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インターンシップの運用および学習成果に関する研 究(中間報告)

著者 吉井 淳, 齋藤 百合子

雑誌名 明治学院大学国際学部付属研究所研究所年報 =

Annual report of the Institute for International Studies

巻 17

ページ 55‑64

発行年 2014‑10‑01

その他のタイトル A Research on Operation and Learning Outcomes of Internship Programs ―A Systematic Review of the Practices at Faculty of International Studies― : Interim Report

URL http://hdl.handle.net/10723/2155

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インターンシップの運用および学習成果に関する研究

吉 井 淳

本研究「インターンシップの運用および学習成果に関する研究」(20132014)は大変野心的 な研究です。インターンシッププログラムを運用する際の課題を把握し、その課題解決のための 方策を調査研究し、さらに体験型学習としてのインターンシップが学習成果としてグローバル・

コンピテンシーを醸成しているかを検討し、最後には本学部インターンシッププログラムの教育 の質の向上を図ることを意図している。そのため既に他大学調整、シンポジウム参加、開催と 着々と研究を前進させ成果を発表しています。この分野の研究が少ないなか、今後の研究の進展 に大いに期待することができると言えます。

中間報告

齋 藤 百合子

本研究「インターンシップの運用および学習成果に関する研究」(20132014年度)は、吉井 淳(国際学部教授、研究代表者)、齋藤百合子(国際学部准教授)、櫻井結花(立教大学助教)の 共同研究である。本研究は3つの目的がある。

1. インターンシッププログラムを運用する際の課題を把握し、その課題解決のため方策を他 大学の好事例などを調査研究すること。

2. 大学教育における学外および国外に学生を派遣するインターンシップを体験型学習ととら え、その学習成果を検討する。とくにグローバル・コンピテンシーが求められる昨今、イ ンターンシップがグローバル・コンピテンシーを醸成しているかを検討する。

3. 12の考察および分析により、本学部のインターンシッププログラムの教育の質の向上 のための再検討と新たなプログラム開発の可能性を探求する。

この3点の目的に即して、2013年度は以下の調査研究活動を実施した。

1. インターンシップの運用の課題

1 危機管理

(2) 学内体制

2. インターンシップの学習成果に関する課題

1 アセスメント

(3)

2 ふりかえりに関する手法

3 インターンシップ受講生アンケート

(4) インターンシップレポート分析

3. プログラムの質向上と再検討、新たなプログラム開発の可能性

(1) 現行インターンシッププログラムの再検討

① 香港プログラム

② 徳島木頭ZiVASANプロジェクト

(2) 新たなプログラム開発の可能性

① 新たな留学系インターンシップの可能性

② 産学共同のインターンシップの可能性

以下、2013年度の研究活動報告を本研究の中間報告として記す。

1.インターンシップの運用の課題 (1)危機管理

国内外のインターンシッププログラムを実施する際、危機管理に配慮することは必須であるに もかかわらず、その方策、運用に関して情報は限定されている。本研究では研究会参加、ヒアリ ング、講師を招いた研究会等を実施した。

○「大学教育における海外体験学習研究会」年次大会 1分科会「危機管理と学内体制」

於:和光大学(東京・町田)20131116日)

参加者:齋藤百合子

この分科会では、大阪大学 GloCol センターの片山歩氏が「海外体験型教育プログラム リスク管理(予防・対策)について」と題した事例報告を行った。齋藤は司会進行であった が、片山氏の事例発表は危機管理が大変システマティックで興味深かった他、その後の議論 では、予防の際に「ヒヤリハット」を把握することで、リスクをより軽減することが可能で はないかなどが話し合われた。短い時間での議論では限界があったため、阪大の危機管理体 制づくりについて、後日ヒアリングをさせていただくこととした。

○大阪大学GloColセンター ヒアリング(大阪)(20131217日)

ヒアリング対象者:敦賀和外氏、本庄かおり氏、

小峰茂嗣氏、片山歩氏 調査者:齋藤百合子

このヒアリングでは、同センターの成立の敬意本研究では、201311月に和光大学で開 催された「大学教育における海外体験学習研究会」年次大会の第1分科会で事例報告をした

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大阪大学GloColセンターの取組に注目し、20131217日に同センターに齋藤がヒアリ ングに出かけ、とくに同センター内の海外体験型企画オフィス(FIELDO)における海外イ ンターンシップや課題別のフィールドスタディなど多彩なプログラム企画運営、危機管理体 制および学内体制について多くの示唆を得た。また、同センターから、GLOCOL ブックレ

ット 13『海外体験型教育プログラム短期派遣手続きとリスク管理 大学におけるより良い

海外派遣プログラムを目指して』出版企画の中で、齋藤に「大学の海外派遣プログラム担当 者としてのリスク管理」執筆依頼があった(20143月に発行)。

○「海外プログラムにおける危機管理」研究会

於:明治学院大学白金キャンパス(2014324日)

参加者(学内のみ):6名(研究員の齋藤、櫻井含む)

リスク管理専門の日本アイラック株式会社の山下氏による「海外プログラムにおける危機 管理」と題した講演および研究会を実施した。海外プログラム実施時の大学の責任、インタ ーンシップの法的地位、留学系インターンシップなど、インターンシップに関連することだ けでなく、サークル活動も含めた大学の責務について議論された。講演抄録は別ページに掲 載。

(2)学内体制

○「大学教育における海外体験学習研究会」年次大会 1分科会「危機管理と学内体制」

於:和光大学(東京・町田)20131116日(土)

参加者:齋藤百合子

この分科会では、国際基督教大学サービス・ラーニング・センターの黒沼敦子氏が「ICU サービス・ラーニングの学内体制」において ICU でのサービスラーニングを学内でどのよ うに協力体制を形成していったのか、また学内体制におけるサービス・ラーニングで成長し た学生の役割が大きい(ブレークスルーになる)ことが報告された。

2.インターンシップの学習成果に関する課題 (1)アセスメント

○体験学習としてのインターンシップの評価(829日)

講師 立命館大学 山田一隆氏

出席 齋藤百合子、櫻井結花(ともに明治学院大学)、

村上徹也(日本福祉大学)、村上むつ子(ICU)、

辰野まどか(GIFT、明治学院大学非常勤講師)

「オフキャンパスにおける体験型学習に関する評価について―米国サービス・ラーニング

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の経験から―」と題して研究会を実施した。研究会において山田氏は大学におけるオフキャ ンパスの体験型学習がどのように発展してきたか、どのような学習成果を求めてきたか、イ ンパクトを与えうる教育実践やそれらの評価について米国大学教会(AAC&U)の LEAP ロジェクトの内容と評価システムのValue Rubricを紹介した。そのほかに米国大学学長らに よって形成されているキャンパス・コンパクトのアセスメント(学生、教員、地域、大学の 4 方面による)を紹介した。米国ではサービス・ラーニングを中心にこうした教育実践と評 価が進められているが、とくにサービス・ラーニングのアセスメントはインターンシップの アセスメントにも有効であることが議論の中で確認できた。

(2)ふりかえり(Reflection)に関する手法

○福岡女子大学 和栗百恵氏ヒアリング(2014124日)

調査者 齋藤百合子

体験的な学習方法をとりいれながら、フィールドスタディ、インターンシップなど国内外 のプログラムを実施している和栗氏の取組と、その際に活用しているふりかえり手法につい てヒアリングを行った。和栗氏は、サービスラーニング、コミュニティサービス、ボランテ ィア、フィードスタディ、インターンシップなどオフキャンパスの学習活動に共通する体験 学習の理論化に関する示唆および実践事例を提示した。また De Montfort 大学の The Performance Reflective Practice Projectも示唆し、今後のふりかえり手法の改善に有益であっ た。

(3)グローバル・コンペテンシーに関する考察

○「グローバル・コンピテンシーと海外インターンシップ インターンシップを成功に導く教 授法を学ぶ」FD(2014315日@阪大)

参加者 齋藤百合子、櫻井結花

阪大GloColセンターが2014年から「グローバル・コンピテンシーと海外インターンシッ

プ」(大学院生対象)を新設する。学生が海外インターンシップを実施する時に必要な学習 内容や教授法を学ぶため、アメリカン大学のインターンシッププログラム担当者およびイギ リスのFoundation for International Education, London Muslim Collage講師、そしてこうした大 学への学生派遣を行っているStudy Abroad Foundation担当者らを講師として、グローバル・

コンピテンシーの教授法、インターンシップ派遣準備の実践例等についての1部公開ファカ ルティ・ディベロップメントがあり、齋藤と櫻井が参加。とくに教授法の講義と、その後の グループワークで多くの情報交換ができた。

(4)2013年度明治学院大学国際学部インターンシップ分析

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3.プログラムの質向上と再検討、新たなプログラム開発の可能性 (1)現行インターンシッププログラムの再検討

いずれも2010年にプログラム開発し、2011年から学生をインターンシップに派遣しているプ ログラムである。これら2つのプログラムは、毎年インターンシップが終了した後、担当者とプ ログラムや学生の様子などを協議する機会を設けている。インターンシッププログラム実施者が プログラムを振り返ることで、プログラムの改善が毎年可能となっている。以下のプログラムで の改善については、『国際学研究』第45号「体験学習としてのインターンシップの可能性と課題」

に記載した。

① ビジネス系海外インターンシップ:香港プログラム(2011年度から2013年度の派遣学 生数10名)

② 地域活性化インターンシップ:徳島木頭 ZiVASAN プロジェクト(2011 年度から 2013 年度の派遣学生数10名)

(2)新たなプログラム開発の可能性

① 新たな留学系インターンシップの可能性

Study Abroad Foundation

2013315日に大阪大学で出会ったStudy Abroad Foundationから提示され、留学系イ ンターンシップの可能性を検討することになった。

② 産学共同のインターンシップの可能性

○インターンシップを通した人材育成の可能性について(2013613日)

講師 Humming Bird Inc. 取締役Tim Tout 出席 齋藤百合子、櫻井結花(明治学院大学)

多国籍企業の管理職を含めた海外駐在員をクライアントとする人材育成・コーチングの専 門家である Tout 氏より、日本の大学教育におけるインターンシップを通した人材育成につ いての見解を伺った。Tout 氏からは、今後インターンシップの派遣先として、横浜・川崎 周辺に位置するハイテク産業を中心とした企業(例えば Bosh Dell)を視野にいれ、今後 その可能性を探求するべきであるとの助言を頂いた。Bosh Dellなどの企業は革新的で開 かれた企業文化をもち、多様な人材の受け入れに積極的であることから、インターンを受け 入れる可能性がある。また、派遣先企業と戸塚キャンパスが近いことにより、学部教育にお けるインターンシップの位置づけをより明確にし、専門科目と連動をすることができる。さ らには、学生や学部の時間的・金銭的負担を軽減することができるなどのメリットが考えら れる。

4.成果

2013年度は以下の成果があった。

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齋藤百合子 2014「体験学習としてのインターンシップの可能性と課題」『国際学研究』第45 明治学院大学 国際学部 p91-102

齋藤百合子 2014「大学の海外派遣プログラム担当者としてのリスク管理」『海外体験型教育プ ログラム短期派遣手続きとリスク管理 大学におけるより良い海外派遣プログラムを目指し

て』GLOCOLブックレット13 大阪大学グローバルコラボレーションセンター p66-67

大学教育における体験学習研究会 2013 年度年次大会「海外体験学習の多様性と可能性-これ までの10年・これからの10年」第1分科会『リスクマネジメントと学内体制』司会進行 文科省 高等教育局大学振興課大学改革推進室

学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議(第4回) 配付資料 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/siryo/1346418.htm 2013年度先導的大学改革推進委託事業

「大学等における多様な海外・社会体験活動プログラムの実施状況に関する調査研究」

事例集(Case 9明治学院大学)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/57/siryo/_icsFiles/afieldfile/2014/04/08/

1346418_06.pdf

【インターンシップの運用および学習成果に関する研究 講演】

明治学院大学国際学部付属研究所の共同研究「インターンシップの運用および学習成果に関す る研究」では、おもに海外にインターンシップで学生を派遣することに関して、大学側が留意し なければいけない危機管理のポイントについて「海外プログラムの危機管理」と題した研究会を 日本アイラック株式会社の山下寿人氏を迎えて、2014324日に実施した。当日の講演内容 から要旨を紹介したい。

海外プログラムにおける危機管理

山 下 寿 人

(日本アイラック株式会社)

日本アイラック株式会社は創立18年目を迎え、創立以来、社団法人日本旅行業協会(JATA)

よりJATA 会員旅行会社の緊急事故対応を実施している。旅行会社向けの緊急対応(危機管理)

に加えて、海外進出企業や大学に対しても危機管理サポート業務(危機管理体制の整備構築、緊 急時の対応支援、保険会社・旅行会社・在外公館等の関係諸機関と連携協力に関する助言、事故

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処理専門職員の派遣等)を実施している。軽微な怪我や病気であれば、保険会社を通した保険補 償の範囲で対応が可能だが、緊急性の高い重傷病や死亡案件、性犯罪やデモ暴動に巻き込まれた 場合等についても大学と同時に被災学生も基本的にサポートしている。

近年、何か事が起こると、「大学の研修中に起こった事故やトラブルの責任は当然大学にある。

大学はどう責任をとってくれるのか?」といった声が保護者から寄せられることが日常的に起こ りつつある。海外研修中の事故やトラブルは、時差の関係で日本時間の深夜や週末に発生するこ とも少なくない。日本アイラックの大学へのサポートは、海外研修中に緊急事故やトラブルが発 生したときだけでなく、事前の学内安全指導の一環として学生や教職員を対象とする危機管理セ ミナーや想定事故対応シミュレーションについても学内で実施している。具体的には、海外研修 中にバス事故が発生し複数の死傷者ありという設定で、学内対策本部の立ち上げや情報収集対応、

マスコミ対応、家族対応などを実際にシミュレーション(模擬訓練)してみるというプログラム である。こうした大学を顧客とした危機管理サービスは16年間の実績がある。

1.海外から緊急事故の一報が入ったらどうするか

海外研修中に緊急事故の一報が入ったら派遣元の大学はどのように対応すべきか。大学の承認 する海外研修中に緊急事故等の不測の事態が発生した場合、大学に求められる主な『事故対応項 目』は、学内の事故対策本部を立ち上げたうえで、①事故情報・被災者情報の収集分析、②被災 者救援対応、③家族連絡対応、④マスコミ対応(取材・記者会見)、⑤家族及び教職員の現地派 遣対応、⑥保険会社・旅行会社への対応要請、⑦関係官庁・諸機関への事故発生報告と協力要請 等になる。

ただし、事故発生後の対応だけでなく研修実施前の準備として、派遣元の大学には、派遣地域 やカントリーリスクに応じた危険情報の収集と安全対策の構築、それに基づく出発前の安全指導 やオリエンテーションの実施、現地の受入れ団体(教育機関)の緊急時における役割と補償内容、

連携協力体制等について、学生派遣に関わる契約業務を通して確認しておくことが求められる。

このように学内の事前準備を徹底することで、予想される海外研修中のリスクはある程度回避や 軽減することが可能となる。

2.インターンシップ実施にあたっての注意点

大学が実施する海外研修プログラムとして、近年、海外での職業・就業体験が可能になるイン ターンシップの実施も増えてきている。インターンシップ研修を含めて海外研修中に参加学生が 怪我やトラブル等の被害を被ったケースに対応してきたが、問題が長期化、深刻化するケースの ほとんどは、上記に示したような学内の事前準備が適切にできていなかったことに起因する場合 が多い。現地の受入れ団体(企業)について、緊急時には被災学生をどこまでケアしてくれるの か、受入れ団体(企業)のインターン生を対象とする補償内容はどうなっているのか等について、

学生派遣と受入れに関わる契約業務を通して事前に確認出来ていなかった為に問題の解決が長期 化し、問題を深刻化させる要因となっている。そのような観点からも、海外でのインターンシッ プ研修の催行について気付いた点を記したい。

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① インターン生の法的立場とインターンシップ研修中の事故

インターンシップ研修は、一般の海外留学と何が違うのか。まず、インターンシップ研修に参 加する学生(インターン生)の法的立場(地位)について、派遣国や地域(州)によって様々な 労働や就労に関する法律があるため、インターン生は「労働者」に該当するかどうかを確認して おく必要がある。日本国内では、インターン生の履修状況等が大学によって管理され、かつ一般 労働者と明確に区別された場所での軽作業または見学であること、また一般労働者と同じ生産ラ インや労働環境下の実習であっても軽度の補助的作業に留まりインターン生が直接生産活動に従 事しない場合等については、労働基準法第9条においてインターン生は「労働者」には該当しな いと判断されている。そのような環境下でインターン生が怪我等の損害を被ってしまうと、労働 者の業務上災害を保障するような社会保障制度(労働者災害補償)は基本的に適用外である。

インターンシップ研修中に発生し得る事故やトラブルの予見が可能な場合は、受入れ団体(企 業)の責任範囲と補償範囲について契約事項で事前に確認しておくことが望ましい。事故やトラ ブルが発生した原因やその経緯にもよるが、仮に受入れ団体(企業)側の管理監督責任(事前の 安全指導や訓練、安全管理が適切に行われていなかった等)に起因してインターン生が負傷した 場合には、受入れ団体(企業)に対して安全確保義務違反(損害賠償責任)が問われる可能性も あるため、受入れ団体(企業)の安全指導や訓練、安全管理体制についても事前に確認しておく ことが肝要と思われる。

また、インターン生については、負傷した場合の治療費、医療費、救援者費用等をカバーする

「海外旅行保険」には必ず加入するよう徹底をお願いしたい。

② 受入れ団体(企業)に損害が発生した場合

もう1つの注意点は、受入れ団体(企業)に損害(機器やソフトウェアの損壊、秘密・機密情 報の漏洩等)が発生する可能性についてである。

仮に、インターン生の故意または過失により受入れ団体(企業)に損害を与えるような事態が 発生した場合、その賠償責任については直接関与した学生個人が負うべき立場にあるため、この ようなケースを想定した責任範囲についても参加条件に関わる契約事項として事前に参加学生と 確認しておくことが望ましいと考える。

インターンシップ研修中の賠償事故については、職務遂行中とみなされるため日本の海外旅行 保険では補償の対象外となる可能性が高いため、このような事態に備えて事前に受入れ団体(企 業)とも十分に相談したうえで研修を実施されることをおすすめしたい。

③ 契約の重要性

上記に述べたように、緊急事故やトラブルに備えた事前準備として、インターン生や受入れ団 体(企業)の役割や補償内容を含めた責任範囲について、できるだけ契約書面で謳っておくこと が重要である。インターンシップ研修には、学生を送り出す大学と受入れ団体(企業)だけでは なく、中には仲介業者やOB等の個人が紹介する研修も散見されることから、インターンシップ

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研修中に発生し得る事故やトラブルに関して、仲介業者や個人(紹介者)についてもその責任範 囲と具体的な対応内容、連携協力体制等について書面(契約)で残しておく事が望ましい。

これまでの対応事例の中で、ある民間の留学斡旋事業者の取扱うインターンシップ研修に某大 学の学生が個人的に申込み、参加したケースがあった。その大学では、外部団体の主催する研修 であってもその研修プログラムの内容や時間数、期間が大学の留学規定に沿っていれば、その研 修費用の一部を補助する留学制度があり、学生はその制度を活用した。その後、この学生はイン ターンシップ研修中に深刻な怪我に遭ったため、大学はすぐにその外部団体に連絡を入れ学生の 被災状況等の情報提供を求めたが、その外部団体は個人情報は一切開示出来ないとして大学との 連携協力を拒むという事態が発生した。大学はその時点で当社に連絡し、たまたまその外部団体 が旅行業の登録をしていた関係で、当社より旅行業約款に沿った責任範囲に基づく対応を求め、

必要な手配や情報を確認した。

学生個人が見つけてきた外部団体の研修プログラムであれ、学生が大学の留学補助制度を利用 した場合には大学の承認する海外研修とみなされることから、外部団体との契約の写しを大学に 提出させるなどして、緊急時における大学対応が後手に回らないよう、外部団体の役割や責任範 囲、補償内容を含めて事前に確認しておくことが求められる。

3.海外研修実施大学の責任とは

海外プログラムを実施する大学の責任は大きく分けて2つあり、道義上の責任と法的責任(民 事上)である。

研修中に発生した事故やトラブルの直接的な原因が大学になくとも、事故対応の責任主体とし て大学に求められるのが道義上の責任となる。具体的には、大学の承認する海外研修・インター ンシップ研修において研修参加中の学生の生命、身体、健康、財物などに危険が生じないように、

安全かつ円滑に実施できるよう管理監督責任や適切に配慮すべき信義則上の義務として「安全確 保・配慮義務(債務)」を大学が負うことを意味する。この場合、大学に求められる主な安全確 保義務とは、①安全な研修行程の企画・安全な提供機関(団体)の選定、②安全調査(現地)と 安全に関する説明、③引率者による学生の安全確保のための適切な対応措置、④緊急時の対応

(危険回避排除、被害軽減)等があげられる。また、大学が十分に安全を配慮したにも関わらず、

偶発的・不可抗力的に発生した事故やトラブルについて大学が法的責任(賠償責任)を問われる ケースは発生していない。

(1)安全な研修行程の企画・安全な提供機関(団体)の選定

研修の企画段階で「安全確保=注意義務」違反を防ぎ、計画通りに安全かつ円滑に研修が実施 できるように配慮することのほかに、予想し得るリスク(予見)を未然に防ぐための対策が必要 である。ここでいう予想し得るリスクとは、研修実施予定の国や地域に関する事件事故、疾病、

感染症、衛生等の最新情報のことで、大学は外務省危険情報やニュースメディア、現地受入機関

(団体)から最新情報を収集したうえで、出発前の安全指導やオリエンテーションにおいて学生

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に提供することが望ましい。また、現地集合型・現地解散型の海外研修を実施している大学につ いて、航空機の遅延等で予定通りの時間帯に現地に到着できない場合や LCC 等の格安航空会社 を利用して夜間に現地空港に到着する場合が増えていることから、事前の安全指導を徹底するこ とが求められる。

過去に外部団体の斡旋手配するインターンシップ研修に参加した邦人学生が、研修目的地に移 動するため東欧の空港で犯罪に巻き込まれ殺害されるという痛ましい事件が発生している。この 事件から学ぶ事があるとすれば、学生個人が航空券の手配を含めて現地に単独で到着する場合は、

いつでも学生と連絡が取れる緊急連絡網を整備する、現地では夜間に決して移動せず、空港から ホテルへの送迎を手配するか空港内のホテルに滞在する、翌朝明るくなってから移動する、また 空港の到着ロビーでは決して野宿等はしない等の基本的な安全指導の徹底が重要である。

(2)大学の安全調査義務(現地)

大学の派遣地域に関わる安全調査義務の範囲は無制限ではない。ただし、派遣予定の地域だけ でなく、留学機関やインターンシップ研修の受入れ団体(企業)の選定に関わる安全調査につい ては、分かり得る範囲で事前調査すべきである。仮に、参加学生が被災を被る等の不測の事態が 発生した場合、「どのような安全調査や安全基準に基づいて大学はこの派遣地域や受入れ団体

(企業)を研修先として選定したのか?」といった質問が保護者から寄せられる可能性が高いた め、大学は受入れ団体(企業)や宿泊先の安全性についても過去の実績を含めて事前に把握確認 しておくことが求められる。具体的には、ホームステイや学生寮、研修先等で過去に事件やトラ ブルは発生していないか、起きていればその原因は何か、その後の改善策や再発防止策が講じら れているか等についても、最新情報を調査確認したうえで安全対策や措置を講じることが望まし い。また、毎年同じ地域の同じ教育機関(団体)に学生を派遣する場合でも、治安や衛生状況等 に関する情報はリニューアルしておく必要がある。また、仲介業者や個人を通しての派遣の場合 であっても必ずこの点を確認することをお願いしたい。

※本報告書は、国際学部付属研究所共同研究「インターンシップの運用および学習成果に関する研究」

の中間報告書である。

参照

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