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わが国における司法権の独立と司法制度改革をめぐる問題

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Academic year: 2021

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(1)わが国における司法権の独立と司法制度改革をめぐる問題 重村博美 I n dependenceofj u d i c i a lpowerandproblemconcerningj u d i c i a lsystemreformi nour country HiromiShigemura T h i sa r t i c l ec o n s i d e r st h eproblemo fj u d g es e l e c t i o nmethodo fourc o u n t r y .Whendowna c a r r i e rj u d g esystemandt h ejudgmentwhichd i dajudgmentwhichf a c e st ot h ej u d i c i a l ,aj udgeo fourc o u n t r y i n t e r i o randturnedi t se y e st ot h ep e o p l ei s n ' tbeingdoneupt onow. hasbeenc a l l e d . Fromsuchs i t u a t i o nandt omaket h ej u d i c i a r yt h eonewhichbecame J u d i c i a lReformC o u n c i lo p i n i o ndocumento f2001has e s t a b l i s h e di nan a t i o n a lf o u n d a t i o n, takeno u tmanyp l a n s .Theonei st h ee s t a b l i s h m e n to facommitteet op l a yt h er o l eo f s e c u r i n gt r a n s p a r e n c y and o b j e c t i v i t yi nt h e judge s e l e c t i o np r o c e s s and a c h i e v i n g si tp o s s i b l et or e f l e c tw i l lo ft h ep e o p l e,maintaininga a c c o u n t a b i l i t yt ot h ec o u n t r y .But,i c a r r i e rjudgesystem? Fromt h ep r e s s u r efromt h ec o u r ti n s i d eando u t s i d eo ft h ec o u n t r yt oaj u d g eandi t ' s c o n s i d e r e daboutt h i sp o i n t . Keyword:J u d g e, J u d g eS e l e c t i o n, J u d i c i a lI n d e p e n d e n c e, C a r e e rJ u d g eS y s t e m. はじめに. みられるように多くの是非論を呼び起こしつつも、 国民の司法に対する関心をもたせるための絶好の 機会になった 。. 今般の司法制度改革審議会意見書 lでは、「国民. r. が支える司法J.国民的基盤」といった「国民j. 司法を支える裁判官も、改革論議の対象になっ. という文言が多用されている O これまでの「お上. たことはいうまでもない 。しかし、今般の改革は、. としての裁判」から「国民への司法」への転換 2を. これまでの改革論議が 3扱ってきたキャリア裁判. 志向した戦後以来の大改革は、裁判員制度導入に. 官制度か、法曹一元制度かといった二者択一的な 問題には触れず に、将来なすべき課題を挙げ、施 策を提言する形を採用した 。意見書から考察をす. *近畿大学工業高等専門学校. ると、キャリア裁判官制度の枠組みを残しつつ、. 共通教養科. 法曹一元の理念を取り入れたものと理解すること. 守1よ. nkU.

(2) も可能である. 法上任命権をもっ政権政党は「司法権の独立 j を. 40. わが国の採用するキャリア裁判官制度について. 理由に、積極的に裁判官選任に関わることをしな. は、多くの問題点がある。特に、最高裁判所を頂. かった。とはいえ、実質的な選任権者となった最. 点とする中央集権的な組織体系が、先例拘束 5や市. 高裁判所は、国民の多数が支持する政権政党を無. 民的自由の制約 6を通じて「職権の独立」を侵害す. 視することなく、その意を汲む形で選任をおこな. るとされてきた 7。また、違憲立法審査権の行使に. ってきたし、判断に際して自己抑制をなし、政治. おける不活性化の一つの要因として挙げるものが. 的問題の判断を回避してきた口しかしそれは、キ. あるん. ャリア裁判官制度の下で、「司法の等質性・統一性J. これら問題に対する議論は、今回の改革に留ま. を確保することを旨とする最高裁判所事務総局の 意向に基づくもので、なかったのか。. らない。だが、今般の審議会では、多くの実効的 な提言をなし、最高裁判所はそれを受けて自己改. また現在のわが国は、かつてない政界再編の波. 革をおこなった。裁判官人事評価制度の開示や下. のなかにある O 意見書では、「職権の独立」を確保. 級裁判所裁判官諮問委員会の設置など、わずかな. することにより国民の支持を得られるとしている O. がらも国民に対するアカウンタピリティを確保す. このことを踏まえ裁判官の「職権の独立 j の侵害. る途を開いたのである O これまでとかく閉鎖的だ. がこれまで問題とされてきた事例から検討すると. とされてきた最高裁判所に変化がみられてきたこ. き、裁判官の個人的な発言を自由に容認すること. とは特筆すべきことであろう. と、キャリア裁判官制度の下で裁判官を統制する. O. こととは矛盾する O 裁判官に対する政治的影響を. こんにちわが国の司法権の役割は、紛争解決機 能のみならず法政策機能にまで拡大している O ま. 容認するかのようなこのような意見書の見方は、. た、裁判所に提起される憲法問題に「政治問題を. 裁判官と政治との密接な関係性を生じさせよう. 含まない問題はない j ともいわれ、裁判所に政治. 今般の改章により裁判所は、国民のうつろいやす. 的判断を求める訴訟 9も相次いでいる O このように. く多様な意見を反映し、政策形成機能すらも要求. 拡大した役割を求められている裁判所において意. されるなかで、意見書が示すように「職権の独立」. 見書が示したように、キャリア裁判官制度を維持. を確保することが可能であろうか。. O. しつつ、司法権の独立あるいは裁判官の職権の独. このような問題意識から本論文では、裁判官の. 立を確保することは可能なのであろうか。キャリ. 職権の独立を侵害する要因ともなる裁判所内外か. ア裁判官制度のメリットとされる「法の機械的適. ら加えられる圧力の問題について、特に裁判官選. 用技術J10が秀でていることと、新たに裁判官に. 任過程における圧力を中心に検討をする。まず、 1. 要求されている政治的判断をなすこととは対照的. 章では裁判所内での圧力について、わが国独特の. な事柄であり、これにより裁判官の判断の裁量の. キャリア裁判官制度が構築された過程から考察を. 幅をどのように策定するのか。つまり、今般の司. する。 2章では、裁判所外からの圧力として政治な. 法制度改革が示す「国民的基盤の確保Jの基礎と. らびに世論からの圧力について検討をする O そし. なる民意の反映をどのようになすのかの問題を生. て最後に、今般の司法制度改革審議会意見書にお. じさせることとなる D. いて裁判官選任過程に民意を反映する手段がどの. わが国では、日本国憲法制定以降これまで長期. ように設けられ、国民的基盤に基づいた判断を可. 間、一党が政権をほぼ独占してきた。しかし、憲. 能としたのかについて検討をする O 以上のことか. n J山. 00.

(3) ら、わが国における司法権ならびにそれを行使す. 県裁判所が設置されると、裁判機構が一貫した体. る裁判官に求められる役割は何か、そのために必. 系になった。ただし実際の司法は、内閣よりも下. 要な仕組みは何かについて、憲法学的見地から明. 位のものとして置かれ、対等な関係ではなかった。. らかにする O. とはいえ当時、日本が諸外国との間で締結してい た不平等条約の改正を要求するためにも. 1章裁判官選任の歴史的変遷. 15、また、. 近代的意味での憲法制定のためにも、司法権の独 立の要請を充足させることは必須であった。. 今般の司法制度改革に限らず、これまでの改革. 8 8 6年には「司法職務定制 Jの代わり そのため 1. 論議のなかで問題とされてきたのは、キャリア裁. に「裁判所官制 J16を定め、高等法院・大審院・. 判官制度の運用のあり方である O キャリア裁判官. 控訴院・重罪裁判所・始審裁判所・治安裁判所を. 制度自体は、イギリスやドイツなど大陸法諸国で. 設置したほか、裁判官の任命ならびに職務執行方. は多く採用されており、制度そのものに大きな欠. 法をも置いた。裁判官の身分保障に関する規定も. 陥がある訳ではない。しかし、日本国憲法制定に. 始めてここで設けられ「裁判官ハ刑事裁判又ハ懲. 際して、わが国はアメリカの司法制度ならびに司. 戒処分ニ依ルアラザレパ、其ノ意ニ反シ退官及ピ. 法権の概念に大きく依拠した。このことは大陸法. 懲戒ヲ受クルコトナシ J( 1 2条)とした。このよう. 系と英米法系、双方の制度を混在させることとな. にみると司法権の独立の確保の様相は整えられた. り、わが国独特ともいえるキャリア裁判官制度を. ように思われたが、実際には「始審裁判所判事、. 作り上げたのである O. 始審裁判所長、控訴長及大審院長ハ司法大臣ノ指 揮ヲ承ケ J( 2 4条)ること、さらに司法卿が司法省. 以下では、わが国において、裁判官選任規定の 制定をめぐる議論からわが国独特のキャリア裁判. 裁判所の所長を兼掌 (46条)するとしたことから、. 官制度が形成された過程をたどる O そしてそれが、. 裁判官が行政官である司法大臣の監督下に置かれ. どのようにして「司法権の独立 j を阻害する要因. ることが明文で示されることとなった。しかも、. となり、裁判官に対する圧力として転化していっ. 1 8 7 7年まで裁判官の任用資格についての定めがな. たのかを示すこととする O. かったことは、それまでの慣行であった行政機関 (地方官)が裁判所人事を掌握することを、容認. (1)大日本帝国憲法における裁判官選任規定. するものとなった。実際、地方の裁判所では、裁 判官として適切な訓練を受けた職員が不足してお. ①官僚制の導入と大日本帝国憲法. り、地方の行政官憲が裁判をおこなわざるを得な. わが国の近代的な司法制度 11は 、 1 8 7 1(明治 4) 年に司法省が設置されたことに始まる. 120. い状況であった 170 これら状況は、裁判所が行政. それを. 機関の一部としての位置づけにあることを決定付 けるものでもあった。. 受け、その翌年に制定された「司法職務定制」で は、それまでの各藩(各府県)の知事が行使して. 大日本帝国憲法は、裁判官選任要件について次. いた裁判権を分離し、裁判所ならびに検察官の規. 8条 1項「裁判官ハ法律ニ定 のように規定した。 5. 定を設けた 130 また、 1 8 7 5年に、わが国最初の全. メタル資格ヲ具フル者ヲ以テ之ニ任ス j。ここに示. 国統一的な最高裁判所である「大審院」設置の詔. した法律とは、裁判所構成法であるが、それによ. 勅 14が発せられ、またそれに伴い上等裁判所・府. ると裁判官は、何人も試験に合格し、かつ司法官. ﹃. ηU. 00.

(4) 試補として 3年間裁判所および検事局で、実務の. 府の都合でもって新しい転補を応諾するよう強く. 修習をし、これに及第しなければ、裁判官に任命. 要請することを可能としていた I90 このことは、. されることはできないとした 。大審院・控訴院判. 結果的に、裁判官の対外的な地位を行政官のそれ. 事についても、同様の規定がある ( 6 9・ 70条)。 ま. よりも低位に置くことになった。. た「司法権の独立」を確保するものとして、裁判. (2)裁判所自治と日本国憲法. 官の身分保障についても「裁判官ハ刑法ノ宣告又 ハ懲戒ノ処分ニ由ルノ外其ノ職ヲ免セラルルコト. ナシ J( 5 8条 2項)と定めた。. ①日本国憲法における司法権の独立の確保. また、大日本帝国憲法の制定を期に「裁判所官. 司法権の独立の確保は、基本的人権の尊重とい. 制」は、「裁判所構成法J18に改められた 。ここで. う日本国憲法制定に際して最大の目的を遂行する. の主な特徴は、裁判官の任用資格を示したことで. ために、必要不可欠なものとして議論されていた. ある O 具体的には、帝国大学の法科卒業生につい. 200. ては、無試験で司法官試補になりうること ( 6 5条. この点について次のように述べる 。 1 1、司法部の. 2項)、帝国大学の法科教授のみは試験によらず判. 独立『強力で独立の司法部は国民の権利の防塁で. 検事に任命される資格を有すること ( 6 5条 1項). .0 2、地域および管轄権ごとに、それぞれ裁 ある ]. の 2 点である D このことは結果的に、特定の者が. 判所を設置すること o 3、「裁判官および検察官の. 職に就く機会を増すこととなり、裁判官の同質性. 選挙または任命、承認、国民解職Jと、「司法権の. を強めることへと繋がる O. 独立 J21。 これらは現在の司法制度の原型となる. 1946年 2月 1日の憲法制定会議で GHQは 、. ものであった。 これら議論を踏まえ、 1 947年 5月 3日に施行さ. ②司法省による裁判官選任の問題 司法権の独立の要請に基づき、裁判官の身分保. れた日本国憲法ならびに裁判所法は、 GHQの意向. 障を大日本帝国憲法や裁判所構成法で規定したと. に沿ったものとされる. しても、裁判官の採用・異動・昇進などの人事が、. 特別裁判所が廃止され、司法権が最高裁判所と下. 行政機関である司法省によっておこなわれる以上、. 級裁判所に属する (日本国憲法 7 6条 1項)。また、. その意向に左右されることになる O このことは裁. 裁判所には、違憲立法審査権 ( 8 1条)が付与され、. 判所構成法制定に際して、その範としたドイツ法. 違憲の法律などに対して無効を宣言できるように. に存在しない「司法行政ノ職務及監督権 J(すなわ. し、裁判所と国会そして内閣がそれぞれ対等の立. ち、司法大臣が裁判官部門に対してもつ一般的管. 場に置く 。その保障のために、裁判所ならびに裁. 轄権)の一篇を設けたことにより、確実なものと. 判官には、独立と自治が保障をする 。 また訴訟手. なった 。例えば、司法行政権に関して「司法大臣. 続については、最高裁判所の規則制定権 ( 同7 7条. ハ各裁判所ヲ監督ス J( 1 3 5条)とすることや、司. 1項・ 3項)、さらに実質的な裁判官選任を含む司. 法行政に関する限りであるが、各裁判所所長は司. 法行政権についても最高裁判所に付与された 。. 22。 まず行政裁判所などの. 法大臣の命を受けるとした(134条)ことなどであ るO このなかには当然に裁判官人事も含まれてい. ②裁判官選任に関する規定. た。司法大臣は、有望な裁判官を司法省の一般行. 裁判官の任用方法については、明治憲法下での. 政事務へと配置換えすることもあり、裁判官を政. 司法省による直接の裁判官任命が「司法権の独立」. -84-.

(5) の要請を阻害するとの見解が GHQ や大審院側か ら示されていた。そこで、裁判官選任方法につい. ③最高裁判所事務総局の設置と人事権の行使. ては、これまでの方法の存続の可否だけでなく、. 戦後の司法改革において最大の関心事とされた. 新たに任命制・公選制の導入の可能性も含め、議. のは、人事・予算などの司法行政権を一手に担っ. 論されていった。特に、最高裁判所裁判官につい. ていた司法省の存続問題であった。これまでの大. ては、「選挙とリコールの両案が提示されたが、結. 日本帝国憲法下の裁判所のょっに、司法省に従属. 局、最高裁判所裁判官の任命を一定の期間をおい. する機関であれば、司法権の独立は確保し得ない. て国民審査に付するとするにとどめることが決ま. というのが、大審院側の主張 31であった。しかし、. った J23ため、明治憲法下とは全く異なる方法が. 司法省のなかではこれまでのように司法大臣の権. 採用された。その理由として、「任命制で終身官で. 限を維持すべきとの見解もあり、意見が分かれて. は、司法的寡頭制が生じる可能性があること、ま. 948年 2月、司法省は GHQの求めに応じ いた。 1. た選挙では、威厳もなく独立性がないものになる. て廃止され、法務庁となった。そしてその役割は、. こと J24からその折衷案として導入されたという. 法令に関する意見の調査、起案、まとめ、法令の. ものである。. 実施、ならびに犯罪者の訴追、社会復帰を扱う政 府機関の設立などとされた 320. このように明治憲法時代と全く相違する選任規 定を設けたことについて、司法制度の確立に尽力. そして裁判官人事を含む司法行政権は、法務庁. した GHQのオプラーは、次のように述べた。「国. の設置とともに、裁判所に移された。とはいえ、. 会の同意や公選制の導入も考慮の対象であったが、. 司法行政権の帰属については、日本国憲法におけ. 政党政治が成熟していないなどの条件下では危険. る明文の規定は存在しない 。 ただし、最高裁判所. 性をもっ」として、「討論や熟考の力ではなく、状. に対して規則制定権を付与したこと (77条)、裁判. 況のそれが支配する異例の環境の中で設けられた. 官の懲戒処分は行政機関ではおこなうことができ. 制度というもののたどるべき運命J25である。. ないこと (78条)、また下級裁判所の裁判官の指名. 下級裁判所裁判官についても公選制 26や法曹一. 権が最高裁判所にあること (80条)の 3点により、. 元制 27の導入が視野にあった 28。しかし、最高裁. 最高裁判所を頂点とする裁判所に広範囲の司法行. 判所の指名した名簿から内閣が任命することで、. 政権を認めたと解することができるとする見方が. 司法権の独立が確保されること、また内閣による. 一般的である. 任命を必要とすることは権力分立の要請に適合す. 最高裁判所に司法行政権があるとする O そして司. るものであるという見方 29から、現在の方法が採. 法行政権を行使するにあたって、その一組織とし. 用された 。 また、真に有能な裁判官をどのように. て最高裁判所事務総局を置いた(裁判所法 13条)。. 確保するかという問題については、「司法試験に合. また裁判官人事についても、事務総局の一部局で. 格したのち、司法研修所における 2 年の修習を終. ある人事局が裁判官の補職・転任等をおこなうと. えた後、少なくとも 10年間判事補、検察官、弁護. したことで、裁判官人事を統括する仕組みが作ら. 士または法律学の経験を経なければ、あらゆる種. れた。. 33。それを受け裁判所法. 80条では、. 類の事件を単独で審判する判事に任命されえな. とはいえ、最高裁判所事務総局の初代スタッフ. いj とする判事補制度 30の導入をすることで解決. の主要メンバーのほとんどが、司法省出身の官僚. を図った。. によって占められていること、またこれらスタッ. Fhu. n o.

(6) フが、ほぼその後においてキャリア裁判官として. それに加え、裁判官の人事評価においてその評価. の昇進を続けたこと. 内容・基準が個々の裁判官に示されなかったため. は、最高裁判所事務総局の. 34. 司法行政権における役割の重要さを示すものとな. に、たとえ自身の意向と異なっていたとしても、. った。また、事務総局に繰り返し勤務する裁判官. 人事権を司る最高裁判所事務総局の意向に沿うこ. がキャリア形成に有利に働くとされる。それを裏. とを求められた。これら状況下で、最高裁判所事. 付けるものとして、最高裁判所裁判官に就任した. 務総局を頂点とするキャリア裁判官制度が作り出. 人物の経歴において、事務総局経験者で占められ. され、それが結果的に裁判官に対する裁判所内部. ているという. の圧力となり、その影響力を拡大させていったの. 350. また、下級裁判所裁判官に対して最高裁判所事. である。. 務総局の立場を一層強化する方策もとられた O. 2章裁判官と政治・民意の関係性. 1955 年には、下級裁判所事務処理規則を改正し、. 部統括裁判官の指名権を裁判官全員から構成され る裁判官会議から高等裁判所長官ならびに地方・ 家庭裁判所所長に移すこと. 36により、部統括裁判. 司法権の独立の意義を政治部門との分離に見出 すとき、裁判官は法律・憲法ならびに良心に従う. 官を最高裁判所事務総局の司法行政管理下におく. こととなる O しかし現在、国民が裁判所に求める. ことした。また、 1959年頃から、裁判所に常設委. 役割は、法のみを判断基準とすることが困難なほ. 員会が設置され、これが司法行政の中心機関化し. どに政治的なものである O 結果的に「司法の統一. ていくとともに、一般職員の任命・補職の権限が. 性・等質性」を旨とする裁判所ならびに司法権を. 裁判官会議から高等裁判所長官ならびに地方・家. 行使する裁判官が自らに課した役割と、国民が求. 庭裁判所所長に移された。しかし、これら権限委. める役割の甑騒を生じさせることとなったことは. 譲は、判事補ならびに判事の全国大の人事異動シ. いうまでもない。. ステムが構築されたこととも重なり、「司法の統一. では、民意や政治が圧力をかけることはないの. 性・等質性j の確保という司法サービスの全国へ. であろうか。アメリカでは、裁判官選任過程にお. の平等な供給という名目のもとに 37、自身の出世. いて、自身の利益追求のために政治家・利益団体. を望む裁判官にとっては最高裁判所事務総局に服. などが圧力をかけることは周知の事実である. 従せざるを得ない状況が生み出された。. わが国では、裁判官に対する民意の反映手段とし. 41. このことは、裁判官の日常業務のいたるところ. て憲法の規定上、最高裁判所裁判官国民審査、弾. にも見受けられるようになったとされる O 例えば、. 劾制度、さらには裁判の公聞がある。しかし、い. 最高裁判所事務総局から頻繁に高等裁判所以下の. ずれの制度においても、そもそも司法に対する関. 下級裁判所に送付される、通称「書簡」と呼ばれ. 心が希薄とされているわが国において、実効的な. る文章も、裁判実務の取扱上重要な事柄について. 機能をしているとは言いがたく、しかも任命後の. 示されているとされる. そのため、疑問があれ. 事後的な手段である O とするならば、裁判官任命. ばその都度、最高裁判所の指導を仰ぐような裁判. 以前、すなわち選任過程の段階で民意が影響を及. 380. 官がいるといわれており. 、裁判官には記載内容. 39. ぼすことの方が自然な見方となろう. O. アメリカと. に反する方針をとることを、最高裁判所に異を唱. わが国の政治状況を比較するとき、そこには頻繁. えることと同等に捉える向きもあったとされる. に政権交代がなされるアメリカと、保守単独政権. 400. -86-.

(7) が続いたわが国との決定的な差がある。しかし、. ることへの法上の要請はない 。裁判所が完全に民. 任命権者である政治部門がその影響を選任過程に. 主的なコントロール(あるいは時の多数派に完全. 及ぼすならば、その判断に民意が反映される可能. に従う)とすれば、少数者の権利擁護という違憲. 性があるのではないか。 ここではそれら可能性に. 立法審査権の制定目的から外れるからである O だ. ついて検討をおこなう。. が、裁判官に対する司法以外からの部門からコン トロールは、三権のチェックアンドバランスの要. (1)裁判官の意思形成過程における民意の反映. 請からも当然に必要とされる 。 このように考える と裁判官に対するコントロール機関として、政治. 裁判官に対する国民の信頼度は、国会議員、官 僚、報道機関など 9つの機関や団体のなかで最も 高いとする調査結果がある 420 その信頼の源とな. 部門やそれを構成する民意もその範轄に入るので はないかと考えられるのである O 裁判官の判断が、裁判の公開と言論表現の自由. るものは、司法の「等質性・統一性」を目指し、. の保障のもとで批判の対象となることは、民主主. 全国大の人事制度をひき「法的安定性j を確保可. 義下では当然のことである O 逆説的にみれば、こ. 能とした、わが国独特のキャリア裁判官制度に由. れら前提の下で、健全な世論が形成され、国民の. 来するものであろう. 裁判に対する関心は深まると考える O とはいえ、. 430. しかし、司法の「等質性・統一性」確保のため. 最高裁判所は、あくまで裁判官の意思形成過程に. 最高裁判所事務総局を頂点とした中央集権的組織. おいて民意の反映をすることに否定的な立場をと. が構築された結果、裁判官はその意向に服従する. るO すなわち、「裁判所の裁量的創造的判断 によっ. ことを要請されたために、判決を通じての新たな. て、政府の他部門の裁量的判断や私的関係におけ. 法創造を困難にした 。規制緩和により事後的な救. る自律的判断を回避」し、「裁判所の特色である事. 済が主となりつつある状況下で、統一性を旨とす. 実認定と法律判断という専門的領域の確保と他の. る現在までの裁判所のあり方とは、正反対である 。. 領域とのバランスをとった J45とし、法にのみ従. それは違憲判決のなかにもあらわれている 。 これ. うことを宣明することで、その独立性を説き、そ. まで最高裁判所において示された違憲判決には、. の存在意義を示しているのである O このような立. 直接政府を批判するようなものは含まれていない 。. 場からすると、判決に民意を反映させる余地はな. また、政策形成機能を裁判所が引き受け、そのよ. いといえる o. うな立場からの判断が 1 9 6 0年代後半から散見さ. 違憲立法審査権の行使といった裁判官に課せら. れるようになっていったが、それら判断のなかに. れた役割からみて、そこに時の政治にとって有利. も政府に対して直接異を唱えるようなものは無に. な形で影響力を及ぼそうというのは、当然のこと. 等しい状況である. として考えられる 。 このことは、アメリカ合衆国. 440. このようにみるならば、やはり、わが国の裁判. の最高裁判所裁判官選任における大統領の指名、. 官は民意を反映した判決をおこなっていないので. ならびに上院の同意手続 46においても見られるこ. あろうか。 また、民意を反映する判決をなすこと. とであり、むしろ裁判官選任を政治の渦中におく. を予定するような裁判官選任を行っていないので. ことで、市民の裁判に対する関心をより強固にし. あろうか。そもそも裁判官は、法と良心のみに従. ている. うことが要請されており、民意に基づき判断をす. 的に政治的影響力を及ぼすことが唯一可能となる、. -87-. 470. これらのことから裁判官に対して直接.

(8) が維持され続けた結果として、裁判所組織の中枢. 裁判官選任に焦点があてられることとなる D わが国では、単独保守政権が戦後長期間継続し. となる事務総局がその政権の意向を理解し、その. た。 このことは裁判官選任に影響を及ぼさないの. 利益を擁護するような行動をしたというのである. であろうか。また、たとえ司法権の独立の確保と. 50。 このように間接的ではあるが、裁判所が政党. いう要請があったとしても、司法部は三権のチェ. の影響下にあることを認識し行動している様を評. ックアンドバランスの関係のなかで、裁判所予算. してラムライザーとラスムーセンは、「政治家によ. や裁判所に関わる法律の制定などで他の部門と密. る最高裁判所の支配権Jであると指摘する. 51O. 接に関わり、完全な独立ではない 48。 このような. これに対してヘイリーは、政治的影響力の排除. 司法と政治との関係性のもとで、裁判官選任に裁. を裁判所が意図していたものの、それを未然に防. 判所外部、すなわち政治からの影響力を指摘する. ぐことができなかった結果、裁判官は影響を受け. ものがある O. ざるをえなかったと説く. 52。それは日本の裁判官. の独立性の高さゆえであるという. (2)裁判官選任過程における政治的圧力. D. 裁判官は、統. 制のとれた自己自律的な法律専門家集団であると するが、その組織に反する行動をおこなった場合. 日本国憲法は、最高裁判所裁判官の選任につい. には、その中心となる最高裁判所事務総局による. て 79条 1項、下級裁判所裁判官の選任について. 人事を通じた不利益となるために、裁判官が従わ. 80条 1項に定める O これら規定によると、内閣が. ざるを得なかったと示唆をする. 53O. 裁判官選任に関与するとする O 裁判官は、日本国. しかし、いずれの説によるとしても、これら間. 憲法 76条 3項による「その良心に従ひ独立してそ. 接的な影響力だけでなく、直接的な政治的圧力が. の職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束され. 存在したことを見逃すことができない 54。それは、. る」という一般の公務員とは異なる要請があるが、. 1969年に、最高裁判所長官に当時の佐藤首相が石. アメリカでの議論を踏まえるならば、任命権者の. 田和外裁判官を任命したことである O 裁判官の任. 政治的影響力が裁判官選任にどのように及ぶのか. 命に際して、政権政党が積極的に関与し、判例の. が一つの論点となろう. 変更を目論んだとするものである O この石田裁判. O. では、どのような形で政治的影響力が働いたの. 官の最高裁判所長官任命により、結果的に公務員. であろうか。 この点につき、アメリカの研究者に. の労働基本権をめぐるそれまでのリベラルな判断. よる注目すべき 2 つの見解がある O まずラムライ. から一転して、保守的な政府が望む判断へと判例. ザーとラスムーセンは、長期間政権を担ってきた. 変更がなされたという 。 1973年の全農林警職法事. 自民党が、間接的に裁判官の選任に影響を及ぼし. 件最高裁判決 55は、まさにその象徴ともいえる O. たとする説を唱える. 49。 それは、最高裁判所事務. これらの指摘からすると、裁判官にとって、自. 総局が政権を担う自民党の既得権益に沿った判断. 分の判断が将来の昇進にどのように響くかを意識. をするよう裁判官を促し、もし沿わない判断をし. し、判断にあたり間接的であっても最高裁判所事. たならば、裁判官の給与、任地、裁判所内におけ. 務総局の意向に沿うべきとの意識がはたらいてい. る立場などにおいて反映されることで圧力を加え. ることにあろう. たとする O そしてその動機づけをしたのが、最高. を通じた影響や圧力は、みられないものの、保守. 裁判所事務総局であるという. 政権が長期にわた ったことにより、また民意がそ. O. つまり、保守政権. O. 直接的な政権政党からの任命権. 06 00.

(9) れに意を唱えなかったために、裁判所内部におい. いて、これまでのキャリア裁判官制度の問題点を. てもその意向を尊重することとなり、間接的な影. 検証しつつ検討をする O ここでは特に、司法制度. 響や圧力となって作用したというべきであろう. 審議会が議論のなかで重要な論点の三本柱のひと. O. ただし、意見書では裁判官に対する裁判所内か. つとして挙げた「国民的基盤 Jの確保という点か. らの圧力の排除について、「職権の独立Jの必要性. ら、キャリア裁判官制度を維持しつつ、多様な国. を説いてはいるものの、言及されていない 。それ. 民の意見をどのように裁判官選任過程に反映すべ. に加え今後、二大政党制の可能性を秘めたわが国. きなのかについて示す。. において、それらの圧力が若干でもあることを前. (1)司法制度改革審議会の目的と方向. 提にするならば、裁判官をいかに選任するのか、 すなわち「法的安定性」に重きをおくのか、ある いは「民意の反映」に重きを置くのかの問題を生. ①改革の目的と方向性 今般の司法制度改革は、国民の司法の役割に対. じさせる O 職権の独立が憲法上の要請とはいえ、 これまでの検討で示したように、キャリア裁判官. する要望・期待の高まりが政治を動かし、審議会. に対して裁判所内の拘束だけでなく、裁判所外か. の設置へと繋がったとされる O それは司法界の内. らの圧力が見られる状況下で、それを圧力とせず、. 在的-内発的な動きに端を発しているという. 国民の健全な意見の反映とするために、いかなる. の理由として、民事訴訟の裁判のあり方や法曹養. 方法がとられるべきであろうか。以下では、司法. 成の方法について、臨時司法制度調査会以来の抜. 制度改革審議会意見書が示した方策について示す. 本的な改革の必要性が認識されたこと O また、規. とともに、その解決のための指摘がなされている. 制緩和を推進し、事後監視・救済型社会への転換. のかを批判的に考察をする O. を図る流れのなかで経済界が、司法改革の必要性 を強く打ち出したこと. 3章 司法制度改革審議会における議論と 問題点. 56にある. O. そ. O. 臨時司法制度調査会は、法曹三者 57に比重が置 かれた議論で終始していたが、今回このように法 曹のみならず政財界からの要請をも取り込んだ形. 司法制度に関して内閣が設置した機関で議論が. で設置された司法制度改革審議会意見書は、次の. なされた 1 9 6 2年の臨時司法制度調査会は、キャリ. ようにその設置目的を示す。「法の精神、法の支配. ア裁判官制度か法曹一元制度かといった大局的な. カfこの国後となり肉となる、すなわち、『この国 J. 議論に終始し、なんら具体的な方策を見出すこと. がよって立つべき、自由と公正を核とする法(秩. はできなかった 。 しかし、今般の改革では、裁判. 序)が、あまねく国家、社会に浸透し、国民の日. 所制度の導入や法科大学院の設置などの実効的な. 常生活において息づくよつになるために、司法制. 制度が提案され、実行に移された 。 これら制度の. 度を構成する諸々の仕組みとその担い手たる法曹. 導入は、司法制度審議会意見書が示す「この国の. の在り方をどのように改革しなければならないの. かたち j を作り出すための第一歩となったといえ. か、どのようにすれば司法制度の意義に対する国. るO. 民の理解を深め、司法制度をより確かな国民的基. 以下では、司法制度改革審議会の目指した方向 とそれに対する取り組み、そしてその問題点につ. 盤に立たせることになるのか。 これが、当審議会 が自らに問うた根本的な問題である J ( 意見書 3頁) 。. -89-.

(10) そして、司法は「法の支配の理念に基づき、すべ. ②司法に対する国民的基盤の確立. ての当事者を対等の立場に置き、公平な第三者が. では、司法が国民の支持を獲得するため、すな. 適正かっ透明な手続により公正な法的ルール・原. わち「国民的基盤Jにたつ司法とはどのようなも. 理に基づいて判断を示す司法部門が、政治部門と. のを想定しているのであろうか。意見書では、次. 並んで、『公共性の空間jを支える柱とならなけれ. のように述べる 。「司法が国民的基盤を確保するた. ばならない」とする D では、公共性の空間を支え. めには、法曹が、国民から信頼を得ていなければ. る柱として、司法はどのような機能を果すことを. ならない 。信頼の源は、法曹が、開かれた姿勢を. 求められているのか。意見書は次のように示す 。. もって、国民の期待に応える司法の在り方を自覚. 「司法は、具体的事件・争訟を契機に、法の正し. 的に作り上げていくことにある O 法曹は、国民に. い解釈・適用を通じて当該事件・争訟を適正に解. 対する説明責任の重さと、国民にとって良い司法. 決して、違法行為の是正や被害を受けた者の権利. を確立する高度の責任を自覚しつつ、進んでこれ. 救済を行い、あるいは公正な手続の下で適正かっ. らを果たしていかなければならない J (意見書 8頁). 迅速に刑罰権を実現して、ルール違反に対して的. とし、裁判官に意識変革を求める 。そして、その. 確に対処する役割を担い、これを通じて法の維. 変革に応ずるために f21世紀のわが国社会におけ. 持・形成を図ることが期待されている J( 意見書 5. る司法を担う高い質の裁判官を安定的に確保し、. 頁)とする 。そして「司法がその求められている. これに独立性をもって職権を行使させる Jことが. 役割をいかんなく遂行するためには、国民の広い. 必要であるとした 。 これを受け、判事補制度・弁. (意見書 8頁)であるとし 支持と理解が必要である J. 護士任官・裁判所調査官の拡充とともに、本論文. て、支持と理解を得るために、司法部門に対して. の関心の対象である「裁判官の任命手続の見直し J. 「説明責任」と「透明化Jを要請しているのであ. などが議論の対象とされた 。. る。. ただし、意見書では国民的基盤を確保できる質. これら意見書の内容から読み取れることは、国. の高い裁判官をどのように確保するのか、つまり. 民に対して、自らが主体となった司法を実現する. 裁判官選任方法を知何にするべきかの具体的な議. ことを要請していることである 。裁判員制度の導. 論をしなかった 。ただ 、裁判官に必要な資質とし. 入や裁判官任命手続への関与(下級裁判所裁判官指. て、「プロフェッション Jであることを求める(意見. 名諮問委員会の設置)などは、それを具体化するた. 書 7頁)。プロフェッションとは通常、弁護士に対. めの方策として挙げられる O とはいえ、これら制. して用いられてきた用語であるとされるが、今般. 度が実効あるものとするためには、国民のみにそ. の意見書では、裁判官に対してもその必要がある. の責を負わせるものでない 。 わが国の戦後におけ. ことを示唆する 。 この裁判官に必要なプロフエツ. る司法運営は、「司法権の独立」という大義名分に. ションとしては、「公共奉仕の精神 J 、「高度の学識. より、国民から司法をむしろ遠ざけることで、そ. に裏付けられた専門的技能の追求」、「自立的な団. の存在意義を保ち続けてきたといえよう. このよ. 体ないし組織の存在J58とを挙げる O 裁判官には. うな見方をすれば、意見書に示された内容と現実. 「 官j ではなく、「民Jの意識を持つことを挙げて. の司法運営との組踊をどのように調整をするのか. いる 。では、プロフェ ッションであることを国民. が、その成否を決することとなると考える o. 的基盤の条件と捉えるならば、裁判官が以上のよ. O. うな条件を充足し、それにより国民的基盤を確保. 同U. n u n.

(11) . .. -. e. するためには、いかなる方法で裁判官を任用すべ. を別の見方からみると、キャリア裁判官制度を維. きであろうか。. 持しつつ、法曹一元制度の理念を取り入れたもの と理解することも可能である. (2)裁判官選任に関する議論. 600. 裁判官選任議論の歴史的経緯からすると、裁判 官選任における民意反映手段の構築は、最高裁判. 今般の司法制度審議会は、キャリア裁判官制度. 所がそれを自覚的におこなうことに、その成功の. か法曹一元制度かの二者択一的な議論をすること. 可否がかかっているといわざるを得ない 。今般の. を回避した口しかし、それは結果的に、キャリア. 意見書を受けて下級裁判所裁判官については、そ. 裁判官制度を維持することに繋がることとなった。. の選任の透明化・可視化を目的とした裁判官指名. キャリア裁判官制度自体は、司法の統一性・等質. 諮問委員会が設置された 61。わが国独特ともいえ. 性の維持という「法的安定性」の確保という点か. るキャリア裁判官制度のもとでの司法に対する、. ら有効な作用を及ぼすことはいうまでもない 。た. 多くの批判に最高裁判所自身が対峠せざるをえな. だし、裁判所内での裁判官に対する人事などの拘. かったことが、その背景にあろう. 束力などを通じて維持してきた「司法の統一性・. 高裁判所裁判官に対する委員会の設置はなされな. 等質性Jの確保を旨とするこれまでのキャリア裁. かった 。 このことは、今般の改革の中でどのよう. 判官制度と、司法制度改革審議会が目指す「国民. な意味をもつものであろうか。. O. とはいえ、最. 的基盤Jが確保されたキャリア裁判官制度とは、 同じキャリア裁判官制度の下であっても、その目. (3)最高裁判所裁判官任命諮問委員会の再設置. 指す方向は異なる O 意見書が示したプロフェッシ. の可能性. ヨンとしての裁判官は、「官」から「民Jへの移行 を示したもの 59とも理解される O もし、そのよう. 最高裁判所裁判官の判断は、いうまでもなくわ. に解するならば、これまで官が支配してきた裁判. が国における最高の法的判断であり、その内容は、. 官人事に「民」つまり、市民の意向が反映される. 先例拘束性という要請のもとに、下級裁判所裁判. ことを示す 。では、キャリア裁判官制度のもとで. 官の判決にいたる意思決定に多くの影響を及ぼす。 特に、最高裁判所における違憲判断は、法律の改. 「民」の意向をどのように反映するのか。 ここでは、意見書の方針に従いキャリア裁判官. 廃を伴うものであり、その影響力は裁判所内だけ. 制度を維持しつつも、透明性と説明責任の両方を. に留まらない 。 このように多方面に影響を及ぼす. 促進し、国民的基盤を反映するため裁判官をどの. 最高裁判所裁判官の役割は、裁判業務のみならず、. ように選出すべきかの問題を扱う. 司法行政においても最高の司法行政権限を有す 。. O. これらのことから鑑みるとき、最高裁判所人事が. とはいえ、司法制度審議会が指摘するように、 キャリア裁判官制度を維持しつつ、国民的基盤を. 下級裁判所裁判官のそれよりも重大であることは. も確保した裁判官選任方法とは如何なるものであ. 言うまでもない。 しかし、任命基準は、仔細に定められていない。. ろうか。審議会では、法曹一元化キャリアシステ ムかの二律相反の問題の立て方に対する抵抗から、. 長官に対しては内閣の指名と天皇の任命(日本国. あえてそのような「概念的な枠組みにとらわれる. 憲法 6条 2項)、その他の裁判官においては、内閣. ことなく」議論が進められた。とはいえ、意見書. の任命 ( 7 9条 1項)、そして、裁判所法 41条では. 噌E. n叫 U.

(12) 最高裁判所裁判官の任命要件である「識見の高い. 色彩を加味することが相当」とする意見 63がださ. 法律の素養のある J40歳以上であること、そして. れ、その設置を後押しした 。. 15人から構成される裁判官のうち 10人は 20年に. だが実際に、委員会を設置し、実際に運営をお. わたる法律専門家の経歴をもつこと、それ以外の. こなうまで困難があった 。最高裁判所発足と同時. 規定は存在しない 。すなわち、本条の規定する枠. に裁判官の任命をおこなうため、諮問委員会が開. 内においては、任命権者たる時の内閣の高度かっ. 催され(1947年 4月 19日から 3日間)、その人選. 広範な自由裁量に委ねられているのである O. がなされていたが、衆議院が解散されその任命を. とはいえ、前述したように直接的に裁判官任命. 現内閣がおこなうか、新内閣がおこなうかで紛糾. に影響を及ぼした石田長官以外の裁判官について. していた 。それに加え、 GHQはこの諮問委員会で. は、内閣が直接的に裁判官を選任した事例は、こ. 選出された裁判官候補者について、その承認を求. れまでに見受けられないような状況である O その. めるように促した 。. ため、最高裁判所裁判官の選出にあたっては、最. しかし、委員会は社会党が与党となった新内閣. 高裁判所側に完全な選択権が委譲されているよう. のもとで設置する意向が GHQ によって示され、. な状況から、功績のあった仲間をたたえる形での. 15名の委員 ( その内訳は、衆 ・参両院議長、全国. 人選がおこなわれているとする指摘がなされてき. の検察官および 1947年(昭和 2 2 ) 5月 2 日に行. た 620 しかも、裁判官の出身分野別の人数比率な. 政裁判官長官および評定官であったもののなかか. どの固定化がなされており、それら選任過程は意. ら互選された者 4人、大学の法律学教授から内閣. 見書でも、不透明だとの指摘をした 。意見書が指. 総理大臣の指名する 2人). 摘するように、透明性を確保すべきであるならば、. 裁判所裁判官諮問委員会が設置された O そして. 最高裁判所裁判官の役割の重大きから鑑みて、任. 1947年 7月 23日、法律の規定に基づき、定員の 2. 命のための諮問委員会の設置は必要だと考える O. 倍の 30人の最高裁判所裁判官候補を内閣に答申を. 以下では、そのための条件について検討をする 。. した 650 とはいえ、この時点においても委員会に. 64から構成された最高. よる答申の拘束力については、日本そして GHQ、 ①裁判官任命諮問委員会設置の経緯. それぞれの側に隔たりがあ った。法律上拘束力が. 日本国憲法と同時に施行された裁判所法では、. ないとする日本側に対して、「委員会の意見に従う. その 39条において「内閣はい・裁判官の任命を. 方が賢明で、 ある」とする GHQ側の意見である O そ. おこなうには、裁判官任命諮問委員会に諮問しな. して、この見解の相違は、諮問委員会の存在自体. 3項)、また「裁判官任命諮問委 ければならない J(. の有効性の問題にも影響を及ぼすこととなった 。. 員会に関する規定は、政令でこれを定める J( 4項). 事実、 1948年に「必ず諮問委員会の諮問を経なけ. とする規定があった 。そしてこれを受ける形で、. ればならないとすることは、憲法上の任命権を制. 昭和 22年政令 83号により「裁判官任命諮問委員. 限することとなり、またその責任を不明確にする」. 会Jが設置された 。諮問委員会の設置理由は、当. との理由で、委員会は、第 1 回の最高裁判所裁判. 時の大審院長の「最高裁判所裁判官の選任はきわ. 官を諮問したのち、廃止されている. 66O. めて重要であるからい・その決定に先立つて助言 を受けるべきである j とする意見に由来するとさ. ② その後の経緯. 1975年第 26回国会において、委員会設置が再. れる O また、枢密院の審議の中でも、「民主主義的. η. 可 ハ U. ノ わ︼.

(13) おわりに. び国会で審議をされた。それは最高裁判所の機構 改革に関する審議のなかであるが、不成立に終わ っている O その後においても、違憲立法審査権の. 日本国憲法が制定されて以降、わが国の裁判所. 消極的な運用状況を背景に、裁判官のあり方に言. に憲法上付与された違憲立法審査権は、その権限. 及をするものも多く. が本来的にもつ政治的な性質のゆえに、これまで. あったが、実質的な審議に. 67. 行使に消極的であった。これに対し、違憲立法審. は至らなかった。 しかし、最高裁判所が 2 001年 2月に司法制度改. 査権の積極的行使が見られるアメリカ合衆国では、. 革審議会に提出した「裁判官制度の改革J 68では、. 裁判所が自ら政治的役割を果たすことを引き受け、. その設置の可能性について「最高裁判所長官の指. 法的判断に名を借りた政治的判断をもいとわない。. 名及び最高裁判所判事の任命は、憲法 ( 6条 2項 、. では、なぜ、同じ付随的違憲審査制を採用する両. 7 9条 1項)によって内閣に付託された重要な権能. 国で、このような差異が生じたのであろうか。そ. であるので、これに関して任命諮問委員会のよう. れは司法部自らが設定した司法部の位置づけにあ. な制度を設けるかどうかは、内閣がその権限の行. る。アメリカでは、「財布も万もない」三権の中で. 使に際して、どのような人の意見をどのような形. 司法部は、最も脆弱な機関との認識があった 69O. で聞き、参考とするのかという問題として、内閣. そのため、市民に説明責任を果すことで信頼を獲. において判断されることであろうと考える Jとし、. 得しようとした 。 1 937年のコートパッキングプラ. 内閣の判断に委ねるべきであるとして、最高裁判. ンは、司法部にとって、そのことを自覚するのに. 所としては消極的な見解を出している O. 十分な出来事であったといえよう. D. しかし、わが. とはいえ、諮問委員会の意見を必ず経ることは. 国では、「司法の統一性・等質性Jを第一義にして. 「内閣の任命権を阻害 j するという、戦後すぐに. 法的安定性を図ることで、国民の信頼を確保しよ. 設置された委員会の廃止理由を踏まえてなされた. うとしたのである O いずれにしても裁判官として. 見解と捉えることが可能であるが、裁判官選任過. の資質を保持することが前提ではあるものの、司. 程の透明性・客観性の確保の見地から、そしてな. 法権の独立よりもむしろ裁判官の職権の独立の確. によりも最高裁判所裁判官の権限の重大さから鑑. 保に留意をし、市民に目を向けた方策をとったア. みて、その設置は必要とされるべきであると考え. メリカと、司法権の独立を大義名分として、民意・. るO とはいえ、下級裁判所裁判官指名諮問委員会. 政治との関わりを可能な限り回避することで裁判. における審議の形骸化、たとえば委員の構成の偏. 所内部に目を向けた方策をとったわが国と、その. りや委員会決定の拘束力の問題などを、最高裁判. 方向性が異なっていたのである O. 所裁判官の選任委員会設置に際していかに当ては. 今般の改革は、市民に目を向けた改革というこ. めていくのか。 また、多様な意見を反映するとい. とでアメリカの形に近づいたともいえる。しかし、. う趣旨にのっとった場合、裁判官選任が政治過程. 今回の改革によってキャリア裁判官制度の根本的. のなかに巻き込まれてしまうのではないか。 これ. な問題である裁判官の職権の独立の確保について、. までの保守政権が長期間継続した状況とは異なり、. その示唆はなされているものの、具体的な方策を. 特に政権交代が容易な状況が生み出された現在、. 見出すことができず、問題は残されたままである D. その可能性は否定できないと考える O. とはいえ、キャリア裁判官制度を維持しつつ、 国民的基盤を確保するには、まず裁判所における. 円宍U. nud.

(14) 自覚的な変革を促すほかにはない。下級裁判所裁 判官指名委員会を最高裁判所自身が設置したこと は、そのための第一歩を踏み出したと評価するこ ともできょうが、運用されていくにつれ、委員会 の決定に対する裁判所の拘束力の脆弱さなど、根 本的な解決に至っていない。改革が形骸化しない ためにも、その当初の目的に今一度、立ち戻る必 要があると考える O. (注) 1h t t p : / /ka n t e i . g o . j p / j p / s h i h o u s e i d o / r p o r t / i k e n s y o / i n d e x . h t m l( l a s tv i s i t e dO c t . 1 8, 2 0 0 9 ) .また、佐藤 幸治・竹下守夫・井上正仁『司法制度改革.] (有斐 002) 参照。 閣 、 2 2 佐藤幸治『憲法とその“物語"性.] 1 83頁(有 003)0 斐閣、 2 3 裁判官については、法曹一元制度の導入の是非 をめぐり、明治 31年に国家学会ではじめて唱えら れて以来、多く論じられている O 昭和 39年に内閣 に設置された臨時司法制度調査会では、キャリア 裁判官制度の対置として法曹一元導入が論じられ た。法曹一元について、石田楽仁郎「法曹一元制 度導入の是非を中心に」法政論叢 36巻 2号 21頁 以下 ( 2 0 0 0 )、棚瀬孝雄「法曹一元の構想、と現代司 法の構築」ジ、ユリスト 1170号 56頁以下 ( 2 0 0 0 )。 4 I 特集新しい司法制度[座談会]新しい法曹制度と 司法社会における役割」ジ、ユリスト 1272号 6頁以 下 ( 2 0 0 4 )0 5 先例拘束の問題については、拙稿「判決形成過 程における判例拘束の影響に関する一考察」近畿 大学工業高等専門学校研究紀要 2号 75-81頁 ( 2 0 0 8 )。 6 寺西判事補事件(最大決平成 1 0年 12月 1日民 集 52巻 9号 1761頁)がそれに当てはまるとされ るO これは、裁判官の裁判外での発言が政治的な ものとみなされ、裁判官の政治活動を規制する裁 判所法の規定に基づき分限処分を受けた事例であ. るO 7 裁判官制度の比較の視点で重要な点は、キャリ ア裁判官制度か法曹一元かというより、裁判官の 独立の保障の有無であるとする見解もある O 広渡 清吾・佐藤岩夫「刃総括一比較の中の日本の法曹 制度」広渡清吾編『法曹の比較法社会学 j396頁以 003)0 下(東京大学出版会、 2 8 この点につき、わが国の憲法判例の動向を司法 積極主義・消極主義の観点から検討をした、拙稿 「わが国における違憲立法審査制の動向の一考察. J近畿大 一司法積極主義と消極主義の視点から 1 9 9 9 ) 0 学法学 48巻 2号 81頁 ( 9 近年、裁判所に対して判断を求める事例は、従 来訴訟要件として必須のものであった「事件・争 J の枠を超えた内容に拡大を 訟性(裁判所法 3条 ) してきている O この点につき、山岸敬子 I r法律上 の争訟』を離れる訴訟と司法権」公法研究 71号 162 頁以下 ( 2 0 0 9 ) では、それら枠を超えた訴訟形態 が、認められる可能性があることを示唆している o 10 マウロ・カペレッテイ(谷口安平・佐藤幸治訳) 1 9 7 4 ) 0I 非常に若くし 『現代司法審査論 j83頁 ( て司法部に入り主として年功序列によって昇進す るJキャリア裁判官は「制定法の政策的適用能力 よりはその機械的適用技術Jを習得するため、政 治的判断を要求される司法審査の行使とは「かな り異なったもの」であるという O 11 明治維新から現裁判所法の司法制度の成立過 程を検討したものとして、染野信義『近代的転換 における裁判制度 j (勤草書房、 1 9 9 1 ) 参照。 12 瀧川叡一『日本裁判制度史論考.]1頁(信山社、 1991)0 13 司法職務定制の具体的な内容は、司法省職制章 程、判検事職制章程、地方選卒兼逮部職制、捕亡 章程、証書人代言人職制、各裁判所章程および明 法寮職制章程などから構成された 2章 108条であ った。中村英郎「近代的司法制度の成立と外国法 1 9 6 7 )。 の影響」早稲田法学 42巻 1・2号 272頁 ( 14 I 朕今誓文ノ意ヲ拡充シ、弦ニ元老院ヲ設ケ以 テ立法ノ源ヲ広メ、大審院ヲ置キ以テ審判ノ権ヲ 輩クシ、又地方官ヲ召集シ以テ民情を通シ、公益 ヲ図リ、漸次ニ国家立権ノ政体ヲ立テ、汝衆庶ト 。また、明治憲法制定まで 倶ニ其慶ニ頼ント欲ス J の司法制度において、フランス法の影響がどのよ うな形で及ぼされたかについて、また明治憲法制 定においてドイツ法の影響とその接収について、 中村・前掲注 ( 1 3 ) 261頁以下。大審院以外の裁 判所として、上等裁判所・地方裁判所・区裁判所 (明治 9年司法省達)が設置された。 15 染野・前掲注 ( 1 1 ) 94・ 95頁 。 16 明治 1 9年勅令第 40号 。 17 服部高顕(協力者リチヤード . w.ラヴイノウ イツツ)I 日本の法曹ーその史的発展と現状 J A . T . ヴオン・メーレン編『日本の法(上).] 161頁 9 6 5 )0 (東京大学出版会、 1 18 明治 2 3年 2月 10日法律第 6号。裁判所構成 法の施行とそれに伴う裁判制度の確立過程、なら びに司法官の人事について、新井勉「裁判所構成 法の施行と司法部の人事一日本大学精神文化研究 二) J日 所編『松岡康毅日記j を使ってー(一) ( 1 9 9 8 )、同 64巻 4号 1 本法学 64巻 3号 1頁以下 ( 頁以下 ( 1 9 9 9 ) 0 19 服部・前掲 ( 1 7 ) 171頁 。 20 I 占領下日本における司法改革の概観」高地茂 世・納屋贋美・中村義幸・芳賀雅額『戦後の司法 J2頁(成文堂、 2007)。 改革ーその軌跡と成果-. -94-.

(15) 21 高柳賢三・大友一郎・田中英夫編著『日本国憲 法制定の過程一連合国総司令部側の記録による I原文と翻訳 J191-195頁(有斐閣、 1 9 7 2 )0また、 SWNCC-288は、司法権ないし司法部のあり方に ついて、特に指針を示しておらず、もっぱら民政 局の軍服を着たロイヤーに構想がたてられたとす るD 高柳賢三・大友一郎・田中英夫編著『日本国 憲法制定の過程一連合国総司令部側の記録による E解説I J 230頁(有斐閣、 1 972)0 22 内藤頼博「司法制度」ジ、ユリスト 1 00号 16頁 ( 1 9 5 6 ) 0 18頁。裁判所法案は、なかなか GHQ の承認を得られず、総司令部と司法省の双方から 全権を委任された委員で構成される特別法案改正 5日まで計 1 0 委員会で 1947年 3月 3日から同月 1 回、最終的な検討がおこなわれた。内藤頼博「終 戦後の司法制度改革の経過一一事務当局者の立場 1 9 5 9 )0 から-第二分冊 J614・619頁 ( 23 高柳・大友-田中編著・前掲注 ( 21) 239頁 9 7 2 )。ラウエルは、所見のなかで「会 (有斐閣、 1 談をしたほとんどすべての法律家は、司法部にお ける弊風の多くは、下級裁判所の裁判官およびそ れに所属する検事が選挙で選ばれる職であれば、 除去されると考えている O アメリカにみられる裁 判官および検察官の公選制が望ましいのかについ ては、意見が一致していない」とする O 24高柳・大友・田中編著、向上。 25 A ・ C ・オプラー(和田英夫・中里英夫訳) I 連 合国占領下における日本の法制度および司法制度 1 9 7 3 )0 の改革」法律時報 45巻 9号 54頁 ( 26 高柳賢三・大友一郎・田中英夫編著・前掲注 ( 2 1 ) 31頁。 27 最高裁判所事務総局『わが国における裁判所制 度の沿革I J4 5・ 47頁 ( 1 9 5 7 ) 0 こちらは、時期尚早 であるとの理由で見送られている O 28 最高裁判所事務総局・向上。 29 法学協会『註解日本国憲法(下) I J1 198頁(有 斐閣、 1 9 5 4 )0 30 服部・前掲注 ( 1 7 ) 188頁 。 31 この点につき、当時の大審院長丁野暁春が司法 大臣木村篤太郎に対して提出した講義書が参考と なろう O これによると、「わが司法制度の重大な欠 点は、司法大臣が裁判所を監督し、その人事・会 計の権を掌握させること、すなわち司法省の裁判 所支配である」という O 塩見俊隆「日本の司法制 度j東京大学社会科学研究所戦後改革研究会編著 『戦後改革 4司法制度I J 46-47頁(東京大学出版 会 、 1 975)0. 32. まま戦後の最高裁判所の事務総局に横滑りをして 司法官僚機構の再編成の中核を担った Jという 35 牧原出 I r司法権の民主化Jと『裁判官等質論J 一戦後初期の司法改革における司法観J法学(東 2 0 0 8 )0 北大学) 72巻 3号 382頁 ( 36 須網隆夫他『司法制度改革と市民の視点 J9 3 -94頁(成文堂、 2001)0 37 牧原・前掲注 ( 3 5 ) 376頁 。 38 浅見宣義「裁判所の組織、組織文化の改革のた めに(上 ) J 判例時報 1462号 36頁 ( 1 9 9 3 )0 39 萩屋昌志「司法改革としての裁判官制度改革一 一裁判官による提言とその検討」龍谷法学 35巻 4 号 201頁 ( 2 0 0 3 )0 40 萩屋、向上。 41 S eea l s o,S .GOLDMAN ,PICKINGFEDERAL e l e c t i o n企omR o o s e v e l t JUDGES:LowerCourtS throughReagan( 19 9 7 ) . 42 藤川忠宏「裁判官制度の改革」自由と正義 2 001 年 3月号 64頁以下 ( 2 0 0 1 )0 43 裁判官のあり方について、村井敏邦「戦後司法 改革と裁判官のあり方」本林徹・石塚彰夫・大出 良知編『市民の司法を目指して(宮本古稀)J1 389 頁以下(日本評論社、 2 006)0 44 田中成明『法への視座転換をめざして I J6 3頁 (有斐閣、 2 006)0 45 園部逸夫『最高裁判所五十年I J2 34-235頁(有 001)。 斐閣、 2 46 U . S . C o n s t .Ar t .I. S2 . 47 S eeHENRYJ .ABRAHAM,JUSTICE, PRESIDENTS,andSENATORS-A正l i s t o r yof. u . s .. SupremeCourtAppointments企omr 予 告s h i n g t o n t oBush 1 1 ,3 83-87( 2 0 0 8 ) .. 48 坂本考治郎・盛岡多智男「政治・司法関係の変 遷 (1) - 法務委員会Jへの最高裁事務総局裁 J法学会雑誌 43巻 1号 判官の出席を中心として 23頁以下 ( 2 0 0 7 )では、司法と政治ならびに法務省 との関係性について衆参法務委員会における裁判 官の出席ならびに質疑の回数という視点から、政 権ごと(佐藤内閣から中曽根内閣まで)に検討する O 49 S eeJ.MARKRAMSEYERandERIC B .RASMUSEN, MEASURINGJUDICIAL INDEPENDENCE-TheP o l i t i c a lEconomyof ] J an,a t126( U n i v .o fChicagoPress, Judginginゐ' 2 0 0 2 ) . 50 I d . 51 I d ., a t6 0 . 52 JOHNOWENHALLY ,THESPLITSOF ,a t97( U n i v .o fG e o .Press,2 0 0 6 ) . JAPANESELAW また、飯孝行「日本における裁判官選任制度の再 定位ーメリットセレクションの継受と変容J青 森法政論叢 8号 62頁以下参照 ( 2 0 0 7 )0 53 J ohnO.Haley , TheJapaneseJ u d i c i a r y : , Autonomyandt h eP u b l i c MaintainingI n t e g r i t y Tr u s t, L e c t u r e s& O c c a s i o n a lPapers-2003h t t p :/ / l aw.ed u/h i g l s / p a p e r s / l e c t u r N o . 3 ( 2 0 0 3 ) . S e e, p a n e s e j u d i c i a r y . h t m l ({ l a s t e s / 2 0 0 3・3HaleyJa. r. 1952年に、現在の法務省となった。. 33 最高裁判所事務総局『裁判所法逐条解説下巻 J 121頁 ( 1 9 5 8 )0 34 和田英夫『最高裁判所論I J 57-58頁(日本評 971)0 I 裁判所の独立を主張した当時の大 論社、 1 審院長細野長良系統の人々が裁判所の外に出され て、司法省の官僚であった石田和外以下が、その. Fhu. Qd.

(16) v i s i t e dS e p .5, 2 0 0 8 ) . 54 ダニエル .H・フット(溜箭将之・訳) 名も ない、顔もない司法一日本の司法は変わるのかJ 102頁 (NTT出版、 2007)。この点につき、坂本、 4 9 ) 5 6頁は、保守派の長官が選んだ 盛岡・前掲注 ( 判事が、全部保守的な判決を書くわけではなく、 人により、事件により、判決の行方が異なるとの 指摘をしている O そのためリベラル派の全盛期に 長官となった石田和外は、最高裁におけるリベラ ル派との論争、裁判所内の青法協勢力との対決、 外に対しては田中角栄首相による司法牽制への抗 戦にすべてをかけていたという O 55 最大判昭和 4 8年 4月 25日刑集 27巻 4号 547 頁 。 56 佐藤・竹下・井上、前掲注 ( 1 ) 2-6頁(佐藤 発言)。 57 臨時司法制度審議会の構成メンバーは、衆議院 議員 4名、参議院議員 3名、法曹三者からそれぞ れ現役 3名ずつ、学識経験者は 4名の計 20名であ るO 審議会意見書については、ジュリスト 307号 74頁以下 ( 1 9 6 4 )0 58 司法制度調査会第 5 7回会議(平成 1 3年 4月 24日開催)。また、早野貴文・谷異人「司法制度改 革の基本理念とその方向性一審議会最終意見理解 のために」自由と正義 52巻 8号 39頁 ( 2 0 0 1 )0 またプロフェッションについては、渡辺千原「プ ロフェッション概念に関する一考察ーアメリカの プロフェッション論・弁護士倫理の議論を参考に -J立命館法学 275号 153頁以下 (2001) 59 早野・谷、向上。 60 I 特集 新しい司法制度 [座談会]新しい法曹 制度と司法社会における役割」ジ、ユリスト 1272号 6頁以下 ( 2 0 0 4 )0ある意見によると「審議会の意 見書は、法曹一元に真っ向から向き合うのではな くて、ただ法曹一元の理念を残したのではないか と思います。そういう理念は残しながらも、過去 の法曹一元の是非論にとらわれないという観点で、 具体的な裁判官制度の改革、現実的な改革の方向 性を提言されたのではないかと思います。 このこ とは、裁判官のキャリアシステムに対する批判に 実質的に応える形の提言となっているのではない か」とするものがある o (松尾龍彦意見、同 1 0頁)0 61 下級裁判所裁判官指名諮問委員会について、拙 稿「わが国におけるキャリア裁判官制度と人事の 客観性・透明性」近畿大学工業高等専門学校研究 紀 要 1号 85頁以下 ( 2 0 0 7 ) 参照のこと O 62 ジョン・ ヘイリー(浅香吉幹訳) I 日本に おける司法の独立・再考j石井紫郎-樋口範雄『外 から見た日本法j 18-19頁(東京大学出版会、 1 9 9 5 )0 63 大石異「裁判所法成立過程の再検討j佐藤幸 治・清永敬次編 『 憲法裁判と行政訴訟 j199頁(有 9 9 9 )0 斐閣、 1 64委員会メンバーは、次の通りである O 委員長は 衆議院議長・松岡駒吉(規定 3条 1号の委員)、参. r. 議院議長松平恒雄(規定 3条 2号の委員)、最高裁 判所裁判官職務代行者島保、仙台高等裁判所長官 職務代行者垂水克己、大阪高等裁判所長官職務代 行者藤田八郎、福岡高等裁判所長官職務代行者岩 松三郎(以上規定 3条 3号、すなわち全国の裁判 官のなかから互選された者 4名の委員)、検事総長 福井盛太(規定 3条 4号、すなわち全国の検察官 と昭和 22年 5月2日に行政裁判所長官および評定 官であった者のなかから互選された者 1人の委員)、 東京弁護士会会長塚崎直義、大阪弁護士会会長小 西喜雄、第一東京弁護士会会長長谷川太一郎、東 京弁護士会所属長野国助(規定 3条 5号、すなわ ち全国弁護士の中から互選された者の委員)、東京 帝国大学法学部長我妻栄、京都帝国大学法学部長 瀧川幸辰(規定 3条 6号、すなわち大学法律学教 授から内閣総理大臣の指名する者 2名の委員)、専 修大学総長今村力三郎、早稲田大学総長島田孝一 (規定 3条 7号、すなわち学識経験者で内閣総理 5名である O 和田 大臣の指名する者 2名)の以上 1 英夫『最高裁判所論 j 26頁。 64 田中英夫「日本国憲法における裁判官選任制 度J 英米の司法-裁判所・法律家-j 452頁(東 9 7 3 )0 京大学出版会、 1 65 田中、向上。 66 この点につき、内藤頼博『終戦後の司法制度改 革の経過一一事務当局者の立場から -j 54頁(司 9 6 1 )0 法研修所、 1 6 7 例えば、伊藤正己『裁判官と学者の問j1 1 6・137 頁(有斐閣、 1 9 9 3 )0 6 8 h t t p : / / w w w . k a n t e i . g o . i p f i p / s i h o u s e i d o / d a i 4 8 / p 0 0 9 ). d f s / 4 8 b e s s i 3 . p d fOastv i s i t e dO c t . 1 8,2 l s o, ALEXANDERM.BICKL, THELEAST 69Seea o u r ta t DANGEROUSBRANCH-TheSupremeC t h eBarof P o l i t i c s -( Y a l eU n i v .Press,1 9 8 6 ) .. o .. -96-. r.

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〔注〕

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