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小池雄太 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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小池雄太 論文内容の要旨

主 論 文

Autoantibody Against Survivin in Patients with Systemic Sclerosis

(全身性強皮症患者における抗survivin抗体の検討)

小池雄太、室井栄治、吉崎歩、小川文秀、竹中基、清水和宏、簗場広一、佐藤伸一 Journal of Rheumatology379号・1864-702010

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 博士課程医療科学 専攻

(主任指導教員:宇谷厚志教授)

緒 言

全身性強皮症(systemic scleroris ; SSc)は皮膚、肺、腎、食道、心臓の過剰な線 維化を特徴とする全身性の結合組織性疾患である。SSc の病態は未だ不明であるが、

90%以上のSSc患者で特徴的な自己抗体が検出される。自己抗体の種類と臨床像が相 関するため、SSc の発症に大きく関与していると考えられている。レイノー症状は SSc初期よりよく見られ、経過中90%以上の患者で陽性となる。レイノー症状により 末梢血管の虚血・再還流を繰り返した結果、血管内皮細胞のアポトーシスを生じる。

細胞はcaspaseカスケードを介してアポトーシスに至るが、inhibitiors of apoptosis proteins (IAP)によって抑制される。そのため、病初期よりアポトーシスが生じるSSc では、IAPが過剰産生され、IAPに対する自己抗体も早期より産生される可能性があ る。IAP の一つである survivin は成人正常組織ではほとんど存在せず悪性腫瘍でよ く見られ、近年慢性関節リウマチとの関連性も報告された。今回の研究では同じ自己 免疫疾患であるSScsurvivinの関連に着目し、SSc患者においてsurvivinに対す る自己抗体が産生されているのか、また産生されているのであれば臨床症状と相関す るのか、更に血清中のsurvivin量について検討を行った。

対象と方法

対象はSSc患者61例(男性8例、女性53例)であり、年齢は49±16歳であった。

SScの病型は、diffuse cutaneous SSc (dSSc)37名、limited cutaneous SSc (lSSc) 24名であった。全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus ; SLE) 20例を疾患コントロールとし、健常人29例を正常コントロールとした。これらの血

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清を研究サンプルとして用いた。

survivin 抗体を ELISA 法で検出した。ELISA 法については、まずプレートに full-length recombinant human survivin250 ng/mlの濃度で4 、一晩コートし た。各ウェルに1:100で希釈した血清を加えて室温で90分間反応させた後、alkaline

phosphataseを標識した二次抗体を加え、発色させ吸光度を測定した。

survivin抗体を免疫ブロット法で検出した。免疫ブロット法では、ELISA法で

IgG 型抗 survivin 抗体価が健常人の平均値+2SD 以上であった SSc 患者、同抗体が 低値であったSSc患者、正常コントロールの血清を用いた。full-length recombinant

human survivinを電気泳動し、ニトロセルロース膜に転写、血清と一晩反応させ、

alkaline phosphataseを標識した二次抗体を加え発色させた。

血清中のsurvivin量をELISA法で検出した。ELISA法は、survivin測定ELISA kitを使用した。

結 果

ELISA法にて、SSc患者のIgG型抗survivin抗体価は、健常人、SLE患者と比べ 有意に上昇していた。健常人の平均値+2SD をカットオフ値とすると、IgG 型抗 survivin抗体はSSc患者の41%で陽性となった。SSc患者とIgG型抗survivin抗体 との臨床的相関について解析したところ、IgG 型抗 survivin 抗体陽性患者では同抗 体陰性の患者と比較して有意に罹病期間が長かった。

免疫ブロット法において、ELISA 法で IgG 型抗 survivin 抗体陽性であった SSc 患者血清は、recombinant human survivinと反応しバンドを認めた。同抗体陰性SSc 患者血清及び健常人の血清ではバンドを認めなかった。

SSc 患者における血清survivin 量は、健常人、SLE 患者と比べ有意に上昇してい た。血清survivin量と、ELISA法で測定したIgG型抗survivin抗体価あるいはSSc 患者臨床像との相関はなかった。

考 察

今回の検討で、SSc 患者ではIgG 型抗survivin 抗体価が健常人と比べ有意に上昇 し、なおかつ血清中のsurvivin量も増加していることが示された。IgG型抗survivin 抗体陽性患者は SScを長期罹患している傾向があり、血清中の survivin が長期曝露 し自己免疫反応を生じた結果、抗 survivin 抗体が産生された可能性がある。また長 期罹患と相関があることは、レイノー症状による末梢血管の反復損傷の結果、血管内 皮細胞のアポトーシスを誘導し、IAP である survivin が生じ、それに対応して抗

survivin 抗体が生じたという仮説を支持する。一方、同じ自己免疫疾患である SLE

は今回の検討でsurvivinとの相関がなく、survivinに関して言えばSScSLE間で 自己免疫反応の進展に違いがあるものと思われる。

参照

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