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経済学的利益と稼得の概念

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経済学的利益と稼得の概念

その他のタイトル Economic Income and Earnings Concepts

著者 岡部 孝好

雑誌名 關西大學商學論集

巻 19

号 5‑6

ページ 646‑667

発行年 1975‑02‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/00021109

(2)

28 (646) 

経済学的利益と稼得の概念

岡 部 孝

目 次

は し が き

経済学的利益の定式化

伝統的な利益稼得モデル

2つの稼得の概念 結 ぴ

は し が き

割引現在価値基準 (discounted‑present‑value basis)ないし経済学的 利益 (economicincome)のモデルは企業利益を稼得ないし発生と同時に 測定する理想的な会計測定システムであると主張され,しばしばこのような

(1) 

観点から現行の会計実務が分析されたり評価されたりしている。また,取替 原価会計 (replacementcost accounting)が支持される場合,経済学的利 益が最も健全な概念であるという前提に出発して,それの合理的近似計算 を可能ならしめるのが取替原価会計にほかならないという論理が展開されて (1)  Palle  Hansen,  The  Accounting  Concept  of  Profit  (NorthHolland 

Publishing Co.,  1962),  p.19; Harold  Bierman,  Jr.  and  Sidney Davidson, 

"The  Income  Concept‑Value Increment  or  Earnings  Predictor,"  The  Accounting Review,  April 1969,  pp.  23941. 

(3)

経済学的利益と稼得の概念(岡部) (647) 29 

(2) 

いる。しかしながら,果して経済学的利益が会計上の理想的な利益測定モデ ルであるのか,仮にそうであるとしても果して取替原価会計はその近似計算 ないし代理計算でありうるのか,等々と改めて問い直してみると,このよう な主張に含まれている根本的な疑問点がいくつか浮ぴ上がってくる。事実,

後にも紹介されるように,経済学的利益や取替原価会計に関する最近の会計 文献には,これらの点についてその内在的限界を指摘し,かかる主張を真正 面から否定しているものも決して少なくはないのである。

経済学的利益のモデルが今日においても極めて重要な代替案の1つである ことには変りはないから,われわれはこのような重大な論点を曖昧なままに 放置しておくことはできない。少なくとも問題の所在は明確にしておかなけ ればならないであろう。本稿において,われわれはこのような観点から経済 学的利益のモデルにおける利益の稼得や発生の概念を取り上げ,それを伝統 的な概念と比較しながら検討してみたいと思う。この問題は明示的な形では

(3) 

あまり論じられてはいないが,経済学的利益に対するシュウェク・ー等の批判 の意味を正確に把握する上でも,また経済学的利益と取替原価会計との関連 を解明する上でも極めて重要な課題であると考えられる。またその検討は経 (2)  American  Ac.counting  Association,  Committee  on  Cncepts and 

Standards‑Long..:.Lived  Assets,  "Accounting  for  Land,  Buildings  and  Equipment," The Accountg Review,  July 1964,  p.694;  Stephen  A. 

Zeff,  "Replacement Cost:  Member  of  the  Family,  Welcome  Guest,  or  Intruder?" The AccountgReview,  Oct.  1962,  pp.61125; D.  A. Corbin, 

"The Revolution  in  Accounting,"  The Accou俎 切g Review,  Oct.  1962,  p.630;  G.JStaubus, "Current  Cash  Equivalent for Assets: A Dissent,''.  The  ccounting  Review,  Oct.  1967,  p.660;  K. W. Lemke,  "Asset  Valuation  and Income  Theory,"  The Accou成 切g Reiew, Jan.  1966,  p. 40;  Lawrence Revsine,  "On the  Correspondence  Between  Replacement  Cost  Income and  Economic  Income, "The Accountin1J Review,  July 1970, 

pp.  513‑14.. 

(3)  Keith Shwayder,  "A Critique  of  Economic  Income  as  ari.  Accountin~

Concept,"  ABACUS, Aug.  1967,  pp. 2335. 

(4)

30 (648)  経済学的利益と稼得の概念(岡部)

済学的利益の特質を知るのにも有益であろう。しかし,この議論を始める前 に,ここでいう経済学的利益の内容を明確にしておかなければならないであ ろうから,まずそれを定式化しておくことにしよう。

経済学的利益の定式化

「経済学的利益」といえば,それは経済学者がこれまでに提唱した種々様 々な利益(所得)の定義を指しているかにみえるが, 会計人がいう場合のそ れは,実際には,ある限定された利益測定モデルを意味てしいるのである。

(4) 

ヒックスの所得の定義に依拠しながらこれを明確に示したアレキサンダーに

(5) 

よれば,経済学的利益とは企業が期中に株主に対して最大限の配当をなしえ て,なおも期末において期首と同一の経済状態 (wello(fness)にとどまり うる金額をいうのであって,しかもこの場合の期首と期末の経済状態は,当 該企業が将来に受け取りうると期待する正味硯金収入を利子率(および確率)

で割り引いた割引現在価値によって測定されなければならない。かくして,

期中に追加出資や資本の引出しがないものとすれば,期中における割引硯在 価値の純増分が利益であり,それは期首と期末の割引現在価値の差額として 測定されることになる。

ところが,このような明確な定義を下してもなおいくつかの変種が生ず るであろうから,それらを整理して,本稿でいう経済学的利益を明確にする ため,具体例を示しながら以下の議論をすすめることにしよう。いま企業

x

19X5年の期首に事業を開始し,ある設備を¥20,000で購入したとする。企 Xはこの投資により将来3年間にわたって毎年度末に¥10,000の正味硯金 (4) J.  R.  Hicks,  Value  and  Capital  (Oxford  University  Press,  1939), 

p.172.安井・熊井訳「価値と資本」 (岩波書店,昭和26 261

(5)  Sidney  S.  Alexander  (Revised by D. ・ Solomons), "Income Measurement  in a Dynamic  Economy,"  in W.  T.  Baxter  and  S.  Davidson (eds.),  Studies in Accounting Theory (Richard D.  Irwin,  Inc.,  1962),  p. i39. 

(5)

経済学的利益と稼得の概念(岡部) (649) 31  収入を確実に受け取りうると期待している。 19x8年 の 期 首 に は す べ て の 事 業

を終了するとし,その時の設備の残存価値はゼロと見積もられている。いま

(6) 

利子率を10彩 と 仮 定 す る と , 企 業Xの毎期首の設備の割引現在価値と毎期の

(7) 

利 益 は 第1表のように計算される。

1

毎期首の割引硯在価値 毎期の経済学的利益

19X5  ¥ 24,868.52  { ¥ 4,868.52*  2,486.85  19x6  27,355.37  1,735.54  18X7  29,090.91  909.09  19X8  30,000.00  0.00 

¥ 10,000.00 

* 当 初 利 得

この例において,毎期首の割引硯在価値は当該設備によって将来受け取り うると期待する主観的な期待値を反映するものであるから,それは同一時点 における客観的な市場価格とは必ずしも一致しない。取得直前において前者

(6)将来が確実であればすでに実硯された貨幣をその後保有しつづける理由はない であろうし,またこれを資産の価値の中に含めると資本利益率は10%以下に下落 してしまうから,正確にいえば,この不用の貨幣は所有主の引出しとして処理さ れなければならない。しかし,ここでは,増価利益という経済学的利益の特性を 強調するため,便宜上,それを毎期の設備の価値に含めることにした。

(7) 経済学的利益を問題の期間が経過する前に決定すると事前概念 (exante concept)が得られるし,それを経過した後に決定すれば事後概念 (expost concept)が得られる。経済学のように経済行動を説明する目的には前者の方が 有益であるかもしれないが,会計のように,実際の事象を測定しようとする目的 には後者の方が有用である。ただ,確実性の条件のもとでは,事後は事前に一致 するはずであるから,いずれによっても同じ結果になる。

(6)

32 (650)  経済学的利益と稼得の概念(岡部)

が後者を下回っておれば設備は調達されなかったであろうし,またその後に おいても前者が後者よりも大きくないならも早や設備は保有しつづけられな いであろう。両者の間には常に(正の)差額が生ずる。 この差額ーーエドワ

(8) 

ーズ=ベルにより主観のれん (subjectivegoodwill)と命名された'――ーが果して企 業の利益の一部を構成しうるかどうかは問題のあるところであり,また文献 上の意見も 2分されている。ある論者は利益の一部であるといい,他の論者

(9) 

は資本の発見にすぎないと主張する。しかし,ここでこの論争に立入る余裕 はないので,投資とは将来収益を購入することであり,将来収益を安く買い

(10) 

入れた結果としてこの差額が生じたと解することにして,資産調達時の利得

(11) 

として扱い,以下でこれを当初利得(instantaneousgains)と呼ぶことにす

(8) E. 0.  Edwards  and  P.  W.  Bell,  The  Theory and Measurement of.  Business Income (University of California Press,  1961),  p. 37; 伏見•藤森

訳「意志決定と利潤計算」 (日本生産性本部,昭和39 30

(9)  利益説をとる論者としては次のようなものがある。 Sidney S.  Alexander.  op.  cit.,  p.130;  Keith  Shwayder,  op.  cit.,  p. 26;  A. L.  Thomas. 

Allocation  Problem  in  Financial  Accou g Theory  (American  Accounting  Association,  1969),  p.24;  Reg  S.  Gynther,  ̲ "Capital  Maintenance,  Price Change,  and Profit  Determination, " The Accounting  Review,  Oct.  1970,  p. 726;  Harold  Bierman,  Jr.,  "Deprecable  Assets. 

‑Timing  of  Expence  Recognition,"  The Acco加 伽gReview,  Oct.1961, 

̲(10) 

p. 616; Lawrence  Revsine,  Replacement  Cost  Acco皿 血g (PrenticeHall.  Inc.,  1973),  p. 111, 145. 

これに対して資本説をとるものしては次のものがある。 Robert ̲ K. Jaedicke  and Pobert  T.  Sprouse,  Accou祉 切g Flows:  Income,̲ Fusand  Cask  (PrenticeHall,  Inc.,  1966),  p. 22;  Maurice Moonitz and  L.  H.  Jordan,  Accountg:An alysis of Its  Problems,  Vol.1  (revised ed.)  (Holt.  Rinehart and Winston,  1963),  p.134. 

Harold Bierman,  Jr.,  op.  cit.,  pp.  61314. 

(11)  Keith Shwayder,  op.  cit.,  p. 26.  なお,これを当初利得と呼んで,一般に いわれているように未実現の調達利得 (purchasegains)と呼ばない理由は後に 説明する。

(7)

経済学的利益と稼得の概念(岡部) (651) 33  る。その結果,第1表のように, ¥4,868.52の当初利得が19X5年の利益の中 に含められることになる。

ところで,企業は将来の正味現金収入の実硯時点へ向って時間的に接近す ることによっても資産の価値を増加させることができる。資産は平掏的に,

予定された割合(この場合10%)でその価値をたかめ,期首の設備の価値に対 する利息を稼得する。いい換えると, 1年だけ時間的に前に進むことによっ て,期首の価値と利子率の積に等しい金額だけ経済状態が改善されることに

(12) 

なる。この増価による利益は一般に資本利子 (capitalinterest)と呼ばれ,

(13) 

経済学的利益のモデルでは最も基本的な意味の利益といわれている。

したがって,このように考えた場合,開業から解散に至るまでの全存続期 間にわたって企業が稼得しうる利益は,このような経済学的利益のモデルで は,資産調達時の当初利得と毎期の資本利子の2つであって,しかもこれら の合計は伝統的な会計上の利益と同様に収入と支出の差に等しいことがわか る。上例でいえば,企業X19X 5年に¥4,868.52の当初利得を稼得してい るほかに, 4年間にわたり総額¥5,131.48の資本利子を稼得しているから,

これらの合計は総収入 (¥30,000)と投資額 (¥20,000)との差 (¥10,000) 等しくなるのである。

(12)  いま期首の割引現在価値を V。,期末のそれを巧とし,将来に受け取ると期待 する正味現金収入の流列をR1, R2,…凡,利子率をrとすると,

V

。 =

(l+r)'(l+r)2 R1 R2  +……•••一生+ (l+r)•

Vi=  R1 R2  R,  (l+r)  + (1 +r) n‑1 

となるから,次の関係が成立する。

v1V

=rv

このことは,資本利子が期首価値と利子率の積に等しいことを意味すると同時 に,期末価値は期首価値と資本利子の和に等しいことを意味する。

(13)  そこで,アレキサンダーはこれを純粋経済学的利益 (pureeconomic income)  とよんでいる。 SidneyS.  Alexander,  op.  cit.,  p.143. 

(8)

34 (652)  経済学的利益と稼得の概念(岡部)

さて,上の例は将来の正味現金収入や利子率についての企業の期待が途中 で変わらないという仮定のもとに提示されたものである。しかし,ヨリ現実 的な不確実性の条件のもとではこのようなことはありえない。当初に期待し た通りに事態が推移するということの方がむしろ例外に属する。将来の収入 や支出の大きさ,その受取時期や支払時期についての見積りはその実硯に近 づくにつれ次第に正確なものとなるであろうし,また利子率も途中で変化す るかもしれない。もしそうであるとすれば,これらの変化は割引現在価値を 増加又は減少せしめるであろうから,その結果として毎期の利益の大きさも 上の確実性の場合とは異なってくる。ここに,当初利得と資本利子のほかに,

もう 1つのクイプの利益が生ずる可能性が残るのである。

この新たな問題を例示するため,上の企業Xの例において,19X6年になっ てその年度の実際の正味硯金収入が ¥10,000でなく ¥11,000であることが 判明し,さらに19X7年の正味現金収入は¥10,000でなく¥12,000であろう ということがわかったとしよう。すなわち, 19X5年と19X6年の期首にお いては第1表と同じ期待値を抱いていたが, 19X6年の実際の収入は期待し ていたよりも¥1,000だけ多く,さらに19X6年末には将来について当初の期 (¥10,000x1

ぷ .

1)よ り も 多 い 期 待 (¥12,000Xl

十 ぷ .

1)を 抱 く 結 果 と なったと仮定する。この19X6年中に生じた期待と実際との差,およぴ期待

(14) 

の変更の取扱いについて少なくとも 2通りの考え方が文献にみられる。 ず,そのうちの1つによれば,期首に抱いていた期待はその変更が必要と わかった時点までそれなりに正しいものであったとみなされ,期首又はそ (14)  以下にいう2通りの考え方とは異なるレペルにおいてもう1つの意見の相遮が 生じうる。すなわち,期待の変更に伴って生ずる差額(通常,キャビクル・ゲイ

ンといわれる)がそもそも資本の修正なのか,それとも利益なのかの対立がこれ である。しかも,この議論は当初利得の性格をめぐる論争(注9参照)にも,ぁ るいは,ここで論ずる当期利益説と過去修正説との対立にも深いかかわりをもっ ている。だが,ここでは,総収入マイナス投資に等しい利益が全存続期間中に稼 得されるという命題と調和させるため,一応利益であると考えた上で,さらに生

じうる2つの見解の対立を取り上げることにする。

(9)

経済学的利益と稼得の概念(岡部) (653) 35  れ以前の割引硯在価値については何の修正もほどこされない。その代り,

判明した新たな事実に基づいて現時点の割引硯在価値を修正する。 その結 果として,修正前後に割引現在価値に差異が生ずるが, この差額は「期待 せざる利得又は損失J(unexpected  gains or losses)と呼ばれ,期待を 変更した期の利益の1部として取り扱われる。これに対し,もう 1つの考え 方によれば,そもそも期待を修正せざるをえないという事実は期首又はそれ 以前の期待の方が「誤っていた」ことを意味するのであるから,新たに獲得 した知識に基づいて過去の計算を訂正しなければならない。かくして,こ の場合,以前にどのように信じられていたかは問題とならず,今のヨリ正確 な知識からすれば期首に,あるいはそれ以前に持つべきであったヨリ正しい 見積りに計算の基礎を移さなければならず, したがって, それは当期に生 じた価値の増減というよりも過去の価値の修正を意味する。この2つの立場 の間の論争には,利益の定義として事前が正しいとみるぺきか事後が正しい

(15) 

とみるべきかの対立が港んでいて,論者の間に一般的な合意はない。 そ こ ここではさしあたり前者の見解によるとして, 毎期首に持ち合せてい る知識にもとづいて,先の場合と同様に経済学的利益を計算するとすれば第

(15)  Sidney  S.  Alexander,  op.  cit.,  pp.17577;  Emily  Chen  Chang, 

"Business Income in Accounting and Economics, " The Accounting Review,  Oct.  1962,  p. 641.  なお,この論争のアナロジーは自己所有の土地に地下資源 が発見された場合に求められよう。 1つの見方からすれば,地下資源の発見とは 以前には所有していなかった新資産の無償取得であり,それを発見した年度に利 得が得られたことになる。これに対して他の見方からすれば,それは以前の年度 の修正分を意味するにすぎない。なぜなら,土地の所有者が地下資源を所有して 

いる事実をその時まで知らなかったということは地下資源の存在を否定するもの ではないからである。事実関係においては以前からその資源は所有されていたの であり, したがって期首・期末の経済状態は本当は変化していない, ともいえ

(10)

36 (654)  経済学的利益と稼得の概念(岡部)

(16) 

2表のような結果が得られる。 (他の条件はすべて上例と同じである。)この第 2表からも明らかなように, 19X5年の利益は第1表 の 場 合 と 同 額 で あ る 19X6年に期待が変化しているので,これに伴い19x6年に¥2,818.18  の期待せざる利得が生ずるとともに, 19X7年の利益(資本利子)が¥181.82 だけ(¥1,090.91‑¥909.09) 1表の場合より多くなっている。

さて,以上のように定式化してみると,経済学的利益が (1)当初利得,(2) 資本利子,(3)期待せざる利得又は損失の3つの要素によって構成されている

ことのほかに,それぞれの要素が期間利益として帰属せしめられる事由を全 く異にしている事実も知られよう。当初利得は計画を策定した時点における 期待の形成を契機にして隠識されているし,また期待せざる利得又は損失は (16)  ちなみに,後者の過去修正説によるとした場合には,(1)期首の割引現在価値 と当期利益のみを修正する方法と (2)前期以前まで遡及して修正する方法の2 が考えられうるので,それぞれの修正法を示しておこう。 まず,(1)によると,

不完全な知識にもとづく 19x6年期首の期待価値は ¥ 17,355.37 であった

(阻+

(翌悶)のに対して.新しい知識からすれば当然にもつぺきであ ったその時の期待価値は ¥ 19,917.36である {(11,000+12,000 

戸叫

x1+0.1}か ら,その差(¥2,561.99)に等しいキャピクル・ゲインと¥1,991.74の資本 利子の合計が19X6年の利益となる。ところが,(2)によると,(1)のように16X6 年の資本利子を修正した後でさらにそれ以前の期も修正する必要がある。 19X5  年期首の正しい価値は¥27,197.60,資本利子は ¥2,719.76であるべきであっ たのだから,19X5年の当初利得は¥2,329.08 (7,197.60‑4,868.52).資本利 子 は ¥232.91だけ(2,719.762,486.85)不足していたことになる。そこで,こ の修正をおこなうため, 19X6年において,¥2,329.08のキャピタル・ゲイン を計上すると同時に¥232.9119x6年の資本利子に追加しなければならな い。パール・ハンセンは,キャピクル・ゲインを利益としてではなく資本として 扱ってはいるものの,(1)の方法を修正予想資本利子 (adjusted anticipated  capital interest), (2)の方法を置換資本利子 (displaced capital  interest) 

呼んで両者の差異を強調している (Palle Hansen, op. cit., pp. 2831)。 しか しながら,いずれにしても,キャピクル・ゲインの本質が利益であるという前提 にたって19x6年度に修正をおこなうかぎり,その構成は変っても.その年度の 利益総額 (¥4,553.73)は変化しない。

(11)

 

19x5  19x6  19X7  19x8 

経済学的利益と稼得の概念(岡部)

2

毎期首の割引現在価値 毎期の経済学的利益

¥ 24,868.52 

{ 号

4,868.52 2,486,85  27,355.37 

{ 

12,,783158..5148*   31,909.09  1,090.91  33,000.00  0.00 

¥ 13,000.00 

*期待せざる利得

(655) 37 

将来についての見積りを変更した時点に腿識されている。つまり,これらの 事象によって利益が稼得されるのであり,またそうであるからこそそれらの 生じた期に利益が割り当てられているのである。これに対し,資本利子は時 間の経過につれて生ずるものであるから,その期に期首・期末に狭まれた時 間が存在したという事実によって,それは特定期間に結びつけられる。他の 2つの要素はともに特定時点に生ずる点で共通の性質をもっているが,この 資本利子は瞬間的には生じえないものである。したがって,このような点か らして,経済学的利益の場合,上のような意味での利益稼得プロセスが期間 利益に反映されてくるということができよう。

もちろん,上のような指摘はその計算技術的特性からの推定によって可能 であるにすぎない。しかし,経済学的利益は利益を稼得と同時に測定するも のであって,厳密な発生基準にたつ会計方法であるとか,純粋な発生主義会

(17) 

計であると主張されているのであるから,上のような期間利益の配分はそこ (17)  Maurice  Moonitz  and  L.  H.  Jordan,  op.  cit.~ p.128;  Sidney  S. 

Alexander,  op.  cit.,  p.156; Norton Bedford, "Accounting Measurement of  Economic Income," The Journal of Accountancy,  May 1957,  pp. 5660. 

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