E . 3
耳支
近
の
中 小 企 業 問 題
『可i=r
光 策 重
中小企業問題の重要性
中小企業問題は︑必守しも新規な現象ではないのであるが−特に最近になって世人の関心をよぶようになったのは︑
ドッジ声明を契機とする経済九原則の忠実なる実施が要請せらるるよろになり︑その結果産業界が不振にたちいったと
とに基因するのである
ο
終戦後の我が国経済界の実体については︑今夏解明を要せざるととと思うのであるが︑国土の結少︵戦前の五七%︶と荒廃化︑戦争による治粍破壊沿よび経済力の劣弱化︑海外権径の喪失による打撃と︑変態的な
戦時産業の改廃︑世界経済機構の変革に即応する貿易体制の確立など︑経済再建に対する困難なる諸要因に直商してい
るのである
Q
然るに戦後のインフレl
ション・の進行は︑資本の蓄積と︑企業の再建を阻害し︑経済界は縮少再生産の遁程を辿らざるを得ざる結果として︑基本的要請たる我が国経済の自立体制の確立を不能に陥しいれたのであるQかかる
状勢下にが︑ける経済再建の基本的方策として︑五口々の脳裡に浮ぶものは当然衣の諸施策である︒即ち貿易品最高度生産
体制の確立を基本的要因とする︑我が国各産業部門自体乃至相互間の︑生産量に対する国家計画機関による策定指示と
いうととである︒しかも生産品の質及び量は︑国際的経済要請に即応すぺきととろの合目的性を保持すべきであり︑か
かる要請への手段としての統制経済乃至自由経済を五口々は指向すべきであるQ経済九原則は︑かかる合目的性への追求
指令であると私は思うのである
Q
然るに現実は金融一過塞による変則的注生産財ないし消費財の一時的又は表商的危過剰最近の中小企業問題
九
ヨ 王
宮 大 経 詩 論 集
允 六
在状態或は充足状態を発生せしめているのであって︑経済的基盤の脆弱なる中小企業は倒壊の危機に治ちいったのであ
る︒中小企業問題は︑過去に於ても経済不呪時には常に論議され︑種々の対策が講ぜられたのであるが︑結局はその成
県を期符するととができ宇一問題は未解決のまま今日に至ったのである︒しかも我が国経済界に於ける中小商工業の占
める地位は−︑相当大なるものであって︑とれを昭和十七年の商工省統計についてみれば︑従業員数一OO人未満工場は
全国工場数の九九三二%を占め︑全国工場従業員数の五四・六%を占めているのである︒叉従業員数五人未満の小企
業︵零細企業︶についてみると︑全国工場数の八O%を占め︑その従業員−数は全国の二三%を占めるとととたる︒戦時
中は︑企業整備或は戦災によって多少の減少をみたのであるが︑戦後は著しく増加をきたし︑昭和二十二年には︑従業
員数一OO人未満の工場は︑全国工場数の九九・四四%を占め︑従業員数は全国工場従業員数の六六・八五%にのぼっ
て長り︑叉従業員数五人未満の工場は︑全国工場畿の八
0
・二
六%
を占
め︑
その従業員数は︑杢国の一二一・
C
ご%を占めるにいたったのであるQ叉商業についてみても︑戦前よりすでに︑犬企業である百貨店との対立問題として︑深刻な
る課題を提供したのであるが︑個人企業たいし従業員数五人未満の零細企業が︑その犬部分を占め︑昭和二十二年には
従業員数五人未満の企業が︑全体の九一二・七九%を占め︑その従業員数に沿いて︑全国の従業員数の六七・︒五%を
占めているのであり︑従業員数一OO人未満の企業は︑実に全体の九九・九五%を占め︑従業員数は九五・一四%を占
めているのである
Q
かくの如く︑我が固に於ける中小企業は︑圧倒的に多く︑産業構法上きわめて重要注る地位を占める結果として︑経済的︑社会的重大問題を提供するのである
Q
中 小 企 業 の 概 念
中小企業問題が論議せらるるとき︑五日々は中小企業とは果して如何在る企業を指して言うのであろうか︒犬中小在る
一言葉の意味は一応経営規模の大小を意味すると解せらるるのであり︑従って犬中小の限界は相対性を有するのであって︑
大中小のいやれかの範憶を人意的に規定し︑しかる後にとの分類に従って実在する企業を類別をねばならぬQかかる分
類が果して遁正なりや否ゃについては︑その研究課題と分類基準との相関性と安当性とを吟味するととを要すると思う︒
例えば︑とれを商業についてみると︑店舗の広さ︑即ち店舗の前日の広さ︑奥行の長さ︑店員の多少︑商品の多少︑売上
ないし仕入金額或は売上又は仕入商品数量の多小等の分類基準があるQ叉工業に例をとれば︑資本金額︑
工場
敷地
面積
︑
従業員数︑労務者数︑機械装置の規模の大小及び個数等の基準が考えらるるのであるが︑実在する企業を業種別にみる
とき
︑
かかる分類基準の安当性を紋くととを五日々は知るのであるQ即ち繊維工業︑化学工業︑機械工業︑鉄鋼工業及び
雑貨工業は︑それぞれ工業自体の基本要件を異にするのであって︑資本金額又は従業員数が同一だという理由によって︑
大企業と中小企業とを剣別なしがたいのであるQ従って現今使用されてをる資本金二百万円以下又は従業員数百人以下
というが如き分類基準は︑単在る便宜に基くものであって︑中小企業の概念を把握するものでは友いと考えらるるので
あり
︑
かかる思考方法は︑大規模経営に対する中小規模経営の相対的又は対立的問題性をとりあげる便宜の需のもので
あるQ
かくて五口々は中小企業を論究する限り︑之を問題の歴史的発展的経過に求めざるを得ない
ο
そとでまや問題となるのは︑資本金額︑人員数︑機械装置数︑生産額等の一定量によって表示さるる企業の所謂量的なものの本質であるQそれ
は単なる量的危ものでは・なくて︑企業のその時代に保持する質的特異性を表示するものであり︑実質的には︑その時代
に於ける中小企業の経済的かいし祉会的存在性が問題と在り︑その経済的ないし祉会的基盤が問題とされねば左らぬ︒
かかる意識に基く量的規定は︑問題研究の手懸として必然的に要求さるるととであり︑かくの如く中小企業の概念に関
ずる量的規定は︑経済的・ないし祉会的な諸要因を包蔵する質的規定をその基本的要件とする限り︑経済発展の各段階に
最近の中小企業問題
7 L
七買 え 臨 済 論 集
九 八h
即応し︑各産業部門の特殊なる発展の態様に即応する特異たる存在として︑具体的に把握され或は認識の対象となるの
であって︑即ちそれは史的に発展する量と質との相関関係の表現であり︑特定の経済的泣いし祉会的関係の下に︑それ
ぞれの発展段階に於ける特殊なる問題を展開する︒
最近に於ける中小企業問題は︑資本主義社会に長ける存在意義についてである︒即ち資本主義社会に烏ける企業の特
徴は︑会社制度の発展にともたう大資本の集中による市場支配であり︑自由競争価格の独占価格への意識的転化を企図
せるトラスト︑カルテル︑コンツェルン等の結成であるQかかる企図の祉会的悪影響を阻止し︑消費者保護の各種禁止
手段として︑周知の如く過度経済力集中排除法︑私的独占禁止法等の諸法規の実施をみたのである
Q
しかしそれは市場の独占的支配を排除するが︑中小企業の資本主義一位会に沿ける存立を保証するものではなく︑叉資本主義社会に烏ける
犬資本の優位性を排除するものでもない︒従って現在の中小企業問題は大資本への従属性︑被支配性に基因する諸問題
が対象となるのであるQ資本主義経済興起以前に長ける中小企業形態の本質的要因は︑とれを手工業的経営に長ける経
営方針︑経営形態︑経営組織について求めるととができ︑叉その労務組織︑業務組織或は財務組織に求め得るのであっ
て︑それは営利性を経営方針とするものでなく︑技能中心的な単純経営であって︑数個の経営体の結合形式による組織
的企業形態をもっとと危く︑技能者個人叉はその家族︑或は労務の提供を外部に求めるとしても︑技能的業務の伝習者
として︑経営主の徒弟として使用さるるのであり︑叉自己資金を基本として経営さるるのであって︑近代的企業になけ
る如き資本概念の確立がなく︑経営への出資という基本概念がない鴛に︑計算制度の確立による合理的注業務の運営が企
図され歩︑積極的業務政策がとられないのである︒然るに︑近代的企業形態たる大資本的経営は︑会枇形態による資本
の集中と︑賃銀制度による多数労務者の雇傭に基く物的要因を基本とする組織の自主化が意図さるるのであって︑営利
性・ないし経済性の遁求を基本的方針となし︑組織自体としての独立性を保持し︑資本の調達源泉としての株式資本及び
銀行資本の高率的運用を企図するものであって︑経営管理組織の合組性迫求の結果として︑資本家と経営者との分離を
きたし︑物的拡大再生産の一基本的要請としての市場支配への意図をもたざるを得なくなるのであるQ
さて
五日
々が
中小
企
業問題を論究する場合︑かかる人的要因を基本とする手工業的経営の存立問題を取扱うのであるか︑或は単なる中小規
模経営の存立問題を取扱うのであるか︑問題の処在を究明せざる限り解決を求め得ないのである︒しかし前述せる如き
手工業的経営は経済枇会の発展段階的な存在意義を有するとともに︑それ自体として近代的大規模経営との併存が許容
さるるのであるが︑五口々が現存する各企業の業種別経営体を観察するとき︑大部分の企業は︑産業革命を契機とする機
械動力の利用︑大規模経営化︑広範囲取引化の進展にともない大資本的経営体に転化せるととを承知するのであるQ従
現在に於ても倫手工業的経営形態の存立を認めうるのであるが︑それはあくまで現代資本主義社会にって業種的には︑
於ける従属的︑被支配的存在である︒倫かかる手工業的経営自体としても︑今日多くの問題を五口々に提示するのである
が︑論題はむしろ大資本的経営形態の中小規模経営形態への遁応性如何︑換言すれば︑中小規模経営形態の経営が︑大
資本的経営と同一ないし比較的有利な条件を以って︑現代経済界に存立なし得るや否やの問題が研究さるべきであるQ
倫中小企業の本質について︑平井泰太郎教授は生業及び家業の概念を以って規定し︑生業及び家業の特質について論述するととも
に︑大企業に比較して︑優るとも劣ることなき数字を一示し︑過去に於て発展的惜段としての意味を待つ以外に︑それ自体としてまた
存在意義をもつことを請託しておるのである︿﹁経営学遇論﹂九五
l
一一六頁﹁販売組織の更改と経常棋構﹂二九l
七 六 頁 三 以 下 敷 授の論惑につきその要旨を紹介する
o
即ち教授によれば︑生業と称するのは︑一の業務が営まるるについて︑主として特定の個人の 有する労力または静力︑即ち技能を利用することによって︑これを行うものを指示されんとするのである
Q生業という文字は︑学界
に於ては必ずしも広く用いられて居るものではないが︑古来より存ずる﹁業︵たりはひとという言葉は︑恰も生業を指すものと考 えらるるのであるo多︿の手工業者︑小農特に小作︑小商人︑プロ1カI
︑自由職業者の如きは生業を営む者の例であるとなし︑し
かもそれは一倒の経営であるから︑一定の設備と計算とを有し︑経済上の独立を得って居るのであり︑企業に於ては︑遇常の場合︑
最近の中小企業問題
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九宮 大 経 済 論 集
一
00
費本を有し︑関係者の憲詩的統一を計り︑市場経済に直接的に関係を持ち︑.経済上の危険負担をなし︑絶って牧盆を目標となすので
あるoしかるに生業を営む者は︑自己の技能を牧狩の源諜となすo別ち賃銀報酬を符る労務者または俸給生活者とは異り︑↑倒の投
桔者と
L
て独立の事業主体であるところに特徴があるというのであるo和ワて生業に於ては︑その経営の指導精神は営剰というこ主に存せずして︑生活の維持が主目的となるのである
o m
諭最近は︑者本主義社会に於ける存立条件として︑企業に対して蛇属的地牲
にたち︑請負制度の下に経営の維持を計るものもあるが︑本質的には生業的存在として企業に秘属し︑支醗を受けるのでるるo・央に
教授の家業として考えるのは︑一定の家産を有し︑家族及び従業員が︑主人の個人的なる指揮監督の下に業務を営んで居るものを摺
すのであるUそれは血族団体または家族団体を中心とすることが多︿︑団体組成員が身分的に共同の生活関係をもち︑主人の親権に
よって業務の運営が規制せらるるものであうて︑必ずしも近代的意味に於ける能率と牧盆とが組成員の標準ではなく︑身分に応ずる
生活の必要と保障とが基準となるo市場経済との関連に於ては︑業務自体として︑主人の権利として営まるるのであるが︑主人自ら
の権剥を営むものに非ずLて︑主人即ち家業という意識が中心となっておる︒即ち業務即生活の状態となって居り︑成果の分醗は︑
金給とともに物給並びに生活に必要な設備及び物費の給与が行われ︑相互扶助︑共存共栄の精紳によって指導せらるるo即ち近代的
経営が個人主義を基調とするに反して︑むしろ連帯主義がその指導精紳なのであるとするのである円
さて︑平井泰太郎教授は営剰を目的とする企業の概念に対立するものとして︑叉対立せざるものとしても︑資本主義社会に於ける
特殊な存在としての生業及び家業の概念について上越の如︿論証さるるのであるが︑かかる生業ないし家業的な経営は︑現今の如き
高度資本主義社会に於ては︑とり残されたる階層といわざるを符ないのであるo即ち生業は︑技能者自体の技能識見が経営の主体と
なる限りに於ては︑営利的な企業形態をとり得ざるものであり︑一近代的大量生産ないし大量販売組織の目標とはなり符ないのでるる円
従ってそれは現代経済社会に於ける絶属的存在にすぎないのであるo叉家業は︑家そのものが経営の主体をなすものでるって︑業務
は家伝として伝承さるるものでるり︑親方を中心とナる徒弟制度︑丁稚制度により経営が運営さるるのであって︑賃銀労務者︑俸給
生活者等の導入さるる余地もあるが︑家業自体の経営精紳は︑此等の一履傭者を家族構成の一員として考えておるのであり︑従ワてそ
れは営剥的組織体としての企業形態とは異なるのでるるo要は生業ないし家業は︑人的要素を主体とするのであるが︑近代的企業形
態に於ては︑物的組織ないし機構自体が経営の主体をなすものであって︑会社制度の発展は盆々その傾向を願著にしたのである
o
従
ワて生業ないし家業を︑中小企業の本質なりと考える限りに於ては︑それは我が国産業の主体をなすものでなく︑中小企業問題の対 象とはなり狩ないのである︒五円々の問題とする中小企業は︑一野本制生産ないし販売についての近代的企業形態としての問題であるo
最近に於ける中小企業の当面せる諸問題
一︑中小企業と金融問題経済九原則及び単一魚替レ
1
ト設定を基因とする我が国経済界の資金詰り現象は︑従来のインフ
レ
1シヨン政策の反動として︑経済復興よりも経済安定を基本的経済政策として遂行された結果︑企業の合型的経
営の実践に先行するとととたり︑資本主義経済下の原則的危現象として︑中小企業の脆弱性を現実に露呈するとととな
ったので︑企業の整備縮少或は閉鎖を続出せしめたのである︒勿論整備縮少或は閉鎖をよぎ左くされた企業は︑国民経
済的機能の達成という観点よりみれば︑
輸出
産業
︑
重要産業との関連産業︑又は民生安定産業等に該当せざるととろ
の︑戦後続出せる不必要た産業部門に存立せる企業群が多く︑又とれに次ぐものとしては︑不合山内た統制経済に寄生せ
る企業群が多いのであるQしかし最近のデスインフレ上りデフレーションへの移行は︑国家の重要産業部門を形成する
企業群への影響も相当深刻であり︑特に資本的健全性を欠如をる中小企業は︑犬企業に比して苛酷在る被害を受けて長
るのであるQ中小企業庁公報課の調査︵昭和二四年三月!七月まで一一四府県についての調査︶によれば︑整四の最もめ
だったのは︑従業員数五人以上コ一
O
人未満の企業であって︑とれを従業員数によって一六府県につき分類すると︑五人未満五一四件︑五人!こ九人七
O
六件︑三O
人l
九九人四三九件︑一CC
人!一九九人二一九件︑ご
OO
人以
上一
O
九件と在る
Q
整川日程度を閉鎖︑休止及び綜少に区分︵一九府県分︶すれば︑閉鎖七二二件︿三二%︶︑休止二六六件︵一二%︶︑結少一︑二五九件︵五六%︶と丘り︑業種別に二二府県について分類すれば︑金属工業七七件︵六%︶︑機械器
最近の中小企業問題
。
富 大 経 済 論 集
。
具工業六コ一九件︿二四%\化学工業二
O
六件︵八%︶︑窯業土石業八一一件︵コ一%\紡織工業一七七件︵六%\製材木製品工業五七三件つ二%\食料品江一業七七件︵コ一%︶︑印刷製本業一一件︵一%\その他七七
O
件︵
二八
%︶
とな
る︒
かくの如く小工業と考えらるる企業が最も閉鎖が多く︑業種についても︑機械器具工業及び製材木製品工業の如き小工
業の比率が高いのである
Q
さてその原因を一一府県について考えると︑a資金難四六%︑販売不振二九%︑その他一九%であって︑資材難によるものはわやかに六%にすぎないのである
Q
中小企業の資金難の問題.は︑かくの如く重要性をもつのであるが︑その対策として︑日銀のマーケットオペレーションによる設備資金の融資及び見返資金よりの直接投資
が考えられたのであるが︑しかし現実には︑地方銀行を通じてのかかる融資方法はその成果を期待なし得・泣いのであるn
ご︑輪出振興と中小企業国家的方針としての経済安定計画の実施は︑対外的輸出振興方策としての単一億替レ1
ト設
定に基く企業合卸化の推進を期待したのであるが︑海外市場の不振により︑我が国産業界の受けた被害は相当甚大であ
って︑特に資本力の脆弱なる中小工業に与えた影響は一一唐はなはだしいものがあるQ特に輸出産業上に占める中小企業
の地位を考えるとき︑念速なる対策が要請せらるるのである
Q
いかむる国に於ても︑その国の産業は外国貿易に依存せ宇しては成立たし得ないのであるが︑特に我が国は原料資源に之しく︑外国市場に依存するととろ大である︒通商産業
省発表の遁舟白書︵第一衣昭和二四︑八︑一五︑第二次昭和二五︑五︑二九﹀によれば︑昭和十一年度に於ける各国
々民所得に対する輪出総額の比率は︑日本二二︑四%︑米国コ一︑七%︑英国一八︑二%︑仏国二二︑四%となっアなり︑
いかに我が国は貿易に対する依存率が高いかを知るととができるQしかも戦後の貿易額は︑戦前のそれとは比較になら
ぬほど小規模であって︑国民所得に対する輪出総額の戦前︵昭和五
ls
九年︶に於ける平均が一七︑三%であったものが︑
昭和二十一年三︑三%︑二十年三︑九%︑二十コ一年三︑二%と著しい低下を示しているのであるQ更に我が国輸出貿易
の職入原材料に依存する点より︑輸出入総額につき国民所得との関係を考察すると︑戦前は犬林三六︑
一%
であ
った
が︑
戦後著しい進展を示した咋年に於ても︑わ十かに一四︑五%にすぎないのであって︑しかも戦前の比率を各国と比較す
ると︑米国一二︑九%︵一九二九!コ三一年︶︑英国五一︑六%︵一九二四!コ一O年︶
であ
って
︑
米国は自給自足経済体
制の可能なるととを示し︑英国は犬英帝国内部の各国聞の内部貿易であるとすれば︑我が国戦後貿易比率の減少は︑国
内輪出産業の不振に基因するととが明白であるQさて更に商品別に輸出入総額をみると︑その量は戦前の比ではたいが︑
その商品構成は大体戦前のすがたにかえりつつあるQ即ち輸出についてみると︑戦後累年鉄鋼及び機械器具類︑化学品
等が増加しつつあるのと︑繊維口聞の中で生糸が減少しているのを除けば︑繊維品中心の商品構成の比率は︑多少の変化
はあるが︑戦前のそれと類似している︒しかも金製品泣いし宇製品の輸出が総額の約八O%を占め︑金属機械及び化学
口問等を除けば︑その大部分は消費材であり︑軽工業ないし消費財中心の商品構成を示し︑戦前とその状態には大なる変
化は左いのであるQしかも軽工業ないし消費財生産部門に於ける中小企業の占める地位は比較的に大きく︑統計的には
明瞭ではないが︑中小企業自体ないし下請工業として約六O%を占めると考えらるるのである
Q
今後インド︑中南米諸国の工業化にともたい︑輸出品構成に変化を生やるとしても︑精桁機械工業︑光学工業︑楽器工業︑雑貨工業等に新分
野を開拓すべきであり︑此等の工業は中小経営に遁するのであるQしかるに単一筋替レ1ト設定によって︑軽工業たい・
し消費財部門の製品は︑一般に円安傾向を示せる結果︑織物関係を除いては深刻た打撃を受け
7
その合坪一化による原価切下げの要請にかかわらや︑経済的劣位にもとづく諸原因により盆々困難なる未解決の問題が山積するにいたったので
ある
Q倫輸出不振の原因として一般に海外市場Jの変動︑海外情報の不明︑技術的立遅れ︑生活費の高騰友どが考えらる
るが
︑
かくの如く中小企業自体の問題と︑経営外の諸障害とが存在するのであって︑輪出振興の震の積極的な国家の諸
対策が要請せらるるのであるQ
最近の中小企業問題一
O
一 一 一
富 一 大 経 済 論 集
一G四
四 中 小 企 業 対 策
一︑問題の所在中小企業の当面する問題として金融問題︑輪出問題につき五口々は考察したのであるが︑此等の諸問題
に対する対策を考究するに当り︑基本課題として︑中小企業自体の問題と︑︸日本経済最近の変化に起生する諸問題とに
区分して考究するととを要するのである︒さて中小企業自体の問題とは︑前越せる如き本質的手工業制工業又は家内工
業の存在意義の問題と︑我が国の特殊事情として︑犬資本的左大規模経営として本来経営さるべきものが︑中小規模形
態をとれる場合の所調中小企業の問題とである
Q
手工業制工業又は家内工業は︑生業−ないし家業的性格を有するが故に︑現代費本主義一位会に於てはあくまで従属的︑被J支配的危存在であり︑しかもな治過去の存在であると同時に現在の
存在である︒しかしそれは現代経済社会に沿ける支配的危経営形態ではない︒そとにもし対策ありとすれば︑祉会問題
としての人口問題︑優秀技術保存問題としてである
Q
然るに︑後者の所調中小企業問題は︑現代資本主義的犬規模経営との対立の問題であり︑対立の問題でないとしても︑それは競争力の問題である
Q
即ち犬企業に優るとも劣らざる資本力︑組織力︑経営力保持の問題である︒従ってそれは中小企業自体として︑大企業と同一の木質を如何にして取得する
かの問題である
Q
かかる観点に於てとそ初めて中小企業対策樹立の可能性を見出し得るのであるQ
過去に於て中小企業対策が世人の関心を起生し︑諸施策が論ぜられたのは︑常に経済不振に基因する金融一通迫による
のである
Q
即ちま宇犬正九年の経済恐慌時応問題となり︑叉関東大震災時以後に問題となり︑更に昭和二年の金融恐慌以後︑重大な祉会経済の沈滞期に陥るや︑金融難を基因として企業自体の不合瑚性︑低賃金性が問題となり︑経済問題︑
社会問題︑特に中産階級問題として取扱れたのである
Q
しかるに今衣戦争の勃発するや︑軍需産業に於ける下請工業制の問題として︑叉不念不要産業部門の企業整備問題として深刻な問題を提示したのである
Q
敗戦後は︑犬企業が虚脱状態にあったにかかわら宇︑中小企業は平くも民需産業として国民消費生活財の生産に部醸したのである
Q
犬ゆ業は日本経済民主化の手段として︑過度経済力集中排除法︑私的独占禁止法等による企業組織及び企業形態の解体転化︑叉労働
運 動
D
敬化にともなう斗争行筋に主力を注ぎ︑経営の正常化に対する熱意の欠如にとも危う生産能率の低下せるに対して︑中小企業は比較的有利に経営の発展を期待注し得たのである
Q
戦時中に長ける経済統制の敗戦による解除は︑費源乏しき我が国経済を混乱に訟とし入れる危険のあるととを予期して︑昭和一一十一年十月臨時物静需給調整法が発布せら
れ︑昭和一一十二年四月より本格的物資統制が実施されたのであるが︑経済統制の目標として︑国家経済カの念速なる回
復を目的とする国家重点産業︑基礎産業への集中的費材割当と︑経済的保護政策の実施︑即ち傾斜生産︑集中生産制へ
単一筋替レ
l
トの設定は︑かかる経済政策による日本経済の自由化とともに︑ の具現化にとも友い︑弱小資本︑不能率経営たる中小企業は窮地に温いとまれたのであるQ叉その後経済北原則の実施︑デスインフレ政策の悪影響を大企業より
も一一唐深刻に感受せる結果︑中小企業の危機として緊念なる対策が要請せらるるにいたったのであるQ
二︑中小企業自体の対策としての組織化と合判化︵1︶組織化の問題市小企業対策として︑又組織化の問題として協
同組合の結成が従来より奨励されてきたのである︒即ち中小企業は︑大企業よりも種々不利な立場にたたされ︑圧迫を
受けるのであるがλ組合の結成により同一業種間の競争にゐける不利径を排除するとともに︑下請制度又は問屋制度よ
りの従属性︑被支配性の克服をたすべきであるとさるるのであるQ商工業部門に於ける協同組合制度は︑大正十四年の
重要輸出品工業組合法にはじまり︑工業組合法︑商業組合法を経て商工組合法による統制組合に至るまでの歴史的経過
を辿り︑昭和二十四年七月一日に施行された中小企業等協同組合法に至ったのである
Q
我が園協同組合法の精神は︑本来中小企業の保護育成が目的であって︑戦時中は国家経済統制の手段と転化したのであるが︑中小企業者の協同活動を
通じて︑資本主義一位袋に於ける大企業と対等の競争力を有する経済単位にまで︑中小企業の地位を向上させるととを目
最近の中小企業問題
一 O五
宮 大 経 演 論 集
一
O六
的とするのである︒然るに吊現実はかかる趣旨にもかかわら歩︑過去に於てはむしろ失敗に終って長るのである
Q
しか
らは何故にかかる失敗を来たしたのであろうか︒その原因として次の二点を挙げ得ると私は考えるのである︒
一つ
は協
同組合を単託る協同活動機関とせるととである︒今一つは中小企業者の素質の劣弱性の問題であるQ
第一の点は︑協同組合法の精神は︑協同組合を単怠る中小企業者相互間の協同機関と考える結果︑生産︑加工︑販売︑
購買︑保管︑運送︑検査その他組合員の事業に関する共同施設の設置を主目的とするのである
Q
従って各企業自体の活動には何ら有機的結合性を生ぜや︑例えば工業については︑各自用一の製法施設を有し︑同一の製品を作出するのである︒
然るに協同組合を一個の経済単位と見倣し︑協同組合自体が独立して独自の組織的活動をなすためには︑協同組合は各
企業の単なる集合体では左くして︑むしろ各企業者は協同組合によって生産せらるる製品の各製法工程の一分担者とし
ての意義を発見せねば左らないQ即ち製品作出の震の各製造工程を分析細分し︑作業の規絡化︑単純化︑単一化を計り︑各
企業は一工程の分担者として自己の業務を遂行せねば左ら左いのである︒換言すれば︑大企業の能率的生産工程を細分
し︑各工程を各企業が分担し︑組合企画本部の綜合的生産指示に基き︑各企業が組織的生産活動を遂行してにそ初めて
協同化の意味を理解なし得るのである
Q
戦時中に沿ける原材料及び部分品の入手難の結果として︑中小企業者はその資本力︑経営能力︑技術能力の欠如せるにかかわらや︑各種工程を自己の企業内に保有し︑完成品の生産を悲し得たのであ
るが︑返って粗悪品︑原価高の製品を乱治して去るのが実状である︒かかる工程別分担者たるの観念ょなくして単純に協
同組合を結成じ︑資本を集合せしめるととは︑例えば︑資・本額に於て犬企業と匹敵するも︑組織的結合体をしての有機
的危資本の運営が不可能となり︑更に共同施設の組織的結合体としての有機的活用もまた不可能とたるのである︒中小
企業等協同組合法は︑私的独占禁止法の遁用を排除し︑事業協同組合︑信用協同組合︑協同組合連合会及び企業組合の
結成を認めて長るのであるが︑自主的た組織的結合体3として木制度を活用するにあらざれは失敗するとと必歪であるQ
第一一の点は︑中小企業者の受賞の劣弱性とい弓点である︑︒過去に於ける協同組合の結成は︑世帯一種別︑地域別に全企業
者の加入を要請したのであるQ従って資本力︑経営力︑技術力に於ける相速は︑事業混営上に於ける団結カを脆弱化せ
しめたのである︒しかも中小企業者の中には︑全く無智無詑なる企業者が多数存在し︑彼等の念頭には営利遁求以外の
なにものもないのである︒かかる無能力者が雑然と混入せる結果︑協同組合の積極的な運営を甚しく阻害したのである︷
彼等はむしろ中小企業者としてでは伝く︑肉休労働者として︑賃銀労役の提供者として存在すべきであり︑失業者問題
として︑社会政策の対象とたるべきであるQ従うて協同組合の健全なる運営と発展とを期待する限りに於ては︑かかる
無能力者を排除すべきであると思うQ例えば︑中小商業者の中には︑資本カに乏しく︑商店経営能力に欠けたる者が多
く︑店舗の蓮営︑商品の仕入︑商品の販売等の能カの欠如せる無能力者が多いのであるQ中小商業者の自主的な組織体
として︑又百貨店等に対抗なし得るものとして協同組合を活用するが魚には︑百貨店経営を犬安本による集中仕入︑集
中販売組織と考えるならば︑米国に発達せる白由連鎖組織︵
J J
E E
ミ乙る山口弓 P
E 2
Z
︶の活用によって︑集中経営に対
する令散経営を考えるべきである︒即ち中小商業者の資本的結合により︑企画木部の統一的合現的運営によって︑その
経営カ︑組織力の向上を計り︑組織的結合体としてその成果を発揮なし得るのである
Q
へ 2
︶合開化の問題経済九原則の実施︑単一信替レ1トの設定を契機として合間化問題が樫顕してきたのであるが︑
現実的には浪費排除又は人員整問一としての現象を発生せしめて長るのである︒さて合用化の意味初日解として三つの場合
が考えらるる︒即ち個別的企業ないし経営内の技術的及び管制収的改善がその第一である︒︐次に産業部門・ないし企業相互
間の合迎的調整問題である︒過去に烏ける代表的なものは︑トラスト︑
カル
テル
︑
コンツェルン等である︒しかしそれ
は高度独占資本主義の切実なる内在的要求であり︑市場支問を意味するものであって︑祉会公
μ
命的見地より禁止されているのである︒第三は国民経済的︑社会化的計画に基く合疎化の問題である︒即ち国家計画機関による産業部門自体な
最近の中小企業問題一
O 七
宮 大 経 済 論 集
一
O八
いし相互間に於ける企業の再配置又は企業の生産量に対する策定指示であるQぷ口々の問題となるのは第一の経営合組化
の問題である︒従ってそれは中小企業自体の内部的合理性迫求の問題である︒即ち経営︑経理︑企業組織バ賞務管理及
ぴ生産技術等の改善に基き︑製品の品質の向上︑製品原価の低下を計り︑依って企業の牧益性・ないし経済性を増大をん
とするものである
Q
かかる意味に長ける合迎化は︑大企業にも要請せらるることであるが︑特に中小企業に対しては緊念性をもつのである
ο
しかし中小企業の同志的結合体としての自由連鎖組織たくしては︑かかる意味の合迎化運動は中小企業に関する限り無意味であるQ即ち業種別遁限経営の発見と組織化が先決問題であるQ
=一︑日本経済の情勢変化に塞因する諸問題︵
1
︶金融対策現在の中小企業の当面せる最大の問題は金融問題であり︑最近の情勢は大企業に於ても同様の困難はあるが︑経済矛盾の中小企業に集中せる結果︑その被害がはなはだしく︑中
小企業庁の調査︵昭ご四・コ一ーー七月︑二九府県分︶により経営規模別整理件数をみると︑三
O
人以下六0
・五%︑三O
ー九九人二四・五%︑一
OOl
一九
九人
O
︑八%
︑
二
OO
人以上
0
・七%と友って公り︑しかもかくの如き中小企業の整理閉鎖にもかかわら宇︑工業生産指数は昭和二十一年を一
OO
とすれば二十二年一四八︑二十三年二四四︑二十四年一二
三八
と増
加し
︑
叉貿易指数も昭和二十一年を一
OO
として二十二年一七一︑二十三年二コ一
O
︑二十四年三四二と上昇を示しているのである︑かかる点からみτも︑中小企業金融の念速在る解決を要請せらるる所以を知り得るのである
G
中小企業金融の陸路は企業内容の脆弱性と不明瞭性に基因する
ο
即ち将来発展すべき業種及び分野に属する中小企業も︑その脆弱性の震に融資が困難であり︑
算上融資不能となる場合がある︒融資対象としての中小企業は︑経川崎内容の不明たものが多く︑従って経営内容が不明 又経済的た合刈性︑ないし企業採算の観点から有利た中小企業も︑
金融機関の採
瞭の震に︑金融機関として調査費用が多額にかかり︑叉融資額小額の震に牧盆性に乏しいのである︒その対策として考
えらるることは︑政府資金及び見返資金を以て中小企菜特別枠をつくり︑とれを長期融資に充τ︑設備改善又は新設等
による原価切下げによる合川崎化資金に充当するととである叫従来復興金融金庫による中小企業融資は︑相当活後に行わ
れ︑昭和二十三年九月に代到一貸︑補償貸の再制度が設けられ︑昭和二十四年三月には代抑貸一︑五五五件︑
一︑
四六
O
六
O
三千円︑補償貸一︑二五七件一︑O
六八
︑
一四宇期三億円︵全敏十五億円﹂と決定され︑ 一四一千円に及んだのであるが︑同年三月末を以て中止となったのであ
る
ο
見返資金による融資は︑昭和二十四年度四四宇期︑即ち本年一月より開始されたのであるが︑六月中旬には既に六億円が融資済であって︑一四宇期五億円に融安枠の増加が考慮されてい
るQ又日本銀行による中小企業に対する別枠融資︵日本銀行生必物資︑貿易関係資金別枠融資制度︶も昭和二十三年六
月に設定せられ﹈勧業銀行︑興行銀行及び商工中央金庫を通じて一定額の貸出を認め︑最初四億円で発足したのである
が︑現在︵昭和二十五年六月八日︶は興銀十六億五千万円︑勧銀四億五千万円︑商工中金十七億円︑北拓三億円計四十
一億に拡大したのであるQ倫小日新規融資に対する信用保証制度として︑各都道府県に信用保証協会が設置せられ︑金
融機関の貸出の円滑をはかつているのである︒最近大蔵省では︑新財政金融政策の閣議決定にとも左い︑中小企業に対
する資金の量を増大し︑貸出の円滑をはかる釘に︑融資の損失保険ないし保証制度を法的に確立するととを考文ている
ょうである︵昭和二十五年六月十日日本経済新聞︶凶即ち国家資金による中小企業金融の再保険ないし再保証制度を作
る方法として︑財団法人たる信用保証協会の法制化と︑見返資金の出資による特別法人中小企業信用保険基金︵仮称︶
の設立を考えている︒その他国民金融金庫及び商工中金の活用による融資の拡大と円滑化を考慮しているようであるQ
しかしかくの如き融資方法の改善と︑融資額拡大並びに円滑化は︑中小企業の発展を促進するのであるが︑それはあく
まで応念対策であって︑基本的課題はむしろ中小企業の再編成による同志的結合体の結成による金融受入れ体制の確立
と︑中小企業金融専門機関の設置の念務であるととは論やるまでもないととであるU
︵
2
︶研究指導機関の設置︑中小企菜当面の問題として︑金融対策と並んで重要なものは組一税問題であるQ金融及び租最近の中小企業問題一
O
九宮 大 経 済 論 集
一 一
O
税問題の根本は︑企業内容の明確性を確立し︑資金受入れ体制の整備と︑不当課税の排除を友すととである︒中小企業
は一般に経理内容の不明瞭な鴬に︑課税の誼正を期し得左いのであって︑簿記原迎︑帳簿組織︑原価計算等の会計知識
の普及発達をはからねばたらないQそれは叉単に金融及び租税問題として重要注るのみ左ら宇︑経営及び技術の合現性
追究の魚に科学的根拠を与えるものであって︑かかる計算制度の確立紅一くしては︑経営内部の体質改善方法の基準目標
を発見なし得−ないのであるQ即ち単友る経営又は技術の改善︑又は新規生産方法泣いし新式機械装置の採用は︑企業
収径性の観点よりすれば必やしもその成果を期待なしえないのであるQ又過去に於ける国家重点産業及び基礎産業を中
心とする傾科生産又は能率性を指標とする集中生産方式の採用は︑中小企業の合別性欠如に基・く不当の圧迫となったの
であ
る
Qかくの如く中小企業の計算化︑機構化を計るととにより︑企業内部の不明瞭性︑不合理性を排除なす・とともに
企業外部に対する信用力︑競争力の一吻養をたすととが契緊の要務である︒勿論かかる捻一マ一円は前述の如く︑中小企業の再
編成による同志的結合体の結成を前提とするととは費言を要せざるととであるQかかる会計制度︑計数的管制叫制度の普
及確立︑企業組織︑経営形態︑労務管制叫及び標準生産技術基準の確立︑更にすすんで圏内及び国際経済情勢の正確なる
把握と指導等の震には︑国営による研究指導機関の設置が要請せらるるのである︒しかも単友る抽象的研究指導ではな
くして︑地域別︑業種別の具体的左各種指導対策の樹立と︑有能なる研究指導員の養成の震には︑中央及び地方研究指
導機関の緊桁友る有機的混営によってとそ︑初めてその成果を期待友し得るのである︒
五
結
中一
一口
!政
府の
政策
批剣
i
中小企業対策の重要性にかんがみ︑政府は昭和一一十二年十一月閣議に於て中小企業対策要綱を決定し︑更に昭和二十
一円一年七月中小企業庁の設置をみたのであるQ中小企業対策要綱決定の趣旨につき同要綱に衣の如く記述されて長るQ即
ち中小企業は︑わが国経済発展の特殊事情により︑産業構成上六たる比重を占めるとともに︑今後の人口増加により中
小企業の増大が予測さるるが故に︑わが国に沿いては経済的且つ枇会的重大問題であるとなし︑更に資材の有効活用︑
貿易に対する遁格性の山県得が緊念課題であるとなすQかかる趣旨から同要綱は中小企業の健全な発達を図る魚に︑業種
の選択︑経営の能率化︑技術の改善等につき遁切な指導を与え︑
又圏内及び国際経済事情に適応する如く転換勧奨を
行わんとするのである︒かかる趣旨により設置された中小企業庁は︑同庁設置法第一条に明示するが如く︑中小企業の
育成発展の魚に努力し︑その経営を向上させるに足る諸条件を確立するととを目的とするQしからば果して中小企業庁
発足以来かかる成果を発揮ーなし得たであろうかQ私は決して成果を納めえたとは断言できないのである︒
又中小企業
者自体も中小企業庁にそれほど期待して公らぬのが現実では占広かろうか︒私はその原因を中小企業の本質にたいする認
識の欠如に基因すると考える
ο
既に論証せる如く︑中小企業の質的究明をまって一初めて対策が案出さるるのであって︑中・小企業対策の緊念なる課題は︑中小企業の実質的結合であり︑自由連鎖組織による同志的結合体の結成によって︑
初めて犬企業との競争力︑対抗力を有し得る素地を作出たし得るのであるu現状のままにて︑中小企業の個別的保護育
成を策するととは無意味であり︑大企業に匹敵なし得る対外的及び対内的組織力を保有するととが先決問題であるψし
かるに政府当局者はかかる認識をもたないのであって︑中小企業対策要綱は︑その備考に沿いて中小企業の意義につ
いて攻の如く述べているのであるQ
即ち
一
J本要綱にいう中小企業とは︑犬凡左に述べる所に準じてとれを考えるものと
する
Q
例え
ば︑
小数の従業員を以って責任者が自らその運営に専心するよろたものであって︑概して所有運営共に単
独的であり且つ産業水準から見て投資額︑生産額︑販売高︑取扱量等が比較的少く︑その活動も少数の分野に止まると
共に
︑
他の企業との問に投資関係なく︑一方能率不充分のため︑
経営
︑
技術
︑
金融
︑
税務
︑
よ じ ふ ﹄
︑
令官U
− 三 ロ
その他営業一般
につき他の指導が必要であるようなものである︒﹂と止すのであるQかかる規定はなんら中小企業の本質を解明して沿
らぬのであり︑従ってその指導対策の目的を誤るのである
ψ
中小企業庁の第一の任務は業種別遁正経営規模の発見に
最近の中小企業問題
富 大 一 経 済 論 集 あると思う︒かかる適正経営頬模の発見に段︑経営立地条件を基本とする経営規模の発見を必要と在すのであっ
七︑しかる後に.具体的に現存する中小企業の経営能率︑操業度︑生産方法等を比較研究し︑その再編成を如何に在すか
が問題と在るのであるQかかる意味に沿いて︑無智無能力友る中小企業者の排除と︑遁格性を有する有能なる中小企業
者の同志的結合体としての協同組合の結成を推進すべきであるQしかるに中小企業庁は︑中小企業者の個別的要請に基
単に個別企業の無計画なる診断指導を行ろのみである︒しかもその診断員たるやその素質劣悪であって︑
診断員 き ︑
としての基礎訓練をかいて沿るのである︒即ち診断員たるには︑単友る学識者でも︑実務家でも不適当であって︑
. 埋
論及び実務の長年月の研気者でなけねば友らぬ︒然るに現実は︑中小企業診断基本・要領︵中小企業庁編纂︶に基く中小
企業診断は︑中小企業庁よりの資材及び資金の優先的斡旋手段と転化して沿るのであるQ中小企業対策として緊念を要
する課題は︑中小企業の同志的結合体の結成︑結合体の合型化︑即ち企業体制の確立であるQ次に五口々の中小企業庁に
要請すべき任務は︑各都道府県の協力に基き各地に国営機関としての経営研究所及び技術研究所の設置を在すととであ
る︒経営研究所は企業体の合畑一的運営の指導を在すとともに︑圏内及び国際経済情勢の調査研究︑原材料購入市場及び
製品販売市場の調査︑発見︑斡旋等の業務を行うとともに︑金融問題︑租税問題の合迎的解決を任務とすべきである︒
即ち進歩的犬企業は︑企業自体として銃に此等の機能を達成しつつあるのであるQ
更に
推〜
論す
る・
なら
ば︑
行政
機関
と企
業指導機関との分立を早念に確立するととである︒物資統制機関と
L
て活躍せる諸国家行政機関は︑最近の傾向として︑物資行政より企業行政への転換を試みつつあるが︑此等の行政機関ないし担当官吏は︑その能力︑素質を欠如するので
ある
Q
本来物資統制行政は企業行政的機能を前提とするのであって︑傾斜生産ないし集中生産方式は優秀企業の発見育成にあるQしかるにかかる意味に於ける統制業務担当官庁として︑現在の行政官庁はその無能力なるととを暴露したの
であり︑統制官庁に止る統制技術の失敗が︑統制方法奇いし統制自休を無用有害たりと誤認せしめ︑しかも産業界の発
展を阻害したのである︒文書行政官庁主りの恭意的た物脊続判官庁への長換け︑稗学的加請行政土り防状行政へ左官庁
機能を転落せしめ︑幾多のゆ一一白悪を発生せしめたのである
ο
科学的研究機関としての経営及び技術研究所の設置を要望する論拠をととに五日々は消極的要因として提唱するとともに︑積極的要因として専門機関による中小企業の助長育成の活
澄怠る発展を期待するものであるQ
扱︑以・ヒに於て中小企業問題の最近に於ける重要性を指摘し︑中小企業の本質を究明するととによって初めて中小企
業策対の遁切在る樹立が可能なるととを論証するとともに︑当面せる諸問題に対する対策につき論評を試みたのであるQ
特に最後に中小企業庁の発足に当り五口々が非常な期待を寄せたのであるが現実は中小企業の本質に対する明確なる概念
の把握なくして︑早念なる諸施策を樹立し︑とれを実施せる鴛に︑返って中小企業者の期待を裏切り︑政府の諸施策に
対して失望観をいだかせる結果となった点を指摘し︑上述の論拠よりして︑中小企業の指導対策に対する私案を提示し
たのであるQ
i 昭和二五︑六︑二五記 l
最近の中小企業問題
一 一
一