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胃癌の免疫化学的解析 _胃癌RNA Rich:Fractionの抗原分析一

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(1)

胃癌の免疫化学的解析

_胃癌RNA Rich:Fractionの抗原分析一

金沢大学医学部第二病理学教室(主任 石川太刀雄教授)

     本  田  雄  治

       (昭和40年9,月1日受付)

 癌細胞組成の特異性を明らかにしょうとする試みが 近年活澄に行なわれるようになってきた,生化学的手 段による特異的な塩基性蛋白,多糖類 リピンなどの 追求や酵素レベルでの解析などの外に,最近は免疫学 的手段,たとえば沈降反応,凝集反応,補体結合反 応,移植免疫現象などを用いた解析あるいは螢光抗体 法の利用などによって,かなり癌に特異性の高い抗原 物質がみつけられるようになった.

 筆者らは,それらの報告のうちで,癌特異性抗原物 質がミクロゾーム,不溶性物質などに局在するという 成績に注目し,若干の検討を加えることを企図した.

即ち人胃組織(癌及び非癌)を材料として,ミクロゾ ーム分画(RNA richfraction)及びそのsubfraction についてゲル内拡散法による免疫学的解析を行なった ところ,一応胃癌組織の特異性を認めることができた ので,結果をつぎに報告する.

実験材料並びに方法

ジネートを作った.なお,材料は常に一部を病理組織 標本として所見を確認した。本実験に使用した組織材 料を図1に示す.

図1 実 験材料

ヒ  ト

ラット

一品織織織織

胃非三門直回

正  常  肝 硬変肝(DAB)

肝 癌(DAB)

156米 32  3  2  3  2

0702 

2

 (1)抗原の調製

 手術的に切除した入念組織(癌及び非癌)を一20。C で凍結保存し,用にのぞんで融解後細片とし,0.25M ショ糖液(終濃度0.005M Mgc12を含む)1)を4倍:量 加え,ワーリングブレンダーで20%ホモジネートを作 った.対照の非癌胃材料としては,胃潰瘍と潰瘍随伴 胃炎を起している組織を上記と同様に処置した.ま た,呑竜ラッチを3,メチル4ジメチルアミノアゾベン ゼン(3 一methyl DAB)を0.06%にまぜた飼料で飼 育して約3カ月後の硬肝変,約6カ月後の肝癌及び処 置以前の正常肝についての検討も行なった.夜絶食さ せたラッチをエーテル麻酔下開腹して肝をとり出し,

門脈より冷却した0.9%食塩水で血液の色がなくなる まで(約500m1)灌流を行なった後,細片とし, Pot.

ter−Elvehjem型ガラスホモジナイザーで約20%ホモ

*延べ例数小さな癌の場合は数例分をプールに  して材料とした.免疫抗原としては228例,試 験抗原としては62例の異なったプールを材料と

 した.

 a)RNA rich fractionの作製方法

 人胃組織及びラッチ肝組織のRNA rich fraction 作製の大様は,Littlefieldら1)の法に準じて行なっ た.即ち,上述のホモジネートを3,000rpm,15分遠 心し得た上清をつぎに10,000×g,30分遠心する.そ の上清をさらにSpinco L型超遠心機で105,000×g,

120分遠心して得た沈渣(RF分画)を氷冷した0.25M ショ糖液で充分に洗浄した.

 b)デオキシコール酸可溶性分画(DOC−s)の作製  上述のごとくして得た各組織の沈渣(RF分画)約 1mlに,終濃度0.005MのMgc12と0.5%のデオキ シコール酸(以下DOCと略す)を含む0.05M Tris 緩衝液(pH 8.2)を9m1加え,氷冷しながらガラ スホモジナイザーに約15分かけて沈渣を溶解させる.

 Immunological Analysis of H:uman Stomach Cancer.一〇11 the Antigen Analysis of the RNA Rich Fraction. Yuji Honda, Departmant of Pathologv(Director:Lpro£T. Ishikawa), School of Medecine, Kanazawa University.

(2)

    図2 抗原の分画方法 ヒト胃癌及び非癌胃組織

一20。Cに貯蔵

細片に切り,、終濃度0.005M MgC12を含む0.25Mショ糖液を加え,

ワーリングブレンダーで20%ホモジネートをつくる        i3,・…pm・15分勘

沈さ(P1)      上清(S1)

 1 沈さ(P2)

1・・・…×島3・分勘       1

     上清(S2)

      1・・5・・・…島12・分下

鞍さ(RF) 上清(S3)

0.05M Tris緩衝液pH 8.2(0.005M MgCI2を含む)

にデオキシコール酸ナトリウムを終濃度0.5%に加え たものでガラスホモジナイザーでけんだく液とする       11・5,・…9,・2・回歴

沈さ(Doc−i) 上清(DOC−s)

終濃度0.005M MgC12を包む0.02M Tris. pH:7.6にげんだくし凍結融解 を3度くり返す

DEAE一セルローズカラムクロマトグ ラフィー

DEAE一脈ルローズカラムクロマトグ

フ.ブイー

ついでSpinco L型超遠心機で105,0、0×g,120分遠 心した上清を静かに吸い取って試料とした.沈渣の表 層部分の上清は用いないように注意を払った.この上 清をDOC可溶性分画(DOC−s)とし,沈渣をDOC 不溶分画(Doc−i)とする.いずれも使用時まで一20

。Cに凍結保存した.以上の抽出過程を図2に示す.

 c)DEAEセルローズカラムクロマトグラフィー

による抗原の精製2)

 0.035M Tris緩衝液(pH 7.8)を用い,氷室で24 時聞緩衝化したDEAEセルローズカラム(1.0×20)

に,前述のDOC−s蛋白試料(蛋白濃度約100mg)

をかけ,KC1−Tris緩衝液(0.035M Tris緩衝液に KCIを終濃度0.1〜0.8Mまで加えたもの)でstep・

weiseの溶出を行なった.溶出速度は20ml/hとし,

フラクションコレクターで溶出液を5m1宛とつた.

各ステップ毎の溶出液を200mlとした.各溶出液の 紫外域吸光度(280mμ,260mμ)は図4に示すとおり である.なおKC1濃度0.2MまでのTris緩衝液に は終濃度0.1%になるようにDOCを加えた.つぎに 各ピークの分画について紫外部吸収(280mμ)及びビ

ウレット法3)で蛋白量の比を測定した(図6).各分 画はセロファンチューブに入れ,約1000倍量の0.005

MTris緩衝液(pH 7.8)に対して24時間氷室で透 析を行ない,DOCを充分にのぞいた後, 風乾で一定 量に濃縮して試験抗原とし,一20。Cに保存した.通 常,試験抗原濃度を蛋白10mg/mlとした,

 d)DOC不溶分画(DOC−i)4》

 DOc−i分画は終濃度。.oo5M Mgc12を含む。.02 MTris緩衝液(pH 7.6)に懸濁し,ガラスホモジ ナイザーで均一にし,凍結融解を3度くりかえし,

DEAEセルローズカラムクロマトグラフィーにかけ た.溶出液としては,終濃度0.005M Mgc12を含む KC1−Tris緩衝液(0.02M Tris緩衝液pH 7.6に KCIを終濃度0.1〜1.2Mまで加えたもの)をstep・

weiseに用い,最後に0.5M KOHで溶出した.

 (2)抗血清の作製

 体重2.5〜3.Okgの成熟ウサギを使用し, Freund s complete adjuvant 5)6)で免疫注射を行なった.1週 間の間隔をおいて3回,ウサギの肩肝骨下腔に抗原を 注射し,初回注射後1.5カ月闘経過後第1回の追加免 疫,さらに20日後に第2回目の追加免疫を行ない,そ の後5〜7日目に全採血を行なった.胃組織(癌及び 非癌)RF分画で免疫を行なうには,1回の免疫蛋白量 を50mgとした.また胃癌及び非胃癌DOC−s分画

(3)

のSubfract量on及びDOC−i分画で免疫する場合は,

1回の免疫蛋白量を約20mgとした.全採血後,血 清を分離し,Oudin法によって抗体の力価を測定し てから一20。Cで凍結保存した.

 (3)実験方法

 a)Single Gel Diffusion Technique(Oudin法)

7)8)

抗血清と,1.0%に溶解した寒天とを等量まぜて小試 験管に注ぎ,寒天の固化後抗原を重層する,室温24時 間反応させ,抗体寒天廓内に沈降帯が出現する抗体の 最大稀釈倍数2nの指数を抗体価とした.

 b)吸収抗血清

 抗胃癌RF.〔血清1〕m1に蛋白濃度20 mg/m1の非

癌DOC−s分画0.5m1と正常人血清0.5m1を加

え,37。Cに2時聞,ついで氷室に一昼夜放置後立心し て得た上清を吸収抗血清とした.いずれもさらに過剰 の抗原を加えても沈殿の生じないことをたしかめた.

 c)Double Gel Diffusion Technique(Ouchter−

Iong法)9、

 寒天板の終濃度1.33%,pH:7.2.抗体孔の直径8

mm,抗原孔の直径5mm,両月の間隔は8mmとし

た.抗原は0.02〜0.03m1,抗体は0.04〜0.05m1と し,20。Cで反応させ,沈降線がでそろった時(通常 3日),写真撮影を行なうかまたは乾燥後Thiazine red lo)で蛋白染色を行なって記録した.また一部は sudan black B 11)12)で脂肪染色を,α一naphtho1−p−

phenylen diamine 12)で糖蛋白染色を行なって,沈 降線の組成をしらべた.

 d)Immunoelectrophoresis(Graber法)

 術式はWilliam&Graber 13)の方法によった.寒 天板の組成はベロナール・緩衝液(pH 8.2,μ:

0.1),寒天終濃度:は0.013%とし,8×12cmのガラ ス板上の厚さを0.1cmとした.抗原抗直径3mrn,

15mA constant,90分泳動を行なった.

実三門 結果  (1)抗原の化学的解析

 ミクロゾーム分離方法は確立されているけれども,

それは主に哺乳動物の肝についてであって,同様の操 作がそのままあらゆる臓器に適用されるわけではな い14).そこで筆者は,ラッチ肝のミトコンドリア分画 及びミクロゾーム分画の分離条件1)に従って,人魂組 織ホモジネートから各分画(図2参照)をつくり,

Schmidt, Thanhauser, Schneiderの方法15)に従い RNA及びDNAを抽出し, Melbaumの方法16)に

よりRNAを, Discheのジフェニールアミン反応17)

  図3 遠心過程の各分画に含まれる核酸量比    (細胞中全RNA及びDNAに対する%)

ヒト胃組織

 Pl  P2 DOC−s DOC−i  S3

RNA

非鶴障癌

︵U一b2Pひ只V噸1¶← ρ0 ーム戸On67311凸 

6

DNA

非劇胃癌

100  0  0  0  0

100  0  0  0  0

ラット肝組織

(3例の平均値)

1正粉糊肝膵嘱RNA

 Pl  P2 DOC−s DOC−i  S3

0ワ・6δOO21∴  59臼 003Qσ只︶−¶■ ﹃0ーユ −占23ρOR︶ーム噌⊥  ﹁0ーム

正劇畷曜晦DNA

100  0  0  0  0

100  0  0  0  0

100  0  0  0  0

(3例の平均値)

によりDNAを測定した結果,細胞中の全RNA量の 60〜70%が105,000×g,120分の沈殿分画に認めら れ,これらの分画にDNAは認められなかった.ラッ チ肝では,全RANの60%はミクロゾーム分画(105,

000Xg,120分遠心沈殿)にくるから,胃のこの分画 はミクロゾーム分画に相当すると考えられる.

 つぎに,入質RF分画及びラッチ肝ミクロゾーム分 画を終濃度0.5%のDOCを含むTris緩衝液pH 8,2で処理すると,Doc−s分画及びDoc−i分画に わかれるが,どちらの材料でも2〜3%(細胞全RNA 量に対し)のRNAはDOC−s分画に移行し,約60〜

65%のRNAはDoc−i分画に認められた.

 人丁丁胃DOC−s分画をDEAEセルローズカラム クロマトグラフィーにかけ溶出液の280mμ吸収をみ ると,step 1には2つのピークが認あられた.初め の高いピークをN1,後者の小さなピークをN2とす る.step 2〜5の溶出液のピークは小さい(図4).便 宜上step 2から5までのピークを順にN3,4,5,6とす る.step 6には260 mμの紫外部吸光度の大きなピ ークN7が認められる.この物質は,オルシノール反 応陽性,紫外部吸光度の260mμ/280mμ比は1.8〜

1.9でありジフェニールアミン反応は陰性であった.

この分画を0.5N KOHで37。C,18時間加水分解し,

ギ酸タイプのDowex 1,×2のカラムにかけ,初め

(4)

1Nギ酸,ついで4Nギ素で溶出すると18)19),4つの ヌクレオチド(アデニール酸,グアニール酸,シチジ ー酸及びウリジール酸)が分離されたし,1NのHC1 で100℃,60分加水分解後20)ペーパークロマトグラ フィー(東洋濾紙No,51使用)でしらべると,2つ のプリン(アデニン,グアニン)と2つのピリミジン ヌクレオチド(シチジール酸,ウリジール酸).が分離 されたから,RNAであることが確実である.しか し,6NHC1で15時間加水分解後ペーパークロマトグ ラフィー(東洋濾紙No.51, n一ブタノール・酢酸・

水=4:1:2で展開)にかけてニンヒドリン反応を行 なっても陰性であったから,この分画には蛋白は含ま れていないことが明らかである.なおN2は,症例に よって欠如する場合があった.

 胃癌DOC−s分画では同様に7個のピーク(C1〜7)

が溶出されたが,注目されるごとは,ピークC2の増 量が著明なことである.

 正常ラッチ,硬変肝及びDAB肝癌のDOC−s分画 について同様な検討を加えた結果は,s士ep 1に溶出 される2番目のピークにやはり著明な差が認められ た.正常肝では小さなピークが存在したが,硬変肝に 移行すると減少ないし消失し,癌化に伴い著明に増量   図4.a ヒト胃癌及び非胃癌DOC−s分画の    DEAEセルローズカラムクロマトグラム

OD.280mμ

1.5

1.0

0,5 μN1

@ ■  8暫  噛 一一 ■

P9一癌

非癌胃

@ 胃DOC−s cOC−s

O.D.260mμ

3 C〜 L5

C2

N7C7 1.0 陽1

、N2 0.5

 亀

W1

響8 ︑Ψ

N5C5

@

@  、、

 N4C4 N5C5 N6C6

V

︑l   l   ︑﹃  ︑︐

KC1    0.1    0.2    03    0.4    0.5   0.6 (M)

   溶出液・Kq−T・i・緩衝液 (pH 7.8♪

  図4.b ラット正常肝,硬変肝及びDAB    肝癌,DOC−s分画のDEAEセルロー       ズカラムクロマトグラム

01).280rnμ

L5

Lo

0.5

μ  一●一・一・一ラノト D…・………d 変8・一DAB肝

正常肝DOC−5

@ 肝DOC−s

@ 癌DOC−s 0.D。260mμ

●・唱}・NLl

bL1 1.5

DL1

NL7 Dし2

LO  CLア@DL7

亀 ・A    Nし5

@  Cし5NヒDL5   

NL4bL4 NL5 bL5 出・・5

o︐.

、    ●

@.bL2

       DL4

@  〃、㍉     、 璽

ゥノ

  DL5

@    ぜ、 ゐ     。

@4DL6

C

 1  亀層

@σ  、㌔

@  、・

i    \        、

Kα     0ユ      0.2     0.3     04     0.5    06 (M}

   溶出液・Kq−T・i噸衝液(pH 7.8)

した.以下,正常ラッチ肝の溶出液の各ピークをNL 1〜7,硬変肝のそれをCL1〜7, DAB肝癌のそれをDL 1〜7と呼ぶことにする.

 つぎにDOC−i分画をDEAEセルローズカラムク ロマトグラフィで分画した.終濃度0。005M Mgc12 を含むKCI−Tris緩衝液(0.02M Tris緩衝液pH 7.6にKC1を終濃度0.1〜1.2Mまで加えたもの)

でstepweiseに溶出し,280 mμ及び260mμの紫外 部吸収をしらべると,胃癌,非胃癌,ラッチ肝(正常 肝,硬変肝,DAB肝癌)のいずれを材料としても3 つのピークが認められた.ピーク1,2は蛋白で核酸 を含まず,ピーク3は,前記と同様な種々の定性反応 の結果,RNAであることがたしかめられた.ピーク 3の溶出終了後,0.5N KOHで溶出を続けると,ピ ーク4が溶出されるがジこの物質もピーク3と同様な 定性反応を示したからRNAと断定される.なお,こ の場合材料によって特定のピークの高さが異なるとい うようなことは認められなかった.

 (2)抗血清作製法の吟味

 免疫抗原量,免疫回数,闇隔などの差による特異抗

    セ  

体価の違いをOudin法により吟味した.まず,免疫 注射3回法では,第1回の免疫注射後2週目から抗体   図5.a ヒト胃癌及び非癌胃Doc−i分画の    DEAEセルローズカラムクロマトグラム

0.D.280mμ

15

LO

0。5

馳●一一一

癌胃一癌

 DOCイ

ンDOC二i OD.260mμ 貸4c4

1

1.5

1 1

1.0 8

1

nlc1 n3C5

緊竃

l l 0.5 ・=

1

6  唖9

o o

』越 92c2

O ニ   亀  竃

璽庵

』    亀.     、

Kq     O,1     0.2     0.3     0.4    0.6(M)  0.5NKOH

  溶出液,KCトTris緩衝液 (pH 7.6)

図5.b ラット正常肝,硬変肝及.びDAB 肝癌,Doc−i分画のDEAEセルロー     ズカラムクロマトグラム

0.D,280mμ

KC置     0.1      0.2      03

  溶出液:KCI−Tris緩衝液

噛●一 一一 _ ラノト疋常肝 0.D260mμ モk41、L4

Omμ   変  肝 dL4

15 一DAB肝癌 1.5 ・ll li 1:1:

1 P三 1.0

1.0 1

   nLl

@  cLl@  dL10.5 nL2

nL5

モk3 рk5

1∫

,li

@li  .

・﹁・1  霊﹄  瓢︒   ︑ .99

 cL2@dL2

D《触

0.5    

@   臨     馬、

@ 〃  黙、

 撒V〃∠. ρ lil=●. ︑︑

0・4     0・6(M)   0.5NKOH

(pH 7・6)

(5)

は産生されるが,力価は弱く(n=2),3週目でやや 高く(n翼3,4)5〜6週目で最高(n=5)になり,

8週目より減少し始め,10週目に入ると著しく低くな った(n=1).

 免疫注射3回後45日放置し.追加免疫を1回ウサギ の肩肝骨下腔へ注射した場合には,追加免疫注射後約 7日から10日目に最高の力価(n躍5,6)が得られた.

第1回目の追加免疫後2〜3週間放置し,第2回目の 追加免疫を行なうと,その後4日目から力価はさらに 高まり(n二7,8),それが約2週間続いた(図7).そ こで以後の実験には免疫注射3回と追加免疫を2回行

立6 各分画の蛋白量の比 (%)

ヒト胃癌DOC可溶性分画

設ンIC・IC・IC・{C・ld 12345678910111213141516 36908090904586864545354545444444 94548556456790982322222222222322 55124189444646581 1111  11111111 ρ8528280899009888  ¶工  ーム  ーユ     一喝− 5036868742620000

平均値147127i・311・13

ヒト二二胃DOC可溶分画

謙ンIN・[N・IN・IN・iN・

12345678910 68392725147875656666 7543214322  1←  111⊥ーユーユー⊥ 8724213320   11ニー←−ニー←−←− 9003908686   1﹂  ーユ 0011513378  ¶ムー  ℃﹂

平均値1671・・1・・1716

なって,minor componentにも充分反慮することが たしかめられた抗血清を使用した.1回の注射に要す る抗原蛋白量は40〜50mgで,それ以下の蛋白量で は抗体産生は弱かった.しかし,DEAEセルローズ カラムクロマトグラフィーにかけて精製した抗原を用 いる場合には,量的制限のため1回の蛋白量を20mg とせざるを得なかったので,必然的に力価の低い抗血 清(n=4,5)しか得られず,そこで使用に際しては抗 血清を1/2量に濃縮した.

 (3)免疫化学的解析  i)Doc−s分画について 正常ラット肝DOC可溶性分画

謙ζINL・INL・INL・一服L・

12345678910 57718831396557666665 01221001031111111111 6800234456 94179934221231112222

平均倒63i1・141 122

ラット硬変肝DOC可溶性分画

濃]CL・[CL・ICL・ICL・iCL・

123456 629日04456ハ07・ハ0ハ0 0000︵UO 4副−ゐ4凸−凸6ρ0唱←−■ーユー⊥11﹂ 07・4QyOO39一9日−凸2ウ一

平均値1631・1・41 123

DAB肝癌DOC可溶性分画

盲;捜ID司DL・ICL・IDL・IDL・

123456 6011QUR︶93444QUgU 49耐AU87829臼9U222 ρ04凸nUQリワ臼111←¶ユ  一﹂−1 7σ3QりAU32ワ臼21▲2ワ個2

平均倒39・1271・・1 122

(6)

 10

(n)

 5

 図7 抗血清作製法の吟味

免疫・3回目       一・一・剛・・一 免疫・3回+追加免疫1回     騨一噂一一一_

免疫・3回+追加免疫2回(樗 癌)軸 軌鱒 免疫・3回十追加免疫2回(非胃瘤)

 1廟  葡●、

1      、       、

N

     ︑︑    ︑   ︑  ︑

 一

図9 吸収抗血清によるゲル内沈降法

  ⑧

%⑲

      AS1:・

12 13 14 遇

      AS2:

3→疫

ウ一令8 免−→

4567891011

        ↑    ↑         迫加免疫

抗非癌胃RF血清一胃癌DOC−s−NHS 抗胃癌RF血清一難癌胃DOC−s−NHS

0    

5

抗体佃 1

n

抗C1血清     一・一・一・顔 抗C2血清     一〇一一一一一

抗胃癌DOC不溶分画血清 ・

抗非癌胃DOC不溶分画血清

戸伊懸

胃ρ4567『8110¥121314週

免   疫      追加免疫

図10 抗胃癌RF血清による胃癌及び導管胃 DOC−s分画のsUbfractionのゲル内沈降反応

 抗胃癌RF血清(No:700,702,704,705,707,

71叫989,990)に対して,胃癌RF、分画及び非癌胃 RF分画のDOC−s分画をOuchterlony法により反 応させると,癌及び非癌と抗血清の間には共通な沈降 線が4〜5本得られたが,その他に胃御ζは2奉の沈 降線がみられ,内1本は共通沈降線とinte『sec㌻ion をしたが,他の1本は胃癌に特異的であった(図串う.

そこで非癌胃DOC−s成分で吸収した抗胃癌】≧F血清 を用いると,癌に特異的なこの沈降線が1本残った

(図9).

 つぎに・DEAEセルローズカラムクロマトグラフィ ーで精製した抗原による検討を行なってみると,抗胃 癌RF血清に対して, C1は2本の沈降線を示し, N1は

1本の沈降線を示す∴内1本は共通洗降線をつくり・

他の1本は胃癌に特異的であった、〈図10a)).吸収抗 血清(抗胃癌R茸血清をNゴ:と正常入迎清で啄収)を町

回8 抗胃癌哀F血清によ・る胃癌及び非癌胃    DOCrs.分画のゲル内沈降反応

C:胃癌DOC−s分画 N:非勢胃DOC−s分画 AS二野胃癌RF血清

  ⑨ ⑧

⑮⑤⑮

 ⑤ ⑨

⑮ノ  ⑮

〜 ⑮

,@

(a)

(b)

⑤・、

N2

、ミii/糊D・ 園圃蜘・

§ii瞬D・じ5分一一

AS; R冑癌RF血清.

図11 吸収抗血清によるゲル内沈降反応

⑭ふ

NHS二正常入血清

AS :抗胃癌RF血清一N1−NHS

(7)

いると,この特異沈降線のみが残る(図11).即ち,

C1に胃癌特異抗原が存在する. C2も2本の沈降線を 示したが,このうち1本は癌及び非癌のsubfraction の各抗原と共通沈降線であり,他の1本はその共通沈 降線によってintersectionをうけたが,抗原C1の 特異沈降線とは関係がなかった(図10a)).さらに同 血清に対し,C3, N2及びN3の反応をしらべてみる と,これらも1本の共通沈降線を示したが,N3及び C3はさらにもう1本の沈降線を示し,それらはspur

を形成した(図10b)),

 免疫電気泳動法では,胃癌DOC−s分画は5本の弧 状沈降線を生じ,非癌胃DOC−s分画は3本の沈降線 を生じた.即ち,胃癌DOC−s分画では,,β覧一g1位に 2本,α2−g1位に3本,非癌胃DOC−s分画ではβ1−

gl位に↓本,,α2−g1位に2本を生じた. したがって 癌と非癌の差は,β2−g1位の1本,α2−gl位の1本で ある(図13a)).

 つぎに抗原のsubfraction・について,抗胃癌RF 血清を用いて検討してみると,C1は2本, N1は1本 の弧状沈降線を示し, いずれもβ1−gl位であった(図 13b)). N1 と正常人血清とで吸収した抗血清を用い

ると,N1の沈降線は消失し,℃1の抗原孔に近い1本 の沈降線が残った(図13c)). C2は抗冑癌RF血清に 対しβ1−gl位に1本,α2−g1位に1本の沈降線を生じ た(図13a)).

 なお,C」の胃癌特異抗原因子及びC2の癌化時増量 する因子の存在は,抗C1血清,抗C2血清を用いた 場合にも全く同様にたしかめられた(図12).しかし抗 体として抗非癌胃RF血清を用いると,胃癌DOC−s 分画及び非癌胃DOC−s分画の差異は失われる.

 そこで上記の胃癌DOC−s分画C1に見いだされた 胃癌特異抗原因子の細胞内分布をしらべてみると,胃 癌ホモジネートの10,000×g,30分の沈殿分画, 105,

oooxg,120分の上清分画及びそのDOc−i分画のい ずれにもそれを認めることができなかった.勿論,こ の場合不溶臨画(ホモジネートの10,000×g,沈殿分 画及びDoGi分画)はDoc処理または凍結融解の

くり返しにより可溶化した分画について検討を加え

た.

 つぎに胃以外の臓器の癌について上記の胃癌特異因 子の存在をしらべてみた.即ち,子宮癌3例,乳癌2 例,直腸癌3例及び廻盲部癌2例を使用し,それぞれ 図12抗C1, C2血清によるゲル内沈降反応

◎⑥

AS1:抗C1, C2血清

AS2:抗C1, C2血清一N−NHS

N  非癌胃DOC−s分画 C  胃癌DOC−s分画

図13抗胃癌RF血清による胃癌及び非癌胃DOC−s分画のsubfractionの免疫電気泳動

じ=================コAS1

に======≒=========コAS1

A

O

AS1:抗胃癌RF血清

AS2:抗胃癌RF血清一N1−NHS

(8)

図14 胃癌特異抗原因子の細胞内分布及び その他の臓器癌のDOC−s分画との関係

  @

『94迎

 ㊥ ⑧

謬癒

N : C :

N1:

C1:

NP2:

(a)

(b)

(c)

 非癌胃DOC−s分画  胃癌DOC−s分画

非癌胃DOC−sのsubfraction  胃癌DOC−sのsubfraction

 乳癌胃ホモジネート10,000Xg,沈殿分画 のDOC−s分画

CP2:胃癌ホモジネート10,000×g,沈殿分画の NS3:

CS3:

NP1:

DOC−s分画

非癌胃ホモジネート10,5000×g,上清 胃癌ホモジネート10,5000Xg,上清 非癌胃Doc−i分画

CP4:胃癌Doc−i分画 K:回盲部癌DOC−s分画 U:子宮癌DOC−s分画 AS:抗胃癌RF血清

のDOC−s分画を抽出し,抗胃癌RF血清と反応さ せたが,胃癌特異抗原に一致する抗原の存在は1例も 認められなかった(図14a〜c).

 ii)Doc−i分画について

 抗胃癌Doc−i分画血清に対し,胃癌及び非胃癌 DOc−i分画(終濃度。.oo5M Mgc12を含む。.02M Tris緩衝液pH 7.6を加えて凍結融解を3暫くり返 し可溶化した分画を使用)をそれぞれ反応させると,

胃癌に3本,非癌胃には1本の沈降線が認められた が,その1本は両者に共通沈降線であり,残りの2本 は胃癌に特異的であった(図15).つぎに吸収抗血清

(抗胃癌Doc−i分画血清を非癌胃Doc−i分画から 前述の方法で抽出した分画及び正常人血清で吸収)を 用いると,共通沈降線は消失し,2本の癌特異沈降 線が残った(図15). この特異抗原は,胃癌の各分画

(10,000xg,30分沈殿分画, DOC−s分画及びDOC−

i分画,105,000×g,120分上清)の中ではDoc−i分 画にのみ存在した(図16a〜e).なお,この因子は前 記の胃癌DOC−s分画にある特異抗原と関連性を持た ない(図16a〜e).

 つぎに免疫電気泳動法でしらべると,可溶化した Doc−i分画は癌Doc−i分画血清との反応で,癌は 6本,非癌は4本の弧状沈降線が生ずる(図17a)).

胃癌はβ2−gl位に1本,β1−g1位に3本,α2−g1位に 2本,非癌はβ1−gl位に2本,α2−gl位に2本で,

癌と非癌の差はβ2−gl位の1本と,β1−gl位の1本で ある,吸収抗血清(抗胃癒DOC−i分画血清を非癌胃 Doc−i分画と正常人血清で吸収)を用いると胃癌に 図15吸収抗血清による胃癌及び非癌胃Doc−i分画のゲル内沈降反応

a)

1 :胃癌poc−i分画

∬ :騒騒胃Doc−i分画

①〜⑫:抗胃癌Doc−i血清一非癌胃Doc−i−NHs

⑫で抗胃癌DOC−i血清:非癌胃Doc−i=1:1になるように吸収した.

(9)

図16胃癌DOC−i分画に存在する特異抗原の       細胞内分布について

      ら   ヰ

       a        b a)

b)

 CP・!⑥・CP・

d)

e)

d)

e)

AS  抗胃癌Doc−i血清

特異な沈降線がβ2−gl位に1本,β1−gi位に1本残る

(図17b)). しかしこの場合も抗体として抗非癌胃 DOC−i分画血清を用いると,癌と非癌のこのような 差は認められなかった.

 ヒトの胃癌組織よりRNA richfraction(ミクロゾ ーム分画)を分画し,これをさらにDOC−s分画及び Doc−i分画にわけ,その3つの分画をもつて家兎に 免疫して得た抗血清について,ゲル内沈降法及び免疫 電気泳動法によって,胃癌及び非癌胃のDOC−s分画 及びDoc−i分画について比較検討した結果,非癌胃 にみられない特異抗原が3個胃癌にみられた.その1 つは胃癌Doc−s分画に,他の2つは胃癌Doc−i分 画にみられ,前者はβrgl位,後者はβ1一,β2−gl位 に等しい泳動度を示す糖蛋白であり,DEAEセルロ ーズカラムクロマトグラフィーで分画すると,いずれ もstep 1、に見いだされた.

 また癌化にさいして著明に増加する因子が存在し,

免疫電気泳動では,α2−gl位に位置し,これをDEAE セルローズカラムク ロマトグラフィーで分画すると,

ピークC2に溶出される糖蛋白であった.

 最近数多くの方法で腫瘍特異な高分子組成の検索が 行なけれるようになり,免疫学的手段によっても,癌 化に伴う正常組織抗原の減少または消矢と正常組織抗 原にみられない特異抗原の獲得が見いだされている.

たとえばweiler 21)〜23), Green 24)25)らは,肝癌には 正常肝の臓器特異抗原が消失すると報告し,Nace,

須山26)〜28)はLuck6腎癌を使用して,リゾヂ「一ム活 性のある因子の消失を指摘している.一方面川ゆらは DAB肝癌上清分画に71一,α2一,α1−g1位の泳動度をも つ特異抗原を見いだし,高柳,建部ら30)31)は同じく

図17抗胃癌Doc−i血清による胃癌及び非癌胃DOC4分画の免疫電気泳動法

a)       工          NP今

         ONP4 b)      ■

a)

b)

1  抗異癌Doc−i血清

皿  抗胃癌DOC−i血清一丁癌胃DOC−i−NHS

(10)

DAB肝癌に癌特異抗原を見いだし,ラッチの血清中 にもそれを証明した.平井32)33),Horn 34)はラッチ腹 水癌の細胞核に癌特異性を見いだしている.Toolan 54)は,ヒトの可移植性癌(H.EP#3)の不溶分画,

とくに膜成分に強い抗移植性を証明し,武田ら35)は,

DAB肝癌の細胞膜,核膜,ミトコンドリア及び核内 不溶成分にそれを認め,この特異抗原は不溶性のリボ 蛋白にあるとし,菊地36)は,ラッチ腹水腫瘍について も同樺¢〜結果を報告し■ているヵ斗;抗厚分皿まほとんど 行なっていない.

 入癌に関しては,颪orngold『37)〜40), Messineo 41),

Calvalho 42), Zilber 43),板倉44),平井45),荒川46)な どの報告があり,いずれも癌特異抗原を証明している が,それらの抗原の細胞内局所は明らかでない.

 癌特異抗原の細胞内分布については,前述のよう に,核,cell sapなどにおける存在が述べられてい るが,筆者が注目するものはミクロゾーム分画に癌特 異性を求めた最近の2〜3の報告である.Weiler 21〜

23),Butenandt 47), Hiramoto 48》などは,ラッチ肝 ミクロン㌧ムが肝特異性抗原をもち,それが癌化の 過程で減少し,肝癌では消失することを螢光抗体法で 示した.Kidd 49、も補体結合反応によってBrown−

Pearce癌の癌特異抗原をミクロゾームに求めている.

小林50、51)は,胃癌アルコール抽出物,とくにリボ核酸 分画に最も高い癌特異性をゲル内沈降法で示した.上 原52、はエールリッヒで腹水癌細胞の各細胞分画につい て螢光抗体法を用いて検:討し,ミクロゾーム及び細胞 核に特異抗原の存在を認めた.Bj6rklund 53)は門人 弓馬血清が特異的なCytotoxicityをもち,丁丁ある いはHela細胞を障害することをみ,この効果は正常 組織による吸収ではなくならないが,入癌の不溶性残 渣で吸収すれば消失すると述べ,この抗原を細胞膜に 関係するリボ蛋白であるとした.

 筆者が入胃癌組織より分画して得た胃癌RF分画 は,細胞中の全RNA量の60〜70%を含み,ミクロ ゾーム分画に相当するものと考えられる56)〜58).ミク ロゾームの浮遊液をDOC(デオキシコール酸ナトリ ウム)で処理すると,諮解部分には多くの蛋白質,リ ン脂質,色素及び酵素などが含まれ59、〜61),不溶性部 分(105,000×g,で沈殿する粒状部分)には少量の蛋 白質と,ミクロゾームのもつほとんどのRNAがくる 62)63).筆者の結果では,胃癌RF分画には非癌胃にみ

られない抗原因子が3個みられ,その1つは同分画の DOC−s部分にあり,他の2っはDOC−i部分にあっ た. これらが作った沈降線はいずれもsudan black Bに染色せず,α一naphthol・P−phenylen diamine

反応が陽性であることから糖蛋白と考えられたが,

DOC処理過程でリピドが離れる可能性も否定できな いから,これらの抗原のミクロゾーム内の存在様式は

「糖一リポー蛋白』の形であるかも知れない.教室の 田村77)は,AH127及びAH66Fからミクロゾームを とりだし,その抗血清に対し,癌と二二を比較した結 果,癌のDOC−s分画に特異抗原を認め,この因子は sudan black Bで染色されることから, Lipoprotein であるとしている,実際,胃癌ミクロゾーム分画を DOC処理し,105,000×g,で遠心すると,かなりの 量のリピドが遊離してくる.おそらく,胃癌DOC−s 部分にある特異抗原も膜構造の一部であり,DOC処 理により修飾をうけて可溶化したものと考えられる,

つぎに,胃癌Doc−i分画にみられる2つの特異抗原 は,DEAEセルローズカラムクロマトグラフ・イーで 分画すると,0.1MKC1で溶出され,この分画には RNAはみられない. Robert 64)らがラッチ肝リボゾ ームをDEAEセルローズカラムクロマトグラフィー で分画したさい,リボゾーム分画は0.3〜0.4Mの KC1で溶出され,その分画にはRNAが証明されて いる.このことから推定すると,胃癌Doc−i分画に 存在する特異抗原はリボゾームの蛋白と考えるより は,むしろ膜構造の一部と考えるのが妥当と思われる が,この点については今後の検討が必要であろう.

 胃癌特異抗原の解析を行なったZilber鋤は, pH 8.3〜8.5で水溶性蛋白を胃癌から抽出し,β一及び7−

g1位の泳動度をもつ蛋白を分離し,この分画に対す る抗血清を作って,Ouchterlony法で解析をところ,

他臓器癌組織の水抽出液にみられない特異沈降線が1

〜2沁みられたと報告し,つづいて,荒川46)は胃癌組 織より抽出した糖蛋白について非癌例にみられない2 個の特異抗原因子が存在することを示した.この特異 抗原はそれそそβ2一,β1−g1位の泳動度を示し,β1−g1 忌めものはその他の臓器癌にも共通する特異抗原因子 であり,β2−g1位のものは胃癌特異抗原因子であると

している.

 筆者は胃癌細胞の抗原特異性はミクロゾーム分画と くに膜構造にあると考えているが,既述のように,

Toolan 54),武田35),菊地36)らは,ヒトの可移植性 癌,DAB肝癌及びラッチ腹水癌について細胞膜,核 膜,ミトコンドリア及びミクロン㌧ムの膜構造に強い 抗移植性を認めている.しかしRodertson 72)によれ ば,細胞膜,核膜,,ミトコンドリア及びミクロゾー ムの膜構造はすべて共通の起源をもち,厚さ80Aの 二重膜であるunite membraneから成る.また膜 を構成するプロテォリピド(PL)は細胞の特異性に関

(11)

与し70),その抗原性は個体特異性や,生理機能として の作用73)74)や,蛋白の合成,あるいはそれの分泌に中 聞体として関与したり75)78),アレルギー性疾患79)80)の 原因になるという.実際,倉田ら76)は,甲状腺細胞膜 系を再構成し,それによって実験的甲状腺炎を作製し ている.

 また,腫瘍と正常の細胞膜の違いについては,Lud・

ford 66)は腫瘍細胞膜の脂溶性色素に対する透過性が 正常細胞膜より大きく,膜を構成するリボ蛋白質の組 成に差異があるらしいと述べ,Lucke 67)らは癌細胞 が正常細胞に比し高級アルコールに対する透過性が低 いことを証明し,妹尾55),Bennet 68)らは腫蕩細胞が オレイン酸のような長話脂酸により著しく細胞膜が壊 され,細胞質の流出・呼吸の低下をおこすことを生化 学的に証明している.

 このような考え方に従えば,細胞膜・ミトコンドリ ア及びミクロゾームの膜成分・核膜などが共通の膜抗 原をもつことは充分に期待される.勿論異なった種類 の細胞ではその晶系の糖一リポー蛋白の組成・立体構 造・機能などに差がある筈であり,おそらく癌細胞で もこの細胞膜系に癌としての特異性を求めることがで きるであろう.実際,石川ら81)82)はエールリッヒ腹水 癌細胞凝集阻害反応を使用し,癌細胞膜に特異性を見 いだしている.このような点をさらに明らかにしてゆ くためには,今後とも各抗原の一層の分析を進めるこ とが必要である.そして,複雑な抗原組成をもつ細胞 分画のようなものの解析には,抗原の分画・精製とゲ ル内沈降法の併用による分析が現在のところ最も重要 な手段になるであろう.

 人胃癌組織ミクロゾーム分画,及びそのDOC−s分 画とDOC−i分画をFreund s complete adjuvant 法で家兎に投与して得た抗血清を用い,それらの分画 の抗原分析をDouble Gel Diffusion(Ouchterlony 法)及びImmunoelectrophoresis(Graber法)で行

なった.

 胃癌と民話胃組織より抽出したRNA rich fraction

(ミクロゾーム分画)についてみると,胃癌の同分画 には非癌胃にみられない抗原因子が3個見いだされ た.その1つは同分画のDOC−s分画にあり,他の2 つは同分画のDOC−i分画にあった.前者はβ1−gl,

後者はβ1一,β2−91位に等しい泳動度を示す糖蛋白で あった.両因子はDEAEセルローズカラムクロマト グラフィーではいずれもstep 1(図4a)及び4b)参 照)に見いだされた.

 また,非癌胃ミクロゾーム分画のDOC−s分画には 少量存在し,癌化にさいして著明に増加する因子が見 いだされた. これは電気泳動的にはα2−91位に位置 し,DEAEセルローズカラムクロマトグラフィーで分 画すると,ピークC2(図4a)参照)に溶出される糖 蛋白であった.

 これらの胃癌特異性抗原は,ミクロゾームとくにそ の不溶性膜成分に由来するものと考えられる.

 稿を終えるにあたり,終始御懇篤なる御指導御校閲を賜った恩 師石川教授に深甚な謝意を表します.また多大なる御教示をいた だき ました倉田自章助教授ならびに教室の諸兄に厚く謝意を表し ます.なお材料の提供を仰ぎました国立金沢病院長門馬良吉博 士,石野病院々長石野琢二郎博士,佐伯病院々長佐伯善雄博士,

木元病院々長木元正二博士,内田病院々長内田一博士に深甚なる 謝意を表します.

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       Abstract

   A RNA‑rich fraction was obtained from the cell‑‑free homogenate of human stomach  cancer and human non‑cancerous stomach respectively by differential centrifugation. The  DOC‑soluble and DOC‑insoluble fraction were prepared from them. Antisera were prepared  by immunization of rabbits with these fractions.

   Antigen analysis with these antisera by immunodiffusion methods showed the following  results : a glycoprotein in the DOC‑・soluble fraction and two glycoproteins in the DOC‑

 insoluble fraction were highly specific for human stomach cancer.

   Thebe specific antigens seemed to be related to the membrane components of the endo‑

 plasmic reticulum.

参照

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