子宮頸がん予防ワクチン接種説明書
~大切なお知らせ~
子宮頸がん予防ワクチンは、2種類のワクチンが国内で使用承認され、医療機関で接種されていますが、その内容に
ついては、異なる点があります。
いずれのワクチンで接種しても法定予防接種として無料で接種できますが、必ず初回に接種したワクチンと同じワクチ
ンで2回目、3回目の接種を受けることが必要です。
以下をよくお読みいただき、接種医とご相談の上、接種を受けてください。
医療機関で接種できるワクチン
2価HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン
4価HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン
製品名
サーバリックス
ガーダシル
製造販売会社名
グラクソ・スミスクライン株式会社
MSD株式会社
国際誕生
平成19年 5月
平成18年6月
国内販売開始年月
平成21年12月
平成23年8月
2価HPVワクチン、4価HPVワクチン共通事項
子宮頸がんと発がん性ヒトパピローマウイルス
①子宮頸がんは、子宮頸部(子宮の入り口)にできるがんで、20~30代で急増し、日本では年間約15,000人の女性が発症していると
報告されています。子宮頸がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、しばしば発見が遅れてしまいます。がんが進行す
ると、不正出血や性交時の出血などがみられます。
② 子宮頸がんは、発がん性HPVというウイルスの感染が原因で引き起こされる病気です。
③ 発がん性HPVは感染しても多くの場合、感染は一時的で、ウイルスは自然に排除されますが、感染した状態が長い間続くと、子宮
頸がんを発症することがあります。
④ 発がん性HPVは特別な人だけが感染するのではなく、多くの女性が一生のうちに一度は感染するごくありふれたウイルスです。
⑤ 発がん性HPVには15種類ほどのタイプがあり、その中でもHPV 16型、18型は子宮頸がんから多くみつかるタイプです。日本人子
宮頸がん患者の約60%からこの2種類の発がん性HPVがみつかっています。
接種不適当者(次の方は接種を受けないでください)
① 明らかに発熱している方(通常は37.5℃を超える場合)。
② 重い急性疾患にかかっている方。
③ 2価HPVワクチン(サーバリックス®)または4価HPVワクチン(ガーダシル®)に含まれる成分(詳しくは医師にお尋ねくだ
さい)によって過敏症(通常接種後30分以内に出現する呼吸困難や全身性のじんましんなどを伴う重いアレルギー反応を含む)をお
こしたことがある方。
④ その他、かかりつけの医師に予防接種を受けないほうがよいと言われた方。
接種要注意者(次の方は接種前に医師にご相談ください)
① 血小板が少ない方や出血しやすい方。(血小板減少症や凝固障害を有する方)
② 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害などの基礎疾患のある方。
③ 過去に予防接種で接種後2日以内に発熱(または全身性発しんなどのアレルギーを疑う症状)のみられた方。
④ 過去にけいれん(ひきつけ)をおこしたことがある方。
⑤ 過去に免疫状態の異常を指摘されたことのある方もしくは先天性免疫不全症と診断された近親者がいる方。
⑥ 妊娠あるいは妊娠している可能性のある方。
⑦ 現在、授乳中の方。
予防接種による健康被害救済制度について
定期の予防接種により引き起こされた副反応により、医療機関での治療が必要になったり、生活に支障が出るような障害を残すな
どの健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく補償を受けることができます。
健康被害の程度等に応じて、医療費、医療手当、障害児養育年金、障害年金、死亡一時金、葬祭料の区分があり、法律で定められ
た金額が支給されます。死亡一時金、葬祭料以外については、治療が終了する又は障害が治癒する期間まで支給されます。
ただし、その健康被害が予防接種によって引き起こされたものか、別の要因(予防接種をする前あるいは後に紛れ込んだ感染症あ
るいは別の原因等)によるものなのかの因果関係を予防接種・感染症医療・法律等、各分野の専門家からなる国の審査会にて審議し、
予防接種によるものと認定された場合に補償を受けることができます。
接種を受けるとき
原則、保護者の方の同伴が必要ですが、被接種者が13歳以上の場合、保護者の方が事前に予診票の
質問事項の記入と自署欄への署名があれば、保護者の同伴がなくても接種できます。
◇
13歳以上の方で保護者が同伴しない場合は
下記に記載されている内容をよくお読みのうえ、理解し、十分納得された上でお子さんに接種するこ
とを決めてください。
接種させることに決めた場合は、事前に保護者の方が予診票の質問事項の記入と署名欄の「自署欄Ⅰ」
に接種日当日、署名してください。
(署名がない場合は受けられません)
署名した予診票は、医療機関までお子さんに持参させてください。
*署名するに当たっては、接種させることを判断する際に、疑問等があれば、あらかじめ、かかりつけ
医等に確認して、十分納得したうえで接種させるかどうかを決めてください。
◇
保護者が同伴する場合は
下記に記載されている内容をよくお読みのうえ、予診票の質問事項に記入し、予診票を医療機関にご
持参ください。接種日当日、医師の診察及び予防接種の説明を受けた後に予診票の署名欄「自署欄Ⅱ」
に署名してください。
*接種させることを判断する際に疑問等があれば、医師に確認して、十分納得したうえで接種させるか
どうかを決めてください。
接種後の注意
① 接種後に重いアレルギー症状がおこることがあるので、接種後はすぐに帰宅せず、少なくとも30分間は体重を預けられるような
場所で安静にしていてください。
② 接種後は、接種部位を清潔に保ちましょう。
③ 接種後丸1日は、過度な運動を控えましょう。
④ 接種当日の入浴は問題ありません。
2価HPVワクチン(サーバリックス
®)及び4価HPVワクチン(ガーダシル®)のいずれの子宮頸
がん予防ワクチンも3回接種することにより、子宮頸がんの予防に一定の効果が得られますが、100%
予防できるものではありません。ワクチンを接種した後も、20 歳を過ぎたら定期的に子宮頸がん検診を
受診してください。
2価HPVワクチン(サーバリックス®)について
(1)2価HPVワクチン サーバリックス
○
R
の概要
① サーバリックス®は、すべての発がん性HPVの感染を防ぐものではありませんが、子宮頸がんから多くみつかるHPV 16型、18型の
2つのタイプの発がん性HPVの感染を防ぐことができます。
② サーバリックス®を接種することにより、HPV31型、33型、45型、51型に起因する持続感染や前癌病変への効果も認められていま
す。また、サーバリックス®は接種時に発がん性HPVに感染している人に対して、ウイルスを排除したり、発症している子宮頸がん
や前がん病変(がんになる前の異常な細胞)の進行を遅らせたり、治療することはできません。
③ 上記のようにサーバリックス® の接種時にHPV 16型や18型の発がん性HPVに感染している人に対して、十分な予防効果は期待で
きませんが、HPV 16型と18型の両方に同時に感染している可能性は低く、HPV16型に感染している人でもHPV 18型への予防効果が、
HPV 18型に感染している人でもHPV 16型への予防効果が期待できます。また、発がん性HPVに感染している人に対してサーバリッ
クス®を接種しても症状の悪化などは報告されていません。
~発がん性HPVに感染する前にワクチンを接種するとより効果的です。~
④ 子宮頸がんの発症は20代以降に多いですが、発がん性HPVに感染してから発症まで数年から十数年かかります。
⑤ 発がん性HPVに感染する可能性が低い10代前半に子宮頸がん予防ワクチンを接種することで、子宮頸がんの発症をより効果的に予
防できます。
⑥ ワクチンを接種した後も、全ての発がん性HPVによる病変が防げるわけではないので、早期発見するために子宮頸がん検診の受診
が必要です。市区町村が実施する公的子宮頸がん検診は、20歳以上を対象として2年に1回の受診間隔で実施されますので、10代で
ワクチンを接種しても20歳を過ぎたら定期的な子宮頸がん検診を受けましょう。なお、10代の方は公的な検診制度はありません。気
になることがありましたら、すぐにワクチンの接種を受けた医療機関にご相談ください。20歳を過ぎたら、定期的に子宮頸がん検診
を受けましょう。
(2)2価HPVワクチン サーバリックス
®
の効果について
① サーバリックス®の接種対象者は、10歳以上の女性です。
② サーバリックス®は、臨床試験により15~25歳の女性に対するHPV 16型と18型の感染や、前がん病変の発症を予防する効果が確認
されています。国内臨床試験においては、20~25歳の女性が4年間HPV 16型と18型の感染や、前がん病変の発症を100%予防する
効果が確認されています。10~15歳の女児および26歳以上の女性においては予防効果に対するデータはありませんが、サーバリッ
クス®を接種すると15~25歳の女性と同じように抗体ができることが確認されています。
③ サーバリックス®の予防効果がいつまで続くかについては、現時点で成人女性では最長 9.4 年間までサーバリックス®接種による
抗体と予防効果が続くことが確認されています(海外臨床試験成績、27th INTERNATIONAL PAPILLOMAVIRUS CONFERENCE
AND CLINICAL WORKSHOP September 17-22, 2011 Berlin ・Germany 発表)。抗体と効果の持続については現在も経過観察が続
けられており、今後更なる延長が期待されています。なお、子宮頸がんの発症を予防するのに必要な抗体の量については現時点で
は明らかになっていません。将来、サーバリックス®の追加接種が必要となる可能性もありますので、今後得られる情報にご留意
ください。
④ 子宮頸がんは多くの場合、発がん性HPVの持続的な感染や前がん病変の後に発症すると考えられており、これらを予防することに
より、子宮頸がんを予防できると考えられています。子宮頸がんを発症するまでには発がん性HPVに感染後、数年から十数年かかり
ます。臨床試験では、サーバリックス®により発がん性HPVの持続的な感染および前がん病変が予防できることが確認されています
が、子宮頸がんに対する予防効果について確認されているわけではなく、海外で検討が続けられています。更なる情報についてはウ
ェブサイト等でご確認ください。
(3)2価HPVワクチン サーバリックス
®
の十分な予防効果を得るためには3回の接種が必要です。
① 3回接種しないと十分な予防効果が得られません。
② 腕の筋肉に注射します。
③ 3回の接種の途中で妊娠した場合には接種は継続できません。その後の接種について医師にご相談ください。
(4)2価HPVワクチン サーバリックス
®
接種後の症状について
① サーバリックス®にはワクチンの効き目をよくするための2種類のアジュバント(免疫増強剤)が添加されています。1つはアルミ
ニウム塩で、国内で市販されているワクチンによく使われています。もう1つは、MPL(3-脱アシル化モノホスホリル脂質A)で、海
外で市販されている他のワクチンにも添加されていますが、国内では初めて添加される成分です。
② サーバリックス®を接種した後に注射した部分が腫れたり痛むことがあります。
③ 注射した部分の痛みや腫れは、体内でウイルス感染に対して防御する仕組みが働くためにおこります。通常は数日間程度で治りま
す。
④ 海外で市販されているサーバリックス®は推定で220万人以上(3回接種で換算)に接種されています(2009年5月時点)。国内に
おいては臨床試験では約600名に接種されており、販売開始から平成23年11月30日報告分までで推計340万人に接種されていま
す。(第3回子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会 資料より)
(5)2価HPVワクチン サーバリックス
®
の主な副反応
① サーバリックス®接種と関連性があると考えられた主な副反応について、以下のように報告されています。
●頻度10%以上 かゆみ、注射部分の痛み・赤み・腫れ、胃腸症状(吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など)、筋肉の痛み、
関節の痛み、頭痛、疲労
●頻度1~10%未満 発疹、じんましん、注射部分のしこり、めまい、発熱、上気道感染
●頻度0.1~1%未満 知覚異常、しびれ感、全身脱力
●頻度不明 四肢痛、失神・血管迷走神経発作(息苦しい、息切れ、動悸、気を失うなど)、AST,ALTの上昇
ぶどう膜炎、角膜炎、リンパ節症
② 重い副反応として、まれに、ショック、アナフィラキシー様症状(血管浮腫・じんましん・呼吸困難など)があらわれることがあ
ります。
③ 接種後1週間は症状に注意し、強い痛みがある場合や痛みが長く続いている場合など、気になる症状があるときは医師にご相談く
ださい。
(6)サーバリックス
®
接種後の注意
① 接種後に、重いアレルギー症状がおこることがあるので、接種後はすぐに帰宅せず、少なくとも30分間は体重の預けれられるよ
うな場所で安静にしていてください。
② 接種後は、接種部位を軽く押さえ、揉まないようにしてください。
③ 接種後は、接種部位を清潔に保ちましょう。
④ 接種後丸1日は、過度な運動を控えましょう。
⑤ 接種当日の入浴は問題ありません。
4価HPVワクチン(ガーダシル®)について
(1)4価HPVワクチン ガーダシル
○
R
の概要
① ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸がんおよびその前がん病変をはじめ、外陰や膣に発症する病変(外陰上皮内腫瘍や
膣上皮内腫瘍)、尖圭コンジローマなどを引き起こすウイルスです。
② ガーダシル®は、子宮頸がんをはじめ、外陰上皮内腫瘍や腟上皮内腫瘍、(HPV16型、18型)尖圭コンジローマなどの、(6型、
11型)HPV疾患を幅広く予防することができる4価HPVワクチンです。
③ ガーダシル®を接種しても、HPV 6,11、16、18型以外の感染およびこれらによる病変発症の予防は期待できません。また、すで
にHPV 6,11、16、18型に感染している人に対してガーダシル®を接種しても、ウイルスを排除したり、発症している子宮頸がんや
前がん病変などの進行を遅らせたり、治療することは、できません。
④ ガーダシル®の接種時に HPV 6,11、16、18 型のいずれかの、HPV 型に感染している場合、その、HPV 型に対する予防効果は
期待できませんが、これら4つのすべての、HPV 型に感染している可能性は低いため、1つの型の HPV に感染している場合でも
他の3つの型の HPV に対する予防効果は期待できます。
⑤ HPV に感染する可能性が低い 10 代前半にガーダシル®を接種することで、子宮頸がんをはじめとする HPV 6,11、16、18 型
による病気の発症をより効果的に予防することができます。
(2)4価HPVワクチン ガーダシル
○
R
の効果について
①ガーダシル®は、臨床試験により 16~45 歳の女性に対する HPV 6,11、16、18 型の感染や、子宮頸がんの前がん病変、外陰上
皮内腫瘍、膣上皮内腫瘍、尖圭コンジローマを予防する効果が確認されています。9~15 歳の女児において予防効果は確認されて
おりませんが、ガーダシル®を接種すると 18~26 歳の女性と同じように抗体ができることが確認されています。
②ガーダシル®の予防効果の持続については、ワクチン接種後8年から10年はHPV16、18型に関連した子宮頚部上皮内腫瘍2(CI
N2)以上の病変発生は1例も認められなかったとの報告があります。(第28回 国際パピローマウィルス学会発表データ 2012年
12月)
③現時点ではガーダシル®の追加接種が必要になるかどうか明確な判断基準は設定されていません。将来、ガーダシル®の追加接種が
必要となる可能性もありますので、今後得られる情報にご留意ください。
ガーダシル®は、2006年に米国で承認されて以来、世界120ヵ国以上の国と地域で承認されています。(2011年6月現在)
④
臨床試験では、ガーダシル®により前がん病変が予防できることが確認されています。子宮頸がんは、前がん病変がみられた後に
発症すると考えられ、これらを予防することにより、子宮頸がんを予防することができるものと考えられています。
(3)4価HPV ガーダシル
○
R
の副反応について
① ガーダシル®接種と関連性があると考えられた主な副反応は以下のとおりです。
●頻度10%以上 注射部分の痛み・赤み・腫れ
●頻度1~10%未満 発熱、注射部分のかゆみ・出血・不快感、頭痛
●頻度1%未満 注射部分のしこり、手足の痛み、筋肉が硬くなる、下痢、腹痛、白血球数増加
●頻度不明 無力症(上まぶたの下垂、物が重なって見えるなど)、寒気、疲れ、だるさ、血腫、気を失う、
体がふらつくめまい、関節の痛み、筋肉痛、おう吐、悪心、リンパ節の腫れ・痛み、皮ふ局所の痛みと
熱を伴った赤い腫れ
② まれに、過敏症反応(アナフィラキシー反応やアナフィラキシー様反応<呼吸困難、目や唇のまわりの腫れなど>、気管支痙攣<
発作的な息切れ>、じんましんなど)、ギラン・バレー症候群(下から上に向かう両足のまひ、血小板減少性紫斑病(鼻血、歯ぐき
の出血、月経出血の増加など)、急性散在性脳脊髄炎(まひ、知覚障害、運動障害など)があらわれることがあります。このような
症状が疑われた場合は、すぐに医師に申し出て下さい。
(4)4価HPVワクチンガーダシル
○
R
接種後の注意
①接種後は強く揉まず、軽く押さえる程度にとどめて下さい
②ガーダシル®接種後に、注射による恐怖、痛みなどが原因で、気を失うことがあります。気を失って転倒してしまうことをさけるた
め接種後すぐに帰宅せず、少なくとも30分程度は体重の預けれられるような場所で安静にし、医師とすぐ連絡がとれるようにして
おいてください。
③ガーダシル®を接種した後に注射した部位が腫れたり、痛むことがありますが、これは、体内に備わっている抵抗力が注射した成分
を異物として認識するためにおこります。通常は数日間程度で治まります。
④接種後は、接種部位を清潔に保ってください。
⑤接種翌日までは、過度な運動を控えてください。
⑥接種した日の入浴は問題ありません。
⑦接種後1週間は症状に注意し、気になる症状があるときは医師にご相談ください。