• 検索結果がありません。

石橋設子、山本 政

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "石橋設子、山本 政"

Copied!
24
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

177

クリノリン衣裳複製についての一考察

石橋設子、山本 政

1.緒  言

 地球上に人類が誕生し、その長い歳月の中で、人々は様々な被服生活をしてきた。中でも 衣服は、個性の表現をし、家庭生活や社会生活をも反映してきた訳である。そこで、被服生 活を考察する上では、人間の全領域いわば世界的視野から捕えることが、必須の条件である と考えられる。換言すれば、世界各地の気候の違いや人間個々の肉体的・精神的な内的思想 の相違、また、それぞれの時代の政治や経済等多面的に影響していると思われるからである。

例えば、日本の洋装文化が急激に発展したきっかけは、明治初年日本の為政者達が外交を始 めたそのことに、起因していると云っても過言ではなかろう。

 ともあれ、衣服は人間が生きて来たプロセスを最も良く表現していると云えよう。逆に、

各衣裳にはその時代を偲ばせる服装のデザイン的変遷を見ることが出来る。それらの事柄に ついて、服飾の史的研究をするうち、西洋服飾の複製に思いを寄せた。そこで、現代の素材 と縫製のテクニックを用いて独自の方法で、クリノリン衣裳の再現をすることにした。複製 をするドレスは、Fashion platesに掲載されている一枚の絵で、コムト=カリックス・プレ ヴァル刻のイブニングドレスであり、写真1がそれである。

 この原画を選んだポイントは、華麗なデザインでクリノリンの特性を備え、当時を代表す るような作品であること。また着用するにあたり、サイズの近似していることなどを念頭に おいた。そのほか製作年代についても幅を持たせられる様に考慮した。当時の西洋婦人の身 長は163cm〜196cmと大変高かった様であるが、製作者が靴をはくとその平均値に近くなる。

また胸囲寸法及び腹囲寸法は、それぞれ1cmの差であり、腰囲寸法は同寸であることから、

洋服のバリエーションを構成する3つのポイントが、ほぼ一致した寸法である。このように 当時の体型に大変近いことから、実際に着装し、機能性を確認出来ると云う利点もあり、複 製についての一考察をすることにした。

(2)

     ロ ヨ   ロ お

・盤簑≧蕗

   』漏,≠〆茜」・ ム頑‥ ズ     ←■ 白一 禽甲〜

写真1 コムトニカリックス・プレヴァル刻        (イプニングドレス)

II.研究方法

 1.19世紀クリノリン衣裳の服飾史的考察

 1848年から1870年のクリノリン衣裳の形成と発展について歴史的背景から考察すると、政 策と経済の関係が寄与することが大きい。中でも当年代は工業の機械化の促進、対外貿易の 進展のもたらす決果として、贅沢なくらしが満喫できる状態にあったと云えよう。このよう な社会史から、フランスの服飾とその展開について、女性の服装を総括してみると、その概 要は次のようである。

  1)女子の服装の特色

 第二帝政時代織物工業が発展し、染色技術が進歩した事により、布地や装飾上において、

限りなく変化に富んだ趣向が加えられるようになった。こうした新しい技術の進歩は、経済 の繁栄となり、そのまま、服飾の華美を産んだ訳である。殊にフランス宮廷が、一層文化的 イニシアティーヴを取るようになった。複製にあたって、当時のイブニングドレスのデザイ ンに、焦点を絞り考察すると、トップ部分ではネックラインを水平のように広く明け、S・N・

(3)

クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 179

Pを肩峰点迄繰った。また、それよりも繰り下げるなど、肩をあらわにした。このような広い 明きのネックラインには、フリルやプリーツ、或はレース等をつけて、袖の方まで垂らし、

ボディスを飾った。また、スカート部分は、クリノリンに支えられ膨大なものとなった。い わゆるクリノリンスタイルと呼ばれる衣裳が出現した訳で、1860年にはドレスの蹴回し寸法 が9メートルに達したそうである。

 こうしたクリノリンスタイルの巨大化に伴って服装生活に豪華さや貴族的雰囲気が盛り上 げられて行った。尚、身分制度の解放と相侯って、特権階級だけの衣裳の着用が一般市民へ と広まった。その為に流行は拡大され、華麗な衣裳は最高潮に達したと云えよう。

  2)女性の下着と体型

 スカートを大きく脹らませるクリノリンは、形や構造上の種類が多く、これらは年代によ り変化している。流行のデザインは、釣鐘状に始り濾斗状へ、60年代は前面は脹らませず、

後方のみ脹らみを持つようになる。又構造上、縫製上、材質上などによる、パニエの代表的 なものに、鳥かご型クリノリンいわば輪骨入りのペティコートがある。他に馬毛入クリノリ ン・綿布製クリノリン・馬毛入り布襲飾り付クリノリン・鳥かご式下部布付クリノリンなど がある。これら、クリノリンを用いる様になり1850年から1860年には、コルセットに影響を 持たらした。それはコルセット自体が短くなり、布をプリンセスラインに接ぎ合わせたり、

梢付とする手法を取り入れるなど、身体にフィットしても圧迫を加えない様に工夫された。

また、着脱にも便利な縫製がされるなど新技術の開発がされ、フランス文化の開花、その結 実期にふさわしい服装上の長所が種々産み出された。しかし、クリノリン自体は自分で着用 出来ない、機能面での欠点を抱えていた訳である。

 2.パニエ及びクリノリン衣裳の複製について

 原画を基にイブニングドレスの構成に対する検討を行う。先ず、原画の分析を行い、その 構造図を模索し、立体裁断における予備知識として、製図、裁断などの予想を立てる。それ

を基にしてクリノリン衣裳の複製の施策案とする。また、パニエを製作し着用者のサイズに 合ったスタンに着装させ、ブロードによる立体裁断を行い仮製作のドレスを縫製する。着装

し検討の後、ドレス布地によるドレーピングにはいる。

m.構成方法と縫製及び考察

1.イブニングドレスの構成に対する検討  1)原画の分析

画家の視点から原画の分析を行った。この絵(写真1)のイブニングドレス着用の婦人の

(4)

顔を見ると真横を向いている。ドレスを見ると胸もとのバラの花、スカートの上の緑色の花 弁形飾り布(以後飾り布と略称する)の正面が、少しこちら向きである。以上の2点から考 察しても、この絵は右前方から見て描かれたことがわかる。そこで見えている二枚の飾り布 の位置を設定すると、前中心にあたる飾り布は、図の右から1/4の位置、右サイドに当る飾り 布は図の左から9/34の位置であり、図1のような花弁形に区切られていると思われる。

 一、叉

蘇え〔  ×

べ 語〆灘灘      \

v      l      、

s  ,へ   長一一   、

     、    /      、        ぢ〆      、

職蔦

図1 スカート部分の平面図

(5)

クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 181

  2)構成に対する施策案

   (1)原画における寸法の割り出し

 身長を175cm(7cmの靴をはく)とし、絵の婦人と同寸と考え、身長を基準に比例計算で各 部位の寸法を算出した。図2の通りである。

あし

ひ\S・   27(2・56)

一         \       而 _    心    175(16・6)

膓35彦嘉      心   +

(12.8) r       O>/       00

       、

(・…)

47/       (9.48)

、\/, ・こち/ £シ      )

\ ノ    8 こ

領二〇\

今ピ い 変・w

/ηマ『・、

z

175(16.6)

(0.66)

円周=549.5       ※数字の単位は全てcm        l内の数字は原画の実寸法        外の数字は割り出し・」 法

図2 寸法割出し図

(6)

   (2)着装から検討した構造図の設定

 既にスカートの平面図を想定した通り、縫製的見地からもスカートは3枚重ねであり、そ の上に飾り布がスカートの一部の様に取り付けられている。当然、これらの布の重量や形状 を支える、当時のクリノリンに値する様なパニエが必要である。そこでスカートを主とした 全体的な構造は図3のように考えられる。

 図3−1はパニエで、図3−2はスカート丈の基準となるアンダースカートaで、ウエス トにギャザーを寄せる。図3−3はアンダースカートbで、オーバースカートの花弁の隙間 から視かれるように構成する。図3−4はオーバースカートで、量感のあるドレープの為に 前後中心と、左右に襲づけをして引き上げる形。図3−5は飾り布でオーバースカートの前 中心と、左右の引き上げ部分を覆い隠すように取りつける。

      爾        〃賀

       〃に     僑

       ノ ノ   しいし       ン    バ

  = s    ,//・ノ装 、、 ・、   / \\

藷馨漏  之≠≒ξ    \

う     つス

      ノ       ト

婆1、 、・・     、/当 i已・♪

          1   _,,一一.__一一つ

着装図        図3−1 パニェ   図3−2 アンダースカートa

脅     摺      鰐

       (

/      /」    , \./   // ・\・・ノ  ・

グ      ロ ロペ  コプ コド       ベ       ノ       ド      ヘへ

(       _,一一= 『 ▽      \_−F−/       一,_一一一一『一一            ・             ㌔一ノ   ,

,一一一一一一一一一  『 一      ____,rジ       、、     ,      一_一/

      一.一_._・一一.一一___一, 一一 『 ▽

図3−3 アンダースカートb 図3−4オーバースカート   図3−5飾り布

      図3 着装及び構造図

       (スカートを主にした図)

    /ギ、  ・//・ノS /多/

 、、

\、,A、

(7)

      クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 183

 2.クリノリン衣裳の複製   1)複製の考案

   (1)型紙による製作案

 立体裁断導入への予備知識として、原画から割り出した寸法を基に、ドレスのプロポーショ ンからうける予想を製図に表現する。それにより要尺も見当出来る。そこで現代の素材を用 いて独自の方法で完成させるための、ドレスの予想製図を行うことにする。

   ② ドレスの予想製図  トップ(身頃)部分

 身頃は胸囲91cm、背丈39cmの寸法で文化式原型を作図し、これをもとに製図を展開する。

図4−1のように、衿剖を大きくあけ、ウエストラインの前中心を鋭角のV型とする。

図4 ドレスの予想製図

身一

1.5<

      r3

 0.7       〆3、

0.7

 1 7

>1   1<

Y   IY5       Lミ

0.7 0.7

)3

5\

3 3

o

8

図4−1 トップ部分予想製図

     (文化式原型使用)

(8)

     フ3

   22      」−22

  1      1

  1      1

  1         1

11d      l

・3・

l   !53   1       1

  1       1

      1

3<       143

201       1

       1

75−→      1

  1851 217・51

1      6ぽ 一一一1・8−一→    工=⊥」 図4−2 アンダースカートa      図4−3 アンダースカートb

       3     3

    35      30

  1       1

  1       1

1  、49 1 、。2.,1 2°251・5・   l       l   l      l   l       l   l      l

  l      l

  l      L

  l         58・75∋

  1        )

100 /6\      4、

0.5

       右:中央部の飾り布        5   左:側面部の飾り布        5 0.5

トー一一一一一一126−一 一一一一一一一一∋

図4−4 オーバースカート        図4−5 飾り布(縁タフタ)

      スカート部分予想製図

(9)

クリノリン衣裳複製にっいての一考察(石橋・山本) 185

 スカート(下半身)部分

 スカート及び飾り布の製図は図4に示す通りである。図4−2アンダースカートaは、6 枚接ぎのギャザースカート。図4−3アンダースカートbは、デザイン上オーバースカート が基本となるドレープ形態の為、丈を1.5倍、幅を2.5倍位に想定する。またオーバースカー

トの隙間から視かれるドレープ部分の丈の一番長い所が、アンダースカートaより10cm位上 とする。図4−4オーバースカートは、前2枚・後2枚のドレープした布で構成され、左右 対称の形であり、見積りの難所である。原画の割り出しで寸法を設定したように、ドレープ の寄った状態で、前の最大幅74cm、後の最大幅84cm、前スカート丈100cm、後スカート丈135 cmを指標に、ドレープによる引き上げ量と幅のゆとり量を考慮し、丈を1.5倍、幅を2.5〜3 倍に算出する。図4−5緑タフタの飾り布は、オーバースカートの引き上げ縫合位置を隠し、

スカートの三枚重ねのボトムラインと融和する形状に製図をする。

  2)パニエの製作

   (1)パニエの製作手法の検討

 19世紀当時のパニエは、馬毛や、鯨のヒゲ、ぜんまい、針金、鋼鉄等で窮屈なまでに形成 されていた。しかし、本製作ではこのパニエを現代の素材を用いて、然も、被服自身の動き を表現出来るように、縫製上のテクニックを検討した。パニエは云う迄もなくシルエット作 りの基になる。殊にクリノリンドレスのプロポーションを確認する上では、仮製作当初から 必要である為、先にパニエの製作をする。

   (2)素材・構造・製図・裁断     ①パニエの土台

 素材は、張りのあるパンプ(ナイロン100%)を用いて、5枚接ぎとし、ウエストにインサイ ドベルトをつける。構造は、骨格として、直径1.6㎜の針金を円錐形に10本入れ、直径1.9㎜の針 金を円形に4段、前中心でほぼ等しい間隔に入れる。図5のa・b・cの通りである。

 製図及び裁断については、次のように考える。パニエの直径を、ドレスの直径からフラウ ンスの脹らみ分15cm位を考慮した160cmに見積る。そこで蹴回し寸法は、160cm×3.14=502cm の式で算出される。しかし、使用する材料の布幅が1mのため、接ぎ合わせ縫代を1cmとする と、パニエの直径は、{(100×5)cm−(1×2×5)cm}÷3.14=156.0595cmと算出され、見積 り寸法より少し小さめとなる。それで、パニエの土台布の形態は、ウエストに1.5倍のギャザー 分量をとり、裾はひとまず布幅いっぱいにし直線で結ぶ。図6のような製図となる。裾線は 先ず直線のまま裁断し、ウエストを基準に、釣合いを平らに縫い合わせ、各スカート布5枚 を縫合する。そこで、ボトムラインが滑らかな曲線を描くように訂正しながら裁ち落す。

(10)

a.側面図

  前       後

「10「

_図↓L・枚接ぎとする  1

前   後   1  ㍑

       ユ1°1   ③・枚       115 1

       L横に針金樋す   13・ 1

       (4本)      l c・平面図      1

      ②       1       ③      1 縦卜金

纈    」一一・・一一一→

図5 パニエ土台布構造図         図6 パニエ土台布製図

    ② フラウンス

 素材は、ハードチュールのソフトなものと、硬めのものと2種である。構造はギャザーを たっぷり寄せたフラウンスを4段、更に硬いハードチュールのフラウンスを、中3段の針金 位置につける。図7のa側面図に見られる様に寸法の設定を行った。尚、b平面図の様に縦 の針金を入れる方法をも示した。また、図8のように折り返し分の山にギャザーを寄せ、台 布に取りつけ、フラウンスの脹らみを強調する。そのために図9のように裁断することになる。

(11)

       クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 187

  a.側面図       b.平面図        25

      11 ____,     25     2     \

  2   \\...一一_/  5

2       \\、       !〆

        、\一一_一一.一_/   40

(針金の直径1.9㎜)    針金通し位置

       σラ〔スハードチゴルつけ位置      (針金の直径1.6㎜)   針金通し位置         硬い)ハードチュールつけ位置       縫い代の位置

     図7 フラウンス及び針金通し位置の設定

F−一一一一一¶

1       」

一一一一一一      トー一一一一一一一一160−(つけ寸法2倍)一一一一一一一斗

一一/  ω 1

フラウンスの折り返し分(短い方)

を内側になるように台布に縫いつ

ける。

トー一一一一一440−(つけ寸法2倍)一一一⊃

35

一一一一一一一一一

      45

L      」

 L−一一一一一一一一700−(つけ寸法2.5倍)一一一→

20

      「

図8フラウンスのつけ方 ____…_

      60       」

一一一1050−(つけ寸法3倍)一一一一一一司

     図9 フラウンス裁断

(12)

    ③フラウンスの覆い布

 フラウンスの形態がドレスに響かないように、オーガンジーをかぶせる。オーガンジーは 緯布を布幅いっぱいに使用するため、フラウンスの脹らみの多い、うしろは丈が不足する。

これをフリルで補う。図10のaが構成図でありbは裁断図である。

a.構成図

b.裁断図

124

      じ

」_600−一   」_200_□

図10 フラウンスの覆い布

(13)

クリノリン衣裳複製にっいての一考察(石橋・山本) 189

   (3)縫い方要点

 まず土台を作る。布5枚を接ぎ合わせ、ウエストラインのL5倍のギャザー分を始末し、裾 線を訂正した後1clnの3つ折りにする。緯の針金位置では裾の1ケ所、経の針金位置では接

ぎ合わせ位置の5ケ所を利用し、針金の通り路を作る。そのほか横3本と縦の5本は平織の コトンテープを縫いつけて針金通し路を作る。この縫製の際に、布の経、緯の交錯点で針金 通り路がふさがらないように工夫をする。

 フラウンスつけは、ソフトなハードチュール、硬めのハードチュール共、ギャザーを寄せ 各段毎に、つけ位置の寸法よりわずかに緩めに設定し、ミシンをかける。ギャザーで厚くな るので縫合に注意する。

      (4)試着・補正

 パニエの土台は、仮縫い合わせ後試 着したらイメージ通りであった。そこ でフラウンスをつけ、写真2に示すよ うに完成をしたわけである。全体を良 く観察すると脹らみや大きさは、ちょ うど良いがサイドの写真が示すように 前がはね上った為、その検討を行った。

これは後に脹らみを多く持たせる為に、

フラウンス量が後に集中していること から、重みで後が下りぎみになるもの と思われる。そこで、改善策として着 装者とパニエの空間を埋め、クリノリ

ンを固定しようと考え、アンダーパニ エを追加製作することにした。

  3)アンダーパニエの製作    (1)素  材

 パニエと同じく土台布には、パンプ を使用し、フラウンスは硬いハード チュールのみ使用した。

写真2 パニエ

(14)

   (2)土台布の製図と構造

 下肢部の中で、運動に作用する大腿部の位置、つまりパニエの上部空間が埋められると、

パニエは固定される。そこで、土台の丈は短くして、フラウンスのフリル分量を、縫製可能 な限りに多くし、ボリュームのあるシルエットを構成する。着脱のためのあきは、パニエが 後あきの為、アンダーパニエは前あきとし、重なりを避ける。図11−aは台布の製図である が図11−bはフラウンスのつけ位置及び裾の縫製方法を示したものである。

W

・丁6T/

鱗 へ 緊1\

,/ 、」

   

一_ .一.

台布の製図

  5\0.53ど.5

0.5/7 0.5ノ3

2

後ろ明き

70

70

50

\25ノ

\8ノ  \10ノ

25

・・ラウ・・つ蹴,76ぼ(・

      (90)  、4

\一\      ⇒二

ステツチで固くする→1・5こ三ニニ/

図11アンダーパニエの製図

(15)

クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 191

   (3)縫  製

 アンダーパニエの土台布は、始めに製作したパニエと 異なる点が、前明きとしたこと、また、これを突き合わ せに縫製すること、及び裾に15cmの見返しをつけ1.5cm間 隔でミシン縫いをし張りを出すことである。また、フラ ウンスのつけ位置は、大腿最大幅位ぐらい迄とし、ギャ ザー分量は5倍と極めて多くする。そのためにミシン縫 いは容易でないが、フリルのつけ方、ミシンのかけ方に 細心の注意を払いながら縫製した結果、写真3の前面・

側面・後面が示すようにイメージ通り製作できた。

   (4)パニエの重ね着の検討

 改善策として製作したアンダーパニエの上に、最初作 成したパニエを着装したのが写真4である。尚、後面の 写真は覆い布(オーガンジー)をはねてフラウンスの縫 製を示したものである。これは、実際に着装し動作実験 を行ったが、その結果動的姿勢の場合も、写真と同じ着 装状態であった。この保形性のアンダーパニエの製作に

よってボリューム感と固定感は共に改善された。

  4)立体裁断による仮製作    (1)立体裁断の行程     ①人台と素材

 体型に最も近い文化型スタン10号(バスト91・ウエス ト67)を使用する。ウエストの差が0.5cmのみの為ボ ディーの補正はしない。素材はブロードの白とブルーの 80番手を使用する。

    ②ドレーピングの概要

 トップ部分……前身頃は、前丈に縫代分を見込んで引 き裂いた布に、あらかじめ前中心と、バストラインを印 す。それを基にバストの脹らみが眺げないように、肩が 落ちないように、ウエストがすっきりするように等考慮 写真3 アンダーパニェ   しながら、ダーツや、切込み、またはカットするなど布

(16)

地の物理的な性質を利用して処理をす る。後身頃も同様である。

 スカート部分……全体的なプロポー ションを掴む目的で、オーバースカー トのみ立体裁断を行い、仮縫製を行う。

ドレスに使用する布幅が115cmのため、

その寸法に調節したブロードの両端を、

2cm位の針目で縫い、糸を引いてド レープを形成する。ピンワークで更に 調製して美しいドレープの状態を見定 めてから、布に10cmの鹸裕を残して カットする。後スカートも同様に行う。

飾り布のつけ位置、大きさのバランス 等もみる。

    ③立体裁断に対する考察  トップは、予想通りの感覚でドレー

ピング出来たが、スカートは想定通り にならず、後ろ布の中央をシャーリン グの技法で引き上げた所、美しいド レープが形成された。

   (2)仮縫い合わせ

 トップのダーツの縫い代は、前・後 それぞれ中心向けにし、肩や脇の縫代 は前身頃側に片返しにする。衿割りに フリルをつけ、本製作時のレース(装 飾衿)のイメージにし、尚伸び止めを 兼ねる。スカートはドレープを寄せて 接ぎ合わせる。裾にはレース代りのフ

リルをつけ、後スカートの中央は

シャーリングにする。飾り布3枚を想 写真4 アンダーパニエとパニエを重ね着装   定した上で、前中心の一枚のみ作り、

(17)

クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 193

オーバースカートに止めつける。最後に ウエストを接ぎ合わせる。

   (3)試着・補正

 仮製作における立体裁断は、左半身を 主に行い、仮縫い合わせを行った後試着

した。写真5に示す通りである。全体的 に良いと思はれるが後身頃の衿明きのV 字が少し開き加減で補正をする。

   (4)仮製作に対する考察と改善案  このイブニングドレスのスカートは、

三枚重ねであるが、仮製作のためオー

  胃1タ rバースカートー枚で試作をした.それに

 1     ,      もかかわらず、かなりの重量である。先  ㌧ 巧      に述べた構成図、図3のように縫製する

ξ㌘膓1ξこi醒  ㌶:㌘:竺㌫纏

 、.骸ト、・  さ       せ縫代を吟味しても、改善の必要がある。

      1      そこでアンダースカートaとアンダース        カートbの簡略化を検討し、隠れる部分        の素材と構造を図12のように考えた。図        に示すようにアンダースカートのa・b とも別布をつけ、見える部分のみスカー ト布で、ドレープやギャザーを寄せ、重 さを押えることにした。

  5)イブニングドレスの製作及び装     飾品

   (1)素  材

 製作するイブニングドレスは、ドレー プの美しさが第1のポイントであり、適 度の厚みと柔らかさ、また一方では、ク 写真5 立体裁断による仮製作試着    リノリンのスカートに見られる豪華さを

(18)

土台布(ベンベルグ〉       士台布(ベンベルグ)

   ギャザー

        \一一.一一、 1 卜   /一一/

アンダースカートa       アンダースカートb         図12 改善策のアンダースカート

表1 イブニングドレスの素材・要尺・単価

パーツによる区分

製  品  名 繊     維 布幅(cm)

要尺

(m)

単 価

(円/1m)

全体表地{㌶,カ.ト

サテンスエード ポリエステル

     (100%) 115 11 1,600

アンダースカートb

(見 え る 部 分)

サテン風ジャガード

(バラ地模様の地

紋)

ポリエステル      (100%)

112 5 1,600

アンダースカートa

(見 え る 部 分) シルクシャミー ポリエステル      (100%)

90 6 780

土台布{;1㌶弍

    ベンベルク レーヨン (100%) 90 7 250

表 ズーラタフタ アセテート (56%)

レーヨン  (44%)

90 1.5 4,700

裏 ベンベルグ レーヨン (100%) 90 1.5 350 装   飾   用 ブレード レーヨン (100%) 1.7 6.3 450 レーヨン (100%) 22 24.2 810 装   飾   用 チ・…・一・

{;

レーヨン (100%) 15 24.8 810 レーヨン (100%) 17 3.3 810 衿(フ   リ   ル) チ・一ル・一・

{言

レーヨン (100%) 10 3.2 360

更に強調する光沢が必要である。そこで、布の組織や、糸密度、厚さなど布の諸元について、

細かく検討した。また3枚の飾り布もプロポーションの上から、極めて重要なポイントであ る。この細長い花弁の形ちを保つためには、布の張りが必要な上に、装飾用のレースや、点々 と散りばめられたピンクのコーサージュとも調和が要求される。そのために幾つかの素材を

(19)

クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 195

用いて一部ピンワークを試みるなどの方法をとった。表1に素材と要尺及び単価の概要を示

した。

   (2) ドレス布による立体裁断の要点

 トップは……ブロードによるべ一シックパターンを基に製作する。

 スカートは……布の使用量が多いことと、ドレープが主体のためにドレス布の材質の違い が多大な影響を及ぼす。そこでドレス布を使って新たに立体裁断を行う。先ずボディーにパ ニエを着装させ、オーバースカートのピンワークを行う。仮製作における立体裁断から得た 適格な分量を想定して、まず布を台形に裁ち、シャーリングを併用して布を引き上げ、ドレー

プを形成する。またアンダースカートa・bの土台布は共に裏布を使用し、6枚接ぎとする。

この場合土台布の裾はパニエの脹らみをつぶさない程度の寸法を考慮する。尚、ウエストに 最小限度のゆとりを持たせ、ウエスト寸法の余り分はタックで始末をする。アンダースカー

トbは、まず土台布にオーバースカートの裾線を写し、その隙間から見えるアンダースカー トbの位置も印し、一方、ドレープを形成したアンダースカート布bの形状を確め見栄え良 く縫合する。アンダースカートaは,オーバースカート及びアンダースカートbの裾線を、

あらかじめ土台布に印し、ギャザーを寄せたアンダースカート布aを三枚重ねのスカートの 裾線が落ちつく位置に縫い合わせる。飾り布は仮製作時における立体裁断済みのものを応用

する。

   (3)立体裁断の展開図

 トップは、仮製作時におけるべ一シックパターンを用いて製作を行ったので、図13−1の

       l      56一当        1

図13−1 予想製図と立体裁断の比較       L−一一_114−一一一一_↓

        身頃   図13−2オーバースカート展開図

       l

       l      l        l       l

       l      l

。.7/23・・5・・ζ ∫3  1   1

l l\   1・   副

 イ1 1 忽  ・9・1板    枚1・45

(20)

10 20 10

一5 「1

   L−一一一  90−一一→

図13−3 アンダースカート土台布展開図      (6枚接ぎの元型)

964

⑥…・1枚

二b)・…2枚

◎・…3枚

/17\

」.一一52−一∋      L_一一_一一一.一一_一_.⇒

前側 ・       ④25㊤

      37        16

82,5

       105      0       ④

\\讐

    N.

37        16

\___ __一/    (925⑮

      フリル付け位置

図13−4 アンダースカートa展開図   図13−5 アンダースカートb展開図

(21)

クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 197

狂1.5

1 1 1 1 1

1 1

1 1 1

1 1

1 1

1 1

1

1 1

    |     1     }     1

18  1     1

2

1 5(\一・15−/

irl6s 〜  !  7

狂15  13.,  ような鯖ができた・スカートは・ドレ

/    \

7

10 、

ス布地によるピンワークであり、ブロー 1      5ノ |      ドによる仮製作の試作時とは微妙に変化

1  い6

/11.5

l      l l      l

l        l

l      l l       l l       } l      l l  2    1

!      3

.8 1      した。その展開図は図13−2〜図13−5

  |

  1。.,  に示す通りである・

 !      (4)仮縫い要点と試着及び補正 1       仮縫い合わせは、ぞべ糸及び絹縫糸を

1

1       主に使用し、仮製作と同じ要領で縫合し 1       た。写真1のイヴニングドレスの着装状

1

1       態に近似させ試着し、原画と見比べると

巖覆:一一一ほ頗いと思われる.写鄭の示す働

イ1:中央部飾呪1、  である。飾り布は少し細くなった様であ      \i,,,_ 2 剛[酬り71」る・▽れは仮製作時はブ・一ド・・番で      図14飾り布展開図(補正)    あり軽かった。しかし・本製作のズーラ       タフタの布は重いので垂れて幅が狭く感 じられ、加えて原画が斜から描かれている点で、割り出し寸法と実寸の誤差が強調されるこ とになったものと思われる。そこで飾り布の型紙を、図14の様に大幅に補正した。

   ⑤ 本縫い

 ドレスの本縫いは省略し、この項の末尾に完成着装の写真を原画と対象させたい。髪飾り やコーサージュは、原画に見られるように、タフタの飾り布の緑や、チュールレースの色に 調和し、ドレープの陰影にも美しく映えるものが良いと思う。そこでシルクオーガンジーの 布をピンクのぼかしに染色した。その濃淡のある布を用い、花弁の異なるバラを作成し装飾 することにした。写真7に示す通りである。

IV.総  括

 西洋服飾の複製を行う事は、史的研究・技術的要素・縫製科学等と多面的な因子を持ち、

困難が予想され、それらの事柄を如何に解決するかが重要なポイントである。勿論、当時の 文献が第1の資料である。それにも拘らず現代の素材と技術を用いて、複製をしようとする、

目的そのことが、大きな懸念であった。しかし、複製のドレスを選択するに当って、着装を 対象とすることを大きな要因として決定した。その決果文化型スタンの使用も可能で、ピン

ワークしやすくなり、立体裁断と平面裁断の併用ができた。一方においては、モードの歴史

(22)

写真6 イブニングドトレスの仮縫

写真7 装飾品(髪飾り・コーサージュ)

(23)

クリノリン衣裳複製についての一考察(石橋・山本) 199

荻 丙∨

ぶぶ

写真8 完成着装と原画の対象

に見られる蹴回し寸法を指標に比例計算により、ドレスの予想製図を行った。こうした事が、

造型に対する布の使用法、寸法の適格さ、バリエーションの掴み方など、的確な量感を速や かに、表現出来る感覚を把握することになった。延いては、立体裁断の予備知識となり得た のである。そのことは、製作過程に於て、見積りの難所と思われる各部位が、仮製作や本製 作の仮縫試着に於て、補正が極くわずかであったことが何よりの証左である。

 またクリノリンは、縦10本横4段の針金の通り路を作り試着実験をしたが、横のみで原画 のイメージは再現でき、座ることも可能であった。然し、動作によってはパニエが不安定に なる事から、改善策としてクリノリン保形性のアンダーパニエを製作し効果を得た。実習上 では、スカートのドレープを形成する際膨大なパニエを使用する為に、ピンワークしにくい。

当然、蹴回し寸法も大きい事から立体裁断は困難で、タック操作とシャーリングを併用する 等、縫製上の技法を駆使した。

 完成の写真を観察すると飾り布の綴がみにくい。これは、ズーラタフタフタの材質にもよ

(24)

るが、装飾用のチュールレースが、白・黒共にレーヨン100%であり加えてブレードもレーヨ ン100%である為、重みが加って垂れ雛が出来たと思われる。また、写真撮影が2週間展示の 後と云う事もありクリノリンの張りも少し押えられた様である。そこで着装期間によっては、

縦針金の使用も検討することが望ましい。

 以上のような考察から、次のように要約される。それは感性に支えられたデザインの把握、

また一方においては素材に対する科学的な応用も関与し、現代の人工素材を用いても、原画 の様な風合いのドレスを引き出すことが出来たと思われる。また染色化学と相侯って製作で きた髪飾りやコーサージュは、当時のイメージに装飾出来全体的には、原画に近似している 事から技法上の成果はあったと思う。

 終りに、紙面の都合で研究過程および結果の詳細について割愛したことを付記する。

 参考文献

1)丹野郁:服飾の世界史 2)南静:パリモードの200年

3)深井晃子(訳):The Undercover Story  前畑典子(〃):〃    〃    

4)セシル・サンローラン(深井晃子訳):女の下着の歴史 5)R・ターナー・ウィルコックス(石山彰訳):モードの歴史 6)中尾喜保:女のかたち

7)中尾喜保:被服のためのキネジオロジイ

8)FASHION PLATES

9)石山彰解説:ファッションプレート全集

石橋設子(本学卒業生)

山本 

政(本学教授)

参照

関連したドキュメント

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

②藤橋 40 は中位段丘面(約 12~13 万年前) の下に堆積していることから約 13 万年前 の火山灰. ③したがって、藤橋

低圧代替注水系(常設)による注水継続により炉心が冠水し,炉心の冷 却が維持される。その後は,約 17

それを要約すれば,①所得税は直接税の中心にして,地租・営業税は其の

3006.10−外科用のカットガットその他これに類する縫合材(外科用又は歯科用

61類~63類の繊維製品に縫糸( HS52.04 、 54.01 、 55.08 の縫糸又は HS54.02