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『A 『B 鑑賞の授業法についてI

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(1)

鑑賞の授業法 につ いて I

‑「物語の創作を目的とした授業」と「旋律唱・リズム打ちを中心とした授業」の比較一

博幸*

秋 田大学教育文化学部

この論文 の 目的 は

,2

種類 の鑑賞 の実験授業 を行 ない, その結果 を比較,検証 す ること にある.小学校

3

年生 の

2

クラスを対象 に,「鍛冶屋 のポルカ」 (ヨーゼ フ ・シュ トラウス 作 曲) を聴 かせ た.一方 の クラスには,主 と して旋律唱, リズム打 ちのみを教 え, もう一 方 のクラスには,曲を聴 くことによ り,具体的な場面 を児童 にイメー ジさせ,物語 を作 ら せ た.

質問紙への両 クラスの回答 を比較 した ところ,音楽要素 の聴取 には差が見 られたが,曲 に対す る感情 (感 じ方) には差が見 られなか った.

音楽 の授業 において教師が曲をその形象的なイメー ジに関係づ けて扱 うのは,授業 を展 開 し易 いためであると考 え られ る.音楽 と形象的なイメー ジとは直接的な関係 はな く,育 楽 の授業 において,過度 に形象的なイメー ジを扱 うことは控 え るべ きである.

キーワー ド:音楽鑑賞,指導法,情景,実験授業

は じめに

小 ・中学校 の音楽 の授業 において は,形象的なイ メー ジと楽 曲を結 びつ けた り,物語 を創作 させ ると い う指導法 が広 く行 なわれている.例 を挙 げれば, ビバルデ ィ作曲の 「和声 とイ ンベ ンションの試 み」

1

集 「四季」 の 「春」 の第 1楽章 には① 「春が き た」,(参 「小鳥 たちは,春 にあいさつす る」,③ 「 は, そよ風 に優 しくささや きなが ら流 れ出す」,④

空 は暗 くな り,富 といなず まとが春 を告 げる」,⑤

「あ らしが静 ま った後,小鳥 たちは再 び美 しい調 べ で歌 い出す」, とい う短 い詩 がつ け られてい るが, この詩 と音楽 とを対応 させ,曲の部分毎 の情景 を想 像 しなが ら鑑賞す るとい う指導法が一般的 に行 なわ れ,中学校 1年生 の音楽科 の指導書 に もその指導例 が示 されて いる(1). また,音楽教育者 の研究会 な ど において も,楽曲 と情景 とを結 び付 けた り,楽曲を

2 0 0 5

1

2 4

日受理

ITe ac hi ngMus i cAppr e c i at i on‑Compar i ngaVi s ual i ‑ z at i onMe t hodandaSi ngi ngwi t hHands ‑ Cl appi ng Me t hod

*

Hi r oaki

KATSURA

,Fac ul t yofEduc a t i ona ndHuman St udi e s ,Aki t aUni v e r s i t y,Aki t a

聴 いて物語 を創作 させ るとい う指導法 は重要 なテー マのひ とっ にな ってお り,永 田尚子 は合唱曲 「口笛 吹 いて」 (

5

年生) の指導 につ いて, 「曲の気分 ・曲 か ら思 い浮かぶ情景 を 自由な発想で話 し合 った り書 いた りす る」

,

「映像的 にとらえたイメー ジを,音楽 の諸要素 か ら実際 に音楽表現を用 いた試行錯誤 によ る追及をす ることによって,子 どもたち自身のイメー ジに高 めて い く

‑ 」( 2

)と述 べ, 形象 的 なイメー ジを 音楽表現 に繋 げる指導法 につ いての実践報告 を して

いる.

こうした指導が広 く行 なわれているの は,小学校 学習指導要領 (音楽) には表現 の領域 の指導 に関 し て, 「歌詞 の表す情景 や気持 ちを想像 して表現す る こと」 とい う記述が,鑑賞 の領域 の指導 に関 して,

「日常 の生活 に関連 して,情景 を思 い浮 かべやす い 曲」 とい う記述 が あ り, また中学校学 習指導要 領 (音楽) には表現 の領域 の指導 に関 して

,

歌詞 の内 容や曲想 を感 じ取 って,歌唱表現 を工夫す ること」

とい う記述 のあることが影響 していると考え られ る.

しか し, 小学校学 習指導要領 の上記 の記述 は

1 ,2

年生 に関 してであ り, また,中学校学習指導要領 に は 「各学年 の

『 A

表現』 及 び

『 B

鑑賞』 の指導 に

(2)

当 って は,楽 曲の背景 にあ る文化 ・歴史 や他 の芸術 とのかかわ りな どにつ いて,必要 な範囲で触 れ るに とどめ ること」 とい う記述 も見 られ,学習指導要領 全体 と して は,音楽 と情景等 を結 び付 けた指導法 に つ いて は,軽 く触 れ られている程度 である.

それ に も関わ らず楽曲 と情景 とを過度 に結 び付 け た指導が行 なわれ る理 由 と して, こうした方法 によ れば,授業 の展 開が容易 にな るとい うことが考 え ら れ る.教師 は楽 曲の音楽的な内容 や演奏技術 にそれ 程,触 れ ることな く授業が展 開で き,学習 の導入や 動機付 けとして利用 しやす い. また,特定 の楽曲を 取 り上 げる教育 的な意 味や,児童 ・生徒 に身 に付 け させ るべ き具体 的な表現技術 につ いて言及す る必要 もな くな る. 「受 け手 (児 童 ・生 徒 ) の受 け内容 (教 師 の要求 を ど う理解 したか) が,多様 かっ暖味 であるよ うな要求 を している限 り,要求 に対す る送 り手 の確 か な基盤 は, 誰 か らも求 め られ な い」(

3 )

い うことである.

さ らに,音楽 に対す る個人 の感 じ方や思 いを重視 す るとい う,音楽科教育 の近年 の傾向 も影響 してい る ことも考え られ る.養老孟司 は 「意識 の世界 や心 の世界 に関 して は,感情であろ うが,理屈 であろ う が,共通 であることを前提 にす る以外 あ り得 ない」(4)

と述べているが,音楽科教育 は養老 の この考 え とは 逆 の立場 に立 って行 なわれて きてお り,形象的なイ メー ジと楽曲を結 びっ けた り,物語 を創作 させ ると い う指導法 は,近年 の音楽科教育 の中で は受 け入 れ 易 い指導法であると言 え る.

1

. 「形象的イメー ジの形成 を重視 した授業」 の問 題点

音楽科教育 にお いて, 「イ メー ジ」 とい う言葉 は

「情景」

,

具体像」, 「曲を聴 いた時 の感 じ方」, 「 語」 との関係 で使 われてい るが 5),筆者 の乏 しい経 験 に照 らしてみて も, 「形象 的 なイメー ジ」 や 「物 語」 を楽曲 と結 び付 けることに,教育的な意味 はそ れ程,兄 い出せないように患える.前記の ビバルディ 作 曲の 「四季」 につ いて述べ ると,中学校 の音楽 の 授業 において は殆 どの場合,情景 と関係づ けた指導 が されているに も関わ らず,筆者 が本学 で担 当 して いる授業 で受講生 に質問 してみて も, その ことを記 憶 して いる学生 は皆無 である. また, ビバルデ ィは

「四季」 と同 じよ うな様式 の曲を他 に も多数,作 曲 しているが,詩 の情景 を思 い浮かべ るのは 「四季」

を聴 く時のみに限 られ るとい うのは不 自然であ る.

それ は 「四季」 に限 った ことで はな く, 「形象 的 なイメー ジ」等 は,音楽的な体験 と して は記憶 され ず,断片化 された記憶 やイメー ジと して残 るの は, 身体 的な記憶 (演奏技術) と共 に,演奏 した場,居 合 わせた人 な ど,演奏脈絡 に関す ることであ ると言 え る.

1小 ・中学校で習った曲に付随する記憶 Aア 行事 (歌った (練習の)機会 .場所合唱コンク‑ル.卒業式 .集会)

1 1 21 7 . 7 %

イ 音楽o)授業 .音楽室

l l 1 . 7 %

ウ 歌った場所 .機会

5 2 8 . 2 %

エ 歌った季節 .気候

2 0 3 . 2 %

オ 当時の記憶

6 0 . 9 %

小計

2 0 13 1 . 8 %

Bカ 演奏していた人 ((居合わせた)人に関すること他のクラ女,友達等)

7 1 . 1 %

キ 共に (皆で)歌ったこと

3 8 6 . 0 %

ク 人の顔 .様子 .反応

2 6 4 . 1 %

ケ (担任 .音楽の)先生の記憶

2 6 4 . 1 %

コ 聴衆

7 1 . 1 %

小計

1 0 41 6

.4% Cサ 一体感をもつたこと.まとまったこと感情 .気持に関すること

5 0 . 8 %

シ 歌っていた時 (後)の感情 .気持 .

5 2 8 . 2 %

ス.頑張ったこと

1 3 2 . 1 %

セ 場の雰囲気

6 0 . 9 %

ソ 曲(旋律.リズムも含む)に対する好き嫌い

1 3 2 . 1 %

夕 難 しかつたこと .苦労 したこと

1 0 1 . 6 %

チ 賞賛 (受賞).叱責 .失敗

1 7 2 . 7 %

ツ 初めての体験 .新鮮さ

7 1 . 1 %

/J鳩十

1 2 31 9

.4%

D

テ 歌声,曲自体が聞える演奏 (練習)に関すること

3 0 . 5 %

ト 演奏の出来具合 (巧拙)

5 0 . 8 %

ナ ‑‑モニー .旋律 .声

1 7 2 . 7 %

こ (よく)歌った (練習 した) こと

5 1 8 . 1 %

ヌ 歌っている (練習 している)場面

6 0 . 9 %

ネ 歌に付随 した動作 .行為

1 6 2 . 5 %

ノ 演奉 .練習中の出来事

1 9 3 . 0 %

‑ 楽器の音

1 8 2 . 8 %

ヒ 注意 (指導)されたこと

5 0 . 8 %

小計

1 3 92 2 . 0 %

E歌 (フ 曲のイメージ.雰囲気 .印象曲)に関すること

1 7 2 . 7 %

へ 歌 (曲)の情景 歌詞の内容 .情景

1 7 2 . 7 %

ホ 歌詞の一部分

3 0 . 5 %

マ 曲の背景等について

3 0 . 5 %

ミ 曲の構成 .形式 .演奏形態

9 1 . 4 %

ム ジャンル .外国語の曲

6 0 . 9 %

小計

5 6 8 . 8 %

Fその他 10

1 . 6 %

(3)

本学部の学生 を対象 とした簡単 な調査結果か らも 同様の ことが言え,表

1

は,小 ・中学校の音楽の授 業で習 った曲の中か ら,特 に印象的な曲を

5

曲程度 挙 げ,それに付随す る印象的な記憶を書 くように指 示 した結果 をま とめた ものであ る.

6 1

人 の学生 が

1 31

曲,延べ

2 7 4

曲を挙 げたが,学生が箇条書 きした 内容を大 きく

4

つの項 目に分類 し, さらに

3 4

の項 目 に細分類 している.表 1の中で 「情景」や 「形象的 なイメージ」 に関す る項 目は,

E

の 「歌 (曲) に関 す ること」 の中の, への 「曲の情景 歌詞の内容 ・ 情景」が該当す るが,全体の割合 としては低 い. ま

,

「ドナ ドナ

,

「おぼろ月夜」

,

「グ リーン ・グリー ン」など,数曲に限 られてお り, これ らの曲は情景 や物語 と結 びっ けて教え易い曲である.

1

か らは,音楽 自体が独立 して記憶 されるとい うよりも,音楽が演奏 された状況が断片化 されて記 憶 され,その場合,人間関係の中で強い感情を伴 っ て経験 したことが,曲の中心的な記憶 として残 ると 言える.共通体験 によって形成 された音楽について の記憶が音楽行動の指標 とな り, これか らの自分の 行動の目標,及 びそこに至 るプロセスを示す ものに なると言えるのではないか.それゆえに,音楽を聴 いて情景を思 い浮かべさせた り,曲に対する個人の 思 いを膨 らませ るという指導 は,義務教育 において

は左程,教育的な意味を持たないと考え られ る.

2 .

日的

鑑賞の授業 において,「楽曲か ら場面 を想像 し, 物語 を創作 させ ることを目的 とした授業」 と

,

律唱 ・リズム打 ちを目的 とした授業」 を行 ない

,2

つの授業の結果を音楽面,及び 「曲に対する感 じ方」

の面か ら比較 し,形象的なイメージを形成 させたり, 物語の創作 を行なわせ る指導法の効果 について考察 す る.

3 .

方法

附属小学校

3

年生 の

2

クラスの生徒 を対象 に,

鍛冶屋のポルカ」 (ヨゼフ ・シュ トラウス作曲)杏 教材曲 として鑑賞の授業を行なった.授業時間は両 クラス共

6 5

分で,授業終了後,質問紙を配布 して回 答 させた.

授業者 は本学部 の学校教育課程 教科教育実践選 修 音楽教育講座 の

2

年次の学生で,筆者が担当 し ている 「音楽科教育実践法」の授業の一環 として行

ない,各 クラス4名ずっの学生が共同で授業を行なっ た.

「曲を聴 いて場面を想像 し,物語を創作 させ るこ とを目的 としたクラス」 (以下

,

物語 クラス」 と記

す) と

,

旋律唱 ・リズム打ちを目的 としたクラス」

(以下

,

音楽 クラス」 と記す)に対す る授業内容 は, 以下 の通 りである.

両 クラスに共通す る内容

・鍛冶屋,及び鍛冶屋の仕事 について,絵 と小 道具を用 いて簡単 に説明.

・授業の最初 と終わ りに,一曲を通 して鑑賞.

音楽 クラス」だけに指導 した内容

・作曲者 ヨゼフ ・シュ トラウスについての簡単 な説明.

・ピアノ伴奏で曲の始めの旋律を 「ラ」で何度 も歌 う.

・手 と膝 を使 った リズム打 ちを,

1

人,及 び

2

1組で行な う. また,奇数拍,偶数拍の両 方でできるようにする.

物語 クラス」だけに指導 した内容

・鍛冶屋になったっ もりで,曲に合わせて鍛冶 屋の仕事の動作をす る.

・曲を

5

つの部分 に分 け,部分毎 に

3

回聴 いて 思 い浮かんだ場面か ら,ひとっの物語を創作 す る.表

2

は,児童 に示 した例 と

,5

人の児 童が書 いた場面 (曲の部分)毎のイメージの 例である.

授業終了後,質問紙を配布 して 「授業 に対す る感 想」

,

「曲に対す る感 じ方」

,

旋律の記憶や リズム打 ち」等 に関 し,表

4

にあるようにアか らソまでの

1 5

の質問を用意 し,強 さの尺度 による4つの回答の中 か らひとっを選ばせた. たとえば,「今 日の授業 は 楽 しか ったですか,それともつまらなか ったですか」

という質問に対 しては,①っまらなか った,②少 し, つまらなか った,③少 し楽 しか った,④楽 しかった,

4

段階の回答か ら選ばせ,両 クラスの平均点を比 較す ると共 に,判別分析を用 いて両 クラスの違 いを 調べた. また,両 クラスの生徒 に鍛冶屋が仕事を し ている絵 を

5

分間で描かせた.

以上の実験 は,物語 と結びっ けて鑑賞の指導 した 方が児童の動機付 けに有効に働 き,授業がより楽 し

いと感 じ,また,鍛冶屋が仕事 を している絵 も丁寧 に書 くのではないか という予測の元 に行なった.

(4)

2

児童に示 した場面 (曲の部分)毎のイメージ、及び児童

( 5

人)による場面 (曲の部分)毎のイメージ

場 面

例 として 今日は王様の誕生日. 鍛冶屋さんは王様に, 鍛冶屋さんは,王様 鍛冶屋さんは,お城 みんなで王様の誕生 提示 した 町は朝か らとても賑 何か作 ってプ レゼン へのプレゼントをが に行 ってプ レゼント 日をお祝いしている.

物語 やか. 卜しようと考えた. んぼって作っている. を渡 した.

女児 今 日は町で鍛冶屋さ それを知 った鍛冶屋 焦 って叩いたり,刺 町のみんなは真剣に, そして,選ばれたのんの大会があります. さん達は急いでお店 をつ くったりと,み つ くった物を選びま は1人の若者でした.

みんな大慌て. に帰って,材料を持つ んな真面 目に叩いて した. そして,お祝いのパー

て来ました. います. ティーを しました.

女児 今 日は王様の誕生 日 鍛冶屋さんは大忙 し. 鍛冶屋さんは夜にな 鍛冶屋さんは夜にな みんなは王様にプ レ です.鍛冶屋さんは る前につ くらなけば る前につ くって王様 ゼントを渡 し,王様

何かをプレゼントしようと考えました. なりません. に渡 しました. ん.は嬉 しそう.みんなもパーティーが面白くて仕方がありませ

男児 鍛冶屋さんは鉄を探 鍛冶屋 さんは鉄を見 鉄を鍛冶屋さんが持つ 実は鉄の裏側にはア アヒルに気づいた鍛 Lに森に行 った. つけた. て行 った. ヒルが隠れていた. 冶屋さんは,アヒルをモデルにして色々な物をつ くった.

男児 明日はこの町の誕生 鍛冶屋さんは刀をつ 刀を日.みんな明日のた くつて飾 りをつ くろ と,頑張 っている. つずつ, ×字に重ね 町を祝 っている.み

4

つ,つ くろう 刀が

4

つで きて

,2

次の日,町の人達は めに一生懸命,準備している. うと考えた. て飾 りをつけた. んなは大はしゃぎ.

男児 鍛冶屋さんに最初の 鉄をかまどに入れて さあ,す ぐ包丁をつ どんどん包丁の形に さあ,これで完成だ.お客さんが来て大書 「まだかな, まだか くるぞ,お客さんが なってきたぞ. もう お客さんに渡せ.

4 .

結果 と考察

4 . 1

両群 の平均 点,及 び平均 点 の差

3

は両群 の平均点 と平均点 の差,及 び標準偏差 と標準偏差 の差 を示 した もので あ る.各質 問 内容 に 対 す る回答 は,否定 的 な回答 を

1

点 ,肯定 的 な回答

4

点 と したが, セの 「難 しい曲 と感 じるか, それ と も簡 単 な曲 に感 じるか」 とい う質 問 は, 「難 しい と感 じる」 を 1点 , 「簡単 に感 じる」 を

4

点 , と し た.

また両群 の 「平均点 の差」 に関 して は,分散分析 によ り有 意差 を検 定 し,P

<0 . 0 01

*

*

*

で,P<

0. 0 1

は **で,P

<0 . 0 5

は *で, 質 問 内容 の欄 に示 した.

各 質 問 に対 す る回答 の平 均 点 は概 ね高 く, アの

授業 は楽 しか った」, イの 「先生 の話 や説 明がわか っ た」, クの 「先生 の教 え方 は上手 だ った」, ケの 「こ の曲が好 き」 とい う項 目 も得点 が高 い ことか らも, 両 ク ラス共,学生 によ る授業 は好意 的 に受 け入 れ ら れ た と言 え る.

また, コの 「暗 い曲 と感 じるか, それ と も明 るい 曲 に感 じるか」, サ の 「退 屈 な曲 に感 じるか, それ とも楽 しい曲に感 じるか」, シの 「きれいなメロデ ィー

に感 じるか」, 「ス.心 が弾 んだ り,浮 き浮 きす る曲 に感 じるか」 な ど, 曲 の印象 につ いて は,両 ク ラス 共,平均点 が高 く,差 が生 じなか った.

全体 と して は各項 目の平均点が満点 に近 い中 にあ っ て, カの 「曲 の メ ロデ ィーを心 の中で歌 え るか ( い出せ るか

) 」

とい う質 問 に対 して は, 物 語 ク ラス の平 均 点 が

3. 1

と他 の質 問項 目 と比 べ る と低 く, ま た, セ の 「難 しい曲 と感 じるか (1点 ), それ と も 簡 単 な 曲 と感 じるか

( 4

)」

とい う質 問 に対 して ら, 音 楽 ク ラスの平 均 点 が

3. 1

点 , 物 語 ク ラスの平 均 点 が

2 . 9

点 とな って お り, 他 の質 問項 目 と比 べ, 旋律記憶 と曲の難易度 に関 わ る項 目の平 均点 が低 い

とい う結 果 とな った.

分散分析 の結果,両群 の回答 に有意差が あ るの は, カの 「曲 の メ ロデ ィーを心 の中で歌 え る (思 い出せ

)

」,キの 「同 じメ ロデ ィーの繰返 しに気がっ いた」, オの 「鍛 冶屋 の仕事 につ いて, よ くわか った」 とい う項 目で あ る. カの 「曲の メ ロデ ィーを心 の中で歌 え る (思 い出せ る

) 」

とい う項 目の平均点 の差 は

0 . 6

で あ り, これ は, 「音 楽 ク ラス」 の方 は ピア ノの伴 奏 に合 わせて旋律 を何度 も‑ ミング した り, リズ ム 打 ちを したためで あ る と考 え られ る.一方,音楽能 力 に関す る ことで あ って も, クの 「曲 に合 わせ て手

(5)

3

質問紙の内容、及び雨クラスの平均点とその差

質 問 内 容 平均音楽 平均物語 平均の差SD音楽 SD物語 SDの差 ア.授業 は楽 しかつた

3 . 9 3 . 9 0. 0 0 . 3 0. 3 0 . 0

ィ.先生の話や説明がわか った

3 . 8 3. 9 0 . 1 0

.4

0 . 3 ‑0 . 1

ウ.先生の教え方 は上手だった

4 . 0 3 . 8 ‑0 . 2 0. 2 0 . 6 0

.4 工.曲を聴いて,鍛冶屋が仕事を している様子が思い浮かんだ

3 . 6 3 . 7 0

.1

0 . 6 0. 7 0 . 1

オ.鍛冶屋の仕事 について,よくわか った

** 3 . 6 p3. 9 0 . 3 0 . 7 0 . 3 0. 5

カ.曲のメロディーを心の中で歌える (思い出せる) *

** 3 . 7 3 . 1 ‑0. 6 0 . 5 0 . 9 0 . 3

.「同 じメロディーの繰返 し」 に気がついた *

3 . 7 3 . 9 0. 3 0 . 6 0 . 2 ‑0

.4 ク.曲に合わせて手を打つ ことが出来た

3 . 7 3 . 7 ‑0

.1

0

.4

0 . 6 0 . 2

ケ. この曲が好 き

3 . 8 3. 7 ‑0 . 1 0 . 5 0 . 5 ‑0. 1

コ.「暗い曲」 と感 じるか,「明るい曲」 と感 じるか

3 . 8 3 . 9 0

.1

0

.4

0 . 5 0. 1

.「退屈な曲」 と感 じるか,「楽 しい曲」 と感 じるか

3 . 8 3 . 9 0

.1

0 . 6 0

.4

‑0 . 2

.「きれいなメロディー」 と感 じる

3 . 7 3 . 6 ‑0

.1

0 . 5 0 . 7 0 . 2

ス.「心が弾んだ り,浮 き浮 きする曲」 と感 じる

3 . 7 3 . 8 0 . 1 0 . 5 0 . 5 0. 0

.「難 しい曲」 と感 じるか,「簡単な曲」 と感 じるか

3. 1 2 . 9 ‑0. 2 0 . 7 1 . 0 0 . 2

ソ. この曲をまた聴いてみたいと思 う

3 . 7 3. 8 0. 1 0 . 6 0

.4

‑0 . 2

を打 っ ことが で きた」 とい う項 目に両 群 の差 が生 じ なか った の は

,3

年 生 に は難 しい技 術 で はなか った か らで はな いか と思 われ る.

キの 「同 じメ ロデ ィーの繰返 しに気 がっ いた」 と, オ の 「鍛 冶 屋 の仕 事 につ いて, よ くわ か った」 とい

う項 目に関 して は, 「物 語 ク ラス」 の方 が平 均 点 が 高 い とい う結果 にな って い るが, これ は 「物 語 ク ラ

ス」 は場 面 を想 像 して物 語 を作 るた め に

,5

つ に区 切 った曲 の部分 を, それ ぞれ

3

回聴 い たた めで あ る と推 測 され る. それ に対 して 「音楽 ク ラス」 の方 は 曲 の最 初 の部 分 だ けを何 度 も聴 き, また鍛 冶 屋 の仕 事 の真似 をす るな ど,鍛 冶屋 の仕 事 につ いて は, 授 業 の始 めで簡 単 に触 れ ただ けで,旋 律 をハ ミング し

た り リズ ム打 ち に中心 に授業 を行 ったか らで はな い か と考 え られ る.

両群 の回答 の平 均 点 が満点 に近 いので単 純 に比 較 す る こ とは出来 な いが, 「授 業 の楽 しさ」,及 び 「明 るい,暗 い」

,

好 き,嫌 い」

,

浮 き浮 きす る」 な ど, 曲 に対 す る印象 につ いて は予想 に反 して差 が生 じな か った. また, 児童 が描 いた 「鍛 冶 屋 が仕事 を して い る絵 」 を比 較 す る ことは難 しいが,絵 の精 密 さや 丁 寧 さの点 か らは,著 しい違 いが見 出せ なか った.

4. 2

判 別 分析 の結 果 よ り

判別分 析 によ り両 群 の差 を検定 した結果

,P<0 . 0 1

の水準 で両群 に差 が見 出 され,判別 的中率 は

7 5

.4パ ー セ ン トで あ った(6)

.表 4

の項 目で

F

値 が大 き く, 育 意 で あ る両群 の差 は, カの 「曲 の メ ロデ ィーを心 の 中で歌 え る」 とキの 「同 じメ ロデ ィーの繰 返 しに気 がつ いた」 であ り,演奏 や音 楽 に関す る内容 で あ る.

それ に対 して

,

「授 業 の楽 しさ」 や, 「明 るい曲 で あ る」, 「きれ いな旋 律 で あ る」 とい った曲 の感 じ方 に は差 が生 じなか った.両 群 の差 は演 奏 や音 楽 自体 に 関 す る もので あ り,両 ク ラス に対 す る指導 法 の違 い が影 響 して い る と考 え られ る. つ ま り, 「音 楽 ク ラ ス」 にお いて は旋 律 を何 度 も‑ ミング した り, リズ ム打 ち した結 果 が, ま た, 「物 語 ク ラス」 で は曲 を 区切 りなが らも全 曲 を何 度 も聴 いた結 果 が反 映 して い る と考 え られ る.

以上 の よ うに,判 別 分析 の結 果 か らは, 演 奏面 , 音 楽面 を除 いて両 群 の間 に大 きな差 は生 じなか った

と言 え る.

4 . 3

授 業 全体 につ いて の考察

情 景 や場面 を想 像 しなが ら聴 くことに よ って, 曲 に対 す る思 い, 感受 性 を深 め る」 とい う趣 旨の意 見 が よ く聞か れ るが, 今 回 の実験 授 業 か らは, そ の よ うな結 果 は導 き出 されず, 両群 の大 きな違 い は主 と して演 奏 (旋 律 の記 憶 ) と,音 楽 の形式 (旋 律 の 繰 り返 し) に関 す る ことで あ った. 曲 に付 随 した場

(6)

4 判別分析の結果

質 問 内 容 判別係数

F

P

判定

カ.曲のメロディーを心の中で歌える

1 . 9 7 7 2 0 5 1 9

10

. 4 9 8 2 5 0 . 0 01 9 9 6 [ * * ]

.

同 じメロディーの繰返 し」に気がついた

1 . 9 1 2 4 2 3 5 6. 1 0 2 7 4 4 0 . 01 6 5 1 3 [ * ]

ソ.この曲をまた聴いてみたいと思う

‑2 . 1 0 8 3 1 7 7 2 . 9 9 6 7 6 7 0 . 0 8 8 8 41 []

ウ.先生の教え方は上手だった

1 . 5 5 2 8 9 0 1 1 2 . 1 4 8 8 1 3 0 . 1 4 8 1 7 5 []

オ.鍛冶屋の仕事について,よくわかった

‑0. 9 3 9 3 9 3 8 1 . 6 5 5 7 2 1 0. 2 0 3 3 8 4 []

ィ.先生の話や説明がわかった

1 . 3 5 7 1 5 4 6 1 . 4 6 5 4 4 0 . 2 3 1 0 6 2 []

.

退屈な曲」と感 じるか

,

楽 しい曲」と感 じるか

1 . 4 6 8 2 6 0 0 5 1 . 2 4 2 7 4 8 0 . 2 6 9 6 2 []

.

心が弾んだり,浮き浮きする曲」と感 じる

1 . 1 5 7 9 1 1 9 1 . 1 7 8 2 2 0 . 2 8 2 2 8 8

[]

工.曲を聴いて,鍛冶屋が仕事をしている様子が思い浮かんだ

‑0. 7 9 4 7 7 7 0 . 9 5 4 9 2 3 0 . 3 3 2 5 9 9

[]

ア.授業は楽 しかつた

1 . 3 3 5 5 4 2 9 8 0 . 7 41 9 6 4 0. 3 9 2 6 4 2

[]

ケ.この曲が好き

1 . 1 0 8 3 4 5 9 5 0 . 7 2 0 7 4 2 0 . 3 9 9 4 5 2 []

ク.曲に合わせて手を打つことが出来た

‑0 . 4 7 6 41 4 0 . 3 5 7 8 6 3 0 . 5 5 2 0 6 5 []

.

「きれいなメロディ‑」と感 じる

‑0 . 4 3 8 9 4 4 0 . 3 4 2 9 7 2 0 . 5 6 0 4 31 []

.

難 しい曲」と感 じるか

,

簡単な曲」と感 じるか

0 . 1 2 9 0 7 7 8 1 0 . 0 9 3 9 6 9 0 . 7 6 0 3 0 8 []

面 を思 い浮かべた り,音楽 を聴 いて物語 を作 ること は,音楽経験 とは直接的な関係 を持 たない別 の行為 であ り,音楽 に対す る感情が分化,深化す るす るた めには,音楽 の様式感 を身 につ けた り,他者 と音楽 経験 を共有す ることが必要であると考 え られ る. ま た,児童 ・生徒が音楽 を聴 き, そ こか らあ る場面 や 情景 を思 い浮かべ るとい う行為 は,他者 と共有 で き ない個人 的な体験 であるばか りでな く,時間的な も の (音楽) と空間的な もの (場面) を統合す ること は難 しいので,教 え ることが非常 に困難 な ことで も ある.

鑑賞 の授業 において は,音楽 を聴 き取 る能力 を養 うことが重要 であるが, しか し, そのための指導 は 教師の側 に困難 を伴 うと共 に,児童 ・生徒 の動機づ け も難 しくな る.事実,今回の実験授業 を計画 した 時 も, 「物語 ク ラス」 の方 が容易 に指導案 を書 くこ とが出来, また授業 を行 う上での苦労 も少 なか った よ うに思 われ る. それに対 して 「音楽 クラス」 の方 は,教材資料 の収集 などに労力 を要 し,授業 中 も児 童 の関心 をひき続 けること,及 び授業 を引 き伸 ばす ことに苦労 して いた.音楽 と形象的なイメー ジとを 結 びつ けた指導 は,教師が授業 を構成す るためのひ とっの手段 と して用 い られている面 もあるので はな いだ ろ うか.

また,音楽科 の 目的,及 び音楽科 の授業 で扱 う曲

種 につ いては,必ず しも教師や音楽教育者 の間で合 意が成立 して いる訳 で はない. ひ とつの原理原則 の もとに音楽科 の授業 を構成す るな らば,特定 の曲を 教 え ることは自明の こととな り,授業 の導入 や児童 の動機付 けに意 を用 いることも少 な くなる.音楽 を 情景 や物語 と結 び付 ける指導法 は, そのよ うな理 由 か ら広 く行 なわれていると考 え られ る.

5 .

まとめ

今回の実験授業で は,質問紙への回答が高得点 に 偏 った嫌 いが あ り, また, 「鍛冶屋 の ポルカ」 とい う標題 のついた曲を鑑賞教材 に選んだが,次回 は回 答 に得点差が生 じるよ うな質問紙 を作成 し,絶対音 楽 を用 いて実験授業 を行 ないたい.

今回の実験授業 は学生 が行 な った ものであ り, ま

1

回だ けの実験授業 なので,単純 に結論づ けるこ とはで きないが,実験授業 の結果,及 びその考察 は 以下 のよ うにまとめ られ る.

両群 の差 は主 と して音楽 自体 に関す ることであ り,曲 に対す る感 じ方 につ いて は,差 は見 出せな か った.形象的な場面 を思 い浮かべ ることと,普 楽 を聴 くことは別 の行為であると推測 され る.

特 に鑑賞 の指導 において は形象的なイメー ジに 触 れず に様式や演奏 な ど,音楽 に関す る内容 のみ を教 え ることに教師 は困難 を感 じる.物語 を結 び

(7)

つ ける指導 は,授業 を構成す るための教 師の方策 とい う側面があ るので はないか.

教師 は情景 や歌詞 の内容 な ど,形象的なイメー ジと楽 曲 とを結 びっ けた指導 を行 わざるを得 ない 面が あるが,授業 を促進す るための方策 と して利 用 し,過度 に重視すべ きことで はないと考え る.

注及び参考文献

(1)現行 の学習指導要領 (音楽) に改定 され る以前 は,「春」 は鑑賞 の共通教材だ った.

( 2 )

永 田尚子 表現 におけるイメー ジの働 き」 本学校音楽教育研究会紀要 学校音楽教育研究』

3

8 5‑87

1 9 9 9

年.

( 3 )

桂博章 ・鈴木敏朗 音楽教育 の問題点

田大学教育学部教育工学研究報告』 第

1 5

51‑

5 9

1 9 9 3

年.

( 4 )

養老孟司 『バ カの壁』 (新潮新書) 新潮社

2 0 0 3

年.

( 5 )

2

の 『学校音楽教育研究』 の第

1

巻か ら第

5

( 1 9 97‑2 0 01

年) の掲載論文か ら 「イメー ジ」

とい う言葉 の使 われ方 を調べた.

(6)解析 には, エス ミ社 の

「 Exc e l

多変量解析

Ve r.

4. 0 」

を使用 した.

Summar y

Thepr e s e ntpape ri sar e po r toft her e s e a r c h i nv e s t i gat i nge f f e c t soft wome t hodso ft e ac hi ng s t ude nt sho w t oappr e c i at ec l as s i c almus i c .A v i s ual i z at i onme t hodas ke ds t ude nt st ovi s ual i z e t hes c e newhi l el i s t e ni ngt ot hemus i c ,whi l ea s i ngi ng‑ and‑ hands ‑ C l appi ngme t hodwast heo ne i nwhi c hs t ude nt ss anga ndc l appe dha ndst ot he mus i c .Thet a r ge tmus i cs t ude nt sl i s t e ne dt oi n t hi ss t udywasBl ac ks mi t h■ sPo l kac o mpo s e dby Jo s e fSt r aus s . Ther e s ul t soft heanal ys i sofque s ‑ t i onnai r e ss howe dt hatt he r ewasi nde e das i gni f i ‑ c antdi f f e r e nc ei nt hede gr e eofunde r s t andi ngt he t une sando r gani z at i ono ft hemus i cbe t we e nt he t wome t hods . Howe ve r, t he r ewasnodi f f e r e nc ei n e mot i onali nv ol v e me ntbe t we e nt het wogr oups . Bas e dont he s er e s ul t s ,t hepape rc o nc l ude sby s ugge s t i ng t hatav i s ua l i z at i on me t hodi snot al waysase f f e c t i v easma nymus i ct e ac he r smi ght e xpe

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,

Sc e ne s ,Expe r i me nt alLe s s ons

( Re c e i v e dJanuar y2 4,2 0 0 5 )

表 2 児童に示 した場面 ( 曲の部分)毎のイメージ、及び児童 ( 5 人)による場面 ( 曲の部分)毎のイメージ 場 面 ① ② ③ ④ ⑤ 例 として 今日は王様の誕生日
表 3 質問紙の内容、及び雨クラスの平均点とその差 質 問 内 容 平均音楽 平均物語 平均の差 SD音楽 SD物語 SDの差 ア.授業 は楽 しかつた 3 . 9 3
表 4 判別分析の結果 質 問 内 容 判別係数 F 値 P 値 判定 カ.曲のメロディーを心の中で歌える 1 . 9 7 7 2 0 5 1 9 1 0 . 4 9 8 2 5 0

参照

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