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〜学生 の 自己評価 の変化 と感想 をふまえて〜

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研究報告 :秋田大学医学部保健学科紀要 1 3( 1 ): 7 2 ‑8 2 ,2 0 0 5

臨床実習前後 における事例提示 を用 いたワー クシ ョップ形式の授業の試み

〜学生 の 自己評価 の変化 と感想 をふまえて〜

一 子 男 智 恵 奈 孝

橋 井 浅

高 石 湯 恵 和 夫

谷 良 和

軽 井 友

津 石 大 志 治 嗣

隆 正 喜

川 城 山

石 金 新

要 ヒ 日 ユ

臨床実習前に実践能力を学生に身につけさせるためにワークショップ形式の授業を行った.また,実習後にも同様 の授業を行い,その変化を見た.さらに,実習前後を比較 して自己評価と感想記述を行ってもらった.その結果,す べてのグループは実習前に比べて実習後のほうが活発な討議を行 っていた. しか し,発表内容や自己評価については 実習前よりも低い結果を示すグループがあった.この要因として,学生が実習経験で得た知識をうまく整理 してまと めることができなかったためと,メンバー構成や特定のシナリオ提示方法の影響があったことなどが考えられた.

今後 も,今回の結果をふまえて,同様の形式の授業を行い,学生に能動的学習や問題解決の機会を提供 していきた いと考える.

Ⅰ. は じめ に

本学作業療法学科 において は, 3 年次 に身体障害, 精神障害,発達 あるいは老年期障害 の 3 領域,各 8 週 間の臨床実習 を行 っている.臨床実習 において,学生 は学 内で学 んだ知識 や技術 を実際に臨床場面で対象者 に適用 し,情報収集 か ら治療計画実施 までのプロセス を経験す るが,臨床実習終了後 L に,学生 や臨床実習指 導者 か らは, 「もう少 し学校 で実践的 な知識 ・技術 を 習 いたか った」,「 具体的な作業療法治療 の流 れがっか めるよ うな授業 を行 って ほ しい」 などの意見 や感想が 毎年 のよ うに聞かれ る.学 内における臨床実習前 の授 業 において, その様 な意見 や要望 を踏 まえて,各教員 もそれぞれの授業 の中でで きるだけ具体 的に作業療法 の流れをイメー ジで きるよ うな工夫 を行 って きて はい るが, そのよ うな教育 ニーズに応 じてい く努力 は常 に 必要であろ う.

筆頭著者 ( 以下,著者) も臨床 において学生 を指導

秋田大学医学部保健学科作業療法学専攻

した経験 を持っが, や は り,養成校 に対 して学生が臨 床場面 で戸惑 わないよ うに,臨床実習前 に もう少 し具 体的な知識や技術 を習得す る機会 や作業療法 の流れを 自 ら組 み立て る能力 をっ けて きて は しい, もしくはそ の経験 を増や してか ら実習 に望んで ほ しいとい う苛兄 を持 っていた.

今回,臨床実習前 の 3 年生学生 に対 して授業 をす る 機会が あ ったので,臨床実習前 に具体的な一連 の作業 療法 プ ロセスを自ら考 え,組み立て る経験を とお して, 学生が実習 に必要 と思 われ る様 々な能力 を身 につ ける

させ る目的で,著者が実際 に経験 した症例 の情報 を元 に作成 した事例 の シナ リオを提示 して ワークショップ 形式 の授業 ( 実習前授業) を行 った. さ らに,実習 を 終 えた学生が実習 を経験す ることによ り, どのよ うな 能力が どの程度変化 したかを知 り,学生 自身 に も自己 の能力 の変化 や今後 の課題 に気づ いて もらう目的で, 3 期 の臨床実習終了後 に も同 じ形式 の授業 ( 実習後授 莱) を行 った. また,実習後授業終了後 に この授業 の

Ke yWo r d s : 臨床実習 授業 事例

ワークショ/ ツプ

(2)

高橋恵一/臨床実習前後 における事例提 示を開いた ワークショップ形式の授業の試み

学習課題 に対す る実習前後 の学生 による自己評価 と, 臨床実習 を経験 しての変化 について感想 を得 たので, それ らの結果 をふまえ,今回の実習前後 の授業の試み について若干 の考察を加えて報告す る.

Ⅱ.対象 と方法

本学作業療法学科学生 1 9 名 を対象 とした.実習前授 業 は平成 1 6 年 4 月 7 日に,情報収集か ら評価,治療計 画の立案 ・実施 までの流れを学ぶ作業治療学実習の一 部 として実施 した. また,実習後授業 は平成 1 6 年 1 2 月 2 2 日に行 った. 1 9 名 の学生 は,出席番号順 に 5 名ずっ

4 グループに分 けた ( 1 グループのみ 4 名).

この 4 グループに対 し,学生 によ り具体的に作業療 法の内容をイメージして もらえるように,教員 ( 著者) が経験 した発達障害領域 の症例を シナ リオ ( 資料 1 ,

2 )で提示 し, グループ内で 目標の設定,必要 な評価 の 選 択 , I CF ( I nt e r nat i onal Cl as s i f i c at i on of Func t i o ni ng,Di s abi l i t ya ndHe al t h; 国際機能分類)

による生活構造の評価,治療 プログラムまでを討議 し, その内容 を模造紙 に書 いて発表す る課題 を提示 した.

また, グループ内で司会,書記,発表者 の役割を決め, 課題 を進 めてい くことと した.

情報収集 も模擬的に行わせ るために, シナ リオを読 んで担当ス タッフや他部門 スタッフか らの情報が必要 な場合 は教員が他部門スタッフの役割 を演 じて質問 に 対応す ることと した.作業療法計画を立案す るうえで 必要 となるべ き情報 の一部 は意図的に提示せず,学生 か らの主体的な働 きか けを待 った. ワークショップの 時間配分 はグループ内討議 4 5 分,発表 1 グループあた り 5 分 と設定 し,各 グループの発表後,質疑応答 の時 間 も 5 分設 けた.授業終了後 には総評を行 った ( 図 1) . また, この授業の様子 は VTR に収録 した.

オリエンテーション

↓ 症 例 提 示

I

グループディスカッショ

ンLl

情報収集

↓ ポスター作成

発 表

疑 応 答

(各 グル ープ

5 分) (5 分) ( 1 0 分) 図 1 授業の流れと時間配分

秋田大学医学部保健学科紀要 第

1 3

巻 第

1 号

(73)

症例の シナ リオは実習前後で異な った症例 を提示 し た.実習前授業で は学生が問題点の把握や治療計画立 案 において比較的症例 をイメー ジしやす く,授業で も 取 り上 げた ことのある運動障害の評価 と治療が中心 と なるよ うな脳性麻棒の症例 を,実習後授業 は 3 期 の実 習を経験 した ことで学生 の課題 に対す る問題解決能力 や対象者の生活構造を理解す る考察力が向上 している ことを期待 し,運動面だけで はな く,認知面 を加 えた よ り多面的な視点か ら症例の生活構造 をイメージし, 評価 と治療計画をす ることが要求 され る精神発達遅滞 の症例 を提示 した.

実習後の授業終了後 には,実習前後で学生が 自 らの 能力の変化 をどのよ うにとらえているかを知 ること, 実習経験後であって も,学生が不十分 と感 じる点 を明 らかにす ることによ り,実習前 の学 内授業 の内容 や方 法を検討するための一助 として,質問紙によるアンケー トを実施 した ( 資料 3 ). ア ンケー ト実施対象者 は臨 床実習 を修了 した 3 年生 1 8 名で,授業終了後 に実習前 授業 における討議風景 と発表時の VTR を見せ, 自分 のグループの発表内容 に関す る 8 項 目の質問に対 して 実習前 と実習後 の両方 を学生個人 ごとに自己評価 させ た. さ らに実習前後 を通 して 自分 自身の変化 について の感想 を自由記述 にて記載 させた.

自己評価得点 に関す る統計学的分析 は,実習前授業 の評価 と実習後授業の評価 をそれぞれの授業終了後 に 行 えなか った ことと,実習前授業 の 自己評価 は VTR によ り行 った ことか ら,前後の比較 は自己評価得点 を 基本統計量で示すのにとどめ,実習後の各質問に対す るグループ間の比較 は Kr us ka1 ‑ Wal l i s検定 を行 い, ′ 下位検定 は Ma nn‑ Whi t ne y 検定 を行 った.有意水準

は 5% とした.

実習 を通 した学生 の変化 に関す る自由記述部分 につ いての分析 は, KJ 法 によるカテゴ リー抽出を行 った.

1 8 名の学生の記述か ら得 られた感想 や意見 は,一文 に つ き一つの意味 にな るよ う抽 出 し, KJ 法 のプ ロセス に従 ってカテゴ リーを決定 した.抽 出作業 には 5 名の 教員が関わ ることによ り,抽出作業 やカテゴ リー化 に 際 して,妥当性 を維持す るよ うに努 めた.

Ⅲ.結 果

1 .授業経過 と内容 1 )実習前授業

討議 はどのグループ も概ね活発 に行われていた が,一部のグループでは討議に参加で きない者 も いた.討議中における情報収集 は 1 グループか ら 1 つのみ質問があ っただけであ った. また,すべ

73

(3)

( 7 4 ) 高橋恵一/臨床実習前後 における事例提示を用いたワークショップ形式 の授業の試み

てのグループが指定 した時間内に発表原稿 を作成 で きなか ったため, 1 5 分討議時間を延長 したが, それで も完成 で きず, さ らに 1 5 分延長す ることに よ り,すべてのグループが発表原稿 を完成 させ る ことがで きた.

発表 は 1 グループか ら順 に行 い,各 グループの 発表が終 わ るごとに他 の グループの学生 か ら意見 質問を受 けた.教員 も意見質問を行 い,全 グルー プ発表後 に総評 した.発表 グループに対す る学生 か らの質問意見 は少 な く,教員 か らの促 しが必要 であ った.発表内容 についてはどの グループ も目 標 の設定や期間, 目標達成 の指標 とな るべ き活動 内容 に具体性がない ものが多か った.評価項 目の 選択 は標準化 されたテス トバ ッテ リーを多数列挙 す る傾 向にあ り, 目標 に準拠 した動作分析等 を選 択す るグループは少 ない印象 を受 けた.

教員 による総評で は, 目標や期間の設定が現実 的で はない こと,治療 プ ログラムの活動 の選択 の 際 に考慮 され るべ き症例 の好 きな遊 びなどの情報 収集が行 われてお らず,提供 したい運動要素 と症 例 の興 味を合致 させて立案 されたプ ログラムで は なか った こと, また, シナ リオに述べ られている 現象面 に対 してのみの治療 プログラムが多 く,教 員が期待 したそれ らの根本的な原因 に対す るプ ロ

グラム,例 えば運動 を阻害 している姿勢筋緊張 に 対す るアプ ローチが立案 されていない ことなど, 主 に治療計画立案の不十分 な点 に関 して フィー ド バ ックを行 い授業 を終了 した.

2 )実習後授業

討議場面 の観察か らグループ内での意見交換 は 前回よ りも活発であ り,情事削文集場面では各 グル・ ‑ プか らプ ログラム立案等 に必要 と思 われ る情事削こ 関す る質問が複数挙が った.

しか し実習前 と比較 して発表内容がまとま らず, 発表原稿作成作業 に多 くの時間を費や し,実習前

と同様 に指定 の時間内に全ての グループが発表原 稿 を完成 させ ることがで きず,討議時間 1 5 分延長 を 2 度行 った. その結果, 4 グループ中 3 グル・ ‑ プが完成 す ることがで き,完成 した グループ順 に 発表 を開始 した.未完成 の グループにはやむを得 ず,他 グループ発表中 も作業 を継続 す ることを許 可 した.

各 グループの発表 に対す る意見 や質問 は教員 の 介入 な しで も積極的 に行 われてお り,質 問に対 し て発表者 は適切 と思 われ る応答 を行 っていた.発 表 内容 に関 して は全体 を通 して実習前 よ りも内容

が不足 していると思われ るグループが多か ったが, 中 には教員が想定 した 目標,評価, プ ログラムと 類似 しているグループ もあ り, グループ間で内容 に差がある印象 を受 けた. また,治療 プ ログラム で は実習前 と比較 して,設定 した 目標 に準拠 した プ ログラムが挙 げ られていたが,具体 的な場面 設 定 や段階付 けを考慮す るまで には至 っていない印 象 を受 けた.表 1 に実習後,発表 内容 が不足 して い る印象 を受 けたグループの例 と して 2 グループ の,実習後 の発表内容が充実 している印象 を受 け た グループの例 と して 4 グループの実習前後 にお ける発表紙面 内容 による比較 を示す.

2. 学生 自己評価得点

8 項 目の質問 に対 す る各 グループの 自己評価 を得点 化 し合計点 を表 2 に示 した. 1 グループ と 2 グルー プ は実習前 よ りも実習後 の方 を低 く評価 し, 3 グループ と 4 グループは実習前 よ りも実習後 の ほうを高 く評価 していた.

実 習 後 の 自己評 価 につ いて グル ー プ間 の比 較 を Kr us ka1 ‑ Wal l i s検定 で 行 っ た. その結果, グル ープ 間 において有意差 ( p‑0 . 0 0 7 )が認 め られたため,各 グループ間の比較 を Ma nn‑ Whi t ne y 検定 で行 った.

その結果, 1 グループ と 3 グループ との問 に, また, 2 グループと 3 グループ, 4 グループ との間 にそれぞ れ有意 差 が認 め られ, 1 グル ⊥プ よ りも 3 グル ープ ( p‑0 . 0 2 5 ) , 2 グループよ りも 3 グループ ( p‑0. 0 0 9 ) ,

4 グル ープ ( p‑0 . 0 1 6 ) が有意 に点数が高か った ( 義 3) .

3. 自由記述感想のカテゴ リー化

学生 1 8 名の 自由記述 か ら得 られた感想か ら 6 7 語が抽 出され, 1 5 のカテ ゴ リーに分類 され, それ らはさ らに 次 の 6 つの大 カテゴ リーに分類 され た ( 表 4) .

①実習後 に作業療法士 に必要 と思 われ る能力が身 に つ いた と表現 してい るもの ( 症例 のイメー ジを浮かべ なが ら目標 を立 て られ るよ うにな った, 評価項 目や I CF などを的を絞 って まとめ ることがで きた, など 2 2 項 目),

②実習 を経験 して きたのに もかかわ らず,思 ったよ りも課題 を遂行で きなか った と表現 しているもの ( 必 要 な情報 を得 ることは不十分 なままであ った,細 かす ぎて全体 で見落 とす ことがあ り反省点 とな った, あま りに も追求 しす ぎて ま とま らなか った, など 1 8 項 目),

③授業 によ って問題解決 のためのスキルが身 につ い

た と表現 しているもの ( 実習前 に比 べ ると個 々の意見

が出 ることが多 くな った,現実性が増 した, など 1 7 項

(4)

高橋恵一/臨床実習前後 にお ける事 例提 示を用 いた ワー クシ ョップ形式 の授業 の試 み

1

実習前後 の発表 内容の比較

(2

,

4

グループ)

(75)

2

グループ

実 習

実 習 後

長 期 目 標 座位 にて上衣脱衣 自立 他者 に ジェスチ ャーで 自分 の意志 を伝 え る ことがで き る ( 小学校卒業 まで)

短 期 目 標 ①静 的座位30 分可能 お もち ゃが欲 しい ときに 「ち ょうだ い」 がで きるよ う

②両肘 で体重 を支持 して両上肢 を襟 まで もって い く にな る ( 2 学期)

③片手 支持 で動 的座位 バ ラ ンスが安定

評価 ・検 査 立 ち直 り反応,原始反射,筋緊張,行動観察

,STE

P, 行動観察,発達検査,母親 か らの情報収集,他部 門か

A.ROM‑T

,情報収集 らの情報収集

i C F

(心身機能/構造)

肯定 :言語理解 は年齢相応

否定 :①書字時,左肩 甲帯 の後退,左上肢 の屈曲パ ター ンの出現

②両手操作 時,両下肢伸展 パ ター ン著明

肯定 :社会性 の概念 に欠 ける 否定 :

(活 動)

肯定 :①支持 あ りで とん び座 り可

②右上肢 で鉛筆把持可,左上肢 で紙押 さえ可

③車椅子移動 自立 否定 :椅子座位 で耐久性 が ない

肯定 :

ADLにおいて可能 な部分 が あ る

否定 :

ADLにお いて促 し ・介助 が必要 で あ る

(参 加)

肯定 :肢体不 自由 クラスに在席 肯定 :母親 にはわか る有意 味語 が あ る

否定 : 否定 :①母親 に しか分 か らない ジェスチ ャー

②他児 との関わ りを持 と うと しない ( 環境 因子) ①学校 に段差 あ り クラスメイ トが一人 で重度 の

MR

② マ ンツーマ ンの指導 で はない

( 個人 因子) 性格 人 に興 味 を示 さない

治療 プ ログ ラム (

彰TV

アニ メ :椅子座位 で両上肢 を机上 に乗 せ て3

0

間TV

を見 る

②洗濯 ば さみ ・輪 :首 まわ りに洗濯 バサ ミをっ け,両 肘 で体重支持 しなが らはずす.輪 も同様

③ お もち ゃで遊 ぶ

片手 で体重支持 しなが らお もち ゃで遊 ぶ

①遊具 ・玩具 を使用 した遊 びの際 にち ょうだ いの ジェ スチ ャーを取 り入 れ る

4 グループ

実 習

実 習 後

長 期 目 標 ①書字 能力 の向上 自力で更衣動作 が可能 とな る (

1

年 間)

②更衣 の 自立

短 期 目 標 ①座位 の耐久性 の向上 ①着衣 の表裏 ・前後 がわか る

②姿勢 保持 の確立 ② ボ タ ンがか け られ るよ うにな る

③身 だ しなみを整 え られ るよ うにな る 評価 ・検 査 行動観 察,

MMT

,握力,反射,知能検査

ROM‑T

,色 の識別,姿勢

,Pinch

, バ ラ ンス

i C F

肯定 : 肯定 :

grasp,release

可能

(

心身機能/構造)

否定 :①左肩 甲帯 の後退,左上肢 の屈 曲パ ター ン 否定 :バ ラ ンス能力低下,巧撤性低下

②車椅子両手操作 時下肢伸展パ ター ン出現

(活 動)

肯定 :①床上 での腹 ば い移動 が可能

②学校 で車椅子 によ る移動 が 自立 否定 :①支持 な し立位 ・歩行 四つ這 いが不可能

②長 時間 の座位 で体幹 が左 に傾 く

肯定 :助 けを求 め ることが可能 否定 :( 丑着衣 の表裏 ・前後 が違 う

②裾 がでて い る

③ ボ タ ンの服 が着 れ ない

(参 加)

肯定 : 肯定 :

否定 : 否定 :社会性 の概念 に欠 けて い る

( 環境 因子) ( 彰学校 の玄関 ・体育館 に段差 あ り ( 個人 因子) 性格が頑固

治療 プ ログ ラム ①様 々な大 きさの ビーズ通 し‑実際 に服 を用 いての ボ

タ ンのか けはず し

②服 に印をっ けて表裏 ・前後 を理解 す る

③着 る順番 を示 した絵 を提示 して順番 を理解 す る

秋 田大学 医学部保健学科紀要 第 1 3 巻 第 1 号

75

(5)

( 7 6 ) 高橋恵一/臨床実習前後における事例提示を用いたワークショップ形式の授業の試み

表 2 実習前 ・後の授業における各グループの自己評価得点

1 グループ( 3 名) 2 グループ( 5 名) 3 グループ( 5 名 ) 4 グループ( 5 名) 質問項 目 実習前 実習後 実習前 実習後 実習前 実習後 実習前 実習後 1 現実的な目標が立て られていたか 8

2 具体的な目標が立て られていたか 9 3 問題点を確認するために必要な評

価項 目を適切に選択できたか 4 対象者 の生活構造 を I C F に当て

はめて整理することができたか 5 プログラムは目標達成のために効

果的なものを立案できたか

6 1 4 1 1 1 3 1 5 1 0 1 4 6 1 4 1 1 1 3 1 7 1 0 1 5 1 2 1 0 1 5 1 7 1 1 1 3

1 3 1 1 1 3 1 6 1 2 1 6

1 2 1 1 1 1 1 4 1 0 1 5

6 プログラムはその進め方,援助, 環境設定,道具の工夫など対象者 の特性に合わせた具体的な部分ま で計画されていたか

7 発表内容は他者にイメージされや すい記述ができていたか

8 発表を他者に理解されるよう口頭 で適切に行 うことができていたか

t o t a1 6 2

1 3 9 1 1 1 2 1 2 1 4

1 2 8 1 3 1 3

10

1 2

1 2 1 1 1 4 1 6 1 1 1 3

5 1 1 0 2 8 2 1 0 3 1 2 0 8 6 1 0 2

表 3 グループ間の比較検定結果

1 グループ 2 グループ 3 グループ 4 グループ

1 グループ ns * ns

2 グループ * * * *

3 グループ ns

4 グループ ns

*

:▲pく

0 . 0 5 , * *:

p

<0. 0 1

冒),

④実習 の前後 で討議 や発表 の内容 の乏 しさを実感 し ていることを表現 した もの ( 記述内容が今回 は乏 しか っ た,実習前 は各 メ ンバ ーの発言数 は少 なか った, な ど

4 項 目),

⑤様 々な事柄が課題が うま く遂行で きない原因 とな っ た と表現 して い る もの ( 時 間が な くな る と思 い,焦 っ た ことが関係 して い る,小 児領域 とい うだ けで構 えて しまい戸惑 った ことは実習前 とかわ らなか った, な ど

3 項 目),

⑥授業 を とお して興 味 や関心 がわ き,今後 の課題 を 指摘 して い る表現 を して い る もの ( 小児 で知識 の足 り な い ところが あ ったので ほか の領域 での検討 もや って み たい,実習前後 の変化 を見 る ことがで きてお も しろ い授業 だ った, な ど 3 項 目) で あ った.

Ⅳ. 考 察 一

1 .実 習前後 の学生 の変化 につ いて

授業計 画立案 当初,著者 は実習後 の授業 で は実習前

に比 べ て,討議 内容 は活発化 し,発表 内容 も充実 した

もの とな り, それ に対 す る意 見 や質 問 も多 くあが る こ

とを予想 して いた. それ は実習前授業 が実習 を 目前 と

した学生 に臨床 に必要 な実践力 を身 につ けさせ る目的

で あ ったのに対 して,実習後授業 は 3 期 の実習 を通 し

て臨床 的 な実践 を経験 し, 当然 なが らその スキル は向

上 して い るで あ ろ うと考 え た こと, またそれ らの変化

を教員 お よび学生 自身 が認識 で きる と考 え たか らで あ

る.実 際,実習後 の授業 にお いて グループの討議場面

を観察 す ると,実習前 に比 べて活発 な意見交換, 自信

に満 ちた発言,実習経 験 か ら述 べ られ る考 えのや りと

りな どが行 われて いた. また,発表 に対 す る意見 や質

問 も実 習前 とは異 な り, その発表 に対 して生 じた 自分

の疑 問 や矛盾 を素 直 に と らえ, 自分 の考 え との相違点

につ いて興味 や関心 を示 して い る と思 われ る ものが多

か った. しか し発表 内容 に関 して は予想 に反 して実習

前 よ りも内容 の不足 して い るグル ープ, も しくは シナ

リオか ら設定 すべ き目標 や プ ログ ラム と して はあま り

適切 で はない内容 とな った グル ープが あ った.授業後

に実施 したア ンケー トの 自己評価得 点 をみ る と, これ

らの グル ープの学生 は実習前 よ りも低 く評価 して い る

(6)

高橋恵一/臨床実習前後 における事例提示を用 いたワー クショップ形式の授業の試 み

表 4 自由記述感想のカテゴ リー化 大 カテゴ リー① 実習後 は作業療法士 に必要な能力が身 についた ( 2 2 )

中カテゴ リー 記述数 内 容

( 7 7 )

必要 な情報 を適切 に選択 し, ま

6

とめることがで きるよ うにな っ

適切 な評価項 目や問題点を選択で きるようにな った (

2)

発表内容を的を絞 ってまとめることがで きるよ うにな った (

2)

問題点 の中か ら問題 を絞れ るよ うにな った (1)

焦点 を絞 って考えることがで きるよ うにな った (1) 自己の能力,知識,技術が向上 7 自分 の能力 に気づ けるようにな った ( 3)

した 知識が増え,技術が向上 した (

3)

知識 を具体的に臨床 の場で活かす ことがで きるよ うにな った (1) 適切 に治療計画 までの課題 を遂

6

適切 な目標 をたて ることがで きるようにな った (4)

行で きるよ うにな った 問題点, 目標,プ ログラムを相互的につなげて考え られ るよ うにな った ( 2) いろいろな視点か ら評価で きる 3 いろいろな視点か ら評価で きるよ うにな り,選択 の幅が広が った ( 2)

ようにな った 正常 と違 う面 をいきな り問題 とせず利点ではないか と考え られ るよ うにな った ( 1)

大 カテゴ リー② 実習を経験 してきたのにもかかわ らず思 ったよ りも課題を遂行で きなか った

(18)

中 カテゴ リー 記述数 内 容

以前 よ り情報量 に影響 され, ま 1 0 以前 より背景や原因 を考えす ぎ,取捨選択で きずまとま らなか った ( 5)

とま らなか った 評価か らプログラムまで整理す ることがで きず, まとま らず具体性 に欠 けた ( 3) 知識量が増え混乱 し,情報 を整理 して考え ることが不十分だ った ( 2)

症例の全体像が捉え られなか っ 4 全体像 を捉え るには視野が狭 いと思 い,反省点 とな った ( 2)

た 症例 のイメー ジをっかむ ことが難 しか った (

2)

作業療法計画立案 までの手続 き 2 重要 な問題点 を選択 し忘れなか ったか心配 (1) が不十分だ った 必要 な情報 を得 ることが不十分 (1)

身体機能面 での想像が難 しく, 2 運動 ・身体機能面で想像す ることが難 しい疾患だ ったので前回よ りも難 しか った (1) 目標や問題 を挙 げ られなか った 実習後のほうが 目標 や問題点 を挙 げることが難 しか ったよ うに思 う (1)

大 カテゴ リー③ 授業 によって問題解決のためのスキルが身 に付 いた

(17)

中カテゴ リー 記述数 内

グループワークが上手 くな った

11

個 々の意見を出 し合 い展開で きるよ うにな った (

8)

目標 を意識 して話 し合いを進 め られ るよ うになった ( 2) 話 し合 いやまとめる作業が しっくりくるよ うにな った (1) 症例 のイメー ジ化で き,課題 に

4

症例 のイメ‑ ジがっ きやす くな った (

2)

取 り組みやす くなった 先生 の症例 であ り,学生の検討内容‑の解説があ り, わか りやす く勉強にな った ( 2)

2

症例 を もっと深 く知 りたいと思 った (1)

実習前のほうが授業で習 った

CP

なので ゴールやプ ログラムが立てやすか った (1)

大 カテゴ リー④ 実習前後で討議や発表の内容の乏 しさ

(4)

中 カテゴ リー 記述数

内 容

実習後 は発表内容が乏 しか った

2

記述内容が今回 は少 なか った (1)

言 わな くて も分か るだろ うと思 い,伝えたい気持 ちの少 ない発表だ ったと反省 (1) 実習前 は討議内容が乏 しか った

2

実習前 は各 メ ンバーの発言数は少なか った (1)

実習前 は発言 した ものを他の メンバーが うなず くだけだ った (1)

大 カテゴ リー⑤ 様 々な事柄が課題をうま く遂行 できない原因 とな った

(3)

中 カテゴ リー 記述数 内 容

一回 していたので時間がな くなると思 い,焦 ったことも関係 したと思 う (1) 小児領域 とい うだ けで構えて しまい,戸惑 った ことは実習前 とかわ らなか った (1) 実習前 はマニュアル通 りの考え方でスムーズにまとまったが内容が乏 しか った(1)

大 カテゴ リー⑥ 授業をとお して興味や関心がわ き,今後の課題が見つか った

(3)

中カテゴ リー 記述数 内 容

レポー トや発表 に関す る記述 はこれか らも学んで経験 を積 む必要がある (1) 小児で知識が足 りないことがあ ったので他の領域での検討 もや ってみたい (1) 実習前後の変化 を見 ることがで きてお もしろい授業だ った (1)

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傾 向にあること, また,感想 のカテ ゴ リー化 において も,② 「 実習 を経験 して きたのに もかかわ らず,思 っ たよ りも課題 を遂行で きなか ったと表現 しているもの」

のカテ ゴ リーに属す る表現 を記載 している学生が多 い ことなどか ら,学生 自身 も実習前 に比べ達成感 を感 じ ることがで きず,教員 の グループ ごとの発表内容 に対 す る印象 と一致 していた.

しか し, この結果 はこれ らの グループの学生が実習 によ って臨床的な実践能力が身 につかなか った ことを 示す もので はないと思われ る.② の大 カテ ゴ リーの下 位 カテゴ リー 「 以前 よ りも情報量 に影響 され まとま ら

なか った」 が最 も項 目数が多か った ことよ り,個 々の 学生 は実習前 に比べて シナ リオか ら症例 の生活構造 を イメー ジす るための情報 を抽 出す る能力 は身 につ いて いたが,発表 内容 をまとめ るにあた って は, それぞれ 違 った視点 か ら問題点 を とらえ解釈 したため,治療計 画 の立案 の仕方 も様 々であ った ことか ら, グループ内 でその方向性 を統一す ることがで きなか った と考 え ら れた.

シナ リオが実習前後 とも発達領域 の症例 であ った こ とか ら,学生 による経験領域の差が出た ことや,グルー プメ ンバ ーの構成 において,討議の際 に様 々な意見 を ま とめあげ,方 向性 を決 め るなどの リー ダー シップを 発揮 で きる学生, または 3 期 の実習 において発達領域 の実習 を経験 した学生 を均等 に配置す ることがで きな か った. そのため, グループの討議 や発表 内容 をまと め る作業等 に影響 した と考 え る.

グループの構成 メ ンバ ーをみ ると, リーダー シップ を とることがで きる学生 の割合 につ いて は均等で はな か った.発達領域経験者 につ いては 2 つ のグループに 2 名ずっ配置 され,他 の 2 グループにはいなか った. . 発達領域経験者が いるグル ープの発表 内容 は教員,学 生 自身 とも高 い評価 を示す ので はな

か と予想 してい たが,発表 内容か ら受 けた印象で は実習前 よ りも不十 分 なグループ と,実習前 よ りも具体的な 目標 を挙 げ, それ に準拠 したプ ログラムを立案 している良 い内容 の グループが あるとい う結果 とな った.学生 の 自己評価 得点 の結果 も, この 2 つの傾 向のグループ間 に有意 な 差が示 された. このよ うな結果 の原因 は,発達領域経 験者の 「 知識がついた分混乱 した」 ,「 色々考えすぎた」 ,

「他 の側面 か らもみて しま った」 な ど,実習後 に低 い 評価 とな ったグループの発達領域経験者 は,実習 によ る経験 を うま く整理 して応用す ることがで きなか った と考 え られ, それが グループの討議 に影響 し内容が不 十分 な ものにな って しま った と考 え られた.一方, 発 表 内容 や学生 の 自己評価が良か ったグループで は, 発 達領域 を経験 した学生が実習経験 をグループ討議 に う

ま く応用で きていた と思われ る.

発達領域 の実習経験 のない学生 に とって,用 いた シ ナ リオが実習前後 とも発達領域 の ものであ った ことは, 特 に実習後 の 自己評価 の低 さに影響 を与 えた ことが考 え られた.本来,領域 に関係 な く,同 じよ うに問題解 決で きることが理想 的であ るが, ア ンケー トの感想 に

「 小児領域 とい うだ けで構 えて しまい戸惑 った ことは 実習前 とかわ らなか った」,「 小児で知識 の足 りない と ころがあ ったので ほかの領域での検討 もや ってみたい」

などの意見があ った ことか ら,学生 は自分が行 った こ とのあ る領域 での経験 に強 く影響 され,未経験領域 の 課題 に対 して は苦手意識 を持 ち,発想 の切 り替 えや

.,

他 の領域 での経験 を応用 させて考 え るなどの柔軟 な対 応 を とることが難 しい ことが伺われた.一方 で,発達 領域 の実習の経験者 が いない 2 つの グループを比較 す ると, 1 つの グループは実習後 の教員 による発表 内容 の印象 は良好 であ り, 自己評価 において もこの グルー プの構成 メ ンバ ー全員 が実習前 よ りも高 い評価 を行 っ ている. これ は提示 す るシナ リオの領域, あるいは実 習経験 の有無 などに関わ らず,他領域 での実習経験 を 活か して課題 を うま く遂行 したため,達成感 を感 じる

ことがで きた ことを示唆す るもの と考 え る.

以上 よ うな点 をふ まえて,今回のよ うな シナ リオを 提示 した ワークシ ョップ形式 の授業 を行 う際 には,全 ての学生 が経験す る領域 の シナ リオにす ること, もし

くは今 回のよ うに限 られた学生 しか経験 で きない領域 の シナ リオを提示す る場合で も, その領域 の実習経験 者 を各 グループに均等 に配置す るよ うな配慮 を行 う必 要性が あること, またグループのメ ンバ ー構成 もそれ ぞれの学習の到達度や個人 の特性 などを把握 した うえ で グループ間 に課題遂行 の能力 の差がないよ うに配置 す る必要がある.実習前 の授業 において は,領域 に関 わ らず課題 を遂行す る能力 を身 につ けさせ ることが重 要 であ り,作業療法 の全対象領域 で共通す る臨床 的な 実践力 や問題解決能力 の習得 に向 けて実習前 の教育 を 考 えてい く必要があ ると考 え る.

2. 今後の課題 につ いて

今回, ワークショップ形式 の授業 を実習前後 に行 う

ことで,学生 の学習 の到達度 や臨床的な実践能力 の変

化 の一部 を理解す ることがで きた. この形式 はすで に

医学教育で もとりいれ られている教育 システムの一つ

で,患者 の事例 の中か ら問題 を見つ けだ し, その問題

を手 が か りに学習 を進 めて い く学 習方法 で あ る PBL

( Pr o bl e m‑ ba s e d‑ l e a r ni ng ;問題基盤型学 習) と少人

数 の グループで 自主的 に学習 を行 うテユー トリアル教

育 を合 わせた PBL テ ユー トリアル1 )と呼ばれ る教育 シ

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ステムと頬似 している. この教育 システムは近年 にな っ て作業療法士養成校 で も能動 的な学習,行動がで きる 学生 を育成す る目的で導入 され るよ うにな って きて い

2).

PBL テ ユー トリアルで は 1 グル ープ に対 し 1 名 の テユークーを配置 し,発言 の少 ないメ ンバ ーや うま く 進行で きない司会者 などに対 して も助言 や促 しを行 い, 学生 の能動 的 な学習 を援助す る方法 を とっている.

今 回著者 が行 った授業形式 で は,小 グループで患者 の事例 を提示 して,一連 の作業療法計画 を立案 す ると い う課題 を与 え るだ けに止 ま り,各 グル ープの討議場 面 に参加 して内容 の方 向性 や ま とめの作業 に助言等 は 行 わなか った. そのため,各 グル ープの計画立案 まで の思考過程 や グル ープ内で の発言 の少 ない者, うま く 進行 をすす め られない者 な どのメ ンバ ーの様子 を十分

に把握す る ことがで きなか った. このよ うな点 が 情報 を整理 で きず, ま とま りのない内容 にな った り,指定 時間内に発表原稿 を完成で きなか ったなどの要因 とな っ た と考 え られ,今後 は複数 の教員 によ るテ ユー タ‑を 配置 した同形式 の授業 の実施 を検討 して い く必要 が あ ると考 え る. この他,今回 は 9 0 分 の時間内で討議 か ら 発表 までのすべてのプ ロセスを行 わせ たが,文献 や資 料 を収集す る機会 を与 え る こと, メ ンバ ー各 自で意見 をま とめ るための 自己学習 の時間を与 え るな ど, ゆ と りを もった授業 スケ ジュールを立 て る必要性 も挙 げ ら れ る. Bake r( 2 0 0 0 ) 、 は PBL につ いての文献 レビュー の一 部 で, 2 件 の ケ ース ・ス タデ ィを 引用 し, PBL の学習者 が期待 された ほどの知識 を身 につ けなか った 要 因 と して,非現実 的 な事例 の採用,身体 的負担 の他 にテ ユー クーの準備不足 の 3 点 を挙 げて い る3 ) . よ っ て教員側 も学生 の能動学習 を効率的 に進 めさせ る うえ で, このよ うな教育方法 の理解 を深 め る必要が あ り, 学生 の興味 を喚起 し,活発 な議論 が行 われ るよ うな シ

ナ リオ作 りや,助言 の与 え方 な どを学 んでい く必要 が あ ると考 え る.

また,今 回,実習前後 で授業 の課題遂行 に対す る自 己評価 を行 うことで学生 の変化 を捉 えよ うとす る試 み を行 ったが, その結果 は当初予想 して いた もの と異 な る もの とな った. この背景 には,提示 した 2 つ の シナ リオ間 に情報量 の違 いや,授業 で取 り上 げ られ た こと のあ る内容 を どれだ け含 んで いたか な どの違 いによ っ て,学生 が症例 の全体像 を イメー ジす る際の難易度 に 差が あ った ことが影響 して い ることが考 え られ る. さ らに評価 において は,学生 の 自己評価 の基準 は個 々に 異 な って い ること,教員 の評価 において も 1 名 の教官 のみ によ る印象 によ る評価 で あ り, その基準が暖味で あ ることが挙 げ られ る. よ って,今回 の評価方法 や授

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業 内容 の設定 な どにおいて学生 の能 力 の変化 を把握す るには,不十分 な点 が あ った ことが考 え られ,今後 は それ らを考慮 した評価基準 の作成や評価手続 きにつ い て検討 して い く必要 が あ ると思 われ る.

Ⅴ. おわ りに

臨床実習で は学内で学んだ知識や技術 を基礎 と して, 対象者 を リ‑ ビ リテ‑ シ ョンの視点 か ら全体 的 に把握 す る実践能力が求 め られ る. また,社会人 と して適切 な行動 が とれ ること, ルールを守 れ ること,他者 との コ ミュニケー シ ョンが とれ る ことな ど,職業人 と して の能力 も求 め られ る

4)

. しか し,最近 の学生 につ いて,

「 受 け身 的で主体性 が ない」, 「 対人 関係 が うま くとれ ない」 などの社会性 の問題 を受 け入 れ施設 か ら指摘 さ れ ることも多 く

57)

,養成施設 で もその対応 に苦慮 す る ことが多 い. これ らの問題 に対 して,今回 の グル ープ ワーク形式 の授業 での経験 をふ まえて,今後 は実習前 の早 い段階か ら PBL 教育 の よ うな教 育 システム も組 み込 み,能動 的な学習 や問題解決 の機会 を与 え る必要 が あ る と考 え る. また,実習後 の授業 が 自分 の能力変 化 や不十分 な点へ の気づ さを促す ことによ り,学生 自 身が その後 の学習 目標 や到達 目標 を設定す る機会 と し て,今後 もこのよ うな取 り組 みを継続 してい きたい と 考 え る.

文 献

1 )吉田一郎 : pBLテユ‑ トリアルとは何か. PBLテユー トリアルガイ ド.吉田一郎 ・大西弘高編,南山堂,莱 京 ,2 0 0 4 ,p p 3 ‑ 1 4

2 ) 嘉納綾 :本校における問題解決型学習の取 り組み.第 9 回日本作業療法教育学術集会抄録集 : 1 0 ‑ l l .2 0 0 4 3 )B. Ma j umdar ・竹尾恵子̀ : PBLのすすめ 「 教え られ る学習から 「自ら解決する学習」へ.学習研究社,莱 京 ,2 0 0 4 ,p p 3 5

4 ) 大越満,原田千佳子 ・他 :臨床教育の到達目標につい て ‑KJ 法による現状把握 と問題提起‑.作業療法教 育研究 2 ( 1 ): 1 0 ‑ 1 3 .2 0 0 2

5 ) 湯浅孝男,大越満 ・他 :作業療法学生の資質と教育方 法について.作業療法教育研究 2 ( 1 ): 6 ‑ 9 .2 0 0 2 6 ) 山口芳文,作田浩行 ・他 :作業療法士養成校の現状 と

課題一養成校は卒業生の声にどう応えるか‑.作業療 法教育研究 4( 1 ): 1 8 ‑ 2 3 .2 0 0 4

7 )小川友美,酒井弘美 ・他 :学生の臨床実習で必要な能 力に関する評価一教員評価 と自己評価 .OT ジャーナ ル3 8( 3 ): 1 9 4 ‑ 1 9 5 .2 0 0 4

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高橋恵一/臨床実習前後における事例提示を用いたワークショップ形式の授業の試み

資料

1 実習前授業の シナ リオ

脳性麻捧 ( 産直型両麻捧)の男の子で 7 才。現在普通小学校 の肢体不 自由児 クラスの 2 年生 に在席 している

クラスメイ トは 3 人であるが、担任の先生 は 1 人 であるため、 マ ン

ツーマ ンの指導 とまではいかない。運動発達 は粗大運動 は支持 な し立位、歩行、 四つ這 い は不能だが床上での腹這 い移動が 自力で行え る

座位保持 は床上で とんび座 りとな り両上 肢支持 していれば安定 しているが、椅子座位 などで長時間座 っていると左へ体幹が傾 いて くる。机上での上肢 の活動 を観察す ると右上肢で鉛筆を把持 し、左上肢 で不十分 なが ら紙 を押 さえてお絵か き、書字が行えるが 、5 0 音 ひ らがなで一部書 けない字がある

また、書 字時に左肩 甲帯 の後退 と左上肢 の屈曲パ ター ンが出現 し、次第 に体幹 も左 に傾 き、書体 の 乱れが著明になる。

学校での移動 は小児用車椅子 を使用 して 自立 してお り、両手で 自摸 して直進、 コーナー を曲が る、バ ック、車庫入れが可能で る

学校の玄関、体育館入 り口などは 5 セ ンチほど の段差があ り、介助を必要 とす る

また、両手操作時には両下肢 の伸展パ ター ンが著明 に 出現す る

性格 は頑固な面があ り、思 い通 りにな らない とす ぐに泣 き出 し、全身の伸展パ ター ンを強めて しま う

母親 のニー ドは 「 独歩 ( 介助 な しの歩行) 」 と 「 一人 で着替 えがで きるよ うにな って ほ しい」 との こと

主訴 は 「 学校の授業で書 き取 りに時間がかか ること」 をあげている。

資料

2 実習後授業の シナ リオ

精神運動発達遅滞の男 の子で 8 歳。家族 は父、母、 1歳 と 4 歳 の妹がいる。現在普通小 学校特殊学級 に在席 し、 2 年生。担任 の先生 は 1 名、 クラスメイ トは症例 よ りも重度 の精 神遅滞 を もっ男の子が一人 いる

通学 は母親が送 り迎えを している。

運動発達 は粗大運動 は手す りにつか まって二足一段での階段昇降が可能だが、手す̀ りが ないと小 さな段差 を越 え る際で も下肢 は wi debas e 、 上肢 は hi ghguar d のポ ジシ ョン を とってよ うや く越え るか、座 り込んで四つ這いで越 えよ うと した り、助 けを求 めること がある

その他、 しゃがみ位が とれない、 ジャンプ、片足立 ち、横歩 き、後 ろ歩 きなどの 応用歩行や走行がで きなか った。

あそ び の観 察 か ら、 巧 撤動 作 は基 本 的 な gr as p,r e l ae s ae は可 能 、 pi nc h は 1 a t e r a l pi nc h まで確認 で きた。応用動作 は 「ク レヨンを持 って書 く」 「 一度 に数 ペー ジめ くる」

「 簡単なお もちゃのはめはず し」「ビーズ通 し」 などがで きていた。

コ ミュニケー ション面では単語 レベルの発話で有意味語 は 「イス」「ジッチ ャン」「アイ ス」 など 3‑ 4語 くらいで、 その他 は母親 に しかわか らないジェスチ ャーを用 いて 自分 の 意志を伝えている

他 には擬音のよ うな奇声 を発す ることがある

特異 な行動 として、 エ レベーターに乗 ること 、5 0 音 ボー ドや電車 などの電子音 を発す る お もちゃに対 して過剰 な執着、興奮を示 し、他児 との関わ りを持 とうと しないことが挙 げ

られた。

家庭での ADLはほぼすべてにおいて母親 に促 しや介助がなければ行 うことがで きず、

衛生的なこと、身だ しなみを気にする、 自分でやる、 とい った社会性の概念 に欠 けている

トイ レは一人で行 くことはで きるが、 トイ レッ トペーパ ーをきれいにまきとることがで き ない、お しりに手が届かない、手が汚れないような拭 き方 を しない、 きれいか どうかの確 認 を しない、 などで後始末が不十分であ った り、更衣の際 は着衣の裏表、前後が違 う、裾 がでているなども気 にす る様子 はない、 .ボタンの服が着 れないとの ことである

母親 の希望 は 「 茶碗 を もって食べ られ るよ うにな って ほ しい」 「ボタ ンのか けはず しが

で きるよ うにな って ほ しい」 「トイ レでお しりを きれいに拭 けるよ うにな って ほ しい」 な

どであ った。訓練 オーダーは OT の他 、PT、ST も処方 されている

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高橋恵一/臨床実習前後 における事例提示を用いたワークショップ形式の授業の試み

資料 3 実習後授業後 に配布 した質問紙

<臨床実習前後の発表内容 についての自己評価 >

1.各項 目に対 して実習前 .後それぞれの 自己評価 を してみて ください○

(4 段階評価)

4 :優 3 :良 . 2:可 1:不可

①現実的な目標が立て られていたか 実習前 実習後 ( 1 2 ( 1 2 . 3 3 、4 ) 4 )

②具体的な目標が立て られていたか 実習前 実習後 ( 1 2 ( 1 2 3 3 4 ) 4 )

③問題点 を確認す るために必要 な評価項 目を適切 実習前 ( 1 2 3 4 )

に選択 で きたか 実習後 ( 1 2 3 4 )

・ ④対象者 の生活構造 を Ⅰ C F に当て はめて整理 す 実習前 ( 1 2 3 4 )

ることがで きたか 実習後 ( 1 2 3 4 )

⑤ プログラムは目標達成 のために効果的な ものを 実習前 ( 1 2 3 4 )

立案で きたか 実習後 ( 1 2 3 4 )

⑥ プ ログラムはその進め方、援助、環境設定、道 実習前 ( 1 2 3 4 ) 具の. 工夫など対象者 の特性 に合わせた具体的な 実習後 ( 1 2 3 4 ).

部分 まで計画 されていたか

⑦発表内容 は他者 にイメージされやすい記述がで 実 習前 ( 1 2 3 4 )

きていたか 実習後 ( 1 2 3 4 )

⑧発表 を他者 に理解 され るよう口頭で適切 に行 う 実習前 ( 1 2 3 4 )

ことがで きていたか 実習後 ( 1 2 3 4 )

2. その他、 実習前後 を比較 して 自分 の変化 した点、 しなか つた点、 第 がつ いた ことな どを書 いて下 さい○

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Tr i alofPr o bl e m‑ bas e dLe a r ni ngandCo mpa r ・ i s o nof St ude nt s 'Abi l i t ybe f or eandaf t e rCl i ni c alPr ac t i c e

〜 Anal ys i st hr o ughSt ude nt s 'Se l f ‑ e v al uat i o n〜

Kei i c hiTAKAHAS HI MegumiTUGARUYA Takas hil s HI KAWA Nac hi ko l sHI I Yos hi kazl ユI sHI I Mas aj iKI NJ O

Takao YUASA Kazuo OHTOMO Yos hi t sugu NI I YAMA

Cour s eofOc c upat i o nalThe r apy,Sc hoolofHe al t hSc i e nc e s ,Aki t aUni v e r s i t y

A wor ks hops t yl ec l as swashe l dbe f or ec l i ni c alpr ac t i c ef ors t ude nt st oac qui r epr ac t i c als ki l l s .The s ameki ndofc l as swashe l daf t e rc l i ni c a lpr ac , t i c e,andc hange smoni t or e d.St ude nt s 's e l f ‑ e v al uat i o nand pr e s e nt at i ons ki l l swe r ee xami ne dt oc o mpar eabi l i t ybe f or eanda f t e rpr ac t i c e .Ther e s ul t ss howe dt hat e v e r y gr oup t ha thad e xpe r i e nc e d t hec l i ni c alpr ac t i c ewasmor eac t i v et han t hepr e ‑ e xpe r i e nc egr oup.

Howe ve r,S omegr oupse xhi bi t e dl owe rpr e s e nt at i o n a nds e l f ‑ e v al uat i on s ki l l .Thi swasc ons i de r e dt obe

c aus e dbys t ude nt s 'i nabi l i t yt oor ga ni s ekno wl f ∋ dgega i ne dt hr ought he i rpr ac t i c ale xpe r i e nc ewe l landt he

e f f e c toft hegr oupme mbe r s 'c ha r ac t e r i s t i c sa】 l dpr e s e nt at i on ofs pe c i f i cs c e na r i os . I n t hef ut ur ewewi l l

c ar r youtas i mi l are xe r c i s epr ov i di nganoppo1 ‑ t uni t yf orac t i vel e ar ni ngandpr obl e m s ol v i ng.

参照

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