奈良教育大学学術リポジトリNEAR
5歳児の鬼遊びにおける仲間意識の変容過程
著者 楊 ?
発行年 2020‑03‑25
URL http://hdl.handle.net/10105/00013298
令和元年度修士論文
5歳児の鬼遊びにおける仲間意識の変容過程と保育者の指導の関連:
子ども同士の援助要請に着目して
指導教員:佐川 早季子 准教授
奈良教育大学大学院 教育学研究科 人間発達専攻 発達教育臨床専修
楊璨
目次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第1章 問題と目的
第1節 保育における鬼遊びとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 第2節 発達的側面からみる鬼遊び・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 第3節 鬼遊びにおける仲間意識と保育者の援助・・・・・・・・・・・・・・・・・3 第4節 本研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 第2章 幼稚園での観察
第1節 目的と方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 第2節 結果と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 (1)
事例記述と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 (2)
事例から見える鬼ごっこの展開に伴う子ども同士のかかわりの変化・・・・・・20 第3章 保育者へのインタビュー調査
第1節 目的と方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 第2節 結果と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 2−1 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 2−2 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 第4章 総合考察
第 1 節 「鬼遊び」で見られた対象児の仲間意識の変化:援助要請行動に着目し て・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
第 2 節 鬼遊びにおいて子どもの仲間意識が深まるような保育者の援助・・・・・・31 第 3 節 本論文の意義と今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
要約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
引用・参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
はじめに
筆者は,修士課程の二年目の観察研究で幼稚園の 5 歳児クラスに入った。子どもたちが 戸外へ出て,友だちと一緒に,あるいは一人で遊んでいる姿が見られた。その中でも,森 や園庭などの場所でいろんな鬼遊びをやっている姿が見られ,鬼遊びの種類によって取 り組み方が変わる子どもたちの遊ぶ姿を見て,鬼遊びは子どもたちにとってとても魅力 のある遊びだと感じた。運動面だけでなく,子ども同士の関わりも変化していっているよ うに思えたからである。
筆者は中国出身であるが,中国の幼児教育の現場では,運動といえば運動に特化した個 人向けのプログラムを用意しているものしか見たことがなかった。一方,日本の幼児教育 の現場では,遊びの中で,運動面での多様な動きや協調性などを総合的に育もうとするこ とが見えてきた。将来的には,中日の幼児教育の比較検討をし,中国の幼児教育の構築に 対して良策を提案することも考えていきたい。
そこで,修士論文では,日本の幼稚園での鬼遊びを観察することとした。具体的には,
5 歳児同士の仲間意識の変容過程を捉えるために,対象児一名を選定し,彼とその他の子 どもたちが鬼遊びの中で,お互いに声をかけあう様子などを観察し,彼らの仲間意識の変 容を分析することにした。鬼遊びの魅力,そして,子どもが遊びの中で楽しさを感じる中 で,いかに保育者が人間関係の育ちを支え援助するかを見ていきたい。
第1章 問題と目的
第 1 節 保育における鬼遊びとは 1−1 鬼遊びとは
鬼遊びとは,一人または複数の鬼と子の間で逃避,追跡を行う単純なルールによって成 り立っている遊びで,走力や敏捷性が養われる遊びとされている。 「鬼ごっこ」 「高鬼」 「色 鬼」 「しっぽとり」 「ふえおに」など様々なヴァリエーションがあるが,鬼と子または鬼と 親・子という役割に分かれることが基本的なルールである(保育用語辞典第 8 版, 2016,p.70)。上記の記述に見られるように,鬼遊びには,走力や敏捷性を使う運動遊びと いう側面がある一方,鬼役割と子役割とその交代という点で集団で行う遊びという側面 もある。
1−2 運動遊びの側面からみる鬼遊びの特徴
文部科学省が 2012 年に発表した「幼児期運動指針」において,幼児期は,生涯にわた って必要な多くの運動の基となる多様な動きを幅広く獲得する非常に大切な時期であ り,動きの獲得には「動きの多様化」と「動きの洗練化」という二つの方向性があると 述べている(文部科学省,2012)。その上で,5 歳から 6 歳ごろの子どもは,ボールをつ きながら走るなどの基本的な動きを組み合わせた動きに取り組みながら,「体のバランス をとる動き」「体を移動する動き」「用具などを操作する動き」をより滑らかに遂行でき るようになることが期待される時期であるとしている。そのため,より複雑な動きの遊 びや様々なルールでの鬼遊びなどを経験しておくことが望ましいと述べており,5 歳か ら 6 歳ごろの子どもが様々なルールでの鬼遊びなどを経験することの重要性を指摘して いる(幼児期運動指針ガイドブック,p.16)。
同指針は,鬼遊びに含まれる多様な動きについて, 「鬼遊びをすると, 『歩く,走る,く ぐる,よける』などの動きを,夢中になって遊んでいるうちに総合的に経験することにな る」 (文部科学省,2012,p.8)と述べ,5 歳から 6 歳ごろまでの幼児期において, 「動きの 多様化」と「動きの洗練化」に向かう総合的な経験として鬼遊びの意義を示している。
1−3 集団遊びの側面からみる鬼遊びの特徴
鬼遊びでは,鬼(追いかける)役割と子(逃げる)役割があり,タッチしたり捕まえた りすると,その役割が交代するという基本的なルールがある。「2 人以上の子どもが一定 のルールに基づく役割分担する遊び」 (保育用語辞典,2016,p.70)である集団遊びの一つ と言えるだろう。
集団での仲間とのかかわりに注目するならば,鬼に捕まった子を仲間が助けに行くと いった仲間意識も生まれる。羽崎(2013)は,仲間意識を,他者の集まりである子どもた ちが相互にかかわり合うことを通して互いを理解し,「自分たち」という意識をもつこ とだと述べている(羽崎,2013,p.2)。鬼遊びでは,鬼(追いかける子ども)同士で協力 しあったり,子(逃げる子ども)の数を意識したりといったように,「自分たち」という 仲間意識をもつ経験を含む遊びであると言える。
第 2 節 発達的側面からみる鬼遊び
鬼遊びでは,年齢の低い子どもの場合は走り回ることに楽しさを感じており,役割が入
れ替わるなどのルールが成立しないことが多いと言われている(保育用語辞典第 8 版,
2016,p70 )。鬼遊びを行う子どもの発達段階によって,ルールの理解や仲間意識の度合い
が異なり,楽しみ方が異なる遊びと言えるだろう。
子どもの役割関係の理解に注目して,鬼遊びの発達的特徴を検討した田丸(1991)は, 3 歳児では,ルールとしての役割関係の理解は難しく,鬼遊びのルールに基づいた展開は困 難であることを示している。4 歳児では,捕まえるために追うという繋がりが 3 歳児に比 べてより明確になってくるが,屈むといった役割とは関係のない行動も多く見られること から,子(逃げる子ども)に対して自分が鬼(捕まえる子ども)の役割をとることが理解 される過渡的段階であるとしている。そして,5 歳児では役割関係が理解され,タッチさ れたり捕まえられたりすると役割交代をするというルールを守らない子どもに対して,
子どもが厳格に抗議する場面も見られるようになるなど,交代場面での混乱はほとんど見 られなくなることを示している。
また,仲間意識に注目して,鬼遊びの発達的特徴を検討した羽崎(1991)は,3,4 歳児 では,大人の目が,ルールを守ろうとする子どもの行動を律する力があるが,仲間の目は あまり影響力を持たない。しかし,5 歳児になると,仲間の存在がルールを守るという道 徳的な行動に強い影響力を及ぼすようになると述べている。さらに,5 歳児では,遊びの ルールを理解し,そのルールに従って自分たちで遊びを展開しようとする意識が育つだ けでなく,遊びをより楽しくするための工夫や駆け引きができるようになることも指摘 している。
このように,3 歳児,4 歳児,5 歳児ごろでは,ルールの理解,役割交代,規範意識,仲 間意識といった面で発達的特徴があると言われている。
第 3 節 鬼遊びにおける仲間意識と保育者の援助
本節では,鬼遊びにおいて仲間意識に焦点を当て,子ども同士の援助要請と援助行為を 分析視点とすること,保育者の直接的な援助にも注目して分析することの 2 点について,
以下に示す。
3−1 鬼遊びにおいて仲間意識に焦点をあてる理由
5 歳児ごろでは,鬼遊びの集団遊びとしての側面が大きくなり,ルールを理解しつつ, 「自 分たち」の仲間の一員として自分が存在するという仲間意識をもつようになる。それとと もに,目標に向かって仲間と協力し,遊びをより楽しくするための調整や工夫の経験がで きることが 5 歳児ごろの鬼遊びの発達的特徴と考えられる。集団行動のときには,友達同 士で助け合い問題を解決することができ,自分の感情をコントロールすることも多かれ 少なかれできるようになってくるため,ルールを守る必要性を理解できる,相手の立場に なって気持ちを考えたり共感したりする。そこで,本研究では,5 歳児の鬼遊び a3-2 分 析の視点:子ども同士の援助要請行動および援助行動
鬼遊びにおける仲間意識の変化を分析するために,本研究では,子ども同士の援助要請 行動と援助行動に着目することにする。
援助要請(help-seeking)とは,「子どもが自力で問題を解決できないような困難に直 面したときに,積極的に他者に援助を求める振る舞い」のことである(山路茜,2014,p20)。
子ども同士の援助要請については,小学校以上の子どもの授業場面での協力学習の研究 に,援助要請の視点が用いられている。例えば,藤江は,子どもが仲間に援助を求め,そ れに仲間が自身の既有知識や専門性を発揮して応じることが中学 1 年生の授業場面で見 られることを指摘し,参加者の多様な知識や経験が引き出されて,集団としての知識の質 と量が高まり,協力学習がより深く,より効率的に行われることにつながると述べている
(藤江,2014,p.95)。さらに,山路は,学びを成立させるためには,次のような子ども
の振る舞いが大切であると述べている。「第一にその子ども自身がわからないことを認め
て他者に告白すること,第二に具体的な説明を求めること,第三に援助を受けたら納得す るまでパターンを変えながら援助要請を続けること,そして第四に受けた援助を自分の 言葉で言い換えたり適用したりすること」(山路,2014, p.20)である。そして,子ども の援助要請をきっかけに,仲間の望ましい援助行動につながるという情報のコミュニケ ーションが,わからなくて孤立してしまう子どものいない協力的な対話を引き出すのに 関わっている」と述べている(山路,2014, p.20)。以上のように,小学校以上の援助要 請研究では,子ども同士の援助要請が,協力を引き出す役割を果たすことが示されている。
幼児期の子どもの援助要請研究は,あまり多くない(本田,2015)。ほぼすべての先行 研究が,子ども同士の援助要請より,主に子どもがから大人への援助要請行動の研究が なされている。例えば,Cluver, Heyman & Carver(2013)は,2歳児と3歳児各30名を対象 に,パズルや課題を与えた問題解決場面において援助を求める相手を選ぶのかについて 検討している。その結果,2歳児よりも3歳児の方が多く援助要請を行うことなどが明ら かになっている。上記の研究のように,子どもに具体的な問題解決を提示し,その課題 に取り組む際,近くにいる大人に援助を求めるかを実験室の中で観察する実験法での検 討がほとんどである(ex. Benenson&Koul-nazarian,2008;Thompson,Cothran &
McCall,2012)。
それに対して,池田・岡田(2019)は,エスノグラフィーの手法を用いて,幼児期の 子どもの援助要請を検討している。池田らは,幼児期の援助要請を「幼児が自分自身で はできない,または勝手にしてはいけないと判断していることに対して大人に助けを求 める際に行う行動」(p,31)と定義し,日常の保育場面において,子どもがどのような 形で援助要請行動を行っているかについて検討している。その結果,5歳児では対人葛 藤場面で援助を求めるといった「人間関係の問題」が増えていく傾向が示され,幼児が 援助要請として最も用いやすかったのは「言語」であった,ということが示されてい る。
本研究が扱う幼児期の鬼遊びは、ルールや種類によって援助要請行動や援助行動を促 す遊びであると考えられる。例えば、単純なルールの鬼ごっこでは,できるだけ長い間 鬼にならずに逃げられることや,逃げようとする児童を素早く捕まえられることが,鬼 ごっこにおける技能の卓越を示す。一方、こおり鬼ではできるだけ長く逃げ切るだけで なく,仲間を助けられることが技能の卓越を示しており,そのルールには仲間を助ける 行動を肯定する意味が含まれていると言える(上野耕平,2014,p.76)。三ツ木
(2019)は,鬼ごっこにおける人間関係の創出には非言語コミュニケーションが深く関 わっており,事前にノンバーバルな要素についてメンバー間の相互理解を深めておくこと が作戦の成功につながると述べている。具体的に言えば,鬼ごっこには新たな人間関係の 創出を誘引するコミュニケーションが内包されており,他者理解の一環として,他者の感 情を読み取る際には,表情やうなずき等の非言語的なコミュニケーションへの依存度が高 いと述べている。同様に, 鬼ごっこにおいてもチームメイト間のアナログ的な非言語コ ミュニケーションの影響は大きいと言われている(三ツ木,2019,p.75)。このことか ら、鬼遊びには、非言語コミュニケーションを行いながら、他者の感情や考えを読み取 り仲間に助けを求めたり仲間を助けるという行動が伴い、このような援助要請行動や援 助行動が,他者理解や他者とのコミュニケーションに注意を向けているという仲間意識 の指標になると考えられる。
そこで,本研究では,5 歳児の鬼遊びにおける子ども同士での援助要請と援助行動の
相互作用を分析の視点とし,仲間意識の変容を見ることにする。鬼遊びにおける仲間意
識についての研究はすでにあるが,その中でも援助要請行動と援助行動といった相互作 用に注目して仲間意識の変容を捉えた研究はなされていない。幼児期の援助要請研究に おいても,子ども同士の援助要請に着目した研究はほとんどない。これらの点に,本研 究の意義があると考える。
3−3 保育者の直接的な援助の重要性
このような仲間意識を育むために,保育者はどのような援助をしているのだろうか。田 中(2010)は,年長クラスにおける鬼ごっこの指導プロセスを検討した研究で,遊びの流 れを作る援助として,保育者が子どもの対抗心を誘い出し遊びを加速させる援助を挙げて いる。それは,保育者が子どもと対等に,本気になって遊ぶ姿を見せることで,保育者を 乗り越えようとする子どもの気持ちを引き出し,遊びの活性化につなげている,というこ とである。5 歳児クラスにおける仲間関係の形成と協同性を支える指導と言えるだろう。
また,鬼ごっこの指導について事例を書いた射場・馬場(1979)は,遊びが上手く進まな くなかった場合や,子ども同士でいざこざが生じた場合,子どもを集めて解決策を話し合 うといった指導を繰り返すことで,子ども同士で協力しながら,より複雑なルール構造を 持つ鬼ごっこが楽しめるようになった,と述べている。このように,子ども自身でいざこ ざの解決策を話し合うようにする鬼ごっこの指導も,子どもたちが自律的に遊ぶことや,
その中での仲間意識の形成を支えていると言えるだろう。
一方で,鬼遊びの指導では,集団への指導だけでなく,運動にあまり興味を示さない子 どもへの個の援助も必要になる。杉原ら(2001)は,運動に全く興味を示さない子どもに 対して運動する意欲を持たせることを試みた研究を例に挙げた上で,「この研究が示唆し ているのは,保育者が子どもを認め励ますことの大切さです。運動の特別指導をするので はなく,保育者自身が户外に出て,子どもを認め励ますことが,運動意欲を高めることに つながります」 (p.126)と述べている。このことから,保育者の援助として,一緒に外に 出て声をかけるなどといった個々の子どもに対する保育者の直接的な援助が,運動にあ まり興味を示さない子どもへの援助として重要であると考えられる。
以上のように,5 歳児の鬼遊びの指導では,集団と個の両面での直接的な援助が重要と 言える。
第四節 本研究の目的
先行研究では,保育における鬼遊びの特徴が運動遊びと集団遊びの側面から論じられ てきており,様々な文献や研究において,鬼遊びでの子どもの仲間意識に焦点が当てられ て指導されていること,そこでは保育者の直接的な援助が重要であることが示されてい る。
5 歳児クラスでの鬼遊びは,一緒に遊んでいる相手や仲間の動きに応じて,「歩く」,
「走る」, 「くぐる」, 「よける」といった多様な動きを総合的に経験する機会(文部科学省,
2012)であるとともに,「自分たち」という仲間意識を持ちながら,目標に向かって仲間 と協力し,話し合って遊びを調整するといった社会的相互作用を経験する機会(田中,
2010)でもある。その指導では,子どもたちの主体性が発揮されるような働きかけや指導 が欠かせない(伊藤,1983)ことが明らかにされている。
一方で,これまでの先行研究は,実験的な場面での研究であり、子どもが日常的に経 験する場面とはかけ離れている。また、一時点での観察による研究が多い。仲間意識は,
子ども同士が一緒に遊ぶ経験を重ねて形成されるものと考えると,一時点での観察では
捉え難い。そのため,より長い期間での観察をすることで,仲間意識の変化の過程が捉え
られると考えられる。さらに,仲間意識とは,一人の子どもが他の子どもを仲間と捉える ことであるが,遊びが相互作用を介して行われることを考慮すると,他の子どもたちがそ の子どもをどう捉えるかという双方向の関係性の中で捉えられるべきものである。上記 のような観点からの検討は,先行研究ではなされていない。
そこで,本研究では,5歳児クラスの鬼遊び場面の観察研究を数ヶ月間行い,対象児一 名と他児との仲間関係の形成に伴い,鬼遊びにおいてどのように対象児の仲間意識が形 成されていくのか,それと同時に,対象児に対する他児の見方がどのように変化している のかを検討する。そして,その仲間意識の変化の過程を保育者がどのように支えているの かを明らかにすることを目的とする。特に,作戦,ルール変更,話し合ったり協力したり する事例を挙げ,その中での,子ども同士の援助要請と援助行動に注目し,仲間意識の変 化過程を描き出す。それにより,集団での遊びを実践する上での示唆的な知見を得たい。
第 2 章 幼稚園での観察
第 1 節 目的と方法 1)目的
自ら選んでする遊びの時間の鬼遊びの場面を観察し,子ども同士の仲間意識の形成が 見られる事例を収集する。また,子どもがこのような姿を見せるとき,保育者がどのよう な援助を行っているかについても事例を収集し,考察する。
2)方法
・協力者: N 幼稚園 5 歳児 2 クラス及び保育者
・N 幼稚園を研究協力を依頼した理由:N 幼稚園では,子どもの体力・運動能力の低下を うけ,生涯にわたって維持できる健康な心や体をつくるために,幼児期に育みたい体力や 運動能力・運動に関する意欲といった総合的な力を「からだ力」と定義し,「体づくり」
「動きづくり」 「気持ちづくり」の 3 点から,各年齢で,様々な取り組みが行われてきた。
本研究では,様々な動きを含む遊びや,ルールを共有し集団で遊ぶ事例を検討したいため,
N 幼稚園に研究協力を依頼した。
・時間 自ら選んでする遊びの時間(登園後約 9:00〜10:30 の一時間半ほど。おはよう体 操が行われる約 15 分間を除く)
・時期 20XX 年 4 月から 12 月(週に 1 回程度)
・観察方法 自ら選んでする遊びの時間に保育に参加しない観察者の立場で観察する。鬼 ごっこ・しっぽとりなどの鬼遊び場面での子どもたちの発言,環境構成,子どもたちの様 子と保育者の指導・援助を観察し,メモを取る。そのメモを元に,フィールドノーツを作 成する。また,一学期に 1 回,鬼遊び場面で観察された幼児の仲間意識の変化や遊びの様 子などについて担任保育者と話し,記録に残した上で,事例解釈の参考にした。なお,本 論文に出てくる名前はいずれも仮名である。
・対象児を選定する理由: 5 歳児第一学期が終了した時点で,鬼遊びをすることが比較的 多かった幼児について,担当保育者に話を聞いたところ,H1 男に対して「5 歳になる前は 遊びと自分でやってることとの切り替えができなかった。片付けができなくて,部屋に帰 って来なかったことがすごくあって,担任になった時には,友達から「H1 男,早く部屋 に入りや」「今はこれをしてる時間じゃない」などと言われてばかりだった。しかし,彼 が鬼ごっこと出会ってから,(中略)遊びを面白くしたいという思いは一番強い様子があ った。その思いから,他の子どもたちと一緒に鬼遊びをしたいという思いも生まれ,友達 との繋がりもでき始めた」という印象を持っていた。そこで,5 歳児同士の仲間意識の変 容過程を捉えるために,H1 男を対象児とすることは妥当と考え,2 学期以降は H1 男が鬼 遊びを行っている場面を優先的に観察した。
第 2 節 結果と考察 1) 事例記述と考察
5 月から 12 月までの 11 回,H1 男を中心に観察を行った結果,16 事例の鬼遊び場面の
事例を収集した。そのうち,
4事例は対象児が園を欠席するなどの事情で,対象児が参加
していなかったため,それらを除外した
12事例を分析対象とした。それらの事例は,H1
男と他児とのかかわりの面から,5つの段階に分けることができた。それは,①自分の思
いだけが先行している段階,②友達という存在への意識が芽生え始める段階,③自分の思
いも友達の思いも大切にしようとする段階,④みんなや友達の行動を意識して,楽しみを
共有する段階,⑤協力する段階である。以下,この①〜⑤の段階について,事例を挙げて 考察する。なお,事例を記述する際,対象児の援助要請行動は網掛け,対象児の援助行動 を囲み,考察の内容に関連するものを点線で示す。
①自分の思いだけが先行している段階
事例 1 5 月 15 日(水) 晴れ 「鬼ごっこにしよう?」 男児 4 名,女児 4 名,保 育者 1 名
(午前中自由遊びが始まった時,5 歳児クラスの数名の子どもたちが,A 保育者をリ ーダーにして,“子どもの森”で鬼ごっこをした場面である。)
A 保育者は, 「人,集まってんで」と話した。a)その時,朝から「鬼ごっこをやろう」
と言い続けた H1 男が,「入れて」と言いながら走ってきた。
遊びのルールは,まず数人が鬼をすることに決まった。鬼が子を追いかけてタッチを すると,鬼が交代する鬼ごっこである。最初に,三人の女の子(M1 子,A 子,Q 子の三 人)が鬼になることになった。A 保育者が,「鬼三人でいいの?」と聞くと,みんなが
「はい」と答えた。そして,先生が,鬼の役の三人の女の子に「帽子を逆にして,ゲー ム始め!」と言った。すると,鬼以外の子どもたちと保育者はそれぞれの方向に走っ た。M1 子は,1 から数えた。その時,A 子はそばから「作戦を考えてみよう」と言った。
10 まで数えると,三人の鬼は逃げている子どもたちを捕まえようとした。最初,三 人とも保育者を追いかけた。保育者は,もうすぐ子どもたちに追いつかれるというと き,わざとスピードを落としたり,加速したりした。鬼の子どもたちは保育者を捕まえ ることができないので,諦めて他の子どもを追うようになった。しかし,鬼の A 子はず っと諦めずに加速して保育者を追いかけた。子どもたちは,森で叫びながら,走りまわ っていた。しかし,二,三分間経っても,三人の鬼が他の子どもを捕まえることができ なかった。鬼の M1 子と Q 子は,こっそり小屋の後ろにしゃがんだ。他の子どもは,ま ったく気づいていないので,そこに突然走り出して, 「キャッチ」と言って,逃げる側 の M2 子を捕まえた。M2 子は,悔しそうな顔をした。その時,逃げる側の L1 男がそば から突然走り出して,M2 子を叩いて, 「タッチ」と叫び,M2 子を救った。しかし,b)そ の時,H1 男と L1 男はルールを無視して,範囲外の園庭まで走って行っていた。九時五 十分になった時,A 保育者は,「あと十秒!」と大声で叫び,。鬼ごっこは終了した。A 保育者は, 「今回の勝ちは逃げるほうです!」と言った。みんなが楽しそうな表情だっ た。c)H1 男は, 「もう一回」と大声で言った。M1 子も「もう一回やりたい,楽しい」と 叫んだ。
<考察>
子どもは,鬼遊びを通じて,保育者と一緒に鬼遊びの楽しさやスリルなどを感じている,
気の合う友達以外の友達とも交流し,追いかけたり,追いかけられたりしながら,一緒に 遊ぶ友達がいることの楽しさに気づいている。H1 男はその遊びに入り,保育者と他の子 どもの様子を見ている。
点線部 a)では,H1 男の鬼遊びに参加したいという気持ちを感じる。点線部 b)では,H1 男が鬼遊びの逃げる側で最後まで捕まえられずに残ったものの,ルールを無視し,規定の 範囲外まで走っていた。他の子どもと違い,ルールを守ろうとしていない。点線部 c)で は,H1 男の「もう一回」という言葉から,H1 男はルールを守ろうとはしないが,走るこ とが好きで,逃げる側をやり続けることの楽しさを感じている様子がうかがえる。
事例 2 5 月 15 日 (水) 晴れ 「大事な話をしているから」 男児 5 名,女児 3 名,保育者 1 名
(鬼ごっこの最中,H1 男と Y2 男たちは,他の子どもたちに見つからないように,こっ そり園庭まで走っていき逃げていた。その後,保育者より,森の範囲内で逃げるべきで あり,園庭まで走るのはルール違反だと強い口調で話があった場面である。)
d)A 保育者が話をしているとき,H1 男は教室に戻ろうとしたが,A 保育者は, 「H1 男 くん,ちょっと待って」と言って呼び戻した。 「ルール違反をしたら,逃げる方は楽し いけど,鬼の方は全然楽しくないよ。そして,鬼の人数を考える必要もある。考えなが ら,明日またこのゲームをやろう」と伝えた。そのとき,5 歳児クラスの子どもたちが,
保育室に戻って片付けをしようと呼びに来た。しかし,A 保育者は,「待って,今大事 なことを話しているから」と言い, 「これからは,人数と場所を考えましょう。逃げる 方はルールを守っていないので,今回の勝ちは鬼でした。みんないいよね」と言うと,
他の子どもたちもみんな頷いて,それを認めた。
<考察>
この事例では,H1 男が何度もルールを無視し,決められた範囲の外まで走っていた。
このようなルール違反が何回もあったため,鬼遊びの実施も難しくなった。これに対して,
保育者は,点線部 d)のように,保育室まで戻ろうとしていた H1 男を呼び戻し,遊びの参 加者全員が集まった場で,鬼(つかまる子ども)も子(逃げる子ども)も,どちらも遊び を楽しむためには,一人一人がルールを守る必要があることを説明していた。
①のまとめ:自分の思いだけが先行している第 1 段階では,H1 男は遊びルールの重要性 を理解しようとしていなかった。他の子どもと一緒に遊びに参加はしたものの,ルールに 従うのではなく,自分の思い通りに遊びの仕方を決めて,次々とルールを破っていた。遊 びのルールを無視し,走って逃げている中で,逃げる喜びを感じていたと考えられる。し かし,仲間の存在や仲間がどんな思いでいるかについてはは気にしていないようであっ た。
②友達という存在への意識が芽生え始める段階
事例 3 6 月 5 日(水) 晴れ 「助けてくれよう」男児 4 名,女児 3 名,保育者 1 名
(午前中,遊びが始まったとき,H1 男が「氷鬼しよう」と A 保育者に提案した。A 保 育者も「そうしよう」と応じた場面である。)
(略)A 保育者が園庭から森にやってきて鬼遊びに入った。四人の鬼とも,逃げる A 保 育者を必死に追いかけ,残りの逃げる側の子どもたちも A 保育者の方向に向けて走っ てきた。4 人の鬼は,手分けをして散らばり,A 保育者を含めて何名かを捕まえた。氷 になって固まっていた e)H1 男が, 「助けて」と叫ぶと,Y1 男は,H1 男を助けようとし た。捕まっていた子どもは大声で, 「Y1 男,逃げろ」と叫んだ。しかし,鬼がいたため H1 男のところに行けなかった Y1 男は, 「すぐ戻って助けるから」と H1 男に叫んだ。H1 男はもう一度「Y1 男,助けてくれよう」と言った。Y1 男は別の方向から走ってきて,
H1 男に触れて助けた。
捕まえられて固まっていた A 保育者の近くで,二人の鬼がずっと見張っていた。H1 男が A 保育者を助けようとしていたが,転んでしまい,鬼に捕まえられた。f)H1 男は,
「助けて」と叫んだ。Y1 男が,後ろから H1 男の頭をタッチして,助けると,H1 男は必
死に走り出した。
子どもたちの数人は,保育室に水を飲みに行った。残りの人は鬼遊びをやめて,様々 な場所に散ってしまっていた。すると,数分後に保育室から戻ってきた Y1 男に,H1 男 が「みんな鬼ごっこをやめるって」と言った。Y1 男は, 「ほんま?俺はまだやる」と言 ったが,g)H1 男は, 「仲間いないとさあ,鬼ごっこは続かないでしょう。だから俺も鬼 ごっこやめる。」と返事をした。そうやって遊びが終わった。
<考察>
この事例に見られるように,ルールを守って遊んでいると,逃げる側の子どもたちの中に
「全員が捕まらないようにしなければ」という思いが出てきたようである。保育者は,遊 び始めのとき,H1 男の提案を受け入れ,氷鬼の遊びを始めた。それまで行っていた鬼ご っこから氷鬼へと種類が変わったことにより,単純に一人が逃げる遊びから,仲間の助け が必要な遊びになった。それに応じて,点線部 e)f)に見られるように, H1 男は,ルール を理解し,遊んでいる。それまで行っていた鬼ごっこ(追いかけ鬼)から氷鬼へと種類が 変わったことにより,単純に一人が逃げる遊びから,氷になって固まったときに生き返る ために仲間の助けが必要になった。それに応じて,H1 男が捕まって氷になると, 「助けて」
と仲間の助けを呼ぶ援助要請行動が見られた。
仲間(Y1 男)が実際に助けてくれると,すぐに逃げ出したり,それを「逃げろ」と声を かけて応援したり心配したりする姿が見られた。また,下線部 g)の H1 男の「仲間いない とさあ,鬼ごっこは続かないでしょう」という言葉から,他児を「仲間」と呼び,鬼ごっ こを一緒にしている他児を仲間であると捉えていることがうかがえる。仲間を意識した かかわりが見られはじめたと言える。
事例 7 7 月 3 日 晴れ 「俺負けた!」男児 7 名,女児 2 名,保育者 1 名
(自由遊びの時間中,5 歳児の子どもたちと A 保育者は一緒にしっぽ取りの遊びをし た。園庭の中でしっぽとりをした場面である。)
ジャンケンで勝った人は,黄色のしっぽ(Y2 男,S1 男,M2 子,T 男と A 保育者)を
つけ,負けた人はオレンジ色のしっぽをつけた(Y1 男,Y3 男,L1 男,Q 子,H1 男)。遊
びが始まると,オレンジ組の H1 男と Y1 男は必死に A 保育者を追いかけた。保育者は
早く走っていたので,H1 男はいったん諦め,方向を変えて,黄色組みの M2 子のことを
追いかけた。その時,A 保育者は逆行して,H1 男をせき止めた。そして,後ろの Y2 男
に H1 男のしっぽを取らせるように指示した。H1 男は,しっぽを改めてつけた。元々保
育者を追いかけようとしていたが,M2 子と先生は一緒に H1 男を追いかけ,また H1 男
のしっぽが取られてしまった。オレンジ組みの Y1 男はずっと T 男を追いかけて,彼の
しっぽをとった。オレンジ組の L1 男は先生の後ろからこっそり近づいて,先生のしっ
ぽをとった。その時,保育者は H1 男が必死に M2 子を追いかけて転んだのを見た。そこ
で,A 保育者は,「H1 男,とれるとれる」と応援して,M2 子は,すぐに H1 男のしっぽ
をとった。黄色組は A 保育者がいるため,オレンジ組のしっぽを全部取れた。Y2 男と
先生は,一緒に L1 男を捕まえた。先生は, 「あと二人」と大声で叫んだ。まだしっぽを
つけていたのは H1 男と Y1 男だった。h)H1 男は先生から小山まで追いかけられた。そ
して,ルール違反をして,草地までいった。ルールを破ったため,自分のしっぽを出し
た。残った Y1 男と先生は二分間対峙して,誰も相手のしっぽを掴まなかった。Y1 男は
逃げたが,先生からしっぽを取られ,黄色組が勝った。i)H1 男は大声で,「勝った方
は?」と聞いた。Y1 男は「黄色組が勝ったよ」と返事した。H1 男は, 「俺負けた!」と
言った。一回目の遊びは終了した。
<考察>
しっぽをとったり,逃げ切ったりするH1男は,大いに喜びを表現していた。保育者も 一緒に遊び,楽しさやスリル,しっぽを取れた嬉しさなどに共感している。H1男は自分 の好きな遊びを始め,保育者,他の子どもたちとの触れ合いを楽しみながら安心して参 加している。
点線部h)では, H1男は,ルール違反をして草地までいったが,この遊びは自分一人の 遊びではなく,ルールを守るからこそ,みなで楽しく遊べることを意識しているのか,
正しいルールを尊重し,自ら自分のしっぽを差し出している。
点線部i)からは,H1男は負けたくないが,ルールを守って自分の負けを認めている。
第一段階で,捕まらないようにルール違反を繰り返していた姿とは異なる。自分の気持 ちも,一緒に鬼遊びをしているY1男に伝えている。
保育者は,H1男に「とれる」などの言葉をかけて,走ることを楽しんでいるH1男を応 援している,周りの子ども達も,それに気づけるような声かけをしてあげて,みんなの モチベーションアップをしている。保育者自身が,思い切り楽しみ,感情を表現するこ とで,子ども達も楽しくなっていると考えられる。
②のまとめ:第 2 段階では,H1 男は集団遊びに興味を持ち,友達という存在への意識が 芽生え始めている。保育者の指導や遊びの回数の積み重ねによって,H1 男は「鬼遊び」
は自分一人の遊びではなく,仲間がいることで成り立つ集団遊びだということに気づき 始めていると考えられる。H1 男はよく一緒に遊びをする仲間を意識し,鬼に捕まった場 合は,積極的に助けを求めるようになっている。
③自分の思いも友達の思いも大切にしようとする段階
事例 9 7 月 10 日(水) 晴れ 「3 つのチームにしよう」男児 7 名,女児 5 名,保育 者 1 名
(午前中の自ら選んでする活動で,子どもたちと A 保育者が,しっぽ取りを始めた場 面である。)
A 子「しっぽ持っていくね。」と言って,しっぽにするひもの入ったカゴを森に持っ ていく。Y1 男は「いいよ」と言い,一緒に森へ向かう。
森の中では,集まった子どもたちと A 保育者がどのようにグループを分けるかを話 し合っている。すると,Y1 男が「H1 男が,三つのチーム(黄色,青,オレンジ)に分 けて遊ぶというアイディアを言ってた」と言う。それを聞いた A 保育者が「三つのグル ープに分かれる?いいの?とりあえず,やってみよう。」と言い,グループに分けるた めの数え歌をうたいながら,青グループ,オレンジグループ,黄色グループに分け,し っぽ取りを始めた。
<考察>
何回も同じ子どもたちで鬼遊びを繰り返すことで,より複雑なルールが子どもから提
案されるようになった。他の子どももその新しいルールを受け入れ,その遊びをやってみ
ている。Y1 男が H1 男のアイディアを代弁して提案したことから,二人の関係が以前より
近くなっていることを示していると考えられる。鬼遊びの中でも,様々なヴァリエーショ
ンの鬼遊びをすることで,子どもたちからルール変更の提案が出てきている。ルールを変
えることで,遊びの幅が広がり,自分たちで遊びを展開できることを体験し,様々な意見
をもつ友達がいることを味わっていると言える。保育者は,子どもからのルールの提案に
対し,「とりあえず,やってみよう」と応じて実際に遊んでみることで,子どものアイデ ィアを尊重し,ルールを新しく提案した子どもの面白さや,ルールを変えて遊ぶことがで きることを伝えていると考えられる。
事例 13 11 月 13 日 「動いたらだめやで」 男児 7 名,女児 5 名
(朝の自由遊びの時,5 歳児の子どもたちが縄跳び鬼遊びを始めた場面である。縄跳 び鬼遊びは,それぞれ縄跳びの縄を持ち,捕まえられた人を救うために,同じチームの 人と一緒に縄跳びをして一緒に跳ぶというルールがある。)
Y1 男が「鬼がいい人,手を上げて」と言うと,A 子と H2 子が手を挙げた。そこで,
彼女たち二人が鬼になった。逃げる側は,Y1 男,H1 男,Y2 男,Y4 子,Y5 子,H3 男,
S1 児,L1 児,L2 児と四歳児クラスの A2 児である。鬼の A 子は,「じゃ行くね」と言 い,鬼の H2 子と一緒にカウントダウンを始めた。カウントダウンが終わったら,二人 の鬼は,一緒に Y1 男を追いかけた。逃げる側の L1 男は大声で, 「絶対 Y1 男を狙え」と 言った。H1 男はわざと,鬼の H2 子に自分を捕まえさせようとした。そうすると,鬼の A 子は突然そばから現れて,彼を捕まえた。A 子は,「H1 男を捕まえたぞ」といった。
その後,鬼の H2 子は Y1 男を捕まえた。Y2 男は Y1 男を救おうとしたが,A 子に見られ て,追いかけられてできなかった。その時,逃げる側の L1 児が,Y1 男を救った。j)A2 児は捕まえられたが,そのまま立つことを拒否した。H1 男は彼に「動いたらだめやで」
と言った。Y5 子と H1 男は一緒に縄跳びをし,彼を救おうとした。H1 男は,A2 男を救 おうとしたが,4 歳児の A2 男は縄跳びができなかった。そこで,H1 男は,縄を A2 男の 足のところで揺らし,跳ばせた。k)隣の Y2 男は大声で, 「それはだめ」と叫んだ。H1 男 は, 「4 歳のやり方なんだから,そんなに厳しい要求をしないで」といった。しかし Y2 男は改めて「だめ。縄跳び鬼ごっこのルールは,必ず二人で一緒に跳ぶことだ」と説明 した。Y2 男は後ろから走ってきた鬼の A 子に捕まえられた。Y4 子はすぐ Y2 男を救っ た。鬼の A 子と逃げる側の L1 児は,棒の周りを回って対峙していた。A 子は,隣で見 ていた Y5 子を捕まえた。L1 男は Y5 子を救おうとしたが,鬼の H2 子に気付かれ,大声 で「やばい」と言いながら逃げた。L2 児は走ってきて,Y5 子に「捕まった?」と聞き,
縄跳びを持ち,彼女を救おうとする。Y5 子は,後ろの A 子(鬼)を見た。それで,L2 児に早く逃げるように注意をした。Y2 男は杉ハウスに立った。そこで,鬼の H2 子はこ っそり向こう側に近づいた。L1 児は,「Y2 男,早く逃げて」と言った。鬼の A 子は L1 男を追いかけた。L1 男は走りながら, 「そんな簡単に俺を捕まえられるわけはないだろ う」と言った。H1 男はずっと小屋に隠れ,誰も気づかなかった。l)そこで,こっそり 出て,捕まえられた Y1 男を救おうとした。しかし,縄跳びを二回とも失敗してしまっ た。そのとき,隣の A 子が H1 男を見つけて,捕まえた。H1 男は隣の Y5 子に「助けて,
Y5 ちゃん」と助けを求めた。Y5 子は走ってきて,彼のことを救った。Y2 男はおしゃべ りに夢中になっていたので,おにの H2 子に捕まえられた。Y1 男と L1 男は一緒に縄跳 びをして,彼を救った。最後,逃げる側の勝ちとなった。m)片付けをした時,H1 男は 縄跳びを巻くことができなかったので,隣の Y5 子に助けを求めた。そこで,Y5 子は,
巻いて彼に渡して,「はい,どうぞ」と言った。H1 男は,「ありがとう」と返事した。
<考察>
H1 男はまだ縄跳びを上手く跳べなかったが,以前からの遊びの経験より,縄跳び鬼ご っこのルールは理解していた。そのため,自分が捕まえられた時,仲がいい仲間に積極的 に助けを求め,縄跳び鬼ごっこに参加した。
点線部 j)では A2 男がルールを守らない様子を見て,H1 男は,「動いたらだめやで」な
どの言葉をかけて,遊びのルールを強調した。このように,遊びのルールを守る前提で遊
ぶのを楽しんでいることがわかる。
点線部 k)では,H1 男が遊びのルールに対して自分なりの考えをもっていることがわか る。4 歳児はルールの遵守をそんなに厳しくする必要はないと考えている。しかし,仲間 の Y2 男より,ルールは変更できないものだと強調されてから,仲間の意見をしっかり受 け入れている。
点線部 l)では,いつも仲良しの Y1 男を助けようとした時,縄跳びのスキルをうまく身 につけていないため,二回とも失敗したが,H1 男が頑張って仲間を救おうとする姿が見 られた。
点線部 m)から,片付けの時,縄跳びを巻けないため,H1 男は隣の Y5 子に助けを求めて いる。そして,仲間から親切に助けてもらっている。H1 男の援助要請は,Y5 子への信頼 が表れていると考えられる。
この事例から見れば,H1 男は集団遊びでルールを守る必要があることに対して,しっ かりできるようになってきていることがわかる。しかし,H1 男には遊びのルールに対す る自分なりの解釈がある。仲間である Y2 男は,4 歳児に対してもルールを変更すること はできないことを H1 男に伝えるが,H1 男は自分なりの考えを伝えている。しかし,Y2 男の意見を聞くと,受け入れていた。これは,H1 男が自分個人の意見を一番に主張する のではなく,相手の立場に立って考えることができていることを示しており,仲間の意 見も重要だと考え,理解し受け入れていると考えられる。
事例 15 11 月 20 日 晴 「俺が「いろはに」をしよう」 保育者1名,男児 5 名,女 児 2 名
(自由遊びの時間,保育者は遊びに入り,他の子どもたちがもう一回ケイドロをした がった場面である。)
A 保育者は, 「警察をやるので,もう一人選びましよう」といった。n)H1 男は, 「それ では,俺が『いろはに」
注』をしよう」と言い,他の子どもたちは, 「いいよ」と答えた。
Y1 男は,警察役に選ばれた。はじめまると,A 保育者は,すぐに Y5 子と H2 子を捕まえ た。Y1 男は,Y2 男に丘の上で捕まえられた。H1 男は杉ハウスのところに逃げてしまっ た。A 保育者は,Y1 男に,H1 男の位置を伝えた。Y1 男は立って, 「俺が守ってやる」と 叫んだ。A 保育者は必死に L1 男を追いかけた。L1 男は素早く逃げたが,Y1 男のそばに 行った時,Y1 男に捕まえられた。そして,隣にいた H1 男も捕まえられた。警察役をし ていた保育者も,丘の近くで Y3 男と H3 男を捕まえた。ゲームはすぐに終了し,警察役 が勝った。
注) 「いろはに」とは,鬼遊びをする人たちが片足ずつを出し,その片足を一つずつ 指差しながら「い・ろ・は・に・ほ・へ・と・ち・り・ぬ・る・を」と数えていき,最 後に指差された足の持ち主が鬼や警察役となることを決める数え歌である。
<考察>
以前,H1 男が「いろはに」をした時には,よく順番を間違え,うまく行かず,隣の子ど もに途中で止められることが多かった。点線部 n)のところから,今回 H1 男は「いろはに」
をやりたい気持ちを伝え,他の子どもたちもこのことを受け入れていた。H1 男のことを 仲間として受け入れ,任せていると考えられる。
③のまとめ:第三段階の「自分の思いも友達の思いも大切にしようとする段階」では,H1
男は遊びの中のルールを守り,積極的に遊びに参加しているだけでなく,仲間と自分の思
いを伝え合い,自己中心的にならずに仲間の意見や思いを受け止めることができるよう になったことがわかる。自分が困っているときは,ごく自然に仲間に助けを求め(援助要 請),助けてもらっていた。また,継続的に集団遊びを行う中で,H1 男は単に友達に合わ せるばかりでなく,自分の思い通りに遊ぶだけでもなく,自分と他人に違いがあることを 受け入れた上で,仲間とのコミュニケーションを行っている。そして,そのような H1 男 を仲間として受け入れている他の子どもたちの姿も見られる。
④みんなや友達の行動や考えを意識して,楽しみを共有する段階
事例 10 7 月 17 日(水) 晴れ 「交代制にしよう」 男児 7 名,女児 3 名,保育 者 1 名
(Y4 子が,しっぽ取りの新しいルールを考え出した。それを A 保育者が「面白い」と 言って,小さな黒板で,他の子どもに説明した場面である。そのルールとは,黄色,オ レンジ,青の三つのグループに分かれ,グループごとに一人を選んで,森の中の範囲内 でしっぽとりをする。各グループのカゴには,同じ数のしっぽがある。しっぽが他のチ ームに取られると,同じグループで待っていた次の人と交代するという交代制のルー ルである。)
A 保育者は「全員できると思う?やってみる?」と子どもたちに聞いた。Y1 男と Y2 男は,「やってみたい。」と言い,新ルールでのしっぽ取りを始めることになった。
黄色組,青組,オレンジ組に分かれ,遊びが始まった。各グループの代表三人が走っ て,しっぽを取り合った。A 保育者は大声で, 「A 子,頑張れ,いい感じ」と叫んだ。し かし,A 子はしっぽを取られた。(中略)途中で H1 男が来て,遊びに入ろうとした。A 保育者は,Y1 男から H1 男に遊びのルールを説明させた。H1 男は青組に入ったが,登場 した早々,Y4 児に捕まった。A 保育者は, 「すごい」と思わず言った。 (中略)A 保育者 と Y1 男の出番になり,二人は向かい合っていた。A 保育者が Y1 男のしっぽを取ると,
Y1 男と交代した H2 児がすぐに後ろから A 保育者のしっぽを取った。すると,o)H1 男 は大声で,「H2,やるー!」と大声で褒めた。(中略)
誰かが「片付け」と叫んだ。A 保育者は「早い!」と言いながら,みんなにカゴの中 のしっぽの数を数えるよう言った。オレンジ組は 16,黄色組は 9,青組は 3 であった。
そこで,「今日の遊びはオレンジ組が勝った」と先生が発表した。p)H1 男は Y1 男に,
「Y1 男,楽しいね」と言った。Y1 男は頷いた。最後に,みんなで保育室に戻って,片 付けをした。
<考察>
何度も繰り返して遊ぶうちに,子どもたちから新しいルールの提案が出てきている。新 しいルールの中で,しっぽをつけて逃げる子・捕まえる子・見ている子と様々な立場が生 まれている。一人ずつの対抗にすることで,他児の動きを見たり,仲間を応援したりする 姿が生まれている。逃げている子どもたちも,グループの代表という責任感とスリル感を 感じているようである。保育者は,子どもたちと同じ視点で,逃げている仲間を応援した り,「がんばれ」「やる」「はやい」「すごい」「いい感じ」などの声をかけている。事例の 1週間前,H1 男のアイディアに基づいて,新しいルールで鬼遊びをしたことで,その他 の子どもも,もっと遊びが面白くなるルールを考え始めたようである。他の子どもも,そ の新しいルールでやってみたいという意欲をもっているようである。保育者も,その新し い考えを受け入れることで,アイディアを出した子どもの面白さに乗っている。
点線部 o)は H1 男自身が,自分だけでなく,周囲の友達の姿に目を向けるようになって
きていると言える部分である。同じグループの友達を応援したり,「やる」などの言葉を かける姿が見られ,自分と同じグループにいる友達を大切な仲間と認識していることが わかる。点線部 p)では,H1 男はいつも一緒に遊んでいる友達の名前を呼び,「楽しいね」
と話しかけている。Y1 男も頷いて返事をしてくれたことで,その友達と一緒に遊ぶ喜び を分かち合っているようである。
事例 11 10 月 16 日 晴 「このチームでもう一回やろう」男児 7 名,女児 2 名
(子どもたちが,総合遊具の場所に集まって,もう一回ケイドロをしたがった場面 である。警察役の子どもが,泥棒役の子ども全員を捕まえることが目的でする。警察 役の子どもたちは,泥棒役の子どもを捕まえて一定の秒を数えるかタッチする(触 る)ことで「捕まえた」ことになる。捕まえられた泥棒役の子どもは,牢屋のような 場所で待っておかなければならないが,ほかの仲間にタッチしてもらい助けられた ら,再度逃げることができるというルールがある。)
Y1 男は,前回警察役をやったときに,「このチームで,もう一回,お願い」と言っ た。H1 男は Y1 男に「このチームでもう一回やろう?」と聞き,Y1 男は「いいよ」と 答えた。前に「いろはに」の数え歌で,Y1 男,H1 男,Y2 男,S1 男,Y5 子が泥棒役,
Y3 男,A 子,H3 男,L1 男が警察役と決定していた。この同じ役でもう一度ケイドロ をやることになった。
Y1 男は,十からカウントダウンして,泥棒役の人たちを連れて逃げた。十秒後,A 子は Y1 男の方に向けて追ったが,Y1 男の足が早いため,A 子はなかなか追いつか ず,もっと近くにいる Y2 男を追いかけた。Y3 男も Y1 男を追いかけ,Y1 男は一気に 丘まで走った。そして,ずっと丘に隠れていた H1 男と一緒に立った。Y3 男は,丘に 向けておいてきたので,Y1 男はすぐ丘の下に逃げた。H1 男は,「私だけを残さない でください。いやだよ」と大声で叫び,Y1 男を追いかけて逃げた。Y3 男は,Y1 男を ようやく捕まえた。Y1 男は,総合遊具のところで救援を待たなければならなかった。
Y2 男は,遊具の後ろから Y1 男をこっそりタッチして,Y1 男を救った。Y1 男は滑り台 の場所から逃げ出して,捕まえられた Y5 児を救ったが,あいにく Y3 男から捕まえら れた。A 子は必死に H1 男のことを追いかけていた。H1 男は丘まで登ったため,A 子は 諦めなければならなかった。L1 男は丘まで追いかけたので,H1 男は,丘から早く逃 げた。二人は,滑り台の両側に立って,10 秒間ぐらい対峙した。H1 男は,L1 男の不 注意で素早く逃げ出した。Y1 男,Y2 男も捕まえられた。①H1 男は,噴水の方向から こっそり総合遊具の後ろまで走って,Y1 男,Y2 男を救った。Y1 男はすぐに逃げた が,Y2 児は H2 児に見つけられて,もう一回捕まえられた。A 子と Y3 児は協力し合っ て,H1 男を捕まえた。H1 男は総合遊具のところで捕まえられた。そして,大声で,
「捕まった」と叫んだ。隣の Y2 児は,「誰に」と聞いて,H1 男は「Y3 児だ」と返事
した。Y1 男は,走ってきて,Y2 児を救おうとしたが,捕まえられた。A 子はずっと
Y2 児を追いかけたが,捕まえられなかった。そして,Y2 男は Y1 男と H1 男を救っ
た。H1 男は逃げようとしたが,すぐに捕まえられた。Y1 男は,捕まえられていた S1
男と Y5 子を救った。q)H1 男は,何度も「助けてくれ,なんで俺一人が残された
の?」と話していた。Y1 男は,「H1 男,いろんなところに動いて」と言った。この
時,遊びを見に来た A 保育者は,H1 男に「Y1 男の話を聞いたの?」と言った。そし
て,A 保育者は,みんなに「あと二分でゲーム終了」と話した。Y1 男は,多くの人か
ら逃げ出して,総合遊具のところまで走ってきて,すぐに H1 男と S1 男を救った。泥
棒役の人はみんなそれぞれの方向に逃げ出し,A 保育者はカウントダウンを
「10.9.…1,終了」と始め,「泥棒の勝ち」と発表した。
<考察>
ケイドロを通じて,遊具を避けたり砂山を登ったりと,子どもたちは多様な動きを経 験している。子どもたちは,逃げることが上手な子どもに上手く逃げられるヒントを聞 くなどして,うまく逃げるための動きを身につけようとしている。点線部①より,同じ泥 棒役の子どもたちを助けるために,H1 男は警察役からは見えにくい位置どりをして走り 寄っている。また,助けてもらえないのがなぜなのかを他児に聞くという形で援助要請 を行い,逃げるための工夫について考えをやりとりしている(点線部 q)。
子どもは,保育者がいなくても,鬼遊びに主体的に取り組み,充実感や満足感を感じ ているようである。点線部 q)では,H1 男はうまく逃げるという意欲をもち,友達の Y1 男に「なんで俺一人が残されたの?」と聞いている。そして,Y1 男は,H1 男に作戦「同 じところに立ってばかりじゃなく,いろんなところに動いて」と伝えて,その時に保育 者も間に入り言葉をつなぐことで,子どもたちがお互いの話を聞き合うことができてい る。相互の考えを聞き,一人では思い付かなかった作戦に気付くことで,自らの体や頭 を使って調整して遊びを展開している。
まとめ:第 4 段階の「みんなや友達の行動や考えを意識して,楽しみを共有する段階」に なると,H1 男と友達との言葉での交流が頻繁になってきている。遊びの中で積極的に同 じチームの仲間を応援するようになり,遊びが終わった時には,仲の良い友達と喜びを分 かち合うようになった。H1 男は張り切って遊びに参加している。それは,鬼遊びの中で,
個人として多様な動きを経験するだけでなく,自分を仲間の中の一員だと意識している ためだと考えられる。仲間の一員として,自分が捕まった時に仲間に助けを求めたり(援 助要請),他の子どもを助けたりといった援助行動がよく見られるようになった。鬼遊び の特徴の中でも,集団遊び的な側面に魅力を感じている様子がうかがえる。
⑤「協力」
1する段階
事例 12 11 月 6 日 水曜日 晴 「縄を使って協力してね!」男児 8 名,女児 3 名
(午前の自由遊びの時間,縄跳び鬼ごっこが始まった場面である。縄跳び鬼ごっこは,
参加する子どもが全員縄跳びの縄を持ち,捕まえられた人を救うためには,同じチーム の人と一緒に縄跳びを一回跳ばなければならないというルールがある。)
H1 男は,「森でやるか?」と言った。そこで,みんな一緒に森まで移動した。Y1 男 は,足で地面に線を引いた。A 子は,線を指しながら,「そこから出たらダメ」と言っ た。H3 男は,線の左側を指さして, 「俺こっちがいい」と言った。みんな,線の左側で 遊ぶことに決めた。ジャンケンで,Y3 男と H3 男が鬼をやることになった。逃げる側は,
Y1 男,Y2 男,Y4 子,A 子,Y5 子,H1 男,H2 子,L1 男と S1 男である。H1 男は, 「ロー プは必要なの?」と聞いた。S1 男は, 「必要」だと答えた。遊びが始まり,10 から 0 ま でカウントダウンすると,Y3 男は必死に Y1 男のことを追いかけた。Y1 男は,捕まえら れた L1 男を助けるため,Y3 男に捕まえられた。H1 男は,Y1 男を救おうとしたが,Y3 男から見つけられて,逆に捕まえられた。その時,A 子が走ってきて一緒に縄跳びをし,
1 本研究では,協力を,リーダー的な子どもの出現,役割の分担が見られ,子ども同士がお互いに補い合い,一人