弘 前 医 学 18,235‑245,1966
精神々経疾患 とインシュリン反応試験
佐 々 木
SASAKI‑JIN 仁
弘 前 大 学 医 学 部 神 経 精 神 医 学 教 室 (主任 和 田豊治 教授) (10,Ⅱ.1966受 付)
緒 言
間脳 ・下垂 体系が種 々の精神活動 ,例 えは 情動 ・諸生命衝動 ,意識 の状態や高次 の精神 活動等 と,深 い関係 にある ことは広 く認 め ら れ ,精 神 々経病学 の領域 において も,その機 能 の検索が広 くな されてい る.臨床上 , この 部分 を中心 とす る障害が ,種 々の精神 々経症 状 を伴 うことは, しば しは経験 され る ことで あ り,例 えは種 々の内分泌 ・代謝疾患 ・尿崩 症 ・シモ ンズ病 ・下垂体性保儒症 ・るいそ う 症 ・糖尿病 等に種 々の精神障害がみ られ てい る.また , この部分の瞳癌 にみ られ る精 神障 害 ・diencephaloseや非定型精神病 の研 究 か らも,精 神症状 に対す る間脳 ・下垂体系の関 与が多 く報告 されてい る.器質的 に原因の示 されない精神分裂病や操 うつ病 において も, その経過 の上 に,たびた び 自律神経不安定 の 症状や気分 の変調 をきた してい る.従 って間 脳 ・下垂体 系 を中心 とす る機能環の問題 は, 精神疾患の身体的背景 に,一つ の視 角 を与 え
るもの と思 われ る.
我 々は以上 の理 由か ら,精 神 々経疾患者 に 内在す る身体的素質 の一 端 を うか が う 目的 で,内分泌 ・代謝機能研究 の面 か ら,諸 家 に よ り間脳 ・下垂 体系の機能 を知 る方法 として 高 く評 価 され て い るイ ンシ ュ リン反応試験 (以下 「イ」反応 試験 と略) を採用 し,種 々 の精 神 々経疾患者217例 に対 して行 な った .
その結果 , これ らの疾患において,間脳 ・ 下垂体 t副 腎系の機能環 に適応 欠陥 ない しは 機能 低格性 を推測 し うる成績 をえたので , こ
ー 235
ゝに報告す る. この さい,「イ」はstressorと して間脳 ・下垂 体系 を賦 活 し, これに副腎 系 も関与 して血糖や循環好酸球数等 の変動 をお こすので あるが ,我 々は これ らを指標 として 選 び,間脳 ・下垂 体 ・副 腎系の機能 を検討 し たわけであ る.
実 験 方 法
「イ」反応試験 は原則 として,病状 回復期 の精 神的 に安定 した状 態時に行 な った .また , てんかん者では,試験 前 日お よび当 日に発作 のあ った場合 は除いた. しか し一部 の症例 で は,病像や投薬 との関係 をみ るた めに,病期 に も行 な った .そのほか,糖尿 ・ウロビ リノ ーゲ ン陰性で あ る こと を 確 め , ま た 既往 に
「イ」衝 撃療 法 を うけた ことのあ るものは除 外 した .また薬物投与 を うけてい る者 では, 最短24時間の投薬 を中止 した .試験 前夜8時 以後 は絶食せ しめ,当 日は検査前30分 間安静 を保 たせて仰臥 させ,早朝空腹時 に本試験 を 行 な った.以下,「イ」血糖 ・「イ」好酸球 の 両反応試験 の成績 を,手技 ,判定術式 も含 め てそれぞれ一括 して述 べ る ことにす る.
実 験 成 績
Ⅰ.「イ」血糖 反応試験成績 (感性 試験 ) 12) 血糖値 の測定法 :葛谷 ・八川氏法 に準 じた が ,多 少の変法 を加 えた .即 ち,教室 の和 田
21)
・田中 らに よって試 ろみ られた方法 を採用 し た.耳 菜 よ り毛細管 ピペ ッ トで採血 し,直 ち に 「イ」 を5単位静注 し,以後30分迄 は10分 毎 に,120分迄は15分毎 に採血 し,Somogyi‑
236 ‑ 1.'重 々 木
Nelson氏法で測定 した.
判定基準 :この様 に してえ られた血糖 曲線 を判定す るために,4つ の要素 を も うけた.
2:))21) 5)
これ は田中 ・鳩谷 の方法 を参考 に した.
1) 「イ」感性指数 (血糖下降速度): "荏 射前血糖値一最低血糖値〟 を最低 に達す る迄 の時間で除 した もの.
2) 血糖 回復度 :最低 に達 した血糖値が , 注射前値 か ら‑15mg/dl以上 に回復す る迄の 時間で,その間の血糖値差 を除 した もの.
3) 血糖下降絶対値 :注射前値一最低値 . 4) 上昇 曲線 の過上昇 :注射前値 を基準 と し,上昇 曲線が は るかに この基線 を こえる と き, この こえた部 分 と基線 の囲む面積が ,塞 線 以下 の曲線 の囲む面積 の50%以上で ある場 合 を 、、過上昇〝 とした.
以上 の要素 を もって, 曲 線 を分 析 検 討 し て,次の3群 に大別 した (第1図参照).
第1群 :正 常型 .「イ」感性指数が1.5以上 , 血糖 回復度が0.5以上で,過 上昇な く, しか
も血糖下降絶対量が35mg/dl以上 の もの.
第 Ⅱ群 :異常型 .「イ」感性指数が1.5以 下 で,血糖下降絶 対量が35mg/dl以上の もの.
即 ち 「イ」抵抗性 であ る.
第 Ⅲ群 :異 常型 .血糖 回復度が0.5以下の もの.即 ち 「イ」不耐性 であ る.
成簾 :第 1表 は上述 の判定基準 に よ って , 各疾患群 の成績 を分析 した もので ある.被験 者 は,てんかん90例 ,脳神経疾患26例 ,非定 型精神病27例 ,繰 うつ病15例 ,精神分 裂病35 例 ,神経症19例 と,それに参考 までに行 な っ
た内分泌 ・代謝疾 患7例 の計219例 で ある.
第1表 「イ」血糖反応試験成績
∴ ̲ T ‑‑‑̲,,:
て ん カ ん 脳 神 経 疾 患 非 定 型 精 神病 操 う つ 病 精 神 分 裂 病
神 経 症
内分泌 ・代謝疾患
0675597922131
I 】
%%%%%%6120762359︼l148436321
%%%%%%91ワ︼098ワ︼3ワ︼4666866.43221 %%%%%%58604ごU432411007.D53 41
計 219 83(38,qo')62(28%)74(34%)
0040訓00朗0040g;1即仙40加
0 30 60 90 120 (分)
第1図 「イ」血糖反応曲線類型.上より,Ⅰ群 (正常型),Ⅱ群 (「イ」抵抗性), Ⅲ群 (「イ」不耐性).
精 神 分 裂 病 と神 経症 を除いては,いづれ も
「イ」血糖反応 の異常度が大 き くて過半数 を 占めてい る.
て んかん群90例 の成績 をみ る と,第2表 の よ うで ある.第1群 の正常型が26例 で,他 の 64例 (71%)が異常型 に属 していて異常型が 多い .その中,第 Ⅱ群 の 「イ」抵抗性 と第Ⅲ 群 の 「イ」不耐性が それ ぞれ24例 (26% )と 40例 (45% )を示 し,後者が大分多い.教室
20)
の田中 らの成績 では ,逆 に第 Ⅱ群が第 Ⅲ群 に 比 して多い ことにな ってい るが ,当時は症例 数 も少な く,従 って著者 らも断定的結論 をつ つ しんでいた.また後述 の様 に,小発作 ab‑
精神 々経疾患 とインシュリン反応試験 senceと自律 神経発作群 ,お よびそれ らが混
合 す る ものの大部分が第III群 に属 し,我 々の 症例 中, これ らが比較 的多 くを 占めたため も あ る と思 われ る.
脳 神経疾患群26例 の成績で は,正常型が 8 例で ,残 り18例 (69%)が異常型 を示 し,異 常型がやは り多い.その 中,第 Ⅲ群 とⅢ群 は それ ぞれ8例 (31%)と10例 (39%)を示 し てほぼ似た値 で ある.
非定型精神病群27例 で は,正 常型 はわず か に6例 で あ り,他 の21例 (78%)が異常型 を 示 し,異常率 は非常 に高 い .その中,第 Ⅱ群 が14例 (52%)と過半数 を示 して多 い.第 Ⅲ 群 は7例 (26%)で ある.
操 うつ病群 では,15例 の うち6例が正常型 に,残 り9例 (60%)が異常型 に属 し, これ もまた異常型が多 い.その うち第 Ⅲ群 と第 Ⅲ 群 はそれ ぞれ3例 (20%)と6例 (40%)で
あ る.
精神分裂病 と神経症 は似た値 で あ り,正常 型が多 く,異常型 は全体 の1/3以下で あ る.
何 らかの精神神経障害 を ともな う内分泌 ・代 謝疾患群 の7例 は,いづれ も異常型 を示 し, その うち第 Ⅱ群が 4例 ,第 Ⅲ群が 3例 にみ ら れたが ,それぞれ注 目すべ き所 見 と思 わ れ る.第 Ⅱ群 には肥満症 と末端肥大症 の各 1例 と,糖尿病 の2例 が含 まれ ,また第 Ⅲ群 には シモ ンズ病 アヂ ソン病 の各1例 の2例 が含 ま れ てい る.
さて,以上 の結果 か らして ,各疾患群 とも 本試験 での異常度 の上 か ら,内分泌 ・代謝疾 患 に近 い所 見で ある.
次 に,て んかん群 の臨床 発作型 につ いて, 本 試験 の成績 をみ る ことにす る (第2表 ).
いずれ の発作型 において も,過半数 に異常 型がみ られ る.
疫撃発作群 では,43例 中30例 (70,0/6')が異 常型 を示 して多 く,その うち第 Ⅲ群 とⅢ群 は 互 いに相半 ば してい る.
精神運動 発作群 では,8例 中5例が異常型 で あ り,その うちの第 Ⅲ群 とⅢ群 はそれぞれ
‑ 237 第2表 てんかん群 「イ」血糖反応試験成績
短型
雛型・、例JlZ]'Jr第l群第Ⅱ百第】】】群
痘 撃 発 作 13(30%)15(35%
)
15(35%)30
( 7 0 % )
小発作 absence17 3 ・ 4 精 神 運 動 発作 8 ・3 2 3 自 律 神 経 発作 ・ 2 i 2
混合型 鱒 (廿 2817(25%)
6(21%)15(54%)
‑ \ ‑ /
21(75%) 痘撃 (‑)・2; !1 1
計 】fX)26(29%)24(26%)40(i
64(71%) 2例 と 3例 とで あ る.
種 々の発作 を混合 す る群 の うち,痩撃発作 を混合 す る群 もや は り異常型が多 い.即 ち, 28例 中21例が異常型で あ り,その うち第 Ⅲ群 が過 半数 の54%を示 してい る.
ノト発作absenceと自律神経発作群 とは,特 徴 的な所 見 を示 してい る と思 われ るので ,一 括 して第3表 に示 した .異常型 は小発作 ab一
第3表 小発作Absence・自律神経発作型 と, 他型 との混合群の 「イ」血糖反応成績
発 作 型
:bb;eennccee詣 合 戸 謂 諾誤 芹岩窟を?
3279り︺3 4721
計 21 5(24%)i2(9%)14(67%) senceでは7例 中4例 に,また 自律神経発 作 群 では2例 ともにみ られ るが ,すべ て第 Ⅲ群 の所 見 を呈 してい る,更 に, これ らの発作型 のいずれ か と他型発作 を混合す る群 について は,absenseが混合 す る ものでは9例 中7例 が第 Ⅲ群 に属 してい る.また 自律神経発作が 混合 す る も の で は ,3例 の うち1例が異常 で, これは第 Ⅲ群で あ った .即 ち , absence または 自律神経発作が 混合す る ものにおいて も,第 Ⅲ群 の異常が 非常 に多い ことにな る.
次 に,てんかんの治療 において, しば しは 効 を奏す るdiphenylhydantoinが生体 にお よ
238 ‑ 佐 々 木 はす影響 をみ るた めに,経過 との関係におい て本試験 を行 な った .本剤 ア レビアチ ンが副 腎 にお よはす影響 については, これ まで に諸 家 に よ り,生化学的 な面 か ら2 ・3の報告が な されてい るが ,間脳 系に対 しては ど うであ ろ うか.
被験 者 は全部 で10例 で ある (第4表). そ の うちの8例 の未治療 てんかん者 には,服薬
第4表 ア レビアチ ン投与前後 の 「イ」反応試 験成績
・二 ∴ 一 二 :"∴
l (∩)({)〇十八人∪八・〇〇十〇十人人UO十人{)1234567890*★l 067.49980652111311 痩痘痩癌座痩痩
響響 響響 響響
精神運動響
精神運動
absence
212111231111
1192110160111
ⅢⅡ →Ⅲ1 n
Ⅰ→Ⅰ
ⅠⅡ→Ⅲ
Ⅲ→Ⅲ
Ⅰ→ Ⅰ
Ⅰ→ Ⅰ
Ⅱ→Ⅱ
Ⅰ→Ⅰ
疑不正正疑疑111111正疑正正正疑 失変少変失失変変変消不滅不消消不不不
Ⅰ‑ナⅠ■正‑疑 L減少
*難治てんかん症例
前 と,1カ月か ら12カ月の服薬後 に本試験 を 行 な った.また ,数年 以上 にわた り治療 を継 続 中であ るが ,なお発作頻度 に軽減 を余 りみ ないいわゆ る難治 てんかんの2例 には,服薬 途 上で12カ月の間隔 をおいて2回以上 にわた って本試験 を行 な った.また研究 の対 照のた めに,精 神分裂病 の患者4例 にア レビアチ ン を1日・0.3g授与 し続 け ,服薬前 と後の2 過お よび2カ月 目に検査 を行 な った.
結 果 は血糖反応 につい て は ,精 神 分 裂 病 4例 では,投薬前後 において血糖反応 の類型 に何 らの変化 もみなか った.また,第4表 に 示す如 く,てんかん群 において も同様 で あ っ た .即 ち難治 てんかん2例 では,服薬 の継続 に よ って血糖 反応 に変 化 を示す傾 向はみ られ なか った .また ,未治療 てんかん老 8例 につ いて も同様 であ る.
好酸球減 少反応 の変 化については,7例 の 検査 か ら,服薬前後 に反応型 の不変 の者が 3 例 と,疑 問ない し不全反応 の方 向に傾 いた者 が ,それ ぞれ3例 と1例 と に み られ た .那
ち,正 常反応 か ら疑 問反応 に向 った3例 と, 疑 問反応 か ら不全反応 に向 った 1例 がみ られ たので あるが ,やは り変化の傾 向が少ない こ とにな る.
次 に脳波 と 「イ」感性 との関連 につ いて検 討 を試 みた . ここではてんかん と,脳 に何 ら かの器 質的 ・機能的障害 を有す る と推測 され る脳神経疾 患 とを と りあげて述 べてみたい.
先 ずてんかん群 につ いては,第5表 に示す如 く,検索 しえた73例 の脳 波の内訳 は正 常脳波 群が2例 ,境界異常脳波群が5例 ,また異常 脳波群が66例 であ った.
第5表 てんかん群脳波 と 「イ」血糖反応試験 成績
類 ::‑ 正 常 1 2 】1
境 界 異 常 L 5
1 I 1
3】 異 常 ∃ 66 抑 26%)
計 !73119(26%)
1
9 ( 2 7 4 % 9 ( ) 7 3 4 0 % ( 4 ) 7 % )
121
(
29 % ) 3 3 ( 4 5 % )
境界異常脳波群 につ いては,5例 の うち, 正 常塾 と異常型 はそれぞれ1例 と4例 にみ ら れ ,異常型が多い.その うち,1例 が第 Ⅱ群 に,3例が第 Ⅲ群 に属 してい る.
異常脳波群 では66例 中49例 (74%),即 ち 70%以上 の多 くに 「イ」血糖反応 の異常型 を み る. この うち,第 Ⅱ群が19例 (27%)を, また第 Ⅲ群が30例 (47%)を示 し,後者がお よそ半数近い値 を示 していた. これ らは既 に 述 べたてんかん群 の成績 ともほほ一致す る と 思 われ る.
さて,異常脳波 の各脳波像 と「イ」感性 の関 連 をみ る と,第6表 に示す通 りであ る.異常 脳波群65例 の うち,中心脳性 (centrenceph‑
alic)が26例,hypsarhythmiaが4例 ,お よ び焦点性 (focal)が35例 で ある.
いずれの脳波像 において も, 「イ」血糖反 応 の異常は高率 であ る.特 にhypsarythmia4 例 はすべて異常型 を示 してお り,その うち第
精神 々経疾患 とイ ンシュ リン反応試験
第6表 てんかん群の異常脳波像 と 「イ」血糖 反応試験成績
̲ ̲̲ 二 .二一 :‑‑ .‥一一 centrencephalic,i2617(29%);8讐 (HI%'デo"' Hypsarhythmia ;4 l '2 2 Focal
Temporal
R
egi
o n 7(24%)123(78%)6(≡Frontal Region
計 F65 き18 29
l\
着て ラ 義 )
Ⅱ群 と第 Ⅲ群 は半数づつで相半 ば してい る.
次いで ,側頭葉焦点性 の もの29例 では,23 例 (78%)の多 くに異常型 を示 し,その うち 第 Ⅲ群 と第 Ⅲ群 はそれ ぞれ7例 (24%)と16 例 (54%)にみ られ ,第 Ⅲ群が過半数 を 占め
る.また 中心脳性 の もの26例 では,異常型が 19例 (71%)で あ り,や は り異常率 は高 い.
その うち第 Ⅱ群 とⅢ群 は,それぞれ8例 (31
%) と11例 (40%)にみ られ る.ただ,前頭 葉焦点性 の ものは,他 とお もむ きを異 に して お り,本試験 の成績 か ら正 常 型 が 多 い .即 ち, 6例 中正 常型が 5例 にみ られ ,異常型 は 第 Ⅱ群 の1例 のみで あ った .
次 に,脳神経疾患群 につ いての成績 は,第 7表 に示す通 りで あ る.
第7表 脳神経疾患群の脳波像 と 「イ」血糖反 応試験成績
第Ⅰ群 I第 Ⅱ群
̲腰選重量
計 異 常
脳神経疾 患20例 の うちの異常脳波17例 につ いてみ る と,3例が 「イ」血糖反応 で正 常型 を示 し,残 り14例 (82%)が異常型 であ る.
従 って,異常塾 は8割 以上 も占めて高率 であ
‑ 239
る.その うち,第 Ⅱ群 とⅢ̲群 はそれぞれ8例 (47%)と6例 (35%)にみ られた . これは てんかん群 の場合 と同様 に,脳神経疾 患群 に おいて もや は り異常脳波群 におけ る 「イ」感 性 の異常が非常 に多い ことにな る.
また ,異常脳波 の脳波像 についてみ る と, 汎性 異常 を示す もの 8例 では,その うちの 6 例 に 「イ」血糖反応 の異常型 をみ る.その う ち,第 口許 とⅢ群 はそれぞれ4例 と2例 にみ られ ,第 Ⅱ群 は半数 を 占めて比較 的多い よ う で あ る.また ,局所性異常 を示す もの9例 に ついては,8例 までが「イ」血糖反応 で異常塾 を示 してお り,異常率 は非常 に大 きい.その うち第 Ⅱ群 とⅢ群 は何れ も4例 づつ であ り, 相半 ば してい る.従 って汎性 お よび局所性 異 常脳波群 とも, 「イ」血糖反応 の異常 を示す ことが多 く,また概 して第 Ⅲ群 の異常が多い ことにな る.
Ⅱ.「イ」好酸球反応試験 成績
循環好酸球数 の測定方法 :血糖測定 と同時 に,白血球用 メランジ ュールを用 いて ,「イ」
注射前 と後120分 目の2回,耳菜 よ り採血 し, Hinkelman氏 液 で染色 し,Fuchs‑Rosenthal 計算盤 で4回算 定 して ,その平均値 を とった . 判定基準 :「イ」投与後120分 におけ る好酸 球 の減 少率 を用 いた.正 常反応 とは減 少率が 30%以上 の もの,疑 問反応 とは29′‑1%の も の,また不全反応 とは不変 ない し増加 を示す ものである.
成績 :第8表 に示す ご とく,被験者 はてん かん69例 ・脳神経疾患13例 ・非定型精神病23例
・操 うつ病9例 ・精 神分 裂病4例 ・神経症15例 と,内分 泌 ・代謝疾 患3例 の計136例 であ る.
てんかん ・脳神経疾 患 ・非定型精神病 ・操 うつ病 のいずれ において も,疑 問 ・不全反応 を示す ものが多 く,それ ぞれ88% ・46% ・52
% ・56%と,半数 ない し過半数 にみ られ る.
また ,内分 泌 ・代謝疾 患群 では,全例 とも疑 問 ・不全反応 を示 してい る.明 らかな異常 と み られ る不全反応 は ,てんかん ・脳神経疾患
・非定型精神病お よび繰 うつ病群 では,それ
240 ‑
第8表 減少率 (120分目)よりみた 「イ」好 酸球反応試験成績
佐 々 木
漢
脳 神 経 疾 患 非定 型 精 神 病
30 %以上r29‑1%
36(52%
23喜11(48%)
不全反応 不変 ・ 増 加 16(
‑
23 ‑ ‑ 3 一 一 一 % 3 →
J /()148%)7(25%)4(31%)3(23%) 7(54%) 2(
9 % ) 1 0 ( 4 3 % )
1
2( 5 2 % )
操 う つ 病 ; 9;4(44%)
3(33%)2(23%) 5(56%) 精 神 分 裂 病 '4 3
神 経 症 15を12(80%) 内分泌 ・代謝疾患 3
2(13%) 1(7%)
3
(20%)1 2
計 ・136 72(53%)29(21%)35(26%)
l
ぞれ25% ・23% ・43%お よび23%と, これ も 少な くない値 で ある. しか し精神分裂病 と神 経 症群 ではいずれ も正常反応が多 く,それ ぞ れ75%と80%で ある.
考 按
≠間脳一下垂 体‑副腎 系〝 を一つの機能 系 と してみ る場合 ,その機能 を知 るのに よい方法 は,今 日必ず しも確立 されてい る とは云 えな い よ うであ る. しか し,下垂 体がGH・ACTH
・TSHな どを分 泌す る ことに よ り,体液性 に 血糖 を調節 し,間脳 もまた神経系 を介 して, 各 内分 泌腺 お よび肝 に作用 して ,血糖 を調節 してい る ことは知 られてい る.即 ち,GH ・ ACTHが 「イ」 に桔抗 して血糖下降 を抑制
し,TSHが血糖 回復力 を増強せ しめ る とさ れ てい る. この さい,間脳 と下垂 体は密接 に 関係 し,血糖調節 の最高 中枢 と考 え られ,副 腎皮質 もまたglucocorticoid等 の ホ/レモ ンを 分 泌 しなが らこれ に関与 してい る.従 って , 体外 よ り 「イ」 を投与 す る とき, これ らの内 分泌 系相互 の平衡 に変 化 を与 えて,内部環境 の濃乱 をひ きお こすので あるが ,我 々は この 授乱が下垂体 ・副腎 系にお よはす影響 を,血
糖値 と好酸球数 を指標 として追求す ることに よ り,間脳 ・下垂体 ・副腎 系の機能 をある程 度知 りうるのでないか と考 えて本試験 を行 な
った.
まず,血糖 反応 につ いて考 えてみ るこ とに す る. 「イ」 に よる血糖 反応が 間脳 ・下垂 体 系疾患 において,正常 と異な るものが多 い こ とは,既 に諸 家の成績 の教 え る と こ ろ で あ る. これ らの知見か らす る と,我 々の 「イ」
血糖 曲線 の第 Ⅱ群 ,即 ち 「イ」抵抗性 の類型 が脳下垂体 系, ことに前葉 の機能冗進 を推定 せ し め る こ とに な る.我 々の検査 において も,末端肥大症 の2例 と糖尿病 の2例が ,い ずれ も第 Ⅱ群 の所見 を呈 していた.また第Ⅲ 群 の示す 「イ」不耐性 の類型 は,臨床 上で シ モ ンズ病 ・アヂ ソ ン病 ・脳 炎後遺症 お よび下 垂体創出動物 のそれ に類 似す る ことか ら,下 垂 体の機能低下が疑 わ れ る こ とに な る.戟 々の シモ ンズ病 ・アヂ ソン病 ・るい そ う症 の 各1例 の検査 において も同様 の結果がみ られ た.以上の ことを考慮 に入 れ て 各 疾 患 群 の
「イ」血糖反応 の成績 を考 察 してみ よ う.
精神分裂病 と神経症群 を除いては,てんか ん ・脳神経疾 患 ・非定型精神病 ・繰 うつ病 の 各疾患群 では,いずれ も過半数 に異常型 を示 してお り,従 って異常度の上 か ら内分泌 ・代 謝疾 患 と互 に似た身体生理化学的背景 を もつ ことが疑 われ ,下垂体 系の機能障害 もし くは 低格性が疑 われ る ことにな る.
非定型精神病 では特 に異常型 が多 く,27例 中21例 (78%)を示 し,実 に全体の80%近 い 値 である.その うち,下垂 体系の機能冗進が 過 半数 を占めて特 に多 く52%の値 である.次 い で,てんかん ・脳 神経疾患 と繰 うつ病 に も や は り異常型が多 く,それ ぞれ71% ・69%と 60%の値 である.なお ,てんかん と操 うつ病 群 では,概 して下垂体 系の機能低下 を疑 われ る第 Ⅲ群が多 く,それ ぞれ全体 の40%以上 に み られ る.
以上の所 見 と異 な り,精 神分裂病 と神経症 群 ではむ しろ正常型が多 い.即 ち,前者 では
楕神 々経疾患 とイ ンシュ リン圧応試験 35例 中24例 (69%)に,また後者 では19例 中
13例 (68%)に正常型 をみ る.従 って70%近 くが正 常型 であ る.
21)
さきに教室 の和 田 らは非定型精神病 の病態 生理学的研究 において,本試験 で異常型 を呈 す る ものが多 い ことか ら,非定型精神病 の精 神生理学的不安定性 の背景 の一 つ に,間脳一
下5)垂体 系の機能 低格性 を想定 した .また鳩谷 らもこれ と同様 の こ とを認 めてい る.17) Medu̲
naはoneirophreniaの1群 につ いて糖負荷試 験 と本試験 を行 ない,病像 と下垂体前葉 ホル6)
モ ンの関係 を想定 してい る.また本多 は,間 脳下垂体関連性 の精神障害者 にや は り本試験 を行 ない,失調型 を呈す る者が あ るこ とを述 べ ,間脳 の 自律神経 系お よび精神機能 にお よ
1 0 )
はす影響 に注 目してい る. さ らに楠 ら
も
,間 脳一下垂体 関連 の疾 患群 について本試験 を行 ない,敏感型 ・失調型 な どの異常反応 を呈す るものが多い ことか ら,本試験 を間脳一下垂 体 系の機能 を知 る方法 として価値 ある もの と9)
認 めてい る.石坂 は各種 の 精 神 疾 患 者 に, Exton‑Rose試験 と 「イ」感性試験 を行 ない , 糖代謝 異常 は精神 神経科領域 におけ るあ らゆ る疾患 のあ らゆ る時期 に惹起 され る現象 で, ある疾 患 に固有 の ものではない と述 べ ,情動 との関連 を強調 してい る.
我 々の試 みた非定型精神病 ・てんかん ・脳 神経 疾 患お よび操 うつ病群 につ いて も,それ ぞれの病状 と間脳一下垂 体 系の機能異常 に, 多少 とも関連が推測 され る ことにな る.
次 に,てんかんの小発作absenceお よび 自 律神経発作群 につ いて であ るが ,それ ぞれ 7 例 と2例 の検査 か ら,異常型 は4例 と2例 と にみ られ るが , これ らはす べ て 第 Ⅲ 群 で あ り, しか もまた それぞれの発作型が混合す る もの も同 じ類型 の異常,即 ち第 Ⅲ群 を多 く示 してい る.なお,absenceの混合群 では9例 中7例が ,また 自律神 経発作 との混合群 では 3例 中1例 の異常が第 Ⅲ群 である. この こ と か ら,absenceと自律神経発作 の発現 に さい して,多 少 とも下垂体 系の機能低下 の参与 を
‑ 241
疑 うこ とは どうであろ うか .
次 に,間脳一下垂 体 系 とてんかん発作 のつ なが りについて,抗 てんかん剤使用 の面か ら 少 し考察 を試 みたい.てんかんの一部 にAC‑
TH等 の ホルモ ン剤が奏効 す る ことや ,まだ 定説 をみ ないがdiphenylhydantoinが概 して 副腎 系の機能 を元進 ,または低下せ しめ る作
3)4)ll)
用が論 じられて い る. この ことは, これ まで 考 えて きた ことと照 らし合 せて興 味 あ るこ と
と思 われ る.
8例 の未治療 てんかん者 は,1月ない し12 カ月の期 間にわた るア レビアテ ンの服薬前後 において,いずれ も 「イ」血糖反応 の類型 に 変 化 を示 さなか った .また,2例 の難 治 てん かん者 も,その長期 の服薬途 上 において,や は り血糖反応 の類型 に変 化 を示 さなか った.
この こ とか ら,上 の期 間の服薬が 間脳一下垂 体 系の機能 に変化 を もた らす ほ どの影響 をお よほ しえなか った とも考 え られ る. もしそ う であ る とすれ ば,長期 にわた るア レビアテ ン の使用 に よって もなお発作 の根治的消失 をみ ない例 の多 い事実 ,即 ち発作準備状態 として の生理 化学 的不安定性が維持 されてい るであ ろ うこ とと考 え あわせて ,あ る程度 うなづ か れ る所見ではあ るまいか.
次 に,脳波 と 「イ」感性試験 の関係 につ い てふれてみたい. ここでは,てんかん と脳器 質疾 患群 において ,脳波 の異常 を示す ものの 多 くが 「イ」感性 の異常 を ともな うことは注 目すべ き所 見 と思 われ る.即 ちてんかん群 の 場合 ,異常脳波 の もの66例 中54例 の74%が
「イ」感性 の異常 を示 していた .その うち, 27%と47%にそれぞれ下垂 体 系の機能克進 と 低下が疑 われ るこ とにな る.
また脳器質疾 患群 の場合 には,異常脳波 の もの17例 中15例 の82%に異常型 の所 見 をみて お り,や は り異常型が多 い.その うち8例 と 6例 とに,それ ぞれ下垂 体 系の機能克進 と低 下が疑 われ ることにな る.従 って , これ らの 疾 患の脳波 の異常 に間脳一下垂体 系の機能 の 異常状態が ともな う場合が相 当に多 い こ とに
242 ‑ 佐 々 木
な るで あろ う.
次 に,てんかん群 の異常脳波の脳波像 と,
「イ」感性 の関連について検討 してみ る と, まず脳幹部 に機能障害が推測 され る中心脳性 異常脳波の ものでは,26例 中17例 (71%)が 異常型 を示 し, これ らは下垂体 系の機能低格 性が疑 われ ることにな る.その うち,31%と 4(1%にそれぞれ下垂体 系の機能克進 と低下が 疑が われ る.
また,脳の広範囲にわた る機能的お よび器 質 的異常が推測 され るhypsarhythmiaの もの 4例 は,いずれ も異常型 を示 し,従 って下垂 体の機能低格性が非常に多い ことが推測 され る.
次 に,限局焦点性異常の ものの うち,側頭 葉焦点性 の所見 を示す29例 では,その うちの 23例 (78%)が異常型 を示 してや は り多 く, またその うちの24% と54%にそれぞれ下垂体 系の機能先進 と低下が疑 われ る.
以上の所 見か ら,てんかん性異常脳波,あ るいはてんかん発作の発現 については,間脳
‑下垂体 系機能の異常状能が多 くみ られ, こ れに側頭葉 その他の脳部位の異常 も関係 し合
うであろ うと推測 され る.
13)
切替 はてんかん者 の発作 間数期 におけ る視 床脳波 の記録 を行 ない,皮質脳波 と異なる異 常 を示す ものが多い ことをみて,いずれのて んかん波 も発作間数期 には視床 に特異の異常 を示す ものであ り, これ を異常放電の準備状 態 を示す固定 された脳 内内部環境 のあ らわれ としてい る.また, ロボ トミ‑ ・ロベ ク トミ ー ・焦点摘除手術や視床通電時に,皮質 と視 床 の脳波が互 いに平行 して 変 化 す る結果か ら,皮質一視床機能 の密塵 な力動 的相 関を電1) 気生理学的に証 明 している.秋元 らは,家元 視床 には電気 の単一刺激 に よ り,大脳半球背 面 に広 く反応 (後発電位お よび誘発電位) を 惹起せ しめ るところ と,一定の部位 にのみ限 局 して反応 を起 こす ところが ある とい う.
2)
また 同 じく秋元 らは,人脳視床の電気刺激 に よ りてんかん様発作が ひ き お こ さ れ る こ
と, しか も刺激条件 の如何に よ り同一部位か ら異な る発作型が発現す ることをみてい る.
以上の研究 に,我 々の考察 も符合す る点が多 い ことと思われ る.
次に,脳器質疾患群の異 常 脳 波 の 脳 波 像 と, 「イ」感性の関係についてであるが ,て んかん群 と同様 に,各脳波像 に 占め る 「イ」
感性 の異常は高率 である.汎性異常脳波の も のでは,8例 中6例 に異常塾がみ られ る.そ の うち4例 と2例が それぞれ第 Ⅱ群 とⅢ群 を 示 し,各 々に下垂体 系の機能克進 と低下が疑 われ る.また,局所性 異常脳波の ものでは, 9例 中8例 に異常塾がみ られ るが ,その うち の半数づつに第 Ⅱ群 と第 Ⅲ群 がみ られ,下垂 体 系の機能克進 と低下が半 ば して疑 われ る.
しか し,脳神経疾患群 においては,てんかん 群 の場合 と異な り,概 して下垂体 系の機能克 進 を示 す もの が 比較的多い とい う所見 とな
る.
さて, これ らの こ とは前述 のてんかん群 の 場合 と同様 に,脳波の異常 と間脳一下垂体 系 の機能 異常が相当に深 い関係に結 びついてい ることを推測せ しめ るものではなかろ うか.
しか も, これ らの症例 の大部分 は臨床的に も 視床お よびその他の部位 において,神経病学 的に器質的ない し機能的障害 を疑 われ るもの であることか ら,やは り前述 の よ うに,神経 生理学上 の視床一大脳皮質結合 の知見に符合 す る点の多い ことが考 え られ る.また脳のい ずれかの部位 に器質的 ・機能的異常状態が推 測 され る場合には,大低 ,間脳 系に も (恐 ら
く二次的に)機能低格性がお よは され ること も推測 され る.
これ まで 「イ」 に よる血糖反応 について考 察 して きたが ,次 に 「イ」に よる循環好酸球 減少反応 について も検討 してみたい.
「イ」投与が好酸球 を減 少せ しめ,下垂体 一副腎系を活性 化す ることについては多 くの
14)
報告が ある.LaraghとAlmyは,ACTHの 投与 と比較 しつつ ,4例 の アジソン病 と2例 の脳下垂体障害者 に 「イ」 を体重1kg宛0.1
精神 々経疾患 とイン5'ユ リン反応試験
単位 を静注 し,4時間後の好酸球減少率が対 照群 に比 して極 めて不充分で,時 には増加す るもの もあることか ら,本試験 の結果 を脳下 垂体一副腎系の機能 と結 びつけてい る.その 18) 8) 7) 10) 6) 後Perlmutterら,石原 ら,林 ら.桶 ら,本多 も,本試験 を間脳一下垂体関連疾患群 に行 な い,その結果,間脳一下垂体系の機能 を うか が うには有用な方法 である と推奨 してい る.
「イ」に よる好酸球減少の機序の説 明につい 15)16) ては諸説が あ り,不 明の点 も少な くない. し か し 「イ」が下垂体一副腎 系を活性 化す るこ とは確証 された事実 とみ られ よ う. この場合 は,視床下部 を経 由 し,そ の 影 響 が neuro‑
humoralに前葉 に伝達 され るもの と考 え られ てい る.また 「イ」に よる好酸球減少には血 糖 の低下が一つの条件 で,それに健全な副腎 皮質の存在が必要 であ り,かつ これに 自律神 経や中枢神経 系 も関与 してい る とい う多 くの
7)18)
報告が ある.従 って 「イ」に よる好酸球減少 反応が不全 である場合 には,間脳‑下垂体一 副腎系の機能環のいづれかに障害が予想 され
ることにな る.
以上の ことに基づいて我 々の成績 を考察 し てみ る と,てんかん ・脳神経疾患 ・非定型精 神病お よび操 うつ病 のそれぞれに,ほぼ半数 またはそれ以上の疑 問 ・不全反応 ,即 ち反応 の遅延化 を示す ものがみ られ る.また,不全 反応 を明 らかな異常 とみなす と,それぞれ に 25% ・23% ・43%お よび22%が異常 として示 され るが, これは少なか らぬ値である. これ に反 して精神分裂病 と神経症 では,異常は非 常に少ないか,またはみ られない.
いま, これ らの成績 を血糖反応のそれ と考 え合せてみ る と,てんかん ・脳神経疾患 ・非 定型精神病お よび操 うつ病のそれぞれに血糖 反応 の異常型が多 く,また 「イ」好酸球減少 反応の遅延化 も比較的多 くみ られ ることにな る. この所 見は多少 とも間脳一下垂体 系を中 心 として,それに副腎 系 も参加す る内分泌 系 お よび 自律神経 系の機能的異常 もし くは低格 性 とが,深 い関係をもってい ることが推測 さ
‑ 243
れ る.
最後 に, 「イ」反応試験 の病期 と回復期 に ついての関係は どうであろ うか.さきに教室
21)
の和 田らは,非定型精神病 をは じめ操 うつ病
・精神分裂病の計15例 に対 して,二つの時期 にわた って各症例 に2回以上本試験 を行 な っ ている.同一個体 にあ っては,血糖反応 も好 酸球反応 も質的 に同一反応 を呈す るものが多 い とい う所見か ら,本試験 の結果 を体質的要 因 と深 い関係にある と考 えていた.我 々 も非 定型精神病2例 ,操 うつ病2例 と精神分裂病 4例の計 8例 に対 して,病期 と回復期 の 2回 にわた り検査 を行 な ってい るが ,いづれ も反 応類型 に変化 をみなか った.従 って,本試験 の結果は個体にある程度恒常的な もの と考 え たい.
要 約
1) イ ンシ ュ リン血糖反応の成績 では,罪 定型精神病 ・てんかん ・脳神経疾患 と操 うつ 病 のそれぞれに,かな り高率 に異常反応 を呈 す るものがみ られ る.即 ちそれぞれ78% ・71
% ・70%お よび60% と過半数にみ られ,従 っ て下垂体 系の機能異常が疑 わ れ る もの が 多 い.また非定型精神病 では,イ ンシ ュ リン抵 抗性 を示す ものが多 く,52% と過半数にみ ら れた.てんかん と操 うつ病群 では,イ ンシュ リン不耐性が概 して多 く,45% と40%にみ ら れた.従 って,前者 には下垂体前葉 系の機能 冗進が,後者には同機能低下の疑 われ るもの が多い.
2) 以上の各疾患群 のイ ンシ ュ リン好酸球 減少反応 をみ る と,いずれ も減少の遅延化, つ ま り疑 問 ・不全反応 を呈す るものが少な く ない点がみ られた.
3) 以上の諸所見か らみ るに,それ らの疾 患群 では少な くとも間脳‑下垂体一副腎 系の 機能障害 を身体的背景の 1つに もつ ものが多 い と想像 され る.