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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

放射線治療の高精度化に向けたX線ビームの強度分布 特性の実験的研究

穴井, 重男

https://doi.org/10.15017/1441222

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:全文ファイル公表済

(2)

(様式

3)

氏 名 : 穴 井 重 男

論文題名 :放射線治療の高精度化に向けた X線ビームの強度分布特性の実験的研究 区 分 : 甲

論 文 内 容 の 要 旨

肺がんの治療において,コンピュータ制御技術の発達とハードウエアの改良により肺腫蕩領 域に集中し大線量の

X

線を照射する高精度の定位放射線治療が行えるようになり,優れた治療 成績があげられている.今後この治療法をより小さな腫療の治療に適用することが強く望まれ ている.定位放射線治療に用いられる

X

線ビームは,加速した電子ビームをターゲットに衝突 させて発生した

X

線をマルチリーフコリメータによって肺腫蕩輪郭に一致させるように整形し て照射する.現状,電子ピーム像と

X

線ピ←ム整形に単純な仮定を置いた理想的な焦点

X

線の みでビームが構成されるとして治療計画が立てられているが,小さい腫蕩を対象とする場合,

焦点

X

線の実際の強度分布に関し,より詳細な情報が要求される.さらに,より小さい腫療の 治療においては, X線の散乱等により焦点以外から発生したように見える焦点外 X線,あるい はコリメータにおける X線の透過に起因する透過 X線等が正常組織に無視できない影響を与え る危険性が高まるとの指摘もある.しかし,治療に使用される

X

線ビームについて,個々の治 療装置ごとの強度分布特性は与えられておらず,またその測定法も確立していない.従って,

より小さな肺腫蕩への定位放射線治療の安全性を向上するには,

X

線ビームの強度分布の測定 手法を確立し,

X

線ビームの特性を詳細に知ることが強く望まれる.

このような背景から,定位放射線治療のさらなる高精度化を最終目的として,

X

線源の測定 法を確立するために,

X

線ビーム強度分布測定法の最適化に関する実験的研究を行った.また,

放射線治療の安全性向上のために、新たな

X

線ビーム強度分布の解析手法を提案した.本論文 はこれらの研究成果をまとめたものである.

本論文の構成は以下の通りである.

第 1章では,がん治療の現状,肺定位放射線治療,および治療用 X 線ビームの特性に関する 先行研究について概説し

γ

最後に本論文の目的と構成について述べた.

第 2

章では,医療用直線加速器からの

X

線の発生機構,

X

線光子と物質の相互作用によって生 じる吸収線量の概要,そして半導体検出器の測定原理について概説した.

3

章では,高エネルギー加速器における

X線発生源の L i n eS p r e a d  F u n c t i o n   (LSF

)の測定 方法を確立するために,スリット幅の測定条件の最適化について検討した.焦点

X

線とそれ以 外の成分を仮定し,焦点の幾何学的大きさの導出に要求される精度を満たすにはスリット幅

0 . 1

m m

、それ以外の成分の分布測定としてはスリット幅

0 . 4 m m

が最適と結論づけた.

2

つの医療 用加速器各々

4MV, lOMV

での

X線を計測し, G a u s s

関数の重ねあわせで

LSF

の再現を試みた 結果,一方の加速器については

3

成分の重ねあわせでよく再現できた.もう一方の加速器につ いては

Gauss関数では良い再現が得られなかったが, P e a r s o n V I l

型関数と

2

成分の

L o r e n z関数

の重ねあわせで再現できることを示した.異なる関数形を用いる必要はあるが,どちらの加速

(3)

器についても

X線ビームが焦点 X線,透過 X線,焦点外 X線に対応すると考えられる 3

つの 主要成分により構成されることを明らかにした.

第 4章では,体内における X線ピ}ム強度分布の評価に向け,実験精度に関する検討を行っ た.また,ビーム像の詳細を調べる新たな実験手法として,像拡大率依存性の調査の有用性を 調べた.まず,鉛スリットのエッジを

X線検出フィルムに密着させ LSF

の測定を行い,実験結 果における

2

次電子の広がりの寄与を評価するにはフィルム開口面積を

l.Omm

×

l.Omm

以下と する必要があることがわかった.次に,ビーム軸と鉛エッジのアライメント誤差の影響につい て検討し,アライメントのずれが土

l.Omm

以内では強度分布の変動が小さく許容範囲内である ことを示した.さらに,鉛エッジ位置を

X

線ビーム中心軸に沿って変位させることにより

X

線 強度分布の像拡大率依存性を求め,

M o d u l a t i o nT r a n s f e r  F u n c t i o nとして評価することにより,小

照射野のピーム強度分布の電子加速エネルギー依存性を明らかにした.

第 5章では,焦点のサイズとビーム強度分布の関係について調べた.まず, EdgeS p r e a d   F u n c t i o n   (ESF

)から

LSF

を求める方法を提案し,

ESF

測定の有用性を確認した.ESF測定から 焦点サイズと像拡大率に高い相関関係が存在することを実証し,その関係より焦点

X

線以外の X線成分を推定できることを示した.ビームが 3成分で構成されるという本研究の結論をもと に,ビーム強度分布測定結果から医療用加速器焦点の強度分布を推定するための回帰式を提案

した.

6

章では,本研究の結論,今後の課題について述べた.

参照

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