みんなで
ICT を楽しむために:学習指導要領の改訂に伴う
情報技術の学びあい活動の提案
塚本初恵
1,2白松俊
3 1ICT 情報工房,
2愛知県立西春高等学校
3名古屋工業大学 大学院工学研究科 情報工学専攻
1. はじめに
2020 年から学習指導要領が変わり、小中高で ICT 教育がより盛んになる。ただ、現状では学校の先生 も保護者も、ICT に関しては不慣れである。 そこで、 生徒のお爺ちゃんやお母さんなど、みんなでICT を 使って楽しめるように、地域で個人個人ができるこ とを還元するような仕組みを作っていきたい。本稿 では、これまでの活動について報告する。また、今 後の共創に関する展望を述べる。1.1 活動の動機
地域の情報格差を少しでも補いたいという動機か ら、2011 年頃、愛知県稲沢市と一宮市などの近郊で 活動を始めた。 地域活動の一環として民間施設や公 共施設を使ってICT で困っている人たちのお悩みを 聞いて、いろいろ企画して活動を続けている。 また、2016 年の文部科学省教育課程企画特別部会 にて、2020 年から実施される次期学習指導要領の改 訂案[2]が示され、比較的高度な ICT 利活用のための 新たな分野(情報 II)が盛り込まれたことも、新た な動機付けとなった。1.2 活動の目標
2020 年から学習指導要領が変わることを受けて、 市民の誰もがICT を楽しんで生活の中で楽しんで使 えるようにする。そのために、市民や学校の先生、 保護者、子供たちが、臆することなく、ICT をお互 いに学びあいながら、楽しんで生活の一部となるよ うな活動の仕組みや活動そのものをつなげていくこ とを考えて実行する。2. 近隣市における活動内容
ICT 情報工房では、2011 年より以下に示すような イベントを企画・開催してきた[1]。 2011 年 8 月 Facebook 勉強会主催 2011 年 11 月経営者のための販売分析勉強会 2012 年 4 月名知医師の講演会主催 2012 年 11 月 Facebook 勉強会主催 2012 年 11 月 Viver と Line の勉強会主催 2013 年 9 月国際協力と ESD についての発表 2014 年 2 月 ICT 座談会主催 2014 年 7 月 ICT 勉強会主催 2014 年 8 月愛知ワークショップギャザリング出展 2015 年 9 月 Facebook, Google Drive の勉強会主催 2016 年 4 月なごや国際オーガニック映画祭協力 2016 年 8 月愛知ワークショップギャザリング出展 2017 年 2 月教員用の ICT 活用セミナー主催[3] 2017 年 3 月稲沢市白板ソフト指導者講習会主催[4] 2017 年 3 月一宮市白板ソフト指導者講習会主催[5] 2017 年 3 月デジタル workshop ギャザリング出展[6] また、2017 年 7 月には稲沢市白板ソフト親子学び あい講義出展を予定している。 これらのイベントでは、ICT の活用方法を市民や 教員、年配者や子供に向けて、習得レベルに応じて 学べる方法を展開してきた。3. 今後の共創に関する展望
これまでは、市民や教員や保護者や子供向けを対 象にICT の活用や 2020 年の次期指導要領を教員が きちんと理解して生徒に伝えられるように学びあい、 相談しあい、協働できるような仕組みを目指して活 動してきた。 高校の一教員としては、高校の次期学習指導要領 における下記「情報 II」のような新たな分野に対応 できるような仕組みや体制が充分に整備できておら ず、専門家との協働・共創の可能性があると感じて いる。高校における情報教育の場合、次期学習指導 要領[2]における共通必履修科目「情報 I」、その発展 的な選択科目である「情報 II」では、以下の項目が 盛り込まれている。 情報 I(共通必修科目) (1) 情報社会の問題解決(2) コミュニケーションと情報デザイン (3) コンピュータとプログラミング (4) 情報通信ネットワークとデータの利用 情報 II(発展的な選択科目) (1) 情報社会の進展と情報技術 (2) コミュニケーションと情報コンテンツ (3) 情報とデータサイエンス (4) 情報システムとプログラミング 特に「情報 II」にはデータサイエンスやシステム 設計などの高度な内容が含まれるため、現状では指 導できる体制が充分には準備できていない。このよ うな発展的な内容を、すべての高校で情報に携わる 教員が生徒にきちんと指導できるように、教員が専 門家と一緒になって学びあい、相談しあい、協働で きるような仕組みが作りたい。 そのために、近隣の大学や大学院の学生や教授、 ボランティアなどで活動していただける企業のエン ジニアの皆さんにご援助いただき、共創によってそ の仕組みを作り上げていきたい。 そのような共創の事例として他にも、2011 年にア イルランドで始まった子供向けプログラミング教室 であるCoderDojo[7]や、東日本大震災後にエンジニ アが東北地方の子供たちにAndroid プログラミング を教えた東北Tech 道場[8] がある。また、宮城県石 巻市の一般社団法人イトナブ石巻[9]は「震災から 10 年後2021 年までに石巻から IT 技術者 1000 人を生 み出し、産業を根付かし、東北を面白い街に」とい うミッション[10]を掲げている。このように、情報技 術の学びあい活動は、地域の雇用創出や若年層人口 の流出防止にも貢献する可能性がある。