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* 漂着ゴミに関する規制の動向 漂着ゴミに関する規制の動向 * 石田雅 * * 照石田雅照 ** 三原三原悠 * * * *** 悠 三原伊 * * * 文 * 三原伊文 **** 1. はじめに 平成 21(2009 年 )7 月, 美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の

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(1)

海洋基本計画の基本的施策

① 海洋資源の開発及び利用の推進

② 海洋環境の保全等

③ 排他的経済水域等の開発等の推進

④ 海上輸送の確保

⑤ 海洋の安全の確保

⑥ 海洋調査の推進

⑧ 海洋産業の振興及び国際競争力の強化

⑨ 沿岸域の総合的管理

⑩ 離島の保全等

⑪ 国際的な連携の確保及び国際協力の推進

⑫ 海洋に関する国民の理解の増進等

⑦ 海洋科学技術に関する研究開発の推進等

1. はじめに

平成21(2009年)7月,「美しく豊かな自然を保護 するための海岸における良好な景観及び環境の保全に かかる海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」以 下「海岸漂着物処理推進法」が可決,成立した.この 法律は主に近年大きな問題となっている海岸漂着物,

いわゆる漂着ゴミを対象とし,その処理に関する基本 的な考え方を定めたものである.

漂着ごみへの対応については平成19年(2007年)

4 月に成立した海洋基本法を基に策定された海洋基本 計画にその記述があるが,その当時は具体的な施策に ついてはふれられていなかった.

本稿ではまず,海岸漂着物処理推進法制定前に成立 した海洋基本法について説明し,次に本法制定以前の 漂着ゴミの取り扱いから,本法制定の意義,そして本 法の今後の課題までを解説する.

また,船舶関連の主要な条約・法令のうち,船舶由来 の漂流・漂着ごみ,特にプラスチックごみに関連すると 思われる箇所を確認し,更に筆者の外航船での実務経 験を踏まえ,条約に基づいて実施されていた環境保護 対策を紹介する.

2.海洋基本法とは

平成19年(2007年)4月に成立した海洋基本法は, 日本が海洋立国を目指して推進する海洋政策の基本理 念と基本的施策を初めて明示したものである.いわば, 今日の海洋をめぐる資源,環境,交通,安全,産業,そして 教育等の多岐にわたる諸問題に関して今後日本が総合 的かつ計画的施策を推進していくための基本的な法律 である.

海洋基本法には,政府が中心となり海洋に関する施 策を推進することが定められ,そのために海洋基本計 画を定めることとされており,平成20年(2008年)

3月に閣議決定されている.また,この海洋基本計画は おおむね5年ごとに見直され,最新のものは平成25年

(2013年)に閣議決定されたものとなっている.

海洋基本計画には12の基本的施策が定められ,政府 が取り組むべき課題が分類されている.図1に海洋基 本計画の基本的施策を示す 1).これらの基本的施策の 中で②海洋環境の保全等,及び⑨沿岸域の総合的管理 の項目中に漂着ゴミ対策の推進が盛り込まれており, 後述する海岸漂着物処理推進法に基づいた支援を行う とともに,漂着ゴミ問題に付随する実態把握のための モニタリング,不法投棄の予防,廃棄物処理施設の整備 支援,海外関係国との連携等が定められており,漂着ゴ ミ問題の施策の方向性についてふれられたものとなっ ている.

1 海洋基本計画の基本的施策

3.漂着ゴミを巡るこれまでの制度2)

海岸漂着物処理推進法以前の制度において,漂着ゴ ミは排出事業者の責任において処理を行う産業廃棄物

漂 着 ゴ ミ に 関 す る 規 制 の 動 向

*

石 田 雅 照 * * 三 原 悠 * * * 三 原 伊 文 * * * *

*原稿受付 平成 29620日.

**正会員 水産大学校(下関市永田本町2-7-1

***正会員 神戸大学大学院生(神戸市東灘区深江南町 5-1-1

****正会員 元大島商船高等専門学校(山口県大島郡周防 大島町小松1091-1

石 田 雅 照**  三 原   悠***  三 原 伊 文****

(2)

の範疇に属さないため事業系一般廃棄物と分類されて いる.産業廃棄物であれば事業者からの負担が期待で きるはずであるが,漂着ゴミの性質上事業者を特定で きない.このため排出事業者の負担を期待することが できず,事実上漂着した海岸が属する地方公共団体の 負担において処理されている.

また,我が国の沿岸にゴミが漂着した場合,その漂 着場所によって適用される法律が異なる.港湾内に漂 着した場合には港湾法が適用され,漁港や漁場に漂着 した場合には漁港漁場整備法が適用され,そして港湾,

漁港以外に漂着したゴミであって,その漂着場所が海 岸を防護するために設置された堤防や消波ブロックな どの海岸保全施設である場合には海岸法が適用される.

港湾法,漁港漁場整備法,海岸法の適用を受ける区域 における漂着ごみについては各法の定めるところによ りその管理者がその処理の責任を負うことになるが,

これらの法律によってすべての海岸が網羅されている わけではない.むしろこれらの法律の適用を受けない 海岸の方が多く,こうしたところについては廃棄物処 理法に基づき処理を行うことになる.

廃棄物処理法ではまず,廃棄物について産業廃棄物 すなわち事業活動に伴い排出される廃棄物とそれ以外 の一般廃棄物とに分類している.図2に廃棄物の分類 を示す3).図より一般廃棄物については,さらに家庭 などから主に排出される生ゴミ等の生活系廃棄物と事 業所から出る紙くずなど事業系廃棄物に分類される.

これらの廃棄物のうち産業廃棄物については事業者が その処理を行うものとされており,一般廃棄物につい ては地方公共団体が当該区域内の一般廃棄物の処理に 関する計画を定め,この計画に従い収集・運搬・処理 を行うものとされている.

同法に基づく整理によると漂着ゴミは事業系一般廃棄 物に分類されることになる.事業系一般廃棄物の場合,

処理費用の一部は排出事業者が負担することになるの であるが,漂着ゴミの場合排出者が不明であり,それ らが漂着した地方公共団体の負担において回収処理を 行うことになる.

これらの漂着ゴミに関連する行政機関の管轄は様々 な省庁にまたがっている.たとえば港湾法や海岸法は 国土交通省港湾局,漁港漁場整備法は水産庁漁港漁場 整備部,廃棄物処理法は環境省・リサイクル対策部の ようになっており,それ以外にも多くの行政機関が関 わっている.これだけ関連機関が多ければ,意見を集 約することも容易ではないが,環境NGOなどの働き かけによって関係各省庁の担当者の間で認知されるよ うになったことが,新法の成立を急がせたと考えられ る.

4.海岸漂着物処理推進法の意義2)

上記のように漂着ゴミ問題に関する制度・行政機関 は多岐にわたるため,根本的な解決に結びつく法制度 はなく,これまで必ずしも有効な対策が取られてきた とは言えなかった.

海岸漂着物処理推進法はこれまでの不具合を打開す べく制定され,図3の基本理念をもとに構成されてい る4).これにより政府・地方公共団体など,海岸管理 者が責任を持って漂着ゴミを回収処理するとともに,

漂着ゴミの発生を抑制する体制の基盤が整ったのであ る.

2 廃棄物の分類 廃棄物

⼀般廃棄物 産業廃棄物

事業系⼀般廃棄物

家庭廃棄物

(事業活動に伴って⽣じた廃棄物であって, 廃棄物処理法で 規定された 20 種類の廃棄物)

(事業活動に伴って⽣じた廃棄物で, 産業廃棄物 以外のもの)

(⼀般家庭の⽇常⽣活に伴って⽣じた廃棄物)

(3)

同法が制定された意義としてまずあげられるのは,

処理責任の明確化である.これまで漂着ゴミについて は港湾法,漁港漁場整備法,海岸法の適用対象となる 海岸であればともかく,そうでない海岸については処 理責任については必ずしも明確化されておらず,その ほとんどが地方公共団体による負担により処理が行わ れてきた.漂着ゴミの問題の被害を受けている地方公 共団体には離島や過疎地が多くあり,財政的にも,収 集・処理に当たる人的資源の面においてもその負担は 厳しいものとなっている.

制定された海岸漂着物処理推進法では,海岸管理者 等は,その管理する海岸の土地において,その清潔が 保たれるよう海岸漂着物等の処理のため必要な措置を 講じなければならないと規定し,漂着ゴミの処理責任 が海岸管理者等にあることを明確にしている.その上 で,地方公共団体の協力義務や都道府県の支援を規定 しつつ,また,海岸管理者等が管理する海岸の土地に 漂着ゴミがあることにより住民の生活や経済活動に支 障が生じている場合において,地方公共団体が海岸管 理者に対して必要な措置を講ずるよう要請を行うこと ができることについても規定しており,漂着ゴミの処 理責任の明確化と,それに対する支援体制の明確化が なされている.

次にあげられるのが財政上の措置に関する規程であ る.漂着ゴミの被害を受けている地方公共団体は,離 島や過疎地域といった財政事情が厳しいところが多く,

漂着するゴミの種類によっては島内で処理することが できず,島外の処理施設に搬出することになり,この 運搬費用も地方公共団体には重い負担となっている.

制定された,海岸漂着物処理推進法では政府は海岸漂 着物対策を推進するために必要な財政上の措置を講じ なければならないと規定され,政府は漂着ゴミ対策の

ための財政上の措置を講ずる義務を負うこととなった.

また,民間団体との連携に関する規程も盛り込まれ ており,特に漂着ゴミの問題に対しては一般社団法人 JEANなどの環境NGOが積極的に関わっている.同 法制定にあたっても国及び地方公共団体は,海岸漂着 物等の処理等に関する活動に取り組む民間の団体が果 たしている役割の重要性に留意し,これらの民間の団 体等との緊密な連携の確保及びその活動に対する支援 に努めるものと規定されることで,これまで漂着ゴミ 問題に環境NGOが果たしてきた役割を評価しつつ,

これらの団体との緊密な連携確保と活動に対する支援 に努めるよう義務付けられている.

そのほか,漂着ゴミが他の地方公共団体の区域から 流出したものであることが明らかな場合,漂着ゴミが 漂着した都道府県知事の権限についても規定され,各 地方公共団体間の協力が円滑に行えるよう取りはから うことができるとされている.また,海外からの漂着 ごみに対しては,外国政府や国際機関との情報共有や 交渉という観点から外務大臣が適切な対応をとれるこ と等も規定されている.

5.船舶からの海洋への廃棄物投棄を規制する 海事法

5.1 国際法

1) MARPOL73/78 条約(船舶による汚染防止のための国 際条約及び関連議定書)5)

本条約は締約国に対して,船舶からの油及びその他 有害物質の排出を禁止しており,附属書 V ”船舶から の廃物による汚染防止のための規則”において,船舶 の運航中に発生する廃棄物の処分方法等について具体 的に規定している6).その中で,船内廃棄物とは①貨物

(カーゴ)残渣物,②洗浄水,③貨物保護材(ダンネー ジ・ライニングなど),④動物の死体,⑤プラスチック,

⑥食物の屑,⑦その他一般廃棄物(料理油など)を意味 する.このうち商船より廃棄され,沖合・沿岸付近に堆 積する海洋ごみとなり得るものは①貨物残渣物,③貨 物保護材,⑤プラスチックが考えられるが,附属書Vの 改正によって,2013年1月以降はこれら全ての船外廃 棄が禁止されている(環境に影響を与えない貨物残渣 物は陸から12海里以遠においてのみ廃棄可能)7). 2) ロンドン条約(廃棄物その他の投棄による海洋汚染 の防止に関する条約)5)

本条約は締約国に属する船舶のみでなく航空機及び 人口海洋構築物等からの海洋投棄も対象としており, 内水(居住区域にある海・川など)を除く全ての海域 に於いて,附属書Iに記載される投棄物を禁止している.

このうち,商船由来の海洋漂流・漂着ごみに関するもの

海岸漂着物処理推進法の基本理念

○ 総合的な海岸の環境の保全及び再生

○ 責任の明確化と円滑な処理の推進

○ 海岸漂着物の発生の効果的な抑制

○ 海洋環境の保全

○ 多様な主体の適切な役割分担と連携の確保

○ 国際協力の推進

3 海岸漂着物処理推進法の基本理念

(4)

は“持続性プラスチックその他の合成物質”が考えら れる.

3) 国連海洋法条約(海洋法に関する国連条約)5)

この条約は投棄行為自体を規制するものではなく, 船舶,航空機及び人口海洋構築物等からの投棄による 環境汚染を防止するための措置を締約国の義務とする ものである.商船由来のプラスチックごみに関連する ものとして,第194条及び第211条において,“船舶か らの汚染”を防止・軽減・規制するための措置・法令 の実施及び制定の義務について明記している.一方, 本条約は他の環境保護条約に基づく義務には影響を与 えない,ともしている(第237条).

5.2 国内法(MARPOL73/78 条約及びロンドン条約を 反映)

1) 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律5)

MARPOL73/78条約を基礎としており,船舶,航空機

及び人工海洋構築物等からの排出物のうち,油・有害液 体物質・排ガス以外の,“人が不要とするもの”が“廃 棄物”と定義されている.この中で,“廃プラスチック”

が海洋漂流・漂着ごみに相当すると考えられる(施行 令第4条).既述のMARPOL73/78条約附属書Vの改

正に伴い,2013年1月から改正法が施行され,食物くず

を除く全廃棄物の排出が原則禁止となった.

2) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律8)

この法律は海洋投棄自体を規制するものではないが, 国内で生じる廃棄物を一般廃棄物,産業廃棄物に分け, それらの適切な処理体系について規定している9).商 船由来のプラスチックごみに関する記述は以下のよう である.

①一般廃棄物

法第2条の4項“船舶及び航空機の航行に伴って生 じる廃棄物”,及び施行令第2条の2“船舶内にある船 員その他の者の日常生活に伴って生じたごみ”(一部 略)として“航行廃棄物“と定義されるもの

②産業廃棄物

法第2条の4項”事業活動に伴って生じた廃棄物の うち廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物“(一 部略)として定義されるもの

一方,本法は船上での廃棄物処理方法などについて は規定されておらず,例えば日本入港時に廃棄物を陸 揚げせず,そのまま出港する外航船は“廃棄物を輸出し ようとする者”とみなされる.また法第10条2項,規 則第7条2項及び第12条の12の27の規定に依ると, 廃棄物の輸出に当たって“本邦から外国まで船舶又は 航空機の航行を行う者”は環境大臣の許可を必要とし ていない.

6.商船から見た海洋漂流・漂着ごみ対策につ いて

6.1 企業理念の反映

海運会社は国際諸条約に基づいた企業理念として,

①海上における人命の安全,②安全運航及び③環境保 護を掲げ,また各種対策が取り決められている.

海洋環境保護対策についても,筆者が最後に乗船し てから約 5 年が経過しているため,一部変更は考えら れるとはいえ,当時にあっても船上での廃棄物の処理 方法に対しては MARPOL73/78 条約に従った厳格な 対策が船上で取り決められており,且つ対策の確実な 実施及び継続のための,定期的な内部監査,及び抜き打 ちによる外部監査等も行われていた.

6.2 実際に生じる廃棄物の処理

実際に船内で生じ,プラスチック系の海洋漂流・漂着 ごみとなり得る廃棄物は,食べ物の容器,食器,医薬品・

化学薬品・潤滑油の容器,潤滑油・燃料油・冷却水分析 用の容器,文房具など多岐にわたる.

適正な廃棄物処理の初手はごみの分別であるが,船 内全てのダストボックスの色はごみの種類ごとに明瞭 に色分けされ,また付近にはプラカード等による,全乗 組員へ分別要領の周知が徹底されている.加えて廃棄 物取り扱いの乗組員教育も,定期的に実施している.

分別されたごみは,ごみ保管室に集められ,ここでも 色分けされた頑丈な容器に,分類・保管される.プラス チックごみについては,改正前の海防法に於いては船 上で焼却し,確実に灰になったものについてのみ排出 が認められていたようであるが 10),改正法はこれも禁 止となっている11).よって停泊中に全て陸揚げする必 要がある.

6.3 プラスチックごみ対策の留意点

食物油等以外の油(潤滑油・燃料油など)に関して は,補油時に船上で計量された積み込み量,及び運航中 の燃料・潤滑油の消費量,廃油・ビルジ(油水混合物)・ スラッジの処理量及び保有量の記録が義務付けられて いる.したがって,積み込み量・消費量・処理量・保有 量の差し引きと,それら数値の整合性でもって,対内 的・対外的にも,油の管理及び流出の監視が厳格に実施 されているといえる.しかし糧食(備蓄食料)や船用 品(船の業務用品)の積み込み時,製品やそれらの容器 等に使用されているプラスチック自体の重量全てを船 上で計量すること,あるいは船内で廃棄されたプラス チックごみを,再び積み込み時と同じ梱包に分けて収 集することは容易ではない.従って,対外的に見ると,

(5)

この点のみにおいては,油と同程度の管理・監視が実施 されているとは言い難い.

7.おわりに

2,3,4章に亘って述べた海岸漂着物処理推進法は 漂着ゴミ問題に取り組む基本法として成立したもので,

必要な施策は一通り盛り込まれたものとなっているが,

本法の施策を実施するための具体的な財政上の措置や 漂着ゴミの排出抑制のための規制等の国としての基本 計画を整備するとともに,各地方公共団体における地 域ごとの取組を作成することはまだこれからである.

また,この法律では,同じく海洋ゴミである海底ゴミ や漂流ゴミについては,対象外となっているが,漂着 ゴミと同様に地方公共団体を悩ませているものである.

いずれも対応の必要性は認識されてはいるが,具体的 な施策については示されていないため,今後配慮され るべき内容と思われる.

一方,5,6章では船舶由来の漂流・漂着ごみの中で, 環境への影響が大きいものの1つである,プラスチッ クごみと船舶及び海洋環境保護に係る条約・法令との 関係性を検討したが,要約すると以下の通りである.

陸上で製品或いは容器として製造された多様なプラ スチックは配送業者によって船舶に運び込まれ,船側 が廃棄物処理の義務を負う.船舶は関連条約・法令に 基づいた対策に従って,生じたプラスチックごみの分 別・保管・陸揚げを実施することで,海洋汚染の防止を 図っている.従って,外部監査人からの指摘が無い限り, プラスチック排出を規制する関係条約や法令への順守, すなわち船上における適正な廃棄物処理の実施を対外 的には示しているといえる.ところが実際問題として 生じている海洋漂流・漂着したプラスチックごみにつ いては,船舶に積み込んだプラスチックの量と,陸揚げ したプラスチックの量が厳密に整合できない限り,そ れらのごみが船舶由来ではないことを完全に証明する のは困難である.

機関士として,商船の実務を経験した者の所見では, 現在問題となっている,漂着ごみに見られるような類 の廃棄物は少なくとも,船上で条約・法令を順守してい る一般商船に由来するとは考えにくい.ところが,海に なじみのない方々の中には極端な場合,船では目の前 に海があるのでごみを全て海洋に棄てているという安 易なイメージを持っている可能性もある.従って,海陸 相互理解への第一歩として,船乗りが船上では常に,海 洋環境保護に関する法律の順守を意識している,とい うことを理解してもらうことは,ある程度有意義と思 われる.

また,実際に発生する海洋漂流・漂着ごみに対しては,

現時点で,ごみの削減に十分な効力のある法は未整備 といえる.しかし将来的に日本のみならず,例えば諸外 国がプラスチック流出元の特定に重点を置いた法令を 制定する場合,自国付近の航行船舶に対して,より厳密 なプラスチックごみの管理記録を要求する可能性も考 えられる.

参考文献

1) 総合海洋政策本部HP,平成25年4月26日閣議決 定,www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou

2) 高野恵亮,海岸漂着物処理推進法の成立~そのプロ セスと意義~,嘉悦大学研究論集 第55 巻第 2 号通巻102号,平成25年3月,15-25

3) 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター HP,

www.jwnet.or.jp/waste/knowledge/bunrui.html 4) 環 境 省 HP, 海 岸 漂 着 物 処 理 推 進 法 概 要 , www.env.go.jp/water/marine_litter/law.html 5)海文堂 “海事六法”

6)国土交通省 “MARPOL73/78”

http://www.mlit.go.jp/kaiji/imo/imo0003_.html 7)関西化学工業協会 “マルポール条約附属書Vの改 正概要”

http://www.kankakyo.gr.jp/usr/info_ls.cgi?backnum ber=true&id=1088

8)電子政府の総合窓口e-Gov “廃棄物の処理及び清 掃に関する法律”,“同施行令”,“同施行規則”

https://www.e-gov.go.jp/

9)環境展望台(国立環境研究所 環境情報メディア)

“廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法/廃棄物 処理法)”

http://tenbou.nies.go.jp/policy/description/0059.html 10)環境省 “海洋汚染及び海上災害の防止に関する 法律の一部を改正する法律等の施行について” http://www.env.go.jp/hourei/05/000036.html 11)一般社団法人 日本船舶品質管理協会

http://www.jsmqa.or.jp/kaiji/kaijiDayori.pdf/kaijiDa yori_270.pdf

(6)

著者紹介

石田雅照

・日本マリンエンジニアリング学会 正会員

・1976年生まれ

・国立研究開発法人 水産研究・教 育機構 水産大学校

・水産大学校専攻科舶用機関課程修 了

・舶用機関学

三原悠

・日本マリンエンジニアリング学 会 正会員

・1982年生まれ

・神戸大学海事科学研究科 博士前 期課程在学中

・神戸大学海事科学部卒業

・内燃機関工学

三原伊文

・日本マリンエンジニアリング学会 正会員

・1947年生まれ

・元大島商船高等専門学校

・神戸大学大学院博士課程修了 博士(工学)

・舶用機関学

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