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JAIST Repository: 製造業の競争力を強化する「生産技術経営」 : 生産技術部門の連携に関する一考察

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Academic year: 2021

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JAIST Repository

https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 製造業の競争力を強化する「生産技術経営」 : 生産技 術部門の連携に関する一考察 Author(s) 清野, 武寿; 京増, 信夫; 野村, 重夫 Citation 年次学術大会講演要旨集, 25: 91-94 Issue Date 2010-10-09

Type Conference Paper Text version publisher

URL http://hdl.handle.net/10119/9251

Rights

本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す るものです。This material is posted here with permission of the Japan Society for Science Policy and Research Management.

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1D08

製造業の競争力を強化する「生産技術経営」

-生産技術部門の連携に関する一考察―

○ 清野 武寿(東 芝), 京増 信夫(セイコーインスツル), 野村 重夫(沖電気) 1.はじめに 新興国企業の著しい成長や、米国のサブプライ ム・ローン問題を発端とした世界的な経済危機な ど、企業を取り巻く環境は厳しい状況にある。厳 しい経営環境の中、我が国の製造業にとって競争 力確保・持続的成長の活路を見出すことが重要課 題となっている。 この重要課題に対して、画期的な技術やビジネ スモデルによって新製品・サービスを生み出し、 新規市場・事業を創出する「バリュー・イノベー ション」、製造業の売上高や利益の大半を生み出し ている既存・現行事業の経営効率向上のための「プ ロセス・イノベーション」の同時実現が重要であ る。 「プロセス・イノベーション」実現に対しては、 「高品質・低コスト製品を短期間で生み出し、高 効率に製造・生産・販売する」ことが重要課題の 1つであり、従来から本課題解決に対して「生産 技術」の果たすべき役割は大きい。 また、「生産技術」は次世代メモリーなどの電子 デバイス分野、新型二次電池などのエネルギー分 野、その他、様々な機能実現の根幹となる材料・ 素材分野における「バリュー・イノベーション」 実現に対しても重要となってきている。 日本の製造業において「生産技術」が、これま で以上に重要となってきている中、「技術経営」の 研究や教育プログラムでは、製品の性能・機能向 上・新機能を生み出す「製品技術」が中心に扱わ れており、「生産技術」は「コンカレント・エンジ ニアリング[1],[2]」のマネジメントの一部として 取り上げられているに過ぎず、「生産技術」の視点 からの議論は十分とはいえない。 筆者らは、「技術経営」の新たな研究領域として、 生産技術を対象とした「技術経営」を「生産技術 経営」と定義し、従来の「技術経営」の研究領域 で十分な議論が行われていない「生産技術」特有 の課題、マネジメント方法、アプローチの方法、 に関する研究の重要性を提案している[3][4][5]。 「生産技術経営」の目的は「生産技術を経営に 結びつけ経営に貢献する」ことである。しかし、 生産技術部門は、製造業における支援組織である ことが多く、単独で経営に貢献するのは難しい。 本社生産技術部門や生産技術研究・開発部門な どは事業を直接担っていない。事業部に所属する 生産技術部門も製品開発や工場での生産を支援す ることが大半である。 そのため、生産技術部門が経営に貢献するには 他部門との連携・協調は欠かすことができず、連 携の強化が重要となってくる。 そこで、本研究では、生産技術部門と他部門と の連携について、製造業での実態把握と連携対象 拡大に必要なマネジメント方法について考察する。 第一に、日本の製造業へのインタビュー調査に よって生産技術部門が他部門と連携すべき活動を 調査・抽出する。第二に、抽出した連携すべき活 動の実態を調査する。第三に、生産技術部門と他 部門の連携の調査結果の中で連携事例の少ない部 門における連携の事例から、生産技術部門が経営 に貢献する領域を拡大するために必要となる連携 推進のマネジメント方法について考察する。 2.他部門の連携すべき活動項目の調査 製造業における代表的な部門である、研究開発、 商品企画、製品開発・設計、製造・生産管理、資 材調達、品質管理、物流、保守・サービス、営業 部門と、生産技術部門が連携すべき項目について 日本の製造業7 社(情報機器、化学材料、家電機 器、分析機器、精密機器、複写機、精密部品)の 生産技術部門のマネジャにインタビュー調査した。 表 1 に、インタビュー調査した結果を連携対象 別に示す。

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表1 生産技術部門と他部門との連携項目の調査結果 連携部門 連携項目 連携部門 連携項目 ・製品を差異化する製造プロセスの先行開発 ・製造性を考慮した商品仕様の制約の明確化・提案 ・研究開発推進のための試作支援 ・顧客にPR/提案できる生産・製造技術情報の提供 研究 開発 ・研究開発と生産技術開発との技術戦略のリンク 商品 企画 ・環境負荷低減商品創出のための生産プロセス提案 ・製造性を考慮した設計(DFM)の実現 ・製造現場IE を活用した現場改善 ・軽薄短小実現のための製造方法・構造設計 ・量産課題の明確化(工程シミュレーション) ・製品開発への数値解析・評価技術の適用 ・製造・検査作業の自動化推進 製品 開発 設計 ・試作・評価の支援 製造 ・ 生産 管理 ・生産計画適正化のための手法・システム提供 ・サプライヤーの品質向上支援によるCD ・製造知見を活用した物流費低減方法の立案 ・調達品の工法・材料把握によるコスト分析 ・低環境負荷梱包・運搬方法の立案 資材 調達 ・サプライヤー評価(適正なサプライヤー選定) 物流 ・物流情報に基づく生産計画の適正化 ・3D-CAD システム構築の推進 ・保守・据付作業の分析・時間短縮 ・生産システムの要件定義・設計支援 ・検査データを活用した保守方法の立案 情報 システム ・製造条件・物性を加味した解析モデルの作成 保守 サービス ・客先の生産性・品質分析による改善策提案 ・検査・試験・評価の方法・項目の立案 ・営業が活用できる生産進捗の見える化 ・製造トレーサビリティ情報の提供 ・販促のための生産情報提供 ・市場不良と製造品質との相関分析 ・商品力PR のための生産技術情報提供 品質管理 ・製造品質管理システムの構築 営業 ・客先の業務分析による客先業務の効率案提案 3.他部門との連携の実態調査 表 1 に示した生産技術部門と他部門の連携すべ き項目について、異なる製品を開発・生産・販売 している15 社(化学材料、複写・印刷機、精密機 器、自動車部品、光学機器、分析機器、空調機器、 樹脂材料、情報通信機器、金属材料、デジタル機 器)に対して、3 年以前の実施、3 年以内の実施状 況を調査した。結果を図1 に示す。 主に製品開発段階で活動する部門では、技術に 深く関わっている「研究開発部門」、「製品開発・ 設計部門」と、主に生産段階で活動する部門につ いては、工場での活動が主体である「製造・生産 管理部門」、製造品質を管理する「品質管理部門」、 製造のための部材を調達する「資材調達部門」と、 開発・生産段階での情報インフラを構築する「情 報システム部門」との連携例が多い。 一方、主に開発段階で活動しているが、技術へ の関与が少ない「商品企画部門」や、生産段階で 工場での製品出荷後の業務で活動している部門と の連携が少ない。特に顧客と直接関わることが多 い「保守・サービス部門」と「営業部門」との連 携例は僅少である。 本結果は、製品開発段階での製造プロセス開発、 試作・評価、生産段階での生産ライン構築、製造 品質・安定性向上、製造コスト削減、生産納期遵 守の対策など、生産技術部門が従来から進めてい る業務・活動(本来業務)において、生産技術部 門が単独で活動するよりも、業務効率向上、成果・ 効果の増強のために他部門との連携が推進されて おり、生産技術部門の本来業務との関わりの少な い部門との連携は希薄であると解釈することがで きる。 生産技術部門が経営に貢献する領域を拡大する ためには、生産技術部門の本来業務との関わりが 少ない部門との連携をマネジメントすることが重 要であると考えられる。 4.連携マネジメントの考察 生産技術部門の本来業務との関わりが少ない部 門との連携に成功した事例について、連携が成功 するまでの活動や、連携のための生産技術部門の マネジメント上の工夫などをインタビュー調査し、 調査結果をもとに、連携例の少ない部門との連携 マネジメント方法を考察した。

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図1 生産技術部門と他部門の連携の実態調査結果 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 検査・試験・ 評価方法 製造トレーサ ビリティ情報 市場不良と 製造品質分析 製造品質管理 システム構築 (i) 品質管理部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 生産進捗の 見える化 販促のための 情報提供 商品力PRの ための情報提供 客先業務の 効率案提案 (j) 営業部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 3D-CAD システム構築 生産システム の要件定義 解析モデル の作成 (g) 情報システム部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 保守・据付 作業の分析 保守方法 の立案 客先の改善 策提案 (h) 保守・サービス部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 サプライヤー の品質向上 コスト分析 サプライヤー 評価 (e) 資材調達部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 物流費低減 方法の立案 低環境負荷 梱包・運搬 物流情報に 基づく生産計画 (f) 物流部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 DFMの実現 軽薄短小実現 数値解析・評価 技術の適用 試作・評価 の支援 (c) 製品開発・設計部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 IEを活用した 現場改善 量産課題 の明確化 作業の 自動化推進 生産計画 適正化 (d) 製造・生産管理部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 製造プロセス の先行開発 試作支援 技術戦略 のリンク (a) 研究開発部門 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 商品仕様 制約の明確化 生産・製造 情報の提供 環境負荷低減 商品創出 (b) 商品企画部門 3 年前以前から実施されている事例 3 年以内に実施された事例

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(1) 生産技術部門の保有する情報・知見の活用 連携対象部門での生産技術情報・知見活用を 推進することで課題を解決する方法である。 商品企画部門が販売拡大を目的に、価格・コ スト低減商品のコンセプト・デザインを行う際 に、生産技術部門が「製造性向上によるコスト 低減のための情報・知見」を伝達し、商品企画 部門が「生産技術情報・知見を活用して低コス ト商品を実現」した事例がある。 生産技術部門の情報・知見が他部門で活用さ れ、経営的な効果を生み出すには、単に保有情 報・知見を伝達するだけでは十分ではない。連 携対象部門での活用方法を考慮し、情報・知見 の整理や、3 次元 CAD による伝達など、知見・ 情報の伝達形態を工夫する必要がある。 (2) 生産技術活用による課題解決 連携対象部門の課題を生産技術部門に直接解 決させる方法である。専門性の相違から、連携 対象部門での生産技術の活用が困難な場合には、 生産技術部門が課題を直接解決する必要がある。 保守・サービス部門の保守作業効率向上のた めに、生産技術部門が工場で実施している作業 分析手法を活用して、保守作業方法を改善した 事例がある。 本方法には、生産技術部門と連携部門のトッ プマネジャ相互が連携活動を理解・推進する、 生産技術部門の活動経費を対象部門が負担する など、生産技術部門に本来業務ではない活動を 行わせるための環境整備が必要となる。 (3) 連携部門・項目の抽出 経営貢献の確率を高めるためには、新たな連 携対象部門と、連携項目の抽出も重要となる。 連携が十分でない部門との情報交換等によって、 生産技術部門の情報・知見活用や、生産技術部 門が直接課題解決する項目の抽出が必要である。 営業部門が販売拡大するために、生産技術部 門が、顧客の直面している課題へのコンサルテ ィングや事例紹介・提案行うことで受注増加さ せた事例がある。本事例では、顧客が抱えてい る生産技術課題を営業部門が生産技術部門に打 診し、生産技術部門が具体的方法を提案・実行 したが、連携の対象を拡大するには生産技術部 門自らが主体的に連携部門・連携項目を抽出す ることも重要である。事業活動における部門間 の関係を把握するために、図2に示すような部 門間関連図などによって、連携可能性を検討す るなどの方法も有効であると考える。 5.おわりに 本研究では、製造業の競争力を強化するために 生産技術が経営に貢献するための「生産技術経営」 研究の一環として、生産技術部門と他部門との連 携マネジメントについて考察した。 日本の製造業へのインタビュー調査によって生 産技術部門が他部門と連携すべき活動を調査・抽 出し、抽出した連携の実態を調査した。そして、 生産技術部門と連携例の少ない部門との連携事例 を分析し、生産技術部門が経営に貢献する領域を 拡大するために必要となる連携推進のマネジメン ト方法について考察した。 生産技術部門が経営貢献するための課題は多い。 今後も重要課題をとりあげ、課題解決のためのマ ネジメント方法について研究を進めていく。 参考文献

[1] Fukuda,S., Concurrent Engineering, Baifukan Publishing, 1993.

[2] Carter,D.E.and Baker,B.S.,“Concurrent Engineering -TheProduct Development Environment for the 1990s-, Addison -Wesley Publishing Co.Inc. , 1992.

[3] 清野他,「経営に貢献する『生産技術経営』の提案 と検討課題」、研究技術計画学会第 23 回年次学術 大会予稿集[CD-ROM],2008 [4] 清野他,「製造行の競争力を強化する『生産技術経 営』-実務マネジメント力の評価-」,研究技術計 画学会第 24 回年次学術大会予稿集[CD-ROM], 2009 [5] 清野,「モノづくり強化による価値創造をめざす 『 生 産 技 術 経 営 』」, Business Research No.1027,p.p6-13,2009 生産技術 商品企画 成形 メーカ 研究 開発 基板 メーカ 部品 メーカ 基板(PCB) 組立製造 物流 営業販売 系列店 量販店 最終 顧 客 資材 調達 商品仕様 コンセプト 筐体仕様 基板 仕様 筐体 仕様 実装性 成形性 製造プロセス 治具・設備 製造 データ 営業 構造シミュレーション 発注 クレーム 販売 発注 発注 販売 クレーム クレーム 資材 調 達 基板設計 機械設計 構造・システム設計 ・DFM商品企画の提案 ・新製造法による 新構造提案 ・高品質生産PRに よる販促 ・顧客ニーズの生産・ 新構造への反映 ・ベンダ製造の生産性・品質向上 支援による調達費削減 ・製造コスト予測によるCD 図2 部門間関連図による連携可能性の検討

参照

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