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湿 球 の 温 度 低 下

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Academic year: 2021

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(1)

湿 球 の 温 度 低 下

郎 *

Temperature Depression of Wet‑bulb Thermometer

Shiro Tange

1.

は じめのことば

乾湿温度計によって温度を求める公式には,風速のことは考慮 されているが,使用す る温度計 の種類のことは考慮 されていないoけれ ども理論的な考察から,同 じ温度お よび湿度の空気につ

(1)

いても,湿度計の種煩に よって,温度差の異なる可能性のあることが考察 されている.A,B 温度計を湿球温度計 として,同一気流中においた とき同一 の湿球温度が得 られ るとは限 らない.

この実験ではA,B両温度計 として水銀温度計お よびサー ミスター温度計をとりあげて,それ ら を湿球温度計 とした ときに,実験的に どんな変化が生ずるか試みた。

2.

装置と配置の概略

この実験では,正 しい温度を測定す る・とい うことでな く,一定の外条件のもとに両湿球温度計 の示す僅小な温度差の程度を知ることを 目的 としている。そ こで次に述べ るような校器を使用 し て実験を行なった。は じめにそれ ら機器の配置のもようを図1として示す。

:・・・;・ i l

実験装置配置図 1

1‑1水銀温度計 (T′,T

n )

これはアスマン通風乾湿計に使用す るもので ‑30oC〜50oC,1/50deg刻み となってい る。

*

応用物理科

(2)

11 長野工業高等専門学校紀要 ・第2

1‑2サーミスター温度計 (r')

この温度計のサー ミスター素子は直径 2mm,長 さ5mmの ど‑ ト型温度用 のもので,測定の 結果 OoCのときの抵抗が 854432,サー ミスター定数は 3620oKである。

上の水銀温度計の一本 とサ‑ ミスター温度計を湿球温度計 とす るときは,その球部をガーゼで 二重につつんで外から水分を補給できるように した。

1‑3遊 動顕微鏡 (K)

これは乾湿球水銀温度計 の水銀糸の先端の 目盛 りの間を,正確に とくに視差などのお こらない よ うに読み取 るた捌 こ,遊動顕微鏡を使用 したO 顕微鏡の接限部に 4mm 100等分 して造っ た ミクロプロゼク トをそ う入 し, 目盛 り間の示度は この 目盛 りの上で行なった。

1‑4ホイー トス トンプ リッヂ (WB)

これはサー ミスター素子 の温度変化に より生ず る抵抗を測定するのに用いた。抵抗比 1:1の ときの測定範囲は 0.1.0‑11111.152 までである。 これに付属 させて検流計,分流器があ り,直 流電源は容量 10A・H,6ボル トのものを 1.5ボル トにお として使用 した。

1‑5飽 和槽 (Ⅴ)

これは水の入 った木槽である。気流は通風管を通 って内部の水を くぐり,定温度,定湿度の定 常 な状態の気流が得 られるよう工夫 した。

1‑6通風管 (D')

温度を測定す る部分は外径 4.2cm,内径 3.4cm,長 さ85cmの ビニール管であって,その下 50cm65cmの間に気流をあたためるための,出力600 ワッ トのと‑タ〜をもつ. また空気 を送 るポンプの出力は400ワッ トであるが, これらの出力は随時変更 して使用 した。その他に気 流 の速度はサー ミスター風速計を用いて測定 した。

3.実 験 の 方 法

は じめに湿球温度計 とす る水銀温度計 とサー ミスター温度計が,同一の水中における温度 と抵 抗 の対応関係を測定 した。整理の結果を図2に表わ した。つぎにこの二本の温度計にガーゼをま

サー ミスター湿球温度

20 25 30 35 40 2.水銀 とサー ミスター温度計の相関図

いて湿球温度計 とし,その他にアスマソ通風乾湿 計の もう一本の水銀温度計を乾球温度計 とし,こ の三本の温度計は先端をそろえ1お 互 い は 1cm の間隔をおいて結束 されている。このものを通風 ′の一端 よ り温度計の先端が3.5cmのところ にあるようそ う入 して固定 した。

ついで気流の速度が約 3.5m/Sとなるようにポ ンプの出力を調節 し,なお三本の温度計の示度が 平衡状態 とな り, したが って気流の状態 も定常状 憩 とならた とき,同時測定によって水銀温度計の示度は遊動顕微鏡 の ミクロプロゼク トの上に, サ ー ミスター素子の温度に より定 まる抵抗値を,ホイ‑ トス トソブ リッヂの上に読み とった。

(3)

湿 球 の 温 度 低 下 115

多数回の実験例の中で,次の二例の実験結果を整理 して表1,図3お よび表2,図4に表わ し てある。図3に示す ものは20分間,図 4に示す ものは65分間にわた り,連続測定 した ときの結果

1 気流中における気流諸元

孟軒 Set:!

tlI‑t√〟

deg

両湿球温度差 0.4

0.3 0.2 0.1 0.0

0 1 2 3 4 5 6°eg 3.乾湿両球 と両湿球の温度差の相関図

2 気流中における測定諸元

霊弼 孟ti.ilt'Set:I tJ′‑t/〟

deg

◎ ◎

5 10 15 20

4.乾湿両球 と両湿球の温度差の相関図 を示す ものである。なおサー ミスター湿球温度計の湿度t"'oCは,図2を使 って抵抗値を温度に換 算 した ものである。

4.

む す び

以上の実験の結果が示す ように,異なる二つの温度計が,水中などで温度平衡にあって一定の 対応関係がきまって も,それらを湿球温度計として気流の中においた ときに,さきの対応 とはち が った相関関係を示す ことが知 られ る。その上に風速を同じに しても,乾湿両温度計の温度差 の 大 きい程,両温度計の温度差が大き くなることが知 られ る。 もちろん異同の程度は球部をガーゼ 被覆す る状態な どに よると推察 され るが,湿球温度計の種類に よって有意の温度差 の 生 ず る こ とが認められ る。 したがって乾湿球湿度計 の湿度公式には,正確な値を必要 とす るときは風速 の ほかに温度計の種類によるとす る公式が必要となる。

この実験は東洋大学工学部枚械工学科 の芝亀吉教授の御指導によるものである。謹 しんで謝意 を表 します。 また応用物理教室の春原真一君の手助けのあった ことも併記す る。

(1)芝 亀吉 計量管理 Vo19no5,6,7 116

参照

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