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第二次審査(論文公開審査)結果の要旨

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Academic year: 2021

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第二次審査(論文公開審査)結果の要旨

Anti-CD137 monoclonal antibody enhances trastuzumab-induced, natural killer cell-mediated cytotoxicity against pancreatic cancer cell lines with

low human epidermal growth factor-like receptor 2 expression

CD137

抗体による

HER2

低発現ヒト膵癌細胞株に対する

Trastuzumab

ADCC

増強作用の検討

日本医科大学大学院医学研究科 消化器内科学分野 研究生 卓史

PLoS One.Volume 13,number 12,e0200664,2018

掲載.

doi: 10.1371/journal.pone.0200664.

切除不能膵がんの予後は極めて不良であり、様々な化学療法が施行されているが治療成 績は満足できるものではなく、副作用の問題もあり更なる治療法の開発が望まれている。

Trastuzumab (Tmab)は腫瘍細胞表面に発現する Human Endotherial Growth Factor Receptor- related 2 (HER2)を標的とし、Natural Killer (NK)細胞をエフェクターとする抗体依存性細胞介 達性細胞傷害(Antigen-dependent cell-mediated cytotoxicity, ADCC)により抗腫瘍活性を発揮 するモノクローナル抗体であり、乳癌をはじめとする HER2 強発現腫瘍に対する臨床的有 用性は周知のとおりである。HER2 は様々な程度でヒト膵癌細胞にも発現しており、Tmab の抗腫瘍活性を検証した報告が散見されるが、一般的に膵癌細胞のHER2発現は低く、効果 は限定的であると考えられてきた。しかし最近様々なモノクローナル抗体を用いたTmab ADCC増強が試みられており、特に抗CD137抗体は乳癌細胞に対するTmabの効果を増強 させることが報告されている。以上の知見に基づき、HER2低発現ヒト膵癌細胞株に対する TmabADCCを増強しうるモノクローナル抗体の探索および最適条件についてin vitro 検証を行った。

11人の健常者より採取した末梢血単核球から磁気ビーズ法によりCD3-/CD56+細胞をNK 細胞として単離した。HER2強発現ヒト膵癌細胞株Capan-1、HER2低発現株Panc-1に対す TmabADCC活性に関与するNK細胞表面分子を探索した結果、CD137を関連分子と して選択し、抗CD137抗体添加がTmabADCC活性に及ぼす効果についてLDH-releasing assay法により測定した。細胞表面、細胞内分子発現はFlow cytometryを用いて解析を行っ た。

NK 細胞のCapan-1 に対する ADCCTmab により著明に増強したが、Panc-1に対する

(2)

ADCCは微弱であり、Tmab添加による増強はみられなかった。NK細胞活性化に伴う表面 分子発現に Tmab が及ぼす効果を解析した結果、CD137 に発現増強が認められたため、抗 CD137抗体添加がPanc-1に対するTmabADCCに及ぼす影響を検証した。抗CD137 体添加によるTmabPanc-1に対するADCC増強効果には個体差があり、NK細胞表面の CD137発現増強の有無との関連が示唆された。この要因を明らかにする目的でFcγ receptor

Ⅲa多様性によるTmabNK細胞のFcγ receptorの結合親和性に着目し、抗CD137抗体添 加後のTmabによるPanc-1に対するADCC活性との関連を解析した結果、ADCC活性増強 効果は結合親和性の強いFcγ receptor IIIa -VV/VFを保有する群において、親和性が弱いFF を保有する群に比べ強く認められた。以上の結果より、抗CD137抗体は特にTmabと結合 親和性が高いFcγ receptor IIIa -VV/VFを有するNK細胞でHER2低発現ヒト膵癌細胞に対す ADCCを増強しうることが示唆された。

第二次審査では、HER2低発現株に対してTmab及び抗CD137抗体を投与した際の ADCC増強効果はHER2強発現細胞株に対するTmab関連ADCCと比肩しうるか、Tmab

及び抗CD137抗体投与の用量やタイミングについて、HER2発現が多い臓器とTmabによ

る免疫学的な副作用の関連について、TmabによるCD137発現増加、PaclitaxelによるNK 細胞数増加のメカニズム、抗CD137抗体の実臨床での成績や副作用についてなど多岐にわ たる質問があったが、いずれも本研究で得られた知見や過去の文献的考察から的確な回答 を得られ、申請者が本研究に関連する知識を十分に有していることが示された。

今回の検討から、ヒト膵癌細胞株に対するTmabを介するNK細胞由来のADCCが、抗 CD137抗体併用により増強することでFcγ receptor Ⅲaの遺伝子多型がADCC活性に関与す ることを示し、本邦で多数を占めるHER2低発現膵癌に対する抗CD137併用Tmab投与が 切除不能膵癌に対する新たな化学療法の可能性を示し、今後の展開を期待できる成果を得 た。以上より、本文は学位論文として価値あるものと認定した。

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