 (62JW.T.Baxter,AssetValues"Goodwill"andBrandNames,OccasionalResearchPaperNo. 14,CharteredAssociationofCertifiedAccountants,1993,pp.5-8. W.T.Baxter,AssetandLiabilityValues,Accountancy,April1994,pp.135-136. な お,上. 記の文献. 〔1993〕 は バ ク ス タ ー の. 『会 計 理 論 』 と 題 す る 著 書 に 収 録 さ れ て い る 。. W.T.Baxter,AccountingTheory,Garland,NewYork・London,1996,pp.19-57. (63)W.T.Baxter,op.cit.,1971,p.43. W.T.Baxter,DecisionBudget-theoryandIllustrations,inOsamuKojima,(ed.),StudiesintheBusinessEconomics,DaigakudoShoten,Kyoto,1977,p.10. W.T.Baxter,AccountingResearch-AcademicTrendsversusPracticalNeeds,TheInstituteof AccountantsofScotland,Edinburgh,1988,p.14. ㈹F.K.Wright,TowardsaGeneralTheoryofDepreciation,JournalofAccountingResearch,Spring1964,p.82. ㈲F。K.Wright,CapacityforAdaptationandtheAssetMeasurementProblem,Abacus, August1967,p.76. (66)F.K.Wright,AssetValuesandEnterpriseIncome,inW.T.BaxterandS.Davidson,T 18(394).

(19) 会 計 上 の 価 値 概 念 に関 す る再 検 討(山 に と っ て の 価 値 」 を 的 確 に 説 明 して い る と して,ラ. 口). イ トの 所 説 に 賛 同 す る 立 場 が と ら れ て. い る ㈹。 い ま 一 つ の 解 釈 は,潜. 在 的 利 用 価 値 を も って. 利 用 価 値 と す る 解 釈 で は,資. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 と み る 。 潜 在 的. 産 が 剥 奪 さ れ た 場 合,失. わ れ た資 産 そ れ 自体 か ら得 る こ とが. 可 能 で あ っ た は ず の 最 大 収 入 額 が 測 定 さ れ る こ と と な る 。 こ こ で 最 大 収 入 額 と は,使 値(UV)ま. た は 正 味 実 現 可 能 価 値(NRV)を. み る と,チ 在 価 値(使. 用価. さす 。 潜 在 的 利 用 価 値 とす る解 釈 につ いて. ェ ン バ ー ス の 見 解 で は,「 所 有 主 に と っ て の 価 値 」 に 関 す る 測 定 概 念 を 正 味 現 用 価 値)に. 求 め る 立 場 が と られ て い る ㈹。 吉 田 は,「 資 産 が 企 業 に も た ら す 価 値. は,資. 産 の 利 用 か ら得 られ る と 予 想 さ れ る 利 得 に よ っ て 定 量 化 せ ね ば な ら な い 。 した が っ. て,も. しわ れ わ れ が 資 産 の 企 業 価 値 を 定 量 化 し よ う と 思 え ば,わ. 価 値(PresentValue)を. 見 積 ら ね ば な ら な い(69)」と さ れ,潜. が 示 さ れ て い る 。 さ ら に ま た,グ. れ わ れ はそ の 資 産 の 現 在. 在 的 利 用 価 値 に 関 す る解 釈. レ イ と ウ ェ ル ズ の 所 説 に お い て は,ソ. ロ モ ン ズ,パ. カ ー ・ハ ー コ ー トに よ る 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 に 関 す る 見 解 を 批 判 し,正. ー. 味実現可能. 価 値 の 適 用 の 重 要 性 が 説 か れ て い る ㈹。 ボ ン ブ ラ イ トの. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 に 関 す る 二 つ の 異 な る 解 釈,す. な わ ち,実. 質. 的 所 有 価 値 と 潜 在 的 利 用 価 値 の 観 点 か ら フ ァ ン ・ジ ル と ウ ィ ッ テ ィ ン トン に よ る 剥 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 説 を 捉 え る と,次. の よ う に な る 。 そ れ は,剥. して 捉 え る 考 え 方 に 対 して,剥. 奪 価 値 概 念 の 解 釈 に 関 す る 潜 在 的 利 用 価 値 を 重 視 し,売. 時 価 説 の 発 想 を 取 り入 れ た と こ ろ に,彼 な わ ち,彼. らの 所 説 は,ボ. ン ブ ラ イ トの. 「所 有 主 に と っ て の 価 値 」 に 関 す る 解 釈 の う ち, 奪 価 値 概 念 の 再 解 釈 と いえ る。 彼 ら. 味 実 現 可 能 価 値 に 基 づ く資 産 評 価 を 重 くみ る こ と に よ り,公. 概 念 の 内 容 に 接 近 し,剥. 却. らに よ る所 説 の 独 自性 が み られ る こ とで あ る。 す. 潜 在 的 利 用 価 値 の 視 点 か ら資 産 評 価 を 論 じ た 点 で,剥 の 所 説 に お い て は,正. 奪価値概念を実質的所有価値 と. 正価値. 奪 価 値 と公 正 価 値 の 調 和 を 図 ろ う とす るユ ニ ー クな 試 み が 展 開 さ. れ るの で あ る。 \(eds ,),StudiesinAccounting,ICAEW,London,1977,pp.197-198. ㈲W.T.Baxter,op.cit.,1975,p.144. (68)R.J.Chambers,SecondThoughtsonContinuouslyContemporaryAccounting,Abacus,September1970,p.44. R.J.Chambers,ValuetotheOwner,Abacus,June1971,p.64. (69)H.Yoshida,ValuetotheFirmandtheAssetMeasurementProblem,Abacus,June 1973,p.21. 吉 田 寛 「会 計 学 ・研 究 ノー ト」 中 央 経 済 社,昭 和52年,112頁 。 (70)S.J.GrayandM.C.Wells,AssetValuesandexpostIncome,AccountingandBusiness Research,Summer1973,pp.163-167. S.J.GrayandM.C.Wells,AFurtherCommentonAssetValuesandIncomeMeasurement,AccountingandBusinessResearch,Spring1975,pp.91-95. 19(395).

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