• 検索結果がありません。

八代集離別歌羈旅歌考

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "八代集離別歌羈旅歌考"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)文 学 ・芸 術 ・文 化6巻1号1994.11. 八 代 集 離 別 歌 羈 旅 歌 考. はじ め に. そ し て万葉 時 代 の旅 は 、. 村. 瀬 憲. 夫. 旅 と い へば 言 にそ やす きす べも な く 苦 し き 旅 も 言 に. ( 万 葉 集 巻 十 五 ・三六 七 四 、遣 新 羅 使 大 判 官 ). 草 枕 旅 を 苦 し み恋 ひ居 れ ば 可也 の山 辺 に さ男 鹿 鳴 く. ま さめ や も (万 葉 集巻 十 五 ・三七 六 三、 中 臣 宅 守 ). も. は、 行 幸 従 駕 のよ う な 晴 れ 晴 れ と し た旅 、 官 人 と し て の. と いう 歌 が 示 す よ う に、 基 本 的 に は ﹁苦 し い ﹂ も の で. 万 葉 集 に は多 く の旅 の歌 が 収 め ら れ てい る。 万 葉 び と. の旅 、 あ る いは 私 的 な 用事 で の旅 な ど な ど 、 様 々な 旅 を. 役 目 を 帯 び て の旅 、 ま た 例 え ば防 人 の よう に徴 用 さ れ て. う に、 未 知 の経 験 に属す る面 が 多 け れ ば 、 そ れ だ け そ の. 限り 、 旅 はし な か った の であ ろ う。 当 時 の旅 が 、 こ のよ. あ った。 従 って、 万 葉 び と は よ んど こ ろな い用 事 が な い. (万葉 集 巻 三 ・四五 一、 大 伴 旅 人 ). 人 も な き 空 し き家 は草 枕 旅 にま さ り て苦 し か り け り. 感 動 も ひと し お であ った ろ うし 、 ま た 都 を 離 れ てい る期. した。また. 旅 と 言 へど真 旅 にな り ぬ家 の母 が 着 せ し 衣 に垢 つき. そ の最 た る特 徴 は個 々 の歌 が 臨 場 感 を 色 濃 く留 あ て いる. こ のよ う な 旅 の 万葉 歌 は様 々な 特 徴 を 有 し てい るが 、. 然と言えよう。. も 様 々 であ った ろ う。 万葉 集 に旅 の歌 が 多 い のも 蓋 し 当. 間 が 全 て旅 であ った のだ か ら 、 そ の間 にわ き起 こる感 興. (万 葉 集 巻 二 十 ・四 三 八 八 、占 部 虫 麻 呂 ︹ 防 人 ︺). にかり. の歌 が 示 す よう に、 当 時 の旅 は、 地 方 の役 人 と し て赴 任 地 に住 ん で い る期 間 も 旅 であ った 。 結 局 、 都 を離 れ てい る期 間 全 てが 旅 であ った の であ る 。. 一1一.

(2) と い う こ と であ る 。 確 か に万 葉 の旅 の歌 と言 えど も 、 現 地 に立 って詠 じ て いる も のば か り では な い。 机 上 で の想. 表 中 の各 歌 集 欄 の上 段 の丸 囲 み の数 字 は巻 次 、 下 段 の. く は 四季 の部 と 恋 の部 と の間 に位 置 し、 直 接 的 に は ﹁賀. ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈旅 歌 ﹂ の部 立 は、 ﹃古 今 集 ﹄ では、 大 き. 数字は所収歌数を示す。. 万葉 の旅 の歌 に は、 現 地 で の生 の雰 囲 気 を 湛 え てい るも. 像 の歌 も あ れば 、 創 作 の歌 も あ る 。 し か し総 体 的 に は、. に置 か れ 、 集 の末 尾 部 に位 置 す る 。 し かも 離 別 歌 と 羈 旅. 集 ﹄ と は大 き く 異 な り 、 ﹁雑 ﹂ (一∼ 四) 部 の次 の巻 十 九. 歌 ﹂ の部 立 の次 に置 か れ て いる 。 ﹃後 撰集 ﹄ で は、 ﹃古 今. では こ の旅 の歌 は、 時 代 が 降 る に つれ て、 ど のよ う に. のが 多 い こと は間 違 いな い。. 変 わ って いく のであ ろう か 。 万 葉 集 の旅 の歌 を 視 野 に置. 歌 と は 同 一の巻 (﹁離 別 ﹂ は前 半 、 ﹁羈旅 ﹂ は後 半 ) の中. (1 ). き な が ら 、 八 代 集 に収 め ら れ た ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂ の. ⑨ ⑧ 後 拾 36 39 遺  . 一. 一. 一. 珍 34. 遺 一 一 一. 一. 一.  . 一. ⑩ ⑨新 古 94 39 今.  .   一.  .  . 一. 一. 一. 一 一. 一. 一. ⑥ 拾 遺 53 集 一 一 一. 一. 一. 一. 一. 一. ⑧ ⑦千 載 47 22 集. 一. だ ﹁羈 旅 ﹂ 部 の 後 に ﹁哀 傷 ﹂ 部 が 続 い て い て、 ﹃古 今. ﹃後 拾 遺 集 ﹄ は、 ﹃古 今 集 ﹂ の部 立 順 に同 じ であ る。 た. る内 容 であ るが 、 ﹁別 ﹂部 に散 在 し て いる に過 ぎ な い)。. (二 〇六 、 二 二 三、 二 二六 、 二 二七 番 歌 は 羈 旅歌 に 属す. じ であ る。 た だ ﹃拾 遺 抄 ﹄ では 羈 旅 歌 群 は 見 ら れ な い. は、 部 立 順 も ﹁羈 旅 ﹂ 部 を 欠 く こと も 、 ﹃拾 遺 集 ﹄ と 同. 集 ﹄ と 似 通 った 形 態 であ る と 言 え る。 ﹃拾 遺 抄 ﹄ ( 十巻 ). が 同 一の巻 に 収 め ら れ て い る と い う 意 味 で は、 ﹃後 撰. 内 容 は 羈 旅 歌 であ る 。 従 って、 離 別 歌 群 と 羈 旅 歌 群 と. 尾 部 (三 三九 ∼ 三 五 三 番 歌 、 三 四 七 番 歌 は 除 く ) は 、. が 、 ﹁羈 旅 ﹂ の部 立 が 存 在 し な い。 ただ し 、 ﹁別 ﹂ 部 の末. ﹁賀 ﹂ ﹁別 ﹂ と な って い て、 ﹃古 今 集 ﹄ の部 立 順 に等 し い. に収 め ら れ て いる 。 ﹃拾 遺 集 ﹄ では 、 四季 の部 に続 い て. 旅 別. 一2一. 特 色 を 追 ってみ た い。. 一. 一. 一.  . 一.  . 一  . 一.  . 塔. 八 代 集 にお い て、 ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅歌 ﹂ は ど の よう な 位. ⑲ ⑲ 後 撰 18 46 集  . 一. 一. 一. 一. 一.  . 一. 一. 一. ⑥詞 花 15 集. ⑨ ⑧ 古 今 16 41 集 _一. 一 一.  . 一.  . ⑥金 葉 16 集  . ⑥. 置 にあ る のか を 先 ず 見 てお こう 。. 羈 離. 村瀬 八代集離別歌羈旅歌考.

(3) 文 学 ・芸 術 ・文化6巻1号1994.11. 集 ﹄ の場 合 は ﹁物 名 ﹂ 部 が続 く 点 が 異 な る。 ﹃金 葉 集 ﹄ (十 巻 ) は、 四 季 の部 と 恋 の部 と の間 に ﹁賀 ﹂ ﹁別 ﹂ 部 が あ って、部 立 配 列 の基 本 は ﹃古 今 集 ﹄ 以来 の伝 統 を 引. 兼覧王. 秋 萩 の花 を ば 雨 に濡 ら せ ども 君を ば ま し てを し と こ そ思 へ とよめりける返し. き 継 ぐ 。 ﹃詞 花 集 ﹄ (十 巻 ) の部 立 順 は 、 ﹃金 葉 集 ﹄ と 同. にけ る. ( 古 今 集 巻 八 ﹁離 別 歌 ﹂、 三 九七 ・三九 八 ). を し む ら む 人 の心 を知 ら ぬま に秋 の時 雨 と身 ぞ ふ り. ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂ ﹁哀 傷 歌 ﹂ と が 置 か れ て い る。 ﹃新. 一で あ る 。 ﹃千 載 集 ﹄ は 、 四 季 の部 と 恋 の部 と の間 に. 古 今 集 ﹄ は、 四季 の部 と 恋 の部 と の 間 に ﹁賀 歌 ﹂ ﹁哀 傷. にか き つけ け る. 亭 子 のみ か ど おり ゐた ま う け る 秋 、 弘徽 殿 の壁. み か ど御 覧 じ て御 返 し. な にか 悲 しき. 別 る れ ど あ ひ も惜 しま ぬも も し き を 見ざ らん こと や. 伊勢. 歌 ﹂ ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂ の各 部 が 置 か れ て い て、 ﹃千 載. ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂ 各 部 の所 収 歌 数 は 、 表 に見 る通. 集 ﹄ とも 少 し 異 な る。. り であ る。 ﹃古 今 集 ﹄ か ら ﹃詞花 集 ﹄ ま で は、 ﹁離 別 ﹂歌. も な ど か 見ざ ら ん. 身 ひ と つにあ ら ぬば か り を お し な べ て行 き め ぐ り て. ﹃後 拾 遺 集 ﹄ は両 者 の 歌 数 は伯 仲 し て い る )。 それ に対. (後撰 集 巻 十 九 ﹁離 別. の 方 が 圧 倒 的 に多 い こと は 一目 瞭 然 であ る (た だ し、. し て、 ﹃千 載 集 ﹄ と ﹃新 古 今 集 ﹂ は 両 者 の歌 数 が 逆 転 す. ﹃古 今 集 ﹄ は こ の他 に、 三 九 九 番歌 、 そし て三 九 二番. 羈 旅 ﹂、 =二二 二 ・ = 二二 三). ると いう 変 化 が 見 ら れ 、 両 集 に 至 って、 ﹁羈 旅 ﹂ 歌 が 重. と 言 えな い こと も な い) が 、 旅 の離 別歌 と し は 異 質 であ. 歌 か ら 三九 五番 歌 (こ の 四首 は ご く 近 距離 の旅 の折 の歌. な お 、 そ の数 は わ ず か では あ る が 、 旅 を契 機 とし て の. 視 さ れ る よ う にな った こと が 分 か る 。. る。 拾 遺 集 以降 は こう い った 種類 の歌 は収 め ら れ ていな. い。 ﹁離 別 歌 ﹂部 が 一層 整 備 さ れ 、旅 の離 別 歌 と いう 純. ﹁離 別 ﹂ では な い歌 が あ る 。. 粋 性 を 備 え る に いた った と 言 え る。. 以上 、 部 立 の有 無 、 所 収 歌数 の多 寡 と いう 、 歌集 の編. て、 雨 のい た く降 り け れ ば 、夕 さり ま で侍 り て 貫之. 雷 鳴 の壺 に召 し た り け る 日 、大 御 酒 な ど たう べ. ま か り い でけ る折 に 、盃 を と り て. 一3一.

(4) 纂と いう面 から、八代集 における ﹁ 離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂. ﹃千 載 集 ﹄ と ﹃新 古 今 集 ﹄ に至 って、 ﹁羈 旅 歌 ﹂ に 重 き. の特 色 を 見 た。 全 般 的 に ﹁離 別 歌 ﹂ が 優 勢 であ る が 、. う。 前 者 は 、 旅 にあ る 男 ( 女 の場 合 も あ る ) が家 郷 に残. 部 立 の う ち の ﹁羈 旅 発 思 ﹂ ﹁悲 別 歌 ﹂ に 当 た る で あ ろ. 聞往 来 歌 類 之 下 ﹂ と い う標 題 を 持 つ巻 であ る ) の 五 つの. と す れ ば 、 万葉 集 巻 十 二 (﹁万 葉 集 目 録 ﹂ で は ﹁古 今 相. さ て、 八代 集 の こ の両 部 立 の先 躍 を 、 万葉 集 に求 め る. 意 味 では 必 ず しも な い。 旅 中 の詠 と し て表 現 さ れ て い る. 机 上 詠 ・観念 詠 も 多 い故 、 そ の土 地 に立 っての詠 と いう. と ﹁詠 歌 地 ﹂ (そ の歌 が 詠 ま れ た 土 地 。 も ち ろ ん 題 詠 ・. 部 、 ﹁羈 旅 歌 ﹂部 のそ れ ぞ れ に つい て、 旅 の ﹁目 的 地 ﹂. て い る のか を 、 通 覧 し て み た い。 八 代 集 の ﹁離 別 歌 ﹂. ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈旅 歌 ﹂ は 、 ど のよ う な 土 地 が 対 象 と な っ. 次 に、 や は り 外 的 な 面 で の概 観 に な る が 、 八 代 集 の. し てき た 妻 ( 夫 )・恋 人 を 恋 し く 思 う気 持 を 述 べ た歌 、. 土 地 と いう 意味 で用 いた ) と に分 け て列 挙 す る 。地 名 の. が 置 か れ て い る こ と は注 目 に値 す る 。. 後者 は 旅 立 ち に際 し て、 そ の別 れを 悲 し む 女 の歌 、 あ る. 回 を 意 味 す る 。 な お、 二首 一組 を な す 贈 答 歌 の場合 は 、. 下 の数 字 は 回数 を 示 し 、 数 字 の記 さ れ て いな い のは 、 一. を 、 主 と し て収 め て いる 。 両 部 の所 収 歌 数 は 、 ﹁羈 旅 発. 両 首 で 一回 と 数 え た。 ま た、 例 え ば ﹃古 今 集 ﹄ ︻離 別. い は 旅 行 く 夫 の安 否 を 気 遣 い、 夫 への恋 し さ を 詠 む 歌. 思 ﹂ が 六 三 首 、 ﹁悲 別 歌 ﹂ は 三 一首 で あ り 、 ま た 配 列 順. く東 ( あ づ ま ) に入 る の であ る が 、 詞 書 等 を 尊 重 し て、. ﹁武 蔵 国 ﹂ と が 別 に列 挙 し てあ る 。 常 陸 国 も 武 蔵 国 も広. 強 い て纏 あ る こと を せず に、 別 に掲 げ てお いた 。 他 も 同. 歌︼ の ︹ 目 的 地 ︺ の項 で、 ﹁東 ( あ づ ま )﹂ と ﹁常 陸 国 ﹂. のそ れ と の異 同 は、 後 に触 れ る が 、部 立 と いう 面 で、 万. 様 であ る。. 序 は ﹁羈 旅 発 思 ﹂ の方 が ﹁悲 別 歌 ﹂ に先 だ ってお り 、 八. 葉 集 の こ の 二部 立 は、 八 代 集 の二部 立 の創 出 に 一定 の影. 代 集 の場 合 と 異 な る。 所 収 歌 の内容 的 な 面 で の、 八 代 集. 響 を 及 ぼ し て い ると 言 え よ う 。. 一4. 村瀬 八代集離別歌羈旅歌考.

(5) 圓 ︻離 別 歌 ︼ ︹ 目 的 地 ︺ 東 (あ づ ま ) 4、 越 国 4、 筑 紫 2、 陸 奥 国 2、 山 (比 叡 山 ) 2、 因幡 国 、近 江 国 、 常 陸 国 、 武 蔵 国 、 花 山 、 布 留 (大和 国 )、 志 賀. 山崎. ︹ 詠 歌 地 ︺ か へる 山 2 、 逢 坂 関 2、 白 山 2、 音 羽 山 、. ︻羈 旅 歌 ︼ ︹ 目 的 地 ︺東 4 、 唐 国 、隠 岐 国 、 越 国 、 甲 斐 国 、 但 馬. か さ と り 山 、 し の ぶ の 里 、 あ ひ つ の 山 、 つる が の. 山、 か へる の山 、 天 の川. ら の関 、 天 の川. ︹ 詠 歌 地 ︺ 初 瀬 川 、 た は れ島 、 ひぐ ら し の山 、 あ し が. 国、 白 山 、 初瀬 、宇 治. ︹目 的 地 ︺ 土 左 国 2 、 宮 の滝 2 、 東 2 、 遠 江 国 、 陸 奥. ︻羈 旅 ︼. 圏 ︻別 ︼. 宰府 、筑 紫 、 信 濃 国 、 参 河 国 、 斎 宮. ︹ 目 的 地 ︺ 陸奥 国 4、 東 2、 豊 前 国 2 、 肥後 国 2、 太. ︹ 詠 歌地 ︺逢 坂 関 2、 し か す が の渡 し 、 八橋 、 さら し. な の山 、 か め 山 、 いき の松 原 、 白 河 関、 武 隅 松. ︹ 詠歌 地 ︺ 浜 名 の橋 、 た み の の島 、 い な み野. ︹ 目的 地 ︺筑 紫 2、 唐 国 2 、 大 隅 国 、難 波 、 太 宰 府. ︻(羈旅 )︼. 團. 一5一. 国 、奈 良 ( 大和 国) ︹ 詠 歌 地 ︺ 手 向 山 2、 みか の原 、 泉 川 、鹿 背 山 、 明石 浦 、 八橋 、 隅 田川 、 白 山 、 ふ た み の浦 、天 の 川. ︹ 詠 歌 地 ︺ 逢坂 山 、 ふ た み山 、 あ さま の山 、 不 破 関 、. 国 、 筑紫. 下 野 国 、 甲 斐 国 、 伊 豆 国 、信 濃 国 、 美 濃 国 、 因 幡. ︹ 目 的 地 ︺ 陸 奥 国 4、 伊 勢 国 3 、越 国 2、 出 羽 、 東 、. ︻離 別 ︼. 圏. 文 学 ・芸 術 ・文 化6巻1号1994.11.

(6) な の山 、 か め 山 、 いき の松 原 、白 河 関、 武 隅 松. ︹ 詠 歌 地 ︺ 逢 坂 関 2 、 し かす が の渡 し、 八橋 、 さら し. 紫. 出 羽 国 、 備後 国、 丹 後 国 、 斎 宮 、 東 、 太 宰 府 、 筑. ︹ 目 的 地 ︺ 陸 奥 国 3、 豊 前 国 2、 参 河 国 2、 信 濃 国 、. ︻別 ︼. 團 ︻別 ︼. 予 国 2、 越 後 国 、 筑 後 国 、 肥 後 国 、 能 登 国 、讃 岐. ︹ 目的 地 ︺ 筑 紫 6、 陸 奥 国 4 、 唐 国 3 、 遠 江 国 2、 伊. 国 、伊 賀 国 、 出 雲 国 、 対 馬 国 、 東. 関 、宇 佐 、 松 山. ︹ 詠 歌 地 ︺ 逢 坂 関 2、 末 の 松 山 2、 難 波 堀 江 、 白 河. ︹ 目 的 地 ︺ 筑紫 7、 熊 野 3、 摂 津 国 2、 播 磨 国 2 、 東. ︻羈 旅 ︼. 2、 参 河 国 、和 泉 国 、 近 江 国 、 尾 張 国 、 下 野 国 、 陸 奥 国 、 出 羽 国 、 出 雲 国 、 伊 予 国 、 越 後 国、 石 山、初瀬. 圏. や 、 葦 の 屋 、 鏡 山 、 関 山 、 す のま た 、 信 濃 の御. ︹ 詠歌 地 ︺ 明 石 3 、逢 坂 関、 走 井 、 吹 上 浜 、 堀 江、 こ. 坂 、 う る ま 、 浜 名 の橋 、 し か す が の渡 し 、 白 河. 関 、 き さ 潟 、 須 磨 の浦 、 さ や か た山 、 を ば す て 山. ︹ 詠 歌 地 ︺ 逢 坂 関 、 を の のふ る 江. 国、対馬国、太宰府. ︹ 目 的 地 ︺ 筑 紫 2、 陸 奥 国 2、 丹 後 国、 大 隅 国 、 伊 勢. ︻別 ︼. 圏 ︹ 詠歌 地 ︺ いき の松 原. 向 国 、 唐 国 、東 、斎 宮. ︹目的 地 ︺ 陸奥 国 3、 太 宰 府 3、 伊 予 国 、加 賀 国 、 日. ︻別 ︼. 團. 6一. 村瀬. 八代集 離別 歌羈旅歌考.

(7) ︻離 別歌 ︼. 国、土左国、越国、唐国、熊野、宇佐. ︹ 目 的 地 ︺ 太 宰 府 2、 京 (→ 太 宰 府 、 筑 紫 ) 2 、越 前. ︹ 詠 歌 地 ︺ いき の松 原 、 か へる 山 、 を ば す て山 ︻羈 旅 歌 ︼ ︹ 目 的 地 ︺ 東 2、 丹 後 国 、 美 濃 国 、 下 野 国、 尾張 国 、. ︻羈 旅 歌 ︼. ︹目 的 地 ︺ 東 5 、 初 瀬 3 、 伊勢 国 2、 唐 国 2 、 天王 寺. (→筑 紫 ). 2 、 和 泉 国 、 信 濃 国 、摂 津 国、 陸 奥 国 、 越 国、 熊. 野 、 平 城 宮 、たなかみ ( 田上 )、京 ︹ 詠歌地︺. (の 浜 荻 ) 4 、. の松 原 、 明 石 の門、 浅 間 の岳 、 猪 名 野 、有 間 山 、. (を じ ま ) 2 、 難 波 浦 2 、 わ か の 松 原 、 御 津. さ や の 中 山 5 、 宇 津 の山 4 、 伊 勢. ︹ 詠 歌 地 ︺ 須 磨 (関 、浦 ) 4 、逢 坂 関 3、 さ や の中 山. 日根 、 園 原 、 し き つの 浦 、 太 山 、 と ふ の浦 、 岩. 松島. 2 、 伊 勢 、 天 の橋 立 、 あ つ さ の 山 、 住 吉 ( 松 )、. 代 、 三 輪 の 檜 原 、 いな ば の 山 、 清 見 潟 、 末 の 松. 斎 宮 、 高 野 (紀 伊 国 )、 京 (→ 大 隅 国 ). 忘 れ井 、 しき つの浦 、 つも り の沖 、 野 島 が 崎 、 不. 山 、 し の ぶ の浦 、 竜 田 山 、 明 日 香 川 、 き さ 潟 、 富. と は、 ︹ 目 的 地 ︺ と し て は、 陸 奥 国 ・筑 紫 ・東 (あ づ. 一7一. 破 の関 、 さ つま潟 、 白 河 関. 士、江 口. 各 歌 集 にお け る地 名 及び そ の詠 出 回 数 が 、 そ の歌 集 の. 意 図的 な編 纂 基 準 に よ るも のな のか 、 単 な る偶 然 によ る. も のな のか は、 各 歌 集 毎 の総 合 的 な 編 纂論 に挨 た な け れ. ︹ 詠 歌 地 ︺ か へる 山 、逢 坂 関 、衣 河 、 阿武 隈 川、 いき. ま )等 の都 か ら の遠 隔 地 の多 さ が 目 立 つと いう こと であ. ば な らな い が、 以上 の集 計 を 通 覧 し て概 括的 に言 え る こ. の松 原 、 淀 の川 、武 隈 の松 、 松浦 、 三輪 の山 、 天. ろ う。 旅 の典 型 と し て遠 隔 地 が 重 視 さ れ る こと は、 ご く. 自 然 な こと であ ろう 。 た だ 中 には 、. の川. 国、太宰府、宮滝. ︹ 目 的 地 ︺ 陸 奥 国 6、 筑 紫 3、 唐 国 2、 美作 国 、 甲斐. ︻離 別 歌 ︼. 圏. 文 学 ・芸 術 ・文 化6巻1号1994.11.

(8) 仁 和 帝 、み こ にお は し ま し け る 時 に、布 留 の滝. お ぼ つかな いか にな る み のは てな ら む 行 方 も知 ら ぬ. 八 代 集 にお け る ﹁離 別 歌 ﹂ と ﹁羈 旅 歌 ﹂ にお け る大 き. と 八 代 集 で似 通 った面 を も って いる と 言 え よ う 。. い)。 そ の意 味 で は、 旅 の典 型 と 考 え る地 域 は、 万 葉 集. 歌 が 比 較 的 多 い (ただ し 、 陸 奥 国 等 の東 北 地 方 の歌 は な. 別 歌 ﹂ 部 な どを 通 覧 す る と 、 筑 紫 、 西 国 な ど の遠 隔地 の. 万 葉 集 に お い ても 、 例 え ば 巻 十 二 の ﹁羈 旅 発 思 ﹂ ﹁悲. て用 いる と い った趣 向 を 持 た せ て いる 。. のよ う に 、地 名 の面 白 さ に注 目 し た り 、 地 名 を 懸 詞 と し. ( 千 載 集 巻 八 ﹁羈 旅 歌 ﹂、 五 一八 ). 旅 の悲 し さ. 兼芸法師. 御 覧 じ にお はし ま し て、 帰 り給 ひけ る によ め る. 飽 か ず し て別 る る涙 滝 にそ ふ 水 ま さ ると やし も は見 ( 古 今集 巻 八 ﹁離 別 歌 ﹂、 三九 六 ). 禅性法師. 長 月 の こ ろ、 は つせ に詣 でけ る道 に て よ み侍 り. るら む. ける. (新 古 今 集巻 十 ﹁羈 旅 歌 ﹂、 九 六 六 ). は つせ山 夕 越 え暮 れ て宿 と へば 三輪 の檜 原 に秋 風 ぞ 吹く. の よう に、 近 距 離 の旅 を 詠 んだ 歌 も 少数 な が ら収 め ら れ. な 特 徴 のひ と つであ る、 地 名 そ のも の の持 つ懸 詞 風 の面. にお い ても 、 地名 に強 い関 心 を 寄 せ る が 、 そ れ は 例 え ば. 白 さ を 趣 向 と し て詠 む 歌 は 、 万 葉 集 には 少 な い。 万葉 集. 紀 伊 国 に止 まず 通 はむ 妻 の社 妻 し こせ ね 妻 と いひ な. 次に ︹ 詠 歌 地 ︺ と し て は、 逢 坂 の関 ・さ や の中 山 ・か. て い る。. へる山 ・白 河 の関 等 が目 立 つが 、 そ の他 にも 名 所 ・歌 枕. がら. (拾 遺 集巻 六 ﹁別 ﹂、 三 四 二 ). 前中 納 言 師 仲. る児ら. (万葉 集 巻 十 二 、 三 一六 七. 坂上人長). 作者未詳). 波 の間 ゆ 雲 居 に見 ゆ る 粟 島 の逢 は ぬ も の故 我 に寄 そ. 持 った 表 現 、 あ る い は. の よ う に、 地 名 自 身 の 持 つ言 霊 に訴 え か け る切 実 さ を. ( 万 葉 集 巻 九 、 一六 七 九. 一に云ふ、妻賜 はにも妻と いひながら. と 言 え る 多 彩 な 地 名 が 多 く 見 ら れ る。 と り わ け、 ﹃千 載. か ねも り. 集 ﹄ と ﹃新 古 今 集 ﹄と は実 に多 彩 であ る 。 こ れ ら の地 名 の多 く は 、例 えば 恒 徳 公家 の障 子 に. そあ け ん. 潮 満 てる ほ ど に行 き か ふ旅 人 や は ま な の橋 と 名 づ け. てよ み侍 り け る. 下 野 国 にま か り け る時 、 尾 張 国 鳴海 と い ふ所 に. 一8一. 村瀬 八代集離別歌羈旅 歌考.

(9) 文 学 ・芸 術 ・文化6巻1号199411. 名表 現等 であ り、 八代 集 の地 名 表 現 と の間 に はか な り の. のよ う に 、謡 い物 的 な 性 格 か ら く る 音 の類 似 に基 づ く 地. ても 、 万葉 集 の旅 の歌 に、 恋歌 乃 至 は恋 歌 的 発 想 の歌 が. 聞 の歌 ば か り であ る のは 当 然 では あ る が 、巻 十 二を 離 れ. 巻十 二 は ﹁古 今 相 聞 往 来 歌 類 之 下 ﹂ の巻 であ るか ら 、 相. 歌 ﹂ はど う であ ろ う か 。 ﹃古 今 集 ﹄ では. と ん ど 同 じ 部 立 名 を も つ、 八 代 集 の ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅. では 、 万 葉 集 巻 十 二 の ﹁悲 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 発 思 ﹂ 部 と ほ. 多 い こと に変 わ り はな い。. (2 ). 径庭 が あ る。. 三. ( 一). 読 み 人 し らず. す が る 鳴 く 秋 の萩 原朝 たち て旅 ゆく 人 を い つと かま. 題しらず. たむ. 次 に内 容 面 で の八 代 集 の特 色 を 見 てみ よ う 。 と こ ろ で、 万 葉 集 の旅 の歌 にお い て目立 つの は、 恋 歌 の多 さ で. 東 の方 へま か りけ る人 によ み て つか は し け る. (古 今集 巻 八 ﹁離 別歌 ﹂、 三六 六 ). あ る。 白 た への君 が 下 紐我 さ へに今 日結 び てな 逢 は む 日 の. 伊香子淳行. ( 古 今 集 巻 八 ﹁離 別 歌 ﹂、 三七 三). 思 へど も 身 を し わ け ねば 目 に見 え ぬ 心を 君 に たぐ へ. ( 万 葉 集 巻 十 二 ﹁悲 別歌 ﹂、 三 四 八 一). ため. 朝 霞 た な び く 山 を越 え て去 な ば 我 は 恋 ひむ な 逢 は む. てそ や る. 藤 原 後 蔭 が唐 物 の使 ひ に、 長 月 の晦 日が た にま. ( 万 葉 集 巻 十 二 ﹁悲 別歌 ﹂、 三 一八 八 ). 旅 にし て妹を 思 ひ出 でいち し ろく 人 の知 る べく 嘆 き. 日ま で に. せ む かも. 平元規. か り け る に、 う への男 ど も 酒 た うび け る つい で によある. 秋 霧 のと も に たち い で て別 れ な ば は れ ぬ思 ひ に恋 ひ. (万 葉 集 巻 十 二 ﹁羈旅 発 思 ﹂、 三 = 二三 ) 我 妹 子 に触 る と はな し に荒 磯 廻 に我 が衣 手 は濡 れ に. やわたらむ. 次 に ﹃後 撰 集 ﹄ で は. のよ う に、恋 歌 の表 現 が 見 ら れ る 。. ( 古 今 集 巻 八 ﹁離 別 歌 ﹂、 三八 六 ). け る かも (万 葉 集 巻 十 二 ﹁羈旅 発 思 ﹂、 三 一六 三) こ のよ う に恋 の発 想 の歌 で占 め ら れ て いる 。も ち ろ ん. 一9一.

(10) 橘直幹. と ほく ま か り け る人 に饒 し 侍 り け る所 に て. ( 後 撰 集 巻 十 九 ﹁離 別. 羈 旅 ﹂、 一三 〇六 ). 思 ひ や る心 ば か り は さ は ら じを 何 へだ つら ん峰 の白 雲. 読 み人 し ら ず. 下 野 にま か り け る女 に 、鏡 に そ へて遣 はし け る. (後 撰集 巻 十 九 ﹁離 別. 羈 旅 ﹂、 = 二〇七 ). 二 見山 と も に越 え ね ど ます 鏡 そ こ な る 影を たぐ へて そやる. のよ う な 、恋 歌 表 現 を 見 出 す こと は 出来 る が 、ご く 少 数 に過 ぎ な い。 ﹃拾 遣 集 ﹄ 以 降 も こ の傾 向 は 一層 は っき り. 題読 人不知. 用 いな く な ってい る。 ただ ﹃金 葉 集 ﹄ には. (金葉 集 巻 六 ﹁別 ﹂、 三三 七 ). お く れ ゐ て我 が恋 ひを れば 白 雲 のた なび く 山 を 今 日 や越ゆらん. 経 輔 卿 筑 紫 へ下 り け る に 具し てま か りけ る時 、. 道 よ り 上 東 門 院 に侍 り け る人 のが り遣 はし け る. 前 大 弐長 房 朝 臣. 藤 原基 俊. (金 葉 集 巻六 ﹁別 ﹂、 三 三八 ). か た し き の袖 に ひと り は あ か せど も 落 つる涙 そ よを 重ねける. 百 首 歌 中 に別 の心 を よ め る. るか な. ( 金 葉 集 巻 六 ﹁別 ﹂、 三 四五 ). 秋 霧 のた ち 別 れ ぬ る 君 によ り は れ ぬ思 ひ にま ど ひ ぬ. な ど のよ う に、 ﹁別 ﹂ 部 総 数 一六 首 中 三 首 と 、 比 較 的 多. 播 磨 の明 石 と いふ 所 に潮 湯 浴 み にま か り て月 の. し てく る 。例 えば 、. 明 か か りけ る夜 中 宮 の台 盤 所 に奉 り 侍 り け る. く の恋 歌 表 現 が 見 ら れ る。 な お 第 一甘 目 の ﹁お く れ ゐ. へり け る返 事 に遣 はし け る. 読 み人 し ら ず. よ り女 のも と に、 のぼ る べき 心 ちな んせ ぬ と 言. 筑 紫 にま かり け る男 京 に のぼ る と て、 門 出 の所. 古 今集 ﹄ にお い ても 同 じ であ る 。. 恋 歌 表 現 が 見 られ な いと いう 傾 向 は 、 ﹃千 載 集 ﹄ ﹃新. 歌 であ る。. て﹂ の歌 は 、 ﹃万 葉 集 ﹄ の巻 九 ・ 一六 八 一番 歌 と 同 一の. 中 納 言 資綱. ゑしきぶ. お ぼ つか な都 の空 や いか な ら む こよ ひ明 石 の月を 見 る にも か へし. な が む ら む 明 石 の浦 の景 色 に て都 の月 は そ ら に知 ら なん ( 後 拾 遺 集 巻 九 ﹁羈 旅 ﹂、 五 二一二・五 二 四 ) の よ うな 男 女 間 の贈答 であ っても 、 あ ら わ な 恋 歌 表 現 を. 10. 村瀬 八代集離別歌羈旅歌考.

(11) 文 学 ・芸 術 ・文化6巻1号1994.11. ( 千 載 集 巻 七 ﹁離 別 歌 ﹂、 四 八九 ). あ は れと し 思 はむ 人 は別 れ じ を 心 は身 よ り ほ か のも のかは. 紫式部. あ さ か ら ず 契 り け る 人 の、 行 き わ か れ侍 り け る に. ( 新 古 今 集 巻 九 ﹁離 別 歌 ﹂、 八五 九 ). 北 へ行 く 雁 の つば さ に言号 てよ 雲 のう は がき かき 絶 えずし て. 長 意 吉麻 呂). 苦 し くも 降 り 来 る雨 か 三 輪 の崎狭 野 の渡 り に家 もあ ら なく に. (万 葉 集巻 三 ﹁雑 歌 ﹂、 二六 五. ( 新 古 今 集 巻 六 ﹁冬 歌 ﹂、 六 七 一 藤 原定 家 ). 駒 と め て袖 う ち は ら ふ 影 も な し さ の のわ た り の雪 の 夕暮れ. とを 並 べ てみ る と 、 万 葉 歌 が大 自 然 の脅 威 にお ののく 旅. 人 の心 を 、 臨 場 感 あ ふ れ る表 現 でも って歌 ってい る の に. 読 み人 し ら ず. 朝 霧 にぬ れ にし衣 ほ さず し て 一人 や 君が 山 路 越 ゆ ら. 対 し て、 新 古 今 歌 にお い て は、 幽 か に美 的 な世 界 を 現 出. 題知らず. (新 古 今 集 巻 十 ﹁羈 旅 歌 ﹂、 九 〇 二). さ せ て い て、 現 実 の旅 の生 々し い臨 場 感 は消 え て いる 。. ん. な ど に恋 歌 表 現を 見 る ことが 出 来 る程 度 であ る。 な お 、. ( 古 今 集 巻 九 ﹁羈 旅 歌 ﹂、 四 一六 ). 水 ひき の白 糸 は へて織 る は た は旅 の衣 にた ち やか さ. 菅 原 右大 臣. 法 皇 宮 の滝 と いふ 所御 覧 じ け る御 と も に て. あ る い は、. のよ う に 、 万葉 歌 に直 結 す る 旅寝 の苦 し さを 詠 ん だ歌 、. 寝ぬ. 夜 を寒 み置 く 初 霜 を はら ひ つ つ草 の枕 にあ ま た たび. み つね. 甲斐 国 へま かり け る時 、 道 に てよめ る. ると 、 や は り 臨場 感 は薄 い。 確 か に. 八 代 集 の両 部立 に収 め られ た 歌 は 、 全体 を 通 覧 し て見. と 同 一の歌 であ る。. 第 三首 目 の ﹁朝 霧 に ﹂ の歌 は、 万 葉 集 巻 九 ・ 一六 六 六 番. こ の よ う に、 八 代 集 の ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂ は、 恋 歌. に で はあ るが そ の特 色 を と ら え る こと が でき る 。. を 離 れ て独 自 の旅 歌 の道 を 進 ん で い った と 、 ご く 大 雑 把. (二) で は次 に、 万 葉 集 の旅 の歌 に色 濃 く 見 ら れ る臨 場 感 と いう 面 にお い て、 八 代 集 の ﹁離 別歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂ 部 所 収 歌 の実 態 は ど のよ う であ る か を 見 てみ た い。 例 えば よく 引 か れ る 次 の二首 、. 一11一.

(12) ( 後 撰 集 巻 十 九 ﹁離 別. 羈 旅 ﹂、 = 三 二 一)、 ﹁陸 奥 守. に て下 り 侍 り け る 時 、 三条 太 政 大 臣 の饒 し 侍 り け れ ば 、. 羈旅 ﹂、 = 二五六 ). よ み 侍 り け る ﹂ (拾 遺 集 巻 六 ﹁別 ﹂、 三 三 八 )、 ﹁あ づ ま. ( 後 撰 集 巻 十 九 ﹁離 別. のよ う に、 いか にも 王 朝 風 の趣 向 に支 えら れ ては いる も. ねん. の の、 一方 で旅 にあ って接 し た 目 前 の景物 への感 動 の心. へま かり け る時 道 に てよめ る﹂ ( 古 今 集 巻 九 ﹁羈 旅 歌 ﹂、. 四 一五 )、 ﹁秋 、 旅 にま か り け る に 、 いな み の に宿 り て ﹂. が 強 く 歌 わ れ て い る歌 が あ る こと も 確 か であ る。 し か し. く類 型化 し た作 歌 状 況 のも と に歌 わ れ て い る こと が 分 か. ( 拾 遺 集 巻 六 ﹁別 ﹂、 三 四 八 ) のよ う に 、 多 く の歌 が ご. よ そ に の み恋 ひや わ た ら む 白 山 のゆ き み る べく も あ. る 。 従 っ て、 そ う い った 状 況 の中 で詠 ま れ る歌 の内 容. 凡河 内 躬 恒. 越 の国 へま か り け る人 によ み て つか はし け る. ( 古 今 集巻 八 ﹁離 別 歌 ﹂、 三 八 三 ). 但 馬 国 の湯 へま か り け る時 に、 ふ た み の浦 と い. が れ る よ う にな る のは 当然 であ り 、 全 体 的 に臨 場 感 を 欠. が 、類 型化 し 、 ま た 地 名 の持 つ言 語 遊 戯 的 側 面 に意 が 注. ら ぬわ が 身 は. ふ所 に とま り て、 夕 さ り の乾 飯 食 べけ る に、 と. そ し て この旅 の歌 の詠出 状 況が 類 型 化 し て いく 傾 向 は. く も のと な る の であ る 。. さ ら に進 む と 、 ﹁百首 歌 中 に別 の こ ころ を よ め る ﹂ (金 葉. 藤原兼輔. も に あ り け る人 々 の歌 よみ け る つい で に よめ る. 夕 つ く夜 お ぼ つか なき を 玉く し げ ふ た み の浦 はあ け. 集 巻 六 ﹁別部 ﹂、 三 四 四)、 ﹁堀 河 院 御 時 、 百 首 歌 た てま. つり け る 時 、 旅 の 歌 と て よ み 侍 り け る ﹂ (千 載 集 巻 八. (古 今 集 巻 九 ﹁羈旅 歌 ﹂、 四 一七 ). てこ そ 見 め. ﹁羈 旅 歌 ﹂、 五 〇 一)、 ﹁水 辺 旅 宿 と い へる 心 を よ め る ﹂. のよ う な 、 地 名 か ら の連 想 を 駆 使 し た歌 な ど の移 し さ は 、 や は り 八 代 集 の旅 の歌 にお け る臨 場 感 の薄 さを 実 感. よみ侍りける. 能 因法 師. み ち のく に にま か り く だ り け る に、 白 河 関 に て. こ こ には 、 か つて能 因 が 奥 州 に下 向 せ ず に. ま った く の ﹁机上 の旅 ﹂ の歌 が詠 ま れ る こと とな る。. (新 古 今 集 巻 十 ﹁羈 旅 歌 ﹂、 九 二 六 ) と い う よ う に、. こ れ を 詞 書 と い う 面 か ら 見 る と、 ﹁貞 辰 親 王 の家 に. せしめる。. て、 藤 原 清 生 が 近 江 介 にま か り け る時 に、 む ま のはな む. ﹁友 則 が む す め の陸 奥 国 へま か り け る に つか は し け る﹂. けしける夜、よめる﹂ ( 古 今 集 巻 八 ﹁離 別歌 ﹂、 三 六九 )、. 一12一. 村瀬 八代集離別歌羈旅歌考.

(13) 都 を ば 霞 と と も に立 ち し か ど秋 風 ぞ ふく 白 河 の関 ( 後 拾 遺 集 巻 九 ﹁羈旅 ﹂、 五 一八 ) と 詠 み 、 そ れ を ま こと ら し くす る ため に、 我 が 家 に引 き 籠 り 、 奥 州 下 向 のよ し の 風 評 を 立 て さ せ た と いう ( ﹃袋 草 紙 ﹄ 等 )、 そ の ﹁後 ろめ た さ ﹂ は 既 に な い。 しかも この " 机 上 の旅 "詠 に は、 例 え ば. 源仲 綱. 住吉 社 の歌 合 と て、 人 々よ み侍 り け る時 、旅 宿 時 雨 と い へる心 を よ み侍 り け る. 玉 も ふく い そ やが 下 にも る時 雨 旅 寝 の袖も し ほた れ. 定家朝臣. ( 千 載 集 巻 八 ﹁羈 旅 歌 ﹂、 五 二七 ). たび の歌 と て よめ る. よとや. 詠 ・観 念 詠 と し て の方向 を たど り 、 し か も そ れ が旅 の趣. き の表 現 を よ り 一層純 化 さ せ て いく と いう 方向 を たど る. こと と 軌 を 一にし て いた の であ る。. おわり に. 八 代 集 の ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂ 部 の歌 に つい て、 万 葉. の旅 の歌 を念 頭 に置 き な が ら 考 え てみ た が 、ご く 概 略 的. な 素 描 と な ってしま った。 各 歌 集 のそ れ ぞ れ の独 自 性 に. 即 し て、 ま た個 々 の歌 の内 容 に深 く 分 け入 って の考 察 を 今 後 の課 題 と し た い。. 場 感 を 備 え た 歌 、 あ る いは か え ってより 一層 冴 え わ た っ. の よ う に、 " 路 上 の 旅 " の歌 に決 し て見 劣 り の し な い臨. ( 新 古 今 集 巻 十 ﹁羈 旅 歌 ﹂、 九 五 三 ). 間 の比 較 が し 易 いと い う 意 味 にお い ても 、 こ の両 部 立 に. 象 と す る 部 立 であ ると い う 意 味 に お い ても 、 ま た 各 歌 集. 立 にも 多 く 存 在 す る の であ る が 、 本 稿 で は、 旅 の歌 を 対. (1 ) も ち ろ ん旅 の歌 は、 ﹁離 別 歌 ﹂ ﹁羈 旅 歌 ﹂ の両 部 以 外 の部. 注. た 羈 旅 の歌 が 多 く 見出 せ る の であ る。 こ こ に八 代 集 にお. 旅 人 の袖 吹 き か へす 秋 風 に夕 日寂 しき 山 のか け はし. け る 旅 の歌 の到達 点 を 見 る こと が でき る。. な お 、 部 立 名 は ﹁離 別歌 ﹂ ﹁ 離 別 ﹂ ﹁別 ﹂、 ﹁羈 旅 歌 ﹂ ﹁羈. 限 定 し て考 察 を す る。. 第 一、 二 節 にお い て、 ﹃千 載 集 ﹄ ﹃ 新 古今集﹄ に至 っ. ま た 、 ﹃拾 遺 抄 ﹂ も 参 考 のた め に対 象 と し て扱 った 。. 旅 ﹂ 等 、 各 歌 集 によ って多 少 異 同 が あ る 。. し 、 と り わ け ﹁羈 旅 歌 ﹂ 部 が 充 実 し てく る こ と を 見 た. (2) 例 え ば 、 梶 川 信 行 ﹁ 旅 と歌﹂ ( ﹃旅 と 異郷 ﹂ ︹ 古 代文学講. て、 部 立 の面 でも 、ま た詠 出 地 名 の面 でも 旅 の歌 が 充 実. が 、 これ は内 容 面 にお い て は、 八 代 集 の旅 の歌 が 、机 上. 一13一. 6巻1号1994.11. 文学 ・芸 術 ・文 化.

(14) ※. 座 5 ︺ 一九 九 四 ・八) は 、 万 葉 の ﹁旅 ﹂ の イ メ ー ジ の典 型的 な 例 と し て、 万 葉 集 巻 七 ・ 一二 三 五 番 歌 、 巻 十 五 ・ 三 五 九 二 番 歌 を あ げ て、 ﹁こう し た ﹁ 旅 ﹂の歌は、多分 に 恋 歌 の発 想 と 共 通 の基 盤 を 持 って い る L と 指 摘 し 、 ま た. 国 歌 大 観 ﹄ に依 った 。 た だ し. ﹁ 企 人 を 嘆 く ﹀ 歌 は、 万 葉 歌 の大 き な 潮 流 の 一つ で あ る ﹂ とも 述 べ て い る。. 八 代 集 歌 の引 用 は、 ﹃新 編. 私 に、 仮 名 を 漢 字 に、 ま た 漢 字 を 仮 名 に 改 め た と こ ろ が ある。. 一14一. 村瀬 八代集離別歌羈旅歌考.

(15)

参照

関連したドキュメント

りけるに

噸狂歌の本質に基く視点としては小それが短歌形式をとる韻文であることが第一であるP三十一文字(原則として音節と対応する)を基本としへ内部が五七・五七七という文字(音節)数を持つ定形詩である。そ

ガンゲイル・オンライン GGO 少女☆歌劇 レヴュースタァライト RSL ノーゲーム・ノーライフ NGL アイドルマスター

Nº Modalidade Título Participante Entidade.. 14 Kayo Buyo 歌謡舞踊 序の舞恋歌 Jo no Maikoiuta. 福井絹代

ARアプリをダウンロードして母校の校歌を聴こう! 高校校歌