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成人脳性まひ者に対するキャリア継続支援に向けた意思表明支援 ―障害開示および障害開示を円滑に行うためのモニタリングに焦点を当てて―

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Academic year: 2021

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長野大学紀要 第42巻第2号 53―54頁(209―210頁)2020 - 53 - 1. 研究の目的 本研究では、①就労している身体障害者が、職場 でどのような困難場面に遭遇し、課題解決を図って いるか、②市販のスマートデバイスを活用して身体 モニタリングを行うことが、援助要請に結びつくか どうか、について明らかにすることを目的とした。 2. 研究の結果 (1)身体障害者の社会生活上の困難と援助要請 身体障害者3名(聴覚障害(難聴1名、人工内耳1名) 者2名、肢体不自由(脳性まひ)者1名)に対してイ ンタビュー調査を実施した。その結果、「障害開示」 については3名とも実施していたが、「援助要請を 行って支援を獲得する」までは至っていないことが 明らかとなった。 聴覚障害者2名については、一般的な聴覚障害者に 対する配慮(電話対応の免除、会議等における座席 位置の配慮、必要に応じて筆談の実施)はあったも のの、入職次に相談して決定された以上の援助要請 は行っていなかった。また、聴覚障害者2名に対する 支援の履歴について聴取したところ、学校段階が進 むにつれて受ける支援は減少しており、その中で自 分でやれること、やれないことについて、自分自身 で判断してきたこと、聴覚障害学生支援が比較的充 実した大学に入学できたことで、支援に対する考え 方に変化があったことが聴取できた。 肢体不自由者については、車いす使用ということ で環境面への配慮は手厚い一方で、脳性まひ特有の 視覚認知の難しさや、上肢動作の緩慢さおよび変形 については見過ごされることが多い。その点につい ては、援助要請を行い必要な支援を獲得できている。 援助要請を行う上での課題は、「方法論のなさ」(何 をどのようにお願いをすればいいのかわからない)、 「支援の選択肢・見通しの悪さ」(どのような支援を 受けると業務を改善できるかわからない)、「支援結 果の不明瞭さ」(支援を受けることで、何がどのくら いできるようになるのかが分からない)等があげら れた。この点については、(2)で示すモニタリング や、遠隔による支援によりアドバイスを受け、援助 要請を実行していた。 (2)脳性まひ者の職務場面におけるモニタリングと 援助要請 当初は、姿勢、上肢動作、視線入力の3つの視点に より脳性まひ者の職務上の課題についてモニタリン グすることを計画していた。このうち、上肢動作に ついては、準備不足により予備調査(健常大学生で 実施予定)に入ることができず、予備調査前の機器 *社会福祉学部准教授 **社会福祉学部教授 ***愛知教育大学教育学部講師 ****群馬大学共同教育学部助教 *****長野大学非常勤講師

(準備研究)

成人脳性まひ者に対するキャリア継続支援に向けた意思表明支援

―障害開示および障害開示を円滑に行うための

モニタリングに焦点を当てて―

丹 野 傑 史

*

伊 藤 英 一

**

相 羽 大 輔

***

Takahito TANNO Eiichi ITO Daisuke AIBA

能 美 由希子

****

奈 良 里 紗

*****

(2)

長野大学紀要 第42巻第2号 2020 210 - 54 - の動作確認までにしか至らなかった。視線入力につ いても同様で、使用予定の機材について、アイトラッ キングは可能であったが、学術目的のデータベース 構築や分析に使用するための費用見積ができていな かった。そのため、本年度は姿勢に注力して、経過 観察、報告、援助要請へのつながりについてモニタ リングを行った((1)の肢体不自由者)。その結果、 姿勢にモニタリングにより、よい姿勢に対する気づ きはあったものの、援助要請までは繋がらなかった。 一方で、よい姿勢に対する気づきが生まれたことか ら、動作法やPTで改善した体の状態が比較的長期間 維持できることが明らかとなった。 3.今後の展望 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、身体障 害者は孤立している状況におかれている。本研究で 対象とした肢体不自由者についても、身体のケアを 行っていた場が軒並み使用できなくなり、身体面の 維持および就労継続に大きな課題を抱えている。今 後は、遠隔を含めた援助要請の在り方、日常の姿勢 モニタリングによる身体面のケアの在り方について 検証していくことが喫緊の課題と言える。 研究発表(令和元年度の研究成果) 〔学会発表〕 計( 1 )件 発 表 者 名 発 表 標 題 丹野傑史・相羽大輔 小川夏帆・能美由希子 障害者が抱える援助要請の困難さと意思表明支援 学 会 等 名 発表年月日 発 表 場 所 日本特殊教育学会第57回大会 2019年9月21日 広島大学

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