植物の光反応機構の解析と変異株
著者
東北大学遺伝生態研究センター
雑誌名
IGEシリーズ
巻
6
ページ
1-59
発行年
1990-03
URL
http://hdl.handle.net/10097/49091
灯6匿シリーズる*
植物の光反応機構の解析と変異株
lG∈
東北大学遺伝生態研究センター
I GEシリーズの発刊にあたって
地球上o)環境は,今,かつてない人きな問題に当
面しております。世界各地で進行している生態系の
急速な変化o)なかには,人聞生活に深刻な影響をも
たらす可能性のあるものが,多数含まれています。 .万,人間の活動が宇宙空間へと拡がるにつれ,地球
外牛態系の構築が,新しい課題として登場しつつあ
ります。生態系の崩壊を防ぎ,より豊かな環境を創
造するための科学的努力が,今「1ほど強く求められ
ている時はありません。本研究センターは, DNA分子技術を中心に遺伝
召何段階にまで到達した生物研究の諸成果を生か
し,生態系における生物の生活を一層深く解明し,節
たな人間環境の創造に貢献することを目指しており
ます。いうまでもなく,この課題はきわめて学際的
であり,多分野の研究者との相互交流と協力によっ
て,はじめて達成されるものであります。本研究セ
ンターでは,ワークショップによる研究者間の討論
と意見交換を重視するとともに,その成果をより多
くの万々にご利用いただく出版活動にとり組んでお
り ます。ここに発刊しますIGE(Institute of Genetic Ecologyの略)シリーズも,こうした努力Li)一一・環であります。 本シリーズcj)内容は,多岐にわたる可能性をも一) ておりますが, 3つのタイプに大きく類別さjLるだ ろうと考えております。すなわち, (i)特定C/)テー マ,又はトピックについてJ)解明に閲するもの(* 印を付します). (ii)特定のテ-7/又はトピックに
閲する最新の文献,実験法の紹介に重点をおくもU)
(**印),そして(iii)新しい可能性を求める学際的 交流,対話を試みるもU) (***印)であります。このIGEシリーズが,多方面の方々のお役に少し
でも立-)ことを願一'て,発刊の辞とします。 1989年3月東北大学遺伝生態研究センター
⑳目 次⑳ ワークショップ「植物の光反応
機構の解析と変異株」の目的
大瀧 保-.・・-・ヒゲカどの光反応変異株の
単離とその解析 大瀧 保-藻類光反応変異体
分離の現状と夢 片岡 博尚シダ配偶体の光形態形成の研究に
おける突然変異体の利用
菅井 道三--・-突然変異体を用いたレタス種子
発芽機構の解析(計画案) 井卜 康則・--・-25 31シロイヌナズナにおける光形態形成
突然変異体の単離の試み --長肱軸(hy)突然変異を中心として-後藤 伸治・--=--生物物理学的立場からのコメント
フイトクロムとクラミドモナスl 徳富 哲---39 49 ワークショップの終わりに /大瀧 保・・---・- 57ワークショップ「植物の光反応
機構の解析と変異株」の目的
大瀧 保
葉緑体を含む緑色植物は,光の高エネルギーを利用して生命を維持する ための光合成を営んでいるが, ・方,これら緑色植物だけでなく菌類など も含む多くの植物や微生物は,低エネルギーの光を信号として利用し,そ の行動や形態形成を制御している。後者の低エネルギー光反応の光受容体 としては,シダ植物や高等植物ではフイトクロムが,また菌類や暮煙など を主としたF等植物においては青色光吸収色素(クリプトクロム)が知ら れている。フイトクロム系の関与する光反応に関しては最近特に研究が進 み,現在では分子のレベルで0)解析が行・われるようにな-,てきたが, ・jj,青色光吸収色素の関与する系の光反応では,光受容体の本質がまだ解明さ
れていないこともあって,その解析はまだ現象解析の域から出ていない感 がある。 我々は昨年度のワークショップ「微生物と光」において,青色光吸収色 素系の関与する光反応を示す種々の生物の中から代表的な生物を選び,そ れらの青色光に対する反応を解析し,その研究卜の問題点を探ってきた。そ の結果,これらの問題点を解決し,さらに研究を発展させるためには突然 変異株を利用した解析の開発が重要な課題であろうと結論された。これは 分√レベルでの研究が進んでいるフイトクロム系の関与する高等植物〟)冗 反応の研究においても同様であろうと考えられる。本ワークショップでは, したがって植物の低エれレギ一光反応の解析のためU)共通課題として,こ の突然変異株を利用した解析法の開発と確㍑ そしてそこに存在する問題 東北人学遺伝′l:.態研究センター2
点を明確にすることを試みた。さらにこの口的に沿って異なる植物材料を
用いて,個々に変異株の単雛を試みている研究者の連携を計り,出来るだ
ヒゲカどの光反応変異株の
単離とその解析
大瀧 保
1.はじめに 接合菌類に属するヒゲカビ(Phycomyces)は光や重力などの外的刺激に 対して敏感に反応し,またこれらの反応に対する突然変異株も比較的多数 単離されていることから,このカビは古くからこれらの研究に使用されて きた。これらについては,それぞれ前に行われたワークショップ「微生物 と光」1)および「植物の系統発生と重力反応」2)に紹介したので,それらを 参考にしていただければ幸いである。 確かにヒゲカビは遺伝学的研究にはじめて使用された菌類材料であり, しかもはじめて突然変異株がその解析に使用された材料でもある。しかし, 交雑の際の接合胞子の休眠期間が数カ月にも及ぶことや,その子孫(prog-eny)の分離比がきわめて不規則であること,さらには胞子も含めた菌体が 多核であるという事実も加わってか,このカどの遺伝学はそれ以後ほとん ど進展せず,むしろ暗黒期を迎え,他の多くの菌類に遺伝学的研究の華や かな舞台を明け渡してきた。しかしながら,このカどの刺激反応の研究が 進み,このカどの研究材料としての特性が認識されるにつれて,遺伝学的 な解析が必須となってきた。そのためには先ず多くの突然変異株を単離し, それらを利用した解析を行うのが第 一と考えられるが,そのためにはこの カどの持つ卜記難点を何らかの形で克服しなければならない。本稿では先 人達や我々がどのような方法でこれら難点を解決しようとしてきたかを紹 東北人Jア遺lIi・/圭三態M究センター・l
介しながら,我々がごく最近単離した単核胞子形成変異株および胞子嚢柄
形成光制御変異株について検討する。2.単核胞子の作製と変異株の作出
突然変異株を単離したり,それを開いて遺伝学的な解析を行う場合,バ
クテリア的な取り扱いやバクテリア遺伝学で使用されている手法が利用で きれば非常に効率的である。したがってヒゲカどにおいても出来るだけバ クテリア系に接近するような努力がなされてきた。 この観点に立てば,突然変異誘発剤でヒゲカビを処理する場合,最も適 した材料は胞子か,小さく-切断された菌糸の断片である。かって後者からも変異株が単離されてきたが,操作上の理由から現在では専ら胞子が使用
されている。 ヒゲカビは後述するように,大型の胞子嚢柄(macrophore)と暗所でよ く分化する頗性の胞子嚢柄(microphore)を形成する。通常胞子は前者の macrophoreから収集するが,その胞子の約80%が3-4個の核を含み,早 図1ヒゲカどの巨大胞子嚢柄(macrophore)に形成された胞子の核。野生株 の胞子はほとんどが多核で, 3-4核を有する胞子が全胞子集団の約80% を占める(A)。一方, nuc変異株の胞子では胞子に含まれる核数は減少す る。中には巨大核も観察され,複数の核が融合している可能性もある (B)0ヒゲカビJ)光反I心変異株J)単離とそJ)解析 5 核胞子はわずか0.30/oである3) (図1A)o 我々は最近microphoreの胞ro) 核数も同様であることを知った。一般に突然変異誘発剤処理などによって 得られる変異株は劣性のものが多い。したがって突然変異誘発剤で処理す る場合,単核の胞子を利用した方が効率が良い。 Reau4)は上方から下方に 向ってしだいに濃度が増加するような,いわゆる連続密度勾配を有する ショ糖溶液に,大量の胞子懸濁液を重層させ,それを自然落下させること によって,核数の違いによって生ずる重さの異なる胞子を分別することを 試みた。彼女によれば,この方法によって80%以上が単核であるような胞 子集団を分画することができたと報告しているが,実際の操作はやや煩雑 で,また無菌的な操作も困難を伴うようである。 ヒゲカどの培養条件を変えることによって胞子中の核数を減少させる試 みもなされ,例えば4oCの暗所培養,酸性(pH3.2)にした最少培地上での 培養,あるいは25oC以上での培養なども試みられているが,せいぜい数% の単核胞子増加に留まっている。 我々は最近単核胞子が全胞子集団に対して約50%程含むような突然変 異株(遺伝子型nuc)を得た(図1B)。前述したように,野牛株の胞子で は1核から多いものでは8核を有するが,この変異株では多く-とも4核ま でで, 1-2核の胞子が全体の90%近くを占める。しかし,核の大きさは不 規則で,巨大核も含まれることから,核分裂異常などの理由によって複数 の核が融合している可能性もある。このような巨大核を含む胞子であって も発芽は正常であり,また野牛株と同じような正常な大きさの核を含む単 核胞子の割合も約10%あることから,今後突然変異誘発剤で処理して[用勺 とする変異株を分離するためにはきわめて有効な株になると期待される。 一万,このように単核胞子を収集せず,野生株の多核体胞f-をそのまま 使用して効率良く劣性変異株を単離する方法が考えられている5)。すなわ ち, 「胞子回収法」と呼ばれるこの方法では,多核の胞子を突然変異誘発剤 で処理することによって,胞子の巾の核に変異を誘発させる。変異が多核 胞f・の一一つの核に生じ,そしてその変異が劣性である場合には,この胞子 から発芽した菌体は他の正常核の形質を示し,変異株としての形質は現わ れない。しかし,この正常核と変異核のヘテロカリオンである菌体が,吹
メ′′ 、突然変 → 異誘発 一一一一一三一 割処坪
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正常fi野生TErJ の表現7f;J 抱(・形成 図2 胞子回収法七よる劣性変異株の単離法.突然変異誘発剤処理によって多 核胞子中の核の一個に変異が起こっても,それが劣性である場合,その胞 子から生じた菌体には変異が現れない。しかしその菌体の胞子を回収す ると,その胞子の中には変異核だけをホモに含む胞子が存在することが 期待される。これらの胞子が発芽すれば変異形質を呈するようになる。に,胞子嚢を形成して胞子を形成する場合には,変異核が単核として胞子
に入り込む機会が生ずる(図2)。したがって,この胞子を回収して再び培 地に散布すれば,変異株が生ずる確率も高くなる。3.接性胞子嚢柄(microphore)胞子の利用
前述したようにヒゲカどの菌糸は暗所で賛性の胞子嚢柄を形成する。こ れはmacrophoreが10cm以上にも伸長するのに対し,わずか1mm程度 にしか伸長しない。この賛性胞子嚢柄胞子を利用することによってバクテ リア的な取り扱いが可能となり,光受容体の一つと考えられているリボフ ラビンの要求変異株やその他の栄養要求性変異株が単離されている6)。 突然変異誘発剤で処理した胞子を最少液体培地で培養し,野生型の胞子 を発芽させて取り除く。発芽しなかった胞子を回収し,次に完全培地上に 播種すると,栄養要求性であったために最少液体培地では発芽できなかっ た胞子が発芽してくる。この場合,培地を酸性にすると発芽した菌糸体は コンパクトなコロニーとなるが,その時点で溶解した水寒天でコロニーをヒゲカどの光反応変異株の単離とその解析 7 覆うと,コロニーからは表層の水寒天を通して,普通なら暗所で形成され る壊性胞子嚢柄が多数分化してくる。これは前述したように,非常に小さ な胞子嚢柄であるため,そこに形成された胞子をベルベットなどに写し取 ることができ,多くの異なる組成の培地上にレプリカを作ることができる (図3)。この場合,野生株の胞子の代わりに,前述した単核胞子変異株を使
用すれば更に効率良く栄養要求性変異株を分離することが期待できる。そ
れはmicrophoreの胞子であっても野生株の場合はほとんどが多核であ り,我々の単離した変異株ではmicrophoreの胞子もやはり単核のものが 多かったからである。このようにして得られたリボフラビン要求変異株は このカどの光生物学を研究する上で非常に有用な菌株となっている。4.交雑法による変異株単離の試み
互いに異なる変異遺伝子を有する菌株間で交雑を行うことによって, 2 つの変異を同時に有するような新しい変異株や,接合型が異なった変異株 完全培地 最少培地 黄少培地 + 栄養要領物宮守 図3 替性胞子嚢柄(microphore)を利用した栄養要求性変異株の分離法。 胞子を酸性培地に播いてコンパクトなコロキーが出現したら,上からや わらかい寒天をそそぐとmicrophoreが分化する。その胞子をベルベッ トに写し取り,種々の試験培地上に転写する。8 などが単離可能となる。このような交雑を行う場合,ヒゲカビでは前述し たように接合胞子の休眠期間が約6カ月と長いこと,そしてたとえ発芽し て胞子を形成してもその子孫(progeny)はメンデルの法則に従わない不規 則なものであることなど,難点が多い。 これらを克服するために,過去種々の方法が試みられてきた。まず,標 準野生菌株としてNRRL1555株を使用することに決め,単離する変異株 も全てこの菌株から作出するようにする。この株の接合型は(-)である ため交雑には(千)株が必要となるが,ほとんどの場合,両者の間に形成 される接合胞子の休眠期は長い。しかし,得られている(+)野生株を全 て検討してみると,例えばUBC21 (+)株のようにNRRL1555 (-)秩 と接合させると,約3カ月で発芽するような接合胞子を形成することがわ かった。しかし,このUBC21株はNRRL1555株とは何ら関係のない菌 株であり,極端なことを言えば常染色体も全く同じであるかどうかも疑わ しい。そしてこのことがprogenyの不規則な分離出現の原因となっている のかもしれない。 この間題を解決するためEslavaら7・8)は,標準(-)株と休眠期間の短い 接合胞子を形成する能力のあるUBC21 (+)株とを交雑させ,そのprog-enyの中から(+)株を取り出し更に標準(-.)株に交雑させた。このよう な戻し交雑を何代も行うことによって,おそらぐ性染色体だけが異なり,そ の他の常染色体は同じであるような,いわゆる同質遺伝子的(isogenic)な 標準(+)株を作出した。この株を使用して,以後(+)株の変異株が多 数作出されているが,これを使用して得られた接合胞子からは,比較的メ ンデルの法則に従ったprogenyの分離が見られるようである。しかし,休 眠期間に関してはUBC21株の性質が失われ,また長い期間を要する株に 戻ったようである。 一方,カロチノイド合成変異株のように接合能力を失なった菌株もある が,このような場合には接合能力のある同じ接合型の他の菌株との問でま ず-テロカリオンを作り,それを相手方の接合型の菌株と接合させること によって交雑に成功している9)。ヘテロカリオンを作るには巨大な胞子嚢
柄の先端部を切断し,実体顕微鏡下で接木する。接木した点の切り口から
ヒゲカどの光反応変異株の単離とその解析 9 は両株の核の混合したヘテロカリオンの胞子嚢柄が新しく再生してく る10)。
5.胞子嚢柄形成の光制御変異株単離の試み
ヒゲカビではこれまで光屈性変異株やβ-カロチン合成変異株など,いく種類かの光反応変異株が得られている。我々は前述した胞子嚢柄形成も光
で制御されていると考え,その変異株の単離を試みた。それは巨大な胞子 嚢柄のmacrophoreは暗所でも形成されるが,明所ではより太くまた多く 形成され,一方,倭性の胞子嚢柄であるmicrophoreも暗所でのみ形成さ れ,明所では形成されないからである。我々は胞子をNTGなどの突然変異誘発剤で処理し,それを明所あるい
は暗所で培養し,野生株とは異なった胞子嚢柄形成を示す株を選出した(図
4)。その多くは胞子嚢柄の形成能を失った変異株(遺伝子型gmb)であっ たが,、これらを統一的に説明しようとすると種々の困難に出合い,結局図に示すような単純なモデルを考えてみた。すなわち,macrophoreもmicro-S†r(】ins 挽 ヲ7& 踰&U2 Microphores Ligh†Dcrk 犯没 R D(】rk二一
LigMDork A 着v犯EG R $テ SSR +++十+ ィ ツイイ ち 蕪su都 ++ 調 C 蕪 +++++ D 封 ++++ E 鉄SSb 調イク ツイイ 轟磯mm7cc F ウsb 十十++ 偖ネ ネ ネ ネ ネ ツ 轟磯mm7cc G 3S" 33SR 辻イイイ 轟顧mm7cc 俘ネィVヨモイ 図4 種々の胞子嚢柄形成変異株の巨大胞子嚢柄(叩aCrOphore)および賛性胞 子嚢柄(microphore)の形成能とその変異機構の仮想的モデル。 Yx株は このモデルが正しい時,理論的に単離可能な仮想的変異株。本文参照。
1() phoreも元は同じ分化起原を持ち,途中から各々の形質に別れて分化する と考える。そ0) 「本流」および「支流」にはそれぞれ栓を考え,支流の分 岐点には光で制御されるような弁を考える。今,野生株では本流および支 流の栓が全て開いていると仮定する。明所では光制御弁がmicrophore側 の支流を閉鎖し,暗所ではmacrophore側を閉鎖する。ただしこの場合,閉 鎖は不完全であるためmacrophoreは明所程ではないが依然形成される。 このようなモデルを考えると,種々の形質を示す変異株がどれかのカテゴ リーに属し,また将来単離可能であろう変異株も予測できる。このように 考えてみると,光制御機構の変異株は図のD, EおよびFに属する変異株 と考えられ,胞子嚢柄形成に関する光反応の解析にはこれらの菌株が大き な効力を発揮するものと期待される。このモデルの「栓」や「弁」の存在
を現在遺伝学的手法を用いて検討中である。
6.おわりに ヒゲカビは光をはじめとする外的刺激に対して敏感に反応するため,現 在では種々の比較的多くの変異株を利用してその解析が進んでいる。しか しながら,こ0)カビには他の材料には見られないような遺伝学的解析1二不 利な点も多い。これらの難点を 一つずつ克服しながら,むしろその難点を 逆に利用しながら 一歩ずつ解析を進めてきた。なかには接合胞子の休眠期 に関する問題のように,未だ解決のされていないものもあるが,はじめに 掲げた他の難点に関しては本稿で述べたような努力によって現在ではあま り重大な問題ではなくなっているo 胞子嚢柄の光屈性異常変異株(遺伝子型mad)の場合もそうであ-)たが,胞子嚢柄形成異常変異株においても最終的な形質発現がたとえ変異株間で
類似していても,それぞれの変異の機構は異なっているものと考えられる。 ある変異株では刺激受容側に,あるt)のでは刺激伝達系に,そしてあるも のでは菌体の成長の機構そのものに変異が起こっていると考えられる。単 離された多数の変異株をこのような観点から整理してみると,それぞれの 変異株のまた異なった面が見えてくる。 最後に,本研究は文部省科学研究費補助金,重点領域研究「光受容の分ヒゲカビU)光反応変異株U)幣離とそu)解析 11 子機構」 (課題番号01621002)の下に折原,梅村両君の協力で行われた実験 結果の 一部を含んでいる。心から謝意を表する。
参考文献
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藻類光反応変異体分離の現状と夢
片岡 博尚
1.はじめに 光反応の生理的諸過程を突然変異体を用いて明らかにしようという試み は大変魅力があり,これまでにも主にヒゲカどでかなりのレベルにまで進 んできている(大瀧による章を参照のこと)。しかし,植物や他の菌類では, 世代交代の時間が長すぎたり,人為的に生活環を回すことができなかった り,あるいは突然変異体が多く得られているものでは逆に明瞭な光反応が 認められなかったりすることが原因して突然変異体を光反応の解析に用い ることはほとんどなかった。特に藻類では著しく、∫/-.ち後れている。藻類を 光生物学の研究材料に用いてきたのは主にその体制の単純さが,細胞生理 学的実験に有利であるためであるが,同様の理由で単細胞藻類で,大いに 発展してきた遺伝学と結び付くことはほとんどなかった。そのいい例がコ ナミドリムシ(Chlamydomonas)であろうoこのワークショップの後で,日 本学会山版からWorld Cata】ogue of Algaeという本35)が出版されたが,Chlamyd()m()nag yleinhardtiiだけでもCCAP (Culture Centre of Algae
and Protozoa, Cambridgel UK), PGC (Peterg()v Genetic Collection of
Strains, USSR)などを中心に膨人な突然変異株が保存されているが,それ
らのほとんどは栄養要求性株であり,光合成に関するものを除いて光反応 に関係ある突然変異株は得られていない。
このワークショップに誘われて蹟措したのは私自身がこれまで突然変異
14 体を利用した研究をしていないばかりか,多核巨大細胞(ケノサイト)で あるフシナシミドロ(I(aucheria)では突然変異体を得るだけでも大変難し そうに見えるからであった。しかし,このワークショップは現在の成果を 持ち寄って議論するというより,これからどの様な研究が可能か,あるい は実験法をどう開発するかに主眼が置かれているとのことであったので,
他の植物での研究の進歩状況を知ることにより藻類で光生理反応でも将来
突然変異体を分離し,利用する可能性を探ることができるであろうと考え 参加した。その準備をする中で,突然変異体を得るについて藻類特有の困 難さがありながらも,2,3の有望な系があることもわかった。そして,ワー クショップ後その試みを始めている。2.藻類突然変異体の分離の現状
a.突然変異体の得られている藻類
これまでに突然変異体の得られているも♂)を表1に示す。藻類は大きく原核生物である藍藻(Blue-green algae, Cyanobacteria)
衣1 I突LL:然変異体U)得√,れている藻鞘
藍藻(Cyanophyta, Cyanobacteria)
* Anarrv.ilzJ 〝llJlLlans (Lil_VnE,th()(()((lLl)甲鮒胞 * Anab(IlI71L7 (,(17・llJbzl15 糸状:7 uニー
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* Cjllam_vdn/nnna.ド spp. (esp. C. /てノInil(/rdlzi)
Clh I() lli, lllI
.ヾ‥ JJ.・./ハ川)/.、 そJ)他
藻類光JX応変輿休分離uj現状と夢 15 とそれ以外の真核生物の縁藻,紅藻,褐藻,ユーグレナ植物などに分けら れる。藍藻はバクテリアと同じベクターを持つものもあり,大腸菌で開発 されたベクターや藍藻に感染するシアノファージを形質転換に使える可能 性が高い。抗生物質に対する耐性機構もバクテリアと共通であり,突然変 異体の分離が楽であろうことが考えられる。藍藻の中で最もよく研究され ているのは単細胞のAnacystisと糸状コロニーのAnabenaである。両者と もその空中窒素の固定能を農業に利用することが考えられている。前者は 単細胞ゆえの利点があり,後者は水性シダ,アカウキクサ(Azolla)と共生 していることで有名である。突然変異体を分離するには単細胞が圧倒的に 有利であるのでAnacystisが選ばれたのであろう。一方Spirulina, Nostoc, Aphanothecaなどは食品としての品位向上を目指している。その仲間はア フリカや広く日本を含むアジアで太古から食品として食べられてきた0
7アーツアイ(髪菜, Nosloc commune uar.触elllforme),アシツキノリ,
アネガワクラゲ,カモガワノリ(N uerrucosum)や半分栽培化されている スイゼンジノリ(Aphanothece)が有名である。しかし,いずれも研究は端 緒についたばかりである。 貞核藻類ではコナミドリムシ(Chklmydomonas)で最も多く・の突然変異 体が得られているo特にC. reinhadtiiについてはLewin (1976)のカタロ グに詳しく記載されており32),またHarris (1982)はそれらのリンケージ グループをまとめている9)。しかし,原核,真核を問わず藻類で得られてい る突然変異体の多くは栄養要求性に関するものである。次いで多いものは 光合成,色素,温度感受性,薬剤抵抗性,形態,運動能,細胞壁欠損,接 合子形成欠陥などについてであり,行動や生活環制御といった高度な光反 応に関するものを見つけることはできなかった30・31・33・34)。 一方,こうした人為的に得た突然変異株とは別に緑藻だけでなく,紅藻, 褐藻,珪藻,などで各地から分離され,純粋培養されているクローンがあ ることを忘れてはならない。特に,ノリ,ワカメ,コンプなどの食用藻類, および寒天やカラギ-ナン,アルギニン,カロチノイド,あるいはビタミ ン,エイコサペンタエン酸などを産生する種々の藻類の莫大な株が系統保 存されている。また,それらの株を用いてプロトプラスト融合を利用した
16 品種改良の努力も始まっている40・59)0
b.突然変異の誘発法
突然変異誘発剤(mutagens)としては各種の薬剤やX線, UV,レーザー などの電磁波がよく使われるが,それらの有効性は種や培養条件によって 異なる。薬剤としてニトロソアミン類(Nitromethylurea (NMU)やN-methyl-N′-nitro-N-nitrosoguanidine (NTG)/など)とアルキル化剤(Diethyl sulpha'te (DES), Methyl methanesulphonate (MMS), Ethyl
methanesulphonate (EMS)など)がよく使われる。 Anal_vLdis nidulans
ではニトロソアミンがアルキル化剤より強く45), NTGはUV,Ⅹ線,マイ トマイシンC,アクリジンオレンジ,ヒドロキシラアミンより強いが43), Af'han()capsaや3'Gloeocapsa alpicoklでは31'UVが最も効果的であったと いう。真核生物でも同様の誘発剤が用いられ,多くの報告が成されてい る3O・33・34・46)V 8-Methoxypsolarenのようなフルオロクマリンや1)レーザー 光照射も38)用いられる。
C.突然変異体の分離
変異誘発剤処理でできる変異の頻度は普通10-6から10-8と人変低い。 また,元の株(野生株, wildtype)より生活力が劣ることが多いので,効 率よくそれらを分離する(selection)方法がなければ,突然変異体を得る ことはできない。突然変異体を得るということは,したがって,すぐれた 分離法を持っていることを意味する。光反応に関する突然変異体を得るこ との難しさはほとんどこの分離法が未開発なことによる。分離法には間接法(Indirect (negative) selection)と直接法(Direct
(positive) selection)がある。間接法とは正常な細胞の増殖率を抑えるこ とにより,突然変異発生率を相対的にl二げようとするものである。例えば 原核生物で栄養要求性株を得るために基本培地にペニシリンを加えるとそ こで生育できる野生株だけ殺され,生育できない変異株は生き残る。その 後,特定の物質を付加した培地にレプリカ法などを利用して移植すれば望 みの変異株を得ることができる。しかし,分離(selection)といえば普通
藻類光反応変異体分離o)現状と夢 17 面接法を指すo薬剤,毒素, UV,シアノファージなどに対する感受性の高 い野生株は殺されるか増殖しないので,高い頻度で突然変異株を分離する ことができる。 ・方,色素蓄積,形態,運動性などに関する変異株は淘汰 に際しての有利さが乏しく,あまり高率の分離を期待できない。生化学的 変異などで淘汰に際してどんな有利さもなく,表現型に違いの見られない も0)は,コロニー一つひとつについて検討しなければならず,科学o)分野 では不口J能に近いが,醸造など工業界では,莫大な労力を使っても採算が とれることがある。 フイトクロムや青色光受容色素の欠損変異株がどの程度の淘汰有利性を 持つのかわからない。種や反応によってそれは異なるであろうし,それを 系統,進化の研究に用いられるかもしれない。フイトクロムはある種の緑 藻に発生し,コケ,シダ,そして,種子植物にしか見られないが,青色光 反応は全ての生物に見られる。藻類の光反応を突然変異株を用いて比較研 究することができれば,こうした,進化,系統学への大きな貢献も期待で きるであろう。
3.藻類ゆえの難しさ
ところが,突然変異株を得るための条件を考えると,藻類はその体制や 生態に由来する特有の難しさを持っていることがわかる。それは, a.糸状藻類を固体培地で育てるのが国難である。 b.栄養要求性の幅が狭い(自栄養であるから)。 C.有機物添加は概して有毒である。 d.抗生物質が光で早く失活する。 e.抗生物質抵抗性の発現が遅れる。 f.細胞外に粘液や粘液質の鞠を持つものが多い。 といったことである4)。光反応,特に,光屈性や光形態形成反応にはフシナ シミドロ(Vaucheria)などの糸状ケノサイトやアオミドロ(Spirogyra),ヒ ザオリ(Mougeolia)などの糸状コロニーが多く使われるが,ケノサイトはlL< 多核なので,栄養生殖中の藻体から突然変異体を分離することは不可能と いってよい。生活環のどこかに単核の時期があり,実験的にそれを誘導で きることが必要となるo 糸状コロニーではそれらが寒天上で生育し,寒天 上を移動することのないことが必要である。実際,多くのアオミドロは粘 液を噴射しながら寒天上を活発にころげ回る。この点に関しては単細胞性 藻類でも安心できない。例えば,ある種のミカヅキモ(Closterium)や珪藻 は粘液を噴射して移動することが知られているが,寒天表面の状態如何に よっては寒犬の上を移動するかも知れない。 b.の栄養要求性についても光日栄毒性(pbotoaut()trophic)である限り 避けられない問題である。 I C.もこれに関係している。例えば,種々の糖類やアミノ酸添加は無効か 阻害的であり,また,それらの取り込みは光,特に青色光に依存している ことが多い。 d.は抗生物質抵抗性をしらべるときにも,自然界から採取したサンプル を純粋培養,無菌化する際にも気を付けなければならない。 f.もメソテニウム(Mesotaenilim)などの単細胞性接合藻では問題となる かも知れない。この藻はフイトクロムを持ち,板状の葉緑体が細胞内で回 転し赤色光の万を向くことで知られているが,条件によっては粘液を分泌 し,水面に膜状に浮かぶ。 これらのことを考えると光反応を示す藻類から突然変異体を選び出し, 光反応の解析に用いることはそう簡単なことではないように見える。それ でも尚,この手段は大変魅力的である。そこで,この方法の可能性があり そうな藻類の光反応系をいくつか例示して検討し,このワークショップ参 加者の皆さんからの助言とコメントをいただければ幸いである。
4.藻類光反応研究の到達点
微細藻類を材料に使うことにより光合成機構の解析は素晴らしく進ん
だ。しかし,ここでは我々の共通の関心事である別の光反応,光感覚やそ の他の光を信号として利用している反応に焦点を絞ることにする。藻類光反応変異体分離u)現状と夢 19
a.光形態形成反応
褐藻のヒバマタ(Fucus)やエゾイシゲ(Peluetia)の受精卵からの発芽 極性が青色光によって決まることは古くから知られているが,最近Kropfらは振動電極法やアクチンの細胞内分布と配向を調べるための蛍光抗体法
を用いて極性誘導と極性固定が時間的に分けられた別の反応であり,極性 固定には細胞壁の形成が必要であることを兄いだしつつある28'。また,彼ら は3種のアクチンが卵の初期発生では常に一定量合成されているが,その 分布は極性固定期になって初めて将来の発芽点に集中するようになるとい う29)0 別の褐藻カヤモノリ(Scytosiphon)では受精卵から発芽し1次元的に成 長している幼体が青色光によって初めて2次元的成長に切り替わること や5-7',緑藻カサノリ(Acetabuhm'a)41・42㌧褐藻アミジグサ(Dictyota)36'な どで毛の発生が青色光によって起こることが知られている。黄緑色藻フシ ナシミドロ(Vaucheria)の分枝も青色光で12),あるいは青色光とやや効果 は小さいが赤色光によっても誘導される2)o また,緑藻アオミドロ(Spi-rogyra)の仮根は赤色光によって誘導され,フイトクロムが関与することが 知られている37)。b.光屈性反応
藻類は光自栄養であり,適当な光条件が得られるか否かはその後の生存 に決定的な意味を持つ。光の方向に向かって成長方向が変わる反応を正光 屈性,強すぎる光から逃れる方向の屈曲反応を負光屈性という。多くの藻 類の仮根や類似の付着器官は負光屈性を示し,葉状体,あるいはフロンド は普通正の光屈性を示す。紅藻カザシグサ(Grl#thsia),緑藻ハネモ (ByyoPsis),マガタマモ(Boergesenia),イワヅタ(Cauleypa)などの仮根 の負光屈性,ハネモ,カサノリ,ツユノイト(Derbesia),黄緑色藻フシナ シミドロなどのフロンドで正光屈性が報告されている18・20・24・25)が最も解析 が進んでいるのはフシナシミドロ(V. ierrestris)である11-18・20-26)。興味深 いことにある種のフシナシミドロは光の強度がある値以上になると光屈性 の方向が正から負へ変わる。この事は当然のように見えて実は高等植物を2O 含め他o)植物では知られていない。そして,最近この屈曲転換は外界の Ca2+濃度に依存していることがわかった22・24-26)。更に,外液の塩濃度にも 依存していることがわかり,現在(ワークショップ以後),ドイツBremen 大学のHenschelと広塩性の種V. dichotomaなどと比較生態学的アプ ローチを計画中である。 C.細胞内運動 原形質流動も一光の影響を受ける。緑藻で接合藻類に属する糸状のヒザオ リ(Mougeolia)や,その-細胞が遊離したような単細胞藻類メソテニウム (Mesolaenium)では・枚の板状の葉緑体が光強度によって光の入射方向 に平行になったり,垂直になったりする。この反応はフイトクロムによっ て制御されており, Hauptのグループによって詳しく調べられてい る10・19127)。イワヅタ(Caulerpa)はその連続した太いケノサイトの管の中で, 葉緑体が昼間はフロンドの中二,夜は地卜茎の部分にと,周期的な運動を することで有名であるが,その機構についての詳しい解析はなされていな い。このような入型藻類は・般的に培養が難しく,突然変異体の分離のよ うな研究には適していない。 これらのことを考慮すると, 6節で述べる有望な研究材料としては先ず 第-一一に単細胞のメソテニウムと,筆者の研究材料で,良(性質のわかって いるフシナシミドロであろう。
5.藻類光反応の系統からみたおもしろさ
前節で挙げたヒザオリやメソテこウム,それにアオミドロは緑藻の中で も高等とされる接合藻類に属している。現在の所,もちろん異論はあるが, フイトクロムの存在が確実なものは,これらの接合藻類と,更に進化した 形態を持つ輪藻(シャジクモなどの仲間)だけである。コケやシダから高 等植物にいたる植物ではすべてフイトクロムが関与する反応がある。この 意味で接合藻類は大変興味深い植物であり,更に詳しい生理的,系統的,そ して,生態的な研究が待たれているわけである。 ・方青色光によって起こる反応は光屈性のように多くの糸状藻類,菌類港類光J丈l心変異体分離の現状と夢 21 から,種子植物まで広く知られており,まだ同定されていないが,共通の 光受容体によると信じられている。そして,それらは皆生存にとってきわ めて重要な反応ばかりである。この事から,青色光反応系が原始的でかつ, 基本的な反応であり,緑藻からコケ,シダへ進化する過程でフイトクロム が生まれ,やがて,それがいくつかの青色光反応を代行するようになった, 言い替えれば,進化的乗っ取りが行われたと考えられないだろうか。これ は幻想に過ぎないかも知れないが,研究を進める上でのロマンではある。こ のような観点からの研究はまだないが,藻類の系統を考える上では人変重 要なものとなるであろう。
6.これから何をするか
オカフシナシミドロ(V.terrestris)は長年純粋培養をしてきており,実 験室内で生活環を回すことができる。つまり,受精卵から糸状体を発芽さ せることができる。突然変異誘発剤を卵に与えることによって突然変異を 得ることは可能であろう。しかし,どの様な形質をスクリーンすればいい だろうか。正から負への光屈性転換点の光強度が異なるもの,光屈性を示 さないもの,青色光によっても分枝が起こらないもの,葉緑体運動に異常 のあるもの,等などが考えられるが,アルビノや薬剤抵抗性など別の指標 (マーカー)でもつけない限り,実際問題としてU)スクリーニングはできな いだろう。 我々は淡水から海水まで生きることのできる【(広塩性, euryhaline)フシ ナシミドロ, V.dichotomaの生態型を持っている。オカフシナシミドロも かなりの耐塩性を示す。耐塩性を指標として用いることは十分考慮に値す るであろう。更に進んで,-光生物学ではないが,耐塩性そのものを遺伝{ レベルで研究したり,耐塩性遺伝子のクローニングも可能となるかも知れ ない。 突然変異体を得るために単細胞性接合藻メソテニウムを用いることは人 変魅力的である。なぜなら,既に無菌培養に成功しており,寒天平板状で 動かない緑色の美しいコロニーをつくるから。この藻類は前述したように フイトクロムをもち,細胞内骨格系とCaの相互作用を介して葉緑体運動22 が起こるという説がある8)。もし,メソテ二ウムでフイトクロムを欠く突然 変異体や,葉緑体運動が異常な突然変異体を得ることができれば,この研 究に大きな進展をもたらすと考えられる。ただ,それらをどのようにして スクリーンするかが,未解決である。この点を早急に検討したい。
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シダ配偶体の光形態形成の研究に
おける突然変異体の利用
菅井 道三
1.はじめにシダ配偶体は半数性の単細胞である胞子から発生する独立生活を営む有
性世代である。これまで,その形態が単純であり,取扱いも比較的容易で あるため,発芽から原糸体細胞の伸長,分裂や光屈性,成長軸の転換,さらには造精器や造卵器の分化など,植物に共通する基本的な形態形成現象
解析のモデル系としてしばしば用いられてきている。筆者らは, -i:_として フイトクロム系および青色光吸収色素系による胞子の発芽制御に関して解 析を進めている。 これらの研究の過程で,我々が両面した問題の一つは,材料の不均一件 であった。例えば,野外で採取したカニクサ胞子の赤色光による発芽誘導 の場合,胞子に照射した赤色光の照射冠と発芽率との関係を見てみると,節 1図のようにわずか数分の赤色光照射で発芽が誘導されるものから,数時 間o)照射を必要とするものまでが同じ集団の中に存在していることがわか る3)。このような不均 一性は,種属の維持のためにはきわめて有効であると 思われるが,発芽の生理,一生化学的解析には不都合である。不均一性の原 因として,胞子0)遺伝的不均 一性,あるいは成熟度など,胞7・の生理的状 態の不均・件が考えられるo i)し,この不均 一性が胞f・の遺伝的特性に起 因するものであるならば, 1個の半数性胞子から出発した配偶体から無配 的に生じた胞子体卜に形成された遺伝的に均・な,いわゆるクローン胞子 富山入学理学部o ∩U o
凸0 CU ′J
NOl lVNr∑∝山9
TJME OF EXPOSURE TOF?ED LIGHT (08 Wm-2 )
Lxl 1各地席のカニクサ自然集川から得られた胞(・の発芽率と赤色光の照射ii土 との関係(文献3より) 愛知県長久T・即席 日 岐阜県穂横町l)(. ● 東大小+lltI植物園座 では,赤色光に対する反応性にも固体差は認められなくなるはずである。 また,自然突然変異体の選別や,放射線,紫外線,突然変異誘発剤等に より光形態形成に関する突然変異体を単離することができればフイトクロ
ムや青色光吸収色素系による制御機構の解析等に大いに役立つものと考
え,シダ胞子から変異体の単離も試みている。シダの突然変異体o)単離U) 現状と,我々の試みに-)いて述べてみたい。2.シダ配偶体の突然変異体研究の現状
従来,シダ配偶体の突然変異体を用いた研究は極めて少ない。比較的,活 発に研究が行われている例としては,ミズワラビの・種Ce71a/()Pleris ri-L・hardiiを用いたHick()kらによるも0)がある1)0 ミズワラビは汎熱帯性の水牛シダであり,他の多くのシダが多年生であ るu)に対して 卑生である。臼配生殖を含む有性生殖によt)増えるほか,根 茎に無性芽ができて繁殖し,条件によっては120日以内に胞子から胞子ま での一世代の生活環が完了する。 HickokらはX線を照射した胞√を高塩 濃度の,あるいはパラコート等cT)除草剤などを含む選別培地にまき,こujシダ配偶体C/)光形態形成C/)研'jEにおける突然変異体J)利用 27 0 5 0 5 ∩) 21100 (NuJE)V山∝VUI.FHdO1山m<U
≧eミ;≡;)\ +-+Hn-n ▲-▲H⊂】N10 ■-∫H□N16
\:さ:_≧._I
25 50 75 100 125 150 175 200 Nc]Cl (mM) E叫2 Cl,71tIf()/)ft,ritW) NaCl抵抗性突然変異体の配偶体の表面横とNaCl濃度 との関係(文献5より) IIn n 野/+株 IiaNl(), HaN16 突然変災休 培地中でも成長する配偶体を分離し,自配生殖により胞子体を育て,これ から多数の胞子を得た。 例えば, NaClに抵抗性を示した胞f・から出発して得られた第二世代目 の胞子を,種々のNaCl濃度の培地にまきその成長を調べた。その結果,第 2図に示すように75mMのNaClを含む培地中でも配偶体がほぼ正常に 成長する突然変異体が得られている。ま・たこれと止常な個体との交配によ り,その遺伝学的解析が進められ,このNaCl抵抗性は単 う遺伝子の突然変 異であることが確かめられている5)。このほか,パラコート抵抗性突然変異 体, Ce71atOPterisの成熟前葉体から培地中に分泌される造精器誘導物質(ア ンセリジオーゲン)に対する反応性の異なる突然変異体等が単離されてい る。3.光形態形成に関連する突然変異体単離の試み
我々は現在までにモエジマシダ(Pteris uittata),カニクサ(LJgOdium jaj)onicum)を用いて突然変異体の単離を試みている。 これらのシダ胞子は暗所ではほとんど発芽せず,わずかな赤色光により 発芽が誘導される。この赤色光誘導発芽は近赤外光,青色光により抑制さ2∼く D ド. 〒二心 R -B J
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L叫3 シy即′l二株からJ)I/ローン胞!'単離LJ)fr川上rl れることが明JJかにされている2)0 []然集団中にもわずかに晴発芽や近赤外光,青色光により発芽が制御さ れないも0)が生じる。こu)ような個体を選別して,こiLから,口配的に胞 ]'・体を育て,そこに生L;たクローン胞子u)発芽を調べた。選別の方法は第 3図に示すように野牛の株から集めた胞J'-を無機寒天培地にまき,晴所に7 口聞おき赤色光,近赤外光あるいは青色光を照射した。その後再び暗所に 戻し約1O t用肘3き,暗所あるいは,近赤外光や青色光を照射しても発芽し た頂糸体の1個体を実体政微鏡卜で取り出し,新しい無機寒天培地に移し た。こU)原糸体を明所で培養すると前葉体を形成し,約6週間後には造卵 器,造精器をもつ個体も現れる。この配偶体から自配的に生じた胞子体を, ある程度成長させた後,三角フラスコに移し,さらに温室中で栽培する。約 一年後には多数の遺伝的に均質と思われるいわゆるクローン胞子を生じる ので,これを採取しその光反応性を調べた。現在のところ,この方法で高 い暗発芽を示すものや,近赤外光,青色光による発芽制御が認められない ものはまだ単離されていなしゝが,光反応性が均一・な胞子集団をも/)個体がシダ門己仰,イ如)光形態形成U)研究に!'lける突然変緊イ本cJ〕利川 29 NOJ1VN一VJ∝山9。/. 0 0 6 4 + /●-●T●-●-●-● o l 1 1 1 1 2 4 16 8 4 2 8 16 32 64 128
DOSE OF RED LIGHT(min)
l父Ⅰ4 モエジマシダJ)クローン胞Jl・の発芽率と赤色光照射辻とU)関係 多数単離され光による発ぢ制御の生理学的解析に人きく貢献している。 そ0)一一例を第4凶に7JIしたo モエジマシダ胞召二赤色光を照射して赤色 光の光量と発芽率との関係をみると//ローン胞子では1W/m2の赤色光を 15秒照射すれば発芽可能な胞7・(川まとんどが発芽するような株が得らiし た。野牛株に牛じた胞了てはこ0)ような発芽の均・性は認められない。こ a)ような光に対する反応o)均一件は近赤外光や赤色光による発芽抑制にお いても認められる。こ0)ほか原糸体細胞の分裂や伸長,アンセリジオーゲ ンやジベレリンによる造精器形成に関して高い同調性を小す個体も得られ ている。 また,胞子に60C()〟)照射により突然変異体の単離を試みているが,現在 a)ところ光に対する反応等に異常が認められる突然変異体は得られていな い。
4.シダにおける突然変異体単離の問題点と今後の展望
シダ植物では胞子が半数性の甲細胞であるため,多数の胞召こ紫外線や 放射線o)照射,それに化学的突然変異誘起剤処理が簡単に行えること,育 性世代である配偶体から白配生殖によりホモ接合体である胞子体を容易に3り 得られること,胞円本にはコケ植物等とくらべはるかに大足cJj胞子が形成 されることなど,突然変異体の単離とその利用には好都合な材料といえる。 -Jj,その世代時間が長く,通常,胞子から配偶体,胞子体を経て胞f・ が形成されるまでに最低 一年を必要とすること,胞子体が大型であるため, その栽培には人きな面積と労力を必要とすること,染色体数(モエジマシ ダ,カニクサはともにn-58)やDNA量が多いため遺伝子解析の難かしさ が予想されるなど問題点も多いが,今後,栽培条件の改良等により世代時 間を短縮するこ't,小型の胞T・体に胞f・を形成させることなどにより能率 よく変異体を里離することをめざしたい。 また最近,カニクサ,モエジマシダで,配偶体からセルラーゼ,ペクナ ナ-ゼ等U)酵素処理によr)得られたプロトプラストから造精器,造卵器を ち-)成熟配偶体を再生させ,さらにこれから正常な胞{・体を育てることが 可能にな-)た4)。今後,胞子以外に,このシタソ七トブラストを用いて突然 変異体の単離の可能性が考えられよう。プロトプラストを用いれば,細胞 融合,助微注入などによる遺伝子導入技術を利用することも=J能になり,さ らに新しい発展が期待される。
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Lett. 8∴う33-338.
4)菅井道 --_ (1989) プロトソラストを用いたシダ生殖音詩官C/)分化に関する研
究(Hti和63年度科学研究費補助金研究成果報Ii,A一書)
突然変異体を用いたレタス種子
発芽機構の解析(計画案)
井上 康則
1.はじめに 野生植物の多くで,種子発芽が赤色光により誘導され近赤外光により抑 制されることが知られている。この反応は,種子が地中深く(光条件は暗黒)や森林の卜部(光条件は近赤外光優勢)等の光合成が不可能な環境卜
で発芽するのを防止する機構と考えられる。 Grand Rapids種レタス種子 の発芽も光依存で,赤色光と近赤外光の効果の間に光‖J逆性が存在するこ とが最初に報告された1)現象であり,そcJ)後U)フイトクロム学発展の端緒 とな-'た現象であるo そのため,その後多くの研究がレタス種子光発芽現 象についてなされたが,必要光量等の光そのものに関する研究が主で,赤 色光がど0)様な機構で発芽を誘導しているかという基本的な問題は現在に 至るまでほとんど明らかにされていなかった2)02. 7イトクロム依存レタス種子光発芽の機構
筆者等はGrand Rapids種レタス種子光発芽の機構解析を行い,最外層 の果皮を除去すると光照射無しに暗異卜でも発芽するようになり,果皮を 戻すと光発射性が部分的に回復すること,こ0)暗発芽抑制効果は水抽出で 水に移ること,果皮中にはアブサイジン酸(ABA)が存在しておr),果皮 小の存在星から果皮の暗発芽阻害効果はABAによっていることを兄いだ し,レタス種子の暗所での発芽は果皮中のABAにより抑制されており, 東山入学神学部32 7イトクロムはこのABAの阻害を打ち消すことにより発芽を誘導するこ とが推測された3)。 ABAの阻害を打ち消す機構としては以下0)ことが考え られた。レタス種f・発芽は晴男fジベレリン投与により誘導されうるo 無 傷種子にはジベレリンを与えた場合は10 4M以卜.と高い濃度が発芽誘導 に必要であるが,針で穴を開けた種子では10 7Mで充分であり,生理的濃 度に近いジベレリンが発芽を誘導しえる。ジベレリン合成阻害剤は種j'-の 発芽を阻害し,光照射ではこの阻害効果は回復せず,ジベレリン投与で回 復する。これら'の結果から,光はジベレリンを介して発芽誘導を行ってい る可能性が考えられる。そこで次に光照射により種√中のジベレリンレベ ルの上昇が観察されるかどうかを調べてみると,椎子中の生理的に活性型 と見なされるGAlのレベルは発芽条件である赤色光照射後3時間目で3 倍に上昇するが,暗所あるいは赤色光照射後近赤外光を5・えた非発芽条件 卜では変化しなかった4)。 フイトクロム依存のレタス種子光発芽機構をまとめると以下の(1)の様 になると思われる。 光一フイトクロム(Pfr)-GAlレベル上昇 - ABAの阻害解除-発芽 lH 光発芽性種子の内1()種類程度でジベレリンが光の代替をしえること,さ らにこれらの内数種では,ジベレリン合成阻害剤が樺f・発芽を阻害し,こ a)阻害はジベレリンで回復することも報告されている5)。レタス以外にリ ンゴ・トウヒでも光照射によりジベレリンと考えられる活性が上昇するこ ともバイオアッセイを用いてではあるが報告されており5),光による種子 発芽誘導にジベレリンが大切な役割を果たしていることは,ある程度は・ 般化できそうである。 しかしながら,光照射によるジベレリン含有量あるいは活性上昇はレタ スの場合も含めて種子全体で2-3倍程度であり,外部からジベレリンを与 えた場合10倍以ヒの濃度L昇が1000/o近い発芽誘導に必要であることと 矛盾する4)oこの矛盾は,種f・全体を用いてジベレリン含有量を測定してい るために生じたと考えられ,ジベレリンの作用部位を特定でき,その部分
突然変異体を用いたレタス種If・発芽機構J-)解析(計L由r零) 33 のジベレリン含有量を測定できればもっと人きな差が観察できると考えら れる。種子発芽における光受容部情に関しては,幼根側の半分に存在する であろうことは報Ft。-・されているが6),それ以l・.a)知見は得られておらず,ジ ベレリンの作j情邪位も明確でない.また,含量測定に必要なサンプル量も, 定遠にGC--MSが必要な限り生重崖でグラム単位であり,光発芽性をホす 小型種子において現時点で特定部位o)ジベレリンを測定することは困難で ある。また,もし測定可能であったとしても,何倍に増加すれは允分かと いう点は解決されない。
3.突然変異体を用いた解析の可能性
卜記の問題点を克服し, (1)の図式で示された信号の流れを確認する方 法の つとしては,光発芽性に関する突然変異体を作出し,突然変異体の 性質を調べることにより, (1)に出てくる各植物ホルモンの光発芽におけ る役割を解明することがあげられる。光発芽の機構を突然変異体を用いて 解析することは,シロイヌナズナで報告されている7)。シロイヌナズナ種j′・ は光発芽性を示すが,発芽にジベレリンが必要な突然変異体が得られてお り,こU)変異体は棲性形質をホす。この突然変異体o)復帰突然変異体とし て,矧生形質を示すが発芽にジベレリンが必要でない株が得られ, ABA欠 損の突然変異体であることが解明された。ジベレリン要求性の突然変異体 は,光条件によらず外部からのジベレリン投与無しでは発芽しないが,ジ ベレリン非要求のABA欠損株では暗累下で発芽が起こる。この結果は, (1)の図式を支持する結果となっているが,卜記突然変異体のジベレリン・ ABAレベ/レは種f-そのもので測定されたものでなく,前条全体を用いて 測定されたt)cJ)である。 「これは,シロイヌナズナ種子が小型で,ジベレリ ン定這用に人量の種f'-を集めることが不可能なためであるo そこで,レタ スを用いてシロイヌナズナと同様な突然変異体が得られれば,ジベレリン 定量等に用いる程度の種子を得ることは苓易であり,シロイヌナズナ以」二 の解析が可能となることが期待できる。 レタスはキク科に属し,強い自席性を示す。よって,光発芽件突然変異 体の作出にはシロイメナズナと同様な手順が応用できるはずである。レタ34 'のゲノムサイズはn-9で,現在までにすでに59の表現型マーカーにっ て7つの連鎖群が報告されれている8)。また, RFLPを用いても54の遺 伝子座がマッピングされている9)。これらの結果はレタスである程度の遺 伝子解析が可能なことを示している。 レタスにおける光発芽機構が(1)の様であるならば,レタスを用いて光 発芽性の突然変異を作出する方法としては図1のような手順が考えられ る。選抜方法に関して少し説明を付け加える。/
① M2種子をまず非発芽条件である連続近赤外貯Fで培養し,発芽し
てくる種子を集める。培養日数は2-3日で充分であり,発芽種子の選別は 適当な目の節にかけることにより行う。ここで発芽してくる種子は,フイ トクロムからの情報が光照射無しに恒常的に発現しているか, GAl合成が 恒常的に起こっていると期待される。もし,前者であれば発芽後の茎の伸 長は暗黒下でも光照射時のように棲化傾向を示し,後者の場合は逆に光照 射卜でも徒長傾向を示すはずである。 a.突然変異誘発処揮 種子(M()) ▼ 播種(Ml) ■ 種IT- (M2) J 突然変異誘発処理(EMS, γ線) R僻 b.光発芽佃こ関する突然変奨体び)選抜 発芽誘導条件 発芽種「に期待 (培養条件) される性質 Ct)連続iLt赤外光卜 l ■ フイトクロムか!,叫肯報 発現恒常的 GA合成恒常的 ②,1、色光卜 ・野生巧'i J ・ABA欠損 ③GA投与 ・ GA合成能欠損 l ・フイトクロム欠損あるしゝ 上 は信号伝達系欠損 ④フシJクシン投与 ・GAからU)信号伝達系欠 損 他U)期待される 表現型 ・暗黒†て権化 ・茎徒長 ・次l明仁で暗発詣` ・権化 ・哉化 ・楼化((;Aヮ附感受性) Lll レタス侍f・Uj光発芽性に関する突然変異体を作出するためUj方法案o詳 しくは本文参照。突然変異体を用いたレタス種子発芽機構0-)解析(計Lthf案) 3:I) ② ①で発芽しなかった種子に誘導赤色光を照射し,発芽した種f・を集 める。ここには野生型とABA欠損型の突然変異体がくると期待される。 ABA欠損型の突然変異体が①ではなくここにくると考える理由は次節 で説明する。野生型からABA欠損株を分離する方法は,高塩濃度に対する 耐性の低下等を利用して選択可能と考えられるが,まだ充分な検討を加え ていない。 ③ ②で発芽しなかった種子に10 3M GA。を投与し発芽を誘導する。 ここで発芽してきた種子は,GA合成能の欠損株か,フイトクロムからの信 号伝達系の欠損株であることが期待される。前者であれば暗黒下でも棲化 し,後者であれば光照射下でも黄化傾向を示すことが期待できる。 ④ ③で発芽しなかった種fに10-5Mのフシコクシンを授与し発芽を 誘導する。 GrandRapids種レタス種子の発芽は30oC以卜の高温では光条 件によらず抑制される。高温による発芽阻害相は発芽直前の3時間に存在 する。これは, Pr要求期・ジベレリン要求期の後の発生段階にあたり,よっ てジベレリン投与では高温阻害を解除できないが, 7シコクシンを投与す ると35oCでも光条件にかかわらず発芽が誘導される。フシコクシンは(1) の図式とは異なる機構で種√発芽を誘導していると考えられ,ここで発芽 してくる種子には,ジベレリンからの信号伝達系の欠損が存在することが 期待される.その上J)な株では,発芽後棒性形質を示し,この矧ソ1三形質が ジベレリンでは回復しないと期待される。 ⑤ 上・_記発芽誘導操作で発芽してこなかった種子は,生きていないとみ なし,廃棄する。 ①-④の操作で発芽種f-と非発芽種子を飾により選別するためには・そ れぞれの段階で25oC 3日間の培養が必要になr),合計12 [用日の培養期間 となる。通常の培養方法では雑菌の混入により実験が困難になるが,無菌 培養によらなくとも,培地中に防徴剤であるチュラムを10 5g/ml加えて おけば,光発芽性を損なうことなく長期間培養することが可能である。 上記操作で単離してきた突然変異体の形質がF2以降も固定していれ ば,それらの中から図1に"他の期待される表現型"欄に示した形質を目安 に, 2次の選抜を行い,得られた株に付いてABA・GA・フイトクロムの定