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〜鍵盤ハーモニカ指導に関する一考察〜

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「保育現場における器楽指導について」

〜鍵盤ハーモニカ指導に関する一考察〜

平澤節子

≪ 概要 ≫ r

本稿 では、筆者 が上 田市内保育園で行 う 『音楽 あそび教室』 における鍵盤ハーモニカ指導に焦点 を 当て、そ こで行われ る集団指導下での鍵盤学習方法か らその有効性 を探 り、幼児期 にお ける音楽指導 の在 り方 を考察 した。加 えて、本学幼児教育学科 にお ける器楽教育、特に鍵盤学習初心者‑の指導方 法や今後の授業の可能性 についても考察 した。

≪ キー ワー ド ≫ 鍵盤ハーモニカ ・ソル フェージュ ・鍵盤学習

1 、は じめに

・ 幼児期の音楽教育は広義では母親 の歌 う子守唄か ら始まるが∴民間の音楽教室‑通 うケースを除け ば、保育現場での活動がその第一歩である。内容は手あそび、輪遊び といった遊び を通 じた唱 え歌 ( 遊、

び歌) か ら、季節や行事 ごとを題材 とした楽曲の歌唱、身近なもので音の出 る楽器 を作 る手作 り楽器 作成か ら簡易楽器奏やアンサ ンブル を行 う器楽

̀ 保育者 の歌声や奏でるピア ノの音色な ど活 きた音楽 に触れ、音楽会 を通 じて仲間の演奏 に耳を傾 ける鑑賞であ り、「 歌唱 ・器楽 ・鑑賞」 この 3 点が音楽 教育の大きな柱 となる。

これ らの指導は教える側 に専門の知識 と技術そ して経験がない となかなか集 団指導下で効果 が上が らないのが現状である。本稿 では筆者 が平成 1 2 年度か ら行 った上田市内保育園での音楽指導 を基に、

幼児教育現場での器楽指導の在 り方 とその方法の検証、加 えて保育者養成校 における特 に鍵盤学習初 心者に対す る指導方法や、在学の 2 年間で習得すべき音楽力 について注 目していきたい。

2 、保育現場における器楽指導

保育現場 における器楽活動 は、ヴァイオ リンや フルー トな どメロデ ィを奏す る楽器ではな く、叩い た り振 るだけで晋が出る打楽器 の使用が主流である。 その種類 はタンバ リン、鈴、カスタネ ッ ト、 ト ライア ングル、マ ラカス、ギロ、ウッ ドブロック、大太鼓、小太鼓、シンバル等の音程 のない楽器で ある。保育現場では、身の回 りの物 をP Pいた り振 るな どして、音 を出す楽 しみ を味わわせ ることか ら 指導が始ま り、 自分 自身で楽器 を手作 りして、その昔色 を工夫 した り、歌 に合わせ て 自由に鳴 らす活 動 を経て、運動会や音楽会で、鼓笛隊 ( 鼓隊)や合奏の活動 に繋がる事例が多い。器楽指導 も始 めは 打楽器 を 自由に打ち鳴 らしてその音色を楽 しみ、次第 に楽器の形や鳴 らし方 によって音色が異 なるこ とに気づ き、 リズムパ ター ンをピア ノに合わせてテ ンポ通 りに刻 めるよ うになった ら、徐 々にアンサ ンブル‑ と発展 させてい くや り方が一般的である。簡易打楽器 は構造上音程 を換作す る事ができない ため、メロディを奏で ることができず、従って 1 曲全てを打楽器で演奏す ることは難 しい。 このため

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(2)

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か さは無いものの、打楽器には. リズ4. のダイ. い . 子I、●ニ▲ Tl ミ. ック さや高揚感、 リ. E J ‑ ノ ∴ ズムアンサ ンブルが生み出す掛 け合い (リズムのコミュニケ‑シ ョシ)や一体感を療わう醍醐味がある. I

その中で、 鍵盤‑‑モニカは保育現場で唯一用い られているメロデ ィ楽器 といっても過言ではない。

しか し保育現場では11 曲全てを鍵盤ハーモニカで演奏す ることは経験的にも技術的にも困難なため、

指導の導入段階では曲の一部分を演奏す る分担奏や、メロデ ィに合わせた簡単な対旋律を演奏するオ ブ リガー ド i 奏法が用い られているi i 。 これ らの経験 を経て、徐々に演奏の音域 を増や しなが らメロデ ィや リズムの高度な曲‑ と指導が進められているのである。

3 、鍵盤ハーモニカについて ,

鍵盤ハーモニカは、昭和 20年後期 に登場 した音楽教育楽器で、ホースや吹き口 ( 筒 口)で息を吹 き込み、 リー ドを振動 させて発音す る構造になってお りハーモニカの一種であるi i i 。楽器 メーカー各 社 により商品名 ・呼称は様々で、ヤマハは 「ピアニカ」、スズキ 「 メロディオ̲ ン」、全音 「ピアニー」

となってお り、その総称が 「 鍵盤ハーモニカ」である。各社の特性 として、ヤマハ 「ピアニカ」は、

『特殊防錆塗装 によりリー ドか ら錆 を守 り安定 した正確 などッチ』、スズキ 「 メロディオン」は、『独 自に開発 した リー ドによ り、吹 く息の強弱 に敏感に反応 でき、 トレモ ロ ・ビプラT ト等高度な演奏技 術 に対応』、全音 「ピアニ T 」は、『 独 自のふえ室設計により、 リー ドを滑 らかに振動 させ明るく響きの ある透明な音色 』・ i v を挙げている。鍵盤ハーモニカには ソプラノ ・ア/ I , . ト・バスの三種類があ り1 , 24 鍵 、25 鍵 J( 2 オクタ‑ ヴ) 、27 鍵 、32 鍵 、34 鍵 、. 37 鍵 、 ( 3 オククー ヴ) と音域 も豊富である。保 育現場及び小学校では 、32 鍵のものが広 く使用 されている。演奏の仕方は二種類 あ り、座 って鍵盤ハ ーモニカを机に置 き、ホースを用いて演奏す る方法 と、立って左手で鍵盤ハーモニカを持 ち、吹き口 を用いて演奏す る方法 とがある。

鍵盤ハ‑モ与力は、 ピアノやエ レク トー ンと比べて鍵盤が小型 なため、幼児の小 さい手でも演奏が 容易である。また楽器 も軽量なため取 り扱い も楽で、鼓笛隊などの動きのある活動にも適 している。

鍵盤楽器 と吹奏楽幕の特性を持つこの楽暑削ま、鍵盤学習 と吹奏学習を同時に行えて、またアンサンブ ル を豊かにする音色を持つことか ら、広 く音楽教育の場で親 しまれている。一方で、吹奏楽器である ため、タンギング指導は見逃す ことができない。導入期の分担奏やオブ リガー ド奏法では息の短いタ ンギングを行えばよいが、メロディを演奏す るようになると、一息でワン ・フレーズを演奏す ること が必要になって くる。短いタンギングだけではメロディは切れ切れ としたものになって, しまい、フレ ーズ感のない演奏 になって しま う。息を長 く吹き込みながらのメロディ奏は幼児 にとって難 しいが、

曲や奏法に合ったタンギング ・テクニ ックが不可欠である。 とか く鍵盤指導に重きが置かれやすい鍵 盤ハーモニカ指導でのタンギング指導は避けて通れない点である。

4 、実際の器楽指導

・ 本章では、筆者が上田市内 M 保育園 ( 以後 M 園)にて行っている鍵盤ハーモニカ指導を例 にあげ て、保育現場における器楽指導について検証 したい。

IM 園では通常の保育の他 に、 '平成 12 年度 より外部か ら専門講師を招 き、特別活動 として 『音楽あ

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そび教室』 を導入 し現在 も継続 して行 われ てい る。指導 内容 は歌唱指導、 リ トミック ・身体 あそび、

音感 ・リズム指導、 リズム楽器や鍵盤ハーモニカ等の器 楽指導、わ らべ唄 を使 った輸遊 び等 の伝承 あ そび等 で 、3 歳児、4 歳児、5 歳児 の各 クラス ( 1クラス平均 30 名)で 1 回 40 分程度 、月に 2回の ペー スで行 われている。本稿 で取 り上げ る鍵盤ハーモニカ指導 につ いては、3歳児 では音名や リズム の理 解が追 い付かないこと、またホースに息 を吹 き込み なが らの鍵盤奏 は身体的に も困難 なことか ら 行わず、予備段階 としての音楽指導が行 われ 、4歳 にな ってか ら鍵盤ハーモニカ指導が導入 され る。

( 写真 1)

( D 指導 内容 とその方法

ここでは 『音楽あそび教室』 で行 われ る鍵盤ハーモ ニカに関わ る指導 内容 を、年齢 (クラス)別 に取 り上げる。

3歳 児 クラスでは鍵盤学習予備段階 と しての指導が行 われ る。 まず始 めは筆者 が 『ドレミ山』 と 呼 ぶ もので、 ドレミフアソラシ ド・ドシラソファ ミレ ドの音列 の上行 と下行 を山にた とえて、音程 をつ けなが ら音列 を歌い音名 と音程 とを‑致 させ て、絶対音感 を養 ってゆ くもの であ る。『ドレミ 山』 の トレーニングが定着 し次に行 うのが簡易 メロデ ィを用 いた模 唱である。模 唱 とは、指導者 の 歌 った音名唱 ( メロデ ィ唱) をオ ウム返 しに模倣 させ るものである。模唱は繰 り返 し行 うことで音 感 ( 音程感)が養われ、メロデ ィに付随す る リズムを も体得 で き、加 えて集 中力 をも高めるこ とが で きるのである。また音名や階名 によるメ ロデ ィ唱は、フランス発祥の ソル フェー ジュVといわれ る もので、音楽教育の基礎訓練 と して広 く用い られ る有効的な方法 である。 そ して、模 唱が定着 した の を機 に ピア ノが奏 した リズムを手拍子 で応答 させ る聴奏が行 われ る。様 々な リズムパ ター ンを繰

り返 し手拍子で体感 させ ることで リズム感 の習得 を 目的 と している。

{写真 1 1写真 2

4 歳児 クラスでは 『ドレミ山』を応用 させ て、フラフー プを縦一列 に 8 つ並べ、1 人ずつ ドレミフ ア ソラシ ドと歌いなが ら一昔一歩ずつ フラフー プを渡 らせ る活動か ら始まる。 ( 写真 2) 音列 が一人 一人唱 え られ るよ うになってか ら、次に指導者 と園児 とで音列 を 1 音ずつ交互に言 い合 うな ど して、

ドの次の音 は レ、フアの次は ソとい うよ うに、音名 の関連性 を理解 させ る。 また 3 歳時に行 ったメ ロデ ィ模唱や手拍子 による リズム模奏 が、4 歳 では音程 が順 次進行 ( 隣 り合 う音か らな るメ ロデ ィ) か ら跳躍進行 (ド・ミや ソ ・ドの よ うに 3 度以上離れ た音程 が含 まれ るメロデ ィ) にな り、 リズム

‑ 1 5 ‑

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聴奏は四分音符のシンプルな リズムから、八分音符や付点の リズムが含まれた少 し高度なものにな ってい く。園児たちは リズムが複雑 になるほど声をあげて興奮 し、 ピアノの繰 り出す次々 と異なる リズムに集 中 しなが ら、手拍子や足 を踏みな らすなどして応答す る姿が見 られている。音列や音程 理解 を経て多様な リズムに慣れたころ、『音楽あそび教室』では初めて鍵盤ハーモニカが導入 され る。

演奏 にはホースを使 うスタイル と、吹き口を使 うスタイルがあるが、後者は左手で鍵盤ハーモニカ を持 ちなが ら、つま り斜 めに構 えなが ら演奏す るため姿勢が不安定で導入時の指導には適 さない。

このため M 園では前者のホースを使 い鍵盤ハーモニカを机 に置き、鍵盤 に対 して正面か ら構える演 奏スタイルを推奨 している。導入時に初めて園児に演奏 させ る楽曲は、『十人のイ ンデ ィアン』およ び 『ひげ じい さん』である。以下に M 園で採用 されている演奏方法 ( 分担奏)を示す。

● 『 十人のイ ンデ ィアン』 原曲 :アメ リカの歌/ 高田三九三訳詞

ド・ド・ド・ド 「 三人いるよ 」 レ ・レ ・レ ・レ 「 六人いるよ」

ド・ド・ド・ド 「 九人いるよ 」 ソ ・フア ・ミ ・レ ・ド

『ひげ じい さん』 作詞者不詳/ 玉山英光作曲

ド・ド・ド・ド 「 ひげ じい さん」 レ ・レ ・レ ・レ 「こぶ じい さん」

ミ ・ミ ・ミ ・ ミ 「 てん ぐさん」 フア ・フア ・フア ・フア 「 めがね さん」

ソ ・ソ ・ソ ・ソ 「 手は上に」 ソ ・フア ・ミ ・レ ・ド

指導はまず音名で音程 をつけて歌わせ る音名唱か ら始 める。曲はいずれ も園児の既習曲であるため、

園児たちは抵抗な く歌 うことができる。演奏 に入 る前に音名唱を行 うことは楽曲全体を把握 させて、

加 えて運指練習の助 けになる。運指練習 とは、演奏す る音名 に該当する指を曲に合わせて動かす こと である。カ ッコで書かれた部分は心の中で唱えさせるよ うにして、 演奏時には弾かずに休符‑お休み、

と指導す る。楽 曲すべてを演奏す る事はまだ困難なため、曲の一部分だけを演奏す ることで、園児に 無理なく鍵盤ハーモニカ奏 を導入す ることができるのである。 これ らの楽曲は、同音連打 ( 同 じ音を 繰 り返 し奏するもの。 ド・ド・ド・ドや レ ・レ ・レ ・レの部分)や、順次進行 ( 先の 2 曲では順次下 行形。 ソ ・フア ミ ・レ ・ドの部分)な ど鍵盤演奏における最 も簡単な奏法で出来てお り、初めて鍵盤 楽器 に触れ る園児たちには最適な楽曲 と考えられ る。また短 く、繰 り返 しのある曲は覚えやすい。

5 歳児 クラスでは、4歳時に行った 『ドレミ山』の活動に ドシラソファミレ ドの下行形が加わる。

音階の下行形は 『十人のインディアン』や 『ひげじい さん』で学習 してお り 、1 オクタ‑ ヴ 8 音 によ る下行形の導入で音列理解 をさらに深 めてい く。『ドレミ山』は園児たちが喜んで行 う活動の一つで、

‑歩一歩 ゆっくり歩いてフラフープを渡る園児のほかに、ケンケンで渡った り、スキップを しなが ら

渡 るものなど、楽 しみなが ら活動す る様子が見 られてい る。ほかの園児が 『ドレミ山』 を行 っている

間、手拍子で仲間を応援 しなが ら ドレミを一緒に口ず さむな どして音階に興味を示す園児が多い。3

歳時か ら行っているメロディ模唱や リズム聴奏では、聴 き取る量が‑小節か ら二′ J 、 節に増え、シンコ

ペーシ ョンや十六分音符の リズムが加 わるな どかな り高度な課題ができるようになる。鍵盤ハーモニ

カでは、4 歳時に経験 した部分奏 に加 え、オブ リガー ド奏法を取 り入れた 『かえるの うた 』 『ぶんぶん

ぶん』が導入 され る。指導は音名唱か ら行い楽曲全体を把握す ることか ら始まる。 この二曲も園児の

よく知 る曲であ り、加 えて順次進行のみで構成 され るため無理な く演奏できる。 この段階までで鍵盤

ハーモニカの演奏 レパー トリーは 4 曲にな り、楽器や演奏 に慣れてか ら次のステ ップ として 『子犬の

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マーチ 』 『メ リー さんの羊 』 『歓 びの歌 』 『聖者 の行進』等 の応 用曲に入 る。 これ らの楽 曲は 5指 ポジ シ ョンで弾 けるよ うすべてハ長調 に移調 して指導 され る 。5 指 ポジシ ョン とは、鍵盤 の ドレミフアソ に親指、人差指、中指、薬指、小指 とを固定 させて音名 と指 、弾 く鍵盤 とを‑致 させ て演奏 させ る鍵 盤学習導入時に多 く用い られ る方法で ある。 この方怯 に よ り鍵盤上で手のポジシ ョン変更や指 くぐり

の心配がな く、演奏が比較的容易 に行 えるのである。 この頃になる と演奏前 に必ず行 う音名 唱にも慣 れ、園児 たちは正 しい音程 でメ ロデ ィに抑揚 をつ けて歌 うな ど、音楽性 と共 に確 かな ソル フェー ジュ カを習得 していることが確認 され てい る。 と同時に指示 を出 さず とも、音名 を口ず さみ なが ら該 当す る指 を動か し、鍵盤/、‑モニカの弾き真似 をす る子 どもが多 く、積極的に取 り組 む姿か ら鍵盤ハーモ ニカ指導が定着 してい る事 が確認 され てい る。練習 は 『音楽 あそび教室』以外 で も 日常時 に も行 える よ う、講師( 筆者)と担任保育士が連携 を図 り、練習方法な どの確認 がな され ている。『音楽 あそび教室』

では集 団指導のため、個別のケアが行 き届 きに くい。 そのため音楽会前な どは 日常の保育時に担任 が 園児一人一人にきめ細 かい指導 を行 っているo こ うした指導の積み重ねで 、M 園の子 どもたちの基礎 音楽力 が向上 し、卒園までに 8 曲程度 の演奏 レパー トリー を習得 しているのである。

② 楽譜や楽器の工夫点

器 楽指導 、特 に鍵盤楽器 において音名 とリズム とを楽譜 か ら読み解 く読譜 力は不可欠である。 しか し初 心者や幼児 に とって学習 当初 か ら読譜 を強い るのは非常に困難 で、特 に幼児 に とっては音楽情動 の妨 げに もな りうる。大人 も子 どもも鍵盤学習初心者 は読譜 を苦手 とす るものは多いO本学幼児教育 学科 に入学 した鍵盤 学習未経験者 も、数か月の器楽授業及 び 日常の練習 を経 て よ うや く楽譜 を読 める よ うになるものである。従 って M 園 『音楽あそび教室』で鍵盤ハーモニカ指導 を導入す る際 も、読譜 の煩 わ しさを取 り除 き、楽 しみなが ら簡単に楽 曲全体 を把握 し演奏 できる方蔭 を吟味 した。

+写真 3 1写真 4

まず使用す る鍵盤ハーモニカの鍵盤 上に ド・レ ・ミ ・フア ・・と音名 シール を貼 り、音 の位 置 が一 目で分 るよ うに した。 ( 写真 3)鍵盤 は通常黒鍵 と白鍵 か ら構成 され 、音名 を判別す るには黒鍵 2つ と 黒鍵 3 つ の配列 を認識 し、黒鍵 と白鍵 の位置関係 を理解 した上 で初 めて音名 が導 き出 され る。 この判 別作業 は ピア ノ経験者 に とっては容易なことであるが、幼児 に とっては非常に煩雑 で ドの音 を探す だ けで も保 育者 の援助 を必要 とす るところである。この煩 わ しさを無 くすために M 園では色鍵盤 を採用 した。色鍵盤 とは、色 のついた音名 シール を鍵盤 上に貼 った もので、 ドニ ピンク、 レ‑水色 、 ミニ黄

‑ 17

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色、フア‑黄緑、 ソ‑赤 と色分けが されてお り、使用す る色楽譜 と一致 させ てい る。色楽譜 とは色紙 を丸 く切 り取 りそ こに音名 を記 し、奏でる順 に模造紙上 に並べたものである。 この色楽譜 の使用 によ って鍵盤上の色 と楽譜 の色 とを一致 させなが ら、該 当す る鍵盤 を弾 くことで読譜が可能である。( 写真 4)仮名 が読 めない子 どもにも壁 に貼 られた色楽譜 を見なが ら、鍵盤 に貼 られたシールの色 を照 らし 合 わせ、色楽譜 の順 に探 り弾 きができるのである。色楽譜は演奏すべ き音 ( 音名) を確認 させ るため の ものでそ こには リズム情報 は含 まれていない。楽 曲に伴 うリズムは、指導の導入時に行 われ る昔名 唱指導 により習得 させているため、色楽譜 には音名情報のみが記 されてい る。

5 、ま とめ

前章にて M 園鍵盤ハーモニカ活動の指導法や工夫点を述べてきたが、クラス担任 ・副担任‑の聞き 取 り調査 ( 2008 年 1 2 月実施)を基 に、『音楽あそび教室』 における鍵盤ハーモニカ指導の有効性 と 問題点を探 り考察 を加 えたい。

まず現在行 われ てい る鍵盤ハーモニカ指導 について効果や感想 を聞いた ところ、 「 音名 唱 をす るこ とで楽譜 を見ず に弾けるので良い」、 「 音楽 あそび教室で行われ る活動の積み重ねで、鍵盤ハーモニカ 演奏ができてい る と思 う」、「 音名 唱を しなが らの運指練習は有効だ と思った」、「 色楽譜の使用が良か った」 と現行 の指導を評価す る回答が多数 を占めた。一方、鍵盤ハーモニカ指導で保育士が苦労す る 点 について聞いた ところ、「 す ぐ覚 えて しま う子 もいれ ば、時間が必要な子 もい る。どの子 も楽 しんで 取 り組 めるとよい」 、「 5 指 を使 える子 もいれば 、1 本指で しか弾けない子 もい る。 どう対応 した ら良 いか迷 う」、「 個別 の援助が必要なため、クラス全体が揃 うまでに時間がかかる」等の意見があがった。

一般的に鍵盤学習 は個人 レッスンまたは保護者が同席 してのグループ レッスシが主流である為、保育 活動時の集団指導では個々‑ のケアが行 き届 きにくいのが現状である。しか し M 国で行っているよ う

に、『音楽 あそび教室』の時間外で も担任 が特に鍵盤ハーモニカを苦手 とす る園児 に個別指導 を行 うこ とで、指導が行 き届 き全体の レベルア ップを図ってい るように感 じられ る。

加 えて M 園 『音楽あそび教室』の鍵盤ハーモニカ指導が毎年一定の成果 を上げている要因は、総合 的な音楽指導っま りソル フェージュの導入 によるものが大きい と考 えられ るのである。いきな り楽器 を与 えて楽曲指導か ら始 めるのではな く、まず予備段階 として、音程 を伴 った音列の習得 、模唱によ る音程感や リズム感の習得 ‑ ・。そ して鍵盤ハーモニカ導入時の音名 唱や運指練習 を経 て楽曲指導

‑ と進 めるこの方法は、鍵盤 演奏 に必要な要素 ( 音列の理解 ・音感 ・音程感 ・リズム感) を少 しずつ 身 につけなが ら行 うので、保 育現場では非常に有効である。特 に 『ドレミ山』や 『 模唱』 は子 どもた ちがゲーム感覚で 自ら楽 しんで行 う活動であ り、遊びの要素や子 どもの興味 も加 わ り学習効果 を上げ てい るといえる。

一方 5 指ポジシ ョンについては、親指は成人 も幼児 もほかの指 に比べて短か く、指の位置が他の 4

本 と大き く異 なるため、親指 を ドの鍵盤 に置いた場合、それ に続 く人差指、中指がね じれたフォーム

になって しまい演奏姿勢 に支障をきたす。鍵盤学習者が学ぶ 『お椀形の手』で弾 ければ問題 ないのだ

が、 この年齢での集 団指導下では徹底が図れず 、5 本指での演奏ができない 1 本指奏法の幼児が出て

しま うの も否 めない。従 って この年齢で親指‑ ドと、使用す る指 を固定 させ るべ きか と迷 うところで

ある。 ピアノの個人 レッスンで学ぶ幼児たちにとって親指で ドを弾 くとい う事は最 も基礎 的なことで

あるが、 これ は個人指導が行 き届いた レッスン下であるか らこそ成せ るのである。幼児期 は特に個人

の成長 ・発達の差が著 しい為 、保育現場 における集 団での器楽指導、特 に鍵盤ハーモニカ指導では、

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5 ‑ 指ポジシ

ン奏 を強い るので はな く 、 一昔‑ の興味や メ‑ ロデ ィ‑ を奏で るこ とで 得 る達成感 ‑ , ‑ 一 一 仲 間 とと ‑

一 二 一 ' 1 ir ‑事 1

もに音軒 ・ 、 、 演奏 を楽 しむ姿勢 を尊童 じ了態 弟 こ正 しい演奏 ラよこ去艮 ' と 療 <J さとミ が第 ' i i

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・ と 考えもF あ

ある。

本学幼児教育学科では保育者養成のため器楽指導 (ピア ノ) を行 ってい る。習熟度別 クラス編成 を とり、 ピア ノ初心者 と一定の レベル以上の経験者 の 2 クラスに分けて授業 を行 ってい る。 平成 21 年 度幼児教育学科新入生 に対 して、 ピア ノ経験度調査 (クラス分 け) を行 った ところ音楽 コースの学生 を除いた 95 名 の うち約 60% 程度が ピア ノ初 心者 と判 断 されたv iOその うち 20% 程度 は読譜、特 にヘ 音記号の読み取 りに苦労 していることか らも、音楽 の基礎 を習得 していない学生が多い こ とを示 して い る。 この ことか らも、保育現場 同様 に ソル フェー ジュを導入 した予備学習が必要 と考 える。楽譜 の 読みが不十分な学生 にい きな り楽 曲を演奏 させ るのではな く、 ト音記号譜 ・ヘ音記号譜 のメ ロデ ィ唱 等の鍵盤学習前 の トレーニ ング ・カ リキュラムを新 たに講 じ、読譜力 とリズム理解 とを徹底 させ なが ら鍵盤 学習 に移行す るのが望ま しい。 ただ、 これ は時間割や対象学生数 によって特別 クラスを設 け る 事がなかなか難 しいため、初心者 クラス内で も特 に基礎 訓練の必要な学生 には適宜対応 し、時 に個別 フォロー も必要 と考 える。

保育現場や本学幼児教育学科の器楽初心者 クラスで も、鍵盤演奏 を主眼 に した指導では総合的な音 楽力は習得できない。音楽の基礎 訓練 (ソル フェー ジュや読譜 訓練) を経 た鍵盤指導 に よ り、誰かの 助 けを借 りず とも楽譜 を読み、ある程度演奏で きる音楽的に 自立 した力 が養 われ るので ある。幼児 た ちは、音の出るもの‑の興味 と、初 めて 目にす る鍵盤ハーモニカ とい う楽器‑ の興味で 『音楽 あそび 教室』 で行 うさま ざまな基礎 トレーニ ングも遊びなが ら楽 しく活動 してい るため指導効果がみ られ た が、本学の よ うに短大生 ともなると、特 にピア ノ初心者 は苦手意識が優先 して しまい意欲的 に取 り組 めないのが実状である。苦手な学生ほ ど練習時間が短 い傾 向にあるよ うである。在学の 2 年 間で保 育 者 として必要最低限の演奏力 を習得す るためには多少ハー ドな トレーニ ングも必要 であるが、技術 の み追求す ると音楽本来の意義 を忘れかねない。音楽 の魅力 を再発見 しなが ら、将来保育現場 で音楽 の 喜びを子 どもたち と共有 できる音楽カ を備 えた保育者 になってほ しい と願 ってや まないのである。

≪ 謝辞 ≫

本稿 を纏 めるにあた りご協力頂 きま した、財 団法人極楽寺愛育園 みの り保育園の高橋比 呂美園長 先生は じめ諸先生方 に深 く感謝 申 しあげます。

i o b bl i gat o ( 伊):メロデ ィ同様 に楽曲全体 で欠 くこ とのできない重要なパー トで対旋律 ともいわれ る。

i i 西村政一著 『幼児 の器楽教育』建 畠社、 1 9 84 年、p.1 8

i i i 全国大学音楽教育学会編 『幼児音楽教育ハ ン ドブ ック』音楽之友社 、2005 年 、p. 5 6 i vヤマハ ・スズキ ・全音 、各社商品カタログよ り引用

v s o l fe ge ( 仏):現在 では もっ と広義 に総合 的な音楽基礎学習 を指 し、楽譜 の読みか ら楽典 ( 音楽理論) や聴音 ・新 曲視唱な どをい う。

v

i2 0 09 年 3 月 31 日プ レ ・オ リエ ンテー シ ョンにて実施O ピア ノ学習歴や学習 曲を問 う筆記調査 と

1 9‑

(8)

レベルの違 う ‑ 3 曲を畢 示 し自ら選曲させ 、10 分間の練習後その完成度 を聴 く実技調査か、 らク. ラス分け

を行 った。

参照

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本稿は徐訏の短編小説「春」 ( 1948 )を取り上げ、

1)まず、最初に共通グリッドインフラを構築し、その上にバイオ情報基盤と

名大・工 鳥居 達生《胎 t 鍵ゆ驚麗■) 名大・工 襲井 鉄轟〈艶 t 鍵陣 s 濾囎麗) 名大・工 彰浦 洋韓ユ騰曲エ鋤翼鱒騰

これらの定義でも分かるように, Impairment に関しては解剖学的または生理学的な異常 としてほぼ続一されているが, disability と

2012 年 3 月から 2016 年 5 月 まで.

【原因】 自装置の手動鍵送信用 IPsec 情報のセキュリティプロトコルと相手装置の手動鍵受信用 IPsec

ピアノの学習を取り入れる際に必ず提起される

年収 ~400万円 600~700万円 妻職業 専業主婦/派遣 専業主婦/フルタイム 住居 社宅/持家集合 賃貸集合 居住域 浦安市/印西市