Japan Advanced Institute of Science and Technology
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Title
企業の多角化戦略と技術のスピルオーバー
Author(s)
松本, 清文; 渡辺, 千仭
Citation
年次学術大会講演要旨集, 17: 610-613
Issue Date
2002-10-24
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/6796
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
合 によるマイクロリーダー・プリンタなどの 事 ったキヤノンは、 必要な技術を 外部との人的 ま
側 があ る。 「極限」とは 技術の完成後、 その技術 た 情報の交流で 獲得し、 技術のスペクトラムを
の グレード、 例えば複写機で 言えば、 スピード 拡げた。 以下に 2 1 のキー・テクノロジー、 キ
をあ げるコストダウンとか 画質をよくすると ぃ ヤノン製品の 系統樹で分析する。 自社技術の幅
った 極限を見極めることであ る。 「脱皮」とは、 の拡がりは、 また外部環境の 変化を察知し 、 対
確立した技術が 他の方式に置換しないか 絶えず 応 する同化能力を 高めた。
注意するもので、 当該の技術を 否定して考える (1) 2 1 のキー・テクノロジー
ものだ。 銀塊写真とデジタル 写真の技術・ 8 光学技術と精密機械技術でスタートした キヤ
メ
リ カ ラと VTR カメラの技術、 機械式日本語 タ ノンは、 自社技術にこだわり、 シーズをひとっ
イプライタ と 日本語ワープロの 技術、 LBP と BJ ひとつ育ててきた。 1987 年の資料では、 12 に 、
の 技術などであ る。 1990 年代初頭には、 これまで培ってきた 得意技
(2) 基盤技術と先行技術 術 、 新しい事業を 切り 招 く新技術、 世界が先を
AE.l の頃 を例に、 いかに新しい 技術を自社 競いあ ラ フロンティア 技術など、 21 の技術を 21
技術に取り込むかを 述べる。 カメラの歴史を 振 のキー・テクノジ ー として提示している ( キヤ
返ると、 その技術は、 機械・光学技術主体に 始 ノン、 1987, 1991) ( 下図参照 ) 。 1980 年代半ば
まり、 機械・光学技術プラス 電子技術の時代を の技術者の構成データがあ る ( 竹内他、 1986) 。
経て、 複合技術 (= 電子、 精密技術、 光学、 コ 機械 屋 、 エレクトロニクス 屋がそれぞれ 三割 ず
ンピュータ利用などの 設計技術、 超精密加工 技 つ 、 物理系出身 17% 、 化学系 10% 、 その他コン
術 、 生産技術 ) の時代になっていた。 このため
ピ
ヨ一タ関係などが、 まさに「 3 : 3 2 Ⅰ 工
開発も、 個人プレ一に 始まり、 グループ・プレ 1 」の比率で入り 交じっている。 このような 多
一の時代を経て、 プロジェクト・プレ 一になっ 様な技術者集団では、 学際的な異種混合が 起こ
ていた ( 山中、 1981) 。 一般的に全く 新しい 技 り 、 技術者相互のシナジー 効果も生み出された。
術 のみで、 短期間に品質の 安定した民生機器を
開発することは 不可能であ り、 必ず確立した 技 表 2 2 1 のキー・テクノロジー
術 ( 基盤技術 ) を持ち、 これに新しい 技術 ( 先
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行 技術 ) を取り入れて 開発が行なわれる。 先行
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技術は従来不可能であ ったことを実現するため
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の 技術であ り夢への挑戦の 実現であ る。 一方、
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基盤技術は新製品開発に 必要かつ欠くことので ] ㏄ 7 年当時
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きない技術であ るが、 地味で 混 くさい技術であ
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る 。 このように今日の 先行技術が明日にほ 基盤 @@Sffi 高度半導体技術
vfm ㍽百表示技術
技術となり、 基盤技術の多様化がはかられ、 同 i3Ba@
化 能力が高くなる。 更に獲得された 技術は 、 社
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内教育などで 他に伝達・増殖されるのであ る。 。
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3.3 保持の過程 : 世代間スピルオーバー 伍ま "'
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こうした学習の 結果、 変異は淘汰される。 こ /t イオ
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の 累積学習の集合が、 世代間スピルオーバ 一で
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あ り、 その過程に小進化、 大進化が出現する。 苅 ;m 浮
創業時には、 光学技術、 精密機械技術のみであ /vf-r@TtiSgfta?
(2)
キヤノン製品の 系統樹 環 として実現されたと 思われる。 自社技術にこ
変異の遺伝は、
累積的山進化・ 大進化を反映 だわり・自社技術を 核にした多角化とも 言える。
した進化の系統樹が 描かれている。 キヤノンの キヤノンの多角化 は 、 技術のスピルオーバー
多角化について、 このアナジ一で 系統樹を描く を媒介にして 推進された。 絶えざる多様な 技術
と下図のようになる。 の 蓄積が、 同化能力を高め、 これが技術間スピ
ルオーバ一の 更なる促進という、 好循環を形成
4. 考察と今後の 課題 されたことが 伺える。 今後は、 他社比較研究な
キヤノンの多角化を、 技術のスピルオーバー どにより、 多角化と技術のスピルオーバ 一の 深
の 視点に注目して、 変異の発生としての DNA 耕が必要になると 思われる。
の スピルオーバー、 淘汰の過程としての 学習 過
程 、 保持の過程としての 世代間スピルオーバー
参考文献
Ⅰ l Ⅰ キヤノン株式会社, 什 「 heCanon StoryJ, 1975 ∼ 2002.
で 検証した。
[21 キヤノン株式会社, r ギヤノン 史一 技術と製品の 50 年 コ
変異の発生そのものを 制御することはむずか
1987
し い
が、
変異を促進することほ 可能であ
る。
主
[3
Ⅰ木嶋恭一、
の新展開
-J
F ドラマ理論への ホーム 社
、
2001.
招待 - 孝主体複雑系モデル
体 的な 多 主体の存在、 組織の意図・ 目標の共有、 [41 竹内弘高位、 p 企業の自己革新 カオスの創造のマネジ
変異発生促進の 仕組みどマネ 、 ジメントであ る。 メント』、 中央公論社. 1986
淘汰の過程は、 いかに自社の 意図にそった 方向 [5] 野中郁次郎、 r 企業進化論 J 、 日本経済新聞社、 1985
閉め プロセスコ研究叢書 N0.42 技術 急 、 展開・多様化時代
機械学会誌」 84 巻 740 号、 1981
以上のように、 キヤノンはこれらの 過程が好循
複写機
周辺機器
回、
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LBP
陽 電池セル
フ アクシミ l
屯
。
情報・通信機器
カメラ 竜子 紀集 印刷システム
ステルビデオ
複
日本語ワープロ
ビリンバマシン
タイプライタ
キヤノネット マイク コ 機器
" ン " ク 。 リータ " 学機 "
半 群体製造装置 線 デジタ ノレ カメ -
磁気ヘッド
光ファイバ 眼底力 メラ
・デオカメ 一 8 ミリカメラ
X 線カメラ
レンズ
ユ Ⅳカメラ用。 シダ
図 1 キヤノン製品の 系統樹
一 613 一