実践報告 「英語嫌い」に英語の勉強をさせる方法 (その7)
堀 内 ちとせ
1. はじめに
英語が専門ではなく、それほど得意でない学生も多く存在しているクラスで、せめて英語の授業 時間だけでも、何とか積極的に英語学習に取り組めるよう、藤田保健衛生大学、医療科学部、臨 床検査学科1年 50 名(2008 年度前期)の「読解の授業」を対象に検討する。
2. 方法
以下の要領で授業を進め、③~⑨を毎週、繰り返す。6回目及び最後の合計2回の授業では、
⑩を実施する。
①専門が「医療関係」であるため、「健康科学系の教科書」を使用する。長めの文章ばかりが載っ ているものを避け、比較的「短めの文章」がいくつか載っているタイプのものを選ぶ。
②授業の初回に、学生自身が読みたいと思う文章を教科書から3つ選ばせ、その「学生の希望」の 集計に基づき希望者が多かったユニットから順に授業を進める。また、初回の授業では、最初に 読むことになったユニットの1パラグラフ目を各自で日本語訳させ(辞書は使用可)、その日本語 訳の出来に基づき、5人ずつの「班」(日本語訳がよく出来ていた学生を1人ずつ各班に配置す る)に分ける。ジャンケン等で班長を決めさせる。班長は班活動の進行役、提出物の管理等を行 う。前半6回が終わったところで小テストを行い、その結果に基づき「班」を総入れ替えする。
③「予習」、教科書掲載の「練習問題」は各自の自主性に任せる。自主的にやって来た場合は提 出させ、解釈や解答の「正誤」に拘らず「実施した」ということを「努力点」として評価の一部とす る。
④「授業」内に行う活動としては、まず、教科書の本文をネイティブが音読している CD を聞きながら、
ポーズが置かれている箇所にスラッシュを入れさせる(「CD スラッシュ」)。その後、資料提示装置 で、「指示語等の問題」を3問~5問程提示し、各自でしばらく考えさせる(約 10 分)。
⑤その後、「班」ごとに提示された問題を中心に教科書の読解を進めさせる(約 30 分間)。その際、
班の成績が個人の成績に反映されることを意識させ、「疑問点」は積極的に質問し合い、教え合 い、しっかりメモを取るよう促す。班で話し合っても「疑問点」が残るようなら、班ごとに班長の「練 習の紙」(その日の反省等を書かせる紙)に書かせ、授業後、提出させる。
⑥「班活動」後、各自に新たに紙(以下、「班対抗の紙」)を配り、今、班で話し合ったことをもとに(自 分のメモ等を見ても OK)、提示された問題の答え、及び、その日に話し合った英文の日本語訳 を書ける範囲で、それぞれ書かせる(約 10 分間)。
⑦「班対抗の紙」を集め、その後、各自に配布してある「練習の紙」の方に、授業で行った項目ごと に「◎○△×」で段階的に自己評価させる。その際、班活動で特に頑張っていたと思われる、班 の「貢献者」を投票させる。班の入れ替え時及び最後の授業では、投票された「貢献者」を集計 し「班」ごとの「貢献者賞」を発表する。「貢献者賞」の受賞者には評価点を加算する。また、各自 の班への「貢献度」については、言葉で具体的に書かせる。最後に、「不安な点」等も書かせ、
「練習の紙」の方も回収する。「練習の紙」には、教員は必ず激励(主に)コメントを入れ、次回の 授業の開始時に返却する。
⑧「班対抗の紙」をもとに、問題の「正誤」、日本語訳の出来を具体的に得点化し、班ごとの「平均 点」、及び、班員間の「得点の差(最高点と最低点の差)」を算出する。その2項目について、班ご との順位を出し、班入れ替え時と最後の授業では、最終順位に基づき各項目最高5点ずつ(2項 目で最高5点×2回戦分)の班の評価をそのまま個人の評価の一部とする。「班対抗」の結果は、
毎回の班活動前に開示する。
⑨次の授業の始めに、学生から出された「疑問点」、「班対抗」における学生の解釈の「間違い」を 元に作った「ポイント・プリント」を配布する。各自又は班で確認するよう促す。
⑩6回目及び最後の合計2回の授業では、30 分程度の「力試し」を行う。パラグラフごとの課題(「意 味の切れ目」「指示語等の問題」「日本語訳」の 3 種類)を資料提示装置で示し、文章全体の読 解を行わせる。この「力試し」は、辞書や自分で行った予習の持ち込み可ではあるが、個人の
「実力点」として評価の一環とする。
3. 今回の試みに対する反省(学生へのアンケートをもとに)
3.1. 今回の「対象学生」及び「取り組み」について
前回までの試みでは、授業内の活動全てが「個人活動」であった。クラス全体で同じ活動をする のだが、それを各自で行うといった形である。それに対して今回の試みでは、授業の一部に「班」で 活動させる時間帯を設け、しかも個人の「評価」に、班活動後の「班対抗」での得点を反映させるよ うなものとしてみた。自分の授業内の行動に責任を持たせ、少しでも積極的に授業に臨んでもらえ るよう目論んだのだ。
今回の試みを実施できたのは、残念ながら、50 人編成の1クラスのみであった。が、1つの傾向と して結果を考察してみることにする。また、結局、頑張れるか、頑張れないかは、全て学生の「やる 気」1つにかかっている。今回は、学生が「やる気」になれたかどうかを中心にアンケートを行ってみ た。
3.2 「予習」及び「練習問題」について
「授業内の活動」、今回は特に「班活動」に重点を置くとは言うものの、学生が自主的に授業内の 活動以外の勉強をしてくれることは喜ばしいことである。そこで、今年度も学生が自主的に行ってき
た勉強は、「評価」の一部とした。「努力点」を評価に入れることは、果たして学生達の「やる気」を促 せたのだろうか。
<自主的な勉強について> (%)
やる気になった 62 どちらとも言えない 22 やる気にならなかった 14 分からない 2
全体的に見れば、過半数の学生(62%)が「やる気」になったと答えている。今回は授業のメインが
「班活動」であったが、「自主的に勉強(主に予習)することにより『班活動』もスムーズにできた」とい う意見もみられた。ただ、「英語」のために自分で自主的に時間を取るのは、現実問題、難しいよう である。「予習に時間がかかるので、だんだんしなくなった」、「しなくても大丈夫だ(単位が取れる)と なると、やらなくなる」という学生が見られた。前回使用した教科書が少し易しめのものだったため、
今回は少し難しめのものとした。その結果、「予習」をやるにも「練習問題」をやるにも少々時間がか かってしまった可能性がある。
全体的に「英語」が苦手の学生が多いため、英語が苦手な学生たちの救済措置的な存在(「実 力点」が取れなくても「努力点」で頑張れるように)として、この措置を設けたところもあったのだが、
実際、この「自主的勉強」を提出して来るのは、英語が比較的な得意な学生が多かった。「実力点」、
「努力点」等の全てを総合すると 100 点を獲得した学生が何人も出た程だ。その一方で、「1人で英 語を勉強しても結局分からない」という学生のコメントが見られた。極端に英語が苦手な学生にとっ ては、ほとんど救済措置とはなり得ないということなのかもしれない。ここからも、今回のように「班活 動」をさせる意義が見出せる気がした。
「英語」は「努力」の科目である。「コツコツできて嬉しい」、「努力家には嬉しい」というコメントが見 られたが、ここからも、「努力点」を認めてやることには意義があると考えたい。今後も、自主的に頑 張る学生の努力を認めて行ってやりたいものである。
3.3 「授業」内の活動について
前回の試みでは、比較的真剣に学生達が取り組むように思われる、「学生自身のペース」で取り 組める「自主勉強(自勉)」を毎時間行ってみた。ところが、教員が行う「解説」の時間は言うまでもな く、その「自勉」の時間でさえ、堂々と顔を伏せて寝ている学生が出現した。また、一方で、最後2回 の授業で行った「力試し」の結果からして、ほとんど教員の「解説」を理解しているとは思えない学 生も存在していた。また、そういった学生に限って「質問」をしに来る訳でもなく、ほとんど何も理解 しないまま授業の全てを終えてしまうのだ。そこで、「学生自身のペース」に拘り過ぎて、学生自身 に任せておいてばかりではいけないのかもしれないと思い立った。
今回の取り組みでは、前回までの 90 分間全てを学生「個人」で活動させるような形態を全面的に 見直し、授業のメインを「個人」ではなく「班」で活動させるといった形を取ることにした。しかも、「班 活動」後には「班対抗」なる小テストを毎回行い、その「班」ごとの成績を個人の評価の一部に入れ ることにもした。さらに、「班」への「貢献度」も評価に入れることにした。そうすることにより、比較的
「英語」が得意な学生には班員に「教える」ということで貢献させ、不得意な学生にも「質問する」と いうことで班に貢献させることができるのではないかと考えた。かつ、少人数の「班」で活動させれば、
「眠る」といった不届きをする学生も出て来ないであろうし、クラスメートに対してであれば、英語が 苦手な学生も比較的「質問」をしやすいのではと考えた。
また、前回までの、教員による「解説」を思い切って全面的になくしてしまい、その代わりに今回 は学生の「疑問点」、「班対抗」の小テストの間違いを元に作った「ポイント・プリント」を毎時間、配る ことにした。
「班活動」を行う前には、前回どちらかと言えば学生に好評であった「CD スラッシュ」(CD のネイ ティブがポーズを空けている場所にスラッシュを入れる活動)、指示語等の「問題」を個人で行わせ た。また、「班活動」後に行う「班対抗」の小テストも、「班活動」時のメモを見ても OK だが、個人で行 わせた。できたら1人で頑張る部分をも残して置きたかったためである。また、今回は「班」での活動 を授業の中心としたため、前回と同様、個人を名指しで当てるといったことは一切なかったことは言 うまでもない。
3.3.1 「スラッシュ入れ(意味の切れ目を入れる活動)」について
前回の試みでは、「CD スラッシュ」、「自分スラッシュ(自分で意味の切れ目を入れる活動)」、さら に、「解説スラッシュ(教員が意味の切れ目を資料提示装置で示すこと)」の3本立ての「スラッシュ入 れ」を行った。そのため、学生からは「『意味の切れ目』ばかりやり過ぎ」と、かなりの不評を買ってし まった。そこで今回は、前回の試みで一番好評だった「CD スラッシュ」のみ班活動の前に行わせる にとどめた。
「班活動」後の「班対抗」、及び全部で2回ある「力試し」時には、「意味の切れ目」を個人で入れ させた。今回は CD でポーズの位置をまず自分で確認させ、その翌週に「ポイント・プリント」で CD のポーズの位置を確認させたくらいであったが、その割には、正確に「意味の切れ目」を認識でき ている学生が比較的多かった。「日本語訳」が正確にできる学生の中に、「意味の切れ目」を正確 に入れられない学生も見られた。実力の方は様々見られたが、今回はあくまで「班活動」のみに焦 点を当てることにする。
3.3.2 「音読」について
前回までの試みでも、学生自身、授業内に行う意義を感じているように思われた「音読」だが、今 回は使用した教科書が多少難しかったこともあり、「班活動」に随分時間がかかるようであった。そ
のため、同じ時間内では音読を行わせることは不可能となってしまった。幸い、今回は同じ週にもう 一度、同じ学生を相手に出来る授業を担当することができた。そのため、そちらの授業の方で大い に声を出させるような機会が設けられた。
学生たちに意見を聞くことこそしなかったが、学生の様子を見ていると声を出している時は生き 生きしており、かつ、「音読時」には眠る学生も見られなかった。LL の機器を使って学生の声をモニ ターしながら音読させたためもあるかもしれない。このことからも、音読をさせることの意義を認めた い。
3.3.3 授業内の「班活動」について
今回も、前回と同様、指示語や省略の問題を中心に一回の授業につき3問~5問程度「問題」を 提示した。前回との大きな違いは、その問題について学生「個人」で考えさせるのではなく、「班」で 協力させながら行わせる点である。また、その日の課題の英文全体の「解釈」についても、「班活 動」を通して行わせる。また、繰り返しになるが、評価の上でも「班」での取り組みが反映されるような 形を取った。
そういった、今回初の試みである「班活動」は、学生達の目にはどのように映ったのであろうか。
果たして学生の「やる気」を促せたのか。また、「理解」については、どうであったのだろうか。
<班活動への評価> (%) <やる気を促せたか> (%)
◎ 56 やる気になった 88
○ 28 どちらとも言えない 6
△ 4 やる気にならなかった 6
× 0 分からない 0
? 0
<班活動による理解> (%)
理解が深まった 70 どちらとも言えない 28 理解にはつながらなかった 0 分からない 2
1 年生であったせいかもしれないが、こちらの思惑通り、非常に素直に 90%に近い学生達が「や る気になった」と答えている。また、「班活動」そのものに対する学生の意識としても、「◎」「○」を合 わせると、80%を超えている(56%+28%=84%)。コメントとしても、「楽しい」、「自分だけのことではない ので頑張ろうという責任が出てくる」といった肯定的なもの、それから、こちらが予期していた通り、
「眠くならない」、「分からない所を聞きやすい・すぐ聞ける」等の意見も多数見られた。「1人で授業
を受けても分からないまま時間が過ぎていくだけ」という学生も見られた。やはり、極端に英語が苦 手な学生にとって、「班活動」はかなり大きな意味があると言えそうである。
ただ、中には、逆に「予習を全くして来ない人がいるのでテンションが下がる」、「人に助けてもら えるので予習をしなくなってしまう」という意見も見られた。常識で考えれば、人が絡んで来れば、し かも、成績まで自分1人の成績でないとなれば、必死に頑張るというものである。少数であったとし ても、このような意見が出てしまうというのは、何としても残念なことである。また、「班によっては不真 面目な班もあるので一概に班活動が良いとも言い切れない」といった意見も見られた。
やはり、オリエンテーション時に、もう少ししっかり「班」で活動させる意義を意識させておく必要が あると言えるかもしれない。ただ、全体的には、「班活動」で学生の「やる気」も促せたようであるし、
授業内に「班活動」を行わせたこと自体は意味のあることだったと言えるだろう。
ただ、「理解」について見てみると、「理解が深まった」としている学生は 70%にとどまった。コメン トを見てみると、「明確な日本語訳がその場ですぐに分からない」という意見がいくつか見られた。
今回は教員による「解説」の時間を全て削り、学生の「疑問点」、「間違い」に基づいた「ポイント・プ リント」を配ることとした。つまり、今回の試みでは、教員は全体の指揮こそすれ、前回までのように
「解説」をするということは皆無だったのである。「本当に重要な所は口で言ってほしい」といった意 見が見られた。何事も極端なのは良くないことを実感した。
では、次に、「ポイント・プリント」について、見てみることとする。
3.3.4 「ポイント・プリント」について
前回の試みでは、「解説」を聞いている学生が少なく感じたこともあって、今回は思い切って「解 説」を一切なくし、その代わりを「ポイント・プリント」で補うこととした。その「ポイント・プリント」に対し て、学生達はどのような感じを抱いていたのであろうか。
<ポイント・プリントへの評価> (%) <見る頻度> (%)
◎ 62 毎回見た 48
○ 30 大体見た 38
△ 6 時々見た 6
? 2 見なかった 4
? 4
「ポイント・プリント」を配ることにより、今回は一方通行的な教員による「解説」がなくなったため、
学生達の「居眠り」は皆無の状態に導けたように思われた。が、その一方で「班活動」を行わせ、「ポ イント・プリント」を配るだけでは、「理解」を十分促せられない感があった(3.3.3 参照)。
割合的には、「ポイント・プリント」自体を「◎」又は「○」と評価している学生(62%+30%=92%)、実際
「見た」と答えている学生(48%+38%+6%=92%)がほとんどを占めている。が、コメントを見てみると、
「本当に知りたい所が書かれていない」、「沢山あり過ぎると見る気になれない」、「色分けをするなり 分かりやすくしてほしい」等、マイナス意見もいくつか見られた。学生の「疑問点」に基づき作成した
「ポイント・プリント」も 50 人の目、全てに適うものとするのは不可能なことかもしれない。しかし、「ポ イント・プリント」自体に載せる情報はもう少し的を絞り、かつ、本当に重要な所だけは「解説」という 形を取ってやるというのも1つの方法だと言えるのかもしれない。
また、「ポイント・プリント」は、最初は毎回「班活動」で内容を把握させた後、「解説」代わりに配っ ていたのだが、ある時、都合で「班活動」で話し合う前に予め配布したことがあった。その時、毎時 間、学生個人で書かせている「練習の紙」の方に、「ポイント・プリント」が役立った旨を書いている 学生が何人か見られたこともあり、「ポイント・プリント」はいつ必要かを問うてみた。
<ポイント・プリント> (%)
「班活動」の前 88 どちらも一緒 10
「班活動」の後 2
今回使用した教科書は多少難しかったことも手伝ってか、「班活動」の前に必要と答える学生が 90%近くも見られた。「班活動のとき役立つ」、「班活動がスムーズに進んだ」等のコメントも見られ た。専門科目の課題に追われ、自宅では英語に時間を割きにくい学生達の事情も垣間見ることが できる気がした。教科書の難易度にもよるかとは思うが、「ポイント・プリント」は班活動で使用させ、
班活動後には、本当に重要な所をかいつまんで少しだけ「解説」するというのも1つのやり方だった かもしれない。
3.3.5 「班対抗」の得点の開示について
今回、初の試みである「班活動」を更に盛り上げるために、毎回「班活動」後に行っていた「班対 抗」の小テストの結果を学生達に開示することにした。最初は単純に「平均点」とその「平均点」の
「累積点」だけを示していた。授業の6回目と最後の授業の2回は「力試し」を行うことになっていた が、それを境に「班」の総入れ替えを行った。その際には、優秀班を発表した。
「班」には、1人ずつ英語が比較的得意と思われる学生(2. ②参照)が入れてあり、その他の班員 についても極力「班」の能力が同じレベルになるような構成にしてあった。ところが、「班対抗」も中 盤戦にさしかかった頃、「平均点」ではとても他の班に敵わない班が出て来てしまうことが判明し た。
そこで、そういった「班」の班員達のやる気を最後まで持続させるために、後半戦では「平均点」
のみならず、班員間の「得点の差(最高点と最低点との差)」をも公表することを思いついた。班員が しっかり協力し話し合いも十分できていれば、「平均点」では他には追いつかなくても、「班員間の 差」部門では毎回の努力の如何で高得点を挙げることが出来るのではないかと考えたのである。
実際、この2項目を開示することによって、学生達の「やる気」はどのような影響を受けたのであろ うか。
<平均点の開示> (%) <班員間の得点の差> (%)
やる気になった 34 やる気になった 38 どちらとも言えない 54 どちらとも言えない 52 やる気を阻害した 2 やる気を阻害した 2 分からない 10 分からない 8
「得点の差」の方が、多少「やる気」を促せたと言うことができるのだろうか。でも、どちらを開示し ても大差がないといった結果となった。コメントを見てみると、今回の試みの大きな落とし穴が見え て来た。「班対抗の採点基準が分からない」、「自分がどこを間違ったのか分からない(ので見ても 余り意味がない)」、「自分自身の班での位置(得点)が分からない(ので見ても余り意味がない)」、さ らには「表の見方が良く分からなかった」といった意見が挙げられていた。
まず、「班対抗」の「採点基準」については、指示語等の「問題」はさておき、日本語訳の得点に 関しての採点基準の説明が難しいところもある。しかし、今回何人かの学生が指摘していることから も、学生達が納得するような説明をもう少し付け加える必要があるように感じた。
次に、班員ごとの得点の開示については、今回は、「班」の得点が個人の評点となるということで 始めた試みだっただけに、班員個々の得点を敢えて開示しなかった。ただ、自分がどこを間違えた のか、あるいは班での自分の位置を知ることは、意味あることと言えるかもしれない。一考の余地が あるようである。
得点を開示する折りに見せる表の見方については、最初に一応説明したつもりでいたが、説明 不足だったということかもしれない。「班対抗」の採点や得点の算出にかけた膨大な時間を無駄に しないためにも、そして、開示する以上しっかり学生達に認識して見てもらうためにも、最初が肝心 ということなのだろう。「得点の開示」が学生の「やる気」を引き立てるかどうかは、それからの話であ ろう。
3.4 「評価」について
評価に関しては、今回の試みでも、前回と同じように評価の比重を「平常点」の方に置いた。ただ、
今回は授業での取り組みを「班」単位で行わせたため、「個人点」というよりも「班」としての得点に重 点が置かれることとなった。具体的には、毎回行われる「班対抗」の評価点(2.⑧参照)、班におけ る「貢献者賞」など、前回とは違った評価への加算部分があった(2.⑦参照)。また、「実力点」として は2回の「力試し」を行った。かつ、「予習」「練習問題」を自主的に行ってきた場合には「努力点」の 方も加算した。
学生たちには、授業内の活動(主に「班活動」)を真面目に行っていれば、合格できる(評価の
60%を確保できる)旨を伝えてあった。自分の頑張りによる部分、つまり「力試し」により「実力点」と、
提出物による「努力点」は全体の 40%分に当たることも説明した。
<評価に対する学生の評価> (%)
◎ 36
○ 48
△ 12
× 0
? 4
英語が苦手な学生が多いので、「平常点」に重点を置くことには学生たちも「納得」してくれたよう である。「◎」と「○」を併せると 80%を超えている(36%+48%=84%)。しかし、細かく見てみると「◎」より も「○」と評価している学生の方が 10%強、多いようである。コメントを見てみると、「努力点のつけ方 を具体的にしてほしい」、「班対抗の基準を明らかにしてほしい」、といった評価基準の不透明性に ついての指摘が、ここでも見られた。
また、「実力」を評価する部分としては前回同様「力試し」という形を取ったのだが、学生達には具 体的なイメージがつきにくかったのだろうか。「班」で貢献した「貢献者賞」の受賞者(2. ⑦参照)に ついても、実際、評価への加算はされていたのだが、その事実もしっかり伝わっていなかったのか もしれない。「テストで点をつけてほしい」「テストだともっと頑張れる気がする」、「英語が得意な人に は(班対抗は)不評かもしれない」、等の意見が見られた。
実際、「英語が苦手」な学生が多いことは事実なので、「平常点」に重きを置いてやることは意味 があると言って良いだろう。「苦手だけど希望が見えた」、「努力が報われるのは有難い」等のコメン トからも納得できる。ただ、何回もコメントされていたように、「評価」にまつわることは、最初の段階で しっかりと学生に認識させる必要があると言えそうだ。また英語が得意な人にも(少数派であるが)苦 手な人にもしっかり納得した上で授業を受けてもらえるように、「実力点」と「努力点」、「個人点」と
「班の得点」の定義もしっかりした上で「班活動」を始めるべきであったと言えるだろう。
4. 終わりに
前回の試みでは、個々の学生自身のペースというものに焦点を当て、学生を授業で一切当てず に授業を行ってみた。その結果、授業内でさえも「自分のペースで自由にやりたい」と考えている学 生がかなり多く存在していることが分かった。
ところで、前回の試みでは、英語の実力としては「中の上」くらいのレベルのようではあったが、授 業の最初から最後まで徹底的に顔を伏せて眠っていた学生がいた。また、授業中は眠っている様 子はなかったが、「力試し」の「実力点」からして、90 分間、英語の授業に出席していたとは思えな いような学生も見られた。確かに今時の学生側の要望としては「個人のペースで」ということなのかも
しれないのだが、このような両極端な学生が出て来てしまうのは問題である。そこで、今回は、以前 から興味こそあれ、なかなか実行に移せなかった「班活動」を中心に授業を行うということに、思い 切って踏み切った。
50 人ではなく、少人数で構成されている「班」で活動させれば、授業中、否応なく活動せざるを 得なくなる。学生達にとっても教員に強制的に仕切られるのと違い自主的にできるところは魅力で あろう。しかも、「個人個人のペース」とまではいかなかったとしても、「班」ごとにそれぞれのペース を取ることも可能となる。また、「班」で活動させることは、医療系大学に所属している彼らにとって、
将来の「チーム医療」の練習の場ともなる。様々な人がいるこの世の中で、全ての人とうまくやって 行くのは至難の技である。でも、そんな中で、学生時代に色んな人と関わる練習をしておく(つまり
「班活動」を体験しておく)ことは、プラスにこそなれ、決して損なことではないだろう。
学生達の「やる気」の問題、班活動を通しての「理解」の問題、それから「評価」の問題。まだまだ、
考慮の余地が残されていることばかりではある。しかし、授業内でほぼ 100%学生を活動的にさせ られるといった意味では、授業で「班活動」をさせることの価値を認めて良いのではないか。更に試 行を重ね、英語嫌いの「やる気」を少しでも引き出し、しかも、彼らが少しでも積極的に臨めるような 授業を目指して、日々努力していけたらと思う。
参考資料
1. 教科書抜粋
Do you want to lose weight, keep it off, and stay fit? The truth is, there are no magic diets or shortcuts to weight loss and fitness. Both old fashioned common sense and modern science agree; the best combination for keeping a trim and healthy body is a well-balanced diet, along with a program of regular exercise.
Most of us realize this truth ― yet often we find it hard to practice, and so we forget it. …
(Bruth Allen 他 (2000) Environment and Health. 成美堂 p.16 より 下線は筆者)
2. CDスラッシュ(例)
「/」の入っている場所はCDがポーズを入れている場所(各自、自分の耳を頼りに行う)
Do you want to lose weight,/ keep it off,/ and stay fit?/ The truth is,/ there are no magic diets/ or shortcuts/ to weight loss and fitness./ Both old fashioned common sense and modern science agree;/ the best combination for keeping a trim and healthy body/is a well-balanced diet,/ along with a program of regular exercise./
Most of us realize this truth/ ― yet often we find it hard to practice,/ and so we forget it. …
3. ポイント問題(例)
★P16 L6 this truth(下線部分)→指示内容(日本語で)?
★意味の切れ目(頭から順に)? etc.
4. ポイント・プリント(例)
keep it off →(体重を)落としたままでいる/stay fit →健康を維持する The truth is,~ →真実は~(ということ)である
no ①magic diets or ②shortcuts →noが①と②にかかっている to ①weight loss and ②fitness →①も②もtoにつながっている
Both ~ and … agree →~と…の両方が一致している(内容)が一致している etc.
5. 班ごとの平均点表(例)
「その日の班ごとの平均点/累計点」
1班 2班 3班 4班 5班 6班 7班 8班 9班 10班
第1回 17/17 18/18 15/15 19/19 18/18 13/13 20/20 12/12 19/19 14/14 第2回 16/33 15/33 12/27 17/36 17/35 15/28 18/38 14/26 17/36 15/29 第3回 15/48 17/50 13/40 16/52 18/53 14/42 17/55 15/41 16/52 15/44
6. 班ごとの班員間の差の表(例)
「その日の班員間の差/累計点」
1班 2班 3班 4班 5班 6班 7班 8班 9班 10班
第1回 2/2 3/3 1/1 5/5 4/4 3/3 1/1 3/3 3/3 4/4
第2回 3/5 3/6 1/2 3/8 3/7 4/7 2/3 3/6 2/6 3/7
第3回 2/7 2/8 3/5 4/12 2/9 3/10 2/5 4/10 5/10 2/9