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「個別の指導計画」の作成 と活用に関する一考察

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Academic year: 2021

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(1)

知的障害養護学校における

「個別の指導計画」の作成 と活用に関する一考察

A Study of lndividualized Teaching

Plan in School for Children with lntellectual Disabilities

鈴木美枝子 *・ 大塚   玲 **

Mieko SUZUKI and Akira OTSUKA

│.は

じめに

文部科学省

(当

時、文部省

)は

、平成

H年 3月

に盲学校、聾学校及び養護学校学習指導要領 を告示 した。平成

12年

4月か らは新学習指導要領の適用 に向けて移行措置が実施 され、本年度

(平

14年

)よ り完全実施 となった。

今回の改訂では学習指導要領

(文

部省、

1999)の

なかで、初 めて 「個別の指導計画」 とい う 用語が用いられ、その作成義務が明記 された。すなわち、「指導計画の作成等 に当たっての配 慮すべ き事項」において 「重複障害者の指耳に当たつては、個々の児童又は生徒の実態を的確 に把握 し、個別の指導計画を作成すること」 という記述および自立活動の 「指導計画の作成 と 内容の取扱い」において 「自立活動の指導に当たっては、個々の児童又は生徒の障害の状態や 発達段階等の的確 な把握 に基づき、指導の目標及び指導内容を明確 にし、個別の指導計画を作 成するもの とする」 とい う文言が示 されたのである。

しか し「個別の指導計画」の作成 については、平成

H年

に学習指導要領が告示 される以前か ら、各地の教育行政機関

(例

えば、東京都教育庁、

1997;北

海道立特殊教育センター、

1998)

や養護学校

(例

えば、北海道余市養護学校、1995,横浜国立大学教育学部附属養護学校、

1995)に

おいて 「個別教育計画」「個別の教育計画」「個別指導計画」 といった名称で、その導 入に向けての取 り組みが行われていた。静岡大学教育学部附属養護学校においても、平成8年 度か ら4年間 「個別指導票」 とい う名称 を用 い、校 内研究 として取 り組んできた。

本論文はこの校 内研究の成果を活かすために、平成

12年

度に小学部で試みた実践の報告であ る。そこでは、「個別指導票」の様式 を整 え、指導の一貫性をつ くることについて再検討 し、

さらに保護者や児童生徒のユーズヘの対応 を図るために、保護者 との連携の充実を目指 した。

本論文は、 この実践 をまとめることによ り、今後 「個別の指導計画」を有効に活用 してい くた めには、 どのような配慮や工夫が必要であるかを明 らかにしようとするものである。

.「

個別指導票」の作成 と活用に関するJヽ学部での実践

1.書

式の作成

(1)児

童の実態把握

*筑波大学大学院教育研究科

(元

附属養護学校教諭

)**学

校教育講座助教授

(2)

個別指導票

平成△△年度   入学 小学部〇年     児童名   ○○○○○

児童の実態

1)諸

検査

S一 M社

会生活能力検査】

身辺 自立

:7歳

0ケ 月

  

 

:3歳

9ヶ 月

  

  

:6歳 7ヶ

意志交換

:2歳

0ケ 月

  

集団参加

:2歳

Oヶ 月

  

自己統制

:3歳

9ケ 月

遠城寺式乳幼児分析的発達検査法】

移動運動

:4歳

6ケ  手の運動

:4歳

2ケ   基本的生活習慣

:4歳

2ケ

対 人関係 :1歳

11ケ

月    発語

:9ケ

月    言語理解 :1歳

11ケ

長所

:身

辺 自立

,作

業的能力 は他の発達 と比較 して伸 びている。

課題 :コ ミュニケー シ ョン能力が低 いため ,社 会性 に遅れが見 られる。

2)生 活地図

現状

:家

庭 での移動 はほ とん ど車で ,歩 いて移動す る機会が少 ない。

5分

  ス クー ルバ ス

10分

5ノ

父・母 。兄

 1ノ

5分

 1′

月 車

20分

  母 。兄  2′ 週

15分  

 2′

10分   母 。兄

 1ノ

生活スケジュール

時     現在の状態 (援 助

)

今後 の希望

(目

)

30

7 00

8:00

(略

)

起床 。着替え

朝食

洗顔 。はみが き

(略)

起 こして もなか なか起 き ない。       

テ レビを見 なが ら ,の

び り食べ ている。

時 間が無 い ため ,全 面介 助 でやつてい る。

(略

)

着替 えは ,起 きた ら自分で言

葉 かけが な くて も着替 えて ほ しい。

テ レビを見 ないで , 15分 く らいで食べ終 えてほ しい。

時 間はかか るが ひ とりでで き るので ,や らせ たい。

(略 )    ̲ 4)指 導内容 と環境 との関わ り

・ 新 しい場面に慣れ難 く ,ひ とりで活動に参加することが難 しい。

̀「

・・ 。してはだめ」 といった否定的な言葉に敏感に反応し ,パ ニックを起こし泣 き叫ぶので言葉かけには十分気をつける必要がある。

ス イ ミングス クー ル

図 1  個 別 指導票 にお け る実 態把 握 表 の一例

124

(3)

「個別指導票」を作成 してい くために、在籍する児童一人ひとりの障害の状態、学習や 日常 生活の状態や課題 に関する情報 を下記の項 目に従 つて収集 した。児童の実態をさまざまな観点 から把握することで総合的な理解がで き、指導 目標を立てる上で有益な手がか りとなった。

1)諸

検査

諸検査の欄 には現在の発達の状況 を把握 し、指導の手がか りをつかむため、主 として客観 的な心理検査の結果 を記入 した。心理検査は個々の児童に実態に合わせて、下記のものか ら 選択 し、実施 した。

知 能 検 査 発 達 検 査 言語能力検査 生活適応検査

WISC―

R、 田中ビネー、

K― ABCな

遠城寺式乳幼児分析的発達検査法など

ITPA、 INREAL評

価、

Rだ

な ど

S一 M社

会生活能力検査な ど

自閉的傾向の児童に対 して

:T― CLAC、

PEP―R、

CASEな

2)生

活地図

生活地図は個々の児童が どのような場所で、 どの くらいの頻度で、 どのような活動を行つ ているのかを把握す ることを目的 として保護者か ら聞き取 り、作成 した。

3)生

活スケジュール

生活スケジュールは児童の平均的な 1日

(平

日と体 日

)の

流れを保護者か ら聞き取 り、記 載 した。 これによって、一人ひ とりの児童が 日常生活において どのような活動を、 どのよう な時に、 どれ くらい、 どのような順序で行 っているのかを把握することができた。また、活 動の状況をチェックす ることで、活動の乏 しい時間帯や活動領域 を特定することができた。

4)指

導内容 と環境 との関わ り

この欄 には、 日常観察 (日常観察 のためのチェックリス ト及 び自由記述 による記録)、 護者か らの聞き取 り、前担任

(教

科担任含む

)か

らの聞き取 りにより、指導上配慮すべ き事 柄 を記載 した。

(2)長

期目標 『願 う姿」の設定

小学部の学部 目標 に対応 させた個々の児童の 「願 う姿」を設定 し、それをその児童の長期 目 標 とした。長期 目標 はその児童に とって どのようなことが必要か、 どういうことが今後の生活 に役に立つのか とい う観点か ら、一人ひ とりの実態把握を踏まえて設定 した。教師や保護者か らみれば、指導の方向性 を示す目標 ともいえる。

長期 目標 は半年

(前

期 と後期

)ご

とに検討 した。期末面接で保護者 と共に目標が達成できた か どうかを評価 し、それを踏 まえて次期の目標 を検討 した。なお、 この期末面接の評価 をもっ て、各期の 「学習のあ らわれ」に代 えることに した。

学校 目標 と学部目標

教育目標のめざす子 ども像

小学部 の学部 目標

心身共 に健康 な子 明 る く元気 に活動 す る心 と体づ くりに努 める。

身の回 りの ことがで きる子

目 宿 3号 OFり のこ と を自 分で する 態

集団生活に積極的に参加できる子

惚秀 み言′ 、 みんな と一緒 に活動 しようとす る姿勢 を身

意欲的に仕事や学習に取 り組む子 む勇讐塞弯Fとに興味関心を持ち、夢中になが¬戻研面

(4)

願 う姿 とあらわれ

小学部〇年    児童名   ○○○○○

  

  

姿

   ら    わ    れ 明 る く 元 気 に 活 動 す る 心 と 体 作 り に 努 め る

(前 期

)

・ 投げ る ,転 が る

,ぶ

ら下が る等の基本 的な動 きを身 につける。

・ 自転 車 を補 助輪 な しで乗 る ことがで き

,交

通ル ール を理解 し安全 に乗 ること ができる。

・水泳 は泳 ぎ

(ク

ロール等

)を

覚 えて泳 ぐ距離 を伸 ばす。

・「朝 の運動」で ,毎 日取 り組 んだ ことで

,

投 げ るこ とは ソフ トボール で 5m,鉄 棒 での ぶ ら下が りは 30秒 で きるよ うになつた。ま た

,マ

ッ ト運動で

,前

転 がひ と りでできるよ

うになつた。

・「生活単元学習」や 「個別 の時間」に集 中 的 に lヶ 月間取 り組み

,補

助輪 な しで 自転車 に乗 ることがで きるよ うになつた。 しか し

,

ブ レー キを使 うことができないので

,今

後 の 課題 で ある。

・ プールの時間の中に

,毎

回後 半 10分 位個 別指導す る時間を作 り取 り組んだ。教師が本 児の前 を先 にクロール で泳 ぐと

,そ

れ を模倣 して追いかけるよ うに して泳いだ。最長 8m

の距離 を泳 ぐことができるよ うになつた。

(後

)

・ 自転車でブ レーキの使 い方 を覚 え

,城

北公 園 を教 師 と一緒 にサ イ ク リングす るこ とがで きる。交通ルール は言葉かけ によつて行動 し理解 で きるよ うにす る。

・ マ ラ ソンでは , 1000m言 葉 かけだ けで ,休 まず ひ と りで走 る こ とがで き る。

・インラインスケー トを覚え

,休

み時間 に遊ぶことができる。

図 2  個別指導票の長期 目標 「願 う姿」 と 「あ らわれ」の一例

(3)短

期 目標の設定 と指導プログラムの作成

長期 目標 に到達す るために必要 と思われる具体的な行動を短期 目標 として設定 し、観察 0測 定可能 な表現で記述 した。「個別指導票」には、短期 目標 を達成す るための 「具体的な支援 と 手立て」 も記入 した。 さらに、短期 目標を指導するのに適 していると考えられる指導形態や指 導の場面 を、カ リキュラムの年間学習計画 と照 らし合わせて設定 した。指導 に適 した単元や題 材が見当た らない場合 には、年間学習計画を修正することにした。

短期 目標 は児童の生活の区切 り

(例

えば、

6月

か らはプールが始 まるため日課が変わ るな

)を

考慮 し、おおむね

lヶ

月半 (およそ6週

)ご

とに設定 し、評価 を行った。具体的には、

以下の6期に区分 される。第

1期

4月

〜 5月 、第2期

6月

7月

、第3期は9月 末

(前

評価)、 4期

10月

ll月

中旬、第5期

11月

中旬〜

12月

、第6期は 3月

(後

期評

)で

ある。

(5)

′         小学部〇年    児童名 ○○○○○  (平 成△年度入学

)

◎ 自分 の身の回 りの ことを自分です る態度 と適切 な動作を身 につ ける。

願 う姿

・ 一 日の流れ を写真 カー ドや文字カー ド等で見通 しを持 ち ,次 の活動 を確認す ることで ,身

支度や授業の準備 をす ることができる。

・ 基本 的生活習慣 の 自立を目指す。

具体的 な指導場面 と手立て ○達成 した こと   ●今後の課題

図 3  個別指 導票の指導プランの一例

(4)『指導記録表』への記録 と評価

教育課程の中心 となる「生活単元学習」「ことば・ かず」「朝の運動」「個別の時間」につい ては、毎週 「指導記録表」に記録 をまとめた。週末にそのファイルを家庭に持ち帰 らせ、保護 者か ら意見などを記入 してもらい、週明けに学校 に提出 して もらった。

図 4  指導記録表の一例

  面 目 標

具体的な支援 と手立て あ らわれ と評価 朝 の会

着 替 え

「今 日 の 予 定」で一 日の 見通 しを持 つ こ と が で き る。

立ってズボ ン を着脱す る こ とがで きる。

写真カー ドや文字 カー ド を利用 して ,一 日の流れ

を示す。

ズボ ンを脱 ぐ時 に,「 立 つて」 と言葉かけす るこ とで ,立 った状態 でや る ことを意識づ ける。

ズボンを履 く時 には ,机

を支 えに利用で きる位置 でや り方 の見本 を見せ て 模倣 させ る。

○写真 を手がか りに して

,一

日の流れ を ・ つ かむ ことができた。

●文字 カー ドだけでは判断す ることが難 しいので ,写 真 と対比 させ 1文 字ず つ指 さ しを して 口型模倣 をさせなが ら取 り組 んだが ,文 字 の読みが不確実なので継続 して指導 してい きたい。

○ ズ ボ ン を脱 ご うとす る時 に言葉 をか けることで

,立

った状態でズボ ンを意識 して脱 ぐよ うになった。一週間位 で言葉 かけがな くて もできるよ うになった。

○机 を支 えに してい る手 でズ ボ ンの端 を持つ ことで

,座

らず にズボンに足 を通 す ことがで きるよ うになった。

● シャ ツの裾 をズボ ンに入れ る こ とが 難 しいので今後の指導 目標 に したい。

こ とば・ かず記録 表     (○ 月 ○ 日   ○曜 日 )    小 学部 〇年   名 前 ○○ ○ ○ ○

学習内容 方法・支援 な ど あ らわれ

50音 のなぞ り書 きを す る

友 達 の名 前 カ ー ドが 分 か る

・破線 で明 日の予定を書いたプ リ ン トを用意す る。

・各文字の最初が分か るよ うに印

(●)を

つけてお く。

①指 示 した友 達 の名 前 カー ドを 指 さす ことができる。

②名 前 の文字 を

1文

字 ず つ 指 さ して 回型模倣 しなが ら読む。

・「あ」の文字は

,正

しい筆順で 書 くことができた。

・「か」の文字は

,指

で筆

1贋

を示 す ことで正 しく書 くこ とが で き た。

友達名

評 価

特 記 事 項 あい さん

発 音 も しつ か り で き た。

127

(6)

2.『個別指導票

Jの

作成の手順 と保護者 との連携

「個別指導票」は、表

2に

示 したような日程で作成 し、保護者 との連携 を重視 して実践 して きた。なお、保護者 との面談は、決められた期 日以外にも必要 に応 じて個別 に随時行つた。

「個別指導票」の作成の手順 と保護者 との連携

 

「個別指導票」の作成項 目 保護者 との連携

4月

5月

6月

7月

1

2月

3月 9月

前担任が設 定 した「本年度 の長期 目標

(前

)」

及び 「短期 目標 :第 1期 」について 見直 しをす る。

家 庭 訪 間で保 護者 との話 し合 い,「 本 年 度 の長期 目標 (前 期

)」

及び 「短期 目標

:

1期

」 を決定す る。

初旬 に「短期 目標 :第 1期 」を評価 し ,「 短 期 目標

:第

2期 」 を設 定す る。

下旬 に「短期 目標 :第 2期 」を評価 し,「 短 期 目標

:第

3期 」 を設定す る。

登校 時には,「 夏休みの学習 プ ログラム」

の あ らわれ を提 出 して もら う。

下旬 に 「長期 目標

(前

)」

及 び 「短期 目 標 :第 3期 」の評価 ,「 長期 目標

(後

)」

及 び 「短期 目標 :第

4期

」の設 定 をす る。

中旬 に「短期 目標 :第

4期

」を評価 し

期 目標

:第

5期 」 を設定す る。

下旬 に「短期 目標 :第 5期 」を評価 し 期 目標

:第6期

」 を設定す る。

「長期 目標

(後

)」

及び 「短期 目標 :第 6期 」 を評価す る。

来年度の 「長期 目標 (前 期

)」

及び 「短期 目標 :第 1期 」 を設 定す る。

「来年度の個別指導票」の設定までを申 し送 り用 として作成す る。

「短

「短

前年度 末 に設 定 した本年度 の「個別 指 導 票」を も とに

,実

態把握 の追加修正 と目 標 の見直 しを行 う。

家庭訪 間で

,本

年度 の 「長期 目標 」及 び

「短期 目標 :第 1期 」につ いて話 し合 い を行 う (事 前 に 「個別 指導票」を保護者 に渡 してお く

)。

保護者 に渡 し ,意 見 を も ら う。

この時期 に公 開参観 日 (1週 間程 度

)を

行 い

,実

際の様子 を 自由に参観 で き る よ うにす る。

夏休 み前 の保護者面談 で 「個別指 導 票」

を基 に話 し合 い を行 う。夏休み 「家庭 で 取 り組 んで ほ しい こと (取 り組みたい こ

)」

につ い ての具体的 な 「学習 プ ログ ラム」を提示 し

,実

践 で き るよ うにす る。

下旬 に期 末 の保護者 面 談 を行 い,「 個別 指導票」を基 に

,前

期 を通 しての評 価 及 び 夏休 み の家庭 での取 り組 み な どにつ いて話 し合 う。同時 に

,後

期の 「長 期 目 標」及 び 「短期 目標

:第4期

」につ いて

も話 し合 う。なお

,こ

れ らの記録 を もつ て 「前期 の学習のあ らわれ」 とす る。

保護者 に渡 し

,意

見 を も ら う (連 絡帳 な どで

)。

保護者 面 談 で 「短期 目標 :第

4期

〜第

6

期」 につ いて話 し合 い を行 う。

冬休 み の課題 な どにつ いては

,年

末 年 始 の時期 を考 え

,保

護者 か ら希望が あ つた 児童 のみ にす る。

保護者 面談 で 「個別指 導票 」を基 に 「長

期 目標 (後 期

)」

につ い て話 し合 い をす

る とともに

,来

年度 の方 向について確認

を しあ う。ただ し

,来

年 度 の担任 に よっ

て多 少 の修 正 が あ る こ とを理解 して も

ら う。

(7)

.考

附属養護学校小学部における 「個別指導票」の作成 と活用 に関する平成

12年

度 の実践 を振 り 返 るなかで、その成果 と課題が浮かび上がってきた。

まず本実践の成果 としては、以下の点が指摘できよう。

 「学校教育目標」→「学部目標」→「個々の児童の目標

(願

う姿)Jと いう一貫した流れを

設定 した こ とで、全教師が同 じ視 点で一人 ひ とりの児童 の指導 を考 えるこ とがで きた。 この

ことで、学部内で学級を越えた学習を組む時やグルーピングをする時に、学習内容を決定し 易 くなった。また、次年度への申し送 りもスムーズにできるようになった。

 「長期目標」を前期と後期に分けたことにより、全体の指導の方向を見直す機会ができ、

短期目標とのつながりが明確になった。

 「短期目標」は

lヶ

月半位を目安に設定したことで、実際の授業と直結した目標になった。

また、その下位目標を教育課程の中心となっている「生活単元学習」「ことば・かず」「朝の 運動」「個別の時間」について設定し、毎週記録を整理したことにより、短期目標の達成度

が 上 が った。

 

「短期目標」を設定するさいに、「指導場面」「目標」「具体的な支援 と手立て」を「個別指 導票」に記入することで、「その児童に対 して、 どの場面で、何を、どのような方法で、ど のような手立てを講じるのか」ということが明確になり、指導が精選され適切な関わりがで きるようになった。

 

担任を超え、それぞれの担当と話 し合 うさいに、「個別指導票」を基に話 し合いを行つた り、また文書をもって情報交換することが学部内で自然 と位置付けられるようになり、教師 間の連携がスムーズになった。

⑥ 保護者からは、毎週持ち帰る「指導記録」によって、授業の様子を把握することができた という意見が多 く寄せられた。また「個別指導票」についても、「短期目標」の評価・設定 の時期に保護者に説明したことで、「今、わが子が何を目標に、どんな方法で、学習をして いるのか」ということがよく理解でき、その成長もよくわかったという意見が多かった。保 護者から「家庭でも取 り組んでみよう」という積極的な姿勢がうかがえるようにもなった。

その一方で、次のような課題も明らかになった。

 「個別指導票」と毎週の「指導記録表」の作成のための事務的・時間的な負担が多くなっ

た。

 

「個別指導票」を作成するためには、個々の児童の実態把握や指導法に関する専門的な知 識が必要 となる。徐々に教師間の指導力の差が顕在化するようになった。

 

「個別指導票」などを文書 として保護者に渡すため、保護暑 にも教師の指導力がはっきり とわかるようにな り、かえって教師に対す る信頼性に否定的な影響を及ぼ したケースもあっ た。

こうした課題を解決するために、今後 は以下のことに取 り組んでい く必要性が示唆された。

ひ とつは、「個別指導票」作成のための資料集の整備である。何 も資料のない状態で、児童 のニーズか ら長期 目標や短期 目標を設定することは、専門性の高い教師にとって もかな り困難 な作業 であ る。今 回の 「個別指導票」作成 に当たつて は、旧学 習指導要領解説

(文

部省、

1991)に

資料 として掲載 されていた 「各教科の具体的内容」な どを参考にしなが ら作成 したが、

これだけでは十分 とはいえない。本校高等部では卒業後の進路 を見据えて、高等部段階で学習

(8)

すべ き内容 を 「日常生活」「仕事

(労

)面

」「地域生活」「健康面」 な どの項 目で整理 した

「個別指導票か ら明 らかになった指導内容票A・ B」 を作成 した。小学部においても学部段階 で指導すべき内容 を系統的に整理 した 「指導段階表」を作成する必要性が感 じられた。 こうし た資料 を充実 させ ることで、比較的困難な く指導の方向性 を定めることができ、指導 目標の設 定や具体的な指導方法の手がか りをつかむ ことができると考えられる。

もうひ とつ は、「個別指導票」作成 のためのマニュアルの開発の必要性である。「個別指導 票」の書式 はほぼ確定 しているので、それぞれの項 目に記載する内容 を具体的に解説 したマ ニュアルを作成す ることで、誰で も比較的容易に作成することができるようになると思われる。

文献

1)北

海道立特殊教育セ ンター

(1998):個

別 の指導計画の作成 と活用 ―子 どもが変わ る、授 業が変わる一.

2)北

海道余市養護学校

(1995):平

5・

6年度文部省特殊教育教育課程研究指定校研究報 告―あ したを拓 く―

.平

6年度研究集録

3)文

部省

(1991):特

殊教育諸学校小学部・ 中学部学習指導要領解説

=養

護学校

(精

神薄弱 教育

)編

一。東洋館出版社

4)文

部省

(1999):盲

学校、聾学校及び養護学校̀

 

教育要領・学習指導要領

(平

H年

3月).

大蔵省印刷局.

5)東

京都教育庁指導部心身障害教育指導課

(1997):平

8年度心身障害教育教育開発指導 資料集一障害のある児童・生徒のための個別指導計画Q&A一。東京都教育庁指導部心身 障害教育指導課.

6)横

浜国立大学教育学部附属養護学校

(1995):教

科学習を中心 とした新 しい養護学校

.横

浜国立大学教育学部附属養護学校研究紀要第

12号

130       .

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