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2 こども福祉の動向

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はじめに

福祉コミュニティを支えるものとして, 住民の主体的活動はもとより, 行政の福祉施策は, その地域の抱える課題や目指すべき方向性が示されたものとして位置付けられる。 本プロジェ クトは, 小鹿野, 上福岡両地区の福祉コミュニティの形成について検討を行うことを目的とし ており, 行政として地域の抱える課題をどのようにとらえているか, また今後のどのような方 向性をめざしているか知ることは有用であるといえる。 本稿では, 小鹿野町, 上福岡市両地区 の児童育成計画 (エンゼルプラン) をもとに, 両地区の子ども福祉施策の展開について把握す ることを目的としている。

この児童健全育成計画ついては, 先に策定されている国のエンゼルプランや, 「埼玉県子育 て支援総合計画 (彩の国エンゼルプラン)」, 小鹿野町, 上福岡市両地区の 「総合振興計画」 と の整合性を図りつつ進められることが期待され, 各自治体の状況に即した子育て支援の実施策 として位置づけられている。

1. 小鹿野町の子ども福祉の展開

小鹿野町の人口動態

小鹿野町は, 埼玉県の北西部に位置する総面積100.03の町であり, 町の85%が山間部で, 山間に集落が点在している。 総人口は2000年で12,043人であり, 年々減少を続けている。 出生 児数は1999年で90名, 1994年から11年の間, 大きな変化はなくほぼ横ばいの状態であるが, 山 間部の町であることから高齢者も多く, 出生児を上回る数の死亡者があること, 転出者数が転 入者をわずかに上回っていることから, 総人口は減少傾向である。

小鹿野町の合計特殊出生率は, 1998年までは全国および埼玉県よりも高い値を示していた。

1998年を最低に, 年々わずかであるが高くなってきており, 2001年度では全国と同水準まで回 復している。 しかし, 全国的な動向と同じく, 少子化傾向にあることには変わりない。

2 こども福祉の動向

森 下 陽 美**

*Trends in the Child Welfare

**Harumi MORISHITA (立正大学社会福祉学部社会福祉学科) キーワード:児童健全育成計画, 保育ニーズ, 子育て支援

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小鹿野町の子育て家庭の現状と住民のニーズ

小鹿野町は 「小鹿野町児童健全育成計画」 策定に先立ち, 住民のニーズ把握を目的として,

「小鹿野町子育て実態調査」1)を実施している。 この結果から明らかになった子育てをめぐる現 状とニーズについて整理を行いたい。

まず, 家族の状況としては, ①家族の人数は4人から6人が多い, ②子どもの人数は2人か ら3人が多く, このことから両親と子どもによる家族, すなわち核家族の割合が多くなってい ると考えられる。 一方で, 歩いて30分以内に親族がいるかどうかについては, 全体の約6割が

「いる」 と答えており, 核家族化が進む一方で, 親族との近接別居という居住形態が明らかに なった。 さらに祖父母が子どもの世話をできるかどうかについては, 全体の約半数をこえる者 が 「できる」 と答えており, 同居, 別居にかかわらず, 祖父母のサポートが期待できるといえ るだろう。

また, 母親の就業状況としては, 勤め人, パート, 自営業を合わせると67%にのぼり, 専業 主婦はおよそ3割に過ぎない。 就業日数についても母親の86%が週5日以上勤務している。 し かし, 職業を持っている母親が多い一方で, 育児休業の取得状況については全体の76.5%が取 得したことがないと答えている。 このことは, 産休明けから保育所での保育が可能であること, また祖父母が子どもの世話ができるといったことから, サポートを受けながら仕事を続けてい

表2−1 小鹿野町の人口動態の推移

年 度 自 然 動 態 社 会 動 態

増 減

出 生 死 亡 自然増加 転 入 転 出 社会増加

1995年 99 121 △22 318 338 △20 △ 42

1996年 95 135 △40 351 416 △65 △105

1997年 83 136 △53 352 340 12 △ 41

1998年 79 125 △46 318 380 △62 △108

1999年 90 126 △36 295 330 △35 △ 71

2000年 75 126 △51 299 356 △57 △108

(単位:人)

出典:小鹿野町まちづくり政策課 2002 町村合併45周年記念 小鹿野町 町勢要覧 P.53

表2−2 合計特殊出生率の推移 年 度 全 国 埼玉県 小鹿野町 1985年 1.73 1.72 2.21 1990年 1.53 1.51 1.92 1995年 1.44 1.41 1.71 1997年 1.39 1.31 1.44 1998年 1.38 1.28 1.18 1999年 1.34 1.23 1.27 2000年 1.36 1.30 1.30 2001年 1.33 1.24 1.32

出典:埼玉県秩父福祉保健総合センター・埼玉県秩父保健所 2003 2003年版 事業概要 P.101

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くことができていると考えられる。

今後の施策に対する要望としては, 保育所については 「建物・設備がよくない」 ということ がもっとも多く, その他 「保育料が高い」, 「庭が狭い」, 「子どもが病気のとき預かってくれな い」 などが続いている。 幼稚園については, 「保育時間が短い」 がもっとも多くなっている。

さらに, 特別保育等についての要望としては, 「冠婚葬祭や親のリフレッシュなどのための一 時保育」 がもっとも多く, その他 「子どもの病気・回復期の病児保育」 と続いている。

学齢期の子どもをめぐる施策に関する要望として, 学童保育に対しては約半数が 「今のまま でよい」 と答えている。 学童保育の活動内容としては, 集団で遊ぶ, 友達と過ごすことの大切 さなどを重視した, 過ごし方に関するものへの要望が多くなっている。

小鹿野町の児童健全育成計画

小鹿野町の児童育成計画は, 小学校, 中学校, 幼稚園など教育機関代表者, 児童福祉施設関 係者, 医療団体関係者, 商工会代表者のほか, 福祉事務所職員, 民生・児童委員, さらには利 用者である児童の保護者などからなる 「小鹿野町エンゼルプラン策定委員会」 のもと, 2001年 3月に策定された。 計画策定には, 2000年に実施された 「小鹿野町子育て実態調査」 から明ら かになった, 地域の特性や住民のニーズが反映されているといえる。

小鹿野町児童健全育成計画に示されている施策は以下のとおりである。

家庭・地域での子育てに対する支援

各種相談事業について住民への情報提供, 世代間交流, 子育てサークルなどを通して, 地域において子育てをしやすい環境づくりを進める。 児童手当, 児童扶養手当, 特別児童 扶養手当, 乳幼児医療費支給制度などの経済的支援策の普及, 啓発を図る。

仕事と子育ての両立支援

事業所内保育施設設置, 育児休業制度の普及・啓発などの就業環境の整備とともに, 多 様化する保育ニーズ, 保育需要にこたえる。

子どもの健康と福祉の充実

安心して妊娠・出産を行えるよう, 両親学級の充実や妊婦や乳幼児の健康診査, 新生児 訪問指導の体制を整えるとともに, 発達遅れや障害のある子どもの保育・教育体制を整備・

拡充し, 一貫した相談体制の確立を行う。 また, ひとり親家庭への支援体制を整備する。

子どもの個性を生かす教育の充実

家庭教育に関する講座や親の学習機会を充実させ, 情報提供を行う。 就学前教育や, 地 域に開かれた学校づくり, 国際化, 情報化に即した教育, 環境教育, ボランティア体験な どを取り入れる。

子どもの豊かな遊びと体験の充実

芸術・郷土の歴史・文化に親しむ活動や子ども会, レクリエーション活動など多様な体 験活動の促進や, 児童館, 公園の整備や校庭等の開放を通して安心して子どもが遊べる場

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を整備する。

子どもにやさしい生活環境づくり

道路・通学路の安全や, 公共施設の安全確保, 有害環境浄化や健全育成指導, 企業の社 会貢献活動などの地域活動を進める。

子どもと家庭についての意識改革

子どもの人権を守る体制, 男女共同参画による子育て支援を行う。

以上, 7つの施策が計画において掲げられているが, これらについて 「小鹿野町子育て実態 調査」 で明らかになった住民のニーズや地域特性に照らし検討を行いたい。

1) 保育需要と保育サービスの整備

勤め人の割合が多い小鹿野地区においては, 保育サービスの整備拡充がひとつの課題である。

子ども数が都市部に比べ少ないことからすれば, 現在ある保育所である程度対応は可能である といえる。 しかし, 一方で低年齢児保育を行っているのは町内2園ある保育所のうち1園のみ であり, 今後低年齢児保育の需要が高まれば, 町内保育所での対応が困難となることも予想さ れる。 育児休業を取得する母親が少ないことからしても, 今後低年齢児保育の需要が高まるこ とは予測できる。 施設の老朽化も進んでおり, 施設整備のみならず, 定員を増員するなどの対 応も必要であろう。 町としては幼保一元化も含め, 保育所の改築が検討されており, 新たな取 り組みが期待されるところである。 また, 現在病児保育・病後児保育は現在実施されていない。

今後町内の中央病院など医療機関や保健センターとの連携を念頭におきつつ, 実施の可能性を 探っていくことも必要であろう。 また, 実態調査の結果, 近隣に親族が住んでいる者が多いこ とから, 親族からのサポートが期待できるものの, 普段親族から受けられるサポートが受けら れない場合においては, 預け先に困ると感じている者も多く, 現在実施されているリフレッシュ・

緊急保育対策事業 (一時保育) について, 住民に情報提供を行っていくことが課題であるとい える。 加えて, 保育施設が単に子どもを預かる場所としてだけではなく, 地域の子育ての相談 に応じる拠点として, 子育て支援センターの整備, 機能強化が求められる。

2) 経済的支援策

小鹿野町で実施されている子育て家庭に対する経済的支援としては, 児童手当, 児童扶養手 当, 特別児童扶養手当のほか, 出産褒賞金の制度がある。 この制度は町内に3ヶ月以上居住す る者が, 出産により嫡出の子の母親となった場合に, 第1子, 第2子に対しては1万円, 第3 子以降には5万円を支給するものである。 この褒賞金の目的は 「町勢将来の進展を図るため」

となっているが, 一時的に贈与されるものであり, この制度そのものが少子化の歯止めになっ ているかについては若干の疑問が残る。 また, 規定のなかに 「嫡出の子」 とあり, 近年の家族 の多様化や結婚の捉え方の変化などから考えると, 今後対象者の拡大も検討していく必要があ るのではないだろうか。

他にもひとり親家庭への支援として, 父子手当が支給されている。 経済的基盤の脆弱な母子 家庭に対する施策は法的にも整えられているものの, 父子家庭についてこのような手当てを支

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給していることは, 独自の取り組みであるといえる。 しかし支給額は, 月額2,000円とわずか な金額となっている。 このことから考えると, むしろ経済的支援以外に, 保育サービスや学童 保育など, 他の支援策を整えていくことが必要であるといえよう。

3) 地域の中での子育て支援

祭りを中心として, 住民同士のつながりが比較的強いと考えられる小鹿野町ではあるが, 高 齢化の進展や人口減少などから考えると, 子育てをする仲間を身近な地域で見つけることが難 しくなると推察される。 子育ての悩みを分かち合える仲間作りについて, 保健センターなどを 拠点として, 広く町内全体を見通した子育てサークルの活動支援を行い, 子育てネットワーク の構築を進めることが必要であろう。 また, 祭りなどの行事を通したつながりをもとにして, 同じ世代の子育て仲間だけではなく, 世代をこえた子育て支援ネットワークを形成していける 可能性も大きいのではないだろうか。

4) 教育環境の変化

小鹿野町という, 山間部に集落が点在しており, さらに児童人口が減っている状況の中で, 小・中学校の統廃合が進められている。 このことは, 小学校区, 中学校区の拡大につながり, 児童・生徒の通学距離も必然的に伸びることとなる。 このことは, 地域に開かれた, 地域の拠 点としての学校の意味合いが薄れることにもつながると考えられる。 加えて特に小学校では, 放課後の過ごし方についても, 通学距離が長くなれば, 気軽に友人のところに行き来して遊ぶ というようなことが難しくなってくる。 このような状況の下, 子ども同士が友人関係の中でと もに育ちあうような場をどのように準備していくか, 学童保育のあり方や, 児童館の整備につ いて, 今後も検討していかねばならないだろう。

2. 上福岡地区の子ども福祉の展開

上福岡地区の人口動態

上福岡市の地形的特性は, 埼玉県南西部, 都心から30㎞圏という都心への通勤圏内にあり, 川越市, 大井町, 富士見市に隣接する。 面積は6.81で, 埼玉県で三番目に小さな市である。

1960年代の霞ヶ丘団地, 上野台団地建設が契機となり, 駅周辺の住宅建設が進んだため人口が 急増したが, この時期にできた市街地の老朽化が進んできており, 都市基盤整備が課題となっ ている。

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近年の人口動態については, 自然動態は増加が続いているものの, 社会動態は転出が転入を 上回り, 年々減少を続けているため, 総人口としてはほぼ横ばいから微減となっている。 また, 合計特殊出生率については, 全国, 埼玉県と比較しても低く, 年々低下を続けている。 児童人 口の推移についても, 0歳から4歳, 5歳から9歳人口ともに減少傾向にあり, 児童人口も総 人口と同じく減少傾向にあるといえる。

上福岡市の子育て家庭の現状と住民のニーズ

「上福岡市子育てしやすいまちづくりに関する調査」2)は, 児童健全育成計画策定の基礎資 料として実施された。 この結果から明らかになった住民の子育て家庭の現状と子育てニーズに ついて整理を行いたい。

上福岡市の子育て家庭の現状として挙げられる特徴としては, ①子どもの数は未就学児童の 表2−3 上福岡市の人口動態の推移

(単位:人)

年 度 自 然 動 態 社 会 動 態

増 減

出 生 死 亡 自然増加 転 入 転 出 社会増加

1994年度 590 280 310 4,023 4,745 △ 722 △ 412 1995年度 535 312 223 3,435 5,068 △1,633 △1,410 1996年度 474 310 164 3,507 4,380 △ 873 △ 709 1997年度 487 280 207 3,481 4,391 △ 910 △ 703 1998年度 521 331 190 3,660 3,669 △ 9 181 1999年度 536 355 181 3,510 3,638 △ 128 53 2000年度 619 386 233 3,353 3,792 △ 439 △ 206 2001年度 523 318 205 3,373 3,473 △ 100 105 2002年度 466 398 68 3,168 3,433 △ 265 △ 197 資料:上福岡市市民課

表2−4 上福岡市の合計特殊出生率

1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 上福岡市の合計特殊出生率 1.26 1.4 1.27 1.15 1.19

表2−5 児童人口の推移

0歳〜4歳 5歳〜9歳 合 計 1988年 2,843 3,202 6,045 1989年 2,736 3,075 5,811 1990年 2,640 2,899 5,539 1991年 2,562 2,765 5,327 1992年 2,506 2,676 5,182 1993年 2,517 2,535 5,052 1994年 2,486 2,398 4,884 1995年 2,589 2,379 4,968 1996年 2,519 2,266 4,785 1997年 2,375 2,108 4,483

(単位:人)

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家庭 (以下, 未就学群) で9割, 小学校低学年児童の家庭 (小学校群) で7割が2人以下であ る, ②祖父母との同居は少なく, 核家族が進んでいる, ③未就学群では約7割, 小学校群では 約5割の母親が専業主婦である。 これらのことから, 上福岡市における子育て家庭は, 子ども が1人ないし2人の核家族で, 母親が専業主婦の家庭が多いといえる。

外で働いている母親の特徴としては, 未就学群, 小学校群ともに近隣市町や市内で働いてい る者が圧倒的に多く, 都内通勤への交通の便がよい地域ではあるが, 都内で勤務する者は両群 ともに2割に満たない。 また育児休業の取得については, 勤め人では未就学群が約4割, 小学 校群では6割が利用したことがなく, パート・アルバイトについては両群とも9割以上が利用 したことがない。 さらに就労の理由としては, 両群ともに約3割が 「家計の補助」, 約2割が

「家計を支えるため」 と回答しており, 経済的理由で働く母親が多い。

子育てに関するニーズとして, ①就労している母親のニーズとして, 未就学群では 「保育時 間の延長」, 「父親の育児参加」, 「会社内部の理解」 が主なもので, 小学校群では 「会社内部の 理解」, 「父親の育児参加」, 「家族介護などのために休める制度」, 「一日の労働時間の短縮」 が 多くなっている, ②未就労の母親の希望としては, 「子育てがある程度落ち着いたら働きたい」

という者が多く, 特に未就学群ではその割合が高くなっているなど, 就業への意欲が感じられ る。 保育所への希望としては, 0歳児保育の希望は勤め人では6割以上, パート・アルバイト では約5割が希望しており, 理由として保育所に預けて働きたいというものが多い。 預かって ほしい時期としても, 産休明け, 育休明けからというのがそれぞれ3割を超え, 離乳食開始ご ろからも28%となっており, 早期からの保育へのニーズが高いことがわかる。

一時保育 (緊急時, 非定型) やリフレッシュ保育についても, 全体の約半数が希望しており, 多様な保育ニーズがあるといえる。 その他保育に関する要望としては, 保育料の軽減がもっと も多くなっている。

児童館の利用については, 8割が利用をしていないと回答しているが, 勤め人では6割が利 用していると答えており, 勤め人の家庭においては安心して仕事をできる環境作りに役立って いるようである。 利用時間の延長については, 勤め人やパート・アルバイトからは時間延長希 望があがっている。

上福岡市児童健全育成計画

上福岡市児童健全育成計画策定は, 1999年3月に遡る。 1998年に実施された 「上福岡市子育 てしやすいまちづくりに関する調査」 を基礎資料とし, 住民の意見を反映させた計画となって いる。 この計画の策定にあたり, 児童健全育成計画策定委員会については, 行政職員を含めず 住民主体で必要事項を審議したこと, また 「こどもいきいきエンゼルプラン上福岡市民こん談 会」 というNPOの活動が, 計画策定のみならず, 市民が自分たちのまちの子育て支援に対し て関心を持つことにつながったということが, 特徴的であるといえる。

このような経緯の下に策定された計画は, 以下の基本目標と基本施策からなっている。

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地域における子育て支援

地域において, 様々な機関が連携を取り合う子育てネットワークの構築を図るとともに, 子育て支援センターの設置, 児童センター, 児童館の整備, ファミリーサポートセンター の設置を検討する。

家庭における子育て支援

子育てに関する相談や情報提供の充実, 子育てサークルの育成支援強化を行い, また保 護者が自ら学べる機会の充実を図る。

仕事と子育ての両立支援

多様な保育サービスの提供と, 児童の放課後の健全な居場所の確保のため, 児童センター, 児童館の充実を図り, また就労環境整備のために, 男性の育児参加の促進, 男女共生意識 の高揚, 職場での就労環境整備促進を図る。

子どもの健康と福祉の充実

保健センターを中心に保健医療の充実を図ること, また障害児の早期療育体制の構築, 相談機能の強化, 児童保護の実施とひとり親家庭への支援などの福祉の充実に努める。

子どもの個性を生かす教育の充実

時代の流れに即した教育を志向し, 教育相談の充実, 保護者への学習の場の提供などを 進める。

子どもがのびのびと育つ環境作り

子どもたちに豊かな遊びや体験の場を提供し, 自ら身体で感じ, 学べる機会を作るとと もに, 青少年の健全育成のために, 指導者の育成や子どもの意見を尊重する社会の構築を 図る。

この計画における基本目標・基本施策に照らし, 現在の上福岡市の子ども福祉施策について 検討する。

1) 保育ニーズへの対応

現在, 市内には市立の保育所が5ヶ所, 家庭保育室4ヶ所が設置されている。

市立保育園については, 1966年の開設当初より完全給食, 延長保育, 1981年には0歳児保育 を開始, 1988年より障害児保育を実施するなど, 多様な保育サービスへの需要にこたえる取り 組みがなされている。 また1990年からは地域交流事業の実施, 1995年からは育児相談事業も実 施されている。 定員は5園で490名, 利用児童合計は475名であるが, 4歳児, 5歳児の空きに ゆとりがある一方で, 3歳児以下については空きがなく, 待機児童数は現在56名にのぼってい る (2002年5月1日現在)。

家庭保育室については, 0歳児から2歳児までの保育に当たっており, 4園で98名の定員と なっているが, 実際の利用人数は64名である。 市立保育園の低年齢児の待機児童が多いことか ら考えると, 家庭保育室は低年齢児の保育施設として重要な役割を果たしているといえよう。

認可外保育所としては, 1964年設立の子どものその保育生活共同組合をはじめ, 市内に3ヶ

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所の保育施設があり, 早朝保育, 延長保育や土曜保育など, 住民のニーズに沿った保育が行わ れている。

現状としては, 市立保育所のうち3園で産休明けである生後3ヶ月からの低年齢児保育を実 施しているものの, 数としては十分と言えず, また1歳児については各年齢層のうち最も多く の待機児を抱えている現状である。

この他, ファミリーサポートセンターが立ち上げられ, 子どもを預けたい住民, 子どもを預 かる住民それぞれの登録を受け, 家庭において子どもを預かるという保育システムがスタート している。 このシステムについては, 保育所・幼稚園の送迎など施設保育の補完や, 一時的, 緊急時の保育ニーズにこたえるものとして有効であるといえよう。 このシステムについての住 民への情報提供を十分に行っていき, 登録する会員を増やしていくことが課題であるといえる。

2) 幼稚園・小学校・放課後児童対策

児童人口の減少に伴い, 幼稚園, 小学校の数は, ともに減少している。 幼稚園は市内7園の 私立幼稚園があったが, 1999年より6園となった。 在園児数はほぼ横ばいで推移している。 小 学校については, 従来7校あったものが, 児童の減少に伴い, 2002年4月に第2小学校と第4 小学校が統合され, 上野台小学校となったことで, 現在の6校となっている。 児童数は減少傾 向であるが, 1998年以降若干の増加に転じ, その後横ばいの状態である。 また, 放課後の留守 家庭児童対策事業が, 各小学校区に整備された児童館で行われており, 小学校1年生から3年 生までの児童が登録を行い利用しているほか, 障害児の受入可能な児童館もある。

また, 放課後の子どもたちの安全な遊びの場として, 2000年5月に児童センターが開館した。

この児童センターは総合保健福祉施設 (通称:フクトピア) 内に設置されている。 この児童セ ンターは, 単に遊びの場としての児童が中心に利用する施設としてだけではなく, 地域の保健 福祉の拠点施設の中にあって, 高齢者や障害者も利用する施設であることから, 様々な交流や, 福祉を必要とする人々への関心を高めるという可能性もあると考えられる。

3) 地域交流事業

市立保育園において, 1990年より地域交流事業が開始されている。 開始当初は西保育園の高 齢者との交流をきっかけとし, 1995年には全園で実施されるようになった。 活動としては, 老 人ホーム訪問, 老人会との交流のほか, 園庭開放などを行っている。 核家族化が進んでいる上 福岡市において, 子どもたちが日ごろの生活において日常的に高齢者と接する機会は少なくなっ てきていると考えられ, 高齢者との交流は, 世代を超えた地域住民同士のかかわりあいを作っ ていったり, 子どもたちの高齢者への理解を深めたり, また地域全体で子どもたちを見守ると いう意識を形成することにつながるといえるだろう。

また, 市内2ヶ所の公民館において, 子育てサークルの活動も行われている。 地域の社会教 育施設, コミュニティセンターとしての機能をもつ公民館も, 地域の子育て支援を進める拠点 として機能している。

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3. 子ども福祉施策の課題と地域性

地域特性の異なるこの両地区の子ども福祉施策について, 児童健全育成計画をもとに整理を 試みたが, その結果, 以下の事柄が明らかになった。

共通する課題として,

山間部, 都市部に関わらず, 低年齢児保育の需要は高くなっており, いずれの自治体に おいてもその対応策を講じる必要に迫られている。

一時保育, リフレッシュ保育に対するニーズがいずれも高く, 地域に関わらず多様な保 育サービスが求められている。 その中で病児, 病後児の保育に対応するシステムが整って いない。

育児休業の取得状況は低く, 就労する母親が働きながら子どもを生み育てていくための 就労環境が不十分であることが予想される。 また, 単に周囲の理解と言うことだけではな く, 経済的理由から就労している母親が多い状況に照らして考えると, 所得保障や子育て に関する手当の拡充が課題となる。

各自治体で行われている各種事業についての認知度が低く, 情報提供をはかり理解度を 高めていくことが必要である。

子どもの減少については両地区に共通する問題であり, 子育てをしやすい環境づくり, 安心して子どもを生み育てられる環境づくりを進める必要がある。

以上のことは, 両地区が山間部, 都市部に関わらず共通する課題である。 計画についても, それぞれの地域で独自性の強いプランは打ち出されてはおらず, 非常に似通った傾向性を持っ ていると考えられる。 しかしながら, 両地域の抱える課題は共通項が多いとはいえ, その地域 の状況は大きく異なっている。

そのひとつには, 小鹿野町は実際には核家族といえども, 親族と近接別居の居住形態をとる 者が多く, 民間のサービスが参入してこなくとも, 親族のサポートが期待され, ある程度ニー ズの充足が図られているのに対し, 上福岡市については都市型の核家族像が予測されることか ら, 同居家族・親族のない場合はサポートを家族・親族以外のところに求めざるを得ない。 よっ て, 上福岡市では住民を組織化する, また相談機能を充実する, 子育てサークルを通して仲間 作りを支援するなどの事柄が非常に大きな意味を持つこととなる。 一方の小鹿野町においては, 他地域から子育て期の夫婦のみが移り住むというようなケースはむしろ少なく, 夫婦のどちら かが町内で生まれ育っていることが多い。 そのために古くからの地縁などにより, 地域の中で 現に子育て期にある人, またすでに子育てを終わっている人と, 世代をこえた子育て支援のネッ トワークは作りやすいとも考えられる。 むしろ, 児童数の減少や, 集落が点在していることか ら考えると, 同じ目線で悩みなどを分かち合えるような同世代のネットワーク作りが課題とな ると考えられるだろう。

また, 小鹿野町は広い町内に集落が点在するという地域であり, 主要な機関や保育サービス

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提供機関が町の中心部に集中している。 現状としては, 就労している母親が町外に車を利用し て働きに出るということが多く, サービス提供機関が町の一箇所に集中していても, 特に不都 合のなく機能しているようである。 それに対し, 上福岡市は人口密度が高く, 自転車で回りき れる範囲の都市ではあるが, ごく身近な場所でサービスが受けられるよう, 市内各所にサービ ス提供機関が配置されている。 このことはそれぞれの住民の生活に対する意識の違いにもよる だろうが, 計画の実施においては全く異なる様相を呈すといえるだろう。

おわりに

今回取り上げた両地域は, ともに住民活動の活発な二地域である。 しかし, 展開されてきた 住民活動のあり方については異なっている。 小鹿野町については, 行政主導で, かつ古くから の地縁を基盤として行われてきたものに対し, 上福岡市は大きな団地の建設を背景に, 大きく 町の様相が変化し, 住民それぞれがまちづくりを自分たちの課題とし, 声を大に活動を展開し てきたという経緯がある。 むしろ行政は住民の声を十二分に聞きながら施策展開を行ってきた 地域であるといえる。 児童健全育成計画策定においても, 両地区はそれぞれ住民のニーズを汲 み取りながら策定されている。 しかし, 計画実施においては, 小鹿野町では民間サービスの参 入が難しく, 親族, 地域住民などにより提供されるであろうインフォーマルサポートを生かし つつ, 行政施策中心に展開されている。 上福岡市の場合は, 住民の声を反映させて育ってきた 民間サービスが計画推進のひとつに位置づけられ, 行政施策と民間サービスがうまく車の両輪 のような形で展開されているといえるだろう。

小鹿野町, 上福岡市両地域において, 地域性は異なるものの, 住民の抱えるニーズについて は共通する事柄も多い。 このことは, 単に二地域に限定されるものではなく, 現在子どもを安 心して生み育てる環境が整っていない, また欲しい子どもの数だけ子どもを生むことが出来な いというような, 全国的な課題とも捉えられる。 今後の動向としては, 2003年7月に 「次世代 育成支援対策推進法」 が制定され, その中で市町村行動計画策定が規定されている。 また市町 村行動計画については, 5年ごとに策定することとなっており, 計画的に子育て支援が進めら れていくことが期待される。

〈註〉

1) 「小鹿野町子育て実態調査」 は2000年7月に実施され, 調査対象者は小鹿野町在住の小学校4年生以 下の児童を持つ保護者全員, 1,075名であった。 回収数は800, 回収率は75%であった。

2) 「上福岡市子育てしやすいまちづくりに関する調査」 は, 市内全域を対象地域とし, 上福岡市在住の 就学前児童, 及び小学校低学年児童の保護者から無作為抽出によって配布された。 就学前児童の保護者 については, 発送数1,852名のうち, 有効回答1,192名で回収率は64.4%, 小学校低学年児童の保護者に ついては, 992名に配布, うち542名の有効回答があり, 回収率は54.6%で, 全体の回収率は61%であっ た。

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〈参考文献〉

上福岡市保健福祉部児童福祉課編集 上福岡市児童育成計画 1999 埼玉県上福岡市 小鹿野町 小鹿野町児童育成計画−いきいき小鹿野エンゼルプラン− 2001 埼玉県秩父福祉保健総合センター・埼玉県秩父保健所 2003年版 事業概要 2003 小鹿野町まちづくり政策課 町村合併45周年記念 小鹿野町 町勢要覧 2002 上福岡市児童福祉課 1998 上福岡市子育てしやすいまちづくりに関する調査報告書

こどもいきいきエンゼルプラン上福岡市民こん談会 1999 私たちのエンゼルプラン−上福岡市の計画策 定に関わった運動の記録−

子育てネットワーク実行委員会 2002 子育て情報誌in上福岡 上福岡市立西公民館

参照

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