) 4 ) (
exp(
1 cx
b y a
−
= +
:パラメータ
:経過年数,
台当り人口,
:乗用車 X ab c
Yop
世界の乗用車排出ガス量の将来予測 02D8101009C 高野 泰彦 中央大学理工学部情報工学科 田口研究室
2006 年 3 月 あらまし:本研究では,自動車に関する様々なデー
タを用いて,乗用車排出ガス量推定モデルを構築し,
世界の乗用車排出ガス量の将来推定を行う.
キーワード:回帰分析,最小自乗法,ロジスティッ クモデル,乗用車排出ガス
1 はじめに
自動車は人間の生活にとって必要不可欠な存在 となっている.しかし,自動車からは有害なガスが 排出されている.それに対する個人の意識が大切で ある.そこで,本研究では我々が普段よく使用する 乗用車に着目し,世界の乗用車排出ガス量を予測す る.
2 回帰分析
2.1 回帰分析の基礎
回帰分析とは,目的変数
yと説明変数
xの関係を とらえる統計手法である.回帰モデル式は
) 1 ( )
, , 2 , 1 ( )
(x
i n
f
yi = i +εi = L
である.ここで, は誤差である.この変数
y,x間 の本来の関係を表す関数型 を求めることが目標 である.パラメータ
θを除いて概形が分かっている
f関数 に対して,最小自乗法によりパラメータθ を 決定する.最小自乗法とは,誤差自乗和
t , ,
1 )
2 ( ))
( ( ) (
1
2
∑
=−
= n
i
i
i f x
y
Sθ θ
を最小にするパラメータ を真のパラメータの推 定値とする考え方である.
2.2 線形最小自乗法
線形最小自乗法とは,関数 が線形のときに使 用する最小自乗法である.誤差自乗和を各パラメ ータで微分して最小値を決定する.
f
2.3 滑降シンプレックス法
滑降シンプレックス法とは,多次元関数の最小化 アルゴリズムである.本研究では,非線形最小自乗 法として使用する.パラメータθ の個数 より 1 個 多い座標点を初期値として設定し,この初期値を与 える座標点の個数を
p
n (= p+1)
とする.この 個の 座標点の集合からシンプレックスを形成する.この シンプレックスの体積を収束させることによりパ ラメータを決定する.
n
2.4 決定係数
決定係数は,回帰モデルの当てはめの良さを表す.
決定係数
R2は
) 3 ( ˆ )
( ) (
1
2 1
2
2
∑
∑
=
=
−
−
= n
i i
n
i i
y y
y y
R
で表され,1 に近いほど当てはめが良い. は目 的変数とその予測値である.
y,yˆ3 乗用車排出ガス量推定モデル
3.1 乗用車排出ガス量推定モデルの全体構成 乗用車保有台数モデル,乗用車販売台数モデル,
乗用車残存率モデルから車令別保有台数を推定し,
その車令別保有台数[台]と排出ガス原単位から走行 距離 1km 当りの排出ガス量[g/km]を算出する.そ して,走行距離 1km 当りの排出ガス量[g/km]と年 間走行距離[km/year]から年間の排出ガス量[g]を算 出する(図 1).
以上の作業を国別に行い,それらの合計値を世界 の乗用車排出ガス量[g]として算出する.
図 1 乗用車排出ガス量の推定手順 3.2 排出ガス原単位
排出ガス原単位[1]とは,排出ガスの規制年,時速,
車種別の 1km 走行時の排出ガス量である.規制は 日本を対象としている.本研究では,車種はガソリ ン・LPG 乗用車,時速は 32.5km/h とする.
3.3 ロジスティックモデル
θ
ロジスティックモデル
は,時点 x における の値が何らかの意味で「成長
率」と解釈されるデータに応用される. y
3.4 乗用車保有台数モデル
世界を先進工業国と開発途上国に分ける.さらに,
開発途上国を 1 人当りの GNI を基準にして,4 つ のグループに分ける.以上より,世界を 5 つのグル ープに分ける(表 1).グループ毎に乗用車 1 台当 りの人口モデル
) 5 )) (
exp(
1 (
1000 a
cX
Yop= +b − t
を作成し,そのモデルと人口から乗用車保有台数を 推定する(式(6)).
表 1 国のグループとその特徴
国 特徴
先進工業国 OECDのDACに加盟している国 高所得国
及び 先進途上国
1人当りのGNIが$9206以上の国 又は
「中・東欧諸国,旧ソ連諸国の経済以降 国(その中の高所得国)」,「より進んだ 途上国」に分類されている国 中−高所得国 1人当りのGNIが$2976〜$9205の国 低−中所得国 1人当りのGNIが$746〜$2975の国
開発途上国
低所得国 1人当りのGNIが$745以下の国
3.5 乗用車残存率モデル
先進工業国は,まず,乗用車 1 台当りの人口を変 数としてパラメータモデル
θˆ f
εi
) 6
1 (
台当り人口[人/台]
乗用車
人口[人]
乗用車保有台数[台]=
0 200000 400000 600000 800000 1000000 1200000 1400000
2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050
千台
年
0 5 10 15 20 25 30 35
2000年 2010年 2020年 2030年 2040年 2050年
万トン
0 50000 100000 150000 200000 250000
2000年 2010年 2020年 2030年 2040年 2050年
万トン
0 200 400 600 800 1000 1200
2000年 2010年 2020年 2030年 2040年 2050年
万トン
0 20 40 60 80 100 120
2000年 2010年 2020年 2030年 2040年 2050年
万トン
0 0.5 1 1.5 2 2.5
未規制 1973 1975 1976 1978 1986 2000 2005
規制年
g/km
0 2 4 6 8 10 12 14 16
未規制 1973 1975 1986 2000 2005
規制年
g/km
0 0.5 1 1.5 2 2.5
未規制 1973 1975 1986 2000 2005
規制年
g/km
0 50 100 150 200 250
未規制 1982 1986 2000 2005
規制年
g/km
0%
20%
40%
60%
80%
100%
2000年 2010年 2020年 2030年 2040年 2050年
保有台数
タイ プ 20,000km タイ プ 15,000km タイ プ 10,000km 0
20 40 60 80 100 120 140
2000年 2010年 2020年 2030年 2040年 2050年
国数
タイ プ 20,000km タイ プ 15,000km タイ プ 10,000km
) 7 ) (
exp(
1 1
1
Xop
c d B a
−
= +
からパラメータを決定する.そして,求めたパラメ ータと車令を変数として,乗用車残存率モデル
) 8 )) (
31 ( exp(
1 2
2
a
sr B c X
Y a
−
−
= +
CO
2は,排出ガス原単位が過去 20 年間でほとん ど変化しておらず,このままの状況が続けば,排出 ガス量は常に増加していくと考えられる.
を作成する.開発途上国は,車令 50 年までの乗用 車が存在していると仮定して,先進工業国の乗用車 残存率モデルから,車令別保有台数を推定する.
3.6 乗用車販売台数モデル
乗用車の保有台数と販売台数の相関から乗用車 販売台数モデル
を作成する.
3.7 乗用車年間走行距離モデル
乗 用 車 年 間 走 行 距 離 タ イ プ と し て , タ イ プ
10,000km,タイプ 15,000km,タイプ 20,000km
を設定する.それぞれのタイプ別に,保有台数及び 面積を説明変数,人口を目的変数として重回帰モデ ルを作成する.このモデルによる人口の推定値と,
実値の比率の最小値と最大値をタイプ別に設定し,
その範囲内に収まっているかいないかで,年間走行 距離タイプを決定する.
4 予測結果と考察 4.1 乗用車保有台数
ヨーロッパ,北米,オセアニアでは,保有台数に 大きな伸びは見られない.一方で,アジア,アフリ カ,中南米では,保有台数が急激に増加しており,
経済未発達国が多いと考えられる.以上の推定値を 合計すると,世界では保有台数が緩やかな増加とな る(図 2) .
4.2 乗用車年間走行距離
各国の年間走行距離タイプを推定する.国数で見 るとタイプ 15,000km が多い(図 3) .これは,タ
イプ 15,000km において,人口の誤差比率の最小値
と最大値の差が大きいことなどの影響があると考 えられる.
保有台数で見るとタイプ 10,000km の保有台数 が全体の保有台数の 6 割以上を占める(図 4).
4.3 乗用車排出ガス量
窒素酸化物(NOx),一酸化炭素(CO),炭化水 素(HC),二酸化炭素(CO
2)の規制年別の排出ガ
ス原単位を図 5〜8,推定結果を図 9〜12 に示す.
NOx,CO,HC は規制が進んでおり,今後しば
らくは排出量の減少が期待される.しかし,長期的 に見ると保有台数の増加に規制を抑制する技術が ついていけず,排出量の増加が続くと考えられる.
:パラメータ 台当りの人口,
:乗用車
,
:パラメータb X a c d
B op 1 1, 1,
環境省[2]によると 1992 年の日本の乗用車 NOx 排出量は 9.35 万トンである.これに対し,本研究 で作成したモデルを用いると NOx 排出量は 7.39 万 トンとなり,環境省の推計と似たような結果となる.
:パラメータ
:車令,
:乗用車残存率,
X a c BYsr a 2, 2,
) 9 ( b
aX Ys = u+
:パラメータ
:保有台数,
:販売台数,
X abYs u ,
図 5 NOx 原単位 図 6 CO 原単位
図 7 HC 原単位 図 8 CO2原単位
図 9 NOx 推定値 図 10 CO 推定値
図 2 世界の乗用車保有台数推定値
図 11 HC 推定値 図 12 CO2推定値 5 おわりに
世界の乗用車排出ガス量の将来推定を行った.長 期的に見ると,保有台数の増加に,排出ガス量を抑 制する技術がついていけず,排出ガス量の増加し続 ける時期が来ると考えられる.
参考文献
[1] 株式会社数理計画,自動車排出ガス原単位及び 総量算定検討調査 別冊:排出原単位表(改定 版),2005.
図 4 保有台数 図 3 国数
[2] 環境省, “平成 10 年 3 月 26 日 自動車排出ガ ス原単位及び総量に関する調査結果について”,
(オンライン),入手先
<http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=349>