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ミルトン『弁明批判』1 : ジョセフ・ホ-ル の『弁明』を論駁する

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Academic year: 2021

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(1)(91). 、ヽ ヽ. 例. 郎 宏. を論 駁 す る ︱ ︱. 九 一. 健一. 田 市. ン ﹃ 弁 明批判﹄. ︱ ︱ ジ ョゼ フ ・ホ ー ル. 黒 私. V 弁 明 L. ル ト. の ͡. ゝ. 共訳. ∽ ヽs s s ヽ 6 ミ ∽ s s ヽ ∽ 6ミ ミ ヽざ ミ ∽ い ﹂Osミ 嘲 s ヽ﹂ヽき ヽ ゝ s ﹂ミ s ヽ 電Qあ ざ s ∽ ミ と ヽ ヽぉ Q 島 Qミ oS ∽ヽ 6 s 冴. じまざ 総 かξ き∽ヽ∽ミR ■ミsミミ´ 〓ミ 。ロンド ン大学 図書 館 蔵 。. を さ れ Q∽ヽ の oさ き き ヽ﹂os p ヽゝ. 卜 R F ロンド ン大 学 図書 館 蔵 。. ︺〇∽①り 〓ユ Fゝ じミぱs6sQ﹃ 濠 Q職ぎミミsおsミos3S s6ssmミ sれ ヽ お やきミοミ∽sssヽ” ヽ こos∽ミ﹃ ∽ミ66さミ ヽミミ´ ∽s鑽ミ︶ , ,. 。 ﹂oX り 〓”F ゝ s 職ミミ ミsヽ6ミos∽ヽ き ミss卦 〓 雌 ” エデ イ ン バ ラ 大 学 図 書 館 蔵 一 S st ざ 濠 s職ほお Qοミミ o≫ Ⅳ ヾヽ , ∽ヨ ①鮮 Чヨ ●ccP ゝs、s∽SQヾざ s﹄00お﹄sヽ ﹂ ヽ ヽ Sa ゝS職ミミ ミsヽ6ミos資S s6゛ Ho卜r エデ ィ ン バ ラ大 学由n 童屋生成 。. 中 の スメ ク テ ィム ニ ュー ア ン ・シリ ーズ か ら の引 用 と それ ら の頁 数 は以 下 のも のを底 本 と し て いる。. 一、 翻 訳 に当 た っては、∪oc電器 ”房 2 ュお Qr のtS きき ヽδ総 ミRぶ ρこげNsミ ミざい くo〓 ﹂ 露 ヤ 〓ミ ︵ 。 く”げ , C●〓①﹃ ︶ 所 収 の ヽミミSヽミお﹂ ∽︻ ぞ ﹁﹃ ①∽ P お認 ・ S り を底 本 と し た。 、註 釈 に当 た っては、前 記 イ ェー ル大 学 出 版 本 に ” Q ︻ 一 詳 が つけ た脚 註 に負 う と ころが多 か った。 な お 註 の ﹂ o略バ”. 凡.

(2) (92) ミル トン『弁明批判』. 、 三 、 本 文 と註 にお け る固 有 名 詞 と 著 者 名 の訳 は、 主 と し て教 文館 の ﹃キ リ スト教 大 事 典 ﹄ を参 考 にし た が そ の他 の訳 にも よ った り、 訳 者 が直 接 訳 し たも のも あ る。.  一括 し て最終 回 に付 け る こと 四、﹃ 紀 要 ﹄ に連 載 の都 合 上 、本 文 を 数 回 に分 け る こと にな り、 こ のた め 本 文 の註 は、 にし た。. ﹃ 弁 明 批 判 ﹄ のあ と さき ︱ ︱. │に. 、 弁 明 批 判 ﹄を引 っ提 げ て参 加 し ル主 教 co∽ 8 〓望 ︶と スメク テ ィ ム ニ ュー ア スと の主 教 論 争 の中 へ ミ ルト ンが ﹃ ,. 、 。 か が え る よ う に、こ の パ ン フ レ ット は、いわ ゆ る スメ ク テ ィム ニ ュー ア ン ・シリ ーズ の 一つであ る す な わ ち ホ ー. ﹂∽ミヽ ヽ 6 こミミ ミし か ら う ヽ∽ ∽やさ st Sヽ﹂ 88﹂ ミミ∽ o 減 S〓 きも、6 ア スに対 す る抗 議 者 の弁 明 を 批 判 す る﹄ 貧 ヽき ミ e s 醗﹂. しかし ﹃ 弁 明 批 判 ﹄は先 行 の二論 文 と は異 な る位 置 づ けを持 って いる。そ の正 式 のタ イ ト ル ﹃スルク テ ィム ニ ュー. ト群 を 構 成 す るも の であ る。. oo ヽルト ンの弁 護 ﹄S ヽヽビ ざ鍵 むヾ∽ミs S ミミ ミじ と と も に、ミ ルト ンによ る反主教 制 パ ン フ レ ッ ドじ お よ び フヽ e s ミミヽ. ぜ もヽ6 教 会 政 治 の根 拠 ﹄ ︵ S ミ Qざ バト 6∽ レ ットと同 じ く 、匿 名 で書 か れ た ミ ルト ンの第 二番 目 の論 文 であ り、続 く ﹃. あ る う え に、 こ の年 こ の月 は ペ スト、 天 然 痘 が狙 畷 を 極 め て いる最 中 であ った。 ﹃弁 明 批 判﹄ は前 の二 つの パ ン フ. 弁 明批 判 ﹄ ① ” ∽ 8︶ に ﹃ て、 主 教 制 に反 対 す る論 陣 を 張 って いた ジ ョン oミ ルト ンは、 ﹁こ の熱 い季節 ﹂ → お ぎ ”∽ ,   王 ハ四 一年 七 月 と特 定 す る こと が でき る。 狼 星 が太 陽 と共 に出 没す る狂 気 の時 季 で 貧 ドざ ミ c s あ﹂ o 減 ︶を世 に出 す 。. む﹂ 0 やsヽ RSsC︶によ っ 6諄6ヽ ﹃イ ング ラ ンド宗 教 改 革 論 ﹄︵ ミ S お よび コ品位 聖 職 主教 制 ﹄︵ Q やさ ミ ヽき ミ sh磁 ヽ. は じ め.

(3) 田 健二郎 元 宏・ 黒 私 市. (93). 、 た の であ る。 スメク テ ィム ニ ュー ア スと は長老 派 教 会 の ス テ ィーヴ ン ・マー シ ャル ︵  エド マン ∽け 3≧ ︶ 8 F口〓”﹃. ド ・カ ラミ ー ︵ UQヨcD00”ごヨじ 、 ト マス ・ヤ ング ︵ 弓ぎ ヨお く8 口し 、 マシ ュー ・ニ ュー コウ メ ン ︵ 〓”け 手① 〓 Z① l8︲. じ 、 ウ ィリ ア ム ・スパ ー スト ウ ︵ ヨ︺ F ヨ ぽ 匡﹃ 一 ヨ① ∽ o〓︶のイ ニシ ャ ルを並 べた代表 名 であ る。な お、 ミ ルト ンの五番. 目 の パ ン フ レ ット ﹃ミ ル■ ンの弁 護﹄ も こ の シリ ーズ に含 ま れ る。 そ の正 式 のタ イ ト ルは、 ゝヽοヽ S 鍵 s∞ミ減 、6. N ミヽミヽ 6 ミヽ 威ゝ 費ざヽεヽのRSミ ﹂ きヽ ゝ濠SヽミSsヽヽあまs∽ミ︶ osO os濠s、6 ミosnミミ s∞ミsn ∽ミRせ§sミミ∽で、 こ の シリ ーズ を し め く く る役 割 を 果 たす。. スメク テ ィム ニ ュー ア ン ・シリ ーズ の パ ン フ レ ットを 順 を 追 って列 挙 す ると次 のよう にな る。 1   一六 四 一年 一月   ホ ー ル ﹃ 謙 虚 な る抗 議﹄ ヽsヽミミミsヽ6 ︵ S ミo s資ドド6 一六 四 一年 二月   スメク テ ィム ニ ュー ア ス ﹃ 謙 虚 な る抗 議 への答 弁 ﹄ ヽおヽs∽ お嘲ドヽ ︵ ﹂ ヽ ヽヽドヽミ ヽ S Sミ ざ s”0 0 ω ミミsヽ6 ミo お資ゞ nso 一六 四 一年 四月   ホ ー ル ﹃ 謙 虚 な る抗 議 への弁 明 ﹄ 曾 じよヽお ミ きoヽミミミもヽ6 ミo s〓SsR︶ 一六 四 一年 六 月   スメク テ ィム ニ ュー ア ス ﹃ 答 弁 の立 証 ﹄ 9 ヽ注 ﹂ ヽ 8き だ ヽ さもヽ減ミ ヽお きsヽミミけ s憩 ミSnSべじ 一六 四 一年 七 月   、 弁 明 批 判﹄ ヽルト ン ﹃ ヽ ヽドヽミミ薇 ヽe 卜sヽG ︵ s あざs∽ミとヽ、 ミo s〓ドドンυミヾ86 ss ド資 ∽§6 6 ミミドミミ∽︶ ●6﹂ 一六 四 一年 七 月 あ る いは八月   ホ ー ル ﹃ 長 た ら し い立 証 への短 い答 弁 ﹄ ゝ ∽きo 卜Q↓S ヽ﹂ ﹂ ヽヽお∽ ヾ Ss ヾヽ οヽ o ミ∽ヽきヽ﹂ 6 Sヽ o s︶. 6.

(4) (94) ミル トン『弁明批判』. 一六 四 二年 二月   ロバ ー ト ・ホ ー ル ﹃穏 当 な る論 破 ﹄ ざド︶ 爵こo ︵ ド﹄ 〓 oo ごごきヽ 一六 四 二年 二 月 ぁ る い は 四 月   ﹃ミ ル ト ン の弁 護 ﹄ ﹂ Ⅳミ毯きさヽ6 〓 Oo ︵ ヽいoさm οヽ︶ sミミヽ やさヽs 、∽ヽ6﹂ 赴きさい ”6﹂ 更6. ヽルト ンの弁 護 ﹄ な ど は、以 後 の こ の シ リ ーズ のほと ん ど全 部 のパ ン フ レ ット にお い て論 争 の材 料 とな り、最 終 の フヽ. 疑 間 の余 地 な く 明 ら か だ か ら であ る。. な 権 力 者 によ り、他 方 は、霊 感 さ れ た人 たち によ る の であ って、 こ の人 たち か ら私 たち へと伝 え ら れ た こと は、. 聖︶のそれ は決 し て変 わ ら な か った。そし て、創 立 者 の権 威 によ れ ば 、 一方 は恣 意 的 によ り変 化 し た が 、教 会 ︵. 世俗︶の制 度 は時 さ れ た教 会 の制 度 を 変 え よ う と す る のだ か ら。な ぜ な ら 、古 来 の伝 承 を規 範 とす るな ら、国 ︵. これ ら パ ン フ レ ット の著 者 た ち が断 罪 に値 す る のは容 易 に分 か る であ ろう。 彼 ら は、 そ の言 動 によ って、 確 立. 例 え ば 、 主 教 制 と国 家 組 織 ・教 会 組 織 と の関 係 を論 じ た ホ ー ル の主 張 、. か わ る問 題 が、 そ の後 続 く 論 争 にお い て答 弁 され、 弁 明 さ れ、 立 証 さ れ、批 判 され て いく こと は言 う ま でも な い。. ト のう ち 、 ホ ー ルは典 礼 の こと に八 頁 、 主 教 制 の こと に二五 頁 を費 やし ている。 この二 つの こと、 お よび それ にか. い﹂ ミ 電 墨 ヽむ ﹂ 典 礼 と 主 教 制 ﹂︵ り あ げ 、弁 護 し よう と し た 問 題 は ﹁ なSsC︶であ る。四折 版 四 三頁 の こ の パ ン フ レ ッ. 謙 虚 な る抗 議 ﹄ で取 主 教 制 を め ぐ る スメ ク テ ィ ム ニ ュー ア スと の論 争 の幕 開 け と な った の であ る。 ホ ー ルが こ の ﹃. 抗 議 ﹂ す る た め に長 期 議 会 の直 後 に出 され た の であ る が、 こ の こと が か か る ﹁激 し く怒 る悪 霊 た ち ﹂ のし わ ざ に ﹁. 謙 虚 な る抗 議 ﹄ は、 く パ ン フ レ ット﹂ によ って ﹁一つな ら ず の印 刷所 が悲 鳴 を あ げ て いた﹂ の であ る。 ホ ー ル の ﹃. 中 傷 的 な侮 辱 、痛 烈 な 風 刺 、毒 づ ﹃謙 虚 な る抗 議 ﹄ で の ホ ー ル主 教 の言 葉 を 借 り て言 う な ら ば 、主 教 制 に対 す る ﹁. 7.

(5) 田 健二郎 元 宏・ 黒 私 市. (95). にま で続 けられ ているほど であ る。. 三. ﹁ 敵陣営 の雄弁 にほとんど拮 抗 しえな い聖職者 たち に、時宜 にかな った援助を与 え るようわたし は期待 され てい. 英国民 の た のであ るが、そ の時以来、わたしは現れる いかな る答弁をも積極的 に論破した﹂︱︱ 後 にミルト ンは、﹃. o u じ にお いて、 この時期 の自 ら のうち続く パ ンフレ ッ ざや6 ため の第 二弁護論﹄ Gtw ヽま ヽ6やさ ざヽべ諄ssp r s∽ トにふれ てこのよう に書 いている。しかし、当時 のミ ルト ンの心意気を、 より生 々しく表現し ているのは、 このス. 。 英文学形 メクティム ニ ュー ア ン ・シリ ーズ の悼尾を飾 る ﹃ミ ルト ンの弁護﹄ での次 の 一節 であ ろう 夏目漱石 の ﹃ 明治一 二ハ年講︶での訳文 にそれを見 てみよう。 式論﹄ ︵. 私 は スメクチムヌウ スの著者達は、反駁論者 の見 せ つけるあらゆる強硬な態度 に対 し、熟練と決心とを以 て満. 足な る答弁を与 える に抜 か りなく、彼及びそ の連中 が術策上 より起 こした てる塵芥 や泥水を、時代遅れ の仕方. と暴露 し てやる ことが出来 るとばかり思 って居 た。 だが、論者 の薄弱な論議 は鋭 い嘲笑 を振騎し て居り、し て. そ の企図 む所 は若 し著者達 を説破す る ことが出来な いならば、少なくも皮肉 と刺 々し い但言など で彼らを威怖. し去 ろうとす る にあ る のだ。 それを著者達 は我 が事 に専心な るの余り、兎角見遁 さうとし て、己等 の蒙 る べき. 損害を考 へて居な いと見 た時 に、私 は自白す る、私 の尊敬す る友人等が不必要 な忍耐 から、斯く の如く侮蔑的. な文章 から、巫山戯 た文章 の為に弄ばれ、文 は法令 で三吋以上 のも のは没収す べきだ、 と云 った風 の文章を書. く輩 の為 に、罵詈 と単語的誹謗に呵責 れ る ことを、 もはや左程 ま でに我慢 せぬ ことが私 の本文だと心得 る こと を。.

(6) (96) ミル トン『弁明批判』. 漱 石 は、 こ の文 章 が ﹃ 弁 明 批 判 ﹄ の 一節 であ ると 誤 解 し て いる の であ るが、先 に述 べた よ う に、 これ は ﹃ミ ルト. ンの弁 護 ﹄ か ら の引 用 であ る。 そ の こと はと も か く と し て、 こ の 一節 に見 られ る心 意 気 と いう か、 問 題 意 識 と いう. か が、 ミ ルト ンを し て、 ﹃弁 明 批 判 ﹄ は極 め て激 し い言 葉 づ か い、 激 し い書き ぶり で書 か せ た の であ ろう。 ﹃ 弁 明批. 判 ﹄ は、毒 舌 、 悪 回、 雑 言 、 皮 肉 、 嘲 笑 にあ ふれ て い て、 後 の サ ル マシ ウ ス 6一 一 〓 Q︻ 房 r ヨ ”∽ 扇︶と の論 戦 での鋭. い筆 鋒 が早 く も 現 れ て いる。 マ ッソ ン O ミ こ 〓” 批 判 ﹄ の中 には、 ほ んと う に近代 の ∽ ∽ 8 ︶を し て、 で ヽルト ンの ﹃. 良 趣 味 の限 界 を 越 え て いる の で、 そ れ を引 用 す る のは難 し い箇 所 が幾 つかあ る﹂ と言 わ し め て いる ほど であ る。 い. や、 ミ ルト ン自 身 ﹃ 弁 明批 判 ﹄ の ﹁ 序 文 ﹂ の中 で、 ﹁ 悪 名 高 い敵 の正 体 を 暴露 し、 これを 説 得 し て、真 理 と国家 の平. 和 に向 く よ う に仕 向 け るた め に は﹂﹁こ のよう な奴 は少 し く声 を荒 げ て遇 し、奴 の所 にあ る聖 水 な ら ぬ汚 水 を そ の高. 慢 な 面 にぶ っか け て、 ぶち のめ し ても 、 キ リ スト教 的 な 柔 和 心 にも と ると ころは少 しも な い のだ﹂ と言 っている。. 四. ﹃弁 明批 判 ﹄ は、 そ の正 式 の タ イ ト ルか らも 明 ら か な よ う に、 三 か月 前 のホ ー ル主 教 の ﹃ 謙 虚 な る抗 議 への弁 明﹄. への批 判 であ る。﹁ 序 文 ﹂ の後 ﹃弁 明 ﹄ で のホ ー ル の記 述 を そ のま ま、あ る いは要 約 し て ヽQ 抗議者︶とし て計 ミoい ︵. 一四六 項 目 を 掲 げ 、そ れ ぞ れ の ヽも 批 判﹂を ヽ減 共 答 ι ま た は、ゝ磯 ド と し て ミoい に つい て順 次 ミ ルト ン自 身 の ﹁ , 述 べ て いく と いう、 一問 一答 式 にな っている。た だ し ヽ6 弁 ミoい の中 に は 一部重 複 し てい る のが若 干 あ るう え に、﹃. 明 ﹄ か ら でな く、 ホ ー ルの前 著 ﹃謙 虚 な る抗 議 ﹄ か ら のも のが六 項 目 含 まれ ている。 ま た、 そ の問 答 部 分 の構 成 は. ホ ー ル の ﹃弁 明 ﹄ で の部 わ け に対 応 し ている の であ るが、 ミ ルト ンの ﹃ 弁明批判 ﹄ では第 五部 の次 が大 き く スキ ッ. プ し て第 一二部 に続 い て い る。﹃弁 明 ﹄ の第 六︱ 一二部 が無 視 さ れ て いる こと にな るが、子 細 に見 てみ ると、ミ ルト.

(7) 田 健二郎 元 宏・ 黒 私 市. (97). ンの第 五部 の最 終 の 力ヽ ミοド ﹁さし当 っては、兄弟 が た よ、夜 中 シ モ ンと とも に漁 を し ても な に 一つ捕 れ な か った こ. 弁 明﹄ の第 九部 にあ る文 章 で、 ミ ルト ンは これを第 五 部 にく っ つけ た こと にな る。 と でも考 え てみ る が い い﹂ は、 ﹃.   一問 一答 式 の形 式 を構 成 し、 し か も ﹁問 い﹂ の部 分 に当 た る 弁 明 批判 ﹄ にお い て、 こ のよう に、 ミ ルト ンが、 ﹃. 弁 明 ﹄ によらず、 そ の前著 ヽぬ 弁 明 ﹄ で の原文 と は異 な った形 に要 約 し たり、時 には、 ﹃ ミoい の多 く を 、 ホ ー ル の ﹃. 弁 明﹄ の中 心 部 を 手 粗 く 無 視 し た りし た こと が際 立 って いる。 ミ ルト ンの論争 の﹃ 抗 議 ﹄ の文 章 を 取 ってき た り、﹃. 弁 明 批 判 ﹄ で の自 分 の攻撃 上 手 、喧 嘩 上 手 と言 えば い い の であ ろうか。 ミ ルト ンは ﹃ミ ルト ンの弁 護﹄ にお い て、﹃. 法 にふれ て、 わ た し はあ る種 の軍 事 的 優勢 を保 つこと を 心 が け、 敵 が馬 に糧抹 を 与 え た り水 を飲 ま せ た り し ている. 時 を︱ ︱ 自 分 は と ても 安 心 だ と信 じき って、 も っと真 剣 な 相 手 を馬 鹿 にし てい い気 分 に浸 って いる時 を︱︱ 待 ち か. 、 弁 ま え る よう にし た の であ る﹂と述 べ ている。先 に漱 石 の訳 文 を掲 げ てお いた ﹃ミ ルト ンの弁 護 ﹄の箇所 お よび ﹃. 明 批 判 ﹄ の序 文 に見 る こと が でき た言葉 づ か い、 書 き ぶ り に つい て の強 烈 な意 識 を ミ ルト ンの戦 術 とす るな らば、. 戦 い の枠 組 を自 在 に構 成 し、 相 手 を自分 の土 俵 に引 き ず り こん で論 争 す るや り方 は、 ま さ に ミ ルト ンの戦 略 であ っ た と いう べき であ ろ う。. 五. 鶴 ﹃ 弁明批判﹄が出 た 一六 四 一年七月、国王 に従 わな い者 の上 に暴威をふる っていた星室庁裁判所 →F o8 詳R ∽け. oFヨgじ は廃止 され、八月 には下院がホールを含 む 一二人 の主教 に弾劾状を送 り、十 二月 にはやはリホールを含む. 弁明批判﹄ への反応がしばらく現 われなか った のは、 この 十人が ロンド ン塔 に投獄 され ている。新た に登場 した ﹃. ような ホー ル側 の現状 によるも の であ ったかも知 れな い。 いずれ にし ても、年 があ けた 一六 四二年 二月 にな って.

(8) (98) ミル トン『弁明批判』. ﹃穏 当 な る論破 ﹄ と いう、 ﹃ 弁 明 批 判 ﹄ を直 接 攻 撃 す る文 書 が世 に出 る。 著者 は ホ ー ル主 教 の息 子 ロバ ー ト ・ホ ー ル. 貧 og︻ け〓”一 し であ る と さ れ て いる が、父親 の筆 にな る箇 所 も か な りあ ると言 われ ている。 そ の完 全 な タ イ ト ルは ヽ. 最ごヽQ ﹂ 守Qヽ嘲Sヽ おヽ ∽ヽQ急ミゞきヽ ぉQヽぬ oS pヽぬ ∽ヽ SSヽ袋δミ∽ssヽ ∽6 Sミミoミ∽い﹂ Qれ ヽい﹂ ミ6se s a﹂ os∽ ミヽOS 、 ミOS∽ヽss冴. じよヽ 6 弁 明批判 ﹄を ﹁国 の悪 い、下 卑 た中傷文 ﹂と き め つけ て いる そ の文 章 か ら 66 ∞ミs∽ヽ∽ミR さミsミミ∽であ る。﹃. も 、こ の論 破 書 の性 格 が う か が わ れ る。四折 版 四〇 頁 の こ の パ ン フ レ ット は、 〓 一 の節 に分 け ら れ、ミ ルト ンの ﹃ 弁 明 批 判 ﹄ の主 要 な 箇 所 が引 用 さ れ、 逐 一 ﹁ 論 破 ﹂ さ れ て い る。. し か し、 ﹃ 穏 当 な る論 破 ﹄ を際 立 た せ ているも のは、  そ う し た個 々 の論破 よりも、 主 と し て ﹁ 読 者 へ﹂ 翁 o手①. 刀88 じ の中 に見 ら れ る ﹃ 弁 明 批 判 ﹄ の著 者 →ヽ りれ ていないが︶の私 行 を 暴 き た て、人 格 を傷 つけ よ ヽルトンの名 はあげゝ う と す る個 人 的 な 攻 撃 であ る。. わ たし は、著 者 が そ の下 品 で無 礼 な中 傷 文 で自 分 の こと を 語 って いる以上 の こと は、こ の男 に つい て知 ら な い。. ⋮ ⋮自 分 の仲 間 た ち が そ いう こと を し た と言 って い る のだ が、 ど う やら この男自 身 も 青 年 時 代 は放 浪 と酒池 肉. 林 に明 け暮 れ た ら し い。 か く し て大 学 の胸 中 に巣 く う濃 瘍 にな ってし ま い、 と う と う ロンド ンの場 末 のはき だ. め に吐 き出 さ れ た のだ。 こ の辺 り は、 彼 が現 れ てか ら と いうも の、 二 つの病 菌 に侵 さ れ て呻 い ている。  一つは. こ の男 、   一つは ペ スト。 彼 の朝 の行 き場 所 は知 ら な いが、 昼 食 後 こ の男 を見 つけ よ う と す る者 は芝 居小 屋 か遊 女 屋 を探 さ ねば な ら な い。 わ た し は、 そ こま では こ の男 を あ と づ け た のだ か ら。. そ し て こ の論 破 者 は、 ミ ルト ンを そ こま であ とづ け た 証 拠 と ば か り に、 括 弧 に包 ん で ﹃弁 明 批 判 ﹄ か ら の言 葉 を数. 、﹁ 、﹁ 多 く 並 べて いる。そ の中 には ﹁か つら﹂︵ F﹃ 〓一 し、﹁ 古 び た外 套 ﹂︵ 喘 Q∽ ︶ 偽 のあ ご 髭 ﹂︵ ︶ 夜警 ﹂ oこ o︼ 8 澪∽ ”︻ 8 P ”﹃. 、﹁ ︼ 曾︻ Fい ︶ 塩 気 ま じ り の水 ﹂ ︵ い け︻ ●”0暉Q鴨 F ﹃ 本書 一〇八頁参昭じ。 ∞〓当 ” ∽ ”一 〇一 8 ︶な ど が含 ま れ ている ︵.

(9) 健二 郎 田 宏 0黒 元 市 私. (99). エ ハ. この ﹃ 穏 当 な る論 破 ﹄ に直 接 答 え た のが ﹃ミ ルト ンの弁 護 ﹄ であ る。 そ の正 式 のタイ ト ルを 再 録 す る と ヽsヽbo︸. ﹂ 0 おQゝい﹂ s∽、ヽ ﹁ぼべヽぉヽ s、6 Sミ威 ゝ ミざヽQ ゝヽ ”ヽsms﹂ ∽﹃Qοざきさい os o ミsae s あ﹂ os ミヽos 濠S、6 ミos∽ヽssヽぬms﹂ s∽、. ∽saさミsミ誘 であ る。邦 訳 し き れ な いそ のタイ ト ルが主 教 制 論 争 の経 過 を 説 明 し ている。本 パ ン フ レ ット は ﹃ 穏当. な る論 破 ﹄ の言 葉 を 逐 一引 用 し て、 執 よ う と言 ってよ いほど の弁 護 を行 い、 ミ ルト ンが な ぜ 中 立 的 な立 場 を 捨 て、. 沈 黙 と 忍 耐 を破 って高 位 聖 職 制 C︻ ︼ じ に反対 し て、長 老 主 義 擁 護 に立 ち あ が ったか を説 明 す る ︵ ① ”け 漱石が ﹃ 英文学形. 。﹃ 式論﹄で引用していた文章もその 一つである︶ 弁 明批 判 ﹄で自 分 が攻 撃 的 な言 葉 を使 用 し た こと を 正 当 化 し よ う と も す る。 こと に論 破 者 が 浴 び せ か け た私 行 に関 す る非 難 に つい て の ﹁ 弁 護 ﹂ は、 間然 す る所 が な い。. 芝 居 小 屋 にそ し て遊 女 屋 にと、 こ の男 は言 う。 密 告 者 な のか、 う そ っぱ ち のカ ナ ンの偵 察 者 な のか。 そ こま で. わ た しを あ と づ け た と こ の男 は証言 す る。 読 者 よ、 こ の男 の言 葉 に用 心 し よう。 他 人 を つけ ま わす つも り でい. る う ち に、 わ れ と わ が快 楽 を求 め て自 分自 身 が入 り込 ま な か ったと いう証拠 を取 るま では、 こ の男 を手 放 し て. はな らな い。 こ の男 は自 分 の こと を た っぷ りと暴 露 し てし ま っている。 他人 のし か け た わ な には引 っか か らな. いが自 ら し か け た わ な に落 ち 込 ん でし まう か け出 し者 な のだ。 ﹃ 弁 明批 判 ﹄ でわ た し が古 び た外 套 、 偽 の顎 ひ. げ 、 夜 警 、 お よ び塩 気 ま じ り の水 の ことを言 って いると こ の男 は指 摘 し、 だ か ら批 判 者 は芝 居 小 屋 、 遊 女 屋 に. 出 入 りし てい ると言 う の であ る。 出 入 りし ていな く て、 ど う し て こ のよう に品物 の こと が言 え る のか、 と いう. わ けだ。 子 供 であ る く せ に刃物 を も てあ そぶ のが ど んな こと か を を分 か ら せ るため、 わ た し は こ の男 の揚 げ 足. を と り そ のま ま お 返 し し てや ろう。 論 破 者 は これ ら の品 物 が、 芝 居 小 屋 、 遊 女 屋 に備 え付 け のも の であ ると.

(10) (100) ミル トン『 弁明批判』. 知 って いる。 ゆ え に同 じ 理由 で論 破 者 自 身 が こ の種 の場 所 ま であ と づ け ら れ る のだ。. か く し て、 主 教 制 論 争 を し め く く る ﹃ミ ルト ンの弁 護﹄ は、 自 己 を 語 り、 自 己 を守 る強 烈 な自 己 主 張 の書 でも あ っ. た。 そ し て自 らを弁 護 す る数 々 の記 述 のあ ち こち に挿 入 さ れ て いる、 主 教 、 高 位 聖職 者 、 エピ ス コパ シー ヘの鋭 い. 〓”長 批 判 が 読 む 人 の目 を う ば う。 T ヽル ト ン の弁 護 ﹄ を 世 に問 う て ほ ど な く、 ミ ルト ンは メ ァリ ー ・パ ウ エル ︵. ”oく① ︼ じ と 結 婚 、 つい で そ の妻 と の別 居 と いう事 態 を む か え る。イギ リ スの内 乱 も こ の頃 始 ま り、ミ ルト ン個 人 と国. 英 国 民 のた め の第 二弁 護論 ﹄ で説 明 し て いる。 家 の重 要 な月 日が続 く。 そ のな か でミ ル ト ンは ﹃. お び た だ し い攻 撃 者 の大 群 に、 主 教 た ち が も は や敵 対 し え な く な ったと き、 わ たし は他 の問 題 、︱ ︱ ほ んと う. の、 本 質 的 な自 由 と いう問 題︱ ︱ に そ の思 いを傾 け う る余 裕 が でき た。 こ の自由 こそ、 外 部 か ら ではな く内 部. か ら求 め ら れ る べき も の で、 そ の存 在 は威 圧 的 な剣 よ りも 、 行 為 の真 面 目 さと生 活 の誠 実 さ に依 存 し て いる の であ る。. の 卜 じ、 ﹃ア レオ パ o 卜 き ミ ︺c じ、 ﹃ ぜ sじo ミミ ミ ヽ︺∽ 教育 論 ﹄ ︵ Q ”き い 離 婚 と教 理 の規 律 ﹄ ︵ ヽき ド ド それ は ﹃ せヽ べ゛ r 6 o 6. ギ テ ィカ﹄ 曾 ミ8品 ﹂ 諄 p 8卜 じ と な って現 わ れ、 ミ ルト ンの ﹁散 文 の時 代 ﹂ は そ の幅 を増 し て いく。. 昭和五二年︶初 夏 の頃 か ら、訳 者 二名 が、週 一回 の割 合 で会 合 し、原 文 の解 読 、 本 論 文 の訳 出 は、去 る 一九 七 七 年 ︵. 訳 文 の推 敲 を約 二年 続 け た のが そ の基 本 と な っている。 し か し 、 な にぶ ん本 邦 初 訳 であ るた め、 先 達 に教 え ら れ る. こと が少 な く、 訳者 ら の思 い違 い によ る誤 解 、 誤訳 も あ るか も 知 れ な い。 同 学 の方 々 のご指 摘 、 ご 叱 正 に接 し て今 後 改 め て いき た い。. 一九 八 九 年 一月                                                                           訳者.

(11) 田 健二郎 元 宏・ 黒 私 市. (101). スメク テ ィム ニ ュー ア スに対 す る抗 議 者 の弁 明を批判 す る 文. ても 、 キ リ スト教 的 な 柔 和 心 にも と ると ころ は少 しも な い のだ と。 わ た し たち が かくす る のも根 拠 のな い こと では. う、 こ のよ う な奴 は少 し声 を 荒 げ て遇 し、 奴 の所 にあ る聖 水 な ら ぬ汚 水 を そ の高 慢 な面 にぶ っか け て、 ぶち のめ し. に み ん な の代 弁 者 顔 で立 ち あ が り、 これ ら を 正 当 化 し よ う と す る よ う な時 には︱︱ わ た し は確 信 を も って こう 思. の栄 誉 に へば り つい て離 れ ま いと し て高 位 聖 職 者 たち の久 し い強 奪 と断 罪 済 み の偽 主教 制 を、 そ の礼 拝 形 式 や典 礼 ︵ 2 ︶ 、事 も あ ろう や圧 制 と も ど も に ︵ 神も人も、そんなものは侮蔑を こめた野次 で、この国から今 にも追 い払おうとしているのに︶. け、 そ の敵 が、 よく回 る鋭 く な め らかな舌 先 を誇 ってい て、 これ に空 し い自 信 を抱 くば か り か、 それ 以上 に、 世 俗. こぞ の悪 名 高 い敵 の正 体 を 暴 露 し、 これ を説 得 し て、 真 理 と 国 家 の平 和 に向 く よう に仕 向 け るた め には︱ ︱ と り わ. も、 の のし る相 手 の言葉 で の のし り返す こと さ えし ては いけ な いと いう のが、 主 の道 であ り規 範 であ る。 し か し ど. スト のた め に受 け る公 の苦 し み の際 にも、 す ぐ さま悪 口を言 った り す る のはも ってのほか で、 ど んな に挑 発 され て. な いか と考 え るか ら であ る。 だ れ でも知 って いる ことだ が、 個 人 にか か わ る私 的 な危害 の際 には、 否 、 た と え キ リ. べ てあ る こと に つい て理 にか な った釈 明 を し てお けば、 後 にな って弁 明 し た り言 いわけ し た りす る手 間 が省 け はじ. てお断 り し てお く ため に、 いさ さ か述 べ てみ た い。 内容 が お そら く あ る人 た ち に気 に入 ら な いと 思 わ れ る の で、 述. とす る こと と は全 く別 であ って、 フ ﹂う いう人 たち に納 得 し ても ら お う と、 わ たし は、 こ の本 の内 容 に つい て前 も っ. であ ろう。 け れ ども、 穏 や か で感 じ やす い良 心的 な人 たち に納 得 し ても ら う こと は、 いわ ゆ る人 に気 に入 ら れ よう. 宗 教 にか か わ る問題 を手 が け る人 たち が、 人 の気 に入 る よ う気 を 配 る必要 な ど はな いと いう のは、 あ る程 度 真 実. 序.

(12) (102) ミル トン『弁明批判』. な い。 ソ ロモ ンの道 徳 的 な戒 め にも 、 愚 か のゆ え に高 ぶ る者 に は これ にふさわ し く答 え てやれ と あ るし 、 キ リ スト. を はじ め彼 にな ら う あ ら ゆ る時 代 の人 たち も、 健 全 な教 え に逆 ら い巧 妙 な欺職 によ って人 々 の こ ころを 堕 落 さ せ る. 者 た ち を 論 破 す る に当 た っては、 熱 意 に動 か さ れ るあ ま り、 これ ほ ど手 厳 し く語 る こと は でき ま いと思 わ れ る ほど. に激 し く 攻 撃 を 加 え た の であ る。 実 際 、 彼 ほど の人 類 の大敵 が いるだ ろうか。 彼 ほど の危険 な詐 欺 師 が いるだ ろう. か 。ヽ 水年 の積 弊 を 擁 護 し よ う と 並 々な ら ぬ策 を 用 い て巧妙 な戦 略 を 弄 し、時 の勢 い に自 分 の主 張 の大 部 分 を 譲 って、. こ の件 に つい ては人 間 の考 え か ら でた も のはす べ て放 棄 し た か に見 せ か け てお き、 聖 書 を頼 ん で築 いた自 分 の砦 か. ら も 追 い出 さ れ な が ら、 な お も 、 神 の御 命 令 でも な い使 徒 の定 め や権 威 な ど と いう よ り糸 で、 これ を ど っち つかず. のま ま ぶ ら さげ てお い て、 ま る で、 幾 重 にも掘 り め ぐ ら し た望 壕 に安 全 に身 を隠 す 格 好 を し て、   一度 は撤 退 し た神. の権 威 の砦 へと、 こ のよ う な 手 段 で再 び は いあ が る の であ る。 し か も 、 公然 と姿 を 見 せ るわ け にも いか ず 、 さ りと. て心 にも な い所 に いる気 も せ ず 、 な お も境 界 線 上 を う ろ つい ては、 心 の定 ま ら な いキ リ スト教 徒 を ば、 最 悪 の誤 謬. が伏 兵 のよ う に ひじ め く中 へと 、 気 づ か れ ぬう ち に連 れ込 む のだ。 そ し て、 ふ ら ふ ら変 わ る でた ら め な 原 理 と やら. です り替 え て、 つい には彼 ら の心 にあ るよ いも の は みな抜 き 取 り、いさ さか掃 除 と飾 り つけを し た か に見 せ か け て、. 彼 ら を 七 重 の絶 望 的 な 愚 昧 の虜 にし てし ま う。 そ れ ゆ え にいと も 私 心 な き愛 、 いと も気高 い熱 愛 であ る人 間 の魂 ヘ. の愛 を 抱 く 人 た ち が こ のよ う な イ カ サ マに出 会 う と き に、真 理 に対 す る熱意 に燃 え るあ ま り、 真 っ赤 に激 怒 し たと. し ても責 め ら れ る こと はな い。 と り わ け 兄弟 た ち の魂 に対 し て こ のよ う に罪 を 犯 す 者 ども が、 多 大 の利 得 と安 逸 の. 俗 世 の栄 達 を 手 に入 れ て喜 々と し て いる の に、 そ の欺 晴 的 な 闇 取 り引 き を暴 い て これ と の対 決 を 迫 ろう と す る人 た. ち の側 に は、 心 な ら ず も 抱 く悲 し い怒 り、 さ ま ざ ま な損 失 や危 害 も な く はな く、 し か も いかな る個 人 的 で私 的 な悪. 意 も 抱 か ず 、世 俗 の報 酬 を お も んば か る こと も な い有 様 を見 ると 、な お さら そう言 え る。自 ら訴 え る手 段 のゆ え に、. か え って、 こ の人 生 ではと る に足 り な い低 い身 分 か ら抜 け出 る望 み が 断 たれ る のだ か ら。 それ に、   一大 ペ テ ンを つ.

(13) 田 健二郎 宏 0黒 私 市 元. (103). か み出 す重 要 な仕 事 に際 し て ︵ 、 というのは読者 のかたがたよ、率直 L百 つと高位聖職制度はペテン以外 のなにも のでもない︶. た と え、 そ こ こ こ に皮 肉 な 笑 い︱ ︱ 厳 し い表 情 と 同 時 に浮 か ぶ よ う な 笑 い︱︱ が 入 り ま じ って いた と し ても、 は. じ ゃぎ す ぎ た と か、無 礼 だ と か と お叱 りを受 け る こと はあ るま い。と言 う のは、こう いう調子 の笑 いだ って ︵ 謹厳な. 、教 え た り論 破 し た りす る に当 た って強 く た く まし い力 を も こと が 作家たち のものからお見せするフ ﹂とも できるが︶ つ よ. く あ るか ら であ る。 それ に最 大 最 悪 で最 も危 険 な詐 欺 、 魂 への詐 欺 行 為 にはま り こんだ偽 預 言 者 ほど、 憤 り と嘲 り. と を 同 時 に誘 う、 う って つけ の代 物 はな いだ ろう。 こ のよう な代 物 が怒 ってく れ笑 ってく れと呼 ん で いる の に、 こ. れ を 暴 き た てる に当 た って、 立 腹 す る のは有 害 だ と か、 蔑 み の笑 いを 浴 び せ る のは有 害 だ と言 う のな ら、 人 間 の知. 性 のう ち で最 も 理知 的 な怒 り と 笑 いと いう こ の能 力 が、 な ぜ最 初 に人 の心 に宿 った のか、 そ のわ け の説 明 も な か な 、心 優 し いキ リ スト教 徒 のた め には これ ぐ ら いにし よう 。反 対 す る か つき か ね る こと にな ろう。 ︵ 読者 のかたがた︶ 他. の連 中 には 一顧 も 与 えな い。 た だ 一言 仇 な す敵 と や り合 う の に、 な ぜ こ のよう に厳 し く簡 潔 な仕 方 を 選 んだ のか と. 聞 か れ るな ら ば 、 そ のわ け は、 賢 明 な読 者 な ら これ 以上 議 論 か し ま し い古 き習 慣 な ど と いう迷 路 にお付 き 合 いし な. く ても 、 真 理 が立 証 され詭 弁 が そ の偽 りを 最初 の 一本 で見破 ら れ る のが す ぐ に分 か ろう と いう のが主 な 理由 で、 次. に は、 抗 議 者 自 身 に、 いく ら は じ ゃい で他 人 を脅 し ても金 儲 け にな ら な い こと を悟 ら せ るため、 さら に は、 これ 以. 一部. 上 邪 悪 な主 張 を 得 意 然 と語 ら な いよ う にさ せ るた め でも あ る。 だ が、 こ こら で彼 に始 め ても ら お う。. 第. ︻ 抗議者︼わたしの 一つの抗議 に敵 は複数 で向か ってき ている。. ︻ 答え︼あなたのひと つの抗議が、複数 の宗教的原理を兼ねようともくろむひとかたならぬ執着をぷんぷん匂わせて.

(14) (104) ミル トン『弁明批判』. いな け れ ば 、 あ な た の ひと えな 誠 実 さ が、 よき キ リ スト教 徒 全 部 か ら疑 いを か け ら れ る ことも な いわ け であ る。 ︻抗 議 者 ︼ 彼 ら の名 前 も 品性 も数 も 、 わ た し は知 り た いと は思 わな い。. ︻答 え︼彼 ら の名 前 は、天 にお い て全 知 な るお方 に知 れ て いる。だ か ら、な にも こ の場 であ な た やあ な た の呼 び出 し  一向 にか ま わな い。 奴 隷 に名 前 な ど呼 び あげ ていた だ か な く ても 、. ︻抗 議 者 ︼ し か し、 た と え彼 ら が ﹁わ た し の名 は レギ オ ンだ、 多 数 だ か ら だ﹂ と言 ったと し ても ⋮ ⋮. ︻答 え︼な ん のた め に悪 魔 の名 前 を 持 ち 出 し て、相 手 方 の数 を あ れ これ言 う のか。 レギ オ ンな ど とあ て こす り の言 い. 方 はな ん のた め か。 相 手 方 を ど ん な 風 に尊 敬 し て いる のか人 々 に知 ら せ た いか ら な のか。 な にし ろあ な た は、 文 書. の中 で終 始 ﹁わ た し の兄弟 たち ﹂ と 一麗し く も 呼 ん でく だ さ る のだ か ら。 レギ オ ンが抗 議 者 にそ んな多 数 の兄 弟 を 与 え て いた と は思 いも よら ぬ こと だ った。. ︻抗 議 者 ︼ わ た ち し の大 義 が、 否 、 神 の大 義 が、 だ し ろ ぐ こと な く彼 ら に立 ち向 か え と命 じ ら れ るだ ろう。 ⋮ ⋮. ︻答 え︼早 速 あ な た の勇 気 を自 慢 す る最 初 のく だ りを 聞 か され るわ け か。地 獄 のか人 間 のか し らな いが、 レギ オ ンど も に立 ち 向 か う と は ま さし く聖 ダ ン スタ ン並 みだ。 ︻抗 議 者 ︼ わ た し の大 義 が、 否 、 神 の大 義 が。. ︻答 え︼ど んな神 か。あ な た の腹 か 。 そ れ と も こ の俗 世 の神 だ ろう。あ な た の例 の抗 議 の中 で、おご り や高 ぶ り安 逸. や 便 腹 の こと よ り も 、 神 の真 理 と 栄 光 そ し て魂 の救 い にか か わ る箇 所 が 一か け ら でも あ れば 見 せ てほし い。. ︻抗 議 者 ︼ わ た し の大 義 が、 否 、 神 の大 義 が た じ ろく こと な く彼 ら に立 ち向 か へと、 そし て聖 な るダ ビ デと と も に ﹁た と え、 軍 勢 が ⋮ ⋮﹂ と歌 え と命 じ ら れ るだ ろう。. ︻答 え︼ 聖 な るダ ビ デ の言 葉 を 勝 手 に自 分 に当 てはめ て、 さも 不屈 の勇 気 があ る よう に思 わ せ ようと し ても だ め だ。. 自 分 の党 派 が横 領 し て いるあ り余 る富 と 栄 誉 を失 う の ではな いか と あ な た が心 配 し て、 目 下 苦 し ん で いる のは よく.

(15) 健二 郎 田 宏・ 黒 元 市 私. (105). 分 か ってい る。 貧 欲 にも 地 上 のも のを背 負 いき れ な いほど ため こん で、 これ の保 全 にう んう んう な って いる よ う な. 者 は、 だ れ でも 骨 ま でが た が た に震 えあ が ら ず にはお れ な い のだ。 霊 的 な 勇 気 を も ってキ リ スト教 徒 の戦 いを す る. には、 抗 議 者 よ、 あ な た と い い、 あ な た の部 隊 と い い、 装 備 が でき て いな い。 体 も でき て いな い。 腰 も据 わ って い. な い。 陣 営 が引 き ず って いく荷 物 が多 す ぎ て、 それ に気 を と ら れ て進 軍 も は か ど ら な い。 そ んな にも肉 的 な欲 望 に と り つか れ ている のを 見 ると、 肉 的 な心 配 が な いと はと ても思 えな い。 ︻ 抗 議 者 ︼ わ た し は、 喜 ん で議 会 に出 る。. ︻答 え︼ では、悪 魔 と ぐ る にな って でてく る が い い。喜 ん でと いう のか。あ な たも仲 間 の党 派 も こぞ って こ の議 会 が. 開 か れ る のを さ ぞ や待 ち 望 ん でいた こと だ ろう。 聖 職 の録 を食 む司祭 たち も 、 あ な た同 様 にさ ぞ や喜 ん で全 教 会 区 の訴 え や叫 び に耳 を 傾 け よう と で てき た のだ ろう。. ︻答 え︼ ﹁ア レオ パキ﹂ だ と ?確 か に先生 が た よ、 これ は人 の名 前 ではな く場 所 の名 前 だ ったと思 う が。. ︻答 え︼ま だ 翼 の生 え そ ろ わ な い鷲 が、 一挙 に舞 い降 り ては こな いと ころを み ると、 これ は さぞ か しだ れ か大 先 生 が. 側 に控 え て い て、 こ の剣 呑 至 極 な批判 であ な たを くす ぐ り、 賢 明 で厳 格 な ア テナイ の審 査 官 よ ろし く あ な たを 唆 し. た ら し い。 そ こ であ な た は、 思 い つき と 知 った か ぶ り です ぐ頭 にく る文 法 先 生 た ち の面 前 で、 そ の箇 所 を あ げ つ. ら って、 これ こそ語 尾 の誤 りだ とば か り に持 ち出 し てく る。 ご 丁寧 な抗 議 者 殿 よ、 問題 を 誤 っても ら っては困 る。. 彼 ら は ラ テ ン語 の作 文 を し て いる の ではな い。 外 国 語 の名 前 を取 り扱 う の に、 耳 ざ わ りな外 国 語 の語 尾 を発 音 し よ. う と わ ざ わ ざ英 国 人 の 口を曲 げ な く ても い いよ う に語 の中 心部 だ けを取 り出 し たと し ても、 それ は、 こう いう屈 辱. を 潔 じ と し な いギ リ シ アや ロー マのす ぐ れ た作 家 たち の︱ ︱ 今 日 では イ タ リ ア の作 家 たち も︱ ︱ やり方 に従 った ま. で にす ぎ な い。 わ が英 国 の名 前 が海外 でど んな に細 切 れ にされ ているかを忘 れ な い でも ら いた い。 わ たし たち も お. 返 し に、 彼 ら の名 前 を 同 じ よ う に粗末 にし ても な ん の咎 め があ ろう。 わ が博 学 な チ ョー サ ー でも、 あ え て こ の点 に.

(16) (106) ミル トン『 弁明批判』. は固 執 せ ず、 セ ミ ラ ミ スを セ ミ ラ マスと書 き 、 ア ン フ ィ ア ラ ウ スを ア ン フ ァイ オ ラク スに、 ア ル シオ ンの夫 K ・セ. イ ク スを K ・セジ ェスと し て いる。 こ のよ う に、 忠 実 な正 字 法 を思 い切 って変 形 し た名 前 を こ の他 に多 く用 いた の は、 こ の類 い の語 では、 こう し ても さ し つか え な いと 思 った か ら な のだ。. ︻抗 議 者 ︼出 版 界 は近 ご ろ中 傷 的 な言 葉 ば か り を 語 って いる と世 間 に思 わ れな いた め にも、こ の真 実 の書 が産 声 を あ げ た。. ︻答 え︼自 分 勝 手 に問 題 を 矮 少 化 す る が い い。あ つか ま し く も 手 前 勝 手 な 冒頭 陳 述 で、思 慮 深 い議 員 が た の耳 を 奪 お. う と し ても 、 そ ん な の は賢 明 な修 辞 法 に照 ら し てみれ ば青 二才 のや り方 にす ぎ な い。   一人 よが り の料 理 は自 分 に向 か って給 仕 す れば い い のだ。. ︻抗 議 者 ︼あ な た が た が勝 手 に ﹁ 序 文 ﹂と 呼 ぶ部 分 はう んざ り す る ほど数 多 く の誹 謗 に対 す るき わ め て正当 な抗 議 で あ る。. ︻答 え︼あ な た が た高 位 聖 職 陣 営 は、 い つの間 にそ んな に誹 謗 が嫌 い にな った のか。お仲 間 のリ シ マ ック ス ・ニカ イ. ノ ア に尋 ね てみ るが い い。 近 ご ろど んな に侮 辱 的 な罵 詈 雑 言 が ス コ ット ラ ンド問 題 に、 さ ら に哀 れ にも追 放 さ れ た. ニ ュー イ ング ラ ンド の兄 弟 たち にま で浴 び せ ら れ た か を。 高 位 聖 職 者 た ち は、 これ に嫌 悪 を 示 す ど ころか、 む し ろ. 拍 手 を 送 った のだ。 以来 ず っと こう いう有 様 で、 つい に フラ ンシ ス ・ベイ コン卿 は、 そ の論 述 の 一つにお い て、 こ. れ ら の文 書 に対 す る主 教 た ち の不 公 平 な手 口 に抗 議 し て、﹁ 主 教 たち に敵 対 す る文 書 は闇 に ほう む り、ピ ューリ タ ン. に敵 対 す るも の には許 可 を 与 え て公 然 と出 さ せ て いる﹂ と述 べ て いる ほどだ。 も っと も、 これ が ため に、 さ ま ざ ま. の説 教 者 たち の行 う宗 教 活 動 が侮 り を 受 け た り、 さ ら には、 気 高 い問題 が卑 し い人 によ ってお と し め られ る害 悪 の 方 が は る か に重 大 ではあ る が。 ︻抗 議 者 ︼ 提 起 し た抗 議 ︵ 本文︶ に劣 ら ず 肝 要 な点 であ る。.

(17) 健二郎 田 宏・ 黒 元 市 私. (107). ︻ 答 え︼お手 前 の痛 いと ころ は分 か っている。あ な た は いら だ ち、泣 き ど ころを 突 か れ て苦 し ん でいる。 こんな 風 に. 兜 の面 を は が され て晒 し者 にされ ては、 禿 頭 を 隠 し ているか つらを引 き はが さ れ中 の地 肌 が公 衆 の前 にさ ら け出 さ れ ては、 これ はも う高 位 聖 職 者 たち には致 命 的 だ 。 ロー マ人 は、 年 に 一度 奴 隷 た ち に心 の内 を自 由 に語 ら せ る機 会 を与 え て いた。 それ な の に、 生 れなが ら自 由 の英 国 民 であ りな が ら︱ ︱ あ な た が た坊 主 たち の発 刊禁止 、 削 除 箇 所 のリ スト、審 議 打 ち切 り のさ るぐ つわ、尊 大 な 出 版 許 可 ︵ それは、金銭ずくで偏狭など フ しかの無学な牧師が、浅からぬ利益 を つかもうと浅く目を通さなければ、なかなか手 に入らない︶な ど のお かげ で︱ ︱ 真 理 の声 が、格 言 と は裏 腹 に、片 隅 に追 いや ら れ て長 年 にわ た り聞 か れ な いとあ れ ば 、 これ は我慢 が な らな い。 人 間 にと り こ の上 な く喜 ば し い言 論 の自 由 が、 縛 り あ げ ら れ肺 結 症 の病 人 よ ろしく ぜ いぜ い呻 い ていた矢 先 、折 りも よ し、 わ た し たち の議 会 が開 か れ て国 の 歓喜 と蘇 生 のま た と な い こ の時 に、押 し こめ ら れ 踏 み にじ ら れ長 らく迫 害 さ れ てき た真 理 が、 今 な お語 る のを 許 さ れな いと あ れ ば︱ ︱ これ は我 慢 がならな い。 そ の上 、 せ っか く真 理 が効 果 のあ る発 言 を し ている のに、 な にし ろ有. 害 な 沈 黙 を 強 いら れ てき た後 だ け に、 な か な か許 され ず、 し かも、 中傷 だ と の そし り を免 れ え な いとあ れば︱ ︱ こ. れ は我 慢 が な ら な い こと、 自 由 な精神 の王 国 にと り ゆ ゆし い事 態 であ ろう。 幾 人 か の王 侯 、 偉 大 な政 治家 たち は、. 変 そ う に身 を や つし て 一般 民 衆 の中 に身 を投 じ、 夜 を こめ て家 々 の軒 下 や窓 辺 に立 ち 、   一人 一人 の胸 の内 にあ る自. 由 な 発 言 を も れ聞 い て、 これ ら の発言 の中 か ら、 浜 辺 の数 知 れ ぬ小 石 の間 か ら宝 石 を 探 す よう に真 理を見 つけ出 す. のを 重 要 な 方 策 の最 た るも のと考 え てき た。 こう す る こと で、 身 辺 に絶 え ず つき ま と い道 を誤 ら せ るあ の追 従 と い. う欺 職 に満 ち密 か にう か が う邪 悪 を見破 り、 これ を遠 ざ け る のが容易 にな るか ら であ り、 ま た、 取 り巻 き連 中 や茶. 坊 主 ど も の不 誠 実 な意 見 に頼 らず とも、 国 の病 弊 それ ぞれ に応 じ た治療 を施 す 術 を 一層 巧 み に身 に つけ るため でも. あ った。 と ころが、 今 や自 由 な著 作 を こ のよ う に認 め る こと で、他 の利 益 は さ てお き 、 こ のよ う に許 可 され る時 が. 来 る だ け でも 、 怖 じ気 づ い て表 には出 せ な い類 の真 理 を も 明 る み に出 し吟 味 でき る の で、 国 民 全 体 が さまざ ま な 点.

(18) (108) ミル トン『 弁明批判』. 、 でよ り賢 明 にな り え る のだ 。 そ れ ば か りか、 王 侯 を はじ め俗 世 間 と の接 触か ら隔 絶 し た人 た ち も   一般 庶 民 の間 に 、 、 潜 む あ ら ゆ る悪 や抑 圧 さ れ て い る善 に目 が 開 か れ 、 人 々 の心 に訴 え る ことが でき る の で 今 後 は 古 び た外 套 や偽. 、 のあご ひげ のご 厄 介 にな り夜 警 のお目 こぼ し にあ ず か ってま で軒 下 で立 聞き し た り 時 には塩 気 ま じ り の水 を頭 か 。 ら 浴 び せ ら れ て、 これ も 香 水 のう ち だ と お と な し く耐 え な く ても よく な ろうと いう も の であ る 自 国 の眼 であ り王. 、 侯 の眼 鏡 と も 言 う べき これ ら直 言 直 情 の誠 実 な 人 た ち に腹 を立 てた りす る者 こそ や ま し いも の にほかな らな い の 。 であ る。 し か る に、 こ のよ う に率 直 な人 た ち は トゲ トゲ し い人 た ち だ と され る あ な た の仲 間 のや る ことを暴露 す. 。 その半分もやらな いのに︶無 分 別 な本 だ と さ れ る。お手 前 は歯 の抜 けた風 刺 が お好 き な よ うだ だ か ら お教 え る本 は ︵ し よう。 歯 の抜 け た風 刺 な ど は、 歯 の生 え た砥 石 同 様 、 役 に立 た ぬ間抜 けた代 物 だ。 。 ︻抗 議 者 ︼ ど う か 兄弟 た ち よ、 あ な た が た の論 理 はあ な た が た の著 作 に適 用され た い. ︻ 答 え︼お 手 前 の いわ ゆ る最 終 的 断 定 は、あ ま り にあ つか ま し く て、せ っかく の粋 で隙 の無 い弁 論 衣 装 がま たも や ほ ど け、 レー ス の服 も 巻 毛 も ボ ビ ン編 みも ぐ し や ぐ し ゃにな って、 弁 論 嬢 は、 当 惑 と 腹 立 ち のあ ま り逃 げ出 さ んば か り だ。. 。 ︻抗 議 者 ︼ こ のよ う な言 葉 のあ げ 足 と り は か る いあ ぶく にす ぎ な い。 ひと り で に没 し てし ま う 、 。 答 え︼ これ は ま た、ま れ に見 る鋭 さ。カ ーダ ンさ え夢 想 だ にし な か った ほど お聞 き す る が い つ軽 いも のが沈 む ︻. 。 のか。 い つ、 軽 いあ ぶ く が ひと り でに沈 む のか。 あ な た の言 い方 だ と、 同じ 日 に重 いお も りも浮 か び か ねな い 読. 、 者 よ、 こ の男 の言 う こと を 聞 く が い い。 こ の男 の神 学 は、 英 国 を ロー マと和 解 さ せ よ う と す るも の そ の学 問 は自 重 さ な く し て重 さを持 つ﹂ 混 沌︱ ︱ と を 混 同 す るも のだ。 然 と混 沌 ︱ ︱ ﹁ 抗 議 者 ︼ これ に続 く浮 き か す は取 り除 く のが適 当 であ ろう。 ︻. 、 。 ︻答 え︼ ひし ゃく を持 つ手 を お控 えな さ る が い い。主 教 が足 を突 っ込 む と スープ が だ め にな る 浮 き かす は あ な た.

(19) 田 健二郎 元 宏・ 黒 私 市. (109). の抗議書 の方 に こそ浮かん でいる のだ。. ︻ 抗議者︼第 二者 の皆 さん の日 で、この人たちが理不尽 にわたし に悪意をかぶせようと企 ん でいな いか判断し てほし い。 ︻ 答え︼同感 であ る。. ︻ 抗議者︼わたしが述 べた のは、 一般概念とし ての国 の行政制度 が、時代 によ って変化 し てきた こと、国 の行政制度 が、恣意的 に権力者 たち によ って つくられた こと であ った。と ころが、 これらご丁寧 な註釈者 のかたがたは、無理. やりわたし の言葉を現在 の、 しかもわが国 の君主政体 と いう特定 の制度 に当 てはめようとす るのだ。. ︻ 答え︼彼 らが そうす る のは当然だ。お手前 の論 理を見 てみるが いい。国 の行政制度 は時代 によ って変化し てきた。. それは恣意的 に権力者 たち によ って つくられたとあなたは言う。 これはどう いう命題な のか。ダ ウナム司教 の ﹃ 論. 理学﹄を見 れば、 たとえ共通す る項目が述 べられ ていなく ても、 それが 一般原理 であ る ことが分かるはずだ。あな. た自身も、 ﹃ 弁 明﹄ の中 で、 ヨ 般概念﹂と いう言葉 で説明し ている。 このことから当然帰結 される のは、国 の行政. は恣意的 だと言 う者 は、英国 の行政は恣意的 だと言 っている こと であ る。 この帰結 は動かし難 し い。大前提から小 前提 へ、  一般 から個別 へ、論 理学上 の明白な立証だ。. ︻ 抗議者︼ 兄弟 たちよ、神を敬 う人 たちだと思 われた いのなら、も っと悪意を和 らげ るよう にしなさ い。. ︻ 答 え︼抗議者 よ、自分 の論理学 の原理をも っとよく学 ぶま では、他人 に向か って博士 ぶる のはやめなさい。. ︻ 抗議者︼神 よ、 どうか このようなおためごかしから、す べての善良なる人 々を守 り給 わん ことを。. ︻ 答 え︼論 理的 原 理が、おためごかしだ った ことは 一度だ ってなか ったと思うが、しかし論 理学者 の委員会が判定を 下したら、 お手前 が祈祷書 に頼 っても到底助 からな いだ ろう。 ︻ 抗議者︼ そし て、 わが聖な る君主国を、かく のごとき友 だちから守 り給わん ことを。.

(20) (110) ミル トン『弁明批判』. ︻答 え︼ ﹁ 高 位 聖 職 者 た ち のご と き ﹂ 友 だ ち︱ ︱ と言 う べし。. ︻抗 議 者 ︼主 教 制 が 君 主 政 体 を 侵 害 し た こと が あ った と し ても 、それ は ふらち な個 人 のせ い であ って、召 命 自 体 の咎 ではな い。. ︻答 え︼ それ は個 人 の咎 でも あ った し、 召命 が な か った せ い でも あ る。 わたし たち は、 高 位 聖 職 制 度 を 召 命 だ と は 思 っていな い。 ﹂れら の人たちが尊敬おくあたわざる︶あ る法 王 の証言 。 ︻抗 議 者 ︼ ︵フ. ︻答 え︼そ の中 傷 的 な挿 入 は、さ ぞ か し あ な た の信 じ難 き慈 愛 の傷 みな のだ ろう。慈 愛 に欠 け ると しば し ば彼 らを非. 難 し てお い でだ か ら。 括 弧 に包 ま れ たご 好 意 あ る ね んご ろな お じ るし、 混迷 の主 教 制 を 維 持 せ ん ため の聖 職 者 面 を. し たご厚 情 だ 。 千 人 の騎 兵 隊 が あ った のか な か った のか は、 時 が く れ ば は っき りす るだ う。 そ のよう な計 画 が実 行. され て いた ら 、 あ る高 位 聖 職 者 の手 にな る法 王 を 奉 る か か るお 墨 つき は、 そ の代 金 を支 払 った者 たち には、 さぞか し有 効 な保 証 と な った こと だ ろ う。 ︻抗 議 者 ︼ そ し て反 キ リ スト はな ん と言 ってい る か。. ︻答 え︼ご 兄 弟 の高 位 聖 職 者 た ち に尋 ね るが い い。彼 ら の方 が反 キ リ スト にはよく通 じ て いる。わ たし たち には聞 く. な。 それ にし ても 、 今 も な お法 王 が反 キ リ ストと は恐 れ 入 る。 こ の件 で赤恥 を か か れ ぬ よ うご 注 意 を。 最 近 の聖職. 会 議 の様 子 では、 た と え法 王 が 反 キ リ ストだ と訴 え ら れ た と し ても 、 多 数決 で彼 は罪 無 し と さ れ た であ ろう こと は 請 け合 う。 ︻抗 議 者 ︼ 主 教 制 に反 対 す る こと な ら な ん であ れ。. ︻答 え︼こ の男 の図 太 さ はど う だ。主 教 国 の継 承 と神 授 権 は世 々を 通 じ て疑間 の余 地 が な いと言 って聞 か せ る つも り. な のだ。 そ のく せ、 彼 に向 か って王 を持 ち出 せば 王 は不信 心 だ と いう。 法王 を持 ち 出 せば 彼 は反 キ リ ストだ とき め.

(21) 田 健二郎 元 宏・ 黒 私 市. (111). つけ る。 ど のよ う な 時 代 の数 え方 で、 ど んな妖精 の国 を 通 って、 矛 盾 のな い主 教 制 な ど と いう数 珠 玉 を い つま でも. 数 えあ げ る つも り な のか。 自 分 に反論 す るも のは みな 不 信 心 者 か異 端 者 だ と信 じ込 む連 中 に比 べると、 法 王 が自分 のあ ら が い難 い権 威 を 誇 る方 が ま だ しも まし だ ろう。. ︻ 抗 議 者 ︼も し も主 教 が神 授 権 か ら く るも のだ と宣 言 さ れ るな ら、彼 ら は司法 の適 用 を 免 除 さ れ る こと にな る、と法. 王 は言 う。 た と え こう し た危 険 が それ ら の国 々 にあ る か ら と い って、 ど う し てわ が国 の主 教 た ち にも そ の危 険 があ るな ど と悪意 の告 発 を す る のか。 彼 ら は進 ん でこう誓 ってい る のに云 々。. ︻答 え︼お手 前 が た の細 切 れ の原 理 が、切 り さ いな ま れ た蛇 み た い に今 ち ぢ こま って いた か と思 う と、ま たも や法 王. み た い に大 き く な る か ら だ。 今 は恐怖 のあ ま り進 ん で誓 って い ても、 自 分 の身 が安 全 だ と 思 う と、 ど んな風 向 き に な るか分 か ったも の ではな い。. ︻ 抗 議 者 ︼少 数 の人 た ち のせ い にす ぎな い事 柄 のた め に主 教 制 を党 派 だ な どと呼 ん で、そ の名 を 恥 ず か し め る のは汚 い中 傷 であ る。. ︻答 え︼も っと汚 い のは、罪 も な い名 前 に汚 名 を か ぶ せ るあ な た の党 派 だ。そ の事 柄 が お手 前 が た み んな のせ い にさ れ る のは当 然 であ る。 防 止 す べき であ った の にし な か った のだ か ら。 6︶ ︵3. ︻抗 議 者 ︼な んと 兄 弟 たち よ。あ な たが た は、英 国 国 教 会 の長 老 であ りな がら、あ え て主 教 制 を党 派 だ と攻 撃 す る の か。. ︻答 え︼ 然 り。 主 教 制 が あ え て党 派 的 であ る限 り は。. ︻抗 議 者 ︼ 聖 キ プ リ ア ヌ スの時 代 に、 あ な たが た が そ のよ う な こと を言 ったとす れば 、 ど う な った だ ろう。. ︻答 え︼ ラム ベ スの地 獄 院 に引 き ず り こまれ る こと も な く 、ま た、教 区 裁 判 所 の悪党 ど も に ﹁ 職 権 によ り﹂吊 しあげ. ら れ る ことも な か った ろう。 キ プ リ ア ヌ スの時 代 に は、 事 態 は今 と は似 ても似 つか な か った。 な る ほど彼 は、 当 時.

(22) (112) ミル トン『弁明批判』. 職 制 化 し始 め た主 教 制 を 継 承 はし た が 、 彼 個 人 のす ぐ れ た資 質 が、 解 毒 剤 のよう に、腐 敗 の病 弊︱ ︱ う わ べは豊 か. で健 康 そう な体 格 の内 部 に、 す で に 一定 期 間 潜 伏 中 の病 気 と な って蔓 延 し つ つあ った腐 敗 の病 弊︱ ︱ を抑 え た の で 。 あ る。 それ は、 ち ょう ど水 腫 か ら く る湿 り気 のよう に、 初 め は美 し いみず みず し い肉 体 と見 分 け が つか な い あ る. い は、 普 段 の青 白 い頬 に見 慣 れ な い赤 みが さす と麗 し く 見 え るが、 実 は内部 の閉息 と か炎 症 の悪 い原 因 か ら生 じ て. 、 い るも の で、最 初 は医 者 の目 を欺 く が 、 つい にはそ の病 状 を 見 る に いた るよう なも の で、キ プ リ ア ヌ スの時 代 には 、 ま だ そ の病 状 が 現 わ れ て いな か った の であ る。 主 教 制 の高 位 聖 職 根 性 は、当 時 す でに芽 生 え広 が り始 め て いたが 。. 特 に著 名 な人 た ち の場 合 は、 いま だ 、 偽 り ではあ るが美 し い繁 栄 のま ねご とだ った のだ. りを非難した︶の結 託行為 わたしは当然彼” ︻抗 議 者 ︼非 難 さ れ てし か る べき こと、す な わ ち、誹 謗 す る分 裂 主 義 者 ど も ︵ の咎 を 彼 ら にか ぶ せ る のも これ に劣 ら ず悪 い。. 謙虚 ﹂ ︻答 え︼ こ の第 一部 を 締 め く く ると、 以 前 か ら例 の文 書 に関 し て言 わ れ て いた こと︱ ︱ す な わ ち 例 の文 書 は ﹁. 、 抗 議 ﹂ でも な い こと︱ ︱ を抗 議 者 が自 ら 証 し よ う と し て いる にす ぎ な い のが分 か る。 ま た 今 回 の でも な け れば ﹁. 弁 明 も 似 た り よ った り だ と言 え る。 ス コ ット ラ ンド の教 会 に対 し て企 てられ た彼 ら の司 教 た ち の悪 名 高 い暴 虐 にや. む を えず言 及 す る時 には、 少 数 の人 のせ い にす ぎ ぬ こと だ な ど と不 用意 な言 い方 を す る。 そ のく せ、 議 会 が いみじ. まるで国家が彼を公式 の審査官 に任命したみたいに︶﹁わ た 市 民 の請 願 ﹂と 呼 ん で いるも の に つい て述 べる時 に は ︵ くも ﹁. し は、 当 然 彼 ら を 非 難 し た﹂ な ど と言 う。 し かも、 ど ん な や り方 でか ?先 に密 か な手 口 でそ そ く さ と著 名 を手 に入. 、 れ た や り方 に比 べる と 、 こ の度 の行 為 はも っと ひど い。な にし ろ、﹁誹 謗 す る分 裂 主義 者 ど も の結 託 行 為 お よび こ. れ を 狂 信 的 に支 持 す る者 ど も は、 扇 動 罪 の烙 印 を押 さ れ る のが正 し い﹂ のだ か ら。 請 願 のゆ え に こ のよう な汚名 を. 、 着 せ ら れ て述 べた てら れ る のは、 わ が 市 民 の代表 たち に は か え って名 誉 ではな いか ど う か、 そ れ は とも か く この. 請 願 は、 行 政 官 の数 名 を も 含 め、 大 勢 の誠 実 で思 慮 深 い人 たち によ って、 正規 の手 続 き を経 て穏 や か に提 出 され た.

(23) 田 健二郎 元 宏 0黒 私 市. (113). も の であ る。も っと も 、わ が偉 大 な る聖 職者 ども は、 これ ら の人 たち が ︵ キリストご自身も聖 パウ ロもそうであ った事 つ. に︶世 俗 の職 業 にあ る が ゆ え に、知 識 の程度 にも行 動 の原 理 にも いさ さか欠 け ると考 え てお い で のよ う だ。青 年 時代. は放 浪 と酒 池肉 林 に明 け暮 れ、 そ の学問 は無益 な 課 題 と 野 蛮 な詭 弁 、 中 年 は野 心 と怠 惰 に、 老 年 は貧 欲 と病 弱 に過. ご す 連 中 と同様 だ と いう わ け だ。﹁ 誹謗 す る分 裂 主 義 者 ど も の結 託 、お よび これを支 持 す る者 ど も は房 動 罪 の烙 印 を. 押 す べき だ﹂ な ど と言 う のは、 こ の請願 を採 択 に値 す ると し たば か りか、 名 誉 と学 識 あ る議 員 諸 氏 により提 唱 され. 提 出 され たお か げ で、 これ を 委 員 会 に委 任 す る に値 す ると 投 票 で決 め た議 会 そ のも のを冒 漬 す る行 為 と はな らな い. のか。 この議会 の判 断 と 承 認 と を中 傷 す る こと にはな ら な い のか、 公 正 な裁 決 を ま つも の であ る。.

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