• 検索結果がありません。

学 位 論 文 審 査 結 果 の 概 要

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学 位 論 文 審 査 結 果 の 概 要 "

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

様式第8号(第18条,第36条関係)

学 位 論 文 審 査 結 果 の 概 要

氏 名 谷脇 旦

学位論文審査委員氏名

主査 岡崎 雅明

副査 伊東 俊司 副査 澤田 英夫

副査 糠塚 いそし 副査 北川 文彦

論 文 題 目 ルイス酸活性点として 14 族原子を含む遷移金属錯体の創成 (Synthesis of transition-metal complexes containing a group 14 atom as a Lewis acid site)

審査結果の概要(2,000字以内)

有機合成化学および触媒化学における物質変換反応において、ルイス酸反応場が担う役割は重要で あり、新しい反応場の創成を目指して活発に研究開発がなされている。元素戦略の観点から、特に開 発が期待される 14 族元素をルイス酸活性点とする反応場および触媒への展開については皆無に等し い状況にある。14族元素化学種のうち、炭素陽イオン種であるカルベニウムイオンおよび含ケイ素不 飽和化合物を、ルイス酸反応場の候補として挙げることができる。しかし、いずれの化合物も、空気 中で極めて不安定であり、ルイス酸反応場へと展開するために更なる研究が必要であった。本学位論 文は、含 14 族元素フラグメントを遷移金属と複合化による新機軸ルイス酸反応場の構築に関する内 容を含み、第1章では、関連する化学を概観し本論への緒言としている。第2章では、未踏化学種で あるエチニルカチオンの準安定化に取り組み、ピラジンおよびバタフライ形四鉄骨格を導入すること に成功している。また、水あるいはメタノールなど極性分子と高い反応性を示すことから、本反応場 は、取り扱いが容易でありながらも、高いルイス酸性を有することが明らかとなっている。第3章で は、四鉄-エチニルカチオン複合系反応場にて、前例の無い温和な条件下でのアセトニトリルの脱プ ロトン化について、述べられている。これまでのルイス酸反応場では、ジアザビシクロウンデセンな ど強塩基の導入が必要不可欠であり、官能基選択性の観点から、解決すべき課題と認識されてきた。

本研究で導入した四鉄-エチニルカチオン複合系反応場では、汎用的に添加剤として用いられるトリ エチルアミンなど第三級アミンにて、アセトニトリルの脱プロトン化によりシアノメチル陰イオンが 発生することを明らかにしており評価される。第4章では、四鉄-エチニルカチオン複合系反応場に て、tert–ブチルイソシアニド、シクロヘキシルイソシアニドおよびベンジルイソシアニドの活性化、

つまり炭素-窒素結合の開裂反応について述べられている。いずれの反応も例は少なく、特に第一級 および二級イソシアニドを、活性点として典型元素を含有するルイス酸反応場にて活性化した例はな く、四鉄-エチニルカチオン複合系反応場の優位性を示している。また、反応をNMRスペクトルに より追跡することで、tert–ブチルイソシアニドにおける炭素-窒素結合の開裂は不均等開裂により進 行することを明らかにしている。第5章では、四鉄-エチニルカチオン複合系反応場における、有機

(2)

ケイ素化合物のケイ素-水素結合、ケイ素-ハロゲン結合およびケイ素-酸素結合の開裂反応につい て述べられている。高周期典型元素であるケイ素は、機能性分子および材料におけるキーコンポーネ ントとして導入されることから、本変換反応の更なる展開が期待される。また、本反応の特筆すべき 点は、フッ化物イオン源として、ヘキサフルオロリン酸イオンを共存させることで、最も安定な単結 合の一つとして知られているケイ素-酸素結合を切断し、フルオロシランへと触媒的に変換するとこ ろにあり、新規性および独創性共に高い研究成果といえる。第6章では、ケトンのケイ素および硫黄 類縁体であるシランチオンをイリジウムと錯形成させることで、ルイス酸反応場へと展開した研究に 関して述べられている。本章で述べられている錯体はシランチオンが遷移金属に配位した初めての例 であり、単結晶X線構造解析にも成功しており、この点は極めて高く評価される。シランチオンにお けるケイ素および硫黄間においてp軌道の重なりは十分でなく、そのπ*軌道のエネルギー準位が低い ため、ルイス酸反応場としての展開が期待されてきた。本研究で合成に成功したシランチオン配位錯 体では、シランチオンとしての性質が保持され、水およびメタノールと速やかに反応することが報告 されており、このことはシランチオン部位がイリジウムと相互作用することで準安定化された状態に あることを示している。特筆すべきは二酸化炭素をケイ素-硫黄間での捕捉活性化した反応であり、

素反応として新しいだけでなく、触媒反応への展開が期待される。いずれの反応においても、正に分 極したケイ素と負に分極した硫黄が協奏的に小分子を活性化する機構が提案されており、妥当なもの と判断される。

以上のとおり、本博士論文では、これまでルイス酸活性点として用いられてこなかった 14 族元素 化学種を遷移金属と複合化することで、新規性の高いルイス酸反応場の創成に成功しており、高く評 価される。博士論文の内容、予備審査、本審査および公聴会におけるプレゼンテーションおよび口頭 試問の結果に基づき、学位論文審査試験に合格と判定された。

学位論文の基礎となる参考論文

1. M. Okazaki, W. Taniwaki, K. Miyagi, M. Takano, S. Kaneko, F. Ozawa, Lewis Acid Chemistry of a Cationic [CCH] Subunit in a Bisdisphenoidal Eight–Atom Tetrairon–Tetracarbon Cluster, Organometallics 2013, 32, 1951-1957.

2. W. Taniwaki, M. Okazaki, C(sp3)–N(sp) Bond Cleavage of Isocyanides at a Cationic [CCH] Subunit in a Bisdisphenoidal Eight–Atom Tetrairon–Tetracarbon Cluster, Chem. Lett. 2013, 42, 807-809.

3. W. Taniwaki, S. Ohta, M. Okazaki, Activation of Isocyanides and Hydrosilanes by a Cationic [CCH]

Subunit in a Tetrairon–Tetracarbon Cluster, Bull. Chem. Soc. Jpn., 2016, 89, 11-19.

参照

関連したドキュメント

農産局 技術普及課.. ○ 肥料の「三要素」は、窒素(N)、りん酸(P)、加⾥(K)。.

非自明な和として分解できない結び目を 素な結び目 と いう... 定理 (

Kyoto University Research Information Repository https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp... A Self-archived

19370 : Brixham Environmental Laboratory (1995): Sodium Chlorate: Toxicity to the Green Alga Scenedesmus subspicatus. Study No.T129/B, Brixham Environmental Laboratory, Devon,

よう素による甲状腺等価線量評価結果 核種 よう素 対象 放出後の72時間積算値 避難 なし...

水素爆発による原子炉建屋等の損傷を防止するための設備 2.1 概要 2.2 水素濃度制御設備(静的触媒式水素再結合器)について 2.2.1

水素濃度 3%以上かつ酸素濃度 4%以上(可燃限界:水素濃度 4%以上かつ酸素

条例第108条 知事は、放射性物質を除く元素及び化合物(以下「化学