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黒心可鍛鋳鉄の表面焼入硬化 三 ケ 島 秀 雄

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14

黒心可鍛鋳鉄の表面焼入硬化

三 ケ 島 秀  雄

大和田野利郎

Surface Hardening of Black Heart Malleable Cast Imns

砂1r娼θo・441κ4s田Mメ

   rosゐ ro OJア.4D4ZVO

Synompsis:

 To obtain tough cored and hard skillned material, the authors investigated

the surface hardening of plain black heart and}1igh strength血alleable cast irons

by means of oxy_acetylene flame heating aud induction heating followed by water quenching・

   1. Plain black heart and high strength malleable cast irons can be both  flame hardened・・The optimum quenching temperature is 900〜950°C.

 Maximum surface hardness Rc 50〜55 is obtained in these conditions.

 Ahigher quenching temperature than this spoils the materfa1. By examining

 tlle micro・structure, it is found that this hardening is due to the martensite

 formation by quenching au8tenite, into which has resolved some fraction of

graphite carb・n・r spher・idized cementite pri・r t・the quenching. Higher  the heating speed, the larger the decreasing slope of hardness towards inneτ  po「tlon・

   2・ Plam malleable cast iron can be surface−hardened by induction heating  「followed hy water quenching in favourable conditions. The surface}1ardness  Rc 40〜500r more is obtained when quenched at 950〜1050°C.   InductiOn  hardening of high strength malleable cast iron meets some difficult proplems,

 nalneIy, cracking and forlnation of ledeburite structure around temper carbons.

1 緒    .言      H 試    料

 黒心可鍛涛鉄の特徴とする靱性を活し,:表面だ   試料は日立製作所戸畑工場の塩谷勝喜氏の御好 けを硬化させて磨耗に耐える外剛内柔の材料を得  意によるもので,直径26mm,長さ300mmの丸棒 ようとする企てが,近時試みられつつある。酸素  で,その化学分析の結果は次表の通りである。

一アセチレン焔による黒心及び高力可鍛鋳鉄の火

焔焼入は,既にその効果が認められているが1)〜2),

高周波焼入法の適用につV・てぱ未だ是非の論が多 い3)。そこで著者等は,丸焼入法,火焔焼入法,

高周波焼入法による普通黒心可鍛鋳鉄及び高力可 鍛鋳鉄の表面硬化法の検討を試みた。ての結果,

種  別

普通黒心可 鍛鋳鉄

記号

P

化  学  成  分  %

C lSilMnl P l S lCr

2.62 1.27

0.40

…77…961…39 鍵可⇒Hl2・581…3・・6・…83・・…1・・

ワ       圃 電気炉加熱丸焼入法

火焔焼入法及び高周波焼入法による可鍛鋳鉄の表    普通黒心可鍛鋳鉄及び高力可鍛鋳鉄の一般的な

面硬化が可能であるという結論を得た。      焼入硬化性を検討する目的で.この実験を行つ

(2)

,         一黒心可鍛鋳鉄の表面焼入硬化一          15

を行v・,冷却後   o 試験片表面のロ   50

ツクウエールCロ旬

        ツ30

硬度を測定しク た.第・図はそ認

の結果を図示し ル6         C たものである。  50       _ 硬

譲錫ごξ度:

れも900〜95ぴc   zo       10 焼入で最高硬度

た。750〜1,050°Cの各種温度に保つたニクロム  の3種とした。加熱表面温度と加熱時間との関係 線巻の電気炉申に,試料を15mm厚さに切断して  を・これら3種の加熱速度につV・て示せば・第3 作つた試験片を挿入して,15min加熱して油焼入  図の通りであつた。例えば・表面温度が960°Cに        達するに要する時間は,高速加熱(1),中速加熱

(皿)及び低速加熱(圃)の場合,それぞれ約55sec,

120sec及び300secである。

1200

 1100 温 鹿1000

εqoo

  800

・……

o

。・−g

       7000 P。2。03。。㈹050。

      加熟時向 5ec.・

が得られ,その η5°8°°震艦富㍗1㈹ 第3図酸素ア好・ン焔による表面嚥曲線

最高値はRc 55 第1図丸焼入法㌘よる普通黒心可   これら各種加熱速度,各種焼入温度で焼入した

醸である. 灘㌶鶏《鑓灘の試験片唖面鞭及び締醸戯測定した結果

       を,第4図及び第5図に示す。焼入表面からの硬     IV 火 焔 焼 入 法      度勾配は加熱速度が小さい程小となり,硬化層の .  試料を15mm厚さに切断し,焼入後の硬度分布  厚さは逆に厚くなる傾向が認められる。

芭測定するため・更に2分してその縦断面を干滑    ω 斥研磨した後,叉針金で縛り合せて焼入試験片と     即 した。この試験片を第2図に示すような鋼板支持    馬40 台上曙き・オプチカルパイ・メーターで潰u温し ξ,。

ながら*)酸素アセチレン焔で試験片上面を加熱し   }レ

腰温度噂した際に試験片を手早く水中畷入 竺z°

冷却した諦鍛焼入表面及び幽面噸度を測 璽1°

定し,その顕微鏡組織をしらべた。      o  焼入表面の温度は750−)1,120°Cに変化させ,     −lo

叉酸素アセチレン焔の火口の大きさ及び火口と試     0 510150 Sl。}SO 51015

鷲馴㌶を竃蒜゜灘㌶;第4図普鋼撫撫の…布

      「      60        酸素アセチい焔

       がイド  長      50

      ロ        獣  %       ノソ船       鋼板       竪30

         璽1㍉覆   :即

      峠い zz         度       第2図火焔焼入実験装置図

     、、、07

10

@   1075

も.

10〜8 q

稔萬 q60

875

75

7●0

?5

め  酸素アセチレン焔を通してオプチカルパイロメー

ターで醐する

ーにはピ空気鯛気中における酬三  ゜ 齢軸…治 

著しく異るので・ジチカル刈胃メーター繊電縮  第5図高力可鱗鍬幽入後の顧分布

溜計で補正して使用した。

60

助 120℃焼入

lO町ll20℃

05ぴc

075

lo2 、015

30

O

0

ZO

460

0

10 875

δ 87∫

0

7SO 50 だ0

一10

O  ∫  IO  IS O S lO I∫0

S  IO  慮

(3)

16         一三ケ島秀雄・大和田野利郎一

 焼入表面硬度の焼入温度による変化を第6図に  鍛鋳鉄が熱処理前に於いて地鉄中に球状セメンタ 示す。最高硬度を得るための焼入温度は,加熱速  イトが均一一に分布した組織であり,これが加熱さ 度が急速である程,高温の方へ移行することが判  れた場合には,普通黒心可鍛鋳鉄に比し炭素の拡

る。しかして,V・すれの場合にも表面最高硬度は  散が容易であるためと考えられる。

Rc 50〜55程度である。

      V 高周波焼入法

麦m

農④

度醐

Rc 20

 10

     800qoO looO lloo 7008004001αぬ11001200        ,

        焼入温序゜C         要の温度に達した瞬間に高周波のスイツチを切り  第6図火焔焼入表面硬度に及ぼす焼入温度の影響   撒水冷却した。撒水はコイルの内面に設けられた  写真No・1〜6は・普通黒心可鍛鋳鉄の火焔焼  多数の小孔から水を噴出させる方法によつた。高 入及び焼入後の試験片の顕微鏡組織を示す。写  周波出力を110kw,50kw,25kwとi変化させること 真No・2・750°C焼入の場合は熱処理を行わなV・  によって加熱速度を変化させる実験を行つた。各 No・1と殆んど変らなV・。即ち・焼鈍黒鉛とフエ  高周波出力に於いて各温度に達する迄の時間測定  試料を5mm厚さに切断し,その2個を中心軸

に穿つた小孔を通したボルトとナツトとで締めつ けて,1個の焼入試験片とした。この試験片を内径 32:nm,高さ12mmの高周波単㊧コイルの中央支持 台上に置き,38.7kcの高周波で円濤面から誘導加 熱し オプチカルパイロメーター測温によつて所

 ライトの組織である。No・3の875°C焼入のもの  の結果を第7図

コ      に 

は・麟黒鋤周囲が酬なマルテンサイト繊 に示す・鰍後温

 で,焼鈍黒鉛から遠V・部分では未だ焼鈍黒鉛が完  に試験片のボル

       度川o。

 全には拡散せす地鉄の組織である。No・4の960  トとナツトとを        り  ゜C焼入のものは,殆んど均一なマルテンサイト  外し,その内面 C  と焼鈍黒鉛との組織である。この組織のものは最  に於ける硬度を  lo  高の硬度を示し,Rc50〜55程度である。更に焼  表面から1mm

合       ・.

o   Jζ七  白

一 8     ・

    逢・・

・  々

o  ■

嫌驚驚㌶㌶:㌫露 菱:麟繭 4°$ゆ佑㌫忽・…

ぴ結晶粒界には形⇔一ガライト組織が認織を調べた・第7図

跖i出力変化に俘う加

められ,この部分が熔解した事と思われる。この   第8図及び第

ような組織の表面は,硬度はかえつて低下し,最高  9図は,それぞれ普通黒心可鍛鋳鉄及び高力可鍛 硬1ヒ部は加熱表面から次第に内部へと移行する。  鋳鉄の焼入表面からの距離に対する硬度分布を示 叉この場合には,内部の最高硬rヒ部附近には小さ  す。高周波出力が小さい程,即ち加熱速度が小さ な焼割れが所々に認められる。No.6は,この焼  V・程,硬度の勾配が緩かになるのは火焔焼入の場 割れを示す。従つて,火焔焼入の場合には,焼入  合と同様である。しかし,概してその表面硬度 温度を1,000°C以下にし,焼過ぎによる焼割れを    6。        

防止すれば満足な表面硬1ヒを行うことが出来る。   o㊦

 高力可鍛鋳…鉄の火焔焼入後の組織は・960°C以    ン弔 上の温度から焼入を行つた場合には,普通黒心可   文30 繊鉄の場合と殆んど変らない・875°C焼入のも 7・・

のの組織は,地鉄,オーステナイト(焼入によつ   硬lo

て微細なマ・レテンサ刷竣態)及離鈍黒鉛か 度。

らなつてレ・ることは,普通黒心可鍛鋳鉄と同様で

あるが,普通黒心可鍛鋳鉄の場合より組織が著し      表面から・ぽさm

く細く,且つ均一一に分布してV・る。これは高力可   第8図普通黒心可鍛鋳鉄高周波焼入後の硬度分布

川OkW 50k町 lzooぞ触      1

、zooセ塵入

lZOO喉∧

       lllOO  l

1

1000

100◎ 25k甘

0    5   PO

5    100

5   }0

(4)

・艦i∴

灘  ・    ぷ・

 蓄 x      、

嵐べ・㌔灘  い

  ぷ  r華

 ^  鞠、

No.1 普涌黒心可鍛鋳鉄       No 5 普通黒心可鍛鋳鉄

         熱処理せず×400×芸      1,120℃火煩焼入表面×400×蓉

1No.2 普通黒心可鍛鋳鉄      ]No.6 普通黒心可鍛鋳鉄

     750℃火紹焼入表面×400×琴       1,120℃火紹焼入表而から10mm×400×蓉

 バ    さ      ド

・  

N・・3普ミ醜心可鍛嚇失       N・・7普通黒心可鍛嚇1…ぴCi調波

     875°C火焔焼入表面x400×2        焼入,110kw,表面から1mm×400×芸

No.4 普通黒心可鍛鋳鉄       No・8 高力可鍛鋳鉄 1,100℃高周波焼入

     960℃火招雌入表而×400×琴         110kw,表面から2mm×400 X芸

(5)

一黒心可鍛鋳鉄の表面焼入硬化一       

17

      周波出力を小くして加熱を徐々に行えばよv・が,

 ロ汐。       あまりに徐々に加熱すると表面焼入の目的から外

ξ       れる託れがある.そ培自ら殿の力日繰件

  工       が定まるであろうが,この実験の条件では普通黒

』         心可継蜘・対して,40−6・kw程度の高周波出

      力が良V・であろう。

       以上の点から考えると,高力可鍛鋳鉄に於いて       は里皮部の存在の可否,周波数,冷却速度等幾多        秦面からの深さmm         吟味すべき問題があるが,普通黒心可鍛鋳鉄に於

 第9図高力可鏑鏑離焼入後の融肺  いては適当疎髄定めれば+分表唖化の目的

は,火焔焼入の場合よりも小で・Rc40〜50程度  を達し得るものと思 bれる。なお,高周波焼入の が最高である。この一因は・本実験に於いては黒  場合には,火焔焼入の場合に比較して極めて急速 鉛化焼鈍中に脆炭した黒皮部が焼入表面となつた  な加熱を行つたにもかかわらす,その硬度の勾配 ことにあるものと考えられる。焼入前にこの黒皮  ,はあまり変らないが,これは加熱方法の相異(円 部を除けば,更に表面硬度は高くなるであろう。  躊面加熱と底面加熱),加熱機構の相異(高周波と 叉,第9図に示すように高力可鍛鋳鉄では・表面  火焔)等によるものと考えられる。

から1〜3mmの部分が著しく硬fヒしていて・こ   W結 言

の部分にはしばしば焼割れが認められる。

       以上の結果を要約すれば,次の通りである。

 普通黒心可鍛鋳鉄に於いては,焼入後の顕微鏡

組織は,高周酬力25kw及び5・kwの場合に購  (1)普通黙畷繊及び計可鍛鎌は・

鰍離入の場合と同齢ある力鴻周灘力が 藤アセチレン焔による表醗入が可能である・

當當㌔㌶鰹譲鑑。三講讃票鷺腰㌶漂鷲

      その表面硬度はRc50〜55程度に達する。この硬 焼入の試験片の焼入表面附近の顕微鏡組織であ

が硫繍を受け,そのためにその周囲が却熔 ンサイトになるためである・死力ロ熱醜が大き 解し,これが焼入によつて舗されるために,そ 躍焼建面から内部へ向つての硬度減少が急

こがレーデブラ朴になる.ごれは焔焼入の場 激である・

      (2) 高力可鍛鋳鉄の高周波焼入は,レーデブ 合と異る高周波焼入の特異現象である。高力可鍛  _

鋳蜘こ於いてはこの傾向が特曙しく,高周灘 フ朴組織の生成・襯縛が起り易く・今後吟

力25kW。於厩もこのレーデブライ囎織醐 味さるべき噸であるが培通恥可鱗鉄は条 れる.顎N。.8は,高力可罐鉄…k … 件を瀦に定める塙周灘入力河能であり・最

・C齢の場合の表面近くの蹴蹴織⑰る。 激醗入温度は95°〜L°㎝Cである・この場 高力可繍蜘。於いて,表面から・−3mmの8巨合表面簸はRc4°〜5α或い螺蜘を除け

離で醒がR,55−60を示す部分はこの組織のた ぱそれ以上確するものと思榔る・

めであり,酬れもこのレーデブラ朴繊の附 終り噛み試料製僻御卿し酬立製作所戸

よつてあま峻らないが,レーガラ朴繊の  .引用文献

生成,焼害嶋を…と,95・−L・5㏄C緯;;:‡劉麓㌃↑芦認1鑑pt°

適焼入温度であると考えられる。なお焼鈍黒鉛附  3)高瀬孝夫,岡林邦夫:金属21(1951)No.1,13.

近のレーデブライト組織を生じないためには,高  4)塩谷勝喜:日立評論25(1942)627.

60

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    501200ぞ餐∧

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