化学生物総合管理 第8巻第2号 (2012.12) 95-125頁
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【報文】
化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その 16)
-計画と呼ぶに値しない日本の SAICM 国内実施計画の検証-
Study on Strategies for Capacity Building of Integrated Chemicals Management (16)
-Verification of Japanese SAICM Implementation Plan which does not deserve calling it a plan-
星川欣孝、増田 優
お茶の水女子大学 ライフワールド・ウオッチセンター
Yoshitaka HOSHIKAWA, Masaru MASUDA Ochanomizu University, Life World Watch Center
要旨:この報文では化学物質管理に携わる関係省庁が
2012
年9
月に発表し国際機関に 提出した日本のSAICM
国内実施計画について、その策定の目的や内容の問題点およ び策定過程の欠陥などについて検証した結果を紹介する。その文書の目的および内容 は、政府が国際的に公約したSAICM
基本文書に規定される社会の化学物質管理能力 を強化するための行動計画から全く逸脱しており、日本国として国際機関に提出する に値しない単なる関係省庁の参考資料に過ぎないものであった。また、策定過程で行 われたパブリック・コメント手続きにおける応募意見の処理は行政手続法の理念を蔑 にする全く非民主的な扱いであった。それゆえそのような現状に対して、関係省庁の縦割り行政を抜本的に改めるには福 島原発国会事故調査委員会が
2012
年7
月に国会に提言したように「規制当局に対する 国会の監視」、「新しい規制組織の要件」などの視点を化学物質管理の領域にも適用す べきことを提言する。キーワード:SAICM、SAICM国内実施計画、化学物質総合管理、管理能力強化、意 見公募手続き
Abstract: We verified here
Japanese SAICM Implementation Plan which was submitted to UNEP in September 2012 in comparison with the basic documents of SAICM and related guidance, and the actual application status of the public comment system. We found out that the Japanese SAICM implementation plan is not satisfying the requisite of what should be called the plan due to the deviation of its object and contents from the international agreements and that actual
application of the public comment system is undemocratic against the principles of Administrative Procedure Act.
Then we recommend that its preparation procedure should be re-established thoroughly under the leadership of the cabinet.
Keywords: SAICM, SAICM National implementation plan, Integrated chemicals management, Capacity building, Public comment system
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1.はじめに
化学物質規制を所管する省庁は、
2006
年2
月にICCM (国際化学物質管理会議)
がSAICM (国
際化学物質管理の戦略的取組み) を採択した2
か月後に、関係省庁の申し合わせでSAICM
関 係省庁連絡会議を設置した。そして第1回会合においてその連絡会議が国民に非公開でSAICM
国内実施計画を策定する方針を定めた。そして6年以上が経過した2012
年7
月にSAICM
国内 実施計画 (案) を意見公募 (パブリック・コメント) 手続きに付し (環境省, 2012)、僅か1ヶ月 後の8
月29
日には環境省が開催した「化学物質と環境に関する政策対話」に諮って成立させた。ところが公表された
SAICM
国内実施計画 (案) は、表1に示すように、社会の化学物質管 理能力の強化を目指すSAICM
の目的を達成するための日本の化学物質管理に係る法律や制度 そして執行体制を見直すための項目を全く含まず、行政府が通常の任務や事務の範囲で当然行 うべきリスクの評価や管理などの視点から関係省庁の既存の取組みを並べただけで、全く国の 改善行動計画に値しない文書であった。このように日本の
SAICM
への対応は、手続き面では透明性を重視する国際慣行に準拠せず 国民に非公開の関係省庁連絡会議を設置して国内実施計画の策定方針を一方的に定め、加えて 策定された文書の内容も国際的に合意された内容を全く無視したものである。さらに、国内的 に2009
年5
月の化学物質審査規制法 (化審法) の改正時に国会が政府に提示した「総合的・統 一的な法制度や行政組織のあり方の検討」などの附帯決議に全く応えていないものであった。表1 意見公募手続きに付された
SAICM
国内実施計画 (案) の構成 第1章 はじめに1.国内実施計画策定までの経緯 2.計画策定の手続き
3.本国内実施計画の対象について 4.本国内実施計画の構成について 第2章 我が国の状況
1.化学物質管理のための法令、法規制以外の仕組み等 2.化学物質の管理に係る取組状況と課題
(1)リスクの評価 (2)リスクの管理 (3)安全・安心の一層の確保 (4)国際的な課題への対応
第3章 具体的な施策の展開-国内実施計画の戦略
1.基本的な考え方 (1)目標 (2)主体間の連携 2.具体的な取組事項
(1)科学的なリスク評価の推進
(2)ライフサイクル全体のリスクの推進 (3)未解明の問題への対応
(4)安全・安心の一層の増進 (5)国際協力・国際協調の推進 (6)今後検討すべき課題
第4章 国内実施計画の実施状況の点検と改定
そこで、
SAICM
国内実施計画 (案) に対する意見を以下のように総括して意見公募に応じた(星川, 2012b)。
(SAICM国内実施計画 (案) に対する意見の総括)
「環境省が
7
月17
日にパブリック・コメント手続きに付したSAICM
関係省庁連絡会議のSAICM
国内実施計画 (案) は、UNITAR (United Nations Institute for Training and*法律・制度の見直しや執行 体制の整理・統合に係る取組 みが全くない。
*行政府として当然行う べき通常事務に過ぎない。
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Research;
国連研修調査研究所) などが提示しているガイダンスや書式などを基準に検証すると、日本政府が
2003
年10
月に国際機関に提出したナショナル・プロファイルが100
点満点で10
点程度しか得られないのと同様に、60 点の合格点に遠く及ばない行動計画と 言わざるを得ない。このような文書を国際機関に提出して国内外に公開することは、関係 者の無知と無理解そして不誠実さを自ら露呈する愚かな行為であり、国際的に失笑を買い かねないものである。それゆえ、策定手続きの構築から根本的に改めて仕切り直す必要が ある。」しかし提出した意見に対する処置は、
4(1)項で内訳を示すように、その約 94%が無視された
り無回答であったりと、行政手続法の規定に照らして不当に処理されるものであった。そのよ うな状況から、SAICM
国内実施計画の策定の手続きのあり方、政府が優先的に考慮すべき国内 外の喫緊の課題、SAICM
国内実施計画の検証の総括、さらには意見公募手続きの運用上の問題 などについて論考する。なおこの報文は、第
25
回日本リスク研究学会年次大会における口頭発表に加筆修正して作成 した (星川他, 2012a)。2.SAICM 国内実施計画の策定手続きのあり方
SAICM
国内実施計画の策定・実行の標準的な過程は、UNITAR
がIOMC (化学物質適正管理
の組織間計画) や
SAICM
事務局の協力のもとに策定した手引きに図1のように規定されてい る (UNITAR, 2005; UNITAR/SAICM, 2009)。
図1
UNITAR/IOMC
手引きに基づくSAICM
実施計画策定・実行の標準的プロセスその標準的過程で最も重要なことは、社会各層の関係者の参画の下に国の化学物質管理基盤 の能力の現状を査定するナショナル・プロファイルを策定することおよびそれに基づく優先取 組課題の設定である。そしてナショナル・プロファイルにおいて現状分析する対象としては、
別の手引きに表2のように規定されている (UNITAR, 1996)。
しかし関係省庁連絡会議は、そのようなナショナル・プロファイルを未だに策定していない。
ナショナル・プロファイルを策定した殆どの国が
2000
年までには公表している状況の中で、日 本のナショナル・プロファイルは期限を大幅に過ぎて2003
年10
月に国際機関に提出された。しかも後述するように、その内容は
IFCS
省庁連絡会議に参加する省庁の活動の範囲内で現状 を記述しただけで、社会の化学物質管理能力を幅広く査定する現状分析を全く行っていない暫 定的な不完全文書に過ぎなかった。化学生物総合管理 第8巻第2号 (2012.12) 95-125頁
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表2 ナショナル・プロファイルにおける現状分析と課題抽出の主な対象 1.化学物質の製造、輸入、輸出及び使用に係る優先的懸念事項
2.法律的および規制的基盤の分析結果
3.進行中の政府プログラムおよび省庁間協力の分析結果
4.産業、利害関係団体及び研究機関が行う化学物質管理及びリスク削減活動の分析結果 5.化学物質情報管理基盤の分析結果
6.技術的基盤の分析結果
7.国際的政策イニシアティブ及び技術支援プログラムの実行の分析結果 8.労働者及び市民の認識/理解力の分析結果
9.利用できる人的及び財政的資源の分析結果
10.ナショナル・プロファイルの主要知見の実行に推奨されるフォローアップ行動
3.SAICM 国内実施計画の内容に関する検証結果
(1)SAICM国内実施計画の策定で政府が考慮すべき優先課題に係る検証結果
SAICM
国内実施計画の策定で政府が優先的に考慮すべきことは、第一にその実施計画を国際合意に則して策定することである。そして第二に、
2009
年5
月の化審法改正時に国会が政府に 提示した附帯決議に対応することである (星川他, 2009, 2011b, 2011c)。それらにおける最優先の課題は、それぞれ表3および表4のとおりである。すなわち、
SAICM
の基本文書であるGPA (世界行動計画)
には各国が実施計画を策定する際に参照すべき273
項 の課題事例が収載されており、その中で最も重要でかつ優先的に取り上げるべき社会の化学物 質管理能力の評価および強化に係る課題だけでも表3のように数多くある。表3
SAICM・GPA
に収載される管理能力の強化に係る主な課題区分 課題
管理能力の 評価
1.化学物質適正管理のナショナル・プロファイル及び実施行動計画を策定
165.ナショナル・プロファイル及び優先行動計画の策定のため関係省庁と利害関係 者の参画の仕組みを構築
管理能力 の強化
211.化学物質管理の仕組み(ナショナル・プロファイル、国内実施計画、緊急時対 応計画)を作成するプログラムを助成
225.関係省庁の化学物質適正管理の能力を統合
224.国レベルの調整を改善しセクターにわたる政策を統合・強化 166.化学物質適正管理のための統合国家プログラムを設置 193.遵守、説明責任、効果的執行及びモニタリングの慣行を助成 197.法的組織的枠組みの強化活動を助成する管理能力の強化戦略を採用 198.化学物質安全規範の調和を助成
223.化学物質管理の規制的及び自主的アプローチに必要な能力への対処
一方、化審法改正時に国会が政府に提示した附帯決議への対応に関しては、「総合的・統一的 な法制度や行政組織のあり方の検討」が最も重要であり、それに関する両議院の3件の決議事 項はそれぞれ検討の方向を具体的に提示している (表4参照)。それゆえ政府が
SAICM
国内実 施計画を策定する際には、総合的・統一的な法制度や行政組織のあり方を附帯決議が指示する 方向に留意しつつ検討することを優先的な課題にする必要がある。しかし
SAICM
関係省庁連絡会議は、それらのいずれをもSAICM国内実施計画に取り入れなかった。そればかりか、それらについて検討を行ったかどうかさえ明らかではない。
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表4 化審法改正時の両議院附帯決議における「総合的・統一的な法制度や 行政組織のあり方の検討」に関する記述
衆議院 9項
化学物質の適正な利用及び化学物質によるリスクの低減に関する長期的、計画的な施策 を推進するに当たっては、関係省庁間の連携を図りつつ、事業者の負担の軽減及び消費 者の化学物質に関する理解の促進に資するよう、化学物質に関する総合的、統一的な法 制度等のあり方について検討を行うこと。
参 議 院 8項
化学物質管理が多くの法律に基づきなされている仕組みが、国民の目から分かりにくい との指摘を踏まえ、化学物質に関する総合的・統一的な法制度の在り方について検討を 行うこと。
参 議 院 12項
化学物質によるリスクの低減・削減に関する施策を長期的、総合的、計画的に推進する ため、基本理念を定め関係者の責務及び役割を明らかにするとともに、施策の基本事項 を定めるなど、化学物質に関する総合的、統一的な法制度及び行政組織の在り方等につ いて検討を早急に進めること。
上記に加えて、政府が総合的・統一的な法制度や行政組織のあり方を現時点で検討する際に 留意すべきこととして、1970年代に
OECD (経済協力開発機構)
が理事会で合意し加盟国であ る日本も公約した化学物質総合管理の法制が備えるべき表5に示す必須要件がある (星川他,2007)。
表5
OECD
が確立し加盟国に勧告した化学物質総合管理の必須要件 1. 化学物質および化学製品の輸入、生産および販売の統計データを整備する。2. 化学物質の上市前に、人および環境に対するハザードを包括的に評価する。
3. 化学物質管理には複数の省庁が関係している。そのため、新たな評価手続き等を設定する際に は、関係省庁間の調整を図り、統合的アプローチを採用する。
4. 化学物質リスク評価の合理的な実施手続きとして、最初にスクリーニング評価 (労働者、消費 者、一般市民、環境生物) を行い、詳細評価の対象となる物質を選別する段階的取り組みを採用 する。
5.化学物質の人及び環境に及ぼす影響をスクリーニング評価する最小データセットを確立する。
OECDは当初、新規化学物質に適用するMPD (上市前最小データセット)を確立し、後にそれを 高生産量 (HPV) 既存化学物質に適用する SIDS (スクリーニング情報データセット) に発展さ せた。
6. 化学物質の人および環境に対する潜在的影響の判定に必要となるデータの創出と評価の責務 は、産業の管理責任の一部とする。
7. 各国が保有する評価データおよび審査結果の受容性を高め、国家間の相互受け入れを可能とす る。
このように、SAICMの合意事項をみても、日本も合意した
OECD
の合意事項をみても、さ らには日本における国権の最高機関である国会の附帯決議においても、政府には化学物質を総 合的に管理する包括的な法律の制定と統一的な執行機関の構築が強く求められている。しかるに日本では、これらの要件を満たす化学物質総合管理の法制もその執行体制も未だに 整備されていない。しかし関係省庁は、この最も重要な点について
SAICM
国内実施計画の策 定で全く考慮していないだけでなく、そうした合意や要請が存在することすらも認めていない がごとくである。言い換えれば、現時点における最重要課題に対する見解を全く含んでいない文書は、SAICM 国内実施計画に値しないものであると言わざるを得ない。
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(2)SAICM国内実施計画 (案) の内容に係る検証結果
SAICM
関係省庁連絡会議は、7月17
日にSAICM
国内実施計画 (案)を公表し意見公募 (パ ブリック・コメント) 手続きの対象にした (環境省, 2012)。SAICM関係省庁連絡会議は、公表 した計画 (案) について「SAICM に沿った日本の実施計画である」と自称している。しかし、策定の手続きは
UNITAR
の手引きから明らかに逸脱しており、内容についても関係省庁の現在 の取組みの単なる説明資料に過ぎない。それゆえ、国際的な協調活動を目指したSAICM
に沿 った日本の化学物質管理能力を強化するための国内実施計画に値する文書ではない。何故この ような文書を策定し国際機関に提出することになったかの検証結果を整理すると、主な理由は 表6に示す7点にまとめることができる。以下にそれらの要点を説明する。表6
SAICM
国内実施計画 (案) の内容に係る検証結果の総括1)SAICM
国内実施計画策定の目的のはき違い2)恣意的な方針変更と不作為
3)ナショナル・プロファイルの重要性に対する無理解 4)策定過程での関係者間の認識共有化の欠如
5)日本の化学物質管理に係る緊急課題への認識不足
6)総合的かつ統一的な管理制度への移行の必要性に対する理解欠如 7)法律制度の必要性に対する認識の軽薄さ
1)SAICM国内実施計画の策定目的のはき違い
SAICM
国内実施計画の策定で最も重要なことは、当然のことながら、SAICM国内実施計画を何のために策定するかという
SAICM
国内実施計画の目的である。これに関して
SAICM
基本文書の世界行動計画 (OPS) は、以下のことを第一の目的にして いる (SAICM, 2006)。1)
5つの視点、つまり、①リスク削減、②知識・情報、③統治、④管理能力強化および⑤不法な国際取引の視点から化学物質管理の現状を検討し、そして、
2)
化学物質管理の現行の制度や仕組みそして取組みに認められた隙間、重複、非効率などを体系的かつ費用対効果的に優れた方策で改善する。
ところが
SAICM
国内実施計画 (案) は、それを策定することの意義に関して、「SAICMに 沿った化学物質管理施策に係る関係省庁の連携に資するとともに、我が国の取組状況を国内 外の関係者に示し、関係者の取組みを確実に実施する上で有益である」と述べている。言い換えれば、
SAICM
の基本文書がSAICM
国内実施計画の目的は社会の化学物質管理能 力の強化であるとしているのに対して、「関係省庁の連携に資する」といった全く内向きの目 的を掲げている (星川, 2012b)。2)恣意的な方針変更と不作為
SAICM
関係省庁連絡会議は、SAICM国内実施計画の策定方針について2006
年4
月の第1回会合では以下のように規定していた (SAICM関係省庁連絡会議, 2006)。
「SAICM国内実施計画の各論として、世界行動計画に掲げられた
273
の行動項目のう ち、我が国として取り上げるべき項目を選定するとともに、項目の再整理を行い、具体 的な取組みの概要を取りまとめる。」化学生物総合管理 第8巻第2号 (2012.12) 95-125頁
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ところが、公表された
SAICM
国内実施計画 (案)は、関係省庁その他が現に取り組んでい る取組みを国際的には何ら根拠のない観点で並べているだけである。第1回会合で検討対象 として付言したGPA
の273
項目のうち、とりわけ重要な課題である社会の管理能力を強化す るために取り組むべき課題に関しても、取組みの概要を取りまとめる作業を全く行っていな い。言い換えると、
SAICM
関係省庁連絡会議は、6年前に自ら表明したSAICM
の基本文書に 則って国内実施計画を策定するという方針さえも、何の説明もないまま自ら破棄した。そし て国際合意に全く則っていない観点を恣意的に導入してSAICM
国内実施計画の名に値しな い文書を策定した。つまり、国際合意に基づく取組みを放棄して政府関係者向けに参考資料 を作成したに過ぎないと言わざるを得ない。3)ナショナル・プロファイルの重要性に対する無理解
SAICM
国内実施計画の策定で最も重要な最初の作業は、社会各層の参画の下に化学物質管理の現状を分析して国内実施計画で取り上げるべき改善課題を設定し、それらの優先順位付 けを行うナショナル・プロファイルの策定である (UNITAR, 1996; UNITAR/SAICM, 2009)。
言い換えると、国内実施計画の策定とナショナル・プロファイルによる現状分析の実施は計 画策定の一連の作業であり、実効的な行動計画の構築には先ずナショナル・プロファイルを 策定する作業が不可欠である。ところが公表された
SAICM
国内実施計画 (案) では、その本 文にはナショナル・プロファイルの策定に関する記述が全くない。そこにはIFCS
各省庁連 絡会議が作成した文書としてSAICM
国内実施計画 (案) とは切り離して付属資料3の頭書 で紹介しているのみである。しかも付属資料3の頭書きに注記される「化学物質管理に関するナショナル・プロファイ ル」と題する文書は、策定した殆どの国が
2000
年までには公表している状況の中で2003
年10
月にIFCS
各省庁連絡会議が国民に非公開で策定したうえで、パブリック・コメントの手 続きを経ることもなくIFCS
事務局に提出した暫定的な文書に過ぎない (IFCS各省庁連絡会 議, 2003)。しかもその文書にはUNITAR
の手引きを参考にして策定したと明記しながら、手 引きが規定する策定の手続きを全く踏んでいない。加えて、その内容は連絡会議に参加する 省庁だけの化学物質管理に係る施策の現状を部分的に記述しているのみであり、さらに現状 の分析や改善課題の設定という肝心な作業を全く行っていないなど、極めて不完全かつ不誠 実な文書であった (星川他, 2005, 2006)。ナショナル・プロファイルに対する
SAICM
関係省庁連絡会議のこのような姿勢は、行動 計画の策定における現状分析の重要性という初歩的な原則に対する無理解の表れであり、見 過ごしできるような軽微な過誤ではない。日本政府が国際機関に提出したナショナル・プロ ファイルが如何に不完全で不誠実な文書であったかを裏付ける情報を示すと表7および表8 のとおりである。すなわち、表7はUNITAR
の手引きの規定に基づいて日本のナショナル・プロファイルの出来栄えを評価した結果の一例であるが、60点の合格ラインに遠く及ばない
10
点未満の点数にしか値しない極めて不出来な文書である。また表8に示す文書の提出時期 についても、他のOECD
加盟国の提出時期より大幅に遅れただけでなく、2000
年10
月に再 設定された提出期限に対してさえも3年以上も遅れ、アジア地域の他の国の提出時期にも大 幅に遅れて2004
年2
月であった (UNITAR HP)。4)策定過程での関係者間の認識共有化の欠如
SAICM
国内実施計画を策定するに当たっては、目指すべき化学物質管理制度に関して予め関係者間で認識を共有化するための手続きを踏むことが重要である。このことは
UNITAR
の 手引きでも強調されている。ところがSAICM
国内実施計画 (案) の策定においては、そのよ うな手続きを踏んだ形跡はなく、その点に留意した記述すらも見当たらない。化学生物総合管理 第8巻第2号 (2012.12) 95-125頁
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表7 政府が国際機関に提出したナショナル・プロファイルの出来栄え
表8 各国のナショナル・プロファイルの提出時期等
本来
SAICM
国内実施計を策定する場合には、国際的な手引きが示しているように社会の各層の様々な関係者が参集して課題に対する取組みについて、 まず、
① 日本を取り巻く各国の化学物質管理制度の現況がどのようになっているか、
現状分析の項目 現状の記述 分析
行政 民間
1) 化学物質の製造、輸出入及び使用等 統計データ - ×
2) 国の法律的及び規制的基盤 27法一覧 - ×
3) 実施中の政府プログラム及び省庁間協力 連絡会議 - ×
4) 産業、利害関係団体、研究機関が行う化学物質 管理及びリスク削減活動
下部機構 業界団体 等
×
5) 国の化学物質情報管理基盤 一部 - ×
6) 技術的基盤 研究所 - ×
7) 国際的政策イニシアティブと技術支援プログラム 国際会議 - ×
8) 労働者及び国民の認識向上及び教育プログラム 一部 - ×
9) 人材及び財政的資源 一部 - ×
10) ナショナル・プロファイルのフォローアップ体制 × - × 評点(100点満点からの減点分) -15点 -25点 -50点
国 名 公開年 アジェンダ21や SAICMへの対応
備 考
カナダ 1995.11 〇
ドイツ 2000年 〇
スウェーデン 2000.04 〇
スイス 2000.01 〇
アメリカ 1997.01 〇
オーストラリア 1998.12 〇
中国 1999.12 〇 ドイツが支援
インド ― 作成中 カナダとCIDAが支援
インドネシア 1997.04 〇 オーストラリアとECが支援
日本 2004.02 内容的に極めて
特異
提出を先送りしてきた上に、一部省庁に係る 現状の記述のみで、ナショナル・プロファイ ルの要件を全く満たしていない。
韓国 1998.04 〇
マレーシア ― 作成中
パキスタン 2000.11 〇 オランダが支援
タイ 1998年 〇 オランダが支援
ヴェトナム 1997.05 〇 オーストラリアが支援
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②
SAICM
に関する国際機関の活動はどのような方向を指向しているか、③ それらに対して日本はどのように行動するべきか、
について活発な意見交換を行い、それによって関係者間に改善策の討論に必要な共通認識を 形成することが重要である。また、実施計画に組入れるべき取組課題とそれらの優先順位付 けを確定する手順を踏むことが必須である。
ところが
SAICM
関係省庁連絡会議は、むしろ逆に、連絡会議の会合を一部の協力者を除 いて国民に非公開とした。その帰結として、どのような論議の経過を経てSAICM
国内実施 計画 (案) の策定に至ったかを跡づける議事録さえも残されていない。5)日本の化学物質管理に係る緊急課題への認識不足
化学物質管理の日本の実態は、法制面でみても、労働安全衛生や消費者安全さらには火災 爆発といった管理の実態面でみても、欧米先進国に限らず、アジア諸国にも立遅れて国民が 不利な立場におかれる状況に立ち至っている。例えば、
2012
年3
月の化学生物総合管理学会 春季討論集会において以下のような事例が問題提起されている。① 化学品の輸出入業務における現行の省庁縦割り規制法に基づく不適切かつ不合理な 扱い
② 化学物質届出情報の国際的な相互受入れ制度を活用できない不利な現況
③ 家庭用殺虫剤に係る法律の不備によるリスク管理や競争上の不条理
④ 諸外国では法律に基づき管理されている個別製品に係る問題の顕在化
これらのことが明らかにすることは、EU の
REACH
規則の施行以降に各国の導入が著し く加速し今や世界の潮流として定着した化学物質総合管理法制への変革に目を閉ざし、旧来 の多数の縦割り規制法に固執するあまり袋小路に入り込んでしまった日本の関係省庁の現状 である。しかも、このような実状を改善する方策については、化学物質管理に係る国際協調 活動に目を向けて世界の動向を見極め、そして化学物質のリスク評価やリスク管理を包括的 に扱う化学物質総合管理法制を早急に整備するとともに、それを一元的に執行する中核的な 行政機関と統一的な評価機関を設置すること以外にないこともますます明白になった (春季 討論集会参加者有志, 2012)。このような日本の現状と緊急課題への認識が決定的に不足した中では、まともな
SAICM
国内実施計画が策定できるはずもない。6)総合的かつ統一的な管理制度への移行の必要性に対する理解欠如
SAICM
国内実施計画に基づいて政府が取り組むべき喫緊の課題は、2009年5
月の化審法の改正に当たって附帯決議として国会が政府に提示した「総合的、統一的な法制度および行 政組織のあり方の検討」や「国際合意を遵守する国の責任などの明確化」に具体的に取り組 むことである。ただし、そのような国会の附帯決議を待つまでもなく、化学物質管理に総合 的かつ統一的な法制度が必要なことは、1970年代の
OECD
の理事会決議によって実施が要 請されて以来明白である (星川他, 2007)、この自ら合意した事項に対する今日までの政府の 対応の遅れこそが政府の無理解による不作為の結果であり、緊急に是正されるべきである。化学物質のように活発に国際取引される物品に係る各国の管理制度は、諸外国に対して非 関税障壁にならないよう配慮して国際的に整合した法律制度を整備する必要がある。これは 産業界の国際競争力を維持するためにも基本的な必要条件である。社会の各当事者の役割と 責務を明確にしつつ情報共有の一層の強化を推進し、効率的かつ実効的な化学物質管理を実 現するためにも、包括的な管理法制を定め一元的な執行体制を構築する中で関係省庁の役割 と責務のあり方を具体的に規定し直す必要がある。こうした中核となるべき課題に対する検
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討を怠った
SAICM
国内実施計画の策定は誤った作業であると言わざるを得ない。7)包括的な法律制度の必要性に対する認識の軽薄さ
SAICM
国内実施計画 (案) に以下のような記述がある。「・・WSSD2020 年目標の達成に向けて、・・国民の健康や環境を守るという視点に立 って、・・製造・使用から廃棄に至る化学物質のライフサイクル全体を通じたリスクの低 減を図る。その際には、・・関係府省の連携・協力と情報共有を一層強化・推進し、包括 的な化学物質対策の確立と推進を図ることで、国民の安全を確保し、国民が安心して生 活できる社会の実現を目指す。」
しかしここには法律に関する記述が一つもない。このような認識は日本が民主主義をもっ て任じる法治国家であるという基本を蔑にしている。とりわけ化学物質のリスク管理のよう に国民の健康や環境の保全に係り大多数の国民の権利義務に影響する社会システムの構築と その運用体制は、法律で明確に規定するのが国際的な常識であり、法治国家における政府が 順守すべき鉄則である。このことは前報で紹介した国会の東京電力福島原子力発電所事故調 査委員会が「原子力法規制を見直して国民の健康と安全を第一とする一元的な法体系に再構 築すべき」と国会に提言したことと軌を一にしている (星川, 2012a)。真にそうした社会を 目指すのであれば、法律体系の改編の記述が SAICM 国内実施計画に見当たらないことは不見 識であると言わざるを得ない。
また、現行の縦割り規制法の下にある関係省庁の行政官の本務は、所管するそれぞれの規 制法の観点から判断することに限られている。従って常識的な判断によれば、所管する法律 に基づかない関係省庁の申合せによる連携や協力によっていわゆる隙間問題などが解決する と考えることは、現に日本において隙間問題や新たな事件が後を絶たないことをみれば明ら かなとおり夢想に過ぎない。国際社会もそうした厳しい認識の下に包括的な法律の制定とそ れを執行する一元的な体制の構築を進めている。
こうした国外の厳しい認識と法治国家としての基本を踏まえるならば、包括的な法律とそ の執行体制に言及しない
SAICM
国内実施計画は無意味な文書と言わざるを得ない。4.意見公募手続きにおける関係省庁の不適切な対応
(1)回答 (案) における応募意見に対する回答の誠実さの欠如
環境省はその後
9
月11
日に、「SAICM国内実施計画」の策定が完了したことを報道発表し、併せて意見公募の結果を添付資料として公表した。ここでは、8月
29
日の第2回「化学物質と 環境に関する政策対話」に配布された応募意見に対する回答 (案) を用いて論考した結果につい て記載する (政策対話, 2012)。「SAICM国内実施計画 (案)」に対して著者が提出した意見は全部で
25
項目であった。それ らについての回答 (案) における回答の状況は回答 (案) における番号を付して添付資料1に 詳細に示しているが、それらの概略は表9のとおりであった。表9 回答 (案) における提出意見に対する回答の割合(行数ベース)
状況 「無視」 「無回答」 見当違い回答 その他回答 その他 割合 (%) 59.8 25.3 8.8 3.7 2.4 註:割合 (%) は行数ベースによる。なお「その他回答」は見当違いでない回答を意味する。
すなわち第一に、回答 (案) に収載されない、つまり、提出した意見のうちその存在すら無視
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された部分が約
60%、回答 (案)
に収載されているが回答はされていない部分が約25%で、合
計するとそれらだけで約85%に達する。さらに、回答はされていても見当違いの回答である約
9%を加えると、実に提出意見の 94%が不適切かつ不誠実に処理されていた。このことは行政
手続法が定める「行政運営における公正の確保と透明性の向上」という意見公募 (パブリック・
コメント) 手続きの目的を蔑にする行為であり、作為的な行政執行の誹りを免れることはでき ない。とりわけ著者が重要な意見と考えて提出した意見に対して「無視」が圧倒的に多い回答
(案)
を作成し、それを「化学物質と環境に関する政策対話」に提示して諮ったことは、「提出さ れた意見を十分に考慮すべき」という行政手続法第42
条の規定にも悖る処置であると言わざる を得ない (星川, 2012c)。また第二に、回答されていても見当違いの回答である場合のほとんどは意見公募者である環 境省が「原案のとおりとします」と著者の意見を退ける判定を行う場合であった。しかしその 全てにおいて、次項において説明するように、正当な理由付けになっていないだけでなく、定 型的な記述を単に繰り返すに過ぎない回答であった。
そして第三は、「その他の回答」についてもまともな回答 (案) は1件のみで、それさえも内 容的には、労働安全衛生法の新規化学物質審査制度や消防法の事前許可制度の記載漏れの修正 や消費者安全分野における事前審査制度の必要性の指摘に対する単なる留意の表明に過ぎず、
無意味な回答と言わざるを得ない。
これらの結果は、行政手続法に規定される意見公募制度の現在の運用は、少なくとも化学物 質管理の分野においては国民への配慮が全く欠けており、国民の観点に立って早急に見直すべ き重大な欠陥があることを示している (星川他, 2008a, 2008b)。
(2)見当違いの回答の実態
意見公募者である環境省が見当違いの回答を記述しているのは「原案のとおりとします」と 著者の意見を退ける判定を行う場合であったが、それらの殆どは添付資料2に詳しく示すよう に、定型的な文章を単に繰り返し記述するだけで、それらの定型的文章が示唆する内容は意見 書において著者が認識の誤りや不足そして場合によっては不当性を指摘している範囲内のこと に過ぎず、実質的に回答に値するものではなかった。
現行の意見公募制度の回答は、意見公募者が一方的に回答を作成して公表する一回限りの手 続きであり、意見提出者に再反論する機会を全く認めていない。そこで7つの定型的回答につ いて添付資料2に提示している再反論の要点を示すと表 10 のとおりである。
これらの反論の要点から見えてくることは、関係省庁が、①SAICMの3つの基本文書である ドバイ宣言、包括的戦略 (OPS) および世界行動計画 (GPA) を
SAICM
の理念に沿って理解し ていないこと、②SAICM基本文書の本来の文脈に拘わらず、その中の言葉を部分的に切り取っ て関係省庁の都合に合わせるように利用すること、および③場合によっては事実関係を調べれ ば容易に判明するような誤った説明もすることなどである。そうした対応が是正される必要があることは論を待たないが、それにも増して是正されるべ きは、社会の衆知を集めてより良い政策を作り出すという意見公募手続きの本来の趣旨を全く 理解しようとせず、応募意見を否定的に捉えて自己防衛的に対応しようとする関係省庁の姿勢 そのものである。
上記のような関係省庁の意見公募制度の運用は、結果的には社会の化学物質管理能力の改善
を目指す
SAICM
に基づく国際協調活動の重要性を無視しているだけでなく、2009
年5
月の化審法改正時に国会が附帯決議として採択した総合的・統一的な法制度や行政組織のあり方など の検討の緊急性を蔑にするものである。そして引いては適切にリスクが管理された社会の実現 および日本の産業の国際競争力の維持向上にも支障をきたすものである。
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表 10 7つの定型的回答と再反論の要点
No. 定型的回答と反論の要点
1 回答:『本計画の策定手続きについては、包括的方針戦略 (OPS) 第22パラグラフにおい て、「SAICM 国内実施計画は、関連した関係者の参加により、適切な場合には、既存 の法令、ナショナル・プロファイル、行動計画、関係者のイニシアティブと格差、優 先順位、必要性と状況を考慮し策定することができる。」とされている。』
反論の要点:環境基本計画に依ってSAICM国内実施計画を策定する論拠にOPSのこの 文章の「行動計画」に言及しているが、最も重要な「既存の法令」と「ナショナル・
プロファイル」を無視していることは、SAICMの理念や目的に全く反しており、独善 的な曲解である。
2 回答:『ナショナル・プロファイルと「化学物質と環境に関する政策対話」については、
今回の意見募集の対象となるものではない。』、『付属資料は意見募集の対象ではない』
反論の要点:ナショナル・プロファイルはSAICM国内実施計画の策定と不可分で、OPS 第22項の最重要な要素である。ナショナル・プロファイルおよびそれとの関わりを意 見募集対象から除外することは SAICM の理念や国際的な協調活動の意義を理解して いないことの表れである。
3 回答:『本計画の策定に当たっては、市民、労働者、事業者、行政、学識経験者等の様々 な主体が参加する意見交換等の場である「化学物質と環境に関する政策対話」の議論 を経て策定することとしている。』
反論の要点:2006年4月のSAICM国内実施計画の策定方針の採択から6年も経ってか ら設置された「化学物質と環境に関する政策対話」は、SAICMの理念に則った社会各 層との意見交換の場に該当せず、恣意的な行政行動を取り繕う行為に過ぎない。
4 回答:『平成 18 年に閣議決定された第三次環境基本計画第二部第1章第5節3(4)に おいて「SAICMに沿って、国際的な観点に立った化学物質管理に取り組みます」と記 載している。』、『本計画の位置付けについては、平成24年4月に閣議決定された第四 次環境基本計画において、関係府省が連携し、国民、事業者、学識経験者等の様々な 主体の意見を反映しつつ国内実施計画を策定するとしている。』
反論の要点:化学物質管理が僅かな比重でしかない環境保全の分野のみに限定して閣議 決定した政府の判断は、化学物質適正管理に対するSAICMの理念や国際的な協調活動 が目指す方向性に全く反している。
5 回答:『化学物質審査規制法 (化審法) 及び化学物質排出把握管理促進法 (化管法) は、
化学物質を幅広く取り扱う主な法律として記載している。」および「平成21年には化 学物質審査規制法を改正し、包括的な化学物質管理制度の構築を目指し、既存化学物 質を含めた全ての一般用途(工業用途)の化学物質を届出の対象としている。」
反論の要点:一般環境経由の影響だけを対象とする化審法や特定の制度だけを対象とす る化管法が「幅広い化学物質を対象にする」だけを理由に「包括的な法律」に分類し うるという見方は国際的な認識とかい離しており、全く通用しない独善的な見解に過 ぎない。
6 回答:『化学物質に関する総合的、統一的な法制度等のあり方の検討については、関係省 庁が連携を図りながら化学物質関係法令を着実に施行するとともに、更にどのような 課題があるのか諸外国の動向を踏まえつつ、様々な関係者と議論を行っていくことが 重要と考えている。』
反論の要点:2009年5月に国会が政府に附帯決議として提示してから3年以上が経った にも拘わらず、「化学物質に関する総合的、統一的な法制度等のあり方」について未だ に具体的に着手しないのは怠慢の誹りを免れない。その検討をSAICM国内実施計画の
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最重要課題に位置付けるべく検討することこそが重要であり、それに向けてSAICM国 内実施計画を改訂する必要がある。
7 回答:『「化学物質と環境に関する政策対話」については、会議、資料、議事録又は議事 要旨を原則公開としており、これまでの議論の内容については、環境省ホームページ で公開している。』
反論の要点:パブリック・コメントの意見提出者に必要な議事録は、意見公募開始時点 で公開されていなかった。
そのような状況を憂慮して、回答 (案) において全く回答になっていない以下3点について関 係省庁および「化学物質と環境に関する政策対話」の委員に回答の提示を要請した。併せて、
日本の意見公募制度に関してその他の者からも意見が寄せられることを期待して化学生物総合 管理学会の「論議の輪」に投稿した (星川, 2012c)。しかしこの件に関して責任を有する関係省 庁だけでなく、社会の各層を代表して選任されたはずの「化学物質と環境に関する政策対話」
の委員からも未だに応答は得られていない。
1. 回答 (案) における「無視」または「無回答」に対する再回答
2. 添付資料2に記述する再反論に対する
SAICM
関係省庁連絡会議の回答 3. 意見全体を「無視」した提出意見を回答 (案) に収載し回答すること8.まとめ
この報文では、SAICM関係省庁が
2012
年9
月にUNEP
に提出した日本のSAICM
国内実 施計画の目的や内容がSAICM
の求める日本の行動計画に値しない、単なる関係省庁の参考資 料に過ぎないものであることを明らかにした。加えてその策定過程で行われた意見公募手続き の運用が民主主義を冒涜していると言わざるを得ない程に極めて恣意的なものになっているこ とについて論考した。関係省庁がこれ程までに視野が狭く硬直的になっている背景には、各省庁が所掌する任務や 事務を縦割りに分割する現行行政制度が時代の変化に適切に対処できなくなっていることがあ る。例えば、化学物質総合管理の場合には、1970年代から現在に至る一連の国際的な協調活動 に対する日本の関係省庁の対応は、初期の
OECD
における活動を経済産業省が主管し、中期のIFCS
の活動を厚生労働省が主管し、そして最近のICCM
の活動を環境省が主管するというよ うに縦割り分担が貫かれている。そのため、本来一連の国際活動として対処すべき化学物質総 合管理への対応が全くできていない。言い換えると、1970年代の
OECD
の化学物質総合管理法制に係る理事会決議に対しては通 商産業省 (現経済産業省) が国内的な事情を優先して縦割り規制法に過ぎない化審法による対 応に終始し、1990年代のUNCED
のアジェンダ21
に基づくナショナル・プロファイルの策定 では厚生労働省が国内的な事情に埋没したまま未完成な文書を国際機関に送付し、そして今回の
SAICM
への対応では環境省が所掌事務の枠にとらわれた結果、SAICM
国内実施計画と呼ぶに値しない文書を国際機関に送付するという過ちを繰り返している。
このような現状に対して期待される抜本的な一つの解決策は、前報で紹介した国会の福島原 発事故調査委員会 (国会事故調) が
2012
年7
月に国会に提言した「規制当局に対する国会の監 視」、「新しい規制組織の要件」などの視点を化学物質管理の領域にも適用することである。言 い換えると、各省庁の枠組みにとらわれることなく内閣の主導のもとに化学物質総合管理に係 る国際合意に呼応した日本の対処方針を明確に定め、それに基づいて総合的かつ包括的な新た な管理法の制定を骨格とする法律体系を構築し、そしてそれを執行する一元的な行政組織や統化学生物総合管理 第8巻第2号 (2012.12) 95-125頁
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一的な総合評価機関の体制を整備することである。その上で、規制省庁の恣意のままに制度が 作られ運用される現状を改善するべく国会の監視機能が十分に果たされるようにする必要があ る。(星川他, 2012b)。そしてそれらの大前提として、国会議員、行政官、民間人などの一人一 人が国際情勢に真摯に耳を傾けつつ自立した個人として誠意ある行動をとることが求められて いることは論を待たない。
化学経済誌の
12
月号に「SAICM国内実施計画の策定と事業者への期待」と題する北野大氏 の投稿が掲載されていた (北野大, 2012)。著者である北野氏はSAICM
国内実施計画を審議し た「化学物質と環境に関する政策対話」の座長である。その投稿の末尾に「ここでの意見、考 え方はあくまでも著者個人のものである」と付記していることから「化学物質と環境に関する 政策対話」という会議体の設置目的や委員の役割、意見公募制度の運用などについて、北野氏 の自由闊達な意見が開陳されるものと期待して一読した。しかし投稿の内容は、SAICM
国内実 施計画の策定の経緯を環境省の作成資料に基づき事務的に紹介するのみで、期待していたよう な意見の表明は皆無であった。化学物質の管理は社会を構成する事業者のみならず、労働者、消費者、市民、行政、学識経 験者など社会の全ての構成員がそれぞれの役割を果たすことが必要不可欠である。それだけに、
北野氏の投稿の標題に「事業者への期待」と明記される事業者のみならず、社会の構成員が広 く自由闊達に意見交換しながら互いに高め合って行くことが重要である。その手始めとして、
「市民、労働者、事業者、行政、学識経験者等の様々な主体によって」構成したと称する「化 学物質と環境に関する政策対話」の座長を任ずる有識者である北野氏が、賛否いずれにせよ、
この報文やこれまでの「化学物質総合管理による能力強化策に関する研究」の報文シリーズの
15
件の報文に対する自らの意見を投稿し、日本の化学物質管理と国会の監視機能の強化を含め た行政手続きの改善のために社会に広く論議の輪を巻き起こすべく一石を投じられることを期 待する。参照資料:
1) SAICM (2006): Strategic Approach to International Chemicals Management Comprising the Dubai Declaration on International Chemicals Management, the Overarching Policy Strategy and the Global Plan of Action. Resolutions of the International Conference on Chemicals Management DTI/0867/GE 2006
2) UNITAR (1996): Preparing a National Profile to Assess the National Infrastructure for Management of Chemicals. Guidance document, 96D012 1996
3) UNITAR (2005): Guidance on Action Plan Development for Sound Chemicals management.
Draft Guidance Document April 2005
4) UNITAR HP: SAICM Enabling Activities – National Profiles http://www.unitar.org/
cwm/saicm/
5) UNITAR/SAICM (2009): Guidance for Developing SAICM Implementation Plans. 2009 Edition, Document developed by the SAICM secretariat and UNITAR in collaboration with the IOMC 6) IFCS 各省庁連絡会議 (2003):化学物質の管理に係るナショナル・プロファイル 2003.10 7) 環境省 (2012):SAICM 国内実施計画 (案)」に対する意見募集について、報道発表資料 2012.7 8) SAICM 関係省庁連絡会議 (2006):資料3:SAICM 国内実施計画の策定について 2006.4 9) 北野大 (2012):SAICM 国内実施計画の策定と事業者への期待 化学経済 2012・12 月号,
78-82
10) 春季討論集会参加者有志 (2012):アジア諸国に立遅れる日本に必要な化学物質総合管理法 制の整備、化学生物総合管理学会 HP 「論議の輪」投稿 No. 19, 2012.6
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11) 政策対話 (2012):第2回「化学物質と環境に関する政策対話」資料 2-2-4 「SAICM 国内実 施計画 (案)」に対してパブリックコメントとして寄せられた御意見及びその対応案 2012.8 12) 星川欣孝 (2012a):国会事故調最終報告は、化学物質管理分野も含めた日本の規制体制と規
制組織に対する全般的治療の処方箋でもある、化学生物総合管理学会 HP 「論議の輪」投稿 No. 20, 2012.8
13) 星川欣孝 (2012b):目的を誤り手続きを違えた SAICM 実施計画は国際社会における日本の信 頼を棄損する‐「SAICM 国内実施計画案」に対する意見‐、化学生物総合管理学会 HP 「論 議の輪」投稿 No. 23, 2012.8
14) 星川欣孝 (2012c):無視と無回答に満ちた SAICM 国内実施計画 (案) に係るパブリック・コ メントへの対応は日本の行政府の民主主義を冒涜する行為である、化学生物総合管理学会 HP 「論議の輪」投稿 No. 24, 2012.10
15) 星川欣孝、増田 優 (2005):「ナショナル・プロファイル」にみる化学物質管理適正化の緊 急性、第
18
回日本リスク研究学会研究発表会講演論文集 18:171-176, 2005.1116) 星川欣孝、増田 優 (2006):化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その
1)
‐「ナショナル・プロファイル」に基づく管理能力強化の緊急性‐、化学生物総合管理 2(1):
25-34, 2006.6
17) 星川欣孝、増田 優 (2007):第1部 化学物質総合管理の展開と日本の選択‐法律体系と 自主管理の行方‐、化学物質を経営する供給と管理の融合、化学工業日報社 2007.2 18) 星川欣孝、増田 優 (2008a):化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その
7)
‐実効的な市民参加には新の規制改革が不可欠‐、化学生物総合管理 4(1): 112-134, 2008.6 19) 星川欣孝、増田 優 (2008b):化審法等見直し・改正と政策評価制度等に関する考察(1)
‐化審法等の見直し・改正の合規的なあり方‐、第
21
回日本リスク研究学会研究発表会予 稿論文集 21:133-138, 2008.1120) 星川欣孝、増田 優 (2009):化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その
10)
‐改正化審法の問題点と国会附帯決議への対応の重点‐、化学生物総合管理 5(2): 173-191,
2009.12
21) 星川欣孝、増田 優 (2011a):化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その
12)
‐独立行政監視機関は民主的統治システムに不可欠な機能‐、化学生物総合管理 7(1):
26-45, 2011.6
22) 星川欣孝、増田 優 (2011b):改正化審法に関する国会附帯決議への対応の検証と課題に関 する考察、第
24
回日本リスク研究学会研究発表会予稿論文集 24:47-52, 2011.1123) 星川欣孝、増田 優 (2011c):化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その
13)
‐改正化審法に関する国会附帯決議への対応の検証と今後の課題‐、化学生物総合管理
7(2): 58-74, 2011.12
24)
星川欣孝、増田 優 (2012a):計画と呼ぶに値しない日本のSAICM
国内実施計画の検証‐国際的な合意から逸脱した関係省庁連絡会議の顛末‐、第
25
回日本リスク研究学会年次大 会講演論文集 128-133, 2012.1125) 星川欣孝、増田 優 (2012b):化学物質総合管理による能力強化策に関する研究(その
15)
‐化学物質の総合管理に関する法律要綱試案‐、化学生物総合管理
8(2): 63-93, 2012.12
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(添付資料1)
SAICM 国内実施計画 (案) に対して提出した意見の回答 (案) への収載の状況
環境省が 7 月 17 日に発表した SAICM 国内実施計画 (案) に対する意見公募に応えて提出した意見 の環境省が作成した回答 (案) への収載状況は以下のとおりであった。すなわち、①提出意見のう ち赤字の部分は回答 (案) に収載されていない部分、そして《》の部分は収載されていた部分であ るが、そのうち下線を付した部分のみに何らかの回答が付いていた。
それぞれの全体に占める割合は、それぞれの行数で算定すると、回答 (案) への収載がされてい ない部分が約 60%、収載はされていても回答されていない部分が約 25%で、それらだけでも合計す ると 85%にも達する。それに回答はされていたもののその回答が見当違いであるものが約9%もあ り、それを加えれば提出した意見の約 94%が不適切かつ不誠実に処理される状況であった。
なお下表における意見 No.は、環境省が作成した回答 (案) における意見番号である。
No 該当箇所 提出意見
2 全 体 お よ び SAICM国内実施 計画、SAICM関 係省庁連絡会議、
「 化 学 物 質 と 環 境 に 関 す る 政 策 対話」について
1) 《SAICM国内実施計画 (案) (以下、コメント公募対象文書という) は 策定の手続きに関しても、実施計画としての内容に関しても、さらには 文書策定の目的に関しても、SAICM という国際協調活動のための日本 の実施計画に値しない文書です》。このような文書を国際機関に提出して 国内外に公開することは、関係者の無理解さ・不誠実さを自ら露呈する 愚かな行為であり、国際的に失笑を買うものです。それゆえ、《策定手続 きの構築から根本的に改めてやり直す必要があります》。
2) SAICMに沿ったSAICM国内実施計画で取り上げるべき化学物質管 理制度に係る改善課題は、SAICMを構成する3つの基本文書 (ドバイ宣 言、総合戦略 (OPS; Overarching Policy Strategy) および世界行動計画 (GPA; Global Plan of Action)) を参考に設定する必要があります。言い 換えると、それらの基本文書は日本政府も合意した国際協調活動のため の各国共有文書であり、日本のSAICM国内実施計画の内容もそれらの 文書ならびに UNITAR が化学物質適正管理国際組織間計画 (IOMC;
Inter-Organisation Programme for the Sound Management of
Chemicals) と連携して策定した各種の手引きに留意し全ての関係者を
交えて検討し設定する必要があります。そのようなSAICMに沿った立
場でSAICM国内実施計画を策定する場合に最も重要なことは、SAICM
国内実施計画を何のために策定するかというSAICM国内実施計画策定 の目的です。これに関してSAICM基本文書のOPSは、5つの視点、つ まり、①リスク削減、②知識・情報、③統治、④管理能力強化および⑤ 不法な国際交易の視点から化学物質管理の制度・仕組みや取組みに認め られるギャップ、重複、非効率などを体系的かつ費用対効果的に優れた 方 策 で 改 善 す る こ と を 第 一 の 目 的 に し て い ま す (UNITAR, 1996, 2007)。
ところが、《コメント公募対象文書の第2章第2項では、OPS の5つの 視点と異なる》、(1)リスクの評価、(2)リスクの管理、(3)安全・安心の一 層の確保および(4)国際的な課題への対応という独特な観点を用いて記 述しています。そして《結果的には、第3章第2項のように、環境保全 という一つの分野で用いた観点を他の分野の様々な取組みに適用してそ
化学生物総合管理 第8巻第2号 (2012.12) 95-125頁
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れらを単に分類しただけに留まり》、SAICM国内実施計画の目的である 化学物質管理に係る様々な分野の制度・仕組みや取組みを体系的かつ包 括的に見直して社会の管理能力の強化に資する実施計画を新たに構築す ることになっていません。言い換えると、コメント公募対象文書は、化 学物質管理に係る現行の制度・仕組みや取組みに認められるギャップ、
重複、非効率などの改善に体系的に取り組むという国際協調活動に叶う
SAICM国内実施計画とは全く異なるものに変質しています。
3) 日本のSAICM国内実施計画は、SAICM関係省庁連絡会議が策定す ることで取り進められています。しかしこれに関していくつかの疑念が あります。①まず最大の疑念は、この関係省庁連絡会議は関係省庁の申 合せで設置されただけで、国際合意を実行するための行政組織として閣 議を経て設置されたものではありません。そしてそのような関係省庁連 絡会議が2006年4月の第1回会合において国内実施計画を策定する方 針を決議しました。しかし、そのような手続きで設置された、いわば任 意の行政組織が策定するSAICM国内実施計画は、どんな手続きを経て 日本の公式な実施計画に認定されるのかは明らかにしていません。コメ ント公募対象文書の第4章には関係省庁連絡会議が実施状況について点 検し結果を公表することは記述しています。しかしそれ以上に重要なこ とは、《SAICM国内実施計画の国の政策としての位置付けについて》明 確に記述することです。それに対する記述がコメント公募対象文書の本 文にないため、例えば、そのような国内実施計画は政策評価法の事前評 価の対象になりうる国の計画であるのかどうかを検証することができま せん (星川他, 2008b)。《この点に関する記述を本文に加える必要があり ます》。②もう一つの大きな疑念は、《SAICM 関係省庁連絡会議が第1 回会合で採択したSAICM国内実施計画の策定方針とコメント公募対象 文書の第3章第2項に記載される「具体的な取組事項」の齟齬です》。す なわち、第1回会合において採択されたSAICM国内実施計画は、その 各論を「世界行動計画に掲げられた273の行動項目のうち、我が国とし て取り上げるべき項目を選定するとともに項目の再整理を行い、具体的 な取組の概要を取りまとめる。」と規定しました。ところがコメント公募 対象文書の第3章第2項は、関係省庁その他が現に取り組んでいる関係 のありそうな取組みを独特の観点で整理しているだけで、GPA の 273 項目のうち、社会の管理能力を強化するために日本として取り組むべき 課題を選定して再整理を行い、具体的な取組みの概要を取りまとめる作 業を全く行っていません。言い換えると、SAICM 関係省庁連絡会議は 6年前に国民に表明した、SAICM の基本文書に則した国内実施計画を 策定する方針を一方的に破棄し、国際合意に基づかず、日本の SAICM 国内実施計画の名にも値しない文書を目指しています。この点について もコメント公募対象文書の本文に記述がありません。それゆえ上記と同 様に、《本文に記述を加え、改めてパブリック・コメント手続きの対象に する必要があります》。
4) 「SAICMに沿って国際的な観点に立った化学物質管理に取り組む」
ための SAICM 国内実施計画の策定は、SAICM に沿った手続きを踏ん
だロードマップを作成して取り組む必要があります。その際に各国政府 が 参 考 に す べ き 手 引 書 は 国 連 研 修 調 査 研 究 所 (UNITAR; United Nations Institute for Training and Research) が数多く策定していま