塩化ガリウムを用いる効率的エチニル化反応の開発
著者
雨宮 亮
号
507
発行年
2005
あ め みや り ょ う
氏
名(本
籍)雨
宮
亮
学
位
の
種
類
博
士(薬
学)
学
位
記
番
号
薬
第507号
学 位 授 与 年 月 日
平
成18年1月18日
学 位 授 与 の 要 件
学 位 規 則 第4条
第2項
該 当
学 位 論 文 題 目
塩:化ガ リウム を用 い る効 率 的 エ チ ニル 化 反 応 の開発
論 文 審 査 委 員
(主
査)教
授
教
授
助教授
彦
治
功
雅
好
口
渕
谷
山
岩
廣
論 文 内 容 要 旨
エ チ ニ ル 基 は 様 々 な 変 換 反 応 の 行 え る 反 応 性 の 高 い 官 能 基 で あ り,有 機 化 合 物 に エ チ ニ ル 基 を 導 入 す る 反 応 は 合 成 化 学 的 に 有 用 で あ る 。 従 来,こ の た め に は ア ル キ ニ ル ア ニ オ ン と有 機 ハ ロ ゲ ン 化 合 物 と の 反 応 が 用 い られ て き た 。 し か し,こ の 方 法 で は 有 機 ハ ロ ゲ ン化 合 物 を 合 成 す る 必 要 が あ り,必 然 的 に 多 段 階 合 成 と な る 。 私 は 反 応 剤 の 極 性 転 換 を 行 い,カ ル ボ ア ニ オ ン を ハ ロ ア セ チ レ ン に よ っ て 求 電 子 的 に エ チ ニ ル 化 す る こ と を 考 え た 。 カ ル ボ ア ニ オ ン をC-H結 合 か ら効 率 的 に 発 生 す る こ と が で き れ ば,有 機 化 合 物 のC-H結 合 を 一 段 階 で し か も 触 媒 的 に エ チ ニ ル 基 に 変 換 す る こ と も 可 能 で あ る。 し か し,ハ ロ ア セ チ レ ン を 効 率 的 に 反 応 さ せ る こ と が 容 易 で な か っ た た め に,こ の 方 法 論 の 研 究 は あ ま り多 くな い 。 私 は 有 機 ガ リ ウ ム 化 合 物 が ア セ チ レ ン に 容 易 に 付 加(カ ル ボ ガ リ ウ ム 化)す る こ と に 注 目 した 。 即 ち,有 機 ガ リ ウ ム 化 合 物 を ク ロ ロ ア セ チ レ ン に 付 加 させ,塩 化 ガ リ ウ ム を β一脱 離 す る こ と が で き れ ば エ チ ニ ル 化 が 行 え る と 考 え た(Schemel)。 本 論 文 は これ を 用 い た 有 機 化 合 物 の 新 し い エ チ ニ ル 化 反 応 に つ い て 述 べ た も の で あ る 。 Scheme1. X薗C≡C-R\!"藩
幽 飾漏 轟 響 讐
奪 …
1.シ リル エ ノー ル エ ー テ ル の α一エ チ ニ ル 化 反 応1) エ ノ ラ ー トの ア ル キ ル 化 反 応 は,最 も 基 本 的 な 合 成 反 応 の 一 つ で あ る が,sp3炭 素 を 結 合 す る こ と は 容 易 で あ る の に 対 し,エ チ ニ ル 化 の よ う にsp炭 素 を 結 合 す る こ と は 難 しい 。 今 回,シ リル 土 ノー ル エ ー テ ル と塩 化 ガ リ ウ ム と の トラ ン ス メ タル 化 に よ り調 製 し た ガ リ ウ ム エ ノ ラ ー ト とハ ロア セ チ レ ン と の 付 加 脱 離 の 方 法 論 を 用 い て,α 一 エ チ ニ ル 化 を達 成 した 。 塩 化 ガ リ ウ ム 存 在 下,シ リル エ ノー ル エ ー テ ル1 と ク ロ ロ ト リ メ チ ル シ リル ア セ チ レ ン2を メ チ ル シ ク ロヘ キ サ ン溶 媒 中,40℃ で5分 間 作 用 させ た 。 メ タ ノー ル を 加 え て 沈 殿 物 を 溶 解 さ せ た 後,6M硫 酸 を 加 え て 反 応 を 停 止 し た 。一78。Cで 中性 シ リカ ゲ ル カ ラ ム ク ロマ ト グ ラ フ ィ ー に よ り精 製 す る と,ア レ ン4に 異 性 化 す る こ と な く α一エ チ ニ ル ケ トン3を 収 率93%で 与 え た(Scheme2)。 こ こ で は 反 応 停 止 の 条 件 が 重 要 で あ り,メ タ ノ ー ル を 添 加 す る と 収 率 よ く α一エ チ ニ ル ケ ト ン を 与 え た 。 本 反 応 は エ ノ ラ ー トの 直 接 エ チ ニ ル 化 に よ っ て 酸 性 度 の 高 い α一 プ ロ トン を 有 す る α一エ チ ニ ル ケ トン を 一 段 階 で 合 成 し た 初 め て の 例 で あ る 。 Scheme2.槽
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κ 一160一2.シ リル エ ノ ー ル エ ー テ ル の α一 エ ン ポ リイ ン 化 反 応4) α一エ チ ニ ル 化 反 応 を 検 討 す る 過 程 で,低 収 率 な が ら α一エ ン イ ン ケ ト ン5が 得 られ た 。 こ れ は,エ ノ ラ ー トの エ チ ニ ル 化 と ア セ チ レ ン の 二 量 化 が 一 挙 に 進 行 し た も の で あ り反 応 機 構 に 興 味 が 持 た れ た 。 反 応 溶 媒 に ジ ク ロ ロ メ タ ン を 用 い,1と2を 一400Cで5分 間 反 応 させ る とエ ン イ ン5が 収 率74%で 得 ら れ た 。 反 応 時 間30秒 で は 一 度 生 じた3が 異 性 化 し た ア レ ン4が 主 に 得 られ た 。 反 応 時 間 を 長 くす る に 従 っ て,エ ン ジ イ ン6お よ び エ ン ト リイ ン ケ ト ン7が 増 加 した 。 従 っ て,段 階 的 に ア セ チ レ ン 単 位 が 伸 長 し て い る こ とが 示 さ れ た 。 本 反 応 は 連 続 した 付 加 脱 離 を 経 る ポ リイ ン 化 合 物 の 新 し い 合 成 法 で あ る 。 Scheme3. OSiMe3 R
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3.シ リル エ ノ ー ル エ ー テ ル の 触 媒 的 α 一エ チ ニ ル 化 反 応3) シ リル エ ノ ー ル エ ー テ ル の α一エ チ ニ ル 化 反 応 の 触 媒 化 を 達 成 し た 。 シ リル エ ノ ー ル エ ー テ ル8(2 eq.)と ク ロ ロ ト リ エ チ ル シ リル ア セ チ レ ン9を 塩 化 ガ リ ウ ム(10mol%)存 在 下,メ チ ル シ ク ロヘ キ サ ン 溶 液 中1300Cで4時 間 作 用 さ せ る と,収 率83%(触 媒 回 転 率8.3)で α一エ チ ニ ル ケ トン8が 得 られ た 。 こ こ で は ト リ エ チ ル シ リル 化 し た ク ロ ロ ア セ チ レ ン7を 用 い て ア セ チ レ ン と 塩 化 ガ リ ウ ム と の ト ラ ン ス メ タ ル 化 を 抑 制 す る こ と と,1300Cで 反 応 を 行 い カ ル ボ ガ リウ ム 化 と塩 化 ガ リ ウ ム の 脱 離 を 促 進 す る こ と が 重 要 で あ る 。 Scheme4. OSiMe3GaCl3(10mol%)R邸
+Et3Si-Cl一一 一 一 一一 一一 一一 一一→ レ Methylcyclohexane 89130。C,4h R=CH(CH3)2 4.酔 ア ル キ ル ア ニ リ ン の 触 媒 的o一 エ チ ニ ル 化 反 応4)
RをS臨
轟
ゲ エ チ ニ ル ア ニ リ ン は,イ ン ドー ル の 合 成 中 間 体 と し て 重 要 で あ り,一 般 に 遷 移 金 属 触 媒 を 用 い るo一 ハ ロ ア ニ リ ン の ア ル キ ニ ル 化 に よ り合 成 され て い る 。 し か し,こ の 方 法 で は ア ニ リ ン か ら位 置 選 択 的 に o一 ハ ロ ベ ン ゼ ン を 合 成 す る必 要 が あ る 。 今 回,付 加 脱 離 に よ っ て1V一 ア ル キ ル ア ニ リ ン を 直 接 か つ 触 媒 的 にo一 エ チ ニ ル 化 す る 方 法 を 開 発 し た 。 リチ オ 化 した1>一 ア ル キ ル ア ニ リ ン11と9を 触 媒 量 の 塩 化 ガ リ ウ ム 存 在 下1200Cで 作 用 させ る と,o一 エ チ ニ ル ア ニ・リ ン12を 収 率 よ く 与 え た(Scheme5)。 こ の 反 応 で は 窒 素 上 の プ ロ ト ン を 一 度 メ タ ル 化 し て,塩 化 ガ リ ウ ム と の ト ラ ン ス メ タ ル 化 に よ っ て ガ リ ウ ム 中 間体 を 生 成 す る こ と が 重 要 で あ る 。 ま た,触 媒 的 に 反 応 を 行 うた め に は,120℃ で 反 応 を 行 い,生 成 す る 塩 化 ガ リ ウ ム ーア ニ リ ン 複 合 体 か ら塩 化 ガ リ ウ ム を 脱 離 させ る こ とが 必 要 で あ る 。 本 反 応 は,ア ニ リ ン の 直 接 的 か つ 触 媒 的o一 エ チ ニ ル 化 に 成 功 した 初 め て の 例 で あ る 。 Scheme5.
際+一 α灘難 レPγ
11912 74% 5.1,4一 エ ン イ ン と1,4一 ジ イ ン の ジ エ チ ニ ル 化 反 応7) ポ リエ チ ニ ル メ タ ン 誘 導 体 は 多 官 能 基 化 さ れ た 四 級 炭 素 を 有 す る ユ ニ ー ク な 化 合 物 で あ り,特 に,メ タ ン のC-H結 合 を 全 てC-C結 合 に 置 換 し た テ トラ エ チ ニ ル メ タ ン と ト リエ チ ニ ル ビ ニ ル メ タ ン は 興 味 が 持 た れ る 。 塩:化 ガ リ ウ ム 存 在 下,1,4一 エ ン イ ン13と9を130℃ で12時 間 作 用 さ せ る と,3位 メ チ レ ン部 が エ チ ニ ル 化 され ト リエ チ ニ ル ビ ニ ル メ タ ン 与 え る こ と を 見 出 し た(Scheme6)。 本 反 応 で は シ ラ ノ ー ル お よ び ピ リジ ン塩 基 を 添 加 し,原 料13,9お よ び 生 成 物14の 分 解 を 抑 制 す る こ と が 重 要 で あ る 。 ル イ ス 酸 で あ る 塩 化 ガ リ ウ ム でC-H活 性 化 が な され て い る 点 と,3位 で 位 置 選 択 的 に エ チ ニ ル 化 さ れ て い ・ る 点 は 本 反 応 の 特 徴 で あ る 。讐 一一 干α難
欝1§ '1一 一
139-14SiEt3 72% こ の 反 応 は1,4一 ジ イ ン化 合 物 に も 適 用 可 能 で あ り,テ トラ エ チ ニ ル メ タ ン誘 導 体 を 合 成 で き る(Scheme7)。 こ こ で は 基 質 に よ っ て シ ラ ノ ー ル の 当 量 を 調 製 し,塩 化 ガ リ ウ ム の 反 応 性 を コ ン ト ロ ー ル す る こ と に よ っ て,収 率 よ く生 成 物 が 得 られ た 。 本 反 応 は ト リエ チ ニ ル ビ ニ ル メ タ ン と テ トラ エ チ ニ ル メ タ ン の 簡 便 か つ 効 率 的 な 合 成 法 で あ る 。警触
一 青灘撫ll§1;1郭:1
65% 以 上,私 は い くっ か の 新 しい エ チ ニル 化 反 応 を開 発 した。 これ に よ り従 来,合 成 に多 段 階 を必 要 と し て い た様 々 なエ チ ニ ル化 合 物 を簡 便 に 合 成 す る こ とが 可能 とな った 。 また,有 機 ガ リウム 化 合 物 とハ ロ アセ チ レ ンの 付加 脱 離 に よ るエ チ ニ ル 化 が 有 用 な 合 成 手段 に な る こ とを示 した 。 一162一References ) ) ) ) ) 1 2 3 4 5 Arisawa,M.;Amemiya,R.;Yamaguchi,M.,Org.Lett.,2002,4,2209. Amemiya,R.;Fujii,A.;Arisawa;M.:Yamaguchi,M.,Chem.Lett.,2003,32,298. Amemiya,R.;Fujii,A.;Arisawa,M.;Yamaguchi,M.,J.Organomet.Chem.,2003,686,94. Amemiya,R.;Fgjii,A.;Yamaguchi,M.,TetrahedronLett.,2004,45,4333. Amemiya,R.;Suwa,K.;Toriyama,J.;Nishimura,Y.;Yamaguchi,M.,J.Ana.Chem.Soc.,2005,127,8252.