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はじめまして“人間健康学部”です

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【巻頭⾔】久留⽶⼤学教職課程年報 2018, 第 2 号, 1-2.

はじめまして“人間健康学部”です

野田 耕

(久留米大学 人間健康学部)

2017(平成 29)年 3 月に、幼稚園および小学校、中学校の新しい学習指導要領が公示された。

今改訂の基本的な考え方は、子どもたちが未来社会を切り拓くための資質・能力を社会と連携を 図りながら確実に育成する、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成する、道徳教育の 充実、体験活動の重視、体育・健康に関する指導を充実し豊かな身心を育成する、というもので あり、先の予測が困難なこれからの時代に対処・対応ができる力を育んでいくことを目指したも のとなっている。また、とくに今回の目玉とされているのが、「カリキュラムマネジメントの実 現」「主体的・対話的で深い学びの展開」「教科・科目の教育内容の改善・充実」「道徳の教科化」

であり、急速な情報化・グローバル化に応対し、より良い未来社会を建設していくための資質や 能力の育成が期待されている。

このような中、現在を生きるわが国の子どもに目を向けてみると、実に多くの課題に直面して いると言わざるを得ない。例えば、2017 年 6 月に厚労省から報告された“子どもの貧困率”は 前回の 2012 年調査から減少してはいるものの 13.9%であり、さらに一人親世帯の貧困率はとい うと 50.8%(国民生活調査)と、こちらは過半数以上の一人親世帯が日常生活に困窮している 様子を推測することができ、すべての子どもが充分に衣食住および教育、文化を享受されるには 至っていない。また、昨年の体育の日に公表された「体力・運動能力調査報告書」によると、幼 児期における戸外での運動遊びがその後の体力の向上に寄与するとの報告で、改めて、幼児から の身体活動の重要性が示され、加えて昨年末に文科省より速報値として公表された「学校保健統 計調査」では、わが国の子どもの視力不良者(裸眼視力1.0 未満)の割合が、過去最悪の出現 率であった。この背景には種々の要因が考えられるが、戸外遊びの減少による視機能の発達不全 やスマートフォンの過度の使用による眼への影響などが指摘・推測され、子どもの発育・発達に ついての権利保障を国家や大人が真剣に考えなければならないことを物語っている。

一方、わが国のスポーツ界では 2020 年の東京オリンピック大会に向けて、選手強化はもちろ んオリンピック・ムーブメントの推進、各種オリンピック関連イベントの開催など、国家をあげ て国民の関心を惹起しながら展開されている。世界が注目するこのメガイベントを機に、国内に おける「スポーツ文化」のさらなる醸成が期待されるところである。しかしながら、昨今の各種 報道においても依然としてスポーツ界の暴力、運動部活動での体罰問題は取り上げられる始末で あり、スポーツの発展に加えスポーツ界の改革が要されるところでもあろう。

上述した時期と同じくして、本学には 6 つ目の学部となる「人間健康学部」が 2017 年 4 月 1 日に開設された。人間健康学部は「総合子ども学科」と「スポーツ医科学科」の 2 学科から成り、

本学医学部からの協力・支援あるいは協働による「文医融合」型の新しい発想の学部として、乳 幼児から高齢者までの生涯を通じた健康づくりに貢献できる人材を養成することを教育理念と

【巻頭⾔】久留⽶⼤学教職課程年報 2018, 第 2 号, 1-2.

はじめまして“人間健康学部”です

野田 耕

(久留米大学 人間健康学部)

2017(平成 29)年 3 月に、幼稚園および小学校、中学校の新しい学習指導要領が公示された。

今改訂の基本的な考え方は、子どもたちが未来社会を切り拓くための資質・能力を社会と連携を 図りながら確実に育成する、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成する、道徳教育の 充実、体験活動の重視、体育・健康に関する指導を充実し豊かな心身を育成する、というもので あり、先の予測が困難なこれからの時代に対処・対応ができる力を育んでいくことを目指したも のとなっている。また、とくに今回の目玉とされているのが、「カリキュラムマネジメントの実 現」「主体的・対話的で深い学びの展開」「教科・科目の教育内容の改善・充実」「道徳の教科化」

であり、急速な情報化・グローバル化に応対し、より良い未来社会を建設していくための資質や 能力の育成が期待されている。

このような中、現在を生きるわが国の子どもの現状に目を向けてみると、実に多くの課題に直 面していると言わざるを得ない。例えば、2017 年 6 月に厚労省から報告された“子どもの貧困 率”は前回の 2012 年調査から減少してはいるものの 13.9%であり、さらに一人親世帯の貧困率 はというと 50.8%(国民生活調査)と、こちらは過半数以上の一人親世帯が日常生活に困窮し ている様子を推測することができ、すべての子どもが充分に衣食住および教育、文化を享受され るには至っていない。また、昨年の体育の日に公表された「体力・運動能力調査報告書」による と、幼児期における戸外での運動遊びがその後の体力の向上に寄与するとの報告で、改めて、幼 児からの身体活動の重要性が示され、加えて昨年末に文科省より速報値として公表された「学校 保健統計調査」では、わが国の子どもの視力不良者(裸眼視力1.0 未満)の割合が、過去最悪 の出現率であった。この背景には種々の要因が考えられるが、戸外遊びの減少による視機能の発 達不全やスマートフォンの過度の使用による眼への影響などが指摘・推測され、子どもの発育・

発達についての権利保障を国家や大人が真剣に考えなければならないことを物語っている。

一方、わが国のスポーツ界では 2020 年の東京オリンピック大会に向けて、選手強化はもちろ んオリンピック・ムーブメントの推進、各種関連イベントの開催など、国家をあげて国民の関心 を惹起しながらオリンピックの啓蒙活動が展開されている。世界が注目するこのメガイベントを 機に、国内における「スポーツ文化」のさらなる醸成が期待されるところである。しかしながら、

昨今の各種報道においても依然としてスポーツ界の暴力、運動部活動での体罰問題は取り上げら れる始末であり、スポーツの発展に加えスポーツ界の改革も要されるところでもあろう。

上述した時期と同じくして、本学には 6 つ目の学部となる「人間健康学部」が 2017 年 4 月 1 日に開設された。人間健康学部は「総合子ども学科」と「スポーツ医科学科」の 2 学科から成り、

本学医学部からの協力・支援あるいは協働による「文医融合」型の新しい発想の学部として、乳 幼児から高齢者までの生涯を通じた健康づくりに貢献できる人材を養成することを教育理念と

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している。この両学科には教職課程が設置されており、総合子ども学科は幼稚園教諭(および保 育士)の養成を目指した目的学科で、従来の保育学・教育学・福祉学のみならず、心理学や社会 学そして医学の領域から総合的に子どもの健康・発達・地域や家庭支援についての学修を深めて いくことを狙いとしている。当学科ではすべての学生が幼稚園での教育実習を目指すことになる。

他方、スポーツ医科学科はスポーツトレーナーや保健体育科教員、病院・健康産業施設での運動 指導員等の養成を目指している学科である。とくに保健体育科の教員養成については、既存の体 育・スポーツ系学部・学科よりも一層、からだの仕組みや機能、傷病への予防や対応など医学的 見知からの知識・技能を備えた教員の養成を企図しており、学校教育現場での期待も大きい。ま た両学科とも、本学の理念である「人間愛」「実践力育成」「地域貢献」を具現化するカリキュラ ムが編成されており、4 年後に教育現場や地域社会において即戦力として活躍してくれることで あろう。

久留米大学教職課程では、「現場で活躍できる教師の養成」を 2015 年度からスローガンに掲げ、

教員と学生が協力しあいながら、かつ、地域や保育・教育現場からもご支援をいただきながら、

“良い教師”の育成を展開してきている。これからは新たに人間健康学部も加わり、教育現場で 活躍できる“良い教師”を輩出していきたい。

最後に、本年、本学は創立 90 周年を迎えることとなる。これまで久留米大学が地域に根ざし た医療や教育・文化活動を展開し、地域と共に歩んできていることは、周知のごとくである。次 の 100 年に向けて、この教職課程も地域と共に歩んでいければ幸いである。本『年報』を通じて、

研究や実践の成果が広く世に公表され、さらなる議論が本誌や教職課程員会、学部学科、そして 教育現場や地域と旺盛に展開されていくことを期待したい。

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