2016年前期に,ドイツ,フライブルク・カトリック 大学から4名のインターンシップ研修生,ならびに,タ イ, チェンマイ大学看護学部から9名が本学看護学科 を訪問した. その後の展開を含め, 資料として紹介す る.
1.ドイツ,フライブルク・カトリック大学 Katholische Hochschule Freiburg(Catholic
University of Applied Sciences Freiburg)
ドイツ南西部, フライブルク市にある, 応用科学カ トリック大学には, 四日市市ご出身の広江尚美先生が 国 際 交 流 セ ン タ ー 長 と し て 積 極 的 に 活 動 さ れ て い る.
三重大学との交流は,教育学部に始まり,2014年6月 11日に医学部との学部間協定が締結された.フライブ ルク・カトリック大学に医学科はなく, 実質的には看 護学科との協定と理解される. こちら三重大学からは 看護学専攻長の畑下教授はじめ, これまでに1週間の 短期訪問が3回ほど行われた.
今 回,2016年4月28日 か ら7月26日 ま で4名 の フ ライブルク・カトリック大学生が三重大学にやってき た. 彼 ら は 医 療 保 健 管 理 経 営 (B.A. Health Care Man-
agement)学士コース,第4セメスター(つまり,2年
生後半)の学生で,全員,25〜29歳の社会人であった.
高等学校を卒業後, 専門学校で看護師資格を取得した 男性3名, 同じく医療補助資格を得た女性1名, それ
ぞ れ 病 院 勤 務 を 経 て, 学 士 を 目 指 し て 入 学 し て き た.
ド イ ツ の 大 学 制 度 や 文 化 の 違 い も あ り, 学 業 の ス ケ ジュールのないときにはそれぞれの専門職として就労 している. 彼らの学ぶコースには, ドイツ内あるいは
三重大学大学院医学系研究科看護学専攻
海外から本学への研修学生の来訪とその後の展開
2016年前期
成田 有吾,児玉 豊彦,竹内佐智恵,武田 佳子,
平松万由子,福録 恵子,山田 奈央
A report on activities and effects of overseas students to the School of Nursing, Faculty of Medicine, Mie University, in the first semester of 2016
Yugo NARITA, Toyohiko KODAMA, Sachie TAKEUCHI, Yoshiko TAKEDA, Mayuko HIRAMATSU, Keiko FUKUROKU and Nao YAMADA
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外国での6週間以上のインターンシップを経験する必 要がある. さらに, ドイツ国外への渡航に関する奨学 金を獲得しようとすれば,2.5か月以上の現地滞在が必 要であった. 今回, 全員, 奨学金を獲得して,3か月 の来日となった.
彼らは4月28日朝,中部国際空港(セントレア)に 到着した. 強風のため高速船が運航停止し, 名鉄と近 鉄を乗り継いで津駅にやってきた. さっそく三重大学 のドミトリー(留学生宿舎D棟)に移動して,彼らの 日本での生活が始まった. ゴールデンウィーク期間に は, 本学の看護学科学生や教員の自宅にホームステイ し て 日 本 の 家 庭 を 経 験 し,5月9日 か ら6週 間 の 三 重 大学医学部附属病院での研修が始まった. この間, 三 重大学看護学科教員からの講義, また, 国際交流セン ターでの日本語授業にも参加した. 病院内では各部門 を見学し, 意見交換を行った. 毎週金曜日には国際交 流委員と各週の振り返りを行い, 適宜, 実習内容の確 認と調整を行った.6月13日には,三重大学医学部附 属病院長と看護部長にプレゼンテーションを行い, 附 属病院の研修で学んだことを報告した.
このインターンシップの申し出は前年に遡る. 前例 もなく, 医学・看護学教育センター長, 附属病院長お よび看護部長, 学科長に相次いで相談した.2015年9
月3日, 三重県に里帰り中の広江先生に直接お会いし て検討を進めた. あわせて, 本学と関係の深い公的4 病院 (北から桑名東医療センター, 国立病院機構三重 病院, 県立志摩病院, 公立紀南病院) の責任者に, ご 協力をお願いした. ドイツからの4名は, 学内外, 各 地で, 看護, 臨床, 医療経営に始まり, 文化, 風物な どさまざまなことを経験した.
なお, 研修内容については, 先方からのカリキュラ ム等はなく, また, 免許の問題, 言葉の問題から, 具 体的な研修内容の構築に思案した. 三重大学での研修 は, 見学中心, 全病院的規模での対応が, 看護部の教 育担当副部長はじめ多くの関係者, 看護学科の各委員 の尽力によりプログラムが形成された. 来日するまで は研修生からも 「なんでもあり」 的な表現であったた め, 本学附属病院はじめ, 関連4病院もどのように受 け容れれば良いか, 混乱した. 来日後, 具体的な活動 の見学に加えて, 病院経営についての関心が高かった ため,それぞれの部署で情報提供に務めた.しかし,こ とばや制度の違い, 事前に英語版資料等の用意が調い にくい状況から, 未消化に終わったところも少なくな かった.
三重大学での6週間の研修のあと,6月20日から7 月22日 ま で,5週 間 の 予 定 で, 前 述 の 関 連4病 院 を ローテーションして研修を続けた. それぞれの病院で
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地域の高校生),ときには病棟や救急外来の作業,感染 対策などの活動に参加した.
ドイツからのインターンシップ研修の最終週(7月 18日〜22日)には,タイ,チェンマイ大学看護学部か らのチーム9名 (学部学生8名と教員1名) が本学を 訪問した.ドイツからの学生は,いくつかのタイ チー ムの行事にも,参加した. 最終日7月22日夕方のまと めの会は, あわせて3カ国の学生が交流する場となっ た. ドイツからの学生は自国の様子や3か月間の経験 を, タイからの学生はチェンマイの文化やこの1週間
の感想を披露した. 三重大学看護学科の学生は, この まとめと送別の会を,交流の総括の好機として企画,運 営した. 附属病院の看護部職員や看護学科の学生・教 員に加えて, 県立志摩病院や公立紀南病院での担当者 も, 送別会に駆け付けて場を盛り上げた.
ドイツからの4名にとって, 初めての異文化地域で の滞在であった. かれらは心身の体調を崩したことも あった. ことばの問題から, 十分に伝えきれずにスト レスを感じることもあった. しかし, 関係各位のご協 力により, 無事に3か月の研修を終えることができた.
なお, 彼らの日本語能力を形成するにはかなりの時 間がかかる. ドイツでの半年間の日本語学習に加えて,
来日後の日本語集中練習にもかかわらず,3か月の間 に実用的な日本語会話の獲得には至らなかった. 共通 言語として, 英語を使用した. 少数回ながらドイツ語 での通訳が入った場面では, 非常に会話内容が増えた.
また, 受入側の英語能力向上の必要性も痛感する場面 が多々あった.
その後, 三重大学から2016年11月20日〜24日に,
看護学専攻博士前期課程学生ほか5名が同大学を訪問 した. 地域の医療・介護の公的提供システム, 医療資 源配分, 医療経営, 翌年に控えたドイツの介護保険制 度 改 革 な ど 相 互 に 関 連 す る 問 題 を 体 感 し て 帰 国 し た.
2016年12月 に は, 再 度, ド イ ツ, フ ラ イ ブ ル ク・ カ
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トリック大学から教員と学生が, 三重大学を訪問する.
「地域医療と医療資源のマネジメントに関して,日独に 共通する諸問題と解決策に向け議論し, 地域から世界 を眺め, 世界から地域を考える」 ことをテーマにパネ ルディスカッションを予定している. 今後, 両大学間 の交流が研究場面にまで発展することを期待する.
2.タイ,チェンマイ大学
Faculty of Nursing, Chiang Mai University
タイ,王立チェンマイ大学看護学部からの学生チー ムが, 三重大学を訪問した. 同大学は, 本学医学部看 護 学 科 の 提 携 校 で,3年 前 か ら 年 に 一 度, 相 互 に1週 間 の 研 修 を 受 け 容 れ て き た. 今 年 は7月17日 か ら23 日 ま で,9名 (学 部 学 生8名 と 引 率 教 員1名) が 来 日 した.
7月17日(日曜日)朝,シンガポール航空で中部国 際空港 (セントレア) に到着し, 津なぎさ町からは大 学の自動車で宿舎のクリスチャン教育センターに移動 した. 看護学科棟でのオリエンテーションのあと,キャ ンパスや近隣を案内した. 日本の寺院を訪問したいと の希望があり, この日のうちに委員が真宗高田派本山 専修寺を案内した.
翌18日(月曜日,海の日)は休日だったが,午前中,
看護学科の教員や学生, ドイツからの研修生も参加し て, 看護学セミナーを開催した. 本学学生が三重県や 三重大学のこと, 日本の看護制度などを概説し, 続い て, チェンマイ大学からの学生がタイの看護師養成や 医療についての紹介を行った.その後,引率のピヤヌー ト・シュート准教授がインターネットを用いた自身の 介入研究を紹介し, 共同研究を提案した.
セミナーのあと, 一行は, 看護学科学生, フライブ ルク・カトリック大学の研修生とともに, 松阪市まで 近鉄で移動し,昼食,松阪もめん機織り体験に続き,松 阪城址では甲冑隊から英語での説明を受けた. 御城番 屋敷では, 甲冑隊の一人の住居に上がらせてもらった.
必要時には広い部屋として,襖を取り払って使える,コ ンパクトで機能的な家屋構造や, 小さくとも緑ゆたか な庭を拝見できた. この間,3カ国の学生が相互に交 流する機会となり, 英語で活発な会話が聞こえてきた.
19日(火曜日)には三重大学医学部長への面会,看 護学専攻長畑下教授からの学科紹介, 学科および共通 教育での英語による授業の見学,20日(水曜日)には,
三重大学医学部附属病院見学, 看護部長への面会, 等 のあと,彼らのみで近鉄に乗って名古屋まで行って,街 を楽しんできた.21日(木曜日)には,ピヤヌート准 教授と看護学科教員による研究検討, 医学・看護学教
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育センターの英語担当の外国人教員と当科学生との英 会話のランチタイムなどを経験した.21日午後には,
チェンマイ大学チームが看護学科の実習室を利用して タイ料理を作り, 当科学生とともにパンケーキを焼い て, 看護学科棟の中庭で皆が幾つかのグループに分か れて賞味した. このとき, グループディスカッション 形式で, 将来展望など, それぞれに話題を提示して意 見を集めることも試みた.
22日(金曜日)は,研修最終日ながら,大学のバス を利用して, 竹内准教授の引率で紀南地区を訪問した.
早朝, 出発した頃より, あいにくの雨天で, 途中, 紀 州らしい激しい降雨にもなったが, 自然豊かな紀伊半 島と海岸風景を楽しみながら,公立紀南病院に9時30
分 頃 に 到 着. 同 院, 内 科 の 森 本 真 之 介 医 師 の 案 内 で,
病院見学に加えて, 浅里地区を訪問した. 同地区は5 年前の大水害で被災した, 熊野川沿いの過疎地域であ る. 地域の共助を支える地域医療の実際を, 現地に身 を お い て 知 る 機 会 と な っ た.16時30分 に は 大 学 に 戻 り,18時からのまとめの会&送別会に参加した.
最終日7月22日夕方は前述のように,ドイツ,フラ イブルク・カトリック大学からの研修生との合同で3 カ国の学生が交流する場となった. チェンマイの文化 では,繊細で優雅な舞踊とチェンマイ大学式のチアリー ディングが披露された. また, 彼らはパワーポイント を用いて1週間の研修内容や感想を20分程度でまとめ て報告した. 三重大学看護学科の学生は, それぞれの
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訪問者に気配りしながら, 総括の好機ととらえて企画,
運営した.
タイからのチームは全員,英語での会話は堪能で,ド イツ研修生とも積極的に交流していた. 当方にとって,
全体としての英語能力の向上は課題である. また, 共 同研究を提案されたときなど, 不慣れな当事者を支え,
必要な文書のひな形や内容のチェックなど支援できる システムが必要である. 今回, 短期間(1週間) の訪 問ののち, さっそく看護学科内での共同研究への対応 が模索された. 専攻長を含む, 共同研究チームが, 児 玉豊彦講師 (精神看護学) を中心に構成され, 学内の 他学部 (工学部) の研究者および医学部医学科の臨床 家を加えて始動した.
補遺:「チェンマイ大学看護学部主催のOptimiz- ing Healthcare Qualityに参加して」
2016年6月22〜24日,チェンマイ大学看護学部が主
催して国際学会 「Optimizing Healthcare Quality: Team- work in Education, Research, and Practice」がチェンマイ で開催された. 昨年度, 引率のピヤワン・サワディシ ンガ助教授より参加を強く勧められていたため, 当科 から2題のポスターを発表した. この学会は, 多職種
連携をテーマとし, チームワークの醸成, 教育, 臨床 応用, 研究を扱い,40カ国,400名を超える参加者で 活発な討論が行われた.なかでも日本からの4大学(神 戸大学, 香川大学, 琉球大学, 東邦大学) は共同スポ ンサー (全18:14大学および4団体) として参画し,
展示ブース, セレモニー, シンポジウム発表でも非常 に目立った存在であった.これらの大学は10年以上の チェンマイ大学看護学部との関係構築があり, 研究内 容も基礎医学から看護学へと連携していた. 学生の相 互訪問から教員へ, さらにはさまざまな専門領域を繋 げての交流に至る成功例のように感じられた.
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