北 海 道 に お け る 景 気 変 動
道 民 所 得 に よ る 分 析 一
地 主 重 美
第1節 序
昭 和33年 の経 済 白書 が 日本 経 済 に 景 気変 動 の復 活 を うた っ てい らい,景 気 変 動 に 関す る実証 的分 析 が こ こ数年 来活 発 に行 なわ れ,所 得 分 析,計 量 経 済 学 的 モ デル 分 析,デ フ ユー ジ ョ ソ ・イ ソデ ックス分 析 等,視 点 をか え,方 法 を か えた 各 種 の 分 析 が盛 行 を きわ めて い る。 さ らに これ は経 済 成 長 問 題 と も 重 合 して,長 期,短 期 の 経 済 予測 に つ い て も 鋭 い政 策 論 争 を もた らしてい
る。
北 海 道 経 済 の循 環 的変 動 につ い て も看 過 で きな い事 実 認 識 が二,三 の論 者
ロ ノ
に よって指 摘 され た が,北 海 道 経 済 開発 とい う長 期 的 経 済政 策 の大 勢 に圧倒 され て,景 気変 動 分析 が そ の本 来 的 な位 置 を与 え られ る まで に はい た らなか った 。
こ こで は 主 と して道 民 所 得 と,こ れ に 関 連 す る若 干 の統計 資料 を用 い て, 道 民所 得か らみ た北 海 道 景 気 変 動 の実 態 を分 析 して み よ う。所 得 資料 は 目下 の と ころ年 次 デ ー タ しか 入 手 で きない た め,当 然 の ことな が らご く短 期 の変 動 は捨 象 され る。
こ こで と りあげ る第1の 問 題 は,北 海 道 経 済 に 景 気変 動 が は た して観 察 さ れ るか ど うか の事 実 認定,つ ま りfact‑findingで あ る。 第2は,も しこれが 存 在 す る もの とす れ ば,北 海 道 に おけ る景 気変 動 のそ もそ もの 特質 は何 で あ
るか を 明 らか にす る こ とで あ り,全 国 の景 気変 動 との対 比 を試 み る。 第3は (1)北 海 道拓殖 銀行 調査 部,北 海道 の景気 動向指数,調 査月報 昭和38年4月
2一 商 学 討 究 第15巻 第3号
この 特 質 の よって 生 れ る原 因 を 解 明す る こ とで あ り,こ れ を まず,需 要 構 造,生 産 構 造,分 配 構 造 につ い て究 明す る。 第4は と くに生 産 構 造 を と りあ げ,そ の変 動 の説 明 要 因 と して と くに 雇 用 問 題 に 注 目 し,雇 用 変 動 効 果,生 産 性変 動 効 果,な らび に雇 用(就 業)構 造 変 動 効 果 を 明 らか にす る。 さ らに 生 産性 変 動 を 引 き起 した 技 術 革 新 を 重 視 し,生 産 要 素 の賦 存状 態,技 術状 態 か ら労 働 と資本 の代 替 関 係 を示 す定 量 的変 化 を概 算 して み る こ とに す る。
第2節 北海 道 に お け る景 気変 動 とそ の特 質
資 料 の関 係 上,昭 和28年 か ら昭 和36年 にわ た る北 海 道 経済 の変 動 を検 討 し てみ る こ とに す る。 この 時期 は,戦 争 の荒 廃 か ら漸 く復 興 し,人 口1人 当 り の所 得 水 準 で み るか ぎ り,戦 前 水 準 に封 達 した 時 点 か ら,そ の 後急 速 な成 長 を とげ た と驚 くべ き伸 長 期 ミに あ た って い る。全 国 デ ー タで み るか ぎ り,第
1図 の よ うに,実 質 生 産 国 民所 得 の 絶対 水 準 は成 長 一 途 を た ど り,い わ ゆ る 循 環 的変 動 を看 取 す る こ とはで きな い 。 長期 成 長波 動 が 循 環変 動 を 相殺 して い るか らで あ る。た だ 対 前 年 伸 率 を とって み る と,か な り明瞭 な循 環 を観 察 で きる。 戦 後 の北 海 道 経 済 の変 動 に も,そ の 他 全 国 の変 動 に よ る波 及 効 果 に
第1図 道 お よび全 国 の所 得 水 準
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第2図 所 得 成 長 率
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商 学 討 究 第15巻 第3号も とず く も の が 大 き い と予 想 さ れ,し た が っ て 実 質 所 得 の 絶 対 水 準 で は 下 降 を 経 験 す る こ と は な か っ た とみ られ る 。 第1図 お よ び 第1表 に よ る と,実 質 分 配 道 民 所 得 は 予 想 通 り成 長 一 途 を 記 録 して お り,た だ 実 質 生 産 道 民 所 得 が 昭 和29年 に わ ず か に 減 少 した ほ か は,絶 対 水 準 が 全 く低 落 して い な い 。 しか し,第2図 お よ び 第3表 の 対 前 年 伸 び 率 で は か な り鮮 明 な 循 環 運 動 を み る こ とが で き る。 生 産 道 民 所 得 の 伸 び 率 で は,昭 和29年,昭 和31年,昭 和33年 の 3つ の 谷 が 記 録 さ れ,昭 和30年,昭 和32年,昭 和35年 の3つ の 山 が 記 録 さ れ て い る 。 他 方,分 配 道 民 所 得 で は 昭 和29年 の 谷 が 観 測 され な い 点 を 別 とす れ ば,生 産 所 得 伸 び 率 の 場 合 と全 くひ と しい 山 と谷 が 示 され て い る 。 した が っ て 全 国 の 場 合 と 同 じ よ うに 伸 び 率 に 関 して 循 環 運 動 が 存 在 した と 認 め て よい の で あ る。 わ れ わ れ が こ こで 景 気 循 環 とい うの は これ を い うの で あ る 。
しか し な が ら,北 海 道 の 景 気 循 環 が 全 国 の そ れ と全 く同 じで あ る わ け で は な い 。 第1に 全 国 で は 昭 和29年,昭 和33年 に 谷 が,昭 和31年,昭 和35年 に 山 が 観 測 さ れ る の に,北 海 道 経 済 に み られ る よ うな 昭 和31年 の 深 い 谷 と,こ の 前 後 の 山 は 看 取 され な い 。 つ ま り北 海 道 の 景 気 循 環 は 全 国 の そ れ と完 全 に 同 調 的 で は な い の で あ る(昭 和29年 の 谷 とそ の前 後,昭 和35年 の 山 とそ の 前 後 は 同 調 的)。 昭 和31年 の 北 海 道 の 不 況 は,異 常 な 気 象 条 件 に よ る 深 刻 な 農 業 凶 作 が そ の 原 因 で あ る 。 こ れ は 北 海 道 経 済 が い ぜ ん と して 農 業 支 配 型 経 済 で あ る た め,農 業 部 門 の 豊 凶 が 景 気 変 動 を 支 配 し,い わ ぽ 太 陽 黒 点 説 が な お か な りの 発 言 権 を も っ て い る こ と を 意 味 して い る。 これ を 北 海 道 型 景 気 変 動 の 第1の 特 質 とみ て よ い 。
い ま 昭 和28〜36年,お よ び 昭 和32〜36年 の 成 長 趨 勢 線 を 計 算 して み る と次 の 通 りで あ る。
a)昭 和28〜36年 の 趨 勢 線 実 質 生 産 道 民 所 得
Yt・=8.479eO・c89t(1.1)・
(一単位1,000億 円,昭 和32年 のtニo)
実質生 産国民所得
Yt嘗13,703eO・ 。95t
b)昭 和32〜36年 の趨 勢 線 実 質 生 産道 民 所 得
Y,・=8.664eO・os7t
実質生産国民所得
Yt=13.879e。114t
(単 位 兆 円,昭 和32年 のt=O)
(単 位1,000億 円,昭 和34年 のt=o)
つ ぎ に 実 際 値 の 趨 勢 線 か らの 偏 差 率 1実 際 値 一 回 帰 趨 勢 値}
回 帰 趨 勢 値 を 計 算 して み る と 次 の よ うに な る。
(1・1)か ら の 偏 差 率 (L2)か らの 偏 差 率 (1.3)か らの 偏 差 率 (1.4)か ら の 偏 差 率
(単 位 兆 円,昭 和34年 のt=o)
2.54%
3.27%
0.85%
2,41%
(1.2)
(1.3)
(1.4)
これ は 明 らか に,北 海 道 の 方 が 全 国 よ り も景 気 景動 の振 巾 が小 さい こ とを意 味 して お り,と くに昭 和31年 の北 海 道 の 大 凶作 を考 慮 に い れ る と,北 海 道 の 変 動振 巾 が 全 国 に比 して ます ます 小 に な る。 第3図 は この関 係 を 示 して い る。 これ は北 海 道 の 景 気変 動 が もつ第2の,し か も最 も顕 著 な特 質 とみ て よ い だ ろ う。北 海 道 経 済 は この意 味 で や や安 定 的 な経 済 で あ る と考 え られ る。
で は この 原 因 は な ん で あ ろ うか 。次 に この問 題 につ い て,立 ち入 った 解 明を 試 み て み よ う。
第3節 需要 構造 とそ の特 質
有効需要項 日の うち,景 気変 動で支配的な役割 を果 たす 資本形成 の時系列
6一
商 学 討 究 第15巻 第3号第3図 所 得 成 長
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変 動 に つ い て み る と,第1に そ の 変 動 の 振 巾 が 小 さ く,第2に 総 資 本 形 成 の うち,民 間 投 資 の 変 動 が 全 国 の そ れ に 比 べ て や や 緩 慢 で あ る こ とが 明 ら か で あ り,第3に 財 政 投 資,な か で も 開 発 投 資 がbuilt‑in‑stabilizer
と して 景 気 変 動 に 対 す る安 定 化 要 因 に な っ て お り,最 後 に 第4
と して,北 海 道 で は 軽 工 業 へ の 投 資 が 民 間 資 本 形 成 の 大 宗 を な して お り,し か も こ れ が 道 民 所 得 で み られ る景 気 循 環 と必 ず し
磯1漸 昌9,,.fも 共 変 的 で は な い,と い う こ と
これ で あ る 。
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まず 第4表 で,北 海 道 に お け る総 資 本 形 成 とそ の 内訳,す な わ ち民 間 投 資 と 財 政投 資 を と り,財 政 投 資 につ い て は と くに 開発 投 資 を ぬ き出 し,そ の 各 々 に つ いで 対 前 年 差,お よび対 前 年 伸 び率 を 示 した 。第5表 及 び 第4図 か ら全 国 総 資本 形成 の対 前 年 伸 び率 を み る と,最 近 時 に な るほ ど北 海 道 のそ れ に 比 べ て 振 巾が 大 き くな って い る。 また (2)北 海道開発 庁開発計 画課 「資 本形成 調査 中間集計表 」昭和36年11月
8一 商 学 討 究 第15巻 第3号 第4図 投 資 増 加 率(1>
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第5図 投 資 増 加 率(2)
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財 政 投 資 の振 巾で は,全 国 のそ れ が北 海 道 の そ れ よ り
も大 きい ば か りで な く,景 気変 動 と共 変 的 で あ り,景 気変 動 の振 巾を拡 大 させ る い わ ば 不安 定 要 因 と して作 用 してい る。 これ に反 して 北海 道 の財 政 投 資 の対 前 年 伸 び率 は 景気 変 動 の動 きに 逆 行 し,変 動 へ の相 殺 的 作 用 を な して い る。 さ らに 第
5図 で 示 され る よ うに,昭 和30年 以降 に な る と全 国 の 民 間 資 本形 成 の振 巾が 道 の そ れ を 大 き く 上 廻 り,か つ,そ れ が 国民 所 得 の変 動
と共 変 的 で あ る。 北海 道 に お い て,昭 和33年 の景 気 後 退 期 が 全 国 に おけ るほ どの シ ャー プな 落 ち こみ な しに 経 過 で きた の は,道 の民 間 資 本形 成 の増 大,と りわ け 設 備投 資 の急 増 に 支 え られ た もの で あ る。 第6表 は総 資 本形 成 に対 す る財 政 投 資 の割 合 を示 した も の で あ る。 これ に よる と北海 道 の
一10一
商 学 討 究 第15巻 第3号財 政投 資 構成 比 は全 国 のそ れ よ りもや や 大 き く,こ れ が安 定 化 作 用 の有 力 な 一 翼 をに な って い る。 さ らに 北海 道 の 財 政投 資 のな か に は 中 央 政 府 関 係機 関,お よびそ の 他 の中 央政 府企 業 の 資本 形 成 を 除外 して い るか ら,こ れ らを 加 え る と道 の財政 投 資 比 率 は さ らにか な りの大 き さに な るだ ろ う。 第7表 で は総 資本 形 成 の変 動 に対 す る財 政投 資 お よび 民 間投 資 のそ れ ぞ れ の寄 与 率 を 概 算 して みた 。 民 間 投 資 の寄 与 率 が きわ め て高 い こ とが 一一目 して 明 らか で あ る。 また,こ の期 間 の総 資本形 成 に 占め る財 政投 資,民 間投 資 の 平均 構 成 比 はそ れ ぞ れ30%,70%で あ り,民 間 投 資が 総 資 本形 成 の 大 宗 で あ る こ とは 明 らか で あ る。 そ こで 民 間投 資 の製 造 業 に おけ る産 業 別変 動 態 様 を さ らに 立 ち い っ て検 討 して み よ う。
第8表 は製 造 業 の産 業 中分 類 民 間投 資 の変 動 を示 して い る。 この期 間 に お け る製 造 業 で の民 間 投 資 を そ の 大 き さの順 に ラ ソクす る と次 の通 りで あ る。
1食 料 品,2パ ル プ,3鉄 鋼,4木 材,5窯 業,6化 学 これか らも明 らか な よ うに,鉄 鋼,化 学 を 別 にす る と,い わ ゆ る軽工 業 へ の 投 資 が 民 間 資本 形 成 の大 勢 を 占め,そ の上 これ ら軽 工業 投 資 が道 民所 得 に み られ る景気 循 環 と必 ず しも同調 的 で は な く,と くに 昭和33年 の 谷 で は,軽 工 業投 資の 約 半 数 が 山 を記 録 して い る。 これ が 需 要 構 造 に み られ る安定 化 要 因 の1つ に 数 えあ げ られ る。
第4節 生 産 構造 とそ の特 質
北 海 道 経 済 の 生産 構 造 には 景 気 変 動 を緩 和 させ る とみ られ るい くつか の特 質 が 看 取 され る。
a)第1次 産 業 の所 得構 成 比 が対 全 国比 で相 対 的 に 高 く,第1次 産 業 が いぜ ん と して重 要 な ウエ ー トを もっ て い る。 第9表,第10表 を参 照 せ られ た い 。 い ま見 通 しを よ くす るた め に各 産 業 の所 得 構成 比 を 昭 和27年 と昭和36年 に つ い て比 較 して み る と次 の よ うに な る。
北 海 道
全 国
対 全 国 比 (農 業
北 海 道
全 国
対 全 国 比
北 海 道
全 国
対 全 国 比
第1次 産業実 質生産所得構成比
昭 和27年 27.4%
24,9
5.9
5.2
日召 禾036年 21.4%
14.7
7,5
6・6)
第2次 産 業 実 質 生 産 所 得 構 成 比
昭 和27年 昭 和36年
32.0%30.4%
31.438.8
5.54.0
第3次 産 業 実 質 生 産 所 得 構 成 比
昭 和27年 昭 和36年
40.6%48.2%
43.947.0 5.05.3
メ
第9表 に み られ る よ うに,第1次 産 業 生 産 所 得 構 成 比 は こ の 期 間 に や や 減 少 して い る に もか か わ らず,対 全 国 比 で は ほ ぼ 着 実 に 増 加 して 実 質 生 産 所 得 の 対 全 国 比5.1%(昭 和36年)を 大 巾 に 上 廻 わ る7.5%を 記 録 し,こ の うち 農 業 所 得 の 対 全 国 比 も5.2%(昭 和27年)か ら6.6%(昭 和36年)に 上 り,
5%水 準 を は るか に こ え て い る 。 これ に 対 して 変 動 の 主 導 的 産 業 と み られ る 第2次 産 業 の 実 質 生 産 所 得 は,対 全 国 比 で5.5%(昭 和27年)か ら4.0%
(昭 和36年)へ と漸 減 し・C .の うち 鉱 業 生 産 所 得 の 対 全 国 比 は この 期 間 に 高 ま っ て い る が(16・5%か ら23・0%),成 長 産 業 た る 製 造 業,建 設 業 の 対 全 国 比 は こ れ に 反 して か な り低 下 して い る(製 造 業 は3.1%か ら2.7%に,建 」 設 業 は8.4%か ら5.6%に)。 これ は全 国 の構i成比 に 比 べ て 第1次 産 業 の比 重 が 相 対 的 に 高 ま り,反 面 循環 変 動 に敏 感 な製 造 業 の比 重 を相 対 的 に 低 下 さ
一12一
商 学 討 究 第/5巻 第3号せ る こ とに よ って生 産 構 造 的 に み て安定 化 傾 向を もっ て い る こ とを 示 してい る。 全 国 の産 業 別 生産 所 得 構 成 比 に 対 す る北 海 道 の産 業 別 所 得 構 成 比 の比 率 を 特 化 係 数 を よぶ こ とに しよ う。第ll表 は そ の 計 算 結 果 で あ る 。 特化 係数 の 定 義 か ら,こ の値 が1よ り大 きい と きに は特 化 度 が 高 く,1よ り小 さい と き に は 特 化 度 の低 い こ とを 意 味 して い る。北 海 道 の第1次 産 業 は,昭 和29年 と 昭 和31年 の不 況 期 に 特 化 係 数 が1以 下 に な った ほ か は す べ て1よ りも大 き く,し か も期 間 の経 過 と と もに着 実 に 上 昇 して い る。 これ に 対 して 第2次 産 業 は景 気循 環 に 関 係 な く一 途 に低 下 し,し か も1以 下 で あ る。 と くに所 得 構 成 比 の大 きい製 造 業 の特 化 係 数 が きわ め て 低 く,し か も微 減 して い る。 こ こ
か ら,北 海 道 経 済 は 第2次 産 業 生 産所 得 構成 比 が高 い に もか か わ らず,第1 次 産 業 特 化 型 経 済 とい うこ とが で きる。 第6図 で は この関 係 を 画 い て い る。
さ らに道 民 生産 所 得 変 動 へ の産 業 別 寄 与 率 を 概 算 す る と 第12表 の よ うに な る。 明 らか に 昭 和29年,昭 和31年 の景 気 後 退 が 第1次 産 業,と くに 農 業 凶作 に起 因す る こ とを物 語 って い る。 しか し昭和33年 以後 は第1次 産 業 の変 動 寄 与 率 は 低 下 し,逆 に第2次,第3次 産 業 の変 動 寄 与 率 が 相 対 的 に 高 くな っ て い る。
b)振 幅 縮 少 的 生 産 構 造
昭 和28年 〜昭 和36年 に つ い て み る と各 産業 部 門 に お け る変 動 振 幅 の 平均 的 大 き さは次 の よ うに ラ ン クされ る。
北海 道 全 国(カ ツコ内は所得構成比順位)
第1次 産 業1(3)2(3) 第2次 産 業2(2)1(2) 第3次 産 業3(1)3(1)
第3次 産 業 を別 に す れ ば,全 国 で は,生 産 所 得 構成 比 で第2位 に ラ ンクされ る第2次 産 業 の振 幅 が 最 大 で あ るの に対 して,北 海 道 で は生 産 所 得 構成 比 が 第3位 の第1次 産 業 の振 幅が 最 大 で あ る。 と くに北 海 道 第1次 産 業 の平 均 振
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第6図 特 化 係 数
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第1次 産 業
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一14一
商 学 討 究 第15巻 第3号幅 が 大 きい の は昭 和28年 〜32年 に この 部 門 が きわ め て シ ャ ープな 循 環変 動 を した た め で あ り,そ の後 は第2次 産 業 の振 幅 の方 が第1次 産 業 のそ れ よ りも 相 対 的 に 大 き くな って い る。 以上 の点 を 考 慮 して も,北 海 道 経 済 の所 得 変 動
の振 幅 は,一 般 に変 動 感 応 度が 高 く,か つ また 変 動 始 発 因 と して 有 力 な第2 次 産 業 よ りも,第1次 産 業 に よ って 支配 され てい る ことを示 し,こ れ が全 国
に比 べ て変 動 の振 幅を よ り緩 慢 に して い る原 因 で あ る と考 え られ る。
c)産 業 別 附 加 価 値 生 産性 の変 動
第13表,第14表,第15表 か ら明 らか な よ うに,北 海 道 の就 業 人 口1人 当 り 附 加 価 値 生 産 性 が 第1次 産業,第3次 産業 に お い て きわ め て高 く,第2次 産 業 に お い て相 対 的 に 低 い 。 これ に対 して全 国 のそ れ は第2次 産業 と第3次 産 業 で 相 対 的 に高 い 。 これ は景 気変 動 の 促進 効 果 が 概 して小 さい とみ られ る第 1次 産業 の 生産 性 の振 幅が 全 国 に比 べ てか な り高 い こ とか ら,北 海 道 に おけ る景 気変 動 をや や安 定 化 させ てい る原 因 で はな い か と思 わ れ る。
次 に 全 体 の生 産性 と産 業 別 生産 性 との比,す なわ ち比 較 生 産性 を 計算 して み る と第16表 の結 果 が え られ る。 この表 か ら第1次 産業 の比 較 生 産性 が 北 海 道,全 国 と もに1以 下 で,経 済 全 体 の平 均 生 産 性 の約50%か ら60%で あ る こと,第2次 産業 お よび第3次 産 業 の比 較 生産 性 が北海 道 と全 国に おい て, と もに1以 上 で あ るが 逓 減 傾 向の存 在す る こ とが 明 らか で あ る。 さ らに注 目 す べ き こ とは,北 海 道 の第2次 産業 比 較 生 産性 水 準 が 全 国 の それ よ りも高 か った が,こ れ が 急 落 して ほ ぼ全 国水 準 ない しそ れ 以 下 に まで 低 落 した こ と,
このほ ぼ 全期 間 に わ た って,北 海 道 の第2次 産業 比 較 生産 性 が 第3次 産 業 比 較 生 産 性 よ りも高 か った の に対 し,全 国で は逆 に 第3次 産業 の比 較 生産 性 が 第2次 産業 が そ れ よ りも高 く,期 間 の 終 り頃(昭 和35年 以降)に な って は じ め て 大小 関 係 が 逆 転 した こ とで あ る。 しか し,こ れ よ りも さ らに 一 層 興 味 あ る点 は,道墜 の第1次 産 業 比 較 生 産 性 が 緩慢 な 上 昇傾 向 を も って い るの に対 し て 全 国 の それ は ほ ぼ安 定 ない し微 減 の傾 向 を みせ て い る こ とで あ る。 い ま第
1次 産 業 お よび第2次 産 業 の生 産 性 を道 と全 国 につ い て 比 較 して み る と次 の よ うに な る。
道 。全 国 生 産 性 比 1皿
昭 和28年 昭 和29年 昭 和30年 昭 和31年 昭 和32年 昭 和33年 昭 和34年 昭 和35年 昭 和36年
1.17 0.92
1.31 0.99 1.39 1.39 1.39 1.40 1.33
1.19 1.18 1.24 1.24 1.19 1.22 1.15 1.02 1.00
この表 か ら第1次 産 業 が比 較 優 位 な部 門 で あ る ことがわ か る。 北 海 道 に お い て も第16表 で 明 らか な よ うに,第1次 産 業 の比 較 生 産性 が 低 い に もか か わ ら ず 第1次 産業 の所 得 構成 比 が高 い の は,し た が って 特化 係教 が 高 い の は,道 の第1次 産 業 が 対 全 国 生産 性 比 率 に お い て第2次 産業 よ り高 い比 較 優 位 な産 業 だか らで あ る。 第1次 産 業 生 産 道 民所 得 の全 国 シ ェアが 逓 増傾 向 を もつ の は この理 由に よる もの と思 わ れ る。 これ が北 海 道 を全 国に 比 べ て や や安 定 さ せ て い る経 済 的 特 質 で あ る と思わ れ る。
た だ第2次 産 業 が 伸 び率 の高 い部 門 で あ る こ とは北 海 道 の 場 合 に も疑 い な い。 と くに製 造業 は まぎれ もな い成 長 産 業 で あ る。 第19表 の 賃 金 コス ト指 教 で み る と,製 造業 に おけ る賃 金 コス トの 低 落傾 向 は著 し く,と くに北 海 道 の 場 合 が 顕 著 で あ る。 何 故 に全 国 に 比 べ て 賃 金 コス トが 低 く,そ の低 落 度 の は げ しい製 造業 生産 所 得 の成 長 が 全 国 のそ れ に比 較 して 緩慢 な の か,と くに北 海 道 で は 軽工 業 へ の投 資率 が 大 きい ことを 考慮 す る と,こ れ は問題 に さ るべ
き重 要 な ポイ ン トで あ る と考 え られ る9
一16‑一 一一
商 学 討 究 第15巻 第3号
第5節 分 配 構 造 とそ の特 質
北 海道 と全 国 の実 質 分 配 所 得 お よび 分配所 得 構成 比 は第20表,第21表,第 22表 に 示 され て い る。 い ま当 該 期 間 の平均 を とって み る と,分 配 構 造 は次 の
よ うな 構成 比 を も ってい る こ とが わ か る。
得得得得所所主所所
労業人産人
勤個法財
北 海 道 57.6%
31。2
5.7
5.6
全 国
50.7%
33.3 11.9 5.2
北 海 道 の勤 労 所 得構 成 比 は 明 らか に 全 国 のそ れ に 比 して大 き く,第20表 お よ び第7図 か ら,景 気 変 動過 程 で勤労 所 得 と法 人所 得 の間 に はか な り鮮 明 な競 合 関 係 が 看取 され る。 さ らに全 国 で は,個 人業 主所 得 の急 落傾 向が 観 察 され るが,北 海道 で は この傾 向が か な り緩慢 で あ り,し た が って北 海 道 の個 人 業 主所 得 と勤 労 所 得 を一 緒 に した 構 成 比 は,第22表 の よ うに,全 国構 成 比 よ り
くヨ ラ
か な り高 い 。 個 人業 主所 得 は性 格 的 に勤労 所 得 と大 差 は な いか ら,両 者 を一 緒 に した 構成 比 が高 くなれ ば経 済 全 体 の消費 需要 割 合 は高 め られ,経 済 の安 定 性 を高 め る ことに よ って一 般 に 景 気 変 動 の振 幅 を 小 さ くす る傾 向 を もつ こ とに な る。 これ に反 して,全 国 の法 人所 得 構成 比 は北 海 道 の約2倍 に 近 く,
しか も法 人所 得 は 分配 所 得 の変 動 と きれ い な共変 関 係 を 示 して い るの}ざ,こ れ が 全 国 の振 幅 を 相対 的 に シ ャ ー プに して い る分 配 構 造上 の 原 因 と 思 わ れ
る。 さ らに 北海 道 に お い て,農 業 所 得 が 個 人業 主所 得 の 大宗 を な し て い る が,昭 和29年,昭 和31年 を別 とす れ ば農業 所 得 と道 民 分配 所 得 との共 変 関 係 は不 明確 に な って い るの で,こ れ が 振 幅を 緩和 させ る一要 因 と して作 用 して
(3)個 人業主所得 には 勤労所 得的 性格 と 法人 所得的性格 が混在 してお り,勤 労所 得 よ りはか な り変 動的 で あるため,両 者 を一 括す るこ とには問題 が あ る。 しか し 個 人 業主所得 は いはば 生業所 得 とみ て よいか ら,そ の消費 パ ター ンにおいては む
しろ勤 労所得 に近 い と考え られ る。
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箒7図 道 民 分 配 所 得 構成 比 の推 移
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"̀ユtDぼ27酌o昭31‑932Dβ33閉 符 励 ダP彦36い る もの とみ て よい だ ろ う。
第6節 労 働 生 産 性,雇 用 量 .s雇 用 構 造 変 化
昭和28年 〜 昭和36年 の期 間 に おけ る経 済 変 動 を労 働 経 済 の側 面 に 注 目 しな が ら検討 して み よ う。 これ は労 働 力 需 給 の変 動 が 景気 変 動 の核 心 を なす もの で あ る こ とを必 ず し も意 味 してい るわ け で は な い。 た だ所 得 変 動 の説 明要 因 と して労 働 生 産性,雇 用 量,雇 用 構 造変 化 の3要 因 を と らえ,簡 単 な仮定 の
一18一
/・。7・
全
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比
8詳
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商 学 討 究 第15巻 第3号
第8図 分 配 所 得 構 成 比(勤 労,
勤労 所得+個 人業主所得
うヒ 海 直 橋 前 比
ほ ラ
も とで これ らの効 果 を概 算 して み るに と どめ る。
景 気変 動 過 程 で労 働 生 産性 が 変 動 す る こ とはす で に 明 らか に した。 しか
(4)こ の 手 法 に つ い て は,た と え ば
G.H.Borts,RegionalCyclesofManufacturingEmploymentinthe
UnitedStates,1914〜1953(OccasionalPaperNo・73, NBER1960)
地 主 重 美,要 素 所 得 の 地 域 格 差 に 関 す る1仮 説,「 経 済 研 究 」 第14巻 第3
号,1963年7月
鎌 倉 昇,資 本 蓄 積 の メ カ ニ ズ ム,「 エ コ ノ ミス ト」 昭 不039年S月19日 号
個人業主,法 人所 得)
国蒲成比
r・7,
嬬
o
法 人 所 得
・s3十
・S32
・s3t
.隙8
・β33
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・S3。
甥
北 海 重 騰 幌 比
み る に と ど め る 。
い ま 昭 和28年 の 各 産 業 の 附 加 価 値 額 に, (Ns36/Ns2s)を か け る 。
し,こ れ と同 時 に雇 用 構 造 お よび雇 用 量 に 大 きな変 化 がみ られ る こ と も容 易 に想 像 され よ う。 所 得 の変 動 は,た とえ労 働 生 産性 と雇 用 量 に全 く変 化 が な くて も,雇 用 構 造 つ ま り雇 用 量 の産業 部 門 間 構成 比 の変 化 に よって も生 み 出 され る。 しか し一 般 に 雇 用 構 造 が変 化す る場 合 に は雇 用 量 や労 働 生 産性 に も影響 を与 え る。 した が って 雇 用 量,労 働 生 産性,雇 用 構 造 はそ の変 化 が 相 互 に 密接 に 関連 し,そ の 効 果 を 分離 す る こ とは 甚 だ 困 難 で あ る。 こ こ で は 仮説 的 な概 算 を試
当 説期 間 の 全 就 業 人 口比 率 これ は各 産業 間 の労 働 生 産性 も就 業 構 造 も不 変 と し た 場 合 に,も っぱ ら雇 用 量 の増 加 のみ に よって 生 ず る仮説 的 な 実 質道 民 所 得 で あ る ・ 次 略 産 業 の 当 該 期 間 に お け る 生 産 性 比 率(ヱ ・/Y、N
・S36/N,28)を 上 の 各 産業 の仮説 的 生 産所 得 にか け る。 こ う して え られ た 実 質 生 産道 民所 得 の 計
一 一20一
商 学 討 究 第15巻 第3号
測値 は,雇 用 構造 に変 化 な く,労 働 量 と労 働 生 産性 の2つ が変 動 した こ とに よって もた らされ た 仮説 的 な実 質 生 産道 民所 得 で あ る。 第1の 仮説 値 か ら昭 和28年 の実 質 生 産道 民所 得 の実 際値 を さ しひい た もの は,い わ ば雇 用 量 増 大 効 果 とみ て よい だ ろ う。 次 に 第2の 仮説 値 か ら第1の 仮説 値 を さ しひ い た も のを労 働 生 産性 増 大 効 果 と考 え る。 最後 に昭 和36年 の実 質 生 産道 民所 得 の実 際値 か ら第2の 仮説 値 を さ しひ い た残 差 項 を もって雇 用 構 造 変 動 効 果 を 表 ら わ す もの と仮定 しよ う。 さて計 算 の手 順 と結果 は次 の よ うに な る。
Ns36
=1.78 Ns28
これ を 昭 和28年 の 各 産業 生 産所 得 に か け た もの が 次 の値 で あ る。
(単 位100万 円)
〔A〕193,570皿136,693K183,124
こ れ に 産 業 部 門 別 生 産 性 比 率 を か け る と 次 の 通 り で あ る 。
〔B〕1181,245fil93,6941271,207
A‑‑Ys2s===62,465(雇 用 量 増 大 効 果) B‑‑A=232,759(労 働 生 産 性 増 大 効 果) Y忌36‑B・ ・=46,347(雇 用 構 造 変 動 効 果) こ れ を 比 率 で 表 ら わ す る 次 の 通 り で あ る 。
雇 用 量 増 大 効 果18.3%
労 働 生 産 性 増 大 効 果68・1%
雇 用 構 造 変 動 効 果13二6%
413,387(合 計)
646,146(合 計)
一 方 全 国 の方 は次 の よ うに な る。 な お 全 国 のそ れ は 昭和30年 〜36年 で あ る。
雇 用 量 増 大 効 果12.2%
労 働生 産 性 増 大 効 果62・6%
雇 用 構 造 変 動 効 果25。2%
労 働 生 産 性 増 大 効 果 が所 得変 動 の60%〜70%を 占め る こ とは道 お よび全 国 に 共 通 して い るが,雇 用 量 増 大 効果 は北 海 道 に お い て 相 対 的に 高 く,雇 用 構 造 変 動 効 果 は全 国 の方 が は るか に高 い。 上 に のべ た よ うに,全 国 と北 海 道 で に
北海道 に おけ る景 気変動(地 主) 一21‑一 一一
対 象期 間が 若 干 ちが って い るた め に両 者 の比 較 に は あ る程 度 の留 保 が 必 要 で あ るが,結 果 に大 きな狂 い は ない 。 全 国 の場 合 は北 海 道 よ りもは るか に 急速 な 構造 変 動 に よっ て経 済変 動 を もた ら し,あ るい は これ に 対 処 した が,北 海 道 の場 合 に は 構 造 変 化 よ りもむ しろ雇 用 量 の変 化 に よ って経 済 変 動 を もた ら
し,あ るい は これ に 対 処 した 。 これ は変 動 に 対す る構 造 調 整が 北 海 道 で は十 分 に行 わ れず,そ れ を 主 と して雇 用 量 の 増減 と労 働 生 産 性 の変 動 に よ って受 け とめ な け れ ば な らなか った。 換 言す れ ば,北 海 道 経 済 は構 造 的 伸 縮 性 を 欠 如 し,そ の意 味 で は 不安 定 要 因 をか か え こん でい る とみ て よい だ ろ う。 これ は 生 産構 造 的 に い うと,第1次 産業 優 位 型 経 済 の 特 質 とみ る ことが で き よ
う。
上 の3つ の効 果 を さ らに時 系列 的 に 概 算 して,そ の循 環変 動 過 程 に おけ る 動態 を探 って み る こ とに しよ う。 第10図 は そ の結 果 で あ る。 昭 和29年,昭 和 31年 に谷 を もつ 景 気 循 環 期 に 第9図 生 産 所 得 変 動 効 果
は労 働 の 平均 生 産 力 が 生産 所 得 の循環 変 動 と同調 して大 巾 に変 動 し,雇 用 量 増大 効 果 と 雇 用 構 造 変 動 効 果 は これ と逆 調 して 相殺 要 因 に な っ て い る。 これ は第1次 産業 優 位 型 経済 の た め,変 動 へ の適 応 度 が 弱 く,し たが って変 動 は 多 く平均 生産 性 の変 動 に吸 収 さ れ が ち で あ る。 しか し,昭 和 34年 以後 は 平均 生 産性 効 果 が や や減 退 しなが ら,い ぜ ん と して 景気変 動 と同調 的 で あ る が(昭 和33年 を除 く),生 産
76
ゆ
ゆ
3●
2,●
ρ
蔓
潅修受集 崔糧﹂豊
一22一
商 学 討 究 第15巻 第3号第10図 生 産所 得 の変 動 説 明要 因 構造 変 動 効 果 は 昭 和34 年 以前 とは 逆 に 生 産所 得 変 動 と同調 し,相 殺 要 因 と して よ りも,む
しろ促 進 要 因 と して立 ち 現 らわれ て い る。 こ れ は昭 和34年 以後,高 度 経 済成 長 の 影響 を う
け て,構 造調 整 も漸 く 活 発 に行 わ れ る よ うに
な った こ とを物 語 って い る のでは な いか と思 わ れ る。
第7節 資本 と 労 働 の代 替
て い るが,最 近 この強 条件 を ゆ るめ た 興味 あ る研究 が な され,
経 済成 長 を 伴 う景 気 循 環 過 程 で,資 本 と労 働 の間 に 強 い 代 替 関 係 が 存 在 した で あ ろ うと い こ とは 容 易 に 想 像 で
き る と ころで あ る。 と ころが コ ップ ・ダ グラ ス型 生 産 関数 で は この 代 用 弾 力 性 が1と い う きつ い 条件 が 課 せ られ
これ を不 変 代
くの
用 弾 力 性 関 数(CES関 数)と よんで い る。 こ こで も,こ の手 法 をそ の ま ま借 用 して,昭 和30年 と昭 和35年 に おけ る北 海 道 お よび 全 国 に おけ る代 用 弾 力 性 の推 定 を試 み た,こ の方 法 の も う1つ の メ リ ッ トは,上 の弾 力 性 係数 の推 定 に 資 本 ス トックの資 料 を 必 要 と しな い とい う こ とで あ る。 と くに北 海 道 の よ
うに この資 料 を 欠 い て い る場 合 にCES関 数 は は な は だ 便利 で あ る。
推 定 され るモ デル は 次 の通 りで あ る。
o9τVWl司 ・g・+bl・9τ+・
こ こ でV/L,W/Lは そ れ ぞ 従 業 員1人1ヵ 月 あ た りの 附 加 価 値 額,お よ び 賃 金 で あ る 。 した が っ て は 賃 金 に 対 す る附 加 価 値 の 弾 力 性 係 数 に 外 な らな い が,こ れ が 資 本 と労 働 の 代 用 弾 力 性 係 数 に ひ と しい こ と も容 易 に 証 明 で き
る。bの 推 定 結 果 は 次 の 通 りで あ る 。
北 海 道 全 国
昭 和30年1.22061.6364 昭 和35年0.51471.3618
これ か ら代 用 弾 力 性 は 推 定 さ れ た 昭 和30年,昭 和35年 に お い て と もに 全 国 の 方 が 北 海 道 よ り も高 く,全 国 に お い て 労 働 か ら資 本 へ の 急 速 な 代 替 が 行 わ れ た こ とが わ か る 。 つ ぎ に,こ の値 が,昭 和35年 の 方 が 昭 和30年 の そ れ よ りも 低 く,と くに 北 海 道 に お い て これ が 激 減 して い る。 も っ と も資 料 の 関 係 で 昭 和30年 の 附 加 価 値,昭 和35年 の そ れ が 純 附 加 価 値 で あ る こ と,推 定 に 用 い た 資 料(第23表)は 従 業 員4人 以 上 の 事 業 所 の み を カ バ ー した も の で あ る こ と を あ らか じめ 考 慮 し て お く必 要 が あ る 。 さ らに 昭 和35年 の 推 定 式 の 相 関 係 数 が 北 海 道,全 国 と もに か な り低 い こ と も含 ん で お か な け れ ば な らな い 。 しか し,そ れ に して も北 海 道 に お け るbの 両 年 間 の 著 減 は わ れ わ れ の 理 解 を こ え た もの で あ る。
(5)KJ・Arrow,H・B.chenery,Bs・Minhas,andRM・solow,
Capital‑LaborSubstitutionandEconomicEfficiency,TheReviewof EconomicsandStatistics,August1961.
一24一
商 学 討 究 第15巻 第3号そ こで この 謎 を と く1つ の手 が か りと して,製 造 業 を重 化 学 工 業 と軽 工 業 に 二 分 し,そ れ ぞれ につ い て代 用 弾力 性 係 数bを 推 定 して み た 。
重 化学 工 業 軽工 業
昭 和30年0.7730.690 昭 和35年1・0330・273
昭 和30年 の重 化 学 工 業,軽 工 業 に おけ る代 用 弾 力性 に 大 差 が な い の に反 し, 昭 和35年 に入 る と,重 化 学 工業 の代 用 弾 力性 の 値 は 軽工 業 に お け るそ れ の約
4倍 に な り,明 白な 両 産業 の 差 異 が 看取 され,し か も軽工 業 の 構成 比 が 高 い こ とか ら北 海 道 に お け る昭 和35年 の代 用 弾力 性 を 低位 に お しさげ て しま った もの と推 測 され る。急 速 な 経 済成 長 が 軽工 業,と くに北 海 道 の軽 工 業 で 資本 と労 働 の 代 替 を さ また げ た こ と,し か も軽 工 業 が北 海 道 に おい て製 造 業 の大 宗 で あ る ことか ら,北 海 道 経 済 を この意 味 で安 定 させ た1要 因が こ こに もみ だ され る よ うに思 われ る。 まだ実 証 結果 は不 十 分 で納 得 のい く検 討 が まだ加 え られ て い な い し,さ らに注 意 深 い 検 証 をへ た 上 で な い とCES関 数 の 結 果 につ い て は は っ き りした結 論 を さ しひ か えな け れ ぽ な らな い が,成 長 産業 た
る製 造 業 の動 向 を しる1つ の示 唆 に は な ろ うと思 う。
第8節 結 論
以上,北 海 道 経 済 ¢)マク ロ分 析,つ ま り道 民所 得 分析 に お い て,と くに 需 要 構 造,生 産 構 造,分 配 構 造 の側 面か ら全 国 との対 比 を試 み,北 海 道 経 済 に お け る 景気 循 環 の 特 質 を 明 らか にす る ことにつ とめ た。 そ の特 質 は一 言 で い って 北海 道 経 済 に お け る景気 変 動 の振 幅が 小 さい こ とで あ り,そ の理 由 は, 第1に 第1次 産業 と くに 農業,水 産 業 部 門 の所 得 構成 比 が きわ め て 高 い こ
と,第2に 変 動振 幅 の比 較 的高 い製 造業 の うち,と くに 景 気 変 動 へ の 感応 度 の 低 い 軽工 業 の構成 比 が 高 い こ と,第3に 勤労 所 得+個 人 業 主 所 得 の よ うな 安 定 性 の高 い所 得 の構 成 比 が高 い こ と,第 斗に 開 発 投 資 等 自動 安定 型投 資 が 多 い こ と等 がそ れ で あ る。 これ らは いず れ も直接,間 接 に 政 府 そ の他 の 公共
機 関 の保 護政 策 に 浴 して い る こ とに起 因 して い るた め,今 後 自由化 が さ らに 進 行 し,国 際 的 な 自由競 争 に さ らされ る こ とに な る と,北 海 道 の 景気 変 動 も そ の様 相 を変 え なけ れ ば な らな い だ ろ う。 さ らに高 成 長 に よ る重 工 業 化 の テ ソポが 速 ま る と全 国 に対 して 相 対 的 に 安定 して い る本 道 の景 気変 動 も変 容 を とげ ざ るを えな い 。 こ こに い わ ぽ安 定 か 成 長 か とい う困難 な 問題 をか か え こ む こ とに な る。 これ は道 開 発 の 基本 問 題 に もふれ る難 題 で あ るげ
第1表 実 質 道 民 所 得
(単 位100万 円)
1
実 質 分 配 実 質 生 産 実 質 分 配 実 質 生 産道 民 所 得 一道 民 所 得 道 民 所 得 道 民 所 得 昭和27年
329,920 330,375
昭和32年471β70 491,741
昭和28年344,141 350,923
昭和33年512,193 525,706
昭和29年362,195 346,829
昭和34年561,669 572,541
昭和30年406,131
418,623:昭和35年617,720 636,257
昭和31年 1
406・410420・4951 昭和36年
665,965 692,493
資 料:昭 和28〜32年 道 民 所 得 白 書 昭 和33〜36年 道 民 所 得 調 査 報 告
イ ン フ レ ー タ ー 昭 和36年=100総 合 物 価 指 数
第2表 実 質国民所得 と成 長率
(単 位10億 円)
実 質 実 質 国 民 実 質 実 質「国「民国 民 所 得 所得成長率 国 民 所 得 所得成長率
7
脚昭和27年
6,114.5
一 昭 和32年8,797.3 8.6
昭 和28年
6,604.1 8.1 昭 和33年}9,132.7 3.8
昭 和29年 昭 和30年
「 昭 和31年6,718.01.7
旨
7・342引9・3
、 8・098・8110・3il
昭 和34年[10,44L3 昭 和35年112,072.4 11 昭 和36年13・577・gI
14.3 15.6 12.5
資料:国 氏 所得 白書
:昭 和36年 価 格==100と した総合物 価指数 に よる実質額 を使用
一26一
商 学 討 究 第15巻 第3号第3表 道民所得成 長率,国 民所得成長率
分配月 得成 長(
北 海 道)
生 一月得 成長 (北 海 道)
昭昭昭昭昭 和和和和和
28 29 30 31 32
年年年年年
昭 和33年 昭 和34年 昭 和35年 昭 和36年
% 4,3 5.2 12.1
0.1 16.0 8.7 9.7 10.0 7.8
% 6,2
1.220.7 0.4 16.9 6,9 8.9 11.1 8.8
生 国 民 月 得
成 長 率
% 8.1 1.7 9.3 lO.3 8.6 3.8
14.315.6 12.5
資料:道 民所得 白書,道 民所得 調査報告 より算出
:昭 和36年 価 格==100と した綜合物価 指数 に よる実質額 を使 用
第4表 北海 道におけ る資本形成 (単位 億 円) 1昭和27年1昭 和・8年1昭和・9年1昭和 ・・年 脚31年1昭 和 ・・年
(1)総資本形成 (2洞 対前年差 (3)同成長率%
986.81J230.81.225.61,644.3 244。0‑5.2418.7
24,8 0.434.2
1,582.2
‑62 ,1 3.8
(4)財 政 投 資357.3457.8464.5450.6492.0 (5)同 対 前 年 差100.56.7‑13・941・4 (6)同 成 長 率%28・11・53・09・2
1,888.3 306.1
19.4 521.2
29.2 6,0
昭和33年 昭和34年
2,301.7 413.4
21.9 635.3
114.1 21.9
2,713.1 411.4
17.9 713.6 78.3 12.3
(7鵬 牒151 ・5
(8)同対 前 年 差
(9)同成 長 率%
201.9 50.4 33.3
200.9211.5234.6 1.OlO.623.1 0.55.310.9
286.1301.9370.3 51.515.868.4 21.85.518.5
ω民 間 投 資 OD同対前年差
㈱同成長率%
629.5
二
773.0 14・3.5
22.8
761.1
‑11 .9
‑1 .5
1,193.7 432.6
56.8
1,090.2
‑103 .5
‑8 .6
1,367.1 276.9
25.4
1,666.4 299.3
21.9
1,999.5 333.1
20.0
「
資 料:
:昭 和36年 価 格=100と お い た 実 質 額
第5表 資 本 形 成 増 加 率
灘 讃饗 加㌔ 騰 罷 迦率匡ri王 男難1全 加董
% % % % %i%
昭 和28年
24.8 14.2
28.132.3 22.8 5.5
昭 和29年 一 〇。4 一9 。9
1.5 一4 .7 一1 .5 一12 .5
昭 和30年 34.2
17.5 一3 .0 18.5 56.8 17.0
昭 和31年
一3 .8 24.1 9.2 一12 .5
一8 .635.0
昭 和32年
19.4 4.4 6.0
11.225.4 2.1
昭 和33年
2L9 3.9 21.9 20.6 21.9 一15 .7
昭 和34年
17.9 35.1
8
12.3 16.2 20.0 41.6
資料:北 海道開発 局 「北海道 におけ る資本形成 」,国 民所得 白書
第6表 財政 投 資比 率(対 総資本形成)
国
全北 海 道
%
32.4 34.0 34.4 23.2 25.0 32,7 25.3
%
37.2 37.9 27.4 31.1 27.6 27.6 26.3
年年年年年年年
8Q/01234
へ∠弓∠りδっδっδ33
和和和和和和和
昭昭昭昭昭昭昭
第7表 投 資 変 動 寄 与 率
政 府 投 資
北 海 道1全 国
民 間 投 資
北 海 道1全 国
% % % %
昭 和
2
8 年 42(22)74 58 26
昭 和 2
9
年 一150(25)17 250 83
昭 和
3
0 年一
2(2)37 102 63
昭 和
3
1 年一
77(42) 一12177
112昭 和
3
2 年 9(16)60 91 40
昭 和
3
3 年 27(3)172 73
一72昭 和