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はじめに アベノミクス効果もあり 日本経済は活況を呈しています ただし 長期的にみれば 人口の減少による国内市場規模の縮小は避けられず 日本企業が今後生き残るためには 海外市場の開拓や海外労働力の活用が求められています とはいえ ただ海外進出すればよいわけではありません その国に進出する ( 市場開

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(1)

日本企業の海外進出について①

~ベトナム・タイ・インドネシア編

前篇

株式会社クロスフィールド 久保寺 康友

(2)

はじめに

アベノミクス効果もあり、日本経済は活況を呈しています。ただし、長期的にみれば、人口の減

少による国内市場規模の縮小は避けられず、日本企業が今後生き残るためには、海外市場の

開拓や海外労働力の活用が求められています。

とはいえ、ただ海外進出すればよいわけではありません。その国に進出する(市場開拓/労働力

活用)メリットがあるのか、進出する際の障壁(デメリット)には何があるのか正確に把握した上で

判断する必要があります。

そこで、様々な国を以下の視点で、メリット・デメリットを整理していきたいと思います。

1. 経済の視点(①市場規模、②経済成長、③産業構造) 2. 人材の視点( ①人口構成、②労働人口、 ③給与水準、④失業率、⑤教育水準) 3. 政治・社会の視点( ①情勢、②直面している問題) 4. 外資政策・法規制の視点 5. 投資コスト(賃金・オフィスレンタル料・公共料金など)の視点

第1回目として、最近、国レベルでの連携が進んでいる東南アジア3カ国(ベトナム・タイ・インド

ネシア)にフォーカスをあてます。本レポートは上記1から3の視点について整理しています。

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0.日本企業の現在の進出状況

2012年3月現在、ベトナム・タイ・インドネシアに進出している日本企業の数(帝国データバンク調べ)は以下 のとおりです。 ベトナムー1,542社 タイー3,133社 インドネシア -1,266社 業種別で見ると、ベトナム、タイ、インドネシアともに、①製造業(約半数)②卸売業(約2割)③サービス業の 順で多くの企業が進出しています。 出所:帝国データバンクの進出企業の実態調査レポートより ベトナム タイ インドネシア 業種別 社数 構成比(%) 業種別 社数 構成比(%) 業種別 社数 構成比(%) 建設業 63 4.1 建設業 108 3.4 建設業 59 4.7 製造業 725 47.0 製造業 1,735 55.4 製造業 692 54.7 卸売業 319 20.7 卸売業 739 23.6 卸売業 275 21.7 小売業 27 1.8 小売業 63 2.0 小売業 20 1.6 運輸・通信業 76 4.9 運輸・通信業 137 4.4 運輸・通信業 63 5.0 サービス業 236 15.3 サービス業 234 7.5 サービス業 87 6.9 不動産業 15 1.0 不動産業 23 0.7 不動産業 7 0.6 その他 81 5.3 その他 94 3.0 その他 63 5.0 合計 1,542 100.0 合計 3,133 100.0 合計 1,266 100.0

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1-①市場規模

ベトナム

タイ

インドネシア

(参考)日本

(参考)中国

名目GDP(億米ドル) 1,240 3,456 8,468 58,672 72,981 世界に占める割合(%) 0.2 0.5 1.2 8.4 10.4 ASEAN*に占める割合 (%) 5.8 16.2 39.7 - -順位 59位 30位 16位 3位 2位 人口(万人) 8,784 6,952 24,233 12,782 134,413 順位 13位 20位 4位 10位 1位 一人当たりの GDP(米ドル) 1,411 4,972 3,495 45,903 5,430

出所:World Bank, World Development Indicator database

2011年の名目GDPベースでみると、ベトナム・タイ・インドネシア3カ国の世界に占める割合は2%(日本の 1/4、中国の1/5の経済規模)であり、決して大きな市場というわけではありません。 一方、各国の人口を見てみると、3カ国合計は現時点で日本の約3倍であり、消費者の多さ、労働人口の 多さを考えれば、今後、市場規模が拡大する(世界に占める割合が増加する)ことが予見されます。 一人当たりのGDPに目を移すと、タイは5,000米ドルに迫っており、中進国の上位レベル(中国と同等)に あるのに対し、インドネシアはタイの7割程度、ベトナムは、タイの3割程度にとどまっています。 *:ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム (2011年)

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1-②経済成長

ベトナム、タイ、インドネシアともに、過去10年で飛躍的に市場規模を拡大し、成長し続けています。 (2011年のGDPを2002年のGDPと比較すると、ベトナムは3.5倍、タイは2.7倍、インドネシアは、4.3倍の 規模) 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 億米ド ル

GDP(名目)の推移(2002年~2011年)

ベトナム タ イ インド ネシア

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1-③産業構造

3カ国ともにGDPは伸びていますが、その産業別構成比には変化が見られます。 いずれも第1次産業の構成比は減少しており、第2次産業及び第3次産業へのシフトが見られます。 ベトナムは、第2次産業及び第3次産業ともに順調に成長していると考えられます。 タイは、第2次産業への比率がベトナム及びインドネシアに比べて高く、構成比も伸びていることから、より 一層「工業化」が進んでいると言えるでしょう。 一方で、インドネシアは、運輸・通信業(5%増)、商業(2%増)、金融業(2%増)といった第3次産業の比率が 高まっています。 ベトナム 2002年 2011年 増減 第1次産業 22% 16% ▼6% 第2次産業 29% 33% △4% 第3次産業 49% 51% △2% タイ 2002年 2011年 増減 第1次産業 10% 9% ▼1% 第2次産業 42% 45% △3% 第3次産業 48% 46% ▼2% インドネシア 2002年 2011年 増減 第1次産業 15% 13% ▼2% 第2次産業 40% 34% ▼6% 第3次産業 45% 53% △8%

出所:General Statistics Office of Vietnam 出所:国家経済社会開発庁(NESDB)

出所: 中央統計局 (BPS) "Gross Domestic Product at 2000 Constant Market Prices By Industrial Origin (Billion Rupiahs) "

第1次産業 農林業、漁業

第2次産業 鉱業、製造業、電気・ガス・水道業

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1.経済の視点:考察

経済の視点として、①市場規模、②経済成長、③産業構造を見てきましたが、市場開拓の視点から、国別に 整理すると以下のことが言えます。 ベトナム タイ インドネシア 市場開拓の視点から •市場規模はそれほど大きくない が、 10年間で3.5倍の経済成 長を遂げており、また第2次産 業及び第3次産業は順調に成 長していることから、市場開拓 の余地はまだ十分あると考えら れます。 •但し現時点では、一人あたりの GDPが低いため、高価格の商 品、サービスを提供している企 業の進出は難しいかもしれま せん。 市場開拓の視点から •一人あたりのGDPが中国並み にあり、かつ過去10年で2.7倍 の経済成長を遂げていること もあり、どの企業にとっても魅 力的な市場であることがいえま す。 •但し、既に日本から多くの企業 が進出(3,133社、2011年)し ており、他社の差別化を図る必 要があります。 市場開拓の視点から •3か国の中で最も高い経済成 長(10年前の4.3倍)を遂げて おり、人口も多く、かつ一人あ たりのGDPもそれほど低い水準 ではないため、非常に魅力的 な市場と言えるでしょう。 •特に、第3次産業(通信業、商 業、金融業)がここ数年特に成 長していることから、該当する 企業にとっては注視すべき国 の一つと言えます。

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【参考】貿易(輸出入額)

経済成長とともに、貿易の規模も拡大しています。 (2011年の貿易額を2002年の貿易額と比較すると、ベトナムは5.6倍、タイは3.5倍、インドネシアは4.3倍 に拡大) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 4,500 5,000 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 ( 億 米 ド ル) ( 億 米 ド ル) ( 億 米 ド ル) ( 億 米 ド ル)

貿 易 額 (輸出 +輸入)

貿 易 額 (輸出 +輸入)

貿 易 額 (輸出 +輸入)

貿 易 額 (輸出 +輸入)

ベトナム タイ インドネシア

出所:World Bank, World Development Indicator database

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【参考】貿易(輸出入額)

対日本

対日本の貿易規模も拡大を続けています。 ( 2011年の貿易額を2002年の貿易額と比較すると、ベトナムは4.3倍、タイは2.7倍、インドネシアは3.2倍 に拡大) タイ・インドネシアの最大の貿易相手国は日本です。(ベトナムは、中国、EU、アメリカに次ぐ4位) 0 100 200 300 400 500 600 700 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 ( 億 米 ド ル) ( 億 米 ド ル)( 億 米 ド ル) ( 億 米 ド ル) 対 日 本 対 日 本 対 日 本 対 日 本 貿 易 額 ( 輸 出+輸入)貿 易 額 ( 輸 出+輸入)貿 易 額 ( 輸 出+輸入)貿 易 額 ( 輸 出+輸入) ベトナム タイ インドネシ ア

出所:World Bank, World Development Indicator database

貿易相手国別の内訳

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2-①人口構成(年齢別人口ピラミッド)

ベトナム(2009年)、タイ(2010年)、インドネシア(2010年)の人口の年齢別構成をみると、いずれも現在 あるいは将来において労働を担う年代の人口比率が高く(ベトナムは20代前後、タイは30代前後、インド゙ネ シアは10代、20代がそれぞれ高い)、今後も安定的な労働力を供給できる素地があると言えます。

出所: US. Census Bureau

ベトナム

インドネシア

タイ

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2-②労働人口(産業別)

ベトナム、タイ、インドネシアの産業別労働人口と内訳(比率)は下表、下図のとおりです。 • ベトナム-中国の約7%の規模。同様の政治形態である中国と比較しても、第1次産業の割合が高い。 • タイー中国の約5%の規模。 3カ国の中で、最も第2次産業の割合が高い。 • インドネシア-中国の約14%の規模。第3次産業(主に卸売・小売、公共事業)に従事する割合が高く、第 2次産業の割合は3カ国で最も低い。 労働人口 (百万人) ベトナム (2011年) タイ (2011年) インドネシア (2011年) (参考)中国 (2010年) (参考)日本 (2011年) 第1次産業 25.22 16.10 39.33 279.31 2.26 第2次産業 11.77 7.64 20.88 218.42 15.37 第3次産業 15.55 15.58 49.46 263.32 45.31 計 52.54 39.32 109.67 761.05 62.94 各国の産業別労働人口内訳 出所: ベトナム統計局GSO

Badan Pusat Statistik, “Berita Resmi Statistik”, National StaisticalOffice, Thailand

中国統計出版社「中国労働統計年鑑2011(初版)」 総務省統計局「労働力調査」 第1次 産業 48.0% 第2次 産業 22.4% 第3次 産業 29.6% ベトナム ベトナム ベトナム ベトナム 第1次 産業 35.9% 第2次 産業 19.0% 第3次 産業 45.1% インドネシア インドネシアインドネシア インドネシア 第1次 産業 36.7% 第2次 産業 28.7% 第3次 産業 34.6% (参考)中国 第1次 産業 40.9% 第2次 産業 19.4% 第3次 産業 39.6% タイ 第1次産業 3.6% 第2次 産業 24.4% 第3次 産業 72.0% (参考)日本 (参考)日本(参考)日本 (参考)日本

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最低賃金月給 (ルピ ア ) 最低賃金月給 (米ドル換算) 最低賃金月給 (ルピ ア ) 最低賃金月給 (米ドル換算) 2 0 0 6 年 8 1 9 , 1 0 0 9 1 8 2 4 , 0 2 6 9 2 2 0 1 3 年 2 , 2 0 0 , 0 0 0 2 2 1 2 , 1 0 0 , 0 0 0 2 1 1 上昇率 (2 0 0 5 →1 3 ) 2 6 8 .6 % 2 4 2 .1 % 2 5 4 .8 % 2 2 9 .7 % 最低賃金 (月) インドネシア 都市部(ジャカルタ ) 工業地帯(ブカシ県)

2-③

給与水準(最低賃金)

ベトナム、タイ、インドネシアともに、毎年賃金は上昇し続けています。 2006年から2013年までの最低賃金上昇率をみると、約2倍~2.5倍上昇しており、今後も上昇傾向にあ ると考えられます。 2013年の最低賃金(米ドル換算ベース)は、100米ドル前後から200米ドル強の水準であり、 日本と比較 すると、依然として低い水準です(約10%~20%)。 3カ国がこれまでの上昇率を維持したとしても、この先15年程度であれば、賃金面において依然として優位 性があると言えるでしょう。 最低賃金月給 (ドン) 最低賃金月給 (米ドル換算) 最低賃金月給 (ドン) 最低賃金月給 (米ドル換算) 2 0 0 6 年 8 7 0 , 0 0 0 5 4 7 9 0 , 0 0 0 4 9 2 0 1 3 年 2 , 3 5 0 , 0 0 0 1 1 1 2 , 1 0 0 , 0 0 0 9 9 上昇率 (2 0 0 6 →1 3 ) 2 7 0 .1 % 2 0 5 .6 % 2 6 5 .8 % 2 0 2 .3 % ベトナム 都市部(ハノ イ・第I地域) 工業地帯(タ ン・トゥア ン輸出加工区・第II地域) 最低賃金 (月) 最低賃金月給 (バーツ ) 最低賃金月給 (米ドル換算) 最低賃金月給 (バーツ ) 最低賃金月給 (米ドル換算) 2 0 0 6 年 3 , 6 8 0 1 0 2 3 , 1 0 0 8 6 2 0 1 3 年 6 , 0 0 0 1 9 3 5 , 2 8 0 1 7 0 上昇率 (2 0 0 6 →1 3 ) 1 6 3 .0 % 1 8 8 .9 % 1 7 0 .3 % 1 9 7 .3 % 最低賃金 (月) タ イ 都市部(バンコ ク) 工業地帯(ラーヨン) ※:2006年(2006/12末為替レートで算出)、 2013年(2013/7/1為替レートで算出) 出所:JETRO ※ ※ ※ ※ ※ ※ (参考)日本の最低賃金(2012年度) 104,860円* (1,052米ドル) (*:全国加重平均時間額(749円)×7×20)

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2-④

失業率

3カ国ともに過去5~10年で失業率は低減しています。 2011年でみれば、3カ国とも先進国と同等あるいは低い失業率となっており、ベトナム(3.6%、2011年)、 タイ(0.7%、2011年)に至っては、日本(4.6%、2011年)よりも低い水準です。 3カ国とも労働者を確保しづらい状況になってきていることが推測できます。 タイについては、余剰労働力がほぼないことを意味しており、労働力確保の目的で進出する際には、他の会 社・仕事から転職させるため、現地従業員の給料を水準より高めに設定しなければならないかもしれません。

出所:World Bank, World Development Indicator database ※ ※:2005年以前のデータは公表されていない 日本や他の先進国にお ける失業率(2011年) 日本 4.6% アメリカ 8.9% イギリス 8.1% フランス 9.3% ドイツ 5.9% ロシア 6.6% 3.6% 0.7% 6.6%

(16)

2-⑤

教育

教育の水準・質・内容は、当該国の将来を左右する重要な要素の一つであると同時に市場やビジネス戦略 を検討する上でも欠かすことのできない要素です。 下表の識字率、高等教育就学率、OECD諸国への海外留学生数から下記のことが言えます。 • 3カ国ともに高い識字率であり、海外進出時の労働力として活用できる可能性がある。 • ベトナムー高等教育就学率が圧倒的に低いため、現状では賃金を安くおさえることができる。 • タイー高等教育への就学率が他の2カ国よりも圧倒的に高く、優秀な人材を探すのは難しくないが、そ の分給与の高水準となる可能性がある。 • インドネシアー人口に対する海外留学者数が少なく、タイに比べて高等教育就学率が低いため、現地 で優秀な労働者を確保することは困難を伴う可能性が高い。 出所:ユネスコ 国名 %%%% ベトナム 92.8 タイ 94.1 インドネシア 92.0 (参考)日本 99.0 識字率 (2005年) 出所:国際連合 国名 %%%% ベトナム 9.7 タイ 45.0 インドネシア 23.5 (参考)日本 58.6 高等教育就学率 (2011年) OECD諸国*への海外留学生数 (2010年) 国名 人 ベトナム 45,038 タイ 24,725 インドネシア 26,853 (参考)日本 41.349 出所:OECD *:経済協力開発機構に加盟している国(34カ国) 主な加盟国:アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、日本、オーストラリア、メキシコ

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2.人材の視点:考察

人材の視点として、①人口構成、②労働人口、③教育水準、④給与水準、⑤失業率を見てきましたが、労働 力確保の視点から国別に整理すると以下のことが言えます。 ベトナム タイ インドネシア 労働力確保の視点から •現時点では賃金も低く、若年層 が人口に占める割合が高く、収 入の少ない第1次産業からの調 達も容易であることを考えると、 労働者確保は比較的容易だと思 われます。 •一方で、高等教育を受けている 人の割合が1割に満たないことか らも、高い技術を必要とする工場 には不向きといえます。 •労働集約型で単純労働がメイン の工場であれば、申し分のない環 境だといえますが、現地でマネ ジャーや技術者を調達するのは難 しく、かなり教育をする必要があ るでしょう。 労働力確保の視点から •高等教育を受けている人の割合 も高く、30代前後の働き盛りの 人口も多いことから、優れた働き 手の供給先と言えます。 •反面、失業率の低さ、給与水準 の高さを考えると、人材再調達の 難易度は高く、ベトナムやインドネ シアよりも人件費が高くなること は避けられそうにありません。 •とはいえ、日本よりも人件費が低 く、前述したとおり、タイ自体が優 良なマーケットであることから、あ る程度オートメーション化でき、少 人数で稼働できる工場を設置で きれば、輸送コストの削減につな がり、工場を設置するメリットもあ ると思います。 労働力確保の視点から •給与水準がベトナム、タイに比べ て高く、同程度の上昇率となって いることを考えると、海外進出の 大きなメリットである人件費削減 で、あまり効果が出ない可能性が あります。 •第2次産業に従事している人の 割合が低いため、熟練労働者の 確保に苦労する可能性もありま す。 •但し、人口が多く、10代、20代 の人口に占める割合が高く、失 業率が高いことを考えると、労働 力確保は難しくなさそうです。

(18)
(19)

3-①

情勢

政治・社会情勢全般については、現時点では比較的安定していると言えます。 但し、国毎に直面している課題(次頁)は存在しており、海外進出する際はそのリスクをどう捉えるかが重要 です。 ベトナム 政治形態 • 社会主義 政治・社会情勢 • 1986年の第6回党大会にて 採択された市場経済システム の導入と対外開放化を柱とし たドイモイ(刷新)路線を継続し ています。 タイ 政治形態 • 立憲君主制 政治・社会情勢 • 2006年から親タクシン派と反 タクシン派による対立を受け、 政治的な混乱が続いていたが、 2011年8月に就任したイン ラック首相の元、安定化しつつ あります。 • 2011年末に記録的な豪雨に よる洪水にみまわれ、甚大な 被害を受けました(被害額は約 3兆4000億円)。 インドネシア 政治形態 • 共和制に基づく大統領制 政治・社会情勢 • かつては、スカルノ大統領やス ハルト大統領といった独裁者を 生んだが、1998年以降は民 主化が進展し、立法、行政、司 法の権力分立を実現していま す。 • 東ティモール(2002年独立)、 アチェの独立運動は終息しまし た。

(20)

3-②

直面している課題

比較的に安定してきたとは言え、それぞれに直面している政治・社会課題があります。 それぞれの課題が今だけの話なのか、将来へのリスクとして捉えた方がよい話なのかを見極める必要があり ます。 今後のリスクとして見た方がよい課題は下記のとおりです。 ベトナム 1. 貿易赤字 • 2007年以降、貿易赤字が続 いている。ドル需要の高まりを 受け、物価の高騰を招いてい ます。 2. 金融引き締め • 2011年以降、金融引き締め 政策をとっており、企業は資金 調達に苦しみ、大型投資を行 いづらい環境にあります。 3. 貧富の拡大 • 急激な経済成長を遂げている 一方で、人口の7割を占める農 村の働き手はその恩恵を受け ていません。 タイ 1. 洪水対策の長期化 • 前述の2011年度末の洪水被 害からの復興に一定の目処が 経ったものの、洪水防止に向 けた取り組みは現在も実施中 (堤防建設、ダム建設等)。 2. 軍部の政治的影響力の増加 • 比較的に政治情勢は安定化し てきているものの、洪水対策の 初動の遅れが原因で、インラッ ク政権の人気が低下していま す。 • 逆に、洪水からの復興に一役 買った軍部への支持が高まっ ており、政治舞台における存在 感が増しています。 インドネシア 1. 汚職の蔓延 • ユドヨノ大統領、与党民主党を 巻き込んだ汚職事件が政権運 営にダメージを与えています。 2. テロ・海賊事件の発生 • テロ発生の頻度は落ちてきたも のの、2012/10にジャワ島で テロ計画が明らかになり、容疑 者が逮捕されるなど、鎮静化し たわけではありません。 • 近年、海賊事件が増加してお り、2012年に発生した件数は 世界最悪となっています。

(21)

3.政治・社会の視点:考察

政治・社会の視点で、①情勢、②直面している問題を見てきましたが、整理すると以下のことが言えます。 ベトナム タイ インドネシア 市場開拓/労働力確保 • 進出を控えなければならないほ どの大きな課題は今のところな さそうです。 • 但し、市場開拓・労働力確保の いずれの進出においても、金融 引き締め政策の動向には注視 していくべきです。今後の政策 如何では、個人消費や工場建 設コストに影響を与える可能性 があります。 • また、中国と同様、社会主義で ありながら、市場の自由化を 図っており、可能性は低いもの の、いつ「平等」と「自由」のバラ ンスが崩れるか見えない側面も あります。 市場開拓/労働力確保 • 進出を控えなければならないほ どの大きな課題は今のところな さそうです。 • ベトナム、インドネシアに比べて、 政治・社会は安定しているとい えます。 • しかし、洪水の発生リスクは常 に念頭においておくべきです。 • 現在、政府が進めている対策で どの程度の洪水に対処できるの か、進出する工業団地、商業圏 において、いつ、どの程度の対 策が施されるのかは、注意深く 監視した方がよいでしょう。 市場開拓/労働力確保 • 進出を控えなければならないほ どの大きな課題は今のところな さそうです。 • ただ、安定した経済成長を遂げ ている一方で、政治が不安定に なりつつあります。 • 治安も改善されたとは言い難い 状況が続いており、進出する地 域を見定める際には、過去のテ ロや海賊事故を調べた方がよい でしょう。

(22)

おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

冒頭にも記載した通り、本稿はベトナム・タイ・インドネシア編の前篇となります。

次回のレポートで残りの④外資政策・法規制の視点、⑤投資コスト(賃金・オフィスレンタル料・公共料金など) の視点を取り上げるとともに、本稿を含めて、全体として進出メリットがあるか、ないかをまとめる予定です。

参照

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