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ヒートアイランド対策の計画的実施に関する調査報告書

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Academic year: 2021

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2.6 熱環境の地域特性の分析

(1)類型区分の手順 熱環境メカニズムの解析結果を用い、以下の手順で都市化による気温上昇の地域特性を整理した。 ①2007 年 8 月 12 日の気象条件をもとに、都市化による温度上昇(dT)の時間変動を空間的に整理し、 高温化が顕著な地域を抽出した。 朝(3∼5 時)、昼(13∼15 時)、夕(17∼19 時)、夜(21∼23 時)の時間帯毎の dT の平均値が全 メッシュのうち、上位 10%に該当する地域を高温化が顕著な地域とした。(図 2-31∼34) ②各時間帯で高温化がみられるメッシュを重ね合わせ、高温化する時間帯毎の特性を図化した。 (図 2-35) ③複数の時間帯で高温化がみられる地域について、原因別の dT の内訳(人工被覆、人工排熱、建物 形態)の時刻別変動を整理し、その特性毎に地域区分を行った。(図 2-36) ④さらに、気温上昇の原因量が比較的大きい割に気温上昇が小さい地域についても抽出した。 羽田         横浜         海老名        木更津        新木場        東京         府中         八王子        練馬         青梅         越谷         さいたま       鳩山         つくば 牛 千葉   船橋        我孫子       所沢         久喜         羽田         横浜         海老名        木更津        新木場        東京         府中         八王子        練馬         青梅         越谷         さいたま       鳩山         つくば 牛 千葉   船橋       我孫子       所沢         久喜         羽田         横浜         海老名        木更津        新木場        東京         府中         八王子        練馬         青梅         越谷         さいたま       鳩山         つくば 牛 千葉   船橋        我孫子       所沢         久喜         羽田         横浜         海老名        木更津        新木場        東京         府中         八王子        練馬         青梅         越谷         さいたま       鳩山         つくば 牛 千葉   船橋       我孫子       所沢         久喜         図 2-31 dT 上位 10%のメッシュ(朝:3∼5 時) 図 2-32 dT 上位 10%のメッシュ(昼:13∼15 時) 図 2-33 dT 上位 10%のメッシュ(夕:17∼19 時) 図 2-34 dT 上位 10%のメッシュ(夜:21∼23 時) 凡例 2007 年 8 月 12 日気象条件による解析結果 2007 年 8 月 12 日気象条件による解析結果 2007 年 8 月 12 日気象条件による解析結果 2007 年 8 月 12 日気象条件による解析結果

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図 2-35 各時間帯において上位 10%に相当するメッシュ分布の重ね合わせ

凡例

全時刻帯で高温 朝(3~5時) 昼(13~15時) 夕(17~19時) 夜(21~23時) 市原市 つくば市 川越市 柏市 八王子市 厚木市 岩井市 船橋市 袖ケ浦市 野田市 所沢市 町田市 相模原市 松戸市 飯能市 越谷市 水海道市 木更津市 市川市 川口市 足立区 大田区 岩槻市 狭山市 練馬区 青梅市 藤沢市 日高市 東松山市 伊奈町 上尾市 入間市 世田谷区 川島町 沼南町 坂戸市 印西市 吉見町 八千代市 伊勢原市 江戸川区 取手市 平塚市 白井市 流山市 守谷市 葛飾区 鴻巣市 杉並区 愛川町 藤代町 我孫子市 板橋区 吉川市 幸手市 北区 三郷市 府中市 越生町 杉戸町 港区 小川町 春日部市 草加市 関宿町 日野市 庄和町 菖蒲町 大和市 蓮田市 嵐山町 谷和原村 久喜市 毛呂山町 桶川市 鳩山町 白岡町 江東区 滑川町 立川市 新座市 牛久市 綾瀬市 調布市 多摩市 千葉市中央区 小平市 北本市 横浜市旭区 城山町 清川村 浦安市 朝霞市 戸田市 横浜市戸塚区 品川区 新宿区 昭島市 稲城市 八潮市 横浜市青葉区 座間市 鎌ヶ谷市 あきる野市 瑞穂町 松伏町 境町 宮代町 三鷹市 習志野市 川崎市川崎区 中野区 横浜市緑区 三芳町 富士見市 渋谷区 千葉市花見川区 目黒区 横浜市泉区 鶴ケ島市 玉川村 豊島区 津久井町 寒川町 さいたま市緑区 東村山市 西東京市 茅ヶ崎市 文京区 台東区 福生市 川崎市多摩区 東大和市 荒川区 清瀬市 羽村市 利根町 武蔵村山市 騎西町 小金井市 国立市 都幾川村 君津市 蕨市 秦野市 海老名市 龍ヶ崎市 横浜市港北区 さいたま市西区 横浜市都筑区 墨田区 横浜市鶴見区 佐倉市 さいたま市見沼区 横浜市中区 川崎市麻生区 千葉市稲毛区 和光市 千葉市美浜区 中央区 横浜市神奈川区 横浜市栄区 横浜市港南区横浜市磯子区 川崎市宮前区 志木市 さいたま市桜区 横浜市瀬谷区 国分寺市 横浜市保土ヶ谷区 さいたま市北区 武蔵野市 千代田区 川崎市高津区 東久留米市 大井町 横浜市金沢区 川崎市中原区 横浜市南区 さいたま市南区 千葉市若葉区 狛江市 土浦市 鎌倉市 日の出町 川崎市幸区 さいたま市大宮区 鷲宮町 上福岡市 四街道市 鳩ケ谷市 さいたま市浦和区 吹上町 大里町 川里町 横浜市西区 さいたま市中央区 印旛村 猿島町 五霞町 加須市 千葉市緑区 寄居町 石下町 富津市 阿見町 羽田         横浜         木更津        船橋         我孫子        府中         八王子        青梅         所沢         つくば    海老名        牛久 千葉        新木場        東京         練馬         越谷         さいたま       鳩山         久喜         「2.6 熱環境の地域特性の分析」(P.64∼73)に示す熱環境の地域特性は、2007 年 8 月 12 日 の気象条件をもとに計算した結果である「2.4 気温上昇の空間分布の解析」の結果(P.36~57) を用いて、解析したものである。したがって、この熱環境の地域特性の解析結果は、当該地 域の熱環境特性を断定するものではなく、ひとつの解析例であることを付記する。

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(2)都市化による気温上昇の地域特性 都市化による気温上昇の時刻別、原因要素別特性毎に特徴的な7つの地域を抽出した。 横浜市、川崎市南部から東京 23 区およびさいたま市にかけての地域は複数の時間帯で気温上昇し ているメッシュが集合しており、ヒートアイランド現象が顕著な地域といえる。 そのうち、都心付近、川崎市川崎区および大田区の地域、都北部からさいたま市南部にかけての地 域は原因要素が異なる傾向を持っている。また、市川市・船橋市の一部地域、千葉市中央区、市原市、 袖ヶ浦市の湾岸地域においては、人工内熱による気温上昇が特徴的であった。また、埼玉県中部にお いては、原因量が小さいにもかかわらず、気温上昇がみられる地域が離散的に分布している。 一方、東京千葉県境の湾岸部や千葉市東部および習志野市においては、原因量の割に気温上昇が小 さい地域が分布している。 図2−36 都市化による気温上昇の地域区分 市原市 つくば市 川越市 柏市 八王子市 厚木市 岩井市 船橋市 袖ケ浦市 野田市 所沢市 町田市 相模原市 松戸市 飯能市 越谷市 水海道市 木更津市 市川市 川口市 足立区 大田区 岩槻市 狭山市 練馬区 青梅市 藤沢市 日高市 東松山市 伊奈町 上尾市 入間市 世田谷区 川島町 沼南町 坂戸市 印西市 吉見町 八千代市 伊勢原市 江戸川区 取手市 平塚市 白井市 流山市 守谷市 葛飾区 鴻巣市 杉並区 愛川町 藤代町 我孫子市 板橋区 吉川市 幸手市 北区 三郷市 府中市 越生町 杉戸町 港区 小川町 春日部市 草加市 関宿町 日野市 庄和町 菖蒲町 大和市 蓮田市 嵐山町 谷和原村 久喜市 毛呂山町 桶川市 鳩山町 白岡町 江東区 滑川町 立川市 新座市 牛久市 綾瀬市 調布市 多摩市 千葉市中央区 小平市 北本市 横浜市旭区 城山町 清川村 浦安市 朝霞市 戸田市 横浜市戸塚区 品川区 新宿区 昭島市 稲城市 八潮市 横浜市青葉区 座間市 鎌ヶ谷市 あきる野市 瑞穂町 松伏町 境町 宮代町 三鷹市 習志野市 川崎市川崎区 中野区 横浜市緑区 三芳町 富士見市 渋谷区 千葉市花見川区 目黒区 横浜市泉区 鶴ケ島市 玉川村 豊島区 津久井町 寒川町 さいたま市緑区 東村山市 西東京市 茅ヶ崎市 文京区 台東区 福生市 川崎市多摩区 東大和市 荒川区 清瀬市 羽村市 利根町 武蔵村山市 騎西町 小金井市 国立市 都幾川村 君津市 蕨市 秦野市 海老名市 龍ヶ崎市 横浜市港北区 さいたま市西区 横浜市都筑区 墨田区 横浜市鶴見区 佐倉市 さいたま市見沼区 横浜市中区 川崎市麻生区 千葉市稲毛区 和光市 千葉市美浜区 中央区 横浜市神奈川区 横浜市栄区 横浜市港南区横浜市磯子区 川崎市宮前区 志木市 さいたま市桜区 横浜市瀬谷区 国分寺市 横浜市保土ヶ谷区 さいたま市北区 武蔵野市 千代田区 川崎市高津区 東久留米市 大井町 横浜市金沢区 川崎市中原区 横浜市南区 さいたま市南区 千葉市若葉区 狛江市 土浦市 鎌倉市 日の出町 川崎市幸区 さいたま市大宮区 鷲宮町 上福岡市 四街道市 鳩ケ谷市 さいたま市浦和区 吹上町 大里町 川里町 横浜市西区 さいたま市中央区 印旛村 猿島町 五霞町 加須市 千葉市緑区 寄居町 石下町 富津市 阿見町 羽田         横浜         木更津        船橋         我孫子        府中         八王子        青梅         所沢         つくば    海老名        牛久 千葉        新木場        東京         練馬         越谷         さいたま       鳩山         久喜         :都市化による気温上昇が顕著な地域(ヒートアイランド現象が顕著な地域) (複数の時間帯で気温上昇しているメッシュの集合地域) :都心地域 (日中排熱の比率が大きく、夜間に建物形態の比率が大きい地域) :川崎・大田地域 (夜間・早朝に排熱の比率が大きく、日中に建物形態の比率が大きい地域) :都北部・埼玉南部地域 (夜間・早朝に建物形態の比率が大きく、早朝に人工排熱の比率が大きい地域) :京葉湾岸地域 (早朝に人工排熱の比率が大きい地域) :内陸の高温化地域 (特定パターンはないが原因量の割に高温化がみられる地域) :湾岸の気温上昇が抑制されている地域 川越市 越谷市 市川市 川口市 足立区 大田区 練馬区 上尾市 世田谷区 江戸川区 葛飾区 杉並区 板橋区 北区 港区 春日部市 草加市 江東区 千葉市中央区 浦安市 朝霞市 戸田市 品川区 新宿区 稲城市 八潮市 習志野市 川崎市川崎区 中野区 渋谷区 伊奈町 目黒区 豊島区 さいたま市緑区 文京区 台東区 荒川区 蕨市 さいたま市西区 墨田区 横浜市鶴見区 さいたま市見沼区 横浜市中区 和光市 千葉市美浜区 中央区 横浜市神奈川区 志木市 さいたま市桜区 さいたま市北区 千代田区 川崎市中原区 さいたま市南区 川崎市幸区 さいたま市大宮区 鳩ケ谷市 さいたま市浦和区 横浜市西区 さいたま市中央区 船橋市 2007 年 8 月 12 日気象条件による解析結果

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(3)都市化による気温上昇の時刻別変動とその要因別内訳 1)都心地域 都心地域の気温上昇の特徴は以下の通りである。 ・都市化による気温上昇が最大となるのは 22∼23 時であり、約 3.5℃の上昇がみられる。 ・早朝、夜間は都市形態による気温上昇比率が大きい。日中は都市形態、被覆の比率が一時的に小さ くなる。これは、天空率が小さいことで日射があたりにくくなる時刻に該当するものと考えられる。 ・人工排熱量は日中に大きくなるが、人工排熱による気温上昇は 0.5℃前後で大きな時刻変化はない。 図2−37 千代田区内 45 メッシュのうち全時刻で気温上昇が顕著な 24 メッシュの時刻変化 図2−38 文京区内 47 メッシュのうち全時刻で気温上昇が顕著な 38 メッシュの時刻変化 千代田区 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速 (m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 千代田区 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 千代田区 人工排熱量 0 50 100 150 200 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/m 2 文京区 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT ( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速 (m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 文京区 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 文京区 人工排熱量 0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/m 2

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2)川崎・大田地域 川崎・大田地域の気温上昇の特徴は以下の通りである。 ・都市化による気温上昇の最大は 22∼23 時の約 2.5℃であるが、早朝、日中にもピークがある。 ・夜間、早朝の気温上昇において、人工排熱によって約 1℃以上上昇しており、比率が大きい。 ・早朝の気温上昇には人工排熱の寄与が大きく、夕方を除き日中、夜間は建物形態の寄与が大きい。 図2−39 川崎市川崎区内 192 メッシュのうち全時刻で気温上昇が顕著な 41 メッシュの時刻変化 図2−40 東京都大田区内 244 メッシュのうち全時刻で気温上昇が顕著な 106 メッシュの時刻変化 川崎市川崎区 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT ( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速 (m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 川崎市川崎区 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 川崎市川崎区 人工排熱量 0 50 100 150 200 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/ m 2 東京都大田区 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT ( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速( m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 東京都大田区 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 大田区 人工排熱量 0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/ m 2

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3)都北部・埼玉南部地域 都北部・埼玉南部地域の気温上昇の特徴は以下の通りである。 ・都市化による気温上昇が最大となるのは 0∼2 時であり、その値は約 3.5℃となっている。 ・夜間、早朝は建物形態による気温上昇比率が大きい。 ・早朝の気温上昇には人工排熱の寄与がやや大きくなる。 図2−41 板橋区内 124 メッシュのうち全時刻で気温上昇が顕著な 83 メッシュの時刻変化 図2−42 さいたま市浦和区 35 メッシュのうち全時刻で気温上昇が顕著な 27 メッシュの時刻変化 板橋区 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速(m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 板橋区 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 板橋区 人工排熱量 0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/ m 2 さいたま市浦和区 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT ( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速 (m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 90%値 風速 さいたま市浦和区 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) さいたま市浦和区 人工排熱量 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/m 2

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4)京葉湾岸地域 京葉湾岸地域の気温上昇の特徴は以下のとおりである。 ・夜間、早朝に人工排熱による気温上昇が顕著である。 ・市原市では人工被覆による約 1℃程度と気温上昇が他地域に比べて大きい。 これは、天空率が比較的大きい割に、裸地・水面率が小さく、道路等の人工被覆面に日射があた りやすいことが理由と考えられる。 図2−43 市原市内 893 メッシュのうち全時刻で気温上昇が顕著な 34 メッシュの時刻変化(湾岸埋立地) 図2−44 市川市・船橋市 545 メッシュのうち夜間以外に気温上昇が顕著な 35 メッシュの時刻変化 市原市 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT ( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速 (m /s ) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 市原市 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 市原市 人工排熱量 0 100 200 300 400 500 600 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/ m 2 市川市・船橋市 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT (℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速(m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 市川市・船橋市 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 市川市・船橋市 人工排熱量 0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 W/ m 2

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5)内陸地域 埼玉県中部の内陸地域においては、原因量の割に気温上昇が顕著な地域が分布している。ただし、 各地域でその気温上昇の要因の傾向は異なっている。 ①川越市 ・川越市内 461 メッシュのうち、187 メッシュでは早朝の高温化が顕著である。 ・早朝の気温上昇には、建物形態と人工排熱の寄与が大きくなっている。 図2−45 川越市 461 メッシュのうち早朝の気温上昇が顕著な 187 メッシュの時刻変化 ②上尾市 ・上尾市 170 メッシュのうち、30 メッシュで日中の高温化が顕著である。 ・13∼14 時に都市化による気温上昇が大きくなっているが、この時間帯に風速がやや弱くなっている。 ・日中の高温化には建物形態の寄与が大きくなっている。ただし、建物面積率、建物高さ等は比較的 小さい地域である。 川越市 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT ( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速 (m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 川越市 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 川越市 人工排熱量 0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/m 2 図2−46 上尾市 170 メッシュのうち日中の気温上昇が顕著な 30 メッシュの時刻変化 上尾市 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速 (m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 上尾市 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 上尾市 人工排熱量 0 20 40 60 80 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/ m 2

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③春日部市 ・春日部市 155 メッシュのうち、52 メッシュで夜間の気温上昇が顕著である。 ・夜間の気温上昇には建物形態の寄与が大きい。道路被覆率はやや大きいが建物面積率、建物高さは 比較的小さい地域である。 図2−47 春日部市 155 メッシュのうち夜間の気温上昇が顕著な 52 メッシュの時刻変化 春日部市 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT( ℃ ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 風速 (m / s) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 春日部市 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 春日部市 人工排熱量 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/m 2

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6)湾岸の気温上昇が抑制されている地域 ・東京湾の東京千葉県境から千葉市東部にかけての湾岸部は、都市化の割に気温上昇が小さい地域が 分布している。 ・これらの地域は風速が午前中から強くなることが特徴的である。 ・都市化による気温上昇の最大値は 1.5℃程度で深夜に出現する。内訳としては人工排熱が占める割 合が比較的大きい。 ①東京都・千葉県境湾岸地域 図2−48 江戸川区 163 メッシュのうち、一日中気温上昇が小さい 126 メッシュの時刻変化 ②習志野・千葉市東部地域 図2−49 習志野市 67 メッシュのうち、一日中気温上昇が小さい 64 メッシュの時刻変化 江戸川区 -0.50 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT ( ℃ ) 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 風速 (m /s ) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 江戸川区 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 江戸川区 人工排熱量 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/m 2 習志野市 -0.50 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 時 dT ( ℃ ) 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 風速(m /s ) 人工被覆 建物形態 人工排熱 dT上位10%値 風速 習志野市 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 裸地・水面率 (×50) 建物面積率 (×50) 道路被覆率 (×50) 天空率 (×50) 建物 平均高(m) 建物 平均幅(m) 習志野市 人工排熱量 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22時 W/m 2

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2.7 熱環境解析の成果と今後の課題

(1)熱環境解析成果のまとめ 今回のシミュレーションによるメカニズム解析により、東京都市圏におけるヒートアイランド現 象の原因および現象の関係性がある程度明らかになった。明らかになった事項について、東京を中 心とする半径 40km 範囲の「マクロスケール」および都市の構成単位のひとつである「地方公共団 体スケール」において以下のとおり整理をおこなった。 1)マクロスケール ・都市的要素をなくした状態の気温分布は、日中に内陸が高温化し、夜間、早朝には沿岸部が高 温となる。基礎となる自然的気温に地域性があることが確認された。 ・自然的気温は気象条件によって変化がみられ、特に風の状況によって、内陸の高温化する地域 が変化することが確認された。 ・風速の変化は、建築物の物理的阻害によるものではなく、熱的環境の変化に伴う上昇気流によ って、水平方向の風速が変化していることが示唆された。 ・気象状態の差によって、高温化する地域が異なり、南風が強い状況であると、高温域が風下側 に変位することが確認された。 2)地方公共団体スケール ・東京都心地域の都市化による気温上昇は、夜間から早朝にかけて顕著であり、気温上昇は最大 3℃以上であった。 ・日中高温化がみられる内陸郊外地域では、夜間気温は低い傾向であり、気温の日較差が大きい 状況であった。 ・各地域の「地表面被覆」、「都市形態」、「人工排熱」の要因別の気温上昇強度の分析により、都 市化による気温上昇は要因別、時刻別に多様性があることが分かった。また、沿岸を除き、原 因量の大きい地域で都市化による気温上昇が大きい傾向がみられた。 (2)成果の活用 成果の活用については、都府県を越えるような広域スケールでのヒートアイランド現象と地方公 共団体内における気温上昇の抑制につなげる地方公共団体スケールの活用が考えられる。 1)マクロスケール ・原因が大きい地域と高温化がする地域が必ずしも即地的に対応するとは限らず、風等の気象状態 や地形等の条件が複雑に絡みながら、ある程度の空間的な拡がりの中で気温が形成されることが 明確になった。 ・そこで、複数の地方公共団体をまたぐような広域的なヒートアイランド現象およびその影響に対 する総合的な施策を立案する際に本解析結果を有効活用できると考えられる。(国等の広域的な 施策) 2)地方公共団体スケール ・今回のメカニズム分析で得られた結果により、原因分布別と気温上昇要因の関係性がある程度把 握できた。また、湾岸部においては、原因量に比較して気温上昇が小さいなど、自然的な地域特 性があることが確認できた。 ・既往の調査4)において、大規模緑地から市街地への風による冷気流出の範囲は 200∼250m程度 であることが報告されており、風による熱の移動の範囲は数百m程度にとどまるものと考えられ 4) 平成 17 年 都市緑地を活用した地域の熱環境改善構想の検討調査報告書 環境省 PP.11

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る。そのため、一般的なヒートアイランド対策を講じた場合に、その効果の波及範囲は最大でも 数百m程度の領域となると考えられる。 ・対策効果の波及範囲、熱の移動の範囲は限定的であると考えられるため、地方公共団体が対策を 立案にあたっては、その地域の原因特性、自然的特性に応じた対策種別を選定することが有効で ある。原因分布と気温形成の関係について、風の条件を考慮して整理した今回の解析結果は、地 方公共団体が原因分布をもとに効果的な対策を立案するための基礎資料として活用できる。 (3)今後の課題 今回の解析領域では、計算機容量の制限から、昨夏、日最高気温が 40℃超を記録した熊谷や館林 周辺が対象となっていない。関東平野内陸部の日中高温化するメカニズムについてはまだ未解明な 部分があることから、関東平野において解析領域の拡大が今後の課題となる 今回は東京都市圏を対象に解析を行ったが、近畿圏・中京圏など都府県を越え、平野部に広がる 他の大都市圏についても同様にメカニズム解析を行うことが今後の課題となる。 ただし、他地域には広域メトロスに相当する気温観測網がないため、計算結果を検証するための 教師データに何を用いるかの検討が必要である。

図 2-35  各時間帯において上位 10%に相当するメッシュ分布の重ね合わせ  凡例 全時刻帯で高温 朝(3~5時) 昼(13~15時) 夕(17~19時) 夜(21~23時)市原市つくば市川越市柏市八王子市厚木市岩井市船橋市袖ケ浦市野田市所沢市町田市相模原市松戸市飯能市越谷市水海道市木更津市市川市川口市足立区大田区岩槻市狭山市練馬区青梅市藤沢市日高市東松山市伊奈町上尾市入間市世田谷区川島町沼南町坂戸市印西市吉見町八千代市伊勢原市江戸川区取手市平塚市白井市流山市守谷市葛飾区鴻巣市杉並区愛川町藤代町我孫子市

参照

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