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ミスコンダクトと学会の対応―日本高血圧学会のケース―

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(1)

ミスコンダクトと学会の対応

-日本高血圧学会のケース-

日本高血圧学会 理事

大阪大学老年・腎臓内科学 教授

楽木宏実

第7回日本医学雑誌編集者会議(JAMJE)総会 平成26年11月5日 日本医師会館 第7回シンポジウム 「不正論文と編集者の責務」 (ミスコンダクト:捏造、改ざん、盗用)

(2)

開示すべきCOI 関係にある企業などとして、 ④ 講演料など:アステラス、MSD、協和発酵キリン、塩野義製 薬、第一三共、大日本住友、武田薬品工業、日本ベーリン ガーインゲルハイム、ノバルティスファーマ、ファイザー ⑤ 原稿料:協和発酵キリン ⑥ 受託研究費:ノバルティスファーマ ⑦ 奨学寄付金:アステラス、 MSD、協和発酵キリン、第一三共、 大日本住友、田辺三菱製薬、武田薬品工業、日本ベーリン ガーインゲルハイム、ノバルティスファーマ、ファイザー、持 田製薬

COI 開示

大阪大学 楽木宏実

日本高血圧学会「医学研究の利益相反に関する共通指針」 に基づく (2011年~2013年)

(3)

大規模臨床試験の課題

(第22回日本高血圧学会, 高松)

PROGRESS(Perindopril Protection Against Recurrent Stroke Study)

国立循環器病センター名誉総長 尾前照雄先生 (1)病院の態勢(コーディネータ制度など)が未整備

(2)担当医師のメリットがない

(3)患者側にもメリットが乏しく積極的参加を望みにくい (4)研究費の不足

JATE研究(Japanese Trial on the Efficacy of Antihypertensive Treatment in the Elderly) 国立循環器病センター部長 瀧下修一先生 高齢軽症高血圧症患者,CCB対プラセボ,目標症例 各群1,000例(最終登録 329例) 試験参加医師1,433人に「登録に問題があった,できなかった」理由についてアンケート (1)プラセボの使用 (2)同意が得られない:患者・家族の理解不足やプラセボの使用,薬害・マスコミ報道 (3)患者にメリットがない

Medical Tribune 1999年11月18日 (VOL.32 NO.46) p.29

PROBE法(多施設協同・前向き無作為オープン結果遮蔽試験)の導入

(4)

二重盲検

オープン オープン

オープン オープン

(5)

日本発EBM (高血圧学会共催* ・後援)

対象数 登録期間 終了 (予定) 観察期間 JATOS 4,320 (エントリー終了) 2001年4月2002年12月 2004年 12月 2~3.6 年 HOMED -BP 3,300例エントリー 目標 9,000 2001年5月2006年4月 2011年 6月 平均 7 年 CASE-J 4,728 (エントリー終了) 2001年9月2002年12月 2005年 12月 3~4.3 年 COPE Trial 264例エントリー(Pilot) 目標 3,000 2003年5月2006年 2009年 3~5.6 年 VALISH 目標 3,000 730例エントリー 2003年10月2005年3月 2007年 3月 2~3.5 年 DIME* 目標 2,400 2004年2月2005年8月 2010年 8月 5 年 2004年9月末 2004年日本高血圧学会で発表(楽木)

(6)

JSH2004 における日本のエビデンス

序文 (猿田享男ガイドライン作成委員長)

本ガイドラインの作成で特に留意した点は、①日本人特有

の心血管病にも重点を置くこと、②日本人に適した非薬物

療法および降圧療法を考慮すること、・・・・・。なお、このよ

うな改訂にあたって、日本人を対象とした高血圧関連論文

をできるだけ参考としました。

刊行によせて (藤田敏郎理事長)

本ガイドラインの作成にあたって、日本人特有の生活習慣

と心血管病に照準を合わせた治療を心がけ、・・・・。できる

だけ日本人を対象とした臨床試験を入れることにしたが、

実際にはわが国の大規模臨床試験はいまだ少なく、・・・・。

しかし現在、わが国でも臨床試験が着実に進行しているの

で、次回改訂においてはその結果が活かされるものと思う。

(7)

CARTER

CASE-J

INNOVATION

JATOS

JIKEI HEART

J-HOME

J-LIT

JMIC-B

J-MIND

J-MUBA

NICS-EH

PATE-HT

SMART

JSH2009で記載されている

日本人を対象とした大規模臨床試験

(8)

疑義が呈された論文に関して“2014年のガイドライン

で引用可能な論文かどうか”についての審議

1.審査対象となる論文の判断

英文誌での疑義やHypertension Research掲載論

文に対する審査依頼

2.理事会で検討対象とする資料

公開済みまたは公開可能な資料を原則とする

3.ガイドラインで引用可能な論文とする判定基準

統計専門家の意見や解析を参考

4.検討結果の開示

ガイドラインに引用する場合は検討結果を開示する

Retraction が必要な論文か否かは、編集委員会で

別途検討する

2012年12月の理事会での取り決めから抜粋

(9)

一連の論文に関する高血圧治療ガイドライン2014

での最終的な取り扱い

文献採用にあたり,KYOTO Heart Studyは掲載が取り

消しとなっているため,採用しないこととし,再検証が

求められているJIKEI Heart Study,VART,SMART,

NAGOYA Heart Studyについては,

第三者機関による

検証と高血圧学会による最終判断により採用の可否

を決める

こととして,2013年3月に委員長コメントとして

全委員に示し,JSH2014の作成方針としている。その

後,JIKEI Heart Study,SMARTも掲載取り消しとなりと

もに不採用としている。NAGOYA Heart Study,VART

については大学の最終調査報告が印刷期限までに公

表されなかったため,ともに引用はしないこととした。

(10)

バルサルタン臨床試験の問題に対する対応(1)

「臨床試験に関わる第三者委員会」の設置

2013年3月6日

高血圧学会理事会にて臨床研究のあり方や研究論文の 品質を確保する方法を検討する目的で、第三者を加えた 「臨床試験に関わる第三者委員会」の設置を決定。

2013年4月26日

第1回委員会開催 委員 職種・役職 平井 昭光(議長) 弁護士・弁理士 江戸川 泰路 公認会計士 川上 浩司 大学教授(薬剤疫学) 木村 玄次郎 高血圧学会COI委員会委員長 森下 竜一 高血圧学会理事

(11)

バルサルタン臨床試験の問題に対する対応(2)

「臨床試験に関わる第三者委員会」の報告と

「臨床試験に関わるあり方委員会(仮)」設置の決定

2013年5月13日

• 臨床高血圧フォーラムにて報告書をプレスを含む参加者 に発表 • 高血圧学会が「臨床試験のあり方委員会(仮)」を設置し、 透明性を重視した臨床試験のあり方、臨床試験実施能力 の向上、不正再発防止の方策などを審議することの提言

2013年10月25日

• 高血圧学会総会にて「臨床試験に関わるあり方委員会 (仮)」設置の方針を会員に報告し、準備委員会を立ち上 げた。

(12)

臨床試験に関わるあり方委員会

(仮)準備委員会 委員

委員

加藤和人(大阪大学

医の倫理と公共政策学 教授)、

伊藤裕、河野雄平、松浦秀夫、山崎力、楽木宏実

(加藤委員以外は高血圧学会員)

オブザーバー:

平井昭光(レックスウェル法律特許事務所、学会顧問

弁護士、高血圧学会倫理委員会委員長)、

梅村敏

(高血圧学会専門医制度委員会委員長)、

堀内正嗣

(高血圧学会理事長)

(13)

臨床試験に関わるあり方委員会

(仮)準備委員会の議論

• 「臨床試験に関わるあり方委員会

(仮)」

ミッション

の設定

• 「臨床試験に関わるあり方委員会

(仮)」

委員

の選出

補足:本委員会発足後に委員会名について議

論され、「臨床試験」より「臨床研究」がより適切

であるという判断で、正式の委員会名は

「臨床

研究に関わるあり方委員会」

となった。

(14)

位田 隆一 (委員長) 同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科 特別 客員教授 稲垣 治 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会委員長 今村 恭子 日本製薬医学会 理事長,SBIファーマ株式会社 加藤 和人 大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学 教授 川上 浩司 京都大学大学院医学研究科 薬剤疫学 教授 津谷 喜一郎 東京大学大学院薬学系研究科 医薬政策学寄附講座 特任教授 伊藤 裕 慶應義塾大学 腎臓内分泌代謝内科 教授,高血圧学会理事 梅村 敏 横浜市立大学 循環器・腎臓内科学 教授,高血圧学会理事 河野 雄平 国立循環器病研究センター 高血圧・腎臓科 部長,高血圧学会理事 松浦 秀夫 済生会呉病院 院長,高血圧学会理事 山崎 力 東京大学医学部附属病院 臨床研究支援センター センター長・教授, 高血圧学会評議員 楽木 宏実 大阪大学大学院 老年・腎臓内科学 教授,高血圧学会理事

「臨床研究に関わるあり方委員会」の委員

(15)

1. 研究不正の再発防止、臨床研究の推進のために

学会員への研究支援の立場から学会が対応す

べきこと(制度設計など)についての具体的提言。

臨床研究の規模は、小規模なものから大規模な

ものまで広く想定していただきたい。各委員のそ

れぞれの立場、あるいは個人の見識をあわせて、

臨床試験に関しての大所高所からのご意見を頂

き、委員会として取りまとめていただく。

2. 国の規程や国の各種委員会で討議されている事

項との整合性をとるための具体的注意事項や連

携すべき外部組織の情報の提示

「臨床研究に関わるあり方委員会」の主要なミッ

ション (1/2)

(16)

3. 学会内で整備すべき体制の具体例: ① 学会での生物統計、臨床疫学、臨床試験のアドバイザー の雇用の必要性やその際の雇用形態 ② 厚労省の指針などを踏まえた研究者向けチェックリストの 整備 ③ 国際的な臨床試験とする場合の枠組みに対するアドバイ ス体制 ④ 学会員への臨床研究や倫理についての教育体制(専門 医教育) ⑤ 学会が後援するような研究での研究実施体制やデータマ ネジメントの監査体制 ⑥ データセンターの在り方 ⑦ 企業との関係性のあり方とCOIのマネジメントの在り方

「臨床研究に関わるあり方委員会」の主要なミッ

ション (2/2)

(17)

2014年5月24日

特定非営利活動法人 日本高血圧学会

「臨床研究に関わるあり方委員会」

提 言

臨床研究に関わるあり方委員会の審議

5回の委員会開催+随時メール審議

(第

1回2014年3月4日~第5回5月9日)

(18)

3つの主要なミッションへの対応

1) 研究不正の再発防止、臨床研究の推進のために学会員への 研究支援の立場から学会が対応すべきこと(制度設計など)に ついての具体的提言を中心として検討した。 2) 国の規程や国の各種委員会で討議されている事項との整合性 をとるための具体的注意事項や連携すべき外部組織の情報の 提示については付随的に取り扱った。 3) ①~⑦の諸点については1)の検討の中で取り扱った。

日本高血圧学会の対応への要望

必要と考えられる具体的なガイドラインや制度の構築など様々な 対応は、本委員会の提言の後に個別に対応するべきものであり、 それぞれの項目について、今後日本高血圧学会が適切に対応 措置を検討し、実施するよう求める。

「臨床試験に関わるあり方委員会」からの「提言」

前書き より

(19)

I.研究不正の再発防止、臨床研究の推進のために学会

員への研究支援の立場から学会が対応すべきこと(制

度設計など)についての具体的提言

1.企業との関係について:企業との関係に関するガイ

ドラインの策定

(1) 研究資金の取扱い A)それぞれの研究資金の性格による研究の区別と各々に 関する取扱いの注意事項 B)研究資金の適正さと使用に関する学会によるチェック体 制の整備 (2) 研究資金以外の提供を受けるもの

2.学会自身が後援または協力する研究:適正さの確

保のための体制構築

「提言」の目次 Ⅰ-1, Ⅰ-2

(20)

3.学会員の実施する研究:適正な研究の企画・立案・

実施・成果発表のための支援・指導

(1)学会の支援策 A)学会のガイドライン(科学面、倫理面、COI面)の見直し および周知徹底 B)研究資金の取扱いガイドラインの策定 C)生物統計学や臨床疫学上のサービスの提供 D)学会誌における論文等の質の向上 (2)学会員に対する指導・助言 A)研究の質の確保の措置 B)COIマネージメント (3)学会より研究機関への要望 (4)学会より製薬企業・製薬業界への要望 (5)研究の「見える化」の推進

「提言」の目次 Ⅰ-3

(21)

Ⅱ.国の規程や国の各種委員会で討議されている事項

との整合性をとるための具体的注意事項や連携すべ

き外部組織の情報の提示

1.

学会の広報体制の強化

2.

将来の臨床研究の制度設計についての情報、

議論の素材の提供・広報

「提言」の目次 Ⅱ

(22)

この提言は、今回のバルサルタン臨床試験に関わる研

究不正問題により、国内外においてわが国における臨床

研究の信頼性が損なわれかねない状況を前にして、これ

から

日本高血圧学会および同学会員が進むべき方向を示

そうとしたもの

である。本委員会は、学会外からの委員が

半数を占める構成と同じく学会外からの委員長の選任とに

よって、審議の公正さと独立性を担保した。それゆえ、この

提言は、学会の状況をも理解しつつ検討、作成されたもの

であって、

提言のいずれの事項および項目も、時期の違い

はあっても、学会の努力によって実施可能な内容である

本委員会は、

学会が速やかにこの提言の内容を逐次に検

討し、実施に移していくことを強く望む

ものである。

「臨床試験に関わるあり方委員会」からの「提言」

おわりに より (1)

(23)

「提言」に対応するための委員会設置

• 第

1回委員会開催:2014年7月6日

• 委員会名

:

「臨床研究に関わる提言への対応委員会」

• 委員会メンバー:

大屋(委員長)、楽木(副委員長)、石光、伊藤裕、伊藤正明、梅村、 苅尾、長谷部の8名にて設置し、必要に応じて増員する。

• 役割

• 「提言」への具体的な対応を推進する • 臨床研究を行う人に役に立つガイドライン(ハンドブック)作成 • 学会員支援の一環として臨床研究に関する問い合わせなど へのワンストップサービスを提供できる体制構築を検討する • 学会による監査制度(資金面・プロトコル面での監査)ついて 検討する

(24)

「倫理行動規範」の発表

• 臨床研究に関わる提言への対応委員会 大

屋委員長より、提言への対応の議論は時間を

要するため、「倫理行動規範」を出すことを優

先することが提案された。

• 高血圧学会としての倫理行動規範を総会で発

表(

2014年10月18日)

(25)

日本高血圧学会会員の科学者としての研究活動に係る倫理行動規範 平成26 年10月18日施行 日本学術会議声明「科学者の行動規範 -改訂版-」(平成25年1 月25 日)を基本 に一部を変更 III.社会の中の科学 11. 社会との対話 12. 科学的助言 13. 政策立案・決定者に対する 科学的助言 IV.法令の遵守など 14. 法令などの遵守 15. 差別の排除 16. 利益相反 I.科学者の責務 1. 科学者の基本的責任 2. 科学者の姿勢 3. 社会の中の科学者 4. 社会的期待に応える研究 5. 説明と公開 6. 科学研究の利用の両義性 II.公正な研究 7. 研究活動 8. 研究環境の整備及び教育 啓発の徹底 9. 研究対象などへの配慮 10. 他者との関係

(26)

最後に、研究のあり方に直接関係するものではないので

提言の内容には含まれないが、今回の事案に関連するこ

ととして付言しておきたい。高血圧診療においても、また高

血圧研究においても、今回の事案のように、迅速かつ適切

な対応が求められる事態が生じる可能性がある。しかし、

これまで学会としては、そうしたいわゆるリスクに即応する

体制を十分には備えていなかった、と言わざるを得ない。

したがって、

上に述べた提言とは別に、学会のリスク管理

体制についても早急に見直し、効果的な体制を整備するこ

とが強く望まれる。

「臨床試験に関わるあり方委員会」からの「提言」

おわりに より (2)

(27)

高血圧学会 梅村敏 新理事長挨拶

学会として、問題が明らかとなってきた「臨床研究」の在り方 についての社会的な批判を真摯に受け止め、常に「今後の学会 のあるべき姿」を意識し、改善してまいります。 • 外部委員を含む委員会からの「提言」の具体化とその実現 • 日本学術会議の「科学者の行動規範」にもとづき作成され た学会員が守るべき「倫理行動規範」の実行と適時改訂 • 学会のより民主的な運営を目指した理事等役員の選考規程 の見直し • 情報発信の迅速化や改善を目指した広報活動の見直し 現在求められている高血圧学会の変革のポイント ① 透明性の確保 ② 患者さんの立場に立った医療を実現し、専門家集団として 社会からの信頼を得ること ③ 高いレベルの高血圧研究 20141021日 学会ホームページ Topicsより

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