ウェブの変形を伴うI形断面材の
弾性曲げねじれ座屈
杉原美好
深沢泰晴
(昭和59年8月30日受理)Elastic Flexural-Torsional Buckling of I-Section
Members with Flexible Webs
MiyoshiSUGIHARA YasuharuFUKASAWA Abstract An approximate analysis is presented of the effect of web distortion on the elastic flexural− torsional buckling of structural members with I−sections. By setting up the appropriate kinematic fields which account for large displacement of 1・section members with flexible webs, due to flexure and torsion, a system of differential equations governing the problem is derived. The effects of web distortion on the elastic lateral buckling of simply supported beams with doubly symmetric I−section in uniform bending about their major axis, are numerically demonstrated in comparison with the classical buckling moments obtained for beams with rigid cross sections. In the calculation, the effect of initial residual stresses is included.
1.はじめに
本来はねじりに弱い1形断面材も,近年の構造物の 大型化,複雑化に伴い,曲げや軸力を受ける部材とし て機能するだけでなく,ねじり部材としても機能する ことを余儀なくされる場合が多くなっている。曲線プ レートガーダーや斜角支持プレートガーダーはその代 表例であり,また,本来は曲げ部材や圧縮部材であっ ても,ねじり座屈との関連で,そのねじれ強度が重要 な意味をもってくる場合もある。このような1形断面 材のねじれに対する耐荷性能の評価に際しては,通常 の解析では無視されているウェブの面外への曲げ変形 の影響を正確に把握しておくことが必要である。 この種の問題については,まず単純なねじれ問題が GoodierとBarton1)によって扱われ,ウェブの変形を 考慮することにより実質的なねじり剛性の減少が生ず ることが示された。その後,奥村2)ならびに加藤3)は, ほとんど同一一一の理論的展開のもとに,一定曲げモーメ ントを受ける1形断面ばりの横倒れ座屈強度に及ぼす ウェブの曲げ変形の影響を解析し,フランジの板厚に * 上木工学科,Department of Civil Engineering 対するフランジ幅の比が一定値を越えると,座屈強度 が急激に低下することを示した。この結論は,その後 のわが国のプレートガーダーの設計理念に大きな影響 を与えている。 近年になって,有限要素法や有限帯板法を用いて, この種の問題が解析されるようになった。すなわち, Hancock4)は,有限帯板法によって,曲げを受ける1形 断面ばりの局部座屈と全体座屈の連成関係を論じた。 一方,BradfordとTrahair5)は,断面変形を考慮した 1形断面ばりの曲げねじり座屈問題に対してエネルギ ー原理に基づき一次元の有限要素法による定式化を行 い,各種の境界条件の差異による影響を明確にした。 また,薄木と長谷部6)は,固有のひずみと変位関係の設 定のもとに解析し,特に座屈前のたわみ変形の影響を 明らかにしている。 本研究では,ウェブの面外への曲げ変形を伴う2軸 対称の1形断面材について,実用上有効と思われる仮 定のもとに誘導された有限変位場を基盤にして,仮想 仕事の原理により,一次元問題としての支配方程式を 導く。具体的な解析は,一定曲げモーメントを受ける 場合の横倒れ弾性座屈問題を対象とし,各種の力学的 特性を分析・解明する。その結果は,前述の奥村2>ならびに加藤3)の結論とは大きく異なるものであり,その 原因は彼らの定式過程に本質的な問題が存するためで あることが判明する。また,本論文では,ウェブの変 形を伴う1形断面ばりの横倒れ座屈強度に及ぼす残留 応力の影響についても検討する。 2.有限変位場 解析の対象とする2軸対称の1形断面材の断面寸法 と座標系を図一1に示す。座標系は次の2組を用いる。 その一つは,断面の図心を原点Oとし,断面の弱軸お よび強軸方向をそれぞれx軸およびy軸,部材軸方向 をz軸とする右手系直交座標系(0−x,y, z)である。 他の一つは,部材の各構成薄板断面の図心を原点O、 とし,各薄板断面の弱軸および強軸をそれぞれn軸お よびs軸,とする右手系直交座標系(O、−n,s, z)であ る。 部材長の任意点のn,s, z軸方向の各変位成分をそ れぞれξ,η,wとし,座標系(n, s, z)を用いて有 限変位理論におけるひずみと変位の関係を次式で表 す。 ・n− G1+;{(㌃)2+陽)2} ・・一 增{;{(∂ξ∂s)2+(li)2} Ez− V/+t{閨2+(ll/)2} 7ns− 奄戟{』芳+il;1+i㌃駕 ・・a−
撃戟^+袈+謡i+駕晋
7’zn一W+;i+i舗i+鵠…
(1a∼f) ここに,断面寸法に比べて部材長は十分に長いとして, 部材軸方向の変位wの微係数の2次の項はすべて無 視した。 1形断面の図心のx,y, z軸方向の各変位成分をza。, v。,w。,断面の全体としてのねじれ角ψ,上,下フラ ンジの独自のねじれ角をψ1,ψ2(図一2参照)とすると, 部材上の任意点のn,s軸方向の変位成分は,幾何学的 考察によりそれぞれ次のように得られる7)。 a)上フランジに対して:欝辮∵刷}
(2a, b) ∂ x f 6 yLT
んユ
(1)断面寸法と x,y座標 図一1座標系 n s 03 s η 02 8 n (2) 構成薄板要素と n,s座標19N
___」_ 図一2 断面変形 b)下フランジに対して::議灘:∴一
c)ウェブに対して ξ= Uo−ssin 9−n(1−cos q)) +α1ψ1+α2ψ2 η=v。+n sin q−s(1−cosψ) n∂iiPi−nd2ip2 (2c, d) / (2・・ f) ここに,α1,α2は,ウェブの面外への曲げ変形にかか わる量であり,ウェブ高さをhとして次式で与えられ る。 al=一辷黷S(sh)2 ’(丁)+1㌦b)
CY2−− R{8(1)3+4(丁)2−2(訂一1}」 また,式(2)において,∂,,a,はそれぞれα1,α2の∫に よる微係数であり,y*は板厚中心面上のyの値を意 味する。 つぎに,薄肉の仮定として次式を導入する。 γηz=0, γsz*=0 (4a, b) ここに,γ、。*は板厚中心面におけるγ、。を表す。式(1)に 式(2)を代入し,式(4)を考慮して解くと,zoが次のよう に得られる。 a)上フランジに対して W=Wo−y*(Z/o’COS 9−zeo’sin gZP) 一∫{Uo’COS(9P−Fψ、)十Vo’sin(ψ十ψ1)} 十n{Vo’COS(q−Fψ1)−Uo’sin(q十ψ1)} 十y*9ZP t(scosψ1−nsinψ1) (5a) b)下フランジに対して W=ZUo−y*(Vo’COSψ一zao’sin q) 十S{Uo’COS(¢十ψ2)十Vo’sin(q十ψ2)} −n{Z/o’COS(¢一トψ2)−Uo’sin(ψ一トψ2)} −y*q’(scosψ2−nsinψ2) (5b) c)ウェブに対して W=Wo−n(zao/COSψ十Vot sin q)) −s(Vo〆cos 9−Uo’sinψ) (5c) ここに,式(5c)の誘導に際しては,α1,α2にかかわる 微小量を省略している。また,( )’=d( )/dzであ る。 ここで,式(2),(5)において,次式が近似的に成り立 つものとする。
・…≒1一
噤E・,・i・・≒・ (6・・b) 式(2),(5)に対して,式(6)を考慮し,3次以上の項を無視 すると,ここで用いる変位関数として次式が得られる。 a)上フランジに対して ξ=−v −−v・+・(・+ψ1)一Ty・・z)・ η二1,一.・,−t.(,・+・ip,・)2 (7・∼・) W=WO−y*(VO’−UO’¢) −X{U。’+V。f(q+ψi)}一ω¢’ b)下フランジに対して ξ=v −V・+・(・+ψ・)一†y… η= −u (7d∼f) =−U・+y・ψ+ 一}x(ψ+ψ・)・ W=WO−Y*( VO’−UO’ψ) 一κ{U。’+V。’(q+ψ、)}一卿’ c)ウェブに対し一(ξ=u
−U・−y・+α・ψ1+α・ψ・一噤c rp =v (79∼i) −V・+・・一蜘1−nd・ψ・一砒・・ W=WO−X(UO’−F VO’ 9D)一 V( VO’一μ0’ψ) ここに,u, vは部材上の任意点のx, y軸方向の変位 成分であり,またωは次式で表されるものである。 ω;−xy* (8) つぎに,式(7)に対応するひずみ成分は,式(7)を式(1)に 代入し,微小量を省略して次式のように得られる。 a)上フランジに対して εn=εs= γns= γzn=0 ・・−W・t+÷(U・r・+・za・’2) −y*(Vo”−zao”ψ) (9a∼C) 一X{U。”+V。”(q+qi)}一ωψ” +Ty・・〆2+t・・(〆+ψ・t)2 γsz=2n(φ’十ψ1ノ) b)下フランジに対して εn=ε8= γns= γzn=0 ・・−w・t+丁(u・’・+v・’・) −y*(ρo”−Uo”q) (9d∼f) −X{U。”+V。”(OP+q・)}一ωψ” +Ty・・〆・+丁・・(・’+gb2t)2 γsz=2n(ψ’十ψ2’) c)ウェブに対して εn=γns= γzn=0 εs=−ndi ipi−ndr’2ip2 ・・一ω♂+丁顕・+・v・’2) (99∼j) −x(zao”十Vo”¢) −y(V・〃−U・〃・)+丁(X・+y・)・’2 γsz=2ηψ’−2naiiPi’−2κ∂2ψ2’ 3.カのつり合い式 単位体積あたりにx,y, g軸方向成分の力Px,加, pzが作用し,端断面単位表面積あたりにx, y, z軸方 向成分の力万κ,瓦,九が作用してつり合っている直線ばりに対して,仮想仕事の原理は次のように書くこ とができる。 ∬2元(・・δ・・+・・δ・・+・・δEz+Zn・δ7n・ 十τs9δγsz十τznδ7’zn)dA dg −∬2∫(P・δu+P・δv+P・6w)dAd・ 一〔fA(ρ・δu+P・δv+ρ・δ%)4A〕召一〇 (10) ここに,Aは断面積であり,zl, z2ははりの両端のz 軸座標である。式(10)に式(7),(9)を代入し部分積分を施 して整理すると次式が得られる。 ∬2〔N・+qg〕δW・dz−〔(N一凡)δW・〕2i +∬2〔(Nu・’)+(Mx一批げ已・ 十(Mx−〃2ッψ)t〕δμo dz 十〔{Qx−Nu,’一(Mx−Myq)’−Mx十mッ¢} δ・za・斑∬2〔(N・・’・)’・+(M・・+・M・q・+・M・f・・qi +仏ゾ2ψ、)” 旬。+(〃7。+〃 xOP+〃パ1ψ1+Mx!2ψ、)’〕δV。dz 十〔{Qy−1VρoL(My十M『x q十Mxf i iPi十Mκf 2 ip2)’ 一(Mッ十mxq十mxf iψi十mxf2ip2)δVO〕ξ1 +∬2』〃−M・U・”+M・”+(K〆+K・f・iPi’ −F Kxf 2 ip,’ )’ +Tx’+Mg−(mnq+Mnxf i ip1 +mnxf2ip2)−MxVO’ +〃2⑳’+〃z。’〕δqdz+〔{一(〃。’+κψ’ 十 Kxf 1 ¢1’十」κン2ψ2’ +Tx+〃/ω)+T−T。 q− T。。f’ψ1−T。。f 2 ip、 一顕+晦・・}δ・]E?+∬2〔M・f・・v・” 十{Kxf 1(q’十ψi’)}’−Mu i 十Td 1’−Mnxf 1(q 十 iPi)十mzxf i−mxf i VO’〕δip1 dz 十〔{一、Kxf 1(q’十ψ1’)−Td,−Tn xf 1(q十ψ1) +T・f1−M・f・v・r}δψ1〕召+∫12〔M・f・V・” +{、Kxf 2(q’+ψ2’)}’−Mu2+Td 2’−Mnκf 2(9Z)+ψ2) ヰm。。f 2−m。f 2 V。ノ〕δψ、 dz 一ト〔{−Kxf 2(〆十ψ2’)−Td 2−Tnxf 2(ψ十ψ2)十Txf 2 一仏プ2副δψ、〕2i 十〔{Mx 一 Myψ一(Mx−Myψ)}δUo’十{My十M.ψ +M。f 1ψ、+M。f 2 ip2 −(れ+M.q+M。f ’ iPi+M。f 2 ip,)}δV。’ +(M、。−Mω)δψ’〕貿=0 (ll) ここに,上添字fl, f2はそれぞれ上,下フランジに関 する量であることを示し,断面力,物体力,表面力は 次のように定義した。
N−
?`・砲,〃・−f. ・・xdA,払一f. ・・ydA M・一 轣E…dA, T・一∫…2・dA κ一fA・・(・・+・・幽, K・一∫…2dA M・1− 轣Bσ・(−ndr’・)dA, Mv・一∫。σ・←n・tr・刷 T・1−f.,, …2・dA+元。歳(−2・a,)dA T・・− ?`。、τ・・2・dA+f。。 ・・z(−2・a・ぬ (12a∼k) q・− ?`ヵ砲,の一f。P調, q・−f. P・dA m・− ?DP・・dA, m・−fA力典, m・−f. P・ωdAMg−
?`(鋤一ヵ・y崩, M・・−f. P.・・dA砺一
轣iヵw+ρ・・協,m 一方・幽
(13a∼j)N一
ゥぬ,Q・一∫ρぬ, Q・1−f. I」・dA th・ ・・ f. fi・xdA, My−f. fi・ydA, M・−f. /…DdAT−
?`(fiyκ一fヲxY)dA, Tx一方・・∂ATn−
?`(抗y+ガ・・鳳T・x一か・・以 (14a∼j) ここに,Aw,.4fl,.4f2はそれぞれウェブ,上,下フ ランジの断面積を表す。式(11はり力のつり合い式と境 界条件が次のように求められる。 力のつり合い式; ノV’十一qg=0 (NUo’)t十(Mx−Myψ)”十qx十(Mx−mッψ)’=0 (NVo’)’十(My十Mxψ十M/ i ¢i 十 Mxf 2 ip2)”十危十(my十 m.¢十mxfiψi十mxf2ψ2)’=O M。v。”−M,U。”+M、。” +(Kq’+K。f ’ iPi’+ K。f 2 ip、’)+Tx’ +mZ−(mnq+mnxfiψi+mnxf2ψ2)−mκV。’ +myU。’+Mω’=O Mxf 1 VO”十{Kxf 1(q’十ψ1’)}’一ルttr i十7㌦1’ −Mnxf1(ψ十ψ1)十Mzxf 1−mxfiVo’=0 /lfxf 2 V。”一+一{Kxf 2(q「+ψ2’)}t−Mu2+Td 2’ 一〃2。ノ2(¢+ψ、)+m。。f2−m。f2v。’=0 (15a∼f) 境界条件; w。=tu。 または, N=ノV U。=π。 または,Nza。t+(Mx−Myq)’
十Mx−mッ¢=Qx
v。=ρ。 または, Nv。ノー+(My+Mx 9+ルfxf’iP i+11イWゾ2ψ2)’ +m。,+m.q+m.ノ1ψ1+M。f2di、=Q。 ψ=φ または, Mω’+κ〆+K。f’iPi「+K/2ψ、 t+ Tx+Mω =T−Tn¢NTηノ1ψr Tnxf2ψ2 − Mnc Vo’十My za o’ ψ1=ψ1 または, Kxf 1(q’十ψ1’)十Td,=Txf 1 −Tn.f 1(ψ十ψ1)一 Mxf 1 VO’ ψ2=ψ2 または, K。f2(q’+ψ、’)+T、、=T/2−T。ン2(q+ψ、) 一 Mxf 2 v。’ u。’=πo’ または,M仁 m Myep=Mx−Mッ¢ v。’=万。’ または, My+M輝q+Mxf i iPi+Mxf 2 ip2 =My 十 Mx q十∼Mxf ’ iP i十Mxf 2 ip2 q「=ψ’ または,Mω=Mω (16a∼i) ここに,( )は( )の量が境界で与えられたことを意 味する。 4.断面力と変位の関係 一一次元問題における直応力と直ひずみの関係にはフ ックの法則が成り立ち, σz = Eεz (17a) ここに,Eは弾性定数である。また,せん断力とせん 断ひずみの関係は,せん断弾性定IX Gを用いて次のよ うに書ける。 τsz= Gγsz (17b) 式(12)に式(9),(17)を代入すると断面カー変位関係が求 められるが,座標系が次の直交条件,綴二㌫鐵∴}(18・・ b)
を満たしていることから,断面カー変位関係は簡単化 することができ,次式のようになる。 N−E{Aw・’+輻(za・”2+V・’・)+丁ム・〆2 +丁ム…(¢’+ψ1・)・+一}lx…(・’+ψ・r)・} Mx=−E{IXX UO”十 IX xf i VO”(q十ψ1) 十lxxf 2 VO”(ψ十ψ2)} M・一一E{んω・t’−U・”¢))一丁ム…1(q’ + ip1’)・ 一;W・(・’+ψ21)・} Mω=−E(1。 、、f ’ V。”ψ1+ムωプ20。”ψ、+ 1ωωq”) Tx=G(ん〆+ノS,f’ip、’+ノS,f2ip、t) 〃。1=El。1ψ1+El。3ψ2 M『撃Q=El。3ψ1+El。2ψ2 Td,=G/Stflqt十G/stfiiPi’ Td 2=G/S,f 2 ep’+Gノ、/2ψ,’ (19a∼i) 式⑯における断面定数は次のように定義した。A−f. dA,ム・一㍑24Aム・一工y2以
ん・−f。ω・∂A,ム・・一∫・棚ム・一元翻,ん一fA(2拠
ん1竜(−ndi)2dA・ ・a・一レ(磁・)2以 ・a・−f。w(一nd1)←n ke’2)姐 (20a∼j) ただし,式⑯を導くに際して次の近似を行った。 5.変位表示したつり合い方程式 式(19)の非線形項(変位の2次項)をすべて省略すれ ボ微小変位理論に基づく断面カー変位関係が次のよう こ求められる。 2V=EA Wo’, Mx=−Eムκμo” れ=−Eム。ρ。”,Mω=一 EIωωep” Tx=G(ノ、,〆+ノ、tf’ip1’+ノ、,f2il、’)M,1=El。1ψ1+El。3ψ2 M。2=El。3ψ1+El。2ψ2 Td,=Gんノ1(〆十ψ1り (22a∼j) Td,= G/S,f 2(q「+ψ/) 式個,(16)の非線形項のN,Mx, Mxf 1, Mxf 2, My, K,K。f 1, K.f 2をN(°), M。(°), Mx(°)ゾ1, M。(°)f 2, Mッ(°), K(°},K。(°)f 1, K。(°)ノ2とおき線形化を行う8)。ここに, 上添字(°)は微小変位理論によって求められる量で既 知量として扱う。さらに,式(15),(16)の線形項に式(22)を 代入すると線形化された有限変位論における力のつり 合い式と境界条件が次のように得られる。 力のつり合い式; (EA w,’)「十qg=0 (N(O) Ztp’)’一(E∫xx UO”十My(0)¢)” 十qx十(Mx−m),q)’=0 (1V(0)VO’)一(Eムツρ0”−Mx(0)q −Mκ(O)fiili−Mx(0)ゾ2ψ2)” 十qッ十(My一ト mx¢ 十 mxf ’ ili十Mxf2ψ2 )’=O Mx(%。”一鵬(°)U。”一(Elωωq”)” +(K(°)q’+ノζx(°)fliP l「+Kx(°)f 2 ip2’)’ 十(G/rstq〆十G/stf’il,’十G/stf 2 il2’)’十Mz − Mnq 一 mnxf i ipi −M。。f24i,−m.v。’+m,U。’+mω’=O Mx(°)f 1 V。”+{Kx(°)f 1(¢’+ψ1’)}’−Elα 、 iP i−E∫α3ψ2 十{Gノ。tf 1(q’十ψ1’)}−Mnxf 1(q十ψ1) −Mzxf i 十 m.f i Vo’=O Mx(°)f 2 V。”+{Kx(°)ノ2(〆+ψ2’)}’ 一 Elα3 iP i−EIα 2 ip2 +{G/、,f2(q「+ψ、’)}’−M。。f2(ψ+ψ,) −Mzxf 2−←−mxf 2 Vo’=0 (23a∼f) 境界条件: w。=τ0。 または,EAw。’=2V u。=π。 または, N(o)za o’ 一一(Elxx Uo”十My(o)ψ)’十Mx−myq =σ。 v。=万。 または, 1V(o)Vo’一(El.,, v,” 一∼lfx(o)q −Mx(°)ゾ’ψ、−Mx(°)ノ2ψ、)’ +励+m。q+m。f’ψi+M.f 2 ip、=Qw q=ψ または, 一(Elωωq’)’+、κ(°)〆+、Kx(°)f l iplt+Kx(°)ゾ2ψ2’ +Gl、 t q)’+G/S,f’iPi’+Gl、 tf 2 gb2「+mω =T−T,,q−T。。f i ipi− Tn。f 2 ip,−M。 V。’ 十 My za o’ ψ1=ψ1 または, (Kx(0)ノ1十Gノ『s tf 1)(q’十ψ1’)=Txf 1 −Tnxf 1(q+ψ1)−Mxf i v。’ ψ2=ψ2 または, (κ.(°)ノ2+Gノ、ン2)(¢’+ψ、’)=7’。ゾ2 −T。xf 2(¢+ψ、)一 M.f 2 V。「 U。’=π。tまたは,−Elxx UO”一ルfy(°)¢=M.−M).q Vo’=σo’または, −Eム。V。”+Mx(°)q+Mx(°)ゾ1ψ1+ル1x(°)プ2ψ、 =Mッ+了1イκψ+ Mxf i 4’i+ノ∬Xゾ2ψ2 q’=口’ または,−E∫ωωψ”=Mω (24a∼i) 微小変位理論における応力と断面力の関係は,式(17) に非線形を無視した式(9)および式(22)を代入して求めら れ,垂直応力σz(°)と断面力との関係は次のように表さ れる。
・…1一芸)+曙+腔y ㈱
式㈱を式(12f, g)に代入すると, K(°), K。(°)ア1, Kx(°)f 2 はN(°),M。(°),払(°)を用いて次のように求められる。緊竃蹴 / (26a−−c)
ここに,le 1, k2,ん3は次のように定義した断面量であ る。 k,一 」∫(・・+y・)dA 土一nLl・2姐一話、 X2dA
k・一一竅轣B1・棚一去㍑・醐
(27a∼c) 6.純曲げによる横倒れ座屈 両端単純支持の直線ばりに一定曲げモーメントルfッ が作用する場合,その断面力は, 2V(°)=Mx(°)=Mx(°)ゾ1=Mx(°)ゾ2=O,れ(°)=れ (28a, b) また,式㈱,㈱より, K(o)=O,Kx(o)ノ1=一 ll 3 My, Kx(o)f 2=ん3ル6 (28c∼e) 式㈱を式㈱に代入すると座屈変形の支配方程式が次の ように求められる。 ElxxUoiv十Myψ”=0 れμ。”+ EIωω ep iv−Gノ、,ep”一(G/s,f 1−k、払)ψ1” 一(G/s,f2+々、れ)ψ、”=0(G/stf l−−k,ノ14)F)(q”+ψ1”)−E/α 、 iPi−Elα3ψ2=0 (Gノ「stf 2+fe,M,,)(q”+ψ2”)−EIα3iPi− Ela 2 ip2;0 (29a∼d) 境界条件は式(24)より両端において次のように与えられ る。 Uo=zao”=¢=q”=ψ1=ψ2=0 (30) 式(29),(30)を満足する座屈形を,
叫三)2
Sym. 一砿 E…w(π/)2+G・・t とすれば,上式を式(29)に代入することにより次のよう な固有方程式が得られる。 0 G/s♂1−le3MッG万1一砿嚇1(1π)2,
0 G/stf 2十k3My〆ly
Gl・・f・+k・My+E・・2(1π)2 =0 働 7.数値計算結果と考察 (1)従来の理論との比較 一定曲げモーメントを受ける単純支持ばりの座屈モ ーメントを与える式(32はり求めた値と,奥村2)ならび に加藤3)による値,さらに断面形不変の場合との比較 の一例を図一3に示す。縦軸のM。rは座屈モーメント荷 重(Myの座屈値)である。断面寸法に関するパラメー タの値は図中に示したとおりであり,また,E:2.1× 106kg/cm2, G=8.1×105 kg/cm2とした。フランジ の板厚に対するフランジ幅の比(b/d)がある値(この 場合は約27)までは断面形不変の場合と断面変形を考 鵠×1・・ 1.0 0.5 1 万=10 ん 一=160t ん 一=40∂ a.∫
1 慮した場合とではほとんど差はないが,b/dがこの値 を過ぎると両者の差は急激に拡大することがわかる。 奥村ならびに加藤による座屈荷重は,b/dがある限 度を越えて大きくなると急激に低下し,やがては零と なる。座屈荷重が零となることは明らかに不合理であ る。原因としては,その定式過程において,①逆対 称変形(ψ1=ψ2)を仮定しているが,上,下フランジで は応力状態が異なり,この仮定は全くあてはまらない, ②符号の取り扱いに問題がある,③座屈変形に伴 って生ずる付加力の評価に問題がある,等が挙げられ る。 一方,本研究による結果としては1次モードと2次 d. C 断面変形を考慮 (2次モード) d C. 断面形不変 7 b. ノ 断面変形を考慮 (1次モード) ノ b z 〃 〃・1
加藤 奥村 O 10 20 30 40 図一3 横倒れ座屈荷重の各理論による比較 旦 dモードの二つの座屈値を示したが,1次モードではb/ dがある値を越えて大きくなるとb/dの増大に伴っ て緩やかな低下を示す。なお,図中には代表的な断面 変形としてa,b, c, d点での断面変形を示した。 a, d点ではウェブは逆対称に近い形に変形するが,b, c 点では非対称に変形し,下フランジに比べて上フラン ジは大きく回転することがわかる。 図一4は,ウェブの板厚t=0としたときの座屈モー メントーb/d曲線である。図一3において1次モードと2 次モードを表していた二つの曲線は,図一4においては C点でつながり,曲線DCBはフランジ単独のねじれ座 屈値P。rにけた高hをかけた値P、r’hに一致する。こ 鵠×1・・ 0.5
乏(ン
上≦ζそ フランジの ねじれ座屈 (P,r’h) 断面変形を 考慮 立 10 20 30 40 d 図一4 ウェブの板厚t=0のときの座屈曲げモーメン トーb/h曲線 鵠×1・・/斗
.0 ’兀二10 繝ホ=50 断面形不変/ @ ∀÷一一 ’ 1175 ’ ’ ’ 』 .5 ε 1 一 = ん F 1 100 @1 『 =一ん 150 0 O.5 1.0 図一5 ウェブの板厚の変化と座屈曲げモーメントの関 係 旦 ん のことから,図一3の1次モードにおいてb/dの増大に 伴う横倒れ座屈値の低下は,フランジのねじれ座屈に よるものであることがわかる。 (2)断面寸法の変化と座屈モーメントの関係 横倒れ座屈モーメントと断面寸法の関係を調べた結 果を図一5∼図一7に示す。いずれも縦軸は横倒れ座屈モ ーメント,横軸はけた高に対するフランジ幅の比(ろ/ h)で示した。 図一5は,けた高に対するウェブの板厚の比(t/h)を パラメータとして,1/75,1/100,1/150と変化させた ときの違いを示したものである。ウェブの板厚が小さ い断面ではろ/hの小さい値で極大値を示し,断面変形 塩×1・・ 1.0 0.5 ∼兀=10 f ”’ ”’ ” 九丁=100 ’ ”@”
@’ ”’ ”Vプ
0 一 ∂ 1− = 37.5 ノ ノ @’ ノ m ! m ノ ’ ノ ∂ 1 ’ ノ 一 =一一 ノ 1 九 42.8 ノ ! ノ ! 5 ス 一 ノ Z z/z 〃 〃 〃 1 ∂ 1 一 = 一 ん 50 0 0.5 1.○ 図一6 フランジの板厚の変化と座屈曲げモーメントの 関係(破線は断面形不変の場合) 彫×1・・ 0.5 旦 ん 互 O.5 LO h 図一7 部材長の変化と座屈曲げモーメントの関係(破 線は断面形不変の場合)を考慮した場合と断面形不変の場合の差は大きくなる ことを示している。 図一6は,けた高に対するフランジの板厚の比(d/h) を1/50,1/42.8,1/37.5と変化させたときの違いを示 したものである。極大値の生ずるb/hの値はいずれも ほぼ一致し,フランジ厚には影響されないことがわか る。 図一7は,けた高に対する部材長の比(1/h)を7,10, 13と変化させたときの違いを示したものである。部材 長が短くなるとフランジ幅の小さい断面でフランジの ねじり座屈を生ずるが,極大値の大きさは部材長に関 係なくほぼ一定である。これらは部材長の短いはりで はねじり座屈が支配的であること,また,はりのねじ り座屈値は部材長に無関係であることからも予想され ることである。 (3)残留応力の影響 ここでは,図一8に示すような圧延1型鋼に相当する 場合と溶接1型鋼に相当する場合の2種類の残留応力 分布モデル9)について検討する。これらの残留応力分 布は,その自己つり合い条件を考えることにより次の ような断面力のみを生ずる1°)。 乏:二 f: 9;$iny2)dA }(33・・ b) ここに,σrはz軸方向の残留応力である。式倒を考慮 することにより,式㈱は次のようになる。
:鷲驚覧㌶1/ (34・ 一一 c)
式(34)を考慮し,6.と同様にして,残留応力を考慮した横 倒れ座屈荷重を求めることができる。 Oy:降伏応力 σrc:圧縮残留応力 σ。t:引張残留応力 σrc Ort σrc σTt σrc =O.3σ。 σrt=σrc σTtσrc (1) 圧延1型鋼 図一8 残留応力の分布モデル σrc σrt 残留応力を無視した場合,圧延1型鋼,溶接1型鋼に ついての数値計算の一例を図一9に示す。断面形不変の 曲線に沿う部分でははりは曲げ座屈に支配され,残留 応力の影響はほとんど生じないが,フランジのねじり 座屈に支配される部分では残留応力の影響が現れ,座 屈値の低下を示している。また,低下の割合は溶接1型 鋼の場合のほうが大きく,フランジ幅が大きくなるに 伴って増大し,b/h=1の断面では約20%の低下を示 している。8.結
語 本研究は,薄肉断面材の終局耐力の評価の一環とし て,ウェブの面外への曲げ変形を伴う1形断面ばりの 横倒れ弾性座屈強度について,その力学的特性を検討 したものである。 まず,ウェブの面外への曲げ変形を伴う2軸対称の 1形断面材について,実用的に妥当と思われる仮定の もとに,一次元問題として,有限変位理論に対応した 変位場を求めた。これを基盤として,仮想仕事の原理 より問題の支配方程式を一般的なかたちで与えた。さ らに,具体的問題として,ウェブの変形を伴う1形断面 ばりの横倒れ弾性座屈問題を扱い,その線形化した支 配方程式の誘導と,曲げモーメント分布が一定となる 載荷状態に対する座屈値の算出を行った。 解析結果に基づく数値計算によって,ウェブの変形 が1形断面ばりの横倒れ弾性座屈強度に及ぼす影響評 価を中心に,残留応力問題も含めて各種の観点から, σγど σアt σアc σrc=O.3σ〃 σrt=σy (2) 溶接1型鋼 鵬×1・・ 0.6 O.4 0.2 O ○.5 図一9 残留応力の影響 1.0 旦 んその力学的特性を分析・検討した。なお,フランジ厚 に対するフランジ幅の比がある一定値を越えると,座 屈荷重が急激に低下するという従来定説となっていた 奥村2)ならびに加藤3}の結論とは大きく異なる結果が 得られたが,その原因は彼らの定式過程に本質的な問 題が存するためであることがわかった。