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科学と認定されない超心理学の歴史 ~ベムの予感実験の背景~

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Academic year: 2021

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科学と認定されない超心理学の歴史

~ベムの予感実験の背景~

氏名 石川 幹人

所属 明治大学情報コミュニケーション学部

要 約

今回のワークショップで注目されているベムの論文は、科学的な手法を用いて研究 に取り組んできた超心理学が、130年間歩んできた苦難の歴史を背景にすることで、

その位置づけが明確になると思われる。

1.ESPカード実験

実験心理学的手法と統計分析を本格的に超心理学に導入したJ・B・ラインは、E SPカードを使ったESP実験を大量に行ない、1930年代にきわめて有意な実験 結果をあげた。

批判者は、これらのカード実験に対し、「カードに傷がついている、カードが裏から 透けている、記録のミスがある、実験者が無意識に正答に改ざんしている」などの指 摘を行なった。

ラインらの多数の超心理学者は、これらの指摘に対処した実験をくり返し、194 0年に、それまでのカード実験を歴史的に分析し、実験が厳密化しても、依然として きわめて有意な結果となっていることを示した。

批判者は、この結果を無視し、ESPカード実験はずさんな状態でくり返されてい ると、さまざまな文献でくり返し述べつづけた。

2.ガンツフェルト実験

ESPカード実験で、事実上残されていた疑義は、実験者の選択的な報告と、実験 者の故意のデータ改ざんであった。それを解決したのは、30年間にわたって累積さ れたガンツフェルト実験であった。

1974年から累積されはじめたガンツフェルト実験データは、それ以前に、失敗 と見える実験もすべて論文報告するように奨励した超心理学界の方針により、データ のお蔵入りが防止できていた。2004年には、88の論文報告のメタ分析(じょう ごプロット)により、実験者の選択的な報告と、実験者の故意のデータ改ざんの可能 性は少ないことが明らかになった。このメタ分析をリードしたのがベムである。

批判者は、この結果について口をつぐんでいる。

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3.スターゲート計画の終了

アメリカ軍は超心理技術を使ったスパイ養成を1970年代から四半世紀にわたり 行なっていた。映画化もされたスターゲート計画である。90年代になってその説得 的な終了をはかるために、「超心理実験とその応用の試みには何も肯定的な結果がなか った」という最終評定を、批判者を集めて作成した。

その作成に使用された評価プロジェクトでは、メタ分析研究の重鎮ローゼンタール が批判者たちによって起用された。しかしローゼンタールは、批判者たちの意図に反 し、超心理学の方法の正当性を高く評価した。評価プロジェクトでは、ローゼンター ルの評価を無視して、報告をまとめた。

最終評定にかかわった人々の間では、ローゼンタールの評価に触れないようにとい う「口封じ」が行なわれていたことが、最終評定後に暴露された。

スターゲート計画中には、多くの肯定的な結果が報告されていたことが、情報公開 法で現在は明らかになっている。その過去の経緯からみても、最終評定は矛盾に満ち ている。

4.ベムの予感実験

ここまでの超心理学の歴史では、「科学的な手法で、超心理現象にとことん接近した 結果、厳密な実証に成功した」と超心理学者たちは認識している。証明を目的とする のであれば、もはや努力は尽くしたという感がある。それでもなお、無視されたり、

不当に評価されたり、また、誤解にもとづく批判が重ねられている。

ベムの予感実験は、「超心理学者は怪しい実験を適当にやって、ありもしない結果を 報告しているだけだ」という誤解を一掃するために、実際に批判者みずからにやって もらおうという発想にもとづいている。

予知現象を題材にとりあげたのは、透視やテレパシーに比べて情報漏洩の疑いが少 なくすむからである。また、過去のESP実験から、予知は、透視やテレパシーと同 程度の効果があると推測されている。

ベムの論文の位置づけは、超心理現象の実証報告にあるのではない。実証はすでに、

ガンツフェルト実験でもっと厳密に行なわれているのである。

もし科学者たちが、「予知は主流科学の枠組みに合わないから追試はしない」という 姿勢であるのであれば、科学者社会は「止めどもない確証サイクル」に陥っていると 言わねばならない。

以 上

参照

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