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2. 財政投融資と金融資産市場の一般均衡

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(1)

金融自由化と財政投融資

−均衡アプローチ

菅原晴之

目次 1.はじめに

2.財政投融資と金融資産市場の一般均衡 3.財政投融資と民間金融との競合 4.民間金融と補完的な財政投融資 5.結びにかえて

1. は じ め に

財政投融資とは,国の信用を背景に集められた各種の公的資金を財源とし て,国の一般会計から独立した機関により政策目的を実現するために行われ る政府の金融仲介システムであり, 1)毎年度財政投融資計画に基づいて実施さ

2)

れる資金運用,金融自由化対策資金および資金運用部資金による国債引受け から構成されている。

公的資金としての財政投融資の原資を受信面の窓口別に分類すれば,郵便 貯金,厚生保険・国民年金資金及び簡易生命保険・郵便年金の各特別会計の 積立金や余裕金等がある他,産業投資特別会計及び政府保証債からも資金の 供給が行われる。

このように集められた資金を,財政金融政策等との整合性を図りつつ公共 目的のために有効に活用するため,国の特別会計,公庫,公団,事業団ある いは地方公共団体等への資金運用計画が,予算編成と合わせて策定される。

このように財政投融資計画は歳入歳出予算と密接な関連を保ちつつ,一般会 計予算にコントロールされない国の有償の資金運用を決定するものであり,

(2)

いわば「第二の予算」としてわが国経済にとって重要な役割を担っている。

財政投融資制度はその原型が創設されてから百余年になるが,時代ととも に大きく変化している。特に視野を戦後に限っても,まず第一に受信面につ いて,郵便貯金資金が資金運用部資金に占める割合が昭和50年代央まで一貫 .して上昇する傾向が見られる。郵便貯金,簡易生命保険・郵便年金,厚生保 険年金・国民年金は財政投融資計画額の大宗を占めながら,同計画額は概ね 経済成長率を上回るほど増加する傾向を示したので財投機関の一部は資金不 足となり,これを補つために政府保証債の発行を行ったり,一般会計から借 入れするケースもある。

第二に与信面については,基幹産業基盤整備向け融資の財政投融資額全体 に占める割合は32.7%(昭和28年度)一→31.9% (40年度)一→25.2% (50  年度)一→24.3% (62年度)と趨勢的に低下している反面,生活環境基盤整 備向けの融資は38.2%(昭和28年度)一→70.1% (62年度)と大きく上昇し

ている3)

第三に,内外経済において金融自由化が速いテンポで進行しており,官業 の分野でもこの潮流を無視することはで、きない4)

本稿では第三の変化に焦点をあわせて,金利の自由化が実現し,市場連動 型貯金が創設された場合,このことが金融市場ならぴに金融仲介システムに いかなるインパクトを与えるかについて,財政投融資を内包した金融資産市 場の一般均衡モデルにより分析を試みたい。

2.  財政投融資と金融資産市場の一般均衡

1図は,財政投融資を含めた日本の資金循環の概要を略図で表現したも ので、ある5)民間金融機関と公的金融機関としての財政投融資を図の中段にお ける左右の位置に示している。一方, 日本銀行と中央政府を上段に,また企 業,個人等を含む民間非金融部門を下段に配置しである。

図中の日本銀行は 日銀貸出と買入(売渡)手形を通じて民間金融機関に 貸出を行ったり,問機関を通じて民間非金融部門に現金通貨を供給したり,

あるいは中央政府が保有する政府短期証券を購入するのと引換えにハイパワ

(3)

金融自由化と財政投融資一一均衡アプローチ 11  l 財政投融資を中心とする資金循環

預金め

現金通貨(H3)

租税,国債(B3) 政府支出

ード、マネーを供給する。

民間金融機関は定期性預金,要求払預金, D,信託,保険等の商品を供 給することにより,民間非金融部門の資金を吸収する。なお預金のうち一定 割合は準備預金として日銀に預けることが義務づけられている。このように 吸収された資金の大宗は貸出あるいは国債,政府保証債,社債,投資信託等 の購入に充てる。

財政投融資制度については,まず個人が預入した郵便貯金,積み立てた厚 生保険年金・国民年金および簡易生命保険・郵便年金の保険料等が有償の原 資として資金運用部と簡保年金の各資金に預託される。その大半は政府金融 機関を通じて民間部門の投資活動に融資したり,公団・公庫・地方公共団体

あるいは国の特別会計に貸付ける。

なお,資金運用部は資金運用部の原資事情,財投融資対象機関の資金需要 あるいは金融市場の情勢を総合的に考慮しながら,国債の引受けも行ってい る。その規模は昭和62年度計画において4兆円であり,計画全体の12.9%

(4)

相当する。

さらに産業投資特別会計から日本輸出入銀行等に毎年出資がある(ただし,

そのウェイトは低下する傾向があり,近年はその規模も小さい)。昭和62年度 以降,同会計が保有する日本航空株式会社の株式の未払収入の一部を関西国 際空港株式会社への出資のための原資に充てるように計上している。また,

資金不足に陥る一部の財投機関には政府保証債を発行することにより,資金 を調達することが認められている。その規模は昭和62年度について計画額の 8.9%に達している。

その他,一部の機関に対して一般会計から繰入金が補給されている。

昭和62年度より郵便貯金資金の一部について自主運用が認められることに なったので,同資金の資金循環に関する新たな概要を若干詳細に示したのが 2図である。具体的には郵便貯金事業が金融自由化に積極的に対応するた

2 郵便貯金を中心とする新しい資金運用の仕組み 預 託

4便

R

利子 l

一金一ー ̲J ;...1...  運 用 益

利子l 勘 し

北 ︿

{

郵便貯金特別会計

(注)金融自由化対策資金に係る経理上の取扱いは,郵便貯金特別会計法の一部改正 により措置される。

(5)

金融自由化と財政投融資一一均衡アブローチ 13  め,同会計に金融自由化対策資金を創設することとなった点が従来の制度と 異なる。これに伴い,一般勘定と金融自由化対策特別勘定の2勘定に区分し て経営することになり,金融自由化対策資金は後者に置かれる。

個人の貯金として集められた郵便貯金資金はすべて資金運用部に預託され るが,金融自由化対策特別勘定から金融自由化対策資金へ繰入金を計上し,

これに必要な資金として資金運用部が繰入れることになる。さらに,金融自 由化対策資金の運用益は金融自由化対策特別勘定に帰属し,必要に応じて一 般勘定へ繰入れることができる。

運用対象は,安全性が高くかっ公共性の強い金融資産で、あり,具体的には 国債,地方債,公庫公団債,金融債,金融機関への預金,特定の社債・外国 債等である。

次に本稿で使用する変数について定義を示しておく。

H1 :政府によるハイパワード・マネー発行残高 品:民間非金融部門のハイパワード・マネー保有残高 LB]:民間金融機関に対する日銀貸出残高

s 民間金融機関預金残高

D 郵便貯金残高

Lc:財政投融資からの融資残高

LB :財政投融資と競合する貸出市場の融資残高 LH :財政投融資と競合しない貸出市場の融資残高

LN:財政投融資と競合する貸出市場からの民間非金融部門の借入残高

LL:財政投融資と競合しない貸出市場からの民間非金融部門の借入残高 B1 :政府部門による国債・政保債発行残高

B2 :民間金融機関の国債・政保債保有残高 B3 :民間非金融機関の国債・政保債保有残高 Deb :政府一般会計の累積赤字

m 預金準備率

九:財政投融資と競合する貸出市場の民間貸出金利

(6)

ペ:財政投融資と競合しない貸出市場の民間貸出金利 均:債券の流通市場利子率

γ:郵便貯金金利

rs 民間金融機関の預金金利

γ'c  :財政投融資による貸出金利

次に,以上のような前提と定義をもとにして各金融資産市場の均衡条件を 整理しておきたい。

日銀はハイパワード・マネーを発行・供給し,民間金融機関がこれを準備 預金 (mD)として, また民間非金融機関はこれを現金通貨(品)として保 有する。

H1mD+ H3(rL, r .I r8, rS, Lc) 

θ e  e e e  (1) 

金融自由化後は,郵便貯金は市場金利連動型商品となり,その金利の水準 および、変化は常に民間金融機関の預金金利の水準および変化に等しくなって いると想定しているので,預貯金金利は一括して ηで代表しておく。

貸出市場のうち,民間金融機関貸出と財政投融資貸出とが競合する市場の 均衡条件は次のようなノくランス式で表わせる。

Lc+ L8(γL,え r8ηLc) =LN(γLrBrS, Lc)  (2) 

EDeeeEDθo ED  0  0 

また,両貸出資金が競合せず,民間金融機関のみが利用可能な市場のバラ ンス式は次のように示すことができる。

I.:B( rL, r{, rB, rs, Lc) I.:(rL, rL:  r8η, Lc)  (3) 

θffi  e e ffi  e ffi  0  0 

民間金融機関と財投貸出が競合する市場では,民間非金融部門(企業,個 人等)は化く九の場合,初めに財投による低利融資を可能な限り受け,次 になお必要な資金を民間金融機関から借入れると仮定する。ただし,特定の 民間非金融主体が低利で借入れ可能な財投機関からの借入れ額が,市場の実 勢金利のもとで民間金融機関から借入れ可能な額を上回れば,この民間非金 融主体は財投から割当てられる資金量のみを借入れて民間金融機関から借入

(7)

金融自由化と財政投融資一一均衡アプローチ 15  れない。もしこのょっな借入れ金額が金融市場の規模に対して無視できない 程度になれば,貸出市場をはじめすべての市場の金利は均衡水準から弔離し たままになる。以下ではこのようなケースは例外的で、,その規模も無視でき るものと仮定しておく。

日銀から民間金融機関への日銀貸出はとりあえず外生的に与えられるもの とする。

LBJ LBJ  (4) 

預貯金市場でも,財投および民間金融機関の各受信部門は所与の金利(均 衡金利)のもとで,預金者の預金賦存量および、金融機関の費用関数に関する 特性以外の制約を受けることなしすべての預入を受入れるので,各預貯金 の需給は次のように表わすことができる。

D( rL, ri, rB, rs, Lc) 

e e e 

8j θ 

S( rL, ri, rB, rs, Lc) 

θ 8 8 8⑦ 

(5) 

(6) 

国債・政保債は政府部門が発行し (Bc),民間金融機関は公募入札方式に よって政府より購入し (B2),民間非金融部門は国債流通市場において購入 する (B3)。前者における売買条件(利回り等)は後者の利回り等に連動す るようにルール化されているものと想定する。また,国債・政保債を同じ部 門内で売買しでもマクロ的には相殺される。さらに,社債は国債・政保債と 完全代替であると仮定すると,社債の金融機関による保有分はB2に含まれ,

その発行者以外の民間企業,個人等による保有分は同じ部門内で相殺される。

Bl B2(γL, riγ8, rs, Lc) B3rL, ri, rB, rs, Lc)  (7) 

8 8 8j θ <fl  8 8<fl8 8  

財政投融資の貸出(Lc), 日銀(LBJ)および政府部門の累積赤字(Deb) ハイパワード・マネーの発行(H1),郵便貯金等による財投による受信(5)

るいは国債・政保債の発行(B1) によって賄われる。したがって,政府部門 のバランスシートは次のように要約できる。

Lc LBJ Deb Hl Bl  (8) 

(8)

民間金融機関は個人,企業等から預金(D)を集め,日銀から貸出(LBJ) 受けた上で,預金に対して一定割合を乗じた額としての準備預金(mD)を預 け入れる一方,利用可能な資金をもって貸出(LB1:B)および債券投資に運 用する。このような制約条件は次のようなノ〈ランス式で表わせる。

mD L1:BB2= D LBJ  (9)  民間非金融部門のネットの資産は,現金通貨(H1),預貯金残高(DS),  債券(B3)の合計から借入残高(LN1:N)を差し引いた額であり,これは政 府累積赤字(Deb)に等しいものとする。したがってこのバランス・シートは 次のように表現できる。

Deb H3 B3 ‑LN ‑1: (10)  以上の市場均衡条件と 3つの経済主体の制約条件を整理すると,次のよう に要約できる。

Hl=mD+H3 

LcLBJ+(l‑m)D‑1:B‑B2 LN 1:B1:

B1=B1+ B

(1)  (2')  (3)  (7)  Lc+ LBJ+ Deb Hl+ S+ Bl  (8)  Deb=H3+S+D+B3‑LN‑1: (10)  市場均衡が達成されれば,ハイパワード・マネー (1),二つの貸出市場 (2') (3)および債券市場(7)のいずれか一つの均衡条件は他の三つの均衡式から独 立ではない。即ちワルラス法則が成立するので三つの市場均衡に関する比較 静学分析を試みることになる。

財政投融資が融資すべき分野には,経済的社会的要求は高いものの, リス クが大きすぎたり,懐妊期間が長すぎて民間経済主体のみの活動では十分な サービス供給ができない領域あるいは収益が低すぎて民間企業が参入する余 地がなくても政府部門が大規模な初期投資を行えば収益を国民に還元できる 領域等がある。

以下ではこの二つのケースについて, (1)国債を増発して一般会計から財政 投融資に繰入れるか財投の融資機関が資金不足分について政保債を発行する,

(9)

金融自由化と財政投融資一一ー均衡アプローチ 17 

(2)政府が日銀にT Bを売却して受取るハイパワード・マネーを財源にする,

あるいは(3)時代の要請に応じて財政投融資の中に新しいニーズに融資可能 な部門を新設したり,法改正等制度の変更により既存の融資部門の拡充を行 う等の方法により財政投融資の規模を拡大するという三つの手段を利用する 結果,特に金融市場に直接的にいかなるインパクトを与えるかということに ついて確めたい。

3.  財政投融資と民間金融との競合

規模に関する収穫逓増が発生しているため,財投が一定規模まで市場に介 入し,なおかつ残る社会的ニーズに対しては民間金融機関の融資が可能なケ ースについて考察する。むろんこの場合にはすべてのニーズに対して純粋に 民間金融機関が融資しても必ず赤字が発生するのであるとすれば,政府が市 場に介入して融資した結果,限界的な収益を得るとしてもその収益を上回る 補助金が一般会計からの利子補給として繰入れられていなければならないは ずである。ここではワルラ又法則により,債券市場を抜いてみると4つの方 程式により,各種利子率rLγo,rDおよび政府累積赤字Deb4つが内生 的に決定できる。

mD( rL, rB, rD) HA rL, rB, rD)  (1)  Lc+ {LBJ (1‑m) D(γL, rB, rD) ‑B2(γL, rB, rD) 

= LN (γL, rBγb) a1 

Lc+ LBJ+ DebH1B1(γ L' rB, rD)  (8) 

DebH3+ D+ B3‑LN  10()  (1)  国債・政保債の増発

政府累積赤字は受動的に与えられると仮定する必要がある。このことによ り,第(10)式は他の3本の方程式から独立で、なくなる。したがって貸出金利 (

γ'L), 債券利子率(γo)および預貯金金利(rDB)(1) (γ), (8)3本の方程式 から決定できる。

MrLdrL+ MBdrB MrDB drDB  aaA 

(10)

ilrLdrLilrBdrBilrDBdrDB= (1‑B2LC) dLc  SrLdrL SrBdrB+ SrDBdrDB= dLc‑dB

( 12)  (13) 

ただし, (1I)~(I3) における新しい符号は次のように定義される。

MrL mSrL H3rLO MrB mSrB H3rBO

ilrL LNrL B2rL (1‑m)DrLO ilrB= LNrBB2rB(1‑m) DrB  ilrDB LNrDB B2rDB(1‑m)DDB=  MrDB mSrDB H3rDBO

SrL0SrB0SLCO

以上の仮定により, (1l)~(1 3)式の連立方程式の左辺の係数行列式の値 L1 1 の 符号は負であることが容易に確められる。このことより,まず第一に純粋な 財政投融資の拡大(縮小)が各金利にいかなる効果をもつかについて調べた

E

をと={(1‑B2LC) DB ilrBMrDB

‑(1‑B2LC) MrBSrDB} / L11O 悲={(1一ιB弘必ω2ιμLωCρ)u4品 川L rLMrD

(ω1B2ιLCρ)Sr.ιLMrDB} L1

={MrLil山 一 ゐLC)SrLMrB 

(1‑B2LC) MrL SrB ‑ilrLMrB} L1

a n u

z ‑

TEA 

(15) 

(16)  この場合,財投の拡大に伴フ資金調達によってクラウディング・アウト効 果を無視できるので,貸出市場は超過供給になることが第(14)式から理解でき

る。第(15)式によれば,民間金融機関における資金供給関数の貸出金利に対す る効果とハイパワード・マネーの預貯金金利に対する効果との相乗効果が他 の効果と符号条件で相反するので二一般的にトータルの符号は判定できない。

ただし ,MrDB Oと仮定すれば,drB/dLc> 0が確定する。

(11)

金融自由化と財政投融資一一均衡アプローチ 19 

(16)式より,財投が自由化されている預貯金金利にいかなるインパクトを 与えるかについては,ハイパワード・マネー,郵便貯金および貸出が貸出金 利と債券金利に反応する相対的な効果に依存して決定される。特にここでは?

債券金利はハイパワード・マネーより郵便貯金に,また貸出金利はその逆に 大きなインパクトを与えるものと仮定しよう6)

SrB ¥ S・ ‑rL  MrB  ,‑ MrL 

これと,貸出金利および債券金利のハイパワード・マネー需要および貸出 に対する資産乗数効果を通じて,財投の預貯金金利に対する純粋の効果はプ ラスとなる。

次に国債を発行して,この新規発行分を既発債と同じ流通市場で消化する 世界を想定しておく。このケースで各種金利がいかなるインパクトを受ける かについて確かめるため,第(11)(13)式の連立方程式において, dLc= 0とし て解を求める。

=ArBM四 /L1

議 =‑

MrBArL / L1

n

de

 

‑ ‑A  

nVAU ‑ ‑ A 

3 2 = (

B一 川)/ L1zo  (1

(1(17)17))lは土,債券の新規増発が行なわれることによって,市中の資金が第一 にハイパワード・マネーから放出され,第二に債券市場が超過供給になり,

余剰資金が貸出市場の需要増加に吸収されて,貸出金利が上昇することを示 している。

(18)式は債券市場の超過供給の実態を示すものである。第(19)式は,債券市 場の超過供給が,債券利子率および貸出利子率が貸出市場,ハイパワード・

マネー市場をめぐって預貯金市場が超過供給になることを示している。

さて,以上では財投および国債の発行が各々金融市場にいかなるインパク トを与えるかについての特性を単独に調べた。次に,財投を拡大する場合に

.

..  ‑.........J,.  n-..x t::::=1 1 市-~.-ーι口む時ペーヰm".::b.-l-ヲ J 庁、、こ ヲ〆,....1 7、夫L

(12)

呆は第(14)‑(16)式から各々第(17)‑(19)式を差しヲ│けばよい。

争 =(1 ‑B2LC) (MrDBSrB ‑Mr B)/ L11o (20)  ULC IdLC= dBl 

ι !

C=dBl(1ーら)(仇SrDB‑MrDB

ι~I =(1ω1 ιB弘伽ω2MLωωC)υ(οMωl14ιr

ιULC IdLC=dBl 

第(20)式は財投の純粋の拡大効果の方が大きしそれに伴う国債の貸出金利 に対する引き上げの効果の方が絶対値では小さい。また,債券利子率に対し ては,純粋の財投拡大による効果は MrDBが無視できる程度に絶対値で小さ いと仮定しなければ符号を確定できなかったが,この相殺効果である不確定 要因を国債の発行が打消すので, トータルの財投拡大は債券利子率を引き上

げることが第(21)式において確かめられる。

預貯金金利については,純粋の財投拡大のインパクトに対して国債の発行 に伴う金利引き下げ効果は相殺されるものの,第(16)式に関して置いた仮定の 部分による資産乗数効果が残るので, トータルでも金利が上昇することを確 定できる。

(2)  ハイパワード・マネーの増発

前節と同じく政府累積赤字は受動的に与えられるものとするが,以下では 財投の拡大に伴う資金調達の財源をハイパワード・マネーの増発に求める。

同様にして,第(10)式は他の3本の方程式から独立ではなくなり,貸出金利 (

γIJ,債券利子率(均)および預貯金金利(rDB)(1)(2'), (8)3本の方程式 から決定される。ただし,政策パラメータは HlLcである。

MrL drL MrB drB MrDB drDB dH

ArLdγArBdrB ArDBdrDB (1‑B2LC) dLc  SrLdγSrB drB SrDB drDB dLc ‑dH

(23)  (24)  (25)  このモデルにおいて,財投の拡大による金融市場に対するインパクトは資

(13)

金融自由化と財政投融資一一均衡アプローチ 21  金調達の制約を無視すれば前節の議論と全く同様で、ある。したがって,まず 資金調達手段としてのハイパワード・マネーが金融資産市場に及ぼす影響と その特性について調べたい。

三ム=(ArBSrDB ArBMrDB) / L1

OHl 

乏 生 =‑ArL (MrDB SrDB) / L110

OHl 

={ArL(SrBMrB)‑ArB(SrL MrL)} / L11O

(26) 

m

nr

u 

n x

u  

nJF 

ハイパワード・マネーが貸出金利に与える効果は,それが預貯金金利を通 じて貯蓄と貸出に作用する力が相反して符号判定を困難にする。しかし,こ こで預貯金金利は貯蓄に対する直接効果の方が貸出に対する交差効果を上回 ると仮定しても無理はない。これにより,次のょっな符号判定が可能になる。

主丘'‑ArBSrDB/ L11o (26')  OHl 

したがって, (26'), (27), (28)式から財投資金の調達のためにハイパワード・

マネーの供給を増加させると,すべての金利が低下することが明らかになる。

財政投資の拡大により,その資金調達をハイパワード・マネーの増発に求 めることによる金融市場へのトータルの効果は,前節における資金調達の制 約を受けないケースの比較静学効果と本節におけるハイパワード・マネーの 資金市場に対する比較静学の効果を加えた量に等しくなる。

なお, (15)式において交差効果を無視できるものと仮定すれば,財政投融資 の拡大が債券金利に対する効果は次のように単純化される。

ι=‑ArL SrDB/ L11O

ULC 

Fhd l ( 

(

14), (15'), (16)および伽'), (27), (的よりトータルの効果は次の各式のように 表わすことができる。

ι =     ( {

B2LC) SrBMrDB ArBSrDB  Lc dLC= dHl 

‑(1‑B2LC) MrBSrDB} / L11O

9)

(14)

主ι =SrDB(ArB‑ArL)/ L110

Lc dLC= dHl 

必 旦 ={(1‑B2L rLMrB‑j叫 ん )

Lc dLC=dHl 

AUυ 

odju 

ArLSrB ‑ArBSrd / L1

q︿d

第(29),(制式より,財政投融資の規模の拡大に伴い,その資金の調達をハイ パワード・マネーの増発によるトータルの効果として,貸出金利および債券 利子率をヲ│き下げることが明らかになった。しかし,預貯金金利については,

制約を受けない財政投融資の効果についての符号は正,ハイパワード・マネ ーを資金調達手段とすることによる効果に関する符号は負となり, (16')式を 導くのに用いた仮定および各資金需要給関数における交差効呆を無視できる

という仮定をおいてもなお(31)式の符号は確定できない。

本節の最後にあたって,財政投融資の拡大が各金融資産市場を通じて民間 金融機関のパフォーマンスにいかなる影響を及ぽすかということについて確 かめておきたい。

第一に財政投融資の拡大に伴い,その財源を国債の発行に求める場合につ いて。この場合,第(2印式より民間金融機関の貸出金利は低下し,また第(22) より預金金利は上昇する。その結果,

資金需要関数の利子弾力性>預金需要の利子弾力性 O F

z HM  

qυ

という関係が成立していれば,民関金融機関の正常利潤は増加する。しかし,

もし民間非金融部門において内部金融によって資金を調達する機会が多くな って資金需要の利子弾力性が低下する一方,個人をはじめ民間企業も資産選 択についての関心を深めるなどの事情により預金の利子弾力性が高くなる結 (32)の関係式の不等号が逆転することになれば,むしろ財政投融資の拡大 は民間金融機関の利潤を縮小させることになる。

したがって, (32)の不等式の関係が成立していれば,市場の失敗を有償の資 金によって補正する財政投融資の社会的公正と効率性の実現と民間金融機関 の利潤の拡大による私的効率性の改善とは両立する。しかし, (32)の不等式の 関係が成立しなければ,社会的効率性および公正と私的効率性とが両立せず,

(15)

金融自由化と財政投融資 均衡アプローチ 23  いずれを選択するか,あるいは社会的効率性と私的効率性との総和を改善す るかという問題を選択するためには,国民的な基本的な合意の形式に依存す るのである。

l表 競 合 的 な 財 政 投 融 資 に よ る 金 利 に 対 す る 効 果 資 金 調 達 政 策 手 段 rL  rs  rDS 

Lc 

国 債 発 行 B

ト ー タ ル

Lc 

ハイパワード

HI  マ ネ ー 発 行

ト ー タ ル

4.  民間金融と補完的な財政投融資

本節では投資プロジェクトの規模およびリスクが大きすぎて,貸出市場に おいて許容しうる貸出条件のもとでは貸出・借入の契約が成立をしないよう なケースでも,価値欲求としての社会的ニーズが高い場合には,財政投融資 市場の失敗を補正するために貸出優遇措置を講じて然るべきである。前節の 場合と同様,財政投融資がかかるプロジェクトに融資すればそのスケール・

メリットを活用してより小規模な民間金融機関が融資する場合よりも少ない 赤字を計上するにとどまり,この赤字を一般会計からの利子補給または借入 れで補墳するのであれば財政事情の許容じうる範囲で、最適な水準を決定でき る。さらに,融資規模が一定の水準をこえるのであれば,財投による融資の 収益率は預入金利のコストを上回ることになり,他の赤字フ。ロジェクトへの 融資の利子補給金として活用できるのである。

以上のような世界を想定してモデルを単純化しよう。スケール・メリット が存在する分野に対して民間金融機関は融資しないので,貸出市場のバラン ス式は次のように表現できる9)

Lc=Lc  n︿ 4d

(16)

[;B( rL, r ..I rB, rS, Lc) [;N(γL, r..I γ Ji rS, Lc)  (34)  第(33)式は民間金融機関では融資することができない分野に向けられる財政 投融資を示し,貸出金利は融資総額,預貯金金利のコストあるいは財政事情 等を配慮、して裁量的に決定することができる。第(34)式は民間の貸出市場のバ ランス関係を示しており,この市場は財政投融資とは競合せず, したがって 与信部門においては民間貸出資金と公的貸出資金とは完全に分離されている

ことになる。

以上の二つの条件式とハイパワード・マネー,債券市場および三つの代表 的主体のバランスシートにより,前節と同様の比較静学分析を試みるために,

各式の全微分の形式で体系を表現したい。

Mri driMrBdrB Mrs drs dH (35) 

()ri dγ+θrBdrB+θrsdrs

θ @  

Sri dri SrB drB Srs drs dLc ‑dH dB

E8 

ただし, (35)(37)の新しい記号は次のように定義される。

Mri mDrL H3rどく O

()rL (1 ‑m) DrL ‑B2rL ‑LNrL  ()rB= (1‑m)DrB‑B2rB‑LNrB0 ()rs (1‑m)Drs  ‑B2rs ‑LNrB 

(36) 

tndJu 

以上の三つの方程式により,内生的に決定される γ'I" rBおよびrsに対す る財投の拡大の効果について,前節と同様に財源調達手段を国債等の増発お よびハイパワード・マネーの増発に分類して確かめたい。

(1)  国債・政保債の増発

5)(37)式の連立方程式の左辺の係数行列式の値ゐの符号は,交差効果の 積の項θrsSrBの絶対値の大きさは無視できると仮定すれば正となる。この ことから,まず第一に財源の制約を受けない財政投融資の拡大(縮小)が各

(17)

25  金融自由化と財政投融資一一均衡アプローチ

金利にいかなる影響を及ほ、すかについて確認したい。

n

yu

 

n4

d 

与乙一=(仰ルlvfrB8危r一 8rBM必払r悶~s)ι.lL C  

(39) 

~~B (Mrs 8rL ‑8rsMr{) /

ULC 

4L=(MriOTB8riM)/ L1

ULC 

lJ

n uu u

 

an

財政投融資が資金調達に関する制約を受けずに拡大すると,貸出市場にお ただし,後者の符号判定を行うため ける貸出金利と債券利子率は低下する。

には,交差効果である 8rsM記の絶対値は無視できるほど小さいことが十分 ここではこの項の値をゼロとしておく。

4F‑=Mrs ori/d2O

ULC 

条件である。

︑ ︐ EJ

nu

d 

n d j

υ  

民間金融機関および郵便 このことから,

さらに預貯金利子率は上昇する。

貯金の利鞘はいずれも縮小する。特に前者の縮小幅のほうが財投の貸出金利 が下落しないだけ大きくなる。

その新発債を十分発達した債券流通市場で消化で、き 次に国債を発行して,

るものとして,債券の発行が各資産市場への作用を通じて金利にいかなる影 響を及ぼすかについて論じたい。そのため,側(37)式において ,dLc=dH1

0として比較静学解を求める。その値は財投の拡大の効果に逆の符号を付し 財投の財源をすべて国債の発行に求めると金利に対し たものに等しいので

て中立的になることが理解される。

dr{  ‑.!1生. =‑.!1色ー=fI dLτI dLC=dB1 dLc dLC=dB1  dLc dLC B1

E El   a n

民間非金融部門はまずより有利な条件で制約される貸出量でで 前節では,

きる限り財投資金の融資を受け,残りの必要な資金を民間金融機関から貸出 民間からの借 市場を通じて借入れるので,財投資金の借入額が変化すれば,

入れ額が変化するので貸出金利が変化することが示された。しかし本節にお いて,財投資金の貸出対象となる分野は民間金融機関が貸出の対象となる分 野とは一切競合しないので,財投計画がいかなるものであっても民間非金融

参照

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