弘 前 医 学 55:7‑ 17,2003 原 著
定位的放射線治療 (SRT)による聴神経腺癌の治療成績
美里谷 靖1・4) 安 倍 甲 藤 敬 一 1) 松 倉 場 崎 潔3) 青 木
*nrJEllJ123明明彦
弘昌 .‑ー・1133雄宏直
定英由
辺藤部
渡近阿
抄録 主 に30Gy/3分割/3日間の分割 による定位放射 線治療 (SRT)を加 えた聴神経腫療19凧 20病変の成績 を 検討 した.SRT後のMRIで2mm以上平均腫癌径(MD)が増加,或いは腫癌 による神経症状が発現 した場合を非制 御 とす ると,3, 5年臨床 的腫癌制御 率 (CTCR)は,各 々75% (12/16),61% (8/13)で あ った.合併症 は軽 度の三叉神経障害 を1例で認めた.腫癌サ イズと性状別 に成績 をみ ると,MDが中央値未満かsolidtypeの腫癌で は5年CTCRは各 々100% (7/7),89% (8/9) と良好で,腫癌 は徐 々に縮小す る傾 向を示 した.一方MDが 中央値以上 ないLcystictypeの腫癌では,5年CTCRは各 々17% (1/6),0% (0/4) と不 良で,縮小はない か一時的で再増大す る傾 向を示 した. しか し救済手術 を要 したのは19例 中2例 に留 ま った.我 々の分割 によるSRT は,神経系合併症 の面では安全だが,比較的大 きな或 いはcysticな腫癌 の長期制御 については,今一度検討の余地 があると思われた.
弘前医学 55:7‑ 17,2003 キーワー ド:聴神経腫療;定位放射線治療;分割照射;腫癌反応;のう胞型.
ORIGINALARTICLE
TREATMENT OUTCOMESOFACOUSTIC NEtJROⅣ【ASWITH STEREOTACTIC M IOTHERAPY (SAT)
YasushiMariyal・4),AbI・aAn bail)*,SadaoWatanabel), KeiichiKattou1),HiroakiMatsukura2),Hidehiro Kondo3),
K
i yoshiBasaki3),MasahikoAoki3)an d YoshinaoAbe3)
Abstract Outcomesof20acousticneuromasin19patients,treatedwith stereotacticradiotherapy(SRT)mainly usingaschedulewi也 atotaldoseof30Gyin3血・actionsin3days,wereestimated. UsingMR images, mean tumordiam eter(MD)wasseriallycalculated.A statuswithan incrementofMD above2rrm andone wi也 anadditionalneurologicalde丘citrelatedtotumorgrow仇 Wereregardedasclinicallyuncontrouable.Three‑ and51yearaCtuarialclinicaltumorcontrolrate(CTCR)was75% (12/16)and61% (8/13),respectively. One patientdevelopedslightimpalrm entOftrigeminalnerveaslatesequela.Tumorcontrolwasbetterinsmaller, MD beingbelow median・orsolid‑typetumors・Five‑yearCTCRwas1000/o(7/7)and890/o(8/9)・respectively・
Manyofthem weregraduallyshrinkingafterSET. Ontheotherhand,tumorcontrolwasworselnlarger, MD beingabovemedian,orcystic‑typetumors.Five‑yearCTCR was170/.(1/6)and00/.(0/4),respectively.
Manyofthem showednoregressionorregrowth aftertemporal shrinkagefollowingSRT. Salvagesurgery wasnecessaryonlyin2outof19.SRT,usingourschedule,isregardedsa血 inviewofneurotoxicity.However, t
hereappearssomequestionregardinglong‑term tumorcontrolinlargerorcystic‑typeones.
HirosakiMed.J.55:7‑ 17,2003 Keywords:acousticneuroma;stereotacticradiotherapy;fractionatedradiotherapy;tumorresponse;
cystictype.
1)青森県立中央病院放射線科 2)八戸市民病院放射線科
3)弘前大学医学部放射線医学教室
* 現所属 :秋 田大学 医学部放射線医学教室
4)別刷請求先:真里谷 靖 平成15年5月23日受付 平成15年7月10日受理
1)Department of Radiology,Aomori Prefectural CentralHospital
2)DepartmentofRadiology,HachinoheCityHospital
3)Department ofRadiology,HirosakiUniversity SchoolofMedicine
*PresentAddl・eSS:DepartmentofRadiology,Akita UniversitySchoolofMedicine
4)Co汀eSpOndence:Y.Mariya
Receivedforpublication,May23,2003 Acceptedforpublication,July 10,2003
8 其里谷,也
は じ め に
ガンマナイフや直線加速器による定位手術的 照射 (stereotacticradiosurgery:SRS)の登場 以後,聴神経腫癌 に対す る定位放射 線照射 は m
iCrosurgeryに匹敵す る臨床的価値を有す る治 療法 と して一般 に認識 され る様 にな った1 4)
最近はさらに,非侵襲的で着脱可能 な固定具 と 直線加速器による分割照射を用いた定位放射線 治療 (stereotacticradio仇erapy:SRT)が広 ま り,SRS同様 の臨床効果 を保持 しつつ神経 系 合併症 の発生 を低減す ることが期待 されて い る5‑9)
我 々も,頭蓋 内腫癌 に対 して主 に30Gy/3分 割/3日間の分割 スケジ ュールを用 いたSRTを 1992年 に開始 し,そ の治療効果 と安 全性 に関 す る初期報告 を行 って い る5).今 回の報告 で は,我 々の施設でSRTを施行 した聴神経腫癌 につ いて,MRIによる腫癌反応 の解析 を中心 に治療成績を検討 した.
方 法
(1)対 象
対 象 は,1989年12月 か ら1999年7月 まで の 期間に,青森県立中央病院放射線科でSRTを 施 行 した聴 神経腫療19例,20病 変 で あ る.男 女 比 は 8対11,年 齢 は25‑77歳 (中央 値60
歳),P.S.はいずれ も1で あ った.腫癌 は右側 に発生 した ものが7例,左側 が11例,両側 発 生 が 1例 あ っ た.両 側 発 生 の 1例 は neuro丘bromatosistype2を合併 して いた.病 理組織学的に神経鞘腫の診断が得 られたのは9 例 (9病変)で, これ らは手術後 にSRTが施 行 され た.それ 以 外 の10例 (11病 変)は,臨 床所見および画像診断か ら聴神経腫癌の臨床診 断を得た.手術はいずれ も部分摘 出術であ り, 手術か らSRT開始 までの期間は2‑ 3ヶ月で あ った.
9例の術後残存腫癌を含めた,腫癌の最大横 径は11‑40mm (中央値25mm)であ った. さ
らに,最大横径,最小横径,頭足方向 (縦)径 を合 計 し, これ を3分 した 値 を平 均 腫 癌 径 (meandiameter:MD)と定義 した ところ,そ の 範 囲 は7.3‑31.3m (中 央 値23.3m )で あ った.MDが中央値の23.3m 以上であ った 腫 癌 をlarge (Lg)群 (11例,11病 変),同 未 満 の も の をsmall(Sm)秤 (8例,9病 変)
に大別 した.手術後の9例 (9病変)は,術前 はいずれ もLg群 に属 していたが,術後 もなお 8例がLg群 に留 まり, 1例のみがSm群 に移 行 した. ま た,Shiratoら の 分 類6)に 準 じ, cysticcomponentの容積が腫癌 のほぼ1/3以 上 を 占め る場合 をcystictype (Cys),実質都 分の容積がほぼ2/3以上を占め る場合をsolid type (Sol) と 定 義 した と こ ろ,Cys群5例
(5病 変),Sol群14例 (15病 変) と な った.
Cys群 はいずれ も術後症例で,同時にLg群 に 含 まれ て い た.Sol群 の う ち2例 (2病 変) は,手術 によるcysticcomponentの減量 によ
り当初 はcystictypeであ った ものが術後Sol 群 と評価 されたものであ った.
(2)放射線治療
SRT用 の非侵襲性頭部固定具 は 自作の もの を使用 した5).その構成は,サーモスプ リン ト ない しMoldMaker(Smithers社)を用いた ピ ロ‑部,サーモスプ リン トを用いバ イ トブロッ クケースを一体化 したフェイスマスク,上顎歯 列か ら採型 し上記ケース部にはめ込むバ イ トブ ロ ック, これ らを連結 したヘ ッ ドシ ェルを収 柄,固定す るスケールボ ックスか ら成 り,バ イ
トブロックを介 して頭部 とヘ ッドシェルを強固 に固定す ることが可能であ った. この 自作固定 具を用いた際の固定精度は良好で,装着時の最 大誤差は0.7‑ 1m であ った5).
治 療 用CTは 横 河 メ デ ィ カ ル 社 製CT Quantex‑RXを用いた.スキ ャン範囲は頭頂部 か ら下顎骨 レベル までを含み,CTスライス厚 は病変部で2mm,病変部 より頭頂側で5m , 他部位 は 5‑10m で あ った10).治療 計画 に はCMS社製治療計画装置Focusを用 い,MR
定位放射線治療 による聴神経腫蕩治療成績
画像を参照 しなが ら三次元治療計画を行 った.
計算アルゴリズムはクラークソン法を用い,組 織不均質補正は加えなか った10). x線エネル ギーは10MV,術式は単一アイソセンターでの 4‑ 6arcs多軌道振子照射 を用 いた.照射野 は,当初は個 々の患者で各 々のarc毎に適宜決 定 した矩形小照射野 (10Ⅹ10m 〜42Ⅹ32m )
を用 いたが,1998年 以降 は5m 幅 のマルチ リーフ ・コリメータによる小照射野の原体照射 (多軌道振子原体照射)の利用が可能 となりこ れ に変更 した.Doseprescriptionはアイソセ ン ター で 行 った.計 画 標 的 体 積 (planning targetvolume:PTV)は大部分が アイソセ ン
ター線量の90%で カバーされたが,PTV辺縁 のminimum doseは50‑80%の範囲にあ った.
位 置 決 め 装 置 は 東 芝 社 製Ⅹ‑raysimulator LX‑40AおよびⅩ‑raysimulatorassistsysteml1), 治療装置は三菱社製ML‑20MDX型直線加速器 を使用 した.分割 スケジ ュールは,18例 (19 病 変)にお いて30Gy/3分割/3日間 を用 い, 1例 (1病変)でのみ25Gy/5分割/5日間を 用いた.
(3)評価法
経過観察は,SRT終了後3ヶ月および6ヶ 月 目,それ以後は半年毎 に行い,MRIによる 画像評価 と神経学的評価を定期的に行 った.観 察期間は6ヶ月以上で,最長100ヶ月,中央値 66ヶ月であ った.MRIでは,経時的に腫癌径, MDの変化を追うと同時に,照射開始前 と観察 時点のMDの比較検討を行 った. この際,MD が減少ない し不変の場合,あるいは増加 しても 2mm未満に留まった場合を腫癌制御 と判定 し た6).一方,MDが2m 以上増 加 した場合, MDの増加が2mm未満でも腫癌が原因で新た
な神経症状が出現 した り既存の神経症状が増悪 した場合は非制御と判定 した.以上の基準に従 い,1,3,5年 目の臨床的腫癌制御率(actuarial clinicaltumorcontrolrate:CTCR)を求めた.
また,MDの照射開始前値 を基準 と したMD 相対値を経時的に求め,その推移を追跡 した.
9
神経学的評価は,蝦牛 ・前庭神経,顔面神経 および三叉神経機能を中心に行 った.聴力につ いては,経時的 にaudiogram を施行 した もの が4例のみであったため,臨床所見を基に判断
した.
結 果
(1)画像評価および臨床的腫蕩制御
全20病 変 (19例)にお け る,SRT後 のMD の経時的変化を図1に示す.全体 としてはかな りば らつきがあ り,特 にSRT後数 ヶ月間と3 年 目以 降 に 目立 った.20病 変 中7病 変 で は SRT直後の6ヶ月以内にMD増加がみ られた が,このうち6病変ではその後MD減少を示 した.全般 に,3年 目以降のMDの変化 には 幅があり,4例では一旦縮小 した後再増大を来 した.1,3,5年CTCRは,各 々71% (12/17), 75% (12/16),61% (8/13)であ った.
腫癌 のサ イズ に従 い,病変 をSm群 (9病 変) とLg群 (11病 変)のMD相 対 値 を経 時 的 に解析 した グラフを図2に示す.Sm群 で は,SRT直後 に一時的な増大を示す病変が存 在するものの,時間経過 と共に縮小傾向が認め られ た (図3).これ に対 しLg群 で は,2, 3年 目以降のMD相対値 にか な り幅が あ り, 明らかな増大を示す病変が認められた (図2).
1,3,5年CTCRは,Sm群 が各 々57%(4/7), 100% (7/7),100% (7/7),Lg群 が 各 々 80% (8/10),56% (5/9),17% (1/6) であ った.3お よび5年cTCRにお いて,二 群 間 に統 計学 的有 意差 が認 め られ た (各 々 p<0.05,p<0.01:x2検定).
一方,腫癌 の性状 に従 い,Sol群 (15病変) とCys群 (5病変)のMD相対値 を経時的 に 解析 したのが図4で あ る.Sol群 には,SRT 施行直後あるいは3‑ 4年以降に増大を示す病 変も若干含 まれたが,全体としては時間と共に 縮小を示す傾向が認め られた. これ に対 して Cys群では,2,3年 目以降増大傾向が 目立ち,
5年 目には100% (4/4)が非制御 と評価 され
10 真里谷,イ由
serialchangeofMDina"20Iesions
*
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ミ ゝ 一巻
0 6 12 18 24 30 36 42 48 54 60
m onths
図 1 全20例 における平均腫癌径 (MD)の
経時的変化.
*印は救済
手術を示す.
た.腫 蕩 増 大 の主 体 は,cysticcomp
onentの 拡 大 で あ った (図5)∴ 1,3,5年
CTCRは , Sol群 が 各 々67% (8/12),100% (ll
/ll),∫ 89% (8/9),Cys群 が 各 々80%
(4/5), 20% (1/5),0% (0/4)で あ
った. 3お よび 5年CTCRにお いて,二群
間 に統計学 的 有意差が認め られた (共にp<0.01:
x2検定).
救 済 手術 を要 した のは19例 中2
例 (20病 変 中2病 変 :10%)で,い ず れ も
Lg群 お よ び Cys群 に属 していた. このうち1
例は,治療前 のMDは26.3m で,SRT後6
ヶ月 経 過 した 時 点 で のMD増 加 は1.6m と
比 較 的 軽 度 で あ ったが,腫蕩増大 に起因す る顔
面神経麻痔が 出現,増悪 し,手術が必要 と判断
された.別の 1例 は,治療前 のMDは30m で
SRT後一旦 腫癌縮小をみたが,3年後にcysticcom
ponent 拡大に伴 う腫癌再増大 と小脳失調
が出現 し以後 症状増悪をみたため,4年後に開頭下で
cystic componentの貯留内容液を吸引 した
(図5).
(2)
神経学的評価
SRT開始前 の病側聴 力 に関 して
は,全19例 に感音性難聴を認めたが, このう
ち3例は聾 と
評価 された.治療後は, 2例で臨床的に難聴 の 軽度増 悪 を認 め,17例 (3例 の
聾 を含 む)で 著変 を認 め なか った.耳鳴は,治
療 開始前19 例 中12例 に認め られたが,1例で
軽度 の増悪, 7例で著変 な し,4例で軽度 の改
善があ った.
臨章 は,治療 開始前19例 中7例
に認 め られ た が,6例で著変な く,1例で改善
をみた.治療 後に耳鳴あるいは肱章が新たに 発現 した例は
な か った.顔面 神経麻痔 は治療 開始前19
例 中8例 にみ られたが,臨床経過お よびMRI
所見か らいず れ も腫療 自体が原因と判断された
. この8例で の顔面神経麻痔は,観察期間を通
じて臨床的に 有意の変化を認めなか った.治療
開始後 に顔面 神経麻痔を新たに発症 したのは,
前述の救済手 術を要 した1例のみであ った.三
叉神経 に関 し て は,治療 開始前19例 中7例 に
知 覚異常 がみ られたが, 4例で著変 なく, 3例
で改善を認め た.ただ し,治療開始後約1年で
,腫癌 自体 に 起因 しないと考え られ る軽度の知
覚異常が,新 たに発現,以後持続 しているケー
スが1例あ っ た.同 例 は,Lg群 (治 療 前MD23
.3mm), Sol群 に属 していた.その他の神
経症状 と して は,cysticcomponent拡大 に伴
定位放射線治療 による聴神経腫癌治療成績
relativevalueofMDinsmaH9)esions
5432.109876543210111111.a
凸M‑00n一t2^0>!te一巴
0 6 12 18 24 30 36 42 48 54 6
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二二戦
0 6 12 18 24 30 36 42 48 5 4 60
m onths
図2 腫痴サイズ別 にみた平均腫痴径 (MD)相対値の経
時的変化.
a)smal1# (MD<2 3.3mm b)large群 (MD ≧ 2
3.3mm
* 印は救済手
術を示す.
行 った1例で小脳失調がみ られ, ま
た,聴神経 腫 癌 と は 関 連 の な い 脊 髄
性 失 調 が, neuro丘bromatosistype2を合併 し
た両側病変 の1例 に認め
られた.考 察
9病変).
11病変
). ll
全に除去す ることではな く, 出来 る
だけ長期 に わ た り腫癌 の増殖 を抑止す る (臨
床 的腫癌制 御) と共 に,治療前 の神経機能 レベ
ルを維持 し 新た な神経症状 の発現 を回避す るこ
とにあ る.
sRSは 全 般 に,臨 床 的 腫 療
制 御 の 面 で microsurgeryに匹敵 す る成 績 を,
神 経機 能維 聴神経腫癌の治療で重要 なことは,腫癌を完 持 についてはこれを上回る成績を示 して
12 真里谷,他
図3 Small(MD<23・3‑ )およびsolidtype典型例でのMRI所見 a)治療前のGd造影Tl強調MRI(前額断).右側に
発生 した腫癌は大部 分が実質成分か ら成 り,MDは14.7mm とsmall(Sm)群に属 した.腫
癌 による脳幹部圧排が認め られ る.
b)sRT施 行 約 8年 後.腺 癌 の 実 質 部 分 は 縮 小 し,一 部 はcystic degenerationを示す.MDは9.3… と
定位放射線治療による聴神経陸湯治療成績
relativevalueofMD insoIid15一esions
llC)M‑00nLe^a^!1eL巴 1‑.10g48765432105432.1098765432111111
cm‑00nLe^¢>!lt2LaJ 10.0.
0 6 12 18 24 30 36 42 48 54
mon 60
ths
relativevalueofMD incystic5lesi
ons
0 6 12 18 24 30 36 42 48 54 60
months
図 4 腫癌サイズと平均腫癌径 (MD)相対値の経時的変化.
a)solidtype群 ( 15病変).
b)cystictype群 (5病変
* 印は救済手術を示す.).
と した通常 分割 スケ ジ ュール(conventionall y f
ractionatedstereotacticradiot
herapy:FSRT) を用い各 々総線量54
Gy (950/.域 にprescribe), 57.6Gy
お よ び50Gy(後 二 者 は ア イ ソセ ン ター にprescribe)を投与 し,いず れ も900/.台 の良好 な臨床的腫蕩制御率を示 している. これ
らの報告では,高い腫癌制御率 と共に治療後の 13
神経系合併症発現低下が認め られてお り,顔面 神経障害発生率は0‑ 2%,三叉神経障害
発生 率は0
‑ 7%と低 く,治療可能比の観点か らは SR
Sよ りもFSRTがやや優れていることが示 唆 され る.一方,短
14 真里谷,他
図5 救済手術を要 したlarge(MD≧23.3mm)かつ cystictype睦痔のMRI. a)治療前のGd造影Tl強調MRI.左側に発
生 した腫癌は,実質内部に多 数の血cro‑cystsを含み,MDは30・O‑ であ った.
b)sRT施行約 4年後.腫癌実質部の縮小がある一方で
,内部 に大きく拡 張 したcysticcomponentが存在 し,MDは32.
定位放射線治療 による聴神経腫蕩治療成績
我 々は,主 に30Gy/3分割/3日間 (ア イ ソ セ ンタ‑ にprescribe)の分割 スケ ジ ュールを 用 いてSRTを行 って きた5). Kondziolkaら12)
によれは 聴神経腫癌 に対す るSRSで臨床的 に十分な抗腫癌効果が得 られ,かつ脳神経障害 発生率が臨床的に許容で きる レベルの線量 は,
1回照射 に凍 る辺縁 ‑,1500/O等 線量 域)線量 で 15Gy程度 とされている. これは,我 々が主 に 用いた分割スケジュールでの総線量 にはぼ相 当 す るが,我 々はこれをさらに3分割 し,3日間 で投与 している.一般 に分割照射では神経系の 晩期合併 症軽減 を期待 で きるとされ るが,実 際, 自験 例での神経系合併症は軽度の三叉神経 障害 を1例 (1病変 :5%) に認 めた のみ で, 病側聴力にも殆 ど変化はな く, これ までに報告 され たFSRTで の障害発生率 とほぼ同様 とい える.
しか しなが ら,同 じく3分割 で辺縁線量21 Gyを投与 したPoenら14)が若干高率の神経系 合併症 を報告 して い ること.我 々よ りもやや gentleな分割スケジュ‑ルを用いたWilliams15)
がや は り我 々やFSRT同様 の低 い神経系合併 症発生率を示 していることを考え併せ ると,投 与線量 やdoseprescriptionの違 い を加味 して も,分割 スケジュールにおける照射間隔の影響 は従来考え られていた以上 に大 きいのか も しれ ない17・18)∴分割照射 間隔が短 い場合 に細胞 の 亜致死損傷修復が不十分 となる割合が増加す る こ と を 示 すincomplete repair(特 にslow compartment)17・18)の存在を考慮す ると,Poem
ら14)の3fractionSRS,即 ち‑24時 間 内 に3回 照射す る分割 スケジュールは,彼 らが予想 して いた以上の障害を神経系組織 に与えていた可能 性があると思われ る18)
現時点では,doseprescriptionが統一 されて いないこと.聴神経腫痔が良性腫癌であるが故 に,分割照射の抗腫癌効果 に関す る標準的生物 学的効果モデルとされ るIinear‑quadraticmodel を単純 に適 用 で き な い こ と等 も 含 め,SRS, SRTで の分割 スケジ ュールの差異 と聴神経腫
15 あるいは神経系組織 との線量効果関係 を定量的 に検討す る ことは困難で あ る18 20). しか し, 少な くとも我 々が用 いてきた分割 スケジュール は,神経 系合併症軽 減 の観点か らはFSRT同 様高い安全性を有す るものと考え られた.
一 方,臨 床 的 腫 療 制 御 率 は,全 体 で3年 75%,5年610/.と他 施 設 の報 告lI4・7‑9・12・13)
に比べ ると若干不 良な成績であ った. これ は, Cys群あ るいはLg群での治療成績が必ず しも
良好で なか った ことに起 因 して い る.前述 の Shiratoら6)の報 告 で は,solidtypeの腫 癌 は サ イズ に大 き な変化 が ないか徐 々に縮 小 し, cystictypeの腫癌 は比較 的早期 に増 大傾 向を 示 した後次第 に縮小 を続 けてい く傾向があるこ とを示 して い る. しか し自験 例 にお いて は, Cys群 あ るいはLg群 の多 くでSRT後一時的
に は 腫 癌 の 縮 小 は 認 め て も そ の 後cystic component拡大 を主体 とす る腫癌増 大 がみ ら れ,症例 によっては救済手術を必要 と した (図 5).shiratoら6)の報 告 に比べ る と対 象 の数 が少 な く単純 な比較 は勿論 出来 ないが,cystic componentを多 く含 む比較 的大 きな腫癌 に関
して,SRT後 の腫蕩増大が必ず しも一過性で ないケニスが存在す ることには十分留意すべ き と 思 わ れ た. ま た,SRSを 使 用 して い る Linskeyら2)はSRTによる長期 的腫癌制御 に ついて疑問を呈 しているが,今回の治療成績を 振 り返 ると,比較的大 きなcystictypeの腫癌 に関 しては確かに現行の分割 スケジュールに検 討の余地があることを否定 出来 ない.今後 さら に治療経験 を重ね ると共に,その結果 によ って は線量分割の再検討を考慮す る必要 もあると考 え られた.
他方,Sm群 あ るいはSol群の 臨床的腫癌制 御は良好であ った.少な くとも,腫療径が小 さ く (MDで2cm強程度 まで)solidtypeの聴神 経腫 に対 し,我 々の分割 スケジ ュールは, 良好 な腫癌制御を得ていること.神経系合併症 も臨 床的に十分許容範囲内であることか ら,適切 な 線 量 分 割 の一 つ と理 解 して よ い と考 え られ