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紀 グローバル秩序構築 と社会経済 システム

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21世紀 グローバル秩序構築 と社会経済 システム

一 再帰的近代化 によるパラダイム転換 ―

は じめに

1.グローバル・システムとしての21世 紀世界経済システム (1)世界経済 システムの転換点

(2)21世紀世界経済システムヘの接近の視座 (3)世界経済システムの諸段階 とその展 開構図

2.現代の社会経済システムの構築―資本主義 システムの世代遷移 (1)世界 システムと市場基盤型社会経済 システムの諸段階 (2)社会経済 システムー資本主義 システムの世代論

(3)21世紀世界 における知識情報 イノベーシ ョンーITによる脱構築

3.21世紀 グローバル世界の社会経済イノベーシ ヨン

(1)地球上の文明の発展 と発展制約一 ローマ・クラブの問題提起 (2)世界 システムにおける持続可能性の重要性

(3)21世紀世界経済 と低炭素型社会経済 システム おわ りに

は じめ に

いま、21世紀の初頭 にあつて世界 は、大 きく変容 している。 この世界 に生起する事象は 多様 であ り、地域 によ り時代 により大 きく異 なっている。 しか し、同時に世界 に見 る事象 には既視感があることもしば しばである。 まさに、再帰的現代化 ともいうべ き状況が、見 られるのである。

その現代化 は、 またグローバル化 (世界化

)、

イノベーシ ョン (草新 ・技術革新)によつ て現れるが、地域や国によつて異なって現れる姿は、多様性 に富んでいる。これが、グロー バル・システム としての21世紀世界経済 システムの姿 に他 ならない。 ここでは、現代か ら 過去へ の視座 を現代か ら未来への視座 として歴史 における近代 的再帰性 を基盤 に し、これ までの世界経済 システムにおける社会経済過程 を踏 まえつつ、再帰性 を基礎的視角 にして、

現在か ら未来 に現れる現代化 としての21世紀世界 システムを読み解 こうとするものである。

新 しい21世紀の初頭 にあつて、本稿 は、東 アジア、 とりわけ北東 アジアヘの接近 として まず グローバル・システムの遷移を基礎的視角 とし、 さらに当該地域 についての諸課題 を 世界的広が りのなかにおいて とらえようとした ものである。グローバル・システムのあ り 方 に接近 しようとする時、社会科学 を中心 に した人文社会科学系 の視座 と手法か ら研究 を

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島根県立大学F総合政策論叢』第16号 (2009年 2月)

進 め、発展 させ る ことが、 ます ます必 要 となってい る。 ここで は グローバ ル・ シス テムヘ の接 近 の視 座 と して 「再帰 的近代 化 (renexivc modemization)」 アプローチの視 点 か ら接 近 したゆ。 この方法 は、研 究者・認識者 の拠 って立 つ時代 の視 点 を基盤 に しつつ、 これ を 基軸 に して近代 の歴史的事象 に接近 し、社 会経済分析 等 を行 い、 これ を基盤 に視 点 を旋 回 し、「近代」 を問い直 し、未来 を展望す る志向性 を持 ってお り、新 しい研究領域 を積極的 に切 り拓 いて行 こうとする歴史科学 としてのカテゴリーに属 している。

い ま、グローバル時代 にあって新 しい課題 に接近するための社会科学的な視座の確立 と 手法の創 出が求め られている。このため、再帰性 アプローチは、地域紛争、民族問題、環 境問題 な ど人間の諸活動 にともなって国民国家の枠 を超 えて生 じているさまざまな課題 と 現象 を考究 し、政策的な方法的な視角 を確立することを可能にす る。 この方法 は世界経済 の視点 を超 えたグローバルな認識の視点であ り、グローバルな地域研究、グローバルな地 域政策の基盤 となるものである。

地域的な視点を超えて、グローバルな視点か ら社会経済システムという社会認識のフレー ムの もとで、食料、健康、人口、エネルギー、ライフスタイル、価値観、教育システム、

科学技術 、情報、参加 とパー トナーシ ップ、民主主義等々に接近 しようとした ものが本論 文の認識 フレームである。 この認識 フレームの もとで、国際 ・地域関係、地域社会 システ ム、科学技術 開発、知識情報技術 (IT)の社会への適用等の課題 に関する研究のあ り方は、

いずれ をとってみても、社会的なグローバルな視点か らの知識の統合 を要求されるととも に、 これ を基 に個別具体的な場 に根 ざ した政策方法 として活用す ることを必須の ものとし ている。

l。 グロ ーバ ル ・ システ ム と しての21世紀 世界経 済 システ ム (1)世界経 済 システムの転換点

いま、世界経済 システムは、大 きな転換点にたっている。それは、近代世界経済システ ムの終わ りの始 ま りである。いま、世界経済 システムを研究の対象 とすることは、単に歴 史世界 にお ける世界経済 システムを考察することではな く、この歴史のダイナ ミズムを前 提 に しつつ、現在生 じている多様 な経済社会現象の現状分析 を行 うことであ り、その延長 線上 に世界経済 を構想することで もある。

い ま、世界経済 システムに関 してアプローチすることの意味付 けのため、総体 としての システムの動態的な分析、及びそれに基づいた展望 を示す ことが求め られている。その認 識手法は、必ず しもこれまでの歴史的な展開の延長線上 に世界経済 システムの構図を描 く

ことではない。

日本社会 は、19世紀後半の近代化 に始 ま り、第二次世界大戦後、敗戦 とい う歴史上未曾 有の経験 ですべ てを失 った出発か ら半世紀余 りの中で、経済面での成功 と低迷の時代 を経 験 して きた6たしかに日本経済にとっては試練の時代 ではあったが、同時にそれは経済復 輿 と、それ を乗 りこえ20世紀後半期のシステムを構築 し、欧米的な豊か さを追求 して きた 時代 であった。

この歴史的 な時点に立 って見るとき、いま日本の社会経済システム、社会産業文明のあ りかたが問われている。 これまで 日本の文明は、先進文明を受容 し、文明の高度化 を図つ てきた。古代 においては中国か ら、そ して近代化 の出発点では西欧文明を受け入れ、文明

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の再構築 を行 って きた。いま、先行す る引照すべ き先進文明は存在せず、フロンティアを 開発 し、独 自の文明を築 くため、 フロン トランナー として自らが シナ リオを描 き、それに 基づいて社会制度・価値体系 を創 出 し、 自己の文明を創造 し、文明の発信 を進めることが 必要な時点に立 っている。

(2)21世紀世界経済 システムヘの接近の視座

20世紀 システムの限界があ らわ とな り、これを超 えた新 しい世界 システム、及 び社会経 済システムを模索 している。

第一 に、現在 と未来のシステムは、国内システムとしてだけではな く、世界 システムの 中に生 き抜 くとい う指向性が求め られてお り、水平的な再帰性 (horizontal renexivity)、

垂直的再帰性 (vertical rcncxtivity)を 構成す る。 日本の社会経済システムが世界 システム と有機的に結びつ き、相互関係 を形成す るとき、両者は共生可能 となる。そこでは、世界 システムが上位 システム として、下位 システム としての 日本の社会経済システムを一方的 に規定するので もな く、他方 日本のシステムが一方的に世界 システムとして自己を主張す ることで もない。本来、経済システム間等での水平的な関係 を作 り上げてこそ両者は、補 完的関係 をもって一つの有機的な世界 システムとなるのである。

第二 に、21世紀世界ではこれまでの「成長」志向か ら「発展Jへの社会経済 システムの 枠組みの変革が求め られている。広 くいえば、長期マクロ枠組み としての地球経済の「持 続可能な発展」が これか らの社会経済 システム発展で基本 となる。言 って見れば、「量の 拡大」 よりも「質の発展Jが求め られているのである。 この持続可能な発展 こそは、世界 システム、社会経済 システムの時間軸か らす る再帰性 として歴史の再帰性 (histottcal rc―

cx ity)に他 ならない。 この「持続可能性Jは、多様 な文明 。文化 システムが、 この世 界 に存在 してお り、社会経済システムの共存 システムの構築が、 ます ます大 きな課題 とな る。

第三 に、現時点でははっきりとこれか らの世界 システムにおける新 しい姿、構造が見え て きているのではない。その構造、その形成の方向性、システムや枠組みの実効的な可能 性 とその要因が、必ず しも明確 な形 をとって現れて来てはいない。 これか らの21世紀の世 界 システムを展望するに当たっては、それを構成する社会経済 システムの構造 と機能 を解 析 し、統合する戦略的な認識手法が欠かせない。 このため、ここでは世界 システムを分析、

構成、そ して展望す る認識手法 として再帰性 (wond system rcncxivity)の 視点か らアプ ローチを試みることとした。

21世紀初頭の現在、依然 として一層の現代 の文明には経済発展へ強い圧力がかかってい る し、アジア地域の経済発展 は量的成長 を目指 しているようにみえる。そ して現在の大不 況、失業そ して貧困か らの脱却のため、いたるところで さらなる成長が叫ばれている。そ れは、多数の地域 ・国家、それにそこに住 む人々への消費の拡大 を求めるものである。大 量消費の結果、生産のために資源 を浪費 し、大量の廃棄物 を排 出 し、この地球環境はます

ます悪化することになる。

現代 の社会経済 システムにおいては、「経済成長」 と「経済発展Jとは異 なる軌道 を展 開する。 ここで、成長 とは物質的な拡大軌道 をとることであ り、発展 とは人や社会の質的 な可能性 を実現することに他 な らない。数値 に転換 された国内総生産 (GDP)1よ、 これを 区別することな く、あ くまで量的指標 として提示 している。 この21世紀世界 にあって「持

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鳥根県立大学『総合政策論叢』第16号 (2009年 2月)

続可能な発展」 を実現するには、単 なる経済成長か ら経済発展 に転換す ることが重要であ り、生産や消費の量的拡大ではな く、社会経済 システムの質的変革 を必要 としているので ある。

(3)世界経済 システムの諸段階 とその展 開構 図

21世紀世界経済 システムの構図 を描 くことは、構造転換期 にあってノン・リエアな視座 に立つ ことに他 な らない。21世紀 に展 開する (資本主義 システム3.0〉 は、先行す る20世 紀の (資本主義システム2.0〉 を組み替えなが ら、システム構築 を進めているか らである。

い うまで もな く、20世 紀 の社 会経済 システムは、 その中核 をなす (資 本主義 システム

2.0〉 を基 に展開された ものである。

そ して21世紀の世界経済、社会経済 システムは、先行する 〈資本主義 システム2.0〉 構造 を組み替 え、新 しい関係性 を創造 しつつ、 〈資本主義 システム3.0〉 を展 開す ること になる。現代 の世界 システム、 また世界 システムの経済連関・循環か ら構成 される世界経 済システムは、水平的な再帰性 を伴 って展 開するのである。

現代の世界経済 システムの特性 は、20世紀型や19世紀 における資本主義 システム とどの ように異 なるのか、 また、 どの ような特性 を持 っているか、 を明 らかにす ることが重要で ある。 この特性 を帰納法か ら抽出するのではな く、む しろ全体 としての世界 システムをま ず把握 し、 ここか らシステム特性 を探 り出す ことが必要であろう。

史的システムとしての世界 システムに関 して、 ウオーラーステインは、「世界 システム」

分析の認識手法、及び時代 区分 を設定 し、対象 としての世界 システムに関 してダイナ ミッ クにアプローチ している

D。

対象 としている時代 は、近代世界 を準備 した15世紀 に始 まる 地中海世界 を始点 として世界構図 を描 こうとしている。 この世界 システムの認識 は、確か に長期的な視点か ら歴史的視座 を設定 し、対象 にアプローチす るとい うことでは、極めて 重要な方法 といえる。また、歴史学のアナール学派の代表的存在であるフェルナン・ブロー デルは、 ヨーロッパの大航海時代が もた らした世界的交易 を起点 に、世界 は政治経済・社 会的差異 を包含 して機能する一つのシステム化 し、これが、今 日に至るも続 くもの として、

世界 を単一のシステム とする巨視的な観点による、政治経済学 と社会学 を包括 した世界 シ ステム論 を提唱 している。

また、ア ン ドレ・グンダー・フランクは、Fリ オリエ ン トー アジア時代 の グローバル・

エ コノミー』において世界経済が、グローバルな交易の回転木馬は、再びアジア世界に回 帰するとしている。その対象 とす る時代 は、1400年代か ら1800年代 となってお り、近代世 界形成の前段階に当たつている♪。

2,現代 の社 会経 済 システ ムの構 築 ―資本 主義 システ ムの世代 遷移 (1)世界 システム と市場基盤型社会経済 システムの諸段階

近現代の世界 システムは、資本主義 システムを基盤 に構成 されているとの認識か ら、本 稿では、17世紀 に始 まる近現代資本主義 を基盤 とする世界 システムに対 して、再帰性の視 角か ら接近することとした。21世紀の今、ここで対象 とする世界 システムは、た しかに超 長期の時間的な拡が りを持つ社会経済 システムか ら構成 されてお り、その長い発展過程で 蓄積 された富、そ して知識 を基盤 に している。 さらにアダム・ス ミス『国富論』 に始 まる 近代世界認識の視座 は、近代世界の基盤的要素 として土地 ・労働 ・資本 を設定 してお り、

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 近代 世界 にお け る産業社会 の展 開構造― 世界 システム・産業パ ラダイム ・科学技術 資本 主義 システム1.0

第一次産業革命 (1760‑1890)

資本主義 システム20

第二次産業革命 (1890‑1980)

資本主義 システム3.0 第二次産業革命

(1980‑)

1,世界経 済 シ ス テムの主導 的パ ワー と社 会形態

パ ックス・ブ リタニカ

(Pax Britalaica)

近代植民地主義 の時代 近代 産業 国家 の形成 と 展 開 :英 国の「世界 の 工場J

イギ リス的生活様式 の モデル化 と国際的拡散 通貨体制 i金 本位制

パ ックス・ アメ リカー ナ (Pax Americana)

「社会主義」体制の成 立 ・展開・崩壊 と米 ソ 冷戦

産業文明 としての自動 車文明の興隆

大衆消費社会 とアメリ カ的生活様式

通貨体制 :管 理通貨体

U

パ ックス・インフォマ テイカ(Pax lnfomatica) グローバ ル情報革命 サ イバ ー産業化 に よる サ イバ ー空 間・経済の 形成

アジア地域 の経済発展 と世界経済 システムの 再編

通貨体制 :情 報本位制

2.産業パ ラダ イム転換 と情 報 メデ イアの 産業革新

近代 的生産分業 システ

機械制生産方式の確立、

クラフ ト的生産 システ

繊維産業、工作機械産

蒸気機 関の開発 印刷技術 の革新 電信技術 開発 近代 的新 聞の登場 マス・コミュ̲ケーンヨ

ンの形成

近代 的大量生産体 制 の 確 立及 び拡散 ・成熟 大量生産 。消費 シス テ

自動 車 産 業 の成 長 と成

機 械 、航 空宇 宙 、情 報 通信 産業 等 の イ ノベ ー シ ョン

マス・コミュニケーシ ョ ンの成 長 と成 熟 コ ン ピュー タ技術 の誕 生 とイ ノベ ー シ ョン

情 報 技 術 (IT)に よる デ ジ タル文 明 の形 成 地 域 内 国際分 業 シス テ

IT産業 の技術革新 ネ ッ トワー ク技術 の進

情報化 としての産業化―

知識情報革命 サ イバ ー経 済空 間形成 知識社 会の知識情報 リ テ ラシー

3.科学技術 シ ステム、情報 メデ イアの更

印刷技術 の革新 電信技術 の導入 近代 的新 聞の登場一 初 マス・コミュニケーショ

ンの形成

産業 テ クノロジー と科 学 の分立

近代科学技術 システム の形成

技術 中軸 の イギ リス

近代 電話通信 の普及 マス・コミュニケーショ

ンの成長 と成熟 コンピュー タ技術 の誕 生 とイ ノベー シ ョン 企業 内の技術研 究制度

(研究所)の確立 国家 に よる科学技術研 究 の役 割増大

技術 開発 中軸 の アメ リ

情 報技術 (IT)に よる サ イバ ースペース技術 デ ジ タル技術 に よる技 術融合 と情報 メデ ィア 技術 の イノベ ーシ ョン 企業の研究開発のグロー バ ル化 と国際技術移転 研 究 開発拠点の国際分

地球温暖化等へのグロー バ ル な取 り組み

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島根県立大学『総合政策論叢』第16号 (2009年 2月)

生産手段 としての「資本」の蓄積 に注 目している。

近代 の資本主義 システムは、まず、イギ リスに始 ま り、資本の再生産機構 を確立 し、 さ らに市場経済 の発展 を促 したのである。それは、それ以前の制度 ・生産機構 とは異 なるも のであ り、 ここに資本の再生産メカニズムが確立 した。 この再生産のメカニズムが、イギ リス経済 に生 まれ、社会経済の再生産が、軌道に乗 ることになったのである。近代 の第1 期 の資本主義 システムに他 ならない。

1期の資本主義 システム 〈資本主義 システム1.0〉 の基盤技術 は、基本的には機械技 (Machinc Tcchnology:MT)で あ り、機械 をつ くる機械 として工作機械が、開発 され、

機械製造が近代化 されたのである。 この時代 の社会経済 システムを基 に構成 された社会経 済学の体系が、マルクスの『資本論』である。マルクスは、 この初期資本主義 としてのイ ギ リスの資本主義 を資本主義の典型 と考 え『資本論 (Das Kapital)』 を著 したのである。

ここでマルクスは、資本の展開する世界である初期 イギ リス資本主義の姿を生 き生 きと描 きつつ、それ を歴史世界の中に位置づけようとしている。

マルクスは、同時に資本主義システムの矛盾 。問題点 を指摘 し、そのシステム崩壊の必 然性 を論証 しようとした。 この資本主義 システムは、 く資本主義 システム1,0〉 ともい う べ き資本主義の初期段階にあ り、それが、発展のサイクルを終わ り、終わることを論証 し ようとしたのである。すなわち、マルクスは、階級史観 に基づいて社会主義革命 により資 本主義は終焉 し、社会主義段階を経て階級のないユー トピアである共産主義社会が到来す る共産主義革命 の必然性 を説いた。いわゅる科学的社会主義の主張 に他 ならない。た しか 20世紀初頭 、ロシア革命 により社会主義社会のソ連邦が誕生するが、社会主義体制のマ ネジメン トに限界があ り、革命後70年余 に してこの社会主義国余は、崩壊の運命 をたどる ことになった。

これは、19〜20世紀 の近代世界史のなかで再帰的近代化 (rcncxivc modemizttion)の 点か ら見 るとき、極めて示唆的な歴史展開 といえる。 ロシア革命の指導者 レーニ ンは、資 本主義 を打倒 し、社会主義政権の樹立 をめ ざし、社会主義経済 システム、いわゆる計画経 済 を確立 しようとした。 しか し、その社会経済 システムは、労働力、及び社会的資本の再 配置、再配分 に無理があ り、長期 にわたって正常 に機能することは無 く、ついに社会主義 経済 システムは、 自己崩壊するに至 ったのである。19世紀 ロシア資本主義 システムを乗 り 越 えて社会主義 システムを構築 しようとす る近代化への試みは失敗 に終わ り、ソ連 は再び ロシア として再帰的近代化の道を歩むことになったのである。

(2)社会経済 システムー資本主義システムの世代論

社会経済 システムの現代化の基盤 となる、第二期 の (資本主義 システム2,0〉 は、世界 経済 システムの20世紀 システムに他 ならない。 この社会経済 システムは、市場 システムを 基盤 に して構成 されているが、同時に公共的資本の果たす役割 も大 きいのである。現代社 会 においては市場 システムを抜 きにしては、21世紀の社会経済 システムは、成立 しえない

ものである。

資本主義 システムは、その社会、経済、及び技術の各面 において新規の技術の可能性 を 求めて新 しい技術 を開発 し、技術的なものを先行するシステムを一方では模倣・継承 し、

新 しい技術 を開発することになる。 これは、技術 開発 に当たって改良 と新規開発の相違は あるが、共 に新 しい時代 を形成する技術群 に他 ならない。

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ここで、資本主義の第一期 〈資本主義 システム1.0〉 を反映 して、 く資本主義 システム

2.0〉 が構成 されることになる。それは、先行す るシステムを構成す るシステムない し技 術が、その改良・改革 を経 て、先行す る技術特性 を反映 (rcncxivc)しつつ、新 しいシス テムにバ ージ ョン・アップす る場合 もある。それを最 もよく代表するのは、産業社会の基 盤技術である工作機械等の一般機械技術体系 に他 ならない。また、先行する段階には存在 しない、 まった く新 しい技術 システムが開発 されることもあ り、それが次代 に継承 される こともある。

この反映は、技術移転の形 を取 って地域 間で も生 じるのである。当初、 自動車 は、19世 紀 にヨーロッパに登場 したが、 これが、新大陸アメリカの技術体系 に反映 し、20世紀初頭 にフォー ド社が、 自動車の製造・販売 に成功 をお さめて、20世紀産業革命の典型 となった のである。その再帰性 は、欧州か ら新大陸に反映 して、産業国家形成の基盤 を構成するこ とになった。 この技術体系 を基 にしてアメ リカは、第二期の産業革命 を遂行 し、グローバ ルな存在基盤 を確立 したのである。19世紀産業技術の再帰性が、20世紀 に新 しい段 階での 再帰性 として現れたのである。

その最 も典型的な技術 は電子技術 (electronics)イ こ他 な らないが、 この技術体系 は、第 二次産業革命期 に、当初、 アメ リカで軍事技術 (military tcclulology)と して開発 され、

そ れ が 技 術 移 転 に よ っ て 、 社 会 経 済 シス テ ム の頭 脳 神 経 系 技 術 と して情 報 技 術 (InfomatiOn Technology:IT)と い う社会経済 システムの技術的基盤 となったのである。

いま第三次産業革命の時代 にあつてその再帰性 は、多数の技術 システム、市場 を基盤 と するが、多様 な経済 システムの絡み合いのなかでグローバルに展 開 してお り、 まさに複雑 系 システム として展 開 している。当初、 アナログ技術 として開発 された情報技術 は、1930 年代、戦争技術 としてデジタルITが開発 され、連合軍、特 にアメリカ軍 は、戦争遂行 にこ れを活用 し、戦争遂行上の技術優位 を確立 したのである。 これが第二次大戦で優位 をもた らす基盤 となったといえる。なお、この電子技術開発の基盤的地域は、米 シリコン・バ レー に他 ならない。

さらに、ITに加 えて、新 しい↓支術体系 であるバイオ技術 (Bio Techn。logy:BT)等の技 術 開発が進め られ、科学技術進歩は世界経済のめざま しい発展 をもた らした。 しか しそれ は同時 に、 地球環境 問題 、 格差 、 貧 困 な どの問題 も引 き起 こ した。 さ らに金融技術 (Financial Technology:TT)の 発展 によ り、マネーが国境 を超 えて移動するようにな り、

またその価値 を擬制資本化することによ り、マネー活用の極大化 に寄与 して きたのである。

(3)21世紀世界 における知識情報 イノベーシ ョンーITによる脱構築

21世紀の現在、社会経済 システムは、IT(Inforlnation Tcclutology)を 基盤 とする知識情 報 イノベーシ ョンを進めてお り、社会経済 に大 きなインパ ク トを与 えている。 この社会的 特 性 か ら知 識 情 報 社 会 (IntclllgCncc―Infomation Society)、 また知識 社 会 (Knowledge Socicty)と いえる。 この社会 は、デジタル技術 を基盤 にしてお り、IT革命が社会のあ り方 を大 きく変 えているのである。ITは、社会 システムの構造、機能に変容 をもた らしている。

現代 の文明社会では「3つCJ、 す なわちcivllization、 Culture、 Communicttionが 、 グ ローバ ルなデジタル・ネッ トワークによって連結効果が発揮 され、このIT技術の再帰的な 特性 としての くつなが りlilucagC〉 によって新 しい知識情報社会が誕生す ることになる。

この知識情報社会では、デジタル技術 によってデジタル系 と生命系、そ してコミュニケー

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IT(情報技術)

島根県立大学『総合政策論叢』第16号 (2009年 2月)

 21世紀 グローバ ル ・システム を支 える4つの基盤的技術体系

F「 (金融技術) 地球環境 MT(機械技術)

シ ョン系がつなが り、認識 ・創造す る主体系 との連結が可能にな り、高度の知識情報文化 が構築 されることになる。 こうしてデジタル系 としてのCivttization(文明、社会

)、

生命 系 としての Culture(文 化、環境

)、

そ してまさに主体系 としてのCOmmunication(創造、

交流、言語)がつなが り、新 しい時代 の情報文化が3C連結 によつて立ち現れる。

この3C連結は、光回線等のブロー ドバ ン ド・ネッ トワークをプラッ トフオーム として 実現することになる。デジタル系 と生命系の連結では環境・文化 としてのソフ トウエア・

ネ ッ トワークが形成 され、た とえば製造業の現場でデジタル技術 十ソフ トウエア (環境 ・ 文化)+現 (ヒューマ ンウエア、主体系)の結合 によつてモノ作 りの本当の競争力が強 化 される。 また、言語 による表現・ コミュニケーシ ョンでは、文化技術 としての言語 ・ソ フ ト(画像 。映像 など)という情報文化 としてのソフ トウエア、メデ イア生産が行 われる ことになる。

知識情報時代の3C連結 は、 これ までの工業社会の風景 を超 えて新 しい社会的現実 を生 み出す ことになる。音楽や映画の映像情報 メデ イアは、ブロー ドバ ン ドの力 を借 りてこれ までのスタジオとい う狭 い固定的な空間か ら飛び出 し、離れた場所 にいる演奏者や演技者 の熱演 をリアルタイムに感 じることが可能になる。ブロー ドバ ン ド・ネ ッ トワークは、地 域的、グローバルなプラッ トフオーム として リアルタイムの応答が求め られる教育、医療、

各地域で整備が進め られている電子行政、またグローバル化す る電子商取引 を促進 し、社 会経済的なリアリテ イを変容 させ ることになる。 こうして知識社会ではプロー ドバ ン ド・

ネ ッ トワークをプラツ トフオーム として多様 な知的活動が展 開 し、知的創造が行 われ、社 会経済的価値創造の能力 を高めることになる。

現代 の く資本主義 システム3,0〉 における社会経済的な活動 は、それぞれの過程 で互 い に関連 しなが ら、それぞれの領域で新 しい価値 としての知識体系 を創出 して行 くことにな る。教育 (cducnion)、 金融 (inallcc)、 物流 (logistics)、 サー ビス (service)な どの社会 経済活動のなかで新 しい価値 としての知識創造が行われているのである。

すでに幻 となって しまった「社会主義」経済学、 またそれ を基礎づけるマルクス経済学 では物的労働過程のみに付加価値創造が行 われ、その他の物流、サービス、あるいは金融 などの分野では、独 自の価値の創造 は行 われない もの とした。製造業 (manuttcturing)の

BT(バイオ技術)

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生産過程で生産 された剰余価値が分配 されるもの として きた。 これは、 まさに産業資本主 義の社会経済 システム (資 本主義 システム2,0〉 の認識 に他 ならず、物的生産のみが、社 会的実在性 をもっている もの とされたのである。

19世紀末か ら20世紀前半 にかけて活躍 した米国の経済学者ヴェブ レンの提起 した「不在 所有 (おsentee Ownttship)」 論 は、資本主義の社会経済 システムに対す る問題提起 として 極めて示唆的である。 ヴェブ レンは、人間が必要以上の経済活動 を行 うようになった現代 資本主義の基礎 には経済主体が不在化 される「不在主義」 という特質が存在すると指摘 し た。 この不在主義は、経済の実体か ら用益権 ・使用権のみが取 り出 され分離 されて他の利 用主体の もとでの活用が図 られる「不在所有」 に典型的にあ らわれるとい う。

これは明 らかに当時の米 国社会 における消費分野や生産分野 に顕 れていることを慧眼な ヴェブ レンは、読み とったのである。例 えば、1世紀 も前 にヴェブ レンは、「見せび らか しの消費」 とい う形態 をとって「不在消費」が顕示 し、その信用 を活用 して「予想J又益力 の資本化」 とい う過程 を経 て、「不在生産Jが行 われるとした°。

この ような近代の社会経済 システムは、責任の分散、価値の多様化、秩序の解体の様相 を帯びてお り、その限 りでは極めて危機的な状況にあった といえる。 しか し、当時の工業 社会の急速な展開という視点か らは見 ると、アメリカにおける第二の社会経済イノベーショ

ンによって新 しい社会経済 システムが形成 されつつあったことを示 している。

ここにい う「不在主義Jとは、ひとつの活動主体か らの譲渡 ・貸与等 によつて財サービ スの利用主体が本来の活動主体か ら別の活動主体 に変わることである。 この ように「利用 主体が変わる」 ことで多数の利用が可能 となる。ひとつの財 について利用主体が複数存在 することにな り、複数主体 の一部分 は不在 となる。 この ような不在主義は、財の所有者 と 使用者、利用者 との分離が行 われた結果 を示す ものであ り、20世紀初頭か らの米国資本主 義の必然的な トレン ドであった。そ して、いま様 々な金融商品を見 るとき、この「不在制」

が、 まさに極 限まで展 開 し、 これにより、「サブプライム」商品開発 に見 られるように資 本 は、 ます ます「有効 にJ危険なまでに活用 されることになっているのである。

ひとつの財 をふたつ以上の もの として利用することが可能になれば、社会経済の基底 に 不在性が生 じることになる。現代社会 においては消費の過剰、ない し過小 は、物的な消費 を超 えるところに成 り立つ ことがで きる し、また物的な生産領域 を超 えているのである。

こうして、 ヴェブ レンの提起 した「不在」は、近代社会経済の本質的な在 り方 を狭 るもの である。現代 の知識情報社会 においては、工業時代 か ら見れば「不在」 とされ、 まさに虚 として「不在」 とされた社会経済活動が、現在の社会経済 システムの下では「有在Jで り、実体性 を持 つているのである。そ して、 これを基 に して社会経済活動が展開 されてい ると言わねばならない。

物的生産 を基盤 とする工業社会か らすれば、た しかに「情報」 は虚 として「不在Jの 在であ り、 また多数の利用主体が存在 して初めてその社会経済的機能 を発揮 しうる。 とこ ろが、所有す る知的財産 などの資本一情報 を不活性化すれば、現在 の知識情報社会におい ては、社会的な意味 を失 うことにな り、社会的な存在意義 を持たないことになる。

現代 の知 識 情 報社 会 で は 「情 報」 を基 盤 にそ れ ぞ れ の情 報 プ ロセ ス (InfOmatics Process)が 展 開 され、そ こで価値倉1造、知識創造が行 われるのであ り、 これ こそが価値 創造のチェー ンなのである。医療、福祉、介護、教育、環境、娯楽、文化 ・芸術等の分野

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で活動する社会起業家 は、 まさに情報 プロセスを担 うものであ り、そこでは市場でやって ゆける もの と、市場 に乗 らない ものは公的支援で行 って きたが、 これか らは両者の中間の ス タイルで起業家が実現することになるもの と思われる。

この社会経済システムの多様化、また変容は、まさに現代の知識経済への構造転換によっ て可能 となったのである。かつて工業社会では、ヴェブレンが指摘するようにた しかに文 化 は消費であ り、非生産的活動であった°。

現代 の知識経済 を基盤 にする知識情報社会では文化や娯楽は、知的活動であ り、頭脳労 働その ものの一部 とな り、知的労働の生産性 を上げるために必要なものに変わるのである。

こうして教育、医療、福祉、そ して財の生産活動 と知識生産 ・創造の情報 プロセス とはパ ラレルに増加 して行 くことになる。

第二次産業革命期 にある知識情報社会においては、不在 とされたこれ ら社会経済活動が、

生産の有機的な活動 として、 まさに「実在Jとなって現れるのである。 こうして知識情報 社会の社会経済領域 における情報チェーン (hfOmttic Chain情報連鎖)が、情報 メデ ィ アをもとに形成 されるのである。

知識情報社会においては、情報 メデイアは単 に社会経済 コンピタンス (能)を高める だけで はな く、社会情報 プロセス (Socio―hfomatic Proccss)を 変 えて行 き、更 に社会経 済 プロセス (Socio―Economic Pl・ocess)、 社会経済メカニズムに変革 をもた らす ことになる。

同時に、社会情報 プロセスその ものが情報メデ ィアを変 えて行 くとい う複合的な相互に影 響 しあっているのである。社会情報 プロセスは情報 メデ ィアに一方的に規定 されるのでは な く、 また情報メデ イアがプロセスを支配するので もない。両者は、相互 に関連 し合 って 新 しい社会経済 ダイナ ミズムを生み出 して行 くのである。

情報 メデ ィアは、情報 テクノロジーを中核 にして編成 されるが、社会的、経済的、政治 的な諸要因が介在す ることによっては じめて現実性 を持ちうるのであ り、これ らが複合 し、

影響 しあいなが ら、現実的なかたちをとって現れて来るのである。社会一技術一経済一政 (Socio―Techno―Economic Proccss i STIDの 諸要因が、それぞれ連関 し合 って社会経済 システムを形成 しているのである。そ して、社会や人間の持つ多様 な想像力 と創造力が、

メデイアの可能性 を引 き出す ことに成功することになる。

現代 の情報 メデ イア、ITが約束 しているのは、テクノロジーの可能性 に過 ぎないのであ り、それを受け入れる恨1の社会、人間の側の価値感、社会経済の リアリテ イと将来への信 頼が情報 メデ イアの態様 を決めることになる。それは、ITが、現代 の社会経済 システムを 脱構築する可能性 を持 っていることに他 ならない。

現代の知識情報社会では、環境 ・文化 としての ソフ トウエア/ネッ トワークが情報文化 の形成 に重要な意味 を持つ ことになる。ここでネ ッ トワークを介 した価値創造が行 われる のであ り、 まさに、プラッ トフオームは、価値創造の場であ り、知識情報社会の基盤 とな るのである。新 しい知識情報社会の情報文化 は、 こうして多様 な言語・コミュニケーシ ョ ン、そ して情報技術 による表現、価値創造 としての知的文化であ り、新 しい地平 に立つ こ とになる。

3.21世紀 グローバ ル 世界 の社 会経済 イ ノベ ー シ ョン (1)地球上の文明の発展 と発展制約一 ローマ・クラブの問題提起

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この地球上 に生 まれた人類社会の文明は、すでに21世 紀 を迎 えてい る。 この人類文 明 は、

いわゆる先進工 業諸 国 を中心 として、先端科 学技術 を基 に して科学↓克術文明 を構築 し、 こ れ を基 にかつ て ない高 い経済発展 を実現 して きた。 その中核 的 な位置 にある産業技術 の発 展 は、地球大 の経 済活動 を通 じて広 く伝 播 し、 グローバ ル な展 開 を遂 げて きたのであ る。

この地球上 にある諸民族、諸国家、発展途上回は、先進諸国の後 を追 うように次々 と高い 経済成長 を実現 してきたのである。

この ようななか、この地球の上では、資源・エネルギー・環境の有限性が、社会経済 シ ステムヘの発展制約 となって現れているのである。人口増の観点か らは、地球の有限性が、

ます ます明 らか にな りつつある。世界各国が、従来のようなや り方、方法、政策で経済成 長 を実現す ることは不可能なことは、明白である。

これ までの経済成長路線 をもとに経済発展 を遂げることは、不可能なことは、明白であ る。人類社会 の持続可能な開発 を図るために新 たな価値観、世界観 を含めた方策が必要 な ことは、すで に1970年代 か らローマ・クラブに始 ま り、広 く指摘 されて きた°。世界 は、

危機的な状況 のなかに落ち込 もうとしていたのである。 ローマ・クラブは、この世界 は、

有限な宇宙船地球号であるとの世界 システムの認識の もとに世界経済 システムの再構成 を 提起 したのである。そ して、この成長 システムには限界が存在するとい うものであ り、成 長経路 に対 して警告 を発 したのである。

ここでローマ・クラブが提起 したのは、成長の概念 に関 して自然界 に見 られる成長過程 にアナロジー を求めて二つの成長過程 を分 ける。一つは分化 のない成長であ り、 もう一つ は、有機的成長、あるいは分化のある成長である。分化のない成長では、細胞の分裂 によ り、そっ くり同 じ細胞が出来ることによって起 こる ものである。その細胞分裂 によ り、細 胞 は短時間の うちに何十億 という数 になる。 これ とは対照的に有機的成長は、分化の過程 を含 んでお り、多様 なグループの細胞が、構造的にも機能的にも差異 を持つこと意味 して いる。そ して細胞 は、有機体の発達の過程 に従 って器官特有 の もの となる

D。

さらにこの地球の人口は、人口65億人が、2050年には90億人へ と増加 し、経済発展 をめ ざして化石燃料、資源 を大量 に消費 し、 また現在33億人の都市人口が、2050年には全人口 の約6割に達す る もの と予測 されている。反面、農業生産 に従事す る人口は、減少 に転 じ るとされる。 この ようななか、地球温暖化 による異常気象で食糧生産にも影響が出てお り、

エネルギー・資源価格の上昇 に加えて、食料品の価格 も高騰 し、家計 を直撃 しているので ある。地球温暖化 は、経済活動、食糧生産、家計等 とい うまさに社会経済システム、産業、

生活者の家計 を直撃 しているのである。

文明社会 における社会経済 システムである有機体 としての機関、産業、企業等 は、 まさ に有機 的なシステムであ り、歴史世界 において分化の過程 を歩 むのである。そこには、

「成長の限界Jを超 えて、持続可能な社会 システムを構築す ることが、可能かが問われる ことになったのである。

(2)世界 システムにおける持続可能性の重要性

21世紀の初頭 にあつて経済社会は、その発展 に関 して広 い観点か らアプローチす ること が、求め られている。 ここでの課題 は、現在、緊急の課題 ともなっているのは、いかに地 球温暖化 を防止 し、持続可能な社会 を構築す るかにある。すなわち、低炭素型社会の構築 をいかに戦略的に進めるかが、間われている。 このため、単 に経済社会のフレームワーク

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か らだけで はな く、経済社会 を支 える安全保障、グローバル・テクノロジー、国際金融等 の面か ら政策的に考察することが必要 となっている。

古典的な安全保障の概念 は、国家が国民や領上 を外敵 による軍事的侵略か ら、必要であ れば、軍事力 を行使 し、国家 を守 るとい うものである。かつて「総合安全保障」概念が提 唱 され、軍事的脅威への対処ばか りでな く、 日本が国外 に依存する食料、エネルギー、そ の他の資源獲得や大規模 自然災害に関す るさまざまな リスクに、外交的、経済的、非軍事 的な手段 で対処することを打ち出 した。 これが、 さらに「人間の安全保障Jへと展 開 し、

人間の生存 、生活、尊厳 を脅かす環境破壊、人権侵害、難民、貧困などの リスクに対応す ることが、求め られている。

20世紀 の人類社会は、いわゆる先進諸国を中心 として、科学技術 の発展 を産業技術 に展 開 し、 目覚 しい経済成長 を実現 してきた。産業上支術 の発展 は経済活動 を通 じて広 く伝播 し、

発展途上国 も先進諸国の後 を追 うように経済成長 を推進 した。 しか し、資源・エネルギー・

環境、そ して人口増の観点か ら、地球の有限性が ます ます明 らかにな りつつある。世界各 国が これ までのようなや り方で経済成長 を実現す ることは不可能であ り、人類社会の持続 可能な開発 を図るために新たな価値観、世界観 を含めた方策が必要なことは、すでに1970 年代か ら広 く指摘 されて きたところである。

社会経済 システムの中心的な機能は、社会的再生産活動が、中核的な機能 といえる。な かで も、 アメ リカ、 日本、 ドイツは、豊かで人口規模 も大 きく、産業活動 も活発 な経済群 である。そのため、世界の主要な天然資源の消費国である と同時 に、廃棄物の主要 な排出 国 となっている。各国の人口百人当た り自動車の保有台数は、アメリカ80台 ドイツ54台 そ して 日本56台となっている。廃棄物 の年 間1人当た り排 出量 も、 アメリカ720g、 ドイ 460g、 日本400kgと大量である。 また、多 くの野生生物が、この数十年間に経済発展の 犠牲 になっているのである。 さらに経済発展 は、アメリカで10%以上、 日本で も8%近 が、ほ乳類 に絶減の危険に追い込む もの とされている

D。

こうして人類社会が、近代化の第3段階 となる社会経済 システムの段階に入 り、発展の パ ラダイムの時代 にあつて、現在か ら将来 に向けて共有すべ き目標 として「持続可能な開 (Sustainable Dcvclopmcnt)Jという概念が、広 く受 け入れ られるようになった。 しか し、

現在 この概念 は、なお抽象的な命題 にとどまってお り、 グローバルな諸課題 に対 して具体 的な政策 ・方策が、必ず しも十分 に示 されているわけではない。ただ、この地球上 に生存 す る限 り、 この持続可能性 を今後維持 して行かなければ、人間社会、組織、そ して個人の 存続 はあ り得 ないことは明白である。

すでに30年 前、デニス・メ ドウズ らは『成長の限界」で世界が、危機 にさらされるとし て警告 を発 した。そ して、 さらに ドネラ・メ ドウズ、デニス ・メ ドウズ等 は、『成長の限 界 ・人類 の選択』で「地球はすでに限界 を超 えた」 としてさらに警告 を発 している。地表 温度 は100年間で最高 を記録 し、大気 中の二酸化炭素濃度 は劇的に上昇 している、 とデー タを揚 げて指摘 しているのである。局地的な豪雨が発生 し、熱帯雨林の面積 は急減 し、北 極の氷塊が,斬減 しているという。 これでは、持続可能 な社会、持続可能な地球は、実現 し 得 ない9。

1992年に リオデジャネイロで開催 された地球サ ミッ ト(国連環境開発会議)においては、

地球環境 の保全 のために国際的な話 し合 いが行 われた。 この会議で採択 された行動計画

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「アジェンダ21」 では、課題解決のため、科学技術の果たすべき役割 とその可能性を高 く 評価 している。。ここでは世界 システムに関する認識、そ してその課題解決のためには

「持続可能な開発」 を基礎的な視点 とする社会技術科学の方法を用いて持続的管理 をしよ うとす る ものである。 さらに2002年には、「持続可能 な発展 に関する世界首脳会議」

(World Summit on Sustainablc Development:WSSD)が、南 アフリカの ヨハネスブルグで 開催 されるなど、持続可能性 に関 して国際的にも認識が広 ま りい くつかの進展 を見 ること となった。

これか ら見 ると持続可能な開発 を目指す とい う命題 自体 は、世界 システムの構築 に向け て人類社会にすでに広 く受け入れ られているとの認識 も可能である。 しか し、この命題が、

世界 のそれぞれの国によって必ず しも容易 に受け入れ られるとい う保証 もない。 しか し、

この命題の人類社会の生存 にとっての重要性 を考 えるな らば、いつ まで も抽象的な レベル に留めてお くことは許 されない。 また情緒的あるいは直観的な未来予測 に基づいた議論が 有用 な処方箋 を導 き出す ことは困難であ り、仮 にそれが可能であった として も、立場 を異 にす るさまざまな主体の合意 を得 ることはさらに難 しい。人類史的課題 を人類全体で共有 す るためには、事実 に関す る認識の共有 と、納得性の高い予測の共有が出発点 として不可 欠 と考 え られる。

学術 はどの ような形でこうした要請 に応 えられるであろうか。一つの例 は、科学者の共 同活動 に基づ く、地球規模での環境や資源 に関わる定量的なシミュ レーシ ョンモデルを提 示す ることである。た とえば食糧 に関 して、現在の生産 ・消費の数値 を出発点 として、今 後 の人口の伸 びと生活水準や生活様式の変化 に伴 う消費量の伸びと今後 に想定 される生産 技術 の発展 による生産量の伸 びを計量化 し、今後 に必要 とされる食糧 を供給するために必 要 な諸条件 を定量的に提示す ることが例 として挙 げ られる。このようにして、将来の増加 す る人口等の下での人類社会の必要 を充足する要件 となる空気、水、生物資源、鉱物資源、

土地、等 々の総量 を推計 し、現在の数値 と比べて、人類社会の持続可能な開発 を可能 とす る水準が どのあた りに求め られるかを明確化す ることである。

もちろん、この場合 に重要な条件 をなす ものは人口であ り、生活水準や生活様式である。

現在60億人 を超 えた と言われる地球上の総人口が21世紀半ばに90億人 に達すると予測する な らば、単純 に考 えて も、現在 の1.5倍の資源が必要 となる。所得 ・生活水準の南北格差 を考 え、90億人全員が、 より「豊か」 な北の生活水準 を目指そうとした場合 には、 さらに 数倍 の資源が必要 となるのは明 らかである。それ と同時 に、他方では生産力水準の変化や 資源の探査や活用の能力の変化 をは じめ、省エネルギー技術や循環型社会 を支 える技術 の 開発 などの新 たな技術 の展開などの要因 も重要である。 これ らの各要素は、 さまざまな条 件 によつて今後変化 してい くことが当然考 えられる。そのため、人類社会の持続可能 な開 発 を可能にする条件の定量化 は、多 くの仮定や条件 を前提 とした もの とな り、個 々の前提 条件 の複雑な組み合わせによって示 されるシ ミュ レーシ ョンモデル といった ものになろう。

また、 こうしたモデルの作成 には、 さまざまな学問分野の連携による共同作業が必要であ ることはいうまで もない。

(3)21世紀世界経済 と低炭素型社会経済 システム

20世紀初頭、世界経済の新 しい産業の中心が、アメリカに転移 し、 ここで更 なる第2次 産業革命が展開することになった。20世紀 に入 り進展 した第2次産業革命 は、炭素化 を急

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速 に進展 させた。新大陸アメリカは、 自動車産業 を起 こし、これを基盤 に して産業化が急 速 に進展 し、いたるところに米国全土 にハ イウェイ・システムが構築 され、高度産業国家 となったのである。そ して、多 くは炭素化技術 を基盤 に して世界の産業基盤、科学技術基 盤 を構築 したのである。

しか し、この高度産業国家は、産業化のプロセスで大 きな課題 をも生み出 したのである。

その一つは、地球温暖化の基 となる炭素排出に他 な らない。

地球温暖化は、すでに起 きてお り、急速 に進行 している。 この地球温暖化 は、基本的に は人類の産業活動の結果 に他 ならず、近代、及び現代の産業技術 により社会的生産 により 大量 に財、及びサービスを生み出すプロセスか ら生 じたものである。そ して、い ま地球温 暖化 は、新興国の急速な経済成長 によって加速 されつつある。

21世紀の初頭にあつて近代社会の産業化 は、情幸R技術のイノベーシ ョン等 によ り第3次 産業革命の時代 を迎 えることになった。これによリコミュニケーション技術の飛躍的発展、

及び知識情報能力 を飛躍的に上昇 させた。 これ までの産業化が、人類の能力 を大 きく飛躍 させて きた。 しか し、皮 肉なことにい ま、産業化の進展 により、炭素化の進展 によつて自 らの経済社会環境 を悪化 させ ただけではな く、地球環境の気候変動 に大 きな影響 を及ぼす ことになったのである。

ほぼ200年前の近代世界 を創 った第一次産業革命以後、世界の気温は、約0,7℃上昇 して いる。 しか も、その上昇のペースが加速 しているのである。 この地球の気温の上昇 と大気 中の温室効果ガスの増加 とを結びつける科学的な証拠 は、様々に存在 している。「気候変 動 に関す る政府間パ ネル (IPCC)」 は、温暖化 の進行 に伴い陸域生態系 は、二酸化決素 を 吸収す る側か ら放出する側へ と転化す る可能性 を指摘 している。その温度 は、2℃程度の 上昇で始 まるとされる。 まず、その排出 と吸収のバ ランスを取 り戻す ことか ら始めなけれ

tゴ

ならない。

地球環境 にとって、人類 にとって、「危険」 な気候変動 と「安全」 な気候変動 を隔てる 明確 な線引 きはない。 しか し、明 らかなことは、炭素化 によつて世界の貧 しい人々の多 く と最 も弱い生態系 は、すで に危険な気候変動 にさらされていることである。それで も、第 一次産業革命以来生 じたことであるが、気温上昇幅が2℃を超す と人間開発のプロセスが 大幅に退行 し、現在の第3次産業革命の この時代 には環境 に回復不能な破局が発生するリ スクが高 まっているのである。

いま、問われているのは、地球の炭素循環機能が破壊 される前 に産業革命以降の文明を、

再構築することであ り、 まさに文明の再帰的構築 に人類の意志 として取 り組むことに他な らない。21世紀の世界 システムにあつて持続可能な社会経済システムを具体的にシステム 構築 して行 くためには、多 くの試練が待 ち構 えている。 とりわけ、 この21世紀世界 にあっ て地球環境の保全 は、人類の生存 に関わることであ り、また多数の生物の生存 に関わつて いるのである。

したが って、21世紀経済社会構築のパ ラダイムを大 きく転換す ることが、い ま求め られ ている。それは、脱炭素化 に向けて低炭素型の経済社会 システムを構築す ることに他 なら ない。 このため、近代の国民国家の枠組み を超 える、グローバルな視点か らの気候変動 ・ 地球温暖化問題の科学的基礎研究、気候変動国際 レジーム形成過程等の研究が求め られて いるのである。地球の炭素循環機能のバ ランスが破壊 される前 に、産業革命以降の文明を

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表   近代 世界 にお け る産業社会 の展 開構造― 世界 システム・産業パ ラダイム ・科学技術 資本 主義 システム 1.0 第一次産業革命 (1760‑1890) 資本主義 システム 20第二次産業革命(1890‑1980) 資本主義 システム3.0第二次産業革命(1980‑) 1,世 界経 済 シ ス テムの主導 的パ ワー と社 会形態 パ ックス・ブ リタニカ(Pax Britalaica)近代植民地主義 の時代 近代 産業 国家 の形成 と 展 開 :英 国の「世界 の 工場 J イギ リ

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