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M0001 計測技術概論 講義資料
九州大学大学院総合理工学研究院 谷本 潤
F棟205号室 (Tel)092-583-7600
(e-mail)[email protected] 参考書
(1)谷口・堀込 著 「計測工学」 森北出版 (2)押田・木村・前田 著 「計測工学」 コロナ社 (3)土屋 編 「
大学課程計測工学」 オーム社
(4)西原・山藤 著 「計測システム工学の基礎」森北出版 (5)日野 著 「スペクトル解析」 朝倉書店
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1.はじめに
JIS技術用語集(JIS Z 8103 計測用語)参考
計測: 何らかの目的をもって,事物を量的にとらえるための方法・手段を考究 し,実施し,その結果を用いること.
測定:
ある量を,基準として用いる量と比較し,数値または符号を用いて表すこと.(例)長さを測定するには,1メートルという基準となる量を定めておき,測定すべき 長さがこの基準量の何倍であるかを示す数値を求める
計量: 公的に取り決められた標準を基礎とする計測のこと.
観測: ある事象を調べるために,事実を認める行為.
測量: 地球表面上にある各地点間の距離,角度,高低差などを測定し,対象 物の位置あるいは形状を定める技術.
計測機器の利用形態
(1)工業プロセスや操作の監視
(2)工業プロセスや操作の制御
(3)実験的工学解析
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2.単 位
国際単位系(SI 単位系:Le Syste’me International d’Unite’s)
:“世界共通に使える実用単位系”
2.1 国際単位系(SI)
(a) SI 基本単位
1秒は、セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準 位の間の遷移に対応する放射の9192631770周期の継続 時間。
s 秒
時間
1キログラムは、(重力でも力でもない)質量の単位であっ て、それは国際キログラム原器(直径、高さとも39mmの円 柱形で、白金90%、イリジウム10%の合金)の質量に等し い。
キログラ kg 質量 ム
1メートルは、1/299792458秒の時間に光が真空中を伝わ る行程の長さ。
m メートル 長さ
単位記号
単位の名称
基本単位 定 義
量
- 4 - 1アンペアは、真空中に1メートルの間隔で平行に置いた、
無限に小さい円形断面積を有する無限に長い2本の直 線状導体のそれぞれを流れ、これらの導体の長さ1メート ルごとに2*10-7ニュートンの力を及ぼし合う不変の電流。
アンペア
A電流
1カンデラは、周波数540×1012ヘルツの単色放射を放出 し、所定の方向におけるその放射強度が1/683ワット毎 ステラジアンである光源の、その方向における強度。
カンデラ
cd光度
1モルは、0.012kgの炭素12の中に存在する原子の数と 等しい数の要素粒子、または要素粒子の集合体(組成 が明確にされた物に限る)で構成された系の物質量とし、
要素粒子または要素粒子の集合体を特定して使用する。
モル
mol物質量
1ケルビンは、水の3重点の熱力学温度の1/273.16。
ケルビン
K熱力学
温度
単位記号
単位の名称
定 義
基本単位 量
(a) SI 基本単位のつづき
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(b) 補助単位系
ステラジアンは、球の中心を頂点とし、その球の半径を1辺とする 正方形の面積と等しい面積をその球の表面上で切り取る立体角 である。
sr ステラジアン 立体角
ラジアンは、円の周上でその半径の長さに等しい長さの弧を切り 取る2本の半径の間に含まれる平面角である。
rad 平面角 ラジアン
記号
名称補助単位 定 義
量
x
y z
rv
θ
φ dω
A dv θ
d
dl
rv
θ φ φ ω
d d r
dA r
r A d d
sin
2 3
=
⋅ =
= v v r
dθ =dl
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これ工学部エネ科の熱・統計力学Ⅰの講義資料;
マクスウェル・ボルツマン分布を説明する過程で
立体角が登場!
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(c) SI 組立単位-基本単位で表されるもの
mol/m
3モル毎立方メートル
(物質量の)濃度
kg/s キログラム毎秒
質量流量
m
3/s 立方メートル毎秒
流量(体積流量)
m
3/mol 立方メートル毎モル
モル体積
kg/mol キログラム毎モル
モル質量
m
3/kg 立方メートル毎キロフラム
質量体積(比体積)
kg/m
3キログラム毎立方メートル
密度(質量密度)
m/s
2メートル毎秒毎秒
加速度
m/s メートル毎秒
速さ,速度
m
3立方メートル
体積
m
2平方メートル
面積
記号 単位の名称
量
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(c) SI 組立単位つづき-固有の名称で表されるもの
kg・m2・s-3・A-1 W/A
V ボルト
電位差(電圧),起電力
A2 ・s4 ・ kg-1・ m-2
C/V F
ファラッド 静電容量
A・s C
クーロン 電気量
s-1 Hz
ヘルツ 周波数
K
℃ セルシウス度
セルシウス温度(摂氏温度)
kg・m・s-2 N
ニュートン 力
kg・m-1・s-2 N/m2
Pa パスカル
圧力,応力
kg・m2・s-2 N・m
J ジュール
エネルギー,仕事,熱量
kg・m2・s-3 J/s
W ワット
工率,仕事率,動力,熱流
SI基本単位 による表記 他のSI単位
による表記 記号
単位の名称 量
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(c) SI 組立単位つづき-固有の名称で表されるもの
kg・m2・s-2・A-1 V・s
Wb ウェーバ
磁束
kg・s-2・A-1 Wb・m-2
T テスラ
磁束密度
kg・m2・s-3・A-2 V・A-1
Ω オーム
電気抵抗
A2 ・ s3・kg-1・ m-2
Ω-1 S
ジーメンス コンダクタンス
lm・m-2 lx
ルクス 照度
Cd・sr lm
ルーメン 光束
kg・m2・s-2・A-2 Wb・A-1
H ヘンリー
インダクタンス
SI基本単位 による表記 他のSI単位
による表記 記号
単位の名称 量
- 10 - kg・m2・s-2・mol-1・K-1
J/(mol・K) モル熱容量,モルエントロピー
m2・s-2・K-1 J/(kg・K)
質量熱容量(比熱容量),質量エントロピー
kg・m2・s-2・mol-1 J/mol
モルエネルギー
kg・m-1・s-2 J/m3
体積エネルギー
m2・s-2 J/kg
質量エネルギー(比エネルギー)
kg・m2・s-2・K-1 J/K
熱容量,エントロピー
kg・m・s-3・K-1 W/(m・K)
熱伝導率
kg・s-3 W/m2
熱流密度
kg・m-1・s-1 Pa・s
粘度
SI基本単位 による表記 記号
量
(c) SI 組立単位つづき-固有の名称を含むもの
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(d) SI 接頭語
c センチ 10-2
Z ゼタ
1021
d デシ
10-1 Y
ヨタ 1024
y ヨクト
10-24 da
デカ 10
z ゼプト 10-21
h ヘクト 102
a アト
10-18 k
キロ 103
f フェムト 10-15
M メガ
106
p ピコ
10-12 G
ギガ 109
n ナノ
10-9 T
テラ 1012
μ マイクロ 10-6
P ペタ
1015
m ミリ
10-3 E
エクサ 1018
記号 名称
記号 名称
単位に乗ぜら 接頭語 れる倍数 単位に乗ぜられ 接頭語
る倍数
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単位記号:原則としてローマン体の小文字(量記号はイタリック体)
(例外)人名・固有名詞は先頭の1文字は大文字 リットルはLを使用して良い
2.2 SI に属さない単位
2.3 単位の表記上の注意
SI と併用される,SI に属さない単位
分(min),時(h),日(d),度(°),分(′),秒(″),リットル(l,L),トン(t)
※使用はできる限り避けることが望ましい単位:
アール(a),バール(bar),オングストローム(Å)
トル(Torr=mmHg),標準大気圧(atm),カロリー(cal)
2.4 補足
◎温度の単位
T(K)=t(℃
)+273.15{
( F)-32}
9 ) 5 C
(o tF o tC =
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◎ 力・圧力・応力の単位
◎ エネルギー・仕事・熱量の単位
ト)
(ワッ
は のときの仕事率 当たりのエネルギーが
時間
動力という ー量を仕事率,工率,
換など)するエネルギ
○単位時間に移動(転
ール)
(ジュ
は,
動かす仕事 が働いて距離
○物体に力
W 1 s J 1 s 1 J 1
, J
1 s
1
J 1 m N 1 m 1 N 1
m 1 N
1
=
=
=
= =
=
=
⋅
=
×
=
=
=
=
t E P
P E
t l F W
W l
F
(大気圧力)
(絶対圧力)
(ゲージ圧力)
ージ圧力:
・絶対圧力とゲ
を標準大気圧 ・大気圧:
(パスカル)
は,
時の圧力 が垂直で均一にかかる
に力
○面積
(ニュートン)
は,
を生じさせる力 度
の物体に作用して加速
○質量
a
g p p
p A
F p
p F
A ma F
F a
m
−
=
=
=
=
=
=
=
=
⋅
=
×
=
=
=
=
Pa 101325
Pa 1 m N 1 m 1 N 1
N 1 m
1
N 1 m/s kg 1 m/s 1 kg 1
m/s 1 kg
1
2 2
2
2 2
2
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◎ 密度,比重量,比重 密度;
SI単位で使われる.単位体積あたりの質量.単位は[kg/m
3] .
比重量;
単位体積当たりの重量.重量は重さであり,力の次元を有する.
よって比重量の単位は, SI 単位で記述すると [N/m
3] . [N/m
3]=[kg m/s
2/m
3]=[kg m
-2s
-2] .
日常語で「重さ 1kg 」とは,地球上でその物体に 1[kgf] の力が掛かっている との意味.工学単位では慣用的に[kgf]を[kg]と表すことがあるので,工学 単位で比重量を表すと[kg/m
3]となる.工学単位では比重量はSI単位にお ける密度の意味で使われる.ここで(工学単位)=( SI 単位)で表記すると,
質量 1[kgf s
2/m]=9.8[kg]
力 1[kgf]=9.8[N]
だから,SI単位の密度ρ[kg/m
3]と工学単位で慣用表記した比重量 γ[kg/m
3]は単位の表記も同じ,値も同じになる.
比重;
ある物体の密度と 4 ℃, 101.3kPa における水の密度ρ (1000kg/m
3) との
比.よって無次元.
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◎ SI単位と工学単位
1 [W] = 0.86 [kcal/h]
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[演習1]間違いを正せ
(1)単位と次元は同じである.
単位は物理量の大きさを表す基準量.次元は単位の性質を分別する.
(2)℃はセンチグレードとよぶ.
デグリー・セルシウスが正しい.一般語では未だにデグリー・セルシウスとよばれ ることがある(飛行機のキャプテンのアナウンスetc).
(3)キログラムは[kg]でも[Kg]でもよい.
[kg]が正しい.
(4)平面角の度[°],分[′],秒[″]はSIで使える.
使える.
(5)[dB]はSI単位でないので用いない.
用いる.
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[演習2]
長さ18cmのゴムひもに重さ1.2[kgf]のおもりを吊したところ,22cmに伸びた.バネ 定数kと非減衰固有振動数qを求めよ.
すべてをSI単位に変換する.
伸び
x= (22-18)×10-2[m]重量
w= 1.2 [kgf] = 1.2×9.8 [N]質量
m= w/ g=1.2 [kg]k w
= x = ×
×
−=
12 9 8
4 10 . .
2294
[N / m] [kg / s ]
2q k
= 1 m = =
2
1 2
294
12 2 5
π π
[kg / s ]
[kg] [Hz]
2
. .
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[演習3]
10Lの水を30分で50℃上昇させるために必要な100Vのヒータの抵抗Rを求めよ.
但し,効率ηは95%とする.
ジュール発熱;(電圧
V[V]=[W/A]=[Js-1A-1])×(電流I [A])×(時間t[s])[J]水の比熱(18℃における);1 [cal g
-1K-1]これと
を等置して,
1 [W] 0 86 [kcal / h] 1[J / s] = 860[cal / h]
1[J] = 860
3600 [cal] 1[J] = 0.24[cal]
= ⇔
⇔ ⇔
.
V R t
R R
2
100
2 230 60 0 95 0 24 100
30 60 0 95 η = × × ′′ × . [J] = . × × × ′′ × . [cal]
10 10 ×
3× × 1 50 [cal]
水10Lをgに
R = 8.2 [ ] Ω
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3.誤差・不確かさ
3.1 測定誤差
誤差(error) とは測定値から真の値を引いた値 誤差=測定値-真の値
誤差率=誤差/真の値 誤差百分率=誤差率×100
真の値(true value) とは観念的な値で,一般に求めようとしても求められな い.測定値は測定のたびにわずかであっても違いを生じるのが一般的.
誤差の原因
(1)系統的誤差(systematic error):規則性があり,測定値に偏り(bias)を与える 予め調べておけば補正できる.
①機器誤差(器差,instrumental error)
目盛の誤差,零点調整の狂い,経年変化などによる
②理論誤差(theoretical error)
測定に用いた方法(原理)に起因する誤差
③個人誤差(personal error)
測定者固有の癖によって,測定上,調整上に生じる誤差
※環境誤差:測定する場所の温度,湿度,圧力などによる誤差
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(2)偶然誤差(accidental error):
突き止められない原因,あるいは制御できないような測定条件,環境条件 などの変動によって偶発的に生じる誤差
→測定値のばらつきを生じる
(3)過失誤差,間違い(error by mistake):
測定機器の誤動作や測定者の不注意によって生じる誤差
長さの測定例
図3.1 ヒストグラム 測長機(最小目盛1μm)で,
ある物体の長さを50回測定 した結果
※ 相対頻度=頻度/測定回数
測定回数を増やすと,ヒスト グラムは連続的な曲線に近づく
図3.1 ヒストグラム
1. 50×0
= i
i n
f
µm 1 . 0
[ m]
fi
µ 1 6 . 2
1 . 0 50
13
= ×
=
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測定値の統計的分布
・過失なく同じ測定を無限回繰り返すと測定値と頻度の関係は連続的な滑らか な曲線となる
・測定値のばらつき(偶然誤差)に より山形の広がり
・偏り(系統的誤差)により測定値 の最も確からしい値(最確値),
即ち頻度が最大となる測定値 と真の値とのずれ
:母平均(population mean)
・母集団(population)
同一条件のもとで求められる 仮想的な全ての測定値(無限個)
の集合
・試料(sample)
母集団からランダムに求められ 有限個の測定値の一組
m
m
図3.2 測定値の頻度分布
- 22 -
・試料平均(sample mean)
試料平均 母平均 測定値
・誤差(error)
誤差=測定値-真の値
・偏差(deviation)
偏差=測定値-母平均
・残差(residual)
残差=測定値-資料平均
∑
== n
i
Mi
M n
1
1 M m=nlim→∞
(
i n)
Mi =1,2,L,
X Mi−
=
m Mi−
=
M Mi−
=
図3.2 測定値の頻度分布
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3.2 偶然誤差の性質と正規分布 確率密度関数:
(probability density function)
測定値が
x1と
x2の間に入る確率
Pは,
誤差の3公理
・公理1:同じ大きさの正または負の誤差は同じ割合(確率)で起こる.
・公理2:絶対値の小さい誤差は大きい誤差より頻繁に起こる.
・公理3:絶対値がある程度以上の大きな誤差は起こらない.
正規分布(ガウス分布)
(normal distribution, Gaussian distribution)
ここに,m:母平均(母集団の平均)
σ:正規分布の広がり
(偶然誤差の大きさ-母標準偏差)
( )
x f(
x x x)
f( )
x dxP x
∫
x=
<
< 2
2 1
1
図3.3 確率密度関数
図3.4 正規分布
( )
( 2)2
2
2
1 σ
σ π
m x
e x
f
− −
=
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正規分布-誤差関数
・母 平 均:
・母標準偏差:
・資 料 平 均:
・資料標準偏差:
ここに,
nは資料数
( )
22
2
2
1 σ
σ π
e
e e
f = −
( )
( 2)2
2
2
1 σ
σ π
m M i
i
e M
f
− −
=
M m=nlim→∞
( )
∑
=∞
→ −
= n
i
n Mi m
n 1 1 2
σ lim
∑
== n
i Mi
M n
1
1
( )
∑
=− −
= n
i Mi M
s n
1
2
1 1
図3.5 誤差関数
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基準正規分布曲線
図3.6 基準正規分布関数
表3.1 基準正規分布の値
( )
22
2
1 u
e u
f = −
π
ここに,
uは標準単位
σ u= e95%
) 2 ( 2 範囲内に入る確率は約
の 測定値がm± σ M± s
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3.3 測定精度 精度 (accuracy)
測定の正しさの程度を表す尺度(誤差の小ささの度合い):誤差 精度 正確さと精密さを含めたもの,またはいずれか
・正確さ・正確度(accuracy):系統的誤差の小さい程度,偏りの小ささ(程度)
・精密さ・精密度(precision):偶然誤差の小さい程度,ばらつきの小ささ(程度)
↔
図3.7 精密度と正確度
測定Aは測定Bに比し て精密度は優れている が,正確度は劣る.
- 27 -
計測機器の確度
・機器誤差:計測機器に起因する誤差
系統的誤差を生じると考えたが,実際には偶然誤差も含む
(正確度+精密度)
系統的誤差は補正可能→機器誤差とは精密度を指すことが多い
(校正)
(a) 正確度,精密度ともに良い (b) 精密度は良いが,正確度は悪い (c) 正確度は良いが,精密度は悪い (d) 正確度,精密度ともに悪い
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3.4 測定データの統計的処理 有効数字 (significant figures)
ある測定結果を示す数字のうち,位取りを示す0を除く意味のある数字
(例)長さ測定
・ 1.15 m→有効数字は3桁(測定精度は±0.01 m)
・ 1.150 m→有効数字は4桁(測定精度は±0.001 m)
・乗除演算
演算結果の有効桁数は,演算に用いた測定値の有効桁数の中で最小桁数
(例)長方形の面積
辺Aの長さ = 1.25 cm (有効数字 3桁) 辺Bの長さ = 5.213 cmの時(有効数字 4桁)
面積S = 1.25×5.213 = 6.52 cm
2(有効数字 3桁)
・加減演算
演算結果の有効桁数は,測定値の中で精度に劣るものの最下位桁数 (例)物体A,B,Cの質量和
物体Aの質量 = 1.23 kg,
物体Bの質量 = 0.456 kg,物体Cの質量 = 7.8 kg 質量和m = 1.23+0.456+7.8 = 9.4 kg- 29 -
有効数字のしくみ
真値
T1,
T2を測定したとき,
M1,
M2が得られた,測定誤差をε
1,ε
2とすれば,
T1= M1
±ε
1および
T2= M2±ε
2である.
(1)和差:総合誤差を考えるとき,安全側を採って誤差を加算する.
(2)積:誤差は倍加される.
(3)商:
εが総合誤差.ε
1/M1,ε
2/M2が相対誤差.
( ) ( )
T1±T2 ≅ M1±M2 ± ε ε1+ 2
( )
T T M
M M
M
M M M M
1 2 1 1
1
2 2
2
1 2 2 1 1 2
1 1
× = ±
±
≅ ± +
ε ε
ε ε
( )
( )
T T
M M
M M
M
M M M
M M
w M
M M M
1 2
1 1 1
2 2 2
1 2
1 1
2 2
1 2
1 2
1 1
2 2
1
1 1 1
= ±
± ≅ ±
≅ ±
= +
ε
ε
ε ε ε
ε ε ε
/
/ m ,
here
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・算術平均
ある物理量を
n回測定,算術平均値 は,
測定した物理量の真の値を
Xとすれば,各測定値の誤差
eiは,
従って,
誤差の統計的性質(誤差の3公理)によれば, であるので,
n
が十分に大きい場合は,(ただし,系統的誤差がない場合)
各測定値と算術平均値との差は残差
ri従って,
算術平均操作:残差の和を零(ゼロ)にする操作
∑
=+ = +
= + n
i i
n M
n n
M M
M M
1 2
1 L 1
M
) , , 2 , 1
(i n
e X
Mi− = i = L
∑
=+
= n
i
ei
X n M
1
1
0 lim→∞
∑
i=n e
X M =
) , , 2 , 1
(i n
r M
Mi− = i = L
∑
∑
∑
Mi−nM= ri ⇒ ri =0- 31 -
[演習1]有効桁数
球の体積
V[mm]を直径
D[mm] の測定値から求める.・直径の測定値:
D= 20.05mmの場合,
・直径の測定値:
D= 20.1mmの場合,
3 3 3
3 3.1416 20.05 6 4.220 10 6
1 D mm
V= π = × = ×
3 3 3
3 3.142 20.1 6 4.25 10 6
1 D mm
V= π = × = ×
[演習2]試料平均,試料標準偏差
ある物理量を20回測定したところ,以下のようなデータを得た.
11.24
,
11.15,
11.17,
12.10,
12.05,
12.01,
12.02,
12.82,
11.97,
11.84 12.54,12.21,11.99,12.11,12.01,11.85,12.00,11.90,12.08,12.02この結果から,試料平均値及び試料標準偏差を求めよ.
平均値:
標準偏差:
95 .
=11 M
40 .
=0 s
) 14159265 . 3
(π= L
- 32 -
誤差の伝播 (error propagation)
・直接測定:測定量をそれと同種の基準量と比較して測定すること
・間接測定:測定量と一定の関係にあるいくつかの量について測定を行い それから測定量を導き出すこと
n
個の量 (x
1,x
2,・・・,x
n) の測定値を用いて,ある量
qを間接測定する場 合,個々の測定量
xiが
qの測定結果にどのように影響するか→誤差の伝播
誤差の最大限度を絶対値で表せば,
(
x x xn)
f
q= 1, 2,L, ,
, , , ,
,
, 2 1 2
1
差が生じたとすれば
の誤 に して の誤差をもち,結果と
がそれぞれ
x x x q qx x
x K n ∆ ∆ K ∆ n ∆
2 1
2 2
1 2
2 i
n
i i
q i
n
i i
q x
f x
f σ σ σ
σ
∑ ∑
=
=
∂
± ∂
=
∂
= ∂
または,
xn
x x f
x x f x
q f ∆
∂ + ∂ +
∂ ∆ + ∂
∂ ∆
= ∂
∆
2 2 1 2
1 L
とすれば,
の標準偏差を は,測定量
に生じる標準偏差
q xi iq σ σ
xn
x x f
x x f x
q f ∆
∂ + ∂ +
∂ ∆ + ∂
∂ ∆
= ∂
∆
2 2
2 1
1 L
ガウスの誤差 伝播の法則
(参考) 計測の不確かさ:日本機械学会訳
- 33 -
・間接測定の誤差伝播例
(1)
(2)
2 ,
2 1
1 x a x an xn
a
q= ∆ + ∆ + + ∆
∆ L
(参考)対数微分
両辺を全微分すると
(注意)
n
の場合
nx a x
a x a
q= 1 1+ 2 2+L+
2 2 2
2 2 2 2 2 1 2 1
n n
q a σ a σ a σ
σ = + +L+
の場合
an
a n
a x x
x a
q= 11 22L
n n xn
a x x
a x x a x q
q= ∆ + ∆ + + ∆
∆ L
2 2 2 1 1 1
2 2 2
2 2 2 2 2 1 2 1 1 2
+ +
+
=
n n n q
a x a x
a x q
σ σ
σ σ
L
n
n x
a x
a x a a
q ln ln ln ln
ln = + 1 1+ 2 2+L+
n n xn
a dx x
a dx x a dx q
dq= + +L+
2 2 2 1 1 1
必要有り.
ほど精度良く測定する を持つ測定量
数 あるいは大きなべき指 きな係数
を小さくするには,大 あるいは
誤差率
i
i i
q
q
a a
q q
q σ
∆
誤差等分の原理:誤差が最大となる測定量の精度に,他の測定量の精度を 合わせる
- 34 -
[演習3] 測定量
Qの標準偏差を とする.
Qを
n回測定し,測定量
Q1,
Q2,
・・・,
Qnから平均値 を求めた時の,平均値 の標準偏差 は?
ここに、
よって、
[演習4] 高さ
hの測定値は
6.42±
0.57mm,直径
dの測定値は
14.38±
0.43mmであっ た.直円筒の体積
Vを求めよ.
ガウスの誤差伝搬の法則を適用して,
(2)
に
(1)を代入して,
Q Q
σ
σm
∑
== n
i
Qi
Q n
1
1 2
2 22
2 12 2
2 1 1 1
n
m n σ n σ n σ
σ = + +L+
σ σ σ
σ1= 2=L= n= σ
σm n
= 1
( )
V h d , = π d h 4
2
⇒ ∂ = =
∂
π ∂
∂ π V
h d V
d dh
4 , 2
σ
v2π d
2σ
hπ dh σ
d2 2
2 2
4 2
=
⋅ +
⋅
・・・(1)
・・・
(2)σ
vσ
hσ
dV h d
=
+
2 2 2
4 ・・・(3)
- 35 -
測定値を代入して,
(3)
式より,
これを解いて,
( )
V = × π × = =
4 14 38 .
265 42 10624 . mm
310 624 . cm
3σ
v10624
0 57
65 4 4 0 43
14 4 0 0036
2 2 2
4
=
+
= .
.
.
. .
σ
v2= 10624
2× 0 0036 .
4∴ σ
v= ± 0 641 . cm
3V = 10 62 0 641 . ± . cm
3- 36 -
[演習5] 平均移動速
vと距離
Lを測定したところ,以下となった.
Lを通過する時間を求め よ.
有効数字のしくみ の商を適用する
だから,
v = 54 2 0 4 . ± . [m / s], L = 105 0 03 . ± . [km]
M
M w M
M M M
1 2
1 2
1 1
2 2
± = +
ε ε ε ε
, here
( )
M M
t L v
1
3 1
3
2 2
3 3
105 10 0 03 10 54 2 0 4
105 10 54 2
105 10 54 2
0 4 54 2
0 03 105 19 73 19 73 0 0286 0 0074
19 4 0 7
= × = × = =
= = × ± × +
= ± +
= ±
. , . , . , .
. .
. .
. .
. .
. . . .
. .
[s]
ε ε
- 37 -
3.5 最小二乗法 (least square method)
最小二乗法の定義
ある量に対して
n個の測定値
Mi(i = 1, 2, ・・・, n)を得たとき,標準偏差を , 真の値を
Xとすれば,測定値
Miを得る確率は,
従って,
n回の独立した測定で,
n個の測定値
Mi(
i= 1, 2,・・・
, n)を同時に得 る確率
Pは,以下のようになる.
確率
Pを真の値
Xの関数と考え,確率
Pが最大となる
Xの値を
X0とすれば,
X0
は真の値
Xの最確値となる.すなわち,
X0が満足すべき条件は,
以上より,最確値
X0は,測定値
Miの算術平均値 と一致する.
( ) ( ) ( )
( 2 )2
2 2
1 2
1 σ
σ π
∑
=
=
− M−X n
n
i
exp M
f M f M f
P L
( )
( 2)2
2
2
1 σ
σ π
X M i
i
exp M
f
− −
=
σ
∑
(Mi−X)2=min. dXd∑
(Mi−X)2=0(最小二乗法)
M n M
X0=1
∑
i=M
最小二乗法:「誤差(残差)の二乗和を最小とする」条件を用いて最確値を 決定する方法.
この項が最小と なればPは最大
- 38 -
正規方程式(基準方程式) (normalized equation)
最小二乗法によって,
m個の未知量
Zk(
k= 1, 2,・・・
, m)を
n個の測定値
Miから決定する.
関数
fiを未知量
Zkの一次式と近似(線形近似)
(二次式は解析が複雑).観測式,測定方程式(observation equation)は,
測定値
Miの誤差(残差)を
eiとすれば,
最小二乗法では,未知量
Zkの最確値は誤差の二乗和が最小となるように 求める.
(
Z Z Z)
i n n mf
Mi = i 1, 2,L, m
ただし,
=1,2,L,で,
>m mi i
i
i a Z a Z a Z
M = 1 1+ 2 2+L+
m mZ a Z
a Z a
M1= 11 1+ 21 2+L+ 1
m
m Z
a Z
a Z a
M2= 12 1+ 22 2+L+ 2
m mn n
n
n a Z a Z a Z
M = 1 1+ 2 2+L+
L
L
(
11 1 21 2 1)
11 a Z a Z a Z M
e = + +L+ m m −
(
12 1 22 2 2)
22 a Z a Z a Z M
e = + +L+ m m −
(
n n mn m)
nn a Z a Z a Z M
e = 1 1+ 2 2+L+ −
L
L
- 39 -
従って,
上式より,
以上より,未知量
Zkの最確値を決定するための正規方程式(
normalized equation)が求められる.
(ここに,
k= 1, 2,・・・
, m)
※ 観測式は測定問題に応じて,測定者が設定する(観測式は唯一ではない).
) , , 2 , 1 ( 0
1
2 k m
Z e
n
i i
k = = L
∂
∂
∑
=
( )
{ }
01 1 1 2 2
1
=
− +
+ + + +
=
∑
∑
= = ni ki i i ki k mi m i
n
i akiei a a Z a Z L a Z L a Z M
∑
∑
∑
∑
= = = = =
+
+
+
n
i ki i
m n
i ki mi
n
i ki i
n
i akiai Z a a Z a a Z a M
1 1
2
1 2
1
1 1 L
- 40 -
正規方程式の応用#1 線形重回帰分析
説明変数 目的変数
x1 x2
・・・
xm yx x x
x x x
x x x
m m
n n mn
11 21 1
12 22 2
1 2
L L M M O M
L
y y y
n1 2
M 与えられたデータ群
変数定義
回帰モデル Y b $ = +
0b X
1 1+ b X
2 2+ + L b X
m m誤差最小二乗原理を適用して,
( ) ( ( ) )
S y
iY
iy b b x b x
i n
i i m mi
i
= − =
n− + + +
= =
∑ $ ∑
1
2
0 1 1
1
2
L
正規方程式 を連立させて,
を求める.
∂
∂
∂
∂
∂
= 0, = 0, ∂ = 0 S
b
S b
S b
m0 1
L
b b
0,
1, L b
m- 41 -
ここで,以下のベクトルとマトリクスを導入する.
X =
1 1 1
11 12 1
1 2
L L M M O M
L
x x x
x x x
n
m m mn
r Y M
y y y
n=
1
2
v
b M b b b
m=
0 1
前頁のn元の特性方程式は以下のように表される.
これを解くと,
X X
tb r = X Y v ・・・(1)
[ ] Y
r v
b = X X X
t −1[演習6]
n元の正規方程式を陽に書き下し,
(1)式を証明せよ.
- 42 -
実験式
2つの物理量(
x,
y)の間には,次の関数関係があるとする.
この関係を
n組の(x,y)の測定値 (x
1,y
1),(x
2,y
2),・・・,(x
n,y
n) から推定す る方法を考える.今,関数
f(x)を次の二次式で近似する.ここに,
a= Z1, b= Z2, c= Z3とおけば,
n
組の(
x,
y)の測定値より,以下の観測式が得られる.
ここに,
( )
x f y=cx2
bx a y= + +
3 2 2
1 Z x Z x
Z
y= + +
1 2 3 2 1 1
1 xZ x Z y
Z + + =
L
L 3 2
2 2 2 2
1 x Z x Z y
Z + + =
n n
nZ x Z y
x
Z1+ 2+ 2 3=
1 2 1
31 1 1 21
11 1 a x a x M y
a = = = =
2 2 2
32 2 2 22
12 1 a x a x M y
a = = = =
n n n n n n
n a x a x M y
a1 =1 2 = 3 = 2 =
L
L
- 43 -
未知量
Zk(k
= 1, 2, 3)の最確値を決定するための正規方程式は,係数を元に戻すと,近似式の定数
a,
b,
cを求めるための三式が得られる.
なお, と近似した場合は,上の三式中の最初の二式により定数
a,
bを求めればよい(ただし,
c= 0).
∑
∑
∑
∑
= = = = =
+
+
n
i i i
n
i i i
n
i i i
n
i aiai Z a a Z a a Z a M
1 1 3 1 1 3 2
1 1 2 1
1 1 1
∑
∑
∑
∑
= = = = =
+
+
n
i i i n
i i i n
i i i n
i i
ia Z a a Z a a Z a M
a
1 2 3 1
3 2 2
1 2 2 1
1 1 2
∑
∑
∑
∑
= = = = =
+
+
n
i i i
n
i i i
n
i i i
n
i aiai Z a a Z a a Z a M
1 3 3 1 3 3 2
1 3 2 1
1 3 1
∑
∑
∑
= = = =
+
+ n
i i n
i i n
i
i b x c y
x na
1 1
2 1
∑
∑
∑
∑
= = = = =
+
+
n
i i i
n
i i
n
i i
n
i xi a x b x c xy
1 1
3 1
2 1
∑
∑
∑
∑
= = = = =
+
+
n
i i i
n
i i
n
i i
n
i xi a x b x c x y
1 2 1
4 1
3 1
2
bx a y= +
- 44 -
実験式の関数形(例)
① の場合
y= ln Y ,x= ln X ,a= ln A ,b = B
とおけば,y = a+bx と近似したことと同じ.
② の場合
y= Y X2
,x
= X ,a =A,b
=B,c
= Cとおけば,y
= a+bx+cx2と近似したこと と同じ.
③ の場合
y= 1/Y
,
x= X,
a =A,
b=B,
c= Cとおけば,
y= a+bx+cx2と近似したこと と同じ.
※ 実験式の関数形は現象の物理的意味を吟味して定める(試行錯誤も重要).
実験式の関数形の吟味→方対数グラフ(対数関係),両対数グラフ(power- law;スケールフリー)の活用.
XB
A Y =
X ln B A ln Y
ln = +
X C B X Y = A2+ +
2
2 A BX CX
YX = + +
2
1 CX BX Y A
+
= +
1 A BX CX2
Y = + +