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地震研究所由来の実験機器─60年ぶりの再会─

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Academic year: 2021

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地震研究所由来の実験機器

60 年ぶりの再会─

安 成 真 理*

 †

Equipment from The Earthquake Research Institute, Meet again after 60 years

Mari YASUNARI* †

は じ め に

 筆者は,地震研究所研修会において,今年 2 月に初めて ポスター発表をさせていただいた.そこで予想していな かった出会いと発見があった.

 研修会の発表では,駒場博物館に残存している第一高等 学校(以下一高と称す)の理科教育用資料の中から地震研 究所由来の機器 2 点を紹介したのだが,その際に,地震研 究所の安田敦准教授の手により保管されていた古い機器と 出会った.紹介された機器には,まさしく発表した機器と 同様の印“震研”の文字が見受けられ,しかも表記の管理 番号の数字は,駒場に残存する一高由来の機器 2 点と連続 した番号であることに双方驚いた.

 駒場博物館で学芸業務に従事して今年で 10 年になるが,

これまで地震研の研修に参加して発表したことは無く,今 回もいろいろな要因が重なって発表することになった.こ のタイミングの良さに感銘を受けつつ,これら三点の“震 研”の実験機器について報告したい.

地震研究所由来の実験機器

 まずは,駒場に残存していた一高由来の実験機器から紹 介する.写真 1-1 は,R. Fuess Berlin-Steglitz 製の測角器 である.コリメーターの部分から光線を取り入れ,試料表 面の光の反射角を測定し,試料である結晶の向きなどを調 べる.その際,円盤上に配置されている望遠鏡を用いて目 盛を読み取るしくみである.台座部に“震研 06-10”と白 いペイント文字が残されている(写真 1-2).そのため,

駒場博物館内で地震研究所由来の実験機器として,次に述

べるもう 1 台の機器と一緒に保管していた.この測角器に は製造番号とみられる 6256 という数字が刻印されている ため,今後の調査で製作年が解明できる可能性がある.

東京大学地震研究所技術研究報告,No. 20,11-13 頁,2014 年.

Technical Research Report, Earthquake Research Institute, the University of Tokyo, No. 20, pp. 11-13, 2014.

2014 年 8 月 23 日受付,2014 年 10 月 28 日受理.

* 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 駒場博物館

* Komaba Museum College of Arts and Sciences, the University  of Tokyo.

報 告

写真 1-1. R. Fuess 測角器

写真 1-2. “震研 06-10”の印が見られる台座部

(2)

12 安成真理

 もう 1 台駒場に残存していたのは写真 2-1 の結晶方位測 定装置である.同じく“震研”と記されている機器で,通 番は“06-11”と脚部に付番されている(写真 2-2).鉱物 の結晶軸を測定するために用いられた機器と考えられる.

 今回運よく出会えたのが,以下に述べる写真 3-1 の屈折 計である.この屈折計の脚部(写真 3-2)には,先に述べた 測角器や結晶方位測定装置と連番とみられる“震研 06-9”

の印が確認できる.

 これはアッベの半球(写真 3-3)を用いた屈折計であり,

製造元のドイツの CARL ZEISS とも深い係りを持ってい たエルンスト・アッベ(Ernst Abbe, 1840 年~1905 年)に よって考えられた.このアッベの半球(Abbeʼs Hemisphere)

と呼ばれる機構は,屈折率が既知の半球状プリズムを用い て測定したい液体試料をこの半球の上へガラスプレートで 挟んで置き,斜め方向の顕微鏡を用いて反射光を観察する 装置である.測定結果は,臨界角に対応する箇所が明暗の 境目として現れる.装置の機構や測定方法が簡易であるた

め広く応用されていた.ロゴマークの種類(写真 3-4)から,

CARL ZEISS JENA の時代である 1920 年~1950 年の間に 製造された製品であることがわかる.製造番号は Nr. 19456 と刻印されている.この屈折計についても,今後の調査で 製造番号や形状からさらに詳しい製造年代等が確定できる と考えられる.また,これら 3 機の機器に“震研”の連番 が付いていることから,この内 1 機でも製造年代が判明す ればその他の機器の年代も推定できる可能性が広がった.

 研修終了後,まもなくこの屈折計は,駒場博物館が譲り 受けることになった.結果,駒場博物館に 06-9,10,11 という連番で地震研究所からの機器が揃ったことになる.

 駒場博物館には,この他の一高由来の機器の中に屈折計 が 2 台残存しているが,いずれもこの“震研 06-9”の屈 折計とは形状が異なるため,これから先の展示解説の際に は,アッベの半球を用いた屈折計のバリエーションを見せ ることができると考える.

写真 2-2. “震研 06-11”の印が見られる脚部 写真 2-1. 結晶方位測定装置

写真 3-2. “震研 06-9”の印が見られる脚部 写真 3-1. 屈折計

(3)

13 地震研究所由来の実験機器

まとめと今後の課題

 今回,同時期に活躍していた機器が 60 年余りの長い時 を経て合流し,また肩を並べて収容されるに至った.実は,

発表の際には,これら紹介した実験機器を,地震研究所へ 返還する可能性があるかもしれないと考えていた.今回,

逆の結果となり,駒場博物館の一高時代の実験機器類がさ らに充実することになった.これら貴重な“震研”の機器 は,今後の展示で活用していく所存である.また,科学史

のゼミなどで,古い機器類の調査法の実習教材としても利 用できる可能性が高い.

 今回のことで,駒場博物館に残存しているこれら一高時 代から譲り受けた理科教育用資料のデジタルアーカイブを 整備し,随時その情報の発信をしていく必要性を,よりいっ そう強く感じた次第である.

 また,今後これらの“震研”の機器について,詳しい調 査が進んだ際には,その内容を逐次報告したい.

写真 3-3. アッベの半球部分 写真 3-4. CARL ZEISS JENA のロゴマーク

参照

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