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Research on Athletic Activities in Schools for the Blind Noriko H

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Academic year: 2021

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盲学校における体育系部活動に関する調査研究

原 徳子*・勝二博亮**

(2015 年 11 月 18 日受理)

Research on Athletic Activities in Schools for the Blind

Noriko HARA* and Hiroaki SHOJI*

(Received November18, 2015)

はじめに

 スポーツを行うことは,健康で活力のある生活を送るために重要であることは言うまでもない。

とりわけ,青年期において発育・発達の程度に合わせて運動する経験は,心身の発達を促すのみな らず,学校卒業後に余暇活動として生涯スポーツを楽しむようになる上での基礎づくりにもなる(文 部科学省,1997)。しかし,障害者においては,健常者のように地域にあるスポーツ少年団や近所 のスポーツセンターなどを気軽に利用することは難しく,障害特性を理解している指導員が少ない などの課題もある。

 盲学校の児童・生徒を対象とした余暇活動に関する調査では,学校での部活動への参加率は高い ものの,休日には室内で過ごす者が多く,時間を持て余してしまうといった回答が得られており,

部活動のない日には有効に余暇を活用できていない実態が報告されている(永松,1992)。また,

社会人の視覚障害者におけるスポーツ活動の実態調査では,晴眼者が週に1回以上のスポーツ実施 率が35%であったのに対し,視覚障害者では28%にとどまっており,日常的に体を動かす機会の 確保が難しいことが示唆されている(香田・天野,2007)。その中でも定期的に運動を実施してい る視覚障害者は,自宅などで身近にできる運動(例えば,ストレッチ)や一人で活動できる種目(例 えば,ウォーキング)を行っていることが多く,視覚障害者のスポーツ人口を今後増やしていくた めには,障害者スポーツ施設が生活の身近な場所に存在することが望ましいとの指摘がある。

 上記のように,視覚障害者にとって,学齢期における学校での運動経験が,在学時や卒業後の運 動機会を確保するために重要な役割を担っているといえる。とりわけ,特別支援学校では,卒業生 の活動の場として,そして地域における障害のある人たちとの交流の場として施設を提供するなど センター的機能が求められている(文部科学省,2009)。障害発生後に初めてスポーツを実施した 広島大学総合科学研究科 (〒739-8521 広島県東広島市鏡山1-7-1; Hiroshima Graduate School of Integrated Arts and Sciences, Higashihirosima 739-8521 Japan).

茨城大学教育学部障害児生理学研究室 (〒310-8512 水戸市文京2-1-1; Laboratory of Physiology, College of Education, Ibaraki University, Mito 310-8512 Japan).

*

**

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場所として「学校」と回答した者が最も多かったことからも(藤田, 2013),障害者において卒業 後の余暇活動を充実させていくためには,学校での運動機会の提供が重要であることが推察される。

しかし,視覚障害者を対象とする特別支援学校(以下,盲学校)における運動機会提供に関する資 料はみあたらず,検討する必要があると考えた。

 そこで本研究では,関東近郊の盲学校を対象とし,体育系部活動の活動状況や卒業生への運動機 会提供に関する調査を実施し,それらの現状と課題を明らかにすることを目的とした。

方法

1.調査対象

 全国に盲学校は73校設置されているが,本研究ではそのうち,関東地方にある6校(以下,

A~F校とする)を調査対象とした。なお,対象としたA,C,D校は地方に,B,E,F校は首都 圏にある学校で,B校は附属学校であった。

2.調査期間

 調査期間は2014年9月~同年12月までであった。

3.調査方法

 半構造化インタビューによる聞き取り調査を行った。各校のインタビュー対象者は,校内の運動 部活動に精通した教員を1名程度学校側で選出してもらい,基本的には第一著者が調査対象の盲学 校に出向き,面接によるインタビュー調査を実施した。なお,調査対象の学校の一部では電話によ るインタビュー調査で代替した。インタビューに要した時間は1時間程度で,インタビュー中は ICレコーダーにより会話内容を記録した。

4.調査内容

 以下の項目についてインタビュー調査を実施した。

(1)学校における体育系部活動に関する項目

 学校で現在実施している体育系の部活動名,創設年,構成年齢,構成人数,責任者,設立経緯,

部活動の選定理由等。

(2)今まで廃部・休部になった体育系部活動

 現在は行われていないが以前存在していた体育系の部活動名,設立経緯,廃部・休部の理由,今 後の活動再開予定等。現在実施している体育系部活動についても,今後継続が困難になる可能性の あるもの,ある場合にはその理由。

(3)学校が主体として行っている休日のスポーツ活動

 休日に盲学校で在学生および卒業生を含む視覚障害児・者に対して,学校が定期的に開催してい る運動機会の提供の有無(休日に行われている体育系部活動は含めない),運動機会を提供してい る種目,運動機会提供の対象範囲,活動内容等。

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(4)学校以外の機関が主体となって実施している休日のスポーツ活動

 主体として実施している機関名,経緯,運動機会提供の対象範囲,活動内容,今後の盲学校との 連携可能性等。

(5)その他

 生徒が個人的に行っているスポーツ活動,スポーツ活動に参加するための情報源,視覚障害者ス ポーツの機会提供を行っている場所,授業としての体育実技と部活動の種目との関係性,スポーツ 団体からの要望等。

 なお,上記のインタビュー項目に限らず,インタビュー調査の流れの中で関連する項目があれば 自由に質問した。

5.分析

 対象となった6校について,インタビュー調査の際に使用した記入シートとICレコーダーで記 録されたデータに基づいて,現在の盲学校で行われている体育系部活動の実態と運動機会の提供の 2つに大きく分けて結果をまとめた。

結果

1.盲学校における体育系部活動に関する調査結果

(1)体育系部活動の実態

 表1に各学校における体育系部活動で実施している競技種目を示す。表1の●は,一つの体育系 部活動の中で複数の競技種目が行われていることを示している。その場合は,部活動名として「運 動部」あるいは「球技部」といった名称が使われることが多かった。単独で成り立っている体育系 部活動は◯,同好会は△で示されている。なお,ここでいう同好会とは,学校の生徒会からは部と して承認されていないが,基本的には他の部活動と変わらない。

 表1をみると,いずれの学校でもフロアバレーボール(以下,フロアバレー)が行われておりサ

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ウンドテーブルテニス(以下,STT),ゴールボール,陸上の順で実施率が高かった。B校(附属学校)

以外の5校では複数の競技種目を1つの部活動の中で扱う「運動部(または球技部)」が存在して おり,そのうち3校(C,E,F校)は体育系部活動が「運動部」のみであった。このような「運動部」

は,学校によって活動が異なっており,たとえば「全員が同じ種目を練習するが,競技種目を時期 によって変える学校」,「曜日によって行う種目を変更する学校」,そして「1年を通して生徒が種 目を自由に選択できる学校」など,さまざまであった。なお,D校の陸上部は中学部と高等部で活 動が分かれていたため,表1では2つに分けて示している。

(2)体育系部活動の創設経緯

 同好会を除く14の体育系部活動のうち,5年以内に設置されたものは4つのみで,そのうちの 1つであるD校のウォーキング部は重複障害の生徒を対象に新たに設立された部活動であった。そ の他は20年以上の歴史をもつ部活動であった。

(3)部活動の活動日数

 回答の得られた11の部活動のうち,7つの部活動で活動日数は週2,3日となっており,学校規 模や生徒数との因果関係はみられなかった。

(4)部員の構成

 多くの学校で中学部から高等部(専攻科を含む)の生徒が合同で部活動に参加していたが(表2),

各学部で終業時刻が異なるために練習時間がずれる日がみられ,団体競技では高等部生がレギュ ラーになることが多く,結果として中学部生は部分的な参加となるケースもみられた。D校のみ部 員に専攻科生がいなかったが,高齢化がその理由として挙げられていた。卒業生が部活動に参加し ていたのは,B校,C校,F校であり,いずれも卒業生が運動機会を求め,部活動の手伝いとして 参加しているケースであった。

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(5) 廃部・休部になった部活動

 いずれの学校においても生徒の減少が原因で行われなくなった競技種目が存在した(表3)。廃 部や休部に至った理由としては生徒数の減少が多かったが,ウェイトトレーニングや柔道のように 怪我の多さによって廃部を決めた部活動もみられた。なお,C校の「運動部」ではグランドソフト が競技として行われなくなっていたが,その理由について,グランドソフトは競技に必要な人数が 1チーム10名と多いために,生徒の減少によって活動の休止を余儀なくされたとのことであった。

2.休日のスポーツ活動に関する調査結果

 部活動以外で休日に学校が主体となって視覚障害者にスポーツ活動の機会提供をしている学校は みられなかった。一方,外部団体への運動場所の貸し出しはB校を除くすべての学校で認められ,

競技種目としてはフロアバレーが特に多かった(表4)。貸出に至った経緯については,教員が各

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競技団体の協会関係者,もしくは視覚障害者スポーツチームの一員であったことが挙げられていた。

その他,卒業生が卒業後に視覚障害者スポーツの社会人チームに加わり,その練習のために母校が 貸し出している場合や,スポーツ協会からの打診で協会主体により実施する練習会のために貸し出 しを行うものがみられた。

3.その他の調査結果

(1)生徒個人で実施しているスポーツ

 生徒が学校以外の場で個人的に行っているスポーツは,STT,空手,柔道,クライミング,盲人 マラソンで,このうち視覚障害者スポーツ専用の用具が必要な種目はSTTのみであった。盲人マ ラソンを行っている生徒はいずれも首都圏にある学校であり,盲人マラソン協会のHP上でも,都 内にある代々木公園で盲人マラソンの活動を随時実施しており,そのような背景が要因としてある ものと推察された。

(2)視覚障害者スポーツの活動提供をしている施設

 学校以外の場で,視覚障害者にスポーツ活動を提供している施設は,主に地域の障害者スポーツ センターであった。

(3)個人的にスポーツを行う場合の情報源

 教員から生徒への情報提供が多く,その他に友人との会話の中でスポーツに興味をもったり,先 輩からの誘いを受けてスポーツ活動に参加したりするなど,口コミが主な情報源となっていた。

考察

1.盲学校における体育系部活動の現状と課題

 盲学校の体育系部活動において様々な競技種目に対応するため,生徒数の多いB校以外の学校 では,一人の生徒が複数の競技に参加する「掛け持ち」の状態におかれていた。このような生徒数 の減少傾向は少子化の流れもあり,普通学校の中学校や高等学校においても同様に生じている問題 である。例えば,日本中学校体育連盟(2014)および全国高等学校体育連盟(2014)の登録者数 調査によれば,体育系部活動への参加人数は男女ともに減少傾向にある。一方で,盲学校の生徒数 に関しては,文部科学省(2003)の調査によると,平成8年から平成14年まで減少傾向にあり,

2005年度の全国盲学校への調査結果でも,1970年度調査における児童生徒数の42.22%にまで減 少していることが報告されている(柿澤・佐島・鳥山・池谷, 2007)。その背景には晴眼者と同様 に少子化の問題も考えられるが,それに加えて近年では小・中学校の弱視学級及び弱視通級指導教 室数が増加傾向にあることから(澤田・田中,2014),視覚障害児が就学先として普通学校を選択 していることも要因として挙げられる。

 このように盲学校では児童生徒数の減少が深刻化しており,体育系部活動においても廃部や部活 動存続の危機が常態化している。その対応策として,一人の生徒が複数の競技に参加する「掛け持 ち」や一つの部活動で複数の競技種目を行う,いわゆる「運動部」の設置が多くの学校で実施され ていた。それでもなお,学校単位で競技参加に必要な人数が確保できない場合には,隣接する学校

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と提携して合同チームを作り,大会に出場している実態も調査の中で明らかとなった。このような 廃部を避けるための対策として行われる複数校による合同チームは「合同部活動」と呼ばれ,決し て数は多くないものの普通学校においても行われており,学校間移動に伴う課題などが指摘されて いる(内海,2000)。しかし,普通学校とは異なり,盲学校では都道府県ごとに1校のみ設置され ている場合が多いことから,隣接する学校といっても実際には距離的にかなり遠いのが実情であり,

普通学校で生じている課題以上に問題が大きいものと推察される。したがって,盲学校同士の連携 は難しいと考えられ,当面はC, E, F校のように複数競技を一つの部活動で行う,いわゆる「運動部」

へと統合されていくことで生徒数減少に対応していくものと示唆された。

 一方で,D校では盲学校に在籍する重複障害児に対応するために,ウォーキング部を立ち上げて いた。近年,障害の重度・重複化が進んでおり,盲学校においても重複障害の児童・生徒の在籍率 は年々増加している(柿澤ら,2005)。平成22年度の特別支援教育資料(文部科学省,2011)を みても,盲学校における重複障害児童・生徒の在籍率は増加傾向にあることがわかる。したがって,

D校が実施しているウォーキング部のように,盲学校でも視覚障害のある重複障害を対象とした新 たな体育系部活動の設置が多くなっていくのではないかと推察された。

2.部活動以外での運動機会提供

 本研究で対象とした盲学校では,学校が主催して視覚障害者にスポーツ活動の機会を提供してい る学校はみられなかったが,外部のスポーツ団体への運動場所の貸し出しはほとんどの学校で行わ れていた。使用している外部団体の構成員は多くが卒業生であり,かつての同級生たちや先輩後 輩との交流の場となっていた。視覚障害者用に開発された競技種目については専用用具が必要と なるが,その貸し出しを担える数少ない施設として盲学校の存在は重要であることがうかがえた。

また,障害の程度にもよるが,晴眼者に比べて自由に移動することが困難な視覚障害者において,

生活の身近な場所に運動ができる施設があることは望ましいことが指摘されている(香田・天野,

2007)。卒業生にとって盲学校は通いなれた場所であり,気軽に運動できる場所として母校を有効 活用している実態が明らかとなった。

 最も貸し出しが多かった競技種目はフロアバレーであったが,この競技はバレーボールのルール に基づいて視覚障害者向けに日本で開発されたスポーツであり,盲学校では体育の授業や課外活動 の中で古くから行われてきた歴史あるスポーツである(香田・天野,1999)。本研究で対象とした すべての学校においてもフロアバレーは部活動として行われており,学校での活動経験から卒業後 も余暇活動として継続されているものと考えられた。文部科学省(2013)の調査では,特別支援 学校を卒業した障害者は日常的にスポーツに参加する場がなく,結果としてスポーツから離れてし まうことが課題として挙げられている。今回の調査では,視覚障害者が盲学校を卒業した後も学校 を活用していることが明らかとなったが,視覚障害者にとって身近な地域に盲学校があるとはいえ ず,今後どのように彼らの運動機会の充実を保障していくかが課題となっていることが示唆された。

なお,調査した盲学校の中には,在籍生徒が経験したことのない視覚障害者スポーツの団体に施設 の貸し出しをおこなっている学校がみられた。今後は,外部のスポーツ団体と学校側が共に協力し 合って,盲学校在籍の生徒とスポーツを通した交流により,運動機会の幅がさらに広がり,運動活 動の充実が一層図られることを期待する。

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引用文献

柿澤敏文・佐島 毅・鳥山由子・池谷尚剛.2007.「全国盲学校児童生徒の視覚障害原因等の実態とその推移

-2005 年度全国調査結果を中心に-」『障害科学研究』31, 91-104.

香田泰子・天野和彦.1999.「フロアバレーボールの運動強度」『筑波技術大学テクノレポート』6, 23-24.

香田泰子・天野和彦.2007.「社会人視覚障害者におけるスポーツ活動の現状について」『筑波技術大学テクノ レポート』14, 219-224.

藤田紀昭.2013.「障害者スポーツの環境と可能性」(創文企画)

文部科学省.1997.「運動部活動の在り方に関する調査研究報告」

  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/001/toushin/971201.htm(2015年10月1日閲覧)

文部科学省.2003.「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」

  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301.htm(2015年10月1日閲覧)

文部科学省.2009.「特別支援教育推進に関する調査研究協力者会議(第17回)配布資料」http://www.mext.

go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/giji_list/index.htm(2015年10月1日閲覧)

文部科学省.2011.「特別支援教育資料(平成22年度)」http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/

material/1309805.htm(2015年10月1日閲覧)

文部科学省.2013.「地域における障害者スポーツ・レクリエーション活動に関する調査研究報告書(平成25 年度)」http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/suishin/1347306.htm(2015年10月1日閲覧)

永松義博.1992.「盲学校生徒の余暇活動に関する研究」『造園雑誌』55,265-270.

日本中学校体育連盟.2014.「加盟校調査集計推移(平成22年~平成26年加盟校推移)」http://njpa.sakura.

ne.jp/kamei.html(2015年10月1日閲覧)

澤田真弓・田中良広.2014.「「平成24年度弱視特別支援学級等設置校調査」結果報告」『国立特別支援教育総 合研究所ジャーナル』3, 7-11.

内海和雄.2000.「「合同部活」と「地域委譲」のいま」『体育科教育』48 (6),26-29.

全国高等学校体育連盟.2014.「加盟登録状況」http://www.zen-koutairen.com/f_regist.html(2015年10月1日閲覧)

参照

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